【コパ・アメリカ総括】チリの2連覇でメッシ代表引退へ
2016.06.28 06:30 Tue
▽6月4日から27日にかけてアメリカで開催された100周年記念大会のコパ・アメリカ・センテナリオは、チリの2連覇で幕を閉じた。北中米カリブ海諸国の6カ国も参加し、16カ国による争いとなった今大会は、昨年大会同様にチリとアルゼンチンによる決勝となり、結果はこれまた0-0で迎えたPK戦の末にチリが戴冠した。この結果、またも決勝で涙を呑んだFWメッシがアルゼンチンのフル代表としてはタイトルを一つも獲得できないまま代表引退を発表している。それでは、ベスト4まで勝ち上がったチームを中心に今大会を振り返ってみたい。
◆メキシコ戦で突如爆発し2連覇~チリ~
▽アルゼンチンとの初戦に敗れた時点でチリが2連覇を達成すると予想できた人は多くなかったはずだ。サンパオリ前監督からピッツィ監督に移行し、チリの長所であったクラブレベルと評される連動性が失われていたからだ。サンチェスの単騎突破ばかりが目立ってアルゼンチン戦を落としたチリは続くボリビア戦でも低調な戦いを見せ、大苦戦を強いられた。それでもビダルの終了間際のPKで競り勝って今大会初勝利を飾ると、グループステージ最終節のパナマ戦も先制を許す展開とされたが4-2の逆転勝利を飾り、2位での決勝トーナメント進出を決めた。
▽サンパオリ体制下ではコンスタントに発揮していたアグレッシブなスタイルを披露できていなかったチリだったが、準々決勝メキシコ戦で突如大爆発した。グループステージでウルグアイに完勝するなど完成度の高いパスサッカーを展開していたメキシコが相手となっただけに、接戦が予想されたがまさかの圧勝劇だった。
▽それを演出したのはバックアッパーたちの存在だ。出場停止のDFイスラに代わって右サイドバックにはMFフエンサリダが、右ウイングにはFWプッチが起用されたが、両選手共にチームに欠けていた運動量をもたらし、アグレッシブなスタイルを取り戻させる要因となった。当然、彼らを抜擢したピッツィ監督の采配も評価されるものだったことを付け加えたい。そして、彼らの登場によって一気に連動性を増したチリは準決勝でも実力拮抗のコロンビアに快勝し、決勝のアルゼンチン戦では先に退場者を出しながらも粘りを見せてPK戦の末に栄光を手にする結果となった。

▽2014年ブラジル・ワールドカップから主要国際大会で3大会連続決勝に進出しながらも、またも優勝は果たせなかった。もはや呪われているとしか考えられない状況の中、メッシを筆頭にMFマスチェラーノ、MFディ・マリア、FWアグエロといった主力が代表から退く意向を示している。アルゼンチンにとってリベンジを果たす絶好の舞台は、これ以上ない悪夢の大会に変わってしまった。
▽ところが迎えた決勝では数的優位になりながらも、約10分後にDFロホの愚行によって数的同数に陥り、徐々に劣勢を強いられた中、メッシも思うようなプレーをさせてもらえなかった。そしてPK戦では1番手のキッカーを務めたものの痛恨の失敗に終わり、チームは2-4で敗れる結果となった。常々、ワールドカップを制した英雄マラドーナ氏と比較されてきたメッシだったが、ついに代表レベルではタイトルに恵まれないままとなってしまった。

▽決勝に勝ち上がった両チームには敵わなかったものの、コロンビアとアメリカも好チームだった。ペケルマン体制となって丸4年半が経つコロンビアは相手に応じて堅守速攻と遅攻を使い分けられる戦術の幅を持ち合わせていた。実力拮抗の相手にはカウンターを狙ってFWバッカをシンプルに走らせ、ボールを持てる相手に対してはMFハメス・ロドリゲスのアイデアとMFクアドラードの突破力などで打開を図る柔軟さがあり、3位は順当な結果だったと言える。


▽一方で優勝候補に挙がっていたブラジルとウルグアイはまさかのグループステージ敗退に終わり、期待を大いに裏切った。ブラジルはエースのFWネイマールを欠いたことが大きく響き、彼に代わるようなチームをけん引する存在が現れなかった。FWガブリエウやMFルーカス・リマら若手の突き上げが期待されたが、ドゥンガ監督の守備的なサッカーの中で埋没してしまった。なお、ブラジル・サッカー協会は敗退後、ドゥンガ監督を解任している。
▽また、スアレスを負傷で欠いたウルグアイもFWカバーニが不発に終わり、痛恨のグループステージ敗退に終わった。2006年から指揮を執るタバレス監督の下、カウンターに持ち味のあるチームだが、能動的に崩す術を欠いており、引き出しの少なさを改めて露呈した。
▽最後に決勝で互いに退場者が出たことで象徴されるように、今大会も前回大会同様に主審のレフェリング能力に疑問符の付く試合が多かった点に言及したい。もちろん、南米特有の球際の激しさが多く見られたのは事実だが、主審が冷静に裁いていれば、これほど多くの試合で退場者が出るような事態にはならなかったはずだ。また、ファウルによってプレーが止まることも多く、アクチュアル・プレーイングタイムが短かった点も第三者からすると、魅力的に映らない試合が多かった要因だったように思う。
◆メキシコ戦で突如爆発し2連覇~チリ~
▽アルゼンチンとの初戦に敗れた時点でチリが2連覇を達成すると予想できた人は多くなかったはずだ。サンパオリ前監督からピッツィ監督に移行し、チリの長所であったクラブレベルと評される連動性が失われていたからだ。サンチェスの単騎突破ばかりが目立ってアルゼンチン戦を落としたチリは続くボリビア戦でも低調な戦いを見せ、大苦戦を強いられた。それでもビダルの終了間際のPKで競り勝って今大会初勝利を飾ると、グループステージ最終節のパナマ戦も先制を許す展開とされたが4-2の逆転勝利を飾り、2位での決勝トーナメント進出を決めた。
▽サンパオリ体制下ではコンスタントに発揮していたアグレッシブなスタイルを披露できていなかったチリだったが、準々決勝メキシコ戦で突如大爆発した。グループステージでウルグアイに完勝するなど完成度の高いパスサッカーを展開していたメキシコが相手となっただけに、接戦が予想されたがまさかの圧勝劇だった。

(C)Getty Images.
◆またも届かなかったタイトル… メッシ代表引退~アルゼンチン~▽2014年ブラジル・ワールドカップから主要国際大会で3大会連続決勝に進出しながらも、またも優勝は果たせなかった。もはや呪われているとしか考えられない状況の中、メッシを筆頭にMFマスチェラーノ、MFディ・マリア、FWアグエロといった主力が代表から退く意向を示している。アルゼンチンにとってリベンジを果たす絶好の舞台は、これ以上ない悪夢の大会に変わってしまった。
▽今大会のアルゼンチンはマルティーノ監督の堅守速攻スタイルが浸透し、決勝まで全く危なげない戦いを見せた。開幕戦のチリ戦(2-1)ではメッシを欠く中、試合巧者ぶりを遺憾なく発揮して快勝すると、続くパナマ戦(5-0)で途中出場のメッシがハットトリックを達成。ボリビア戦(3-0)も圧勝して迎えた準々決勝ベネズエラ戦(4-0)ではメッシが満を持して今大会初先発を飾り、1ゴール2アシストの活躍。続く準決勝アメリカ戦(4-0)でも1ゴール2アシストの活躍を見せるなど、バルセロナで放つ同じような輝きを代表でも放っていた。
▽ところが迎えた決勝では数的優位になりながらも、約10分後にDFロホの愚行によって数的同数に陥り、徐々に劣勢を強いられた中、メッシも思うようなプレーをさせてもらえなかった。そしてPK戦では1番手のキッカーを務めたものの痛恨の失敗に終わり、チームは2-4で敗れる結果となった。常々、ワールドカップを制した英雄マラドーナ氏と比較されてきたメッシだったが、ついに代表レベルではタイトルに恵まれないままとなってしまった。

(C)Getty Images.
◆完成度の高かったコロンビアと伸びしろを感じさせたアメリカ▽決勝に勝ち上がった両チームには敵わなかったものの、コロンビアとアメリカも好チームだった。ペケルマン体制となって丸4年半が経つコロンビアは相手に応じて堅守速攻と遅攻を使い分けられる戦術の幅を持ち合わせていた。実力拮抗の相手にはカウンターを狙ってFWバッカをシンプルに走らせ、ボールを持てる相手に対してはMFハメス・ロドリゲスのアイデアとMFクアドラードの突破力などで打開を図る柔軟さがあり、3位は順当な結果だったと言える。

(C)Getty Images.
▽また、アメリカも丸5年が経過しようとしているクリンスマン体制下で開催国としての責務を果たし、4位で大会を終えて収穫ある大会とした。大黒柱のFWデンプシーが勝負強くゴールを重ねる中、FWウッドやMFザーデスといった若手選手たちが存在感を発揮。17歳MFプリシッチも経験を積み、今後のアメリカを担う人材が貴重な場数を踏んでいる。
(C)Getty Images.
◆期待を裏切ったブラジルとウルグアイ▽一方で優勝候補に挙がっていたブラジルとウルグアイはまさかのグループステージ敗退に終わり、期待を大いに裏切った。ブラジルはエースのFWネイマールを欠いたことが大きく響き、彼に代わるようなチームをけん引する存在が現れなかった。FWガブリエウやMFルーカス・リマら若手の突き上げが期待されたが、ドゥンガ監督の守備的なサッカーの中で埋没してしまった。なお、ブラジル・サッカー協会は敗退後、ドゥンガ監督を解任している。
▽また、スアレスを負傷で欠いたウルグアイもFWカバーニが不発に終わり、痛恨のグループステージ敗退に終わった。2006年から指揮を執るタバレス監督の下、カウンターに持ち味のあるチームだが、能動的に崩す術を欠いており、引き出しの少なさを改めて露呈した。
▽最後に決勝で互いに退場者が出たことで象徴されるように、今大会も前回大会同様に主審のレフェリング能力に疑問符の付く試合が多かった点に言及したい。もちろん、南米特有の球際の激しさが多く見られたのは事実だが、主審が冷静に裁いていれば、これほど多くの試合で退場者が出るような事態にはならなかったはずだ。また、ファウルによってプレーが止まることも多く、アクチュアル・プレーイングタイムが短かった点も第三者からすると、魅力的に映らない試合が多かった要因だったように思う。
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