“オリンピコの奇跡”! バルサ相手に3点差引っくり返したローマが初のベスト4進出!《CL》

▽チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、ローマvsバルセロナが10日にスタディオ・オリンピコで行われ、ホームのローマが3-0で勝利した。この結果、2戦合計4-4で並ぶもアウェイゴール数で上回ったローマがクラブ史上初のベスト4進出を決めた。

▽1stレグを4-1で先勝して大き過ぎるアドバンテージを手にしたバルセロナと、奇跡の逆転劇を目指すローマによるリターンマッチ。

▽3年前のグループステージと同様にカンプ・ノウで大敗を喫したローマは、先週末のリーグ戦では好調フィオレンティーナ相手に0-2の敗戦を喫して公式戦3試合未勝利。今週末にラツィオとの重要な“デルビー・デッラ・カピターレ”を控える中、ディ・フランチェスコ監督は1stレグから先発3人を変更。負傷のペロッティやペッレグリーニ、ブルーノ・ペレスに代えて負傷明けのナインゴランやシック、ファン・ジェズスを起用。今季初となる[3-5-2]の布陣を採用した。
▽一方、全体的なパフォーマンスはいまひとつも2つのオウンゴールなどで先勝したバルセロナ。さらに、先週末のレガネス戦ではエースFWメッシの圧巻ハットトリックの活躍によってリーガエスパニョーラ記録タイとなるリーグ戦38試合無敗記録を樹立した。そして、盤石のチームは1stレグと同じメンバーで今回の一戦に臨んだ。

▽ホームで奇跡の逆転劇を目指すローマは最終ラインをハーフウェイライン付近に設定した中盤フラットの[3-5-2]の超攻撃的な布陣で、立ち上がりから猛烈なプレスを仕掛ける勇猛果敢なプレーを見せる。これに対して、バルセロナは開始4分にメッシのスルーパスに抜け出したセルジ・ロベルトがボックス内に侵入。最初の決定機を迎えるが、これはGKアリソンの正面を突いた。▽このピンチにも動揺することなくハイライン・ハイプレスを継続するローマは直後の6分に先制点を奪う。中盤のデ・ロッシから背後を狙うゼコに絶妙な浮き球スルーパスが出ると、DFジョルディ・アルバとの体格差を生かして抜け出したゼコがGKとの一対一を制した。

▽ゼコのCL3試合連続ゴールでオリンピコの温度は一気に上がる。そして、ロマニスタの熱狂的な声援に呼応するようにローマのハイプレスが猛威を振るう。バルセロナの質の高いビルドアップにいなされる場面が目立つものの、2度追い3度追いを辞さない姿勢で泥臭くボールを回収していく。14分にはコラロフの右CKにシックが頭で合わすが、これは枠の上に外れる。

▽その後も肉を切らせて骨を断つスタイルで攻勢を続けるローマは26分、ボックス左でのゼコとのパス交換からゴール前に侵入したコラロフがシュートもDFにブロックされる。続く29分には右サイド深くに抜け出したファシオからのクロスをゴール前でドフリーのシックが頭で合わすが、これは枠の左に外してしまう。さらに、37分にはデ・ロッシのリスタートから右サイド深くでフロレンツィが入れた滞空時間の長いクロスをファーのゼコが頭で合わすが、枠の左上隅を捉えたシュートはGKテア・シュテーゲンの好守に阻まれた。

▽一方、守勢に回りながらも虎視眈々と相手のハイラインを狙うバルセロナだが、立ち上がり以降なかなか流れの中で決定機を作れない。それでも、ボックス付近で得た2度のFKをメッシが果敢に狙うなど、相手の運動量低下が見込まれる後半に向けて攻撃陣がフィーリングを整えた。

▽後半に入ってやや勢いは落ちたものの、前からプレッシャーをかけ続けるローマ。すると、57分にはボックス内に抜け出したゼコがDFピケのファウルを誘い、PKを獲得。これをキッカーのデ・ロッシがゴール右隅に突き刺し、ローマが2戦合計スコアで1点差に迫る。

▽この2点目で試合の緊迫感が一気に増した中、ローマペースでその後も試合は進んでいく。互いに交代カードを切るのが難しい中、ローマは73分にシックを下げてジェンギズ・ユンデル、77分にナインゴランを下げてエル・シャーラウィを投入。この交代で[3-4-3]のより攻撃的な布陣で3点目を目指す。一方、バルセロナは81分にイニエスタを下げてアンドレ・ゴメスを最初の交代カードとして切る。

▽後半半ばを過ぎても運動量を落とさずに猛攻を続けるローマはコラロフがGKテア・シュテーゲンに好守を強いるなど、ゴールを予感させる攻撃を続ける。すると82分、奇跡のゴールが生まれる。右CKの場面でキッカーのジェンギズが左足でニアサイドへ鋭いクロスを入れる。これを中からニアに走り込んだマノラスが頭で触ると、これがゴール左隅に吸い込まれ、オリンピコをこの試合最大の熱気が包んだ。

▽一方、1stレグの4-1の大勝から試合を引っくり返されたバルセロナはアウェイゴール数で上回られ、まさかの敗退危機に。この状況を受けて、バルベルデ監督はN・セメド、ブスケッツを下げてデンベレ、アルカセルを慌てて投入。ここから一気に反撃を試みると、86分にはゴール前の混戦を抜け出したメッシがシュートを放つが、力のないシュートはGKアリソンにセーブされる。

▽その後、攻めるバルセロナ、守るローマと試合の図式が大きく変わった中、最後までピッチの11人がやるべき仕事をこなし続けたローマが相手の反撃を凌ぎ切り、試合は3-0でタイムアップ。敵地での1stレグを1-4で落としながらもホームで3-0で勝利する奇跡の逆転劇を見せたローマが優勝候補バルセロナを破ってクラブ史上初のベスト4進出を果たした。