【W杯グループB最終節プレビュー】三つ巴の争いを制するのは?

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)グループB最終節が25日に開催する。27:00に同時刻開催で行われる最終節では3位イランと首位ポルトガルの直接対決､ポルトガルと同勝ち点の首位スペインと敗退が決定した最下位モロッコの一戦が行われる。

◆順位表(第2節終了時点)
1.ポルトガル 4pt､1勝､1分､0敗､4得点 3失点､+1
1.スペイン 4pt､1勝､1分､0敗 4得点 3失点､+1
3.イラン 3pt､1勝 0分､1敗､1得点 1失点､0
4.モロッコ 0pt､0勝､0分､2敗 0得点 2失点､-2

※勝ち点で並んだ場合、得失点差、総得点、当該対決の戦績、反則ポイントの順で順位が決定
◆チーム情報:連戦のコンディションが重要に
▽まずはイランvsポルトガルから。モロッコとの初戦を幸運な試合終了間際のオウンゴールで制したイランだが、堅守を全面に押し出したスペインとの第2節では逆にDFのクリアが相手FWに当たって決まる不運な失点によって0-1の惜敗となった。それでも、両試合を通して智将ケイロス監督の下で対戦相手の徹底的な分析が機能しており、比較的オーソドックスな戦いを見せるポルトガル相手にもそのスカウティングがハマる気配だ。その一方で、ここ2戦の消耗は激しく指揮官の授けた策をピッチ上の選手たちがきっちり遂行できるかが逆転突破のカギとなる。また、自力での突破に向けては勝ち点3が必須だけにどの段階でリスクを冒すプランにシフトするかという仕掛けどころも重要となる。

▽一方、ポルトガルはスペインとの初戦でのハットトリックの活躍に続きモロッコとの第2節ではセットプレーから強烈なヘディングシュートを叩き込んだエースFWクリスティアーノ・ロナウドの決勝点を守り切って1-0の勝利を収めた。その一方で、2試合を通じて個の力を生かしたカウンター以外の攻め手や守備の局面でも随所に隙を見せており、決して盤石の戦いを見せられているわけではない。絶好調のエースの存在は頼もしいものの、ここ2戦で出た問題点を修正できなければ、まさかの敗退という結末も十分にあるはずだ。◆注目選手:今季エールディビジ得点王と中盤のバランサーに注目
▽イランの注目選手はFWヤハンバクフシュだ。初戦では相手のオウンゴールで勝利したものの、まだ今大会でちゃんとしたゴールを奪うことができていない。自力での突破に向けて勝利が絶対条件の中で攻撃陣の奮起が求められる。ポルトガルは中央の守備が堅い一方、サイドバックは高さや球際の強さという部分でやや劣っており、イランとしては付け入る隙は十分にある。そこで大きな期待がかかるのは右ウイングでの起用が見込まれるヤハンバクフシュだ。今季のエールディビジで21ゴールを記録してアジア人として初の欧州主要リーグ得点王に輝いた24歳は突破力に加えて強烈なミドルシュートを武器としており、積極的に足を振って相手GKルイ・パトリシオを脅かしたい。

▽一方、ポルトガルの注目選手はウィリアム・カルバーリョだ。ポルトガルの中盤で絶対的なレギュラーを担うカルバーリョだが、ここ2戦を通じての貢献はいまひとつ。持ち味の球際の強さを見せる一方、セカンドボールへの反応や繋ぎの部分で物足りない印象だ。ある程度相手の攻撃を受ける形が想定される中、やや強度の足りない中盤の選手を助けるような守備時のサポートや局面を変えるパス出しを期待したい。

◆イラン予想スタメン◆ポルトガル予想スタメン

◆チーム情報:油断は禁物も相手の敗退が追い風に
▽続いてはスペインvsモロッコ。イランとポルトガルの潰し合いに期待しつつ地力での首位通過を目指すスペインはすでに敗退が決定したモロッコと対戦する。もちろん、相手が今大会初勝利のモチベーションを持って臨むものの、スペイン対策として極端に守備的に戦う可能性は低いはずだ。そのため、専守防衛を見せたイランとは異なり、比較的オープンな形で戦える見込みだ。その中でMFイスコやMFシルバ、MFイニエスタといった卓越したボールスキルを誇る中盤のタレントを全面に押し出した流動的な仕掛けが効いてきそうだ。その一方で、イランに比べて攻撃の精度やカウンターの威力は高いだけにセンターバックに加えて、サイドバックやアンカーのMFブスケッツのところでしっかりとリスクマネジメントを行いたい。

▽一方、2試合ともに善戦を見せながらも決定力不足が響いて敗退を強いられたモロッコ。だが、戦い自体を変える必要はなくここ2試合で出た課題を難敵スペイン相手に見せたいところだ。とはいえ、ポルトガルに比べてボールポゼッションの質や攻撃力で勝るスペイン相手に守勢に回る可能性が高い。そこでDFベナティアを中心に粘り強く守りながらセットプレーやカウンターの局面で今度こそ決定力を発揮したい。

◆注目選手:スペイン屈指のジョーカーに注目
▽スペインの注目選手は途中出場で流れを変える役目を担うFWアスパスだ。ここ数年、リーガエスパニョーラで最もコンスタントにゴールを挙げるスペイン人選手の1人であるアスパスはロペテギ前監督の下で重宝されたものの、今大会ではFWジエゴ・コスタが2試合連続ゴール中と好調を継続しており控えに甘んじている。もちろん、チームとしては先発のジエゴ・コスタの活躍は朗報だが、相手が守備を固めた場面ではやはり中盤のタレントを生かし切る術に長けたアスパスの存在が重要となる。しびれる場面で出番が来るかは微妙なところだが、決勝トーナメントでの活躍に繋げるためにも一仕事こなしたい。

▽一方、モロッコの注目選手は中盤でバランスを取るエル・アハマディ。ここまでの2試合では中盤でアンカーに近い役割を任されて主に守備のバランスを整えている33歳のベテランMF。その一方で、攻撃面ではチームの攻撃にスイッチを入れる縦パスやサイドチェンジなどを見せられていない。そのため、難敵相手に劣勢が予想される今回の一戦では守備面でいつも通りの仕事を果たしつつ、攻撃面で違いを生みたい。

◆スペイン予想スタメン◆モロッコ予想スタメン◆最終節
▽6/25
《27:00》
イラン vs ポルトガル
スペイン vs モロッコ