【ジュビロ磐田】3年ぶりのJ1の舞台で上々の折り返し、小林去就に懸念も"パパ"躍動に期待《J1総括&展望》
2016.06.29 18:00 Wed
◆チーム採点
60点
◆1stステージ総括
▽3年ぶりの復帰となったJ1の舞台で1stステージを8位で終えられたことは、クラブにとって上々の結果といえるだろう。また、合計9失点を喫した横浜F・マリノス戦とヴィッセル神戸戦の影響で、失点数こそ中位以下となったものの21得点で8位の攻撃面を含め、ここまで残したスタッツを見ると、現在の順位が妥当であることを証明している。
▽前半戦では守護神のGKカミンスキー、離脱を繰り返したエースFWジェイ、MF松井、長期離脱を強いられたDF小川など負傷者に悩まされた感もあるが、3試合連続ゴールで日本代表初選出となるなど、エースに成長したMF小林、セントラルMFと左サイドバックで質の高いパフォーマンスを見せたMF宮崎、アルビレックス新潟から復帰したMF山本、ベテランMF太田らの奮闘は見事だった。さらに、カミンスキー、GK八田の離脱で急遽デビューを飾った20歳GK志村の台頭も明るい話題の1つだった。
▽また、ここ最近は対戦相手に応じて[4-2-3-1]、[3-4-2-1]のシステムを併用するなど、戦術面のオプション構築に動いており、この戦い方がうまくハマっていけば、後半戦に向けたチームのストロングポイントになるかもしれない。
◆1stステージ成績
8位 6勝5分け6敗 勝ち点23
得点:21(8位)、失点:23(11位)
得失点差:-2
GK:カミンスキー
DF:櫻内渚、大井健太郎、森下俊、中村太亮
MF:山本康裕、宮崎智彦
MF:太田吉彰、小林祐希、アダイウトン
FW:ジェイ
◆1stステージMVP
MF小林祐希
16試合出場(先発16試合)/4得点
▽名波監督の粘り強い指導がようやく実り、今や日本代表に選出されるまでに成長したプラチナ世代屈指のタレントが、前半戦のMVPだ。J2時代は圧巻の左足を武器にプレースキックや豪快なミドルシュートでゴラッソを連発した一方、90分間の仕事量が極端に少ない“消える”試合も多かった。だが、今シーズンは第11節の鹿島アントラーズ戦から3試合連続ゴールを記録するなど、パフォーマンスに継続性が出ている。また、独りよがりなプレーが減り、視野の広さを生かしたゲームメーク、オフ・ザ・ボールの精度が格段に上がり、一段階上のプレーヤーへと成長した。
◆2ndステージ展望
▽昇格組の磐田が1stステージを上々の8位で終えられた最大の理由は、ここまで連敗が一度もないというバランスの取れた戦い方にある。その一方で、連勝が1度しかなかった事実も、チームがこの位置にいる理由だ。したがって、2ndステージに向けては上位争いを目指すのか、はたまた安全に残留を目指すかでアプローチの仕方が大きく変わってくる。
▽球際での粘りやセカンドボールへの反応、連動したプレッシングなどチームプレーに主眼を置いた守備と、名波監督の志向する“アクションサッカー”のエッセンスを感じさせる繋ぎはまずまず機能しているが、崩しの局面ではまだJ1の守備を攻略できるレベルではないのが実情だ。
▽そのため、現在はジェイやアダイウトン、小林らの個の能力を生かしたロングカウンターやセットプレーが主な得点パターンだ。2ndレグでチームが上位争いに絡むためには、遅攻などそれ以外の攻め手を増やしていく必要がある。とりわけ、アダイウトン以外に縦に仕掛けられる選手が少ない現状では、アタッキングサードで頻繁なポジションチェンジを交えた細かい崩しが必要となる。
▽もちろん、リーグ屈指のターゲットマンであるジェイがコンディションを上げて、昨シーズンのようにボックス内の王者として存在感を示してくれることが、最も楽な解決策だ。しかし、負傷体質でスタミナに不安を抱える同選手に多くを望めないのが現状。となると、連係面に難のあるジェイとアダイウトンの連係改善や、個で打開できる新戦力の補強と並行して、崩しのオプションを増やしておきたいところだ。また、得点力向上に向けてはジェイらの離脱でチャンスが与えられながらも生かせなかったFW森島、FW齊藤、FW中村らの奮起に期待したいところだ。
▽その一方で、後半戦に向けての大きなプラス材料は、前半戦最後のベガルタ仙台戦で異次元のパフォーマンスを見せたDFパパドプーロスの存在だ。同試合では地上戦、空中戦のいずれでも圧巻のプレーを披露。加えて、守護神のカミンスキーが戦列に復帰すれば、後方の安定感は格段に増し、攻撃によりリスクを冒せることで、チーム全体に大きな相乗効果をもたらすはずだ。
▽最後に後半戦に向けて最も重要となるのが、オランダのヘーレンフェーンへの移籍の可能性が報じられている小林の慰留だ。仮に、攻撃とゲームメークの部分で重責を担う同選手が今夏に流出となれば、大きな戦力低下となる。放出が避けられない場合は、外国人枠が埋まっている関係上、できるだけ早く他クラブからの代役確保に動く必要がある。
60点
◆1stステージ総括
▽3年ぶりの復帰となったJ1の舞台で1stステージを8位で終えられたことは、クラブにとって上々の結果といえるだろう。また、合計9失点を喫した横浜F・マリノス戦とヴィッセル神戸戦の影響で、失点数こそ中位以下となったものの21得点で8位の攻撃面を含め、ここまで残したスタッツを見ると、現在の順位が妥当であることを証明している。
▽また、ここ最近は対戦相手に応じて[4-2-3-1]、[3-4-2-1]のシステムを併用するなど、戦術面のオプション構築に動いており、この戦い方がうまくハマっていけば、後半戦に向けたチームのストロングポイントになるかもしれない。
◆1stステージ成績
8位 6勝5分け6敗 勝ち点23
得点:21(8位)、失点:23(11位)
得失点差:-2
◆フォーメーション
(c) CWS Brains, LTD.
【4-2-3-1】GK:カミンスキー
DF:櫻内渚、大井健太郎、森下俊、中村太亮
MF:山本康裕、宮崎智彦
MF:太田吉彰、小林祐希、アダイウトン
FW:ジェイ
◆1stステージMVP
MF小林祐希
16試合出場(先発16試合)/4得点
(c) J.LEAGUE PHOTOS
▽名波監督の粘り強い指導がようやく実り、今や日本代表に選出されるまでに成長したプラチナ世代屈指のタレントが、前半戦のMVPだ。J2時代は圧巻の左足を武器にプレースキックや豪快なミドルシュートでゴラッソを連発した一方、90分間の仕事量が極端に少ない“消える”試合も多かった。だが、今シーズンは第11節の鹿島アントラーズ戦から3試合連続ゴールを記録するなど、パフォーマンスに継続性が出ている。また、独りよがりなプレーが減り、視野の広さを生かしたゲームメーク、オフ・ザ・ボールの精度が格段に上がり、一段階上のプレーヤーへと成長した。
◆2ndステージ展望
▽昇格組の磐田が1stステージを上々の8位で終えられた最大の理由は、ここまで連敗が一度もないというバランスの取れた戦い方にある。その一方で、連勝が1度しかなかった事実も、チームがこの位置にいる理由だ。したがって、2ndステージに向けては上位争いを目指すのか、はたまた安全に残留を目指すかでアプローチの仕方が大きく変わってくる。
▽球際での粘りやセカンドボールへの反応、連動したプレッシングなどチームプレーに主眼を置いた守備と、名波監督の志向する“アクションサッカー”のエッセンスを感じさせる繋ぎはまずまず機能しているが、崩しの局面ではまだJ1の守備を攻略できるレベルではないのが実情だ。
▽そのため、現在はジェイやアダイウトン、小林らの個の能力を生かしたロングカウンターやセットプレーが主な得点パターンだ。2ndレグでチームが上位争いに絡むためには、遅攻などそれ以外の攻め手を増やしていく必要がある。とりわけ、アダイウトン以外に縦に仕掛けられる選手が少ない現状では、アタッキングサードで頻繁なポジションチェンジを交えた細かい崩しが必要となる。
▽もちろん、リーグ屈指のターゲットマンであるジェイがコンディションを上げて、昨シーズンのようにボックス内の王者として存在感を示してくれることが、最も楽な解決策だ。しかし、負傷体質でスタミナに不安を抱える同選手に多くを望めないのが現状。となると、連係面に難のあるジェイとアダイウトンの連係改善や、個で打開できる新戦力の補強と並行して、崩しのオプションを増やしておきたいところだ。また、得点力向上に向けてはジェイらの離脱でチャンスが与えられながらも生かせなかったFW森島、FW齊藤、FW中村らの奮起に期待したいところだ。
▽その一方で、後半戦に向けての大きなプラス材料は、前半戦最後のベガルタ仙台戦で異次元のパフォーマンスを見せたDFパパドプーロスの存在だ。同試合では地上戦、空中戦のいずれでも圧巻のプレーを披露。加えて、守護神のカミンスキーが戦列に復帰すれば、後方の安定感は格段に増し、攻撃によりリスクを冒せることで、チーム全体に大きな相乗効果をもたらすはずだ。
▽最後に後半戦に向けて最も重要となるのが、オランダのヘーレンフェーンへの移籍の可能性が報じられている小林の慰留だ。仮に、攻撃とゲームメークの部分で重責を担う同選手が今夏に流出となれば、大きな戦力低下となる。放出が避けられない場合は、外国人枠が埋まっている関係上、できるだけ早く他クラブからの代役確保に動く必要がある。
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