【W杯ラウンド16プレビュー】優勝候補対決! グリーズマンvsメッシ、8強に導くのは?《フランスvsアルゼンチン》

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦、フランス代表vsアルゼンチン代表が30日23:00にカザン・アリーナでキックオフされる。グループCを2勝1分けで首位通過したフランスと、グループDを最終節の初勝利で劇的2位通過を果たしたアルゼンチンという優勝候補同士による、ラウンド16屈指の好カードだ。

▽自国開催となった1998年大会以来、20年ぶりの悲願達成を目指すフランスはオーストラリアとの初戦をビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)とゴールライン・テクノロジー(GLT)という今大会から導入された2つのテクノロジーのアシストを受けて2-1と辛勝。第2戦のペルー戦では19歳の新10番、ムバッペの初ゴールを堅守で守り切って連勝で突破を決定。そして、最終節のデンマーク戦は主力を温存した末に今大会初のゴールレスドローで終え、危なげなく首位通過を決めた。得点力不足やゲームコントロールという部分で課題はあるものの、デシャン監督らしい堅いチームが出来上がってきている。

▽一方、前大会準優勝チームとして優勝候補に挙げられるアルゼンチンは南米予選に続き苦しいグループリーグの戦いとなった。初出場アイスランドとの初戦では戦術メッシの限界を露呈すると共に肝心のエースのPK失敗で低調な1-1のドロースタートとなると、必勝を期して臨んだクロアチア戦ではシステムやメンバー変更が更なる混乱を招き、攻守に完膚なきまでに打ちのめされての0-3の完敗。それでも、最終節のナイジェリア戦ではメッシの大会初ゴール、試合終了間際の伏兵ロホの劇的勝ち越しゴールで2-1の勝利を収め、劇的な形での突破を決めた。そのナイジェリア戦のパフォーマンスは決して褒められたものではなかったが、どん底のチームが復活を遂げる大きなキッカケとなったはずだ。
▽なお、両チームの通算対戦成績はフランスの2勝6敗3分け。W杯では1930年の第1回大会、1978年のアルゼンチン大会で2度対戦しているが、アルゼンチンがいずれも勝利、また、2007年と2009年の直近のフレンドリーマッチ2試合もアルゼンチンが連勝している。


▽フランス予想スタメンGK:ロリス
DF:パヴァール、ヴァラン、ユムティティ、リュカ
MF:カンテ、ポグバ
MF:ムバッペ、グリーズマン、マテュイディ
FW:ジルー
負傷者:
出場停止者:なし▽出場停止者はいない。負傷者に関してはユムティティやメンディにコンディションの問題があるものの、全選手が起用可能だ。

▽システムに関しては[4-2-3-1]の採用が濃厚だ。また、直近のデンマーク戦で温存した主力を復帰させ、ペルー戦と同じメンバーで臨む見込みだ。アドビンクラとカリージョの強力な右サイドコンビと対峙したリュカとマテュイディが今度はメルカドとメッシの右サイドと対峙することになる。


▽アルゼンチン予想スタメン
GK:アルマーニ
DF:メルカド、オタメンディ、ロホ、タグリアフィコ
MF:エンソ・ペレス、マスチェラーノ、バネガ
FW:メッシ、アグエロ、ディ・マリア
負傷者:
出場停止者:なし

▽出場停止者はおらず、負傷者もいないため全選手の起用が可能だ。システムに関してもナイジェリア戦と同じ[4-3-3]の採用が既定路線だ。先発の人選に関してもナイジェリア戦と同じメンバーが濃厚だが、ムバッペ対策にロホを左サイドバックに配しファシオをセンターバック、中盤に守備的なビリア、フレッシュなロ・セルソ、ナイジェリア戦で低調だったイグアインに代えてアグエロを起用するなど、幾つかのポジションでマイナーチェンジを施す可能性もある。

★注目選手
◆フランス:MFポール・ポグバ▽フランスの注目プレーヤーは中盤で攻撃の組み立てに関わるポグバだ。所属するマンチェスター・ユナイテッドと同様にレ・ブルーにおいても好不調の波が激しく大会前にはスタメン落ちの可能性も指摘されたポグバだが、オーストラリア戦、ペルー戦では得点に絡む決定的な仕事を果たすなど、好調を継続している。とりわけ、相棒カンテ、マテュイディのハードワーカー2人の恩恵を享受し守備面の負担が減っていることで中盤の配球役や前線への攻撃参加と持ち味の攻撃面に専念できている点が大きい。

▽不調とはいえどもグループリーグの3チームに比べタレント力に優れるアルゼンチンとの一戦では守備の局面で最低限の役割を果たしつつ、カウンターの局面などで前線のタレントをうまく生かしたい。同時にアンカーに入るマスチェラーノの脇のスペースが空きやすい相手の守備のウィークを突き、積極的な飛び出しから得意のミドルシュートやラストパスを狙いたいところだ。

◆アルゼンチン:FWリオネル・メッシ▽アルゼンチンの注目プレーヤーはエースのメッシだ。崖っぷちの状態で臨んだナイジェリア戦では絶妙な抜け出しからのスムーズなフィニッシュワークで今大会初ゴールを記録するなど、チームの逆転突破に大きく貢献した背番号10。しかし、チームの調子自体はいまひとつでフランス相手の苦戦は必至とみられる。

▽現状のアルゼンチンはメッシさえ抑え込めば他に恐い形の攻撃はほとんどなくデシャン監督はマテュイディ、リュカの機動力と球際の強さに長けた左サイドのコンビで徹底した策を講じてくるはずだ。また、中央に流れてもカンテという強力な門番が立ちはだかるため、相手の堅守攻略に向けては相当タフな戦いが待っているはずだ。もちろん、フランス撃破には他のチームメートの奮闘も必要となるが、エースのパフォーマンスこそアルゼンチン勝利の重要なカギだ。