【原ゆみこのマドリッド】諦める?諦めない?

2016.02.23 14:15 Tue
▽「まさかこっちも同じ境遇になるとは」そんな風に私が肩を落としていたのは日曜日、ビセンテ・カルデロンでの試合の後、ミックスゾーンに出て来たキャプテン、ガビが「この先、向こうが3試合落とし、尚かつウチが全勝し続けるのは難しい」と言っているのを聞いた後のことでした。いやあ、前日、お隣さんの練習をバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に見に行った帰り、レアル・マドリー番の記者たちが「勝ち点差がこれ以上開いたら、もうリーガは終わり。CL準々決勝は4月だし、それまで一体、何をしたらいいのかね」と愚痴っているのが耳に入った時には内心、「アトレティコが6差をキープしてくれるはずだから、私はヒマにならないわ」とまったく意味なく、上から目線で同情すら感じていたんですけどね。

▽その日の午後、首位のバルサが苦労しながらもラス・パルマスとのアウェイ戦に1-2で勝ち、一旦は差がアトレティコと9、マドリーと10開いても、どうせ一晩だけのことだろうとタカを括っていたものの、まさか、あんな最悪な日曜になるとは! ええ、それぞれ必勝だった試合を引き分けてしまったマドリッドの両雄は、月曜に決勝が5月22日、ビセンテ・カルデロンで開催と決まったのはともかく、すでにコパ・デル・レイからも敗退。互いに今季、唯一のタイトル獲得への道がCLしかなくなってしまったとなれば、あまりにハードルが高すぎるような気がするのは私だけではないと思うんですが…。

▽とはいえ、嘆いてばかりいても始まらないので、先週末の試合の様子をお伝えしていくことにすると。金曜にはレバンテに3-0で負け、とうとうヘタフェが5連敗となってしまった後、次にキックオフだったのは日曜正午にセビージャをエスタディオ・デ・ラス・バジェカスに迎えたラージョ。相手は3日前にELベスト32のモルデ戦1stレグがあったため、疲れているかと思いきや、とんでもない。司令塔のバネガがベンチスタートだったのもまったく関係ないようで、前半10分にはCKからのゴール前での混戦を利用して、ヌゾンジが先制点をゲット。続いて20分にもGKファン・カルロスの弾いたビトロのシュートを元ラージョのイボラが押し込んで、あっという間に2点差にされているんですから、いかにも守備が苦手な彼ららしいじゃないですか。
▽まあ、その辺に関しては、「aunque tiene pequeñas lagunas/アウンケ・ティエネ・ペケーニャス・ラグーナス(ちょっとした穴はあっても)、ウチはいいサッカーをするチーム」と、パコ・ヘメス監督があまり気にしていないようなのでいいのかもしれませんが、打つ手はいつものように早くて、29分にはボランチのバエナをサイドアタッカーのエンバルバに、34分には左SBナチョをFWマヌーチョに代えて、ラージョは前半のうちから3バック体制に突入。でも、それが見事に功を奏したんですよ。42分にはエンバルバのクロスをマヌーチョがゴール前から、後半17分にはベベのラストパスをミクが5試合連続となるゴールにして、とうとう声を限りに応援するサポーターに応えてしまったから、根性あるじゃないですか。

▽結局、これで2-2と勝ち点1を獲得できたため、ヘメス監督は「Este es el mejor momento del equipo/エステ・エス・エル・メホール・モメントー・デル・エキポ(今はチームにとって一番いい時期)。2カ月前だったら、きっと追いつけなかっただろう」とご機嫌だったんですが、それでもまだ降格圏との差が4ポイントしかない15位ですからね。残留の目安となる勝ち点40までもあと15あるため、これからは失点も少々、控え目にして、白星を積み重ねてもらいたいかと。そうそう、今節の結果で同じ弟分のヘタフェは14位、両者の勝ち点差も1しかないとなれば、この先は熾烈なマドリッド3番目のチーム拝命争いを期待してもいいのでしょうか。
▽そしてバジェカスから戻り、午後4時からは近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でマラガvsマドリーを見た私でしたが、最初に驚かされたのは古巣訪問となったイスコがいきなりヒゲを剃って、すっかり22歳という実年齢相応の顔になっていたこと。ただ、前日の記者会見でジダン監督から、「Ya solo me falta un gol de Isco/ジャー・ソロ・メ・ファルタ・ウン・ゴル・デ・イスコ(あと私に足りないのはイスコのゴールだけ)」と、名指しでハッパをかけられたのを受け、気合いを入れ直すつもりのイメチェンだったとしたら、腰痛で欠場となったベンゼマの代わりに、せっかくfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/何となくCFの位置にいる選手)として起用されたにも関わらず、あまりピッチでの効用はなかった? それでもマドリーは前半32分にはクロースの蹴ったFKをクリスチアーノ・ロナウドが頭で捻じ込んで、何とか先制点を挙げます。

▽その時のロナウドの位置がオフサイドだったのも線審には気づかれなかったため、これで首位との差が勝ち点7に戻ったかと私も喜んでいたんですが、いえいえ、世の中、そう甘くはありません。その3分後、ロナウドが珍しくPKを失敗、GKカメニに弾かれてしまったのはツイていなかったとも言えますが、前半からいい攻めを見せていたマラガが後半20分、CKから一旦はクリアされたボールを取り戻し、ウェリグトンからのクロスでアルベントーサが同点ゴールを挙げてしまったから、さあ大変! いやあ、これまでのパターンだと、そのうちグラナダ戦のモドリッチやアスレティック・ビルバオ戦のハメス・ロドリゲスのように、世界一、裕福なクラブの特技を生かして獲得したタレント溢れる選手が起死回生のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げて、何とかなっていたんですけどね。どうやらこの日は例外だったよう。

▽むしろマドリーの方が、GKナバスがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発、ジダン監督まで「ウチは勝ち点1を救ったのかもしれない」と言っていたような有様でしたから、最後は1-1のドローで済んでまだ良かった? うーん、マラガのハビ・グラシア監督も試合前には「No veo tantas diferencias entre este Madrid y el de la primera vuelta/ノー・ベオ・タンタス・ディファレンシアス・エントレ・エステ・マドリッド・イ・エル・デ・ラ・プリメーラ・ブエルタ(今のマドリーとシーズン前半戦のマドリーにそれ程、違いは見られない)」と話していましたが、これでジダン監督就任からの8試合はベニテス前監督とまったく同じ6勝2分け。アウェイが苦手なところも変わっていませんし、バルサとは勝ち点5差から9差に拡大って、もうどうしたらいいんでしょう。

▽とはいえ、それでも匙を投げられないのがマドリーの辛いところで、「En absoluto hemos dicho adiós a la Liga/エン・アブソルート・エモス・ディッチョー・アディオス・ア・ラ・リーガ(ウチは絶対にリーガにサヨナラした訳ではない)。まだ勝ち点は沢山、残っているのだから、降参はしないよ」という指揮官を始め、「Mientras matemáticamente no haya campeón, vamos a luchar/ミエントラス・マテマティカメンテ・ノー・アジャ・カンペオン、バモス・ア・ルチャール(数字的に優勝が決まらない限り、ボクらは戦う)」(セルヒオ・ラモス)と、選手たちも徹底抗戦は宣言しているんですけどね。今まで残り13節でこれ程の差を覆したチームは1つもないそうで、何より「数字的に」って言葉自体が、「Adiós a la Liga/アディオス・ア・ラ・リーガ」と歌っていたラ・ロサレダのスタンドじゃありませんが、やっぱりもうマドリーのリーガは終わったという雰囲気を醸し出しているかと。

▽え、それでもその時点ではまだ希望を持って、午後8時半からのビジャレアル戦に向かったんじゃないのかって? まあ、そうなんですけどね。こちらは本当にどうしたらいいかわからなくなるぐらい不毛な展開で、いえ、負傷のカラスコの代理に抜擢されたコレアは奮闘したんですけどね。頼みの綱のグリースマンも前半終了間際のヘッドが惜しくも外れた程度でノーゴールを5試合連続に伸ばし、フェルナンド・トーレスの3試合連続得点なども現在の能力を超える高望みだったよう。そんな極度のゴール日照りが仇となり、最後までELナポリ戦の谷間に当たるせいで、ローテーションをかけてきた相手から1点も奪えず、逆に途中出場した元アトレティコのアドリアン、レンタル移籍中でシーズン前半戦には決勝点を挙げたレオ・バプチストンに恩返しをされずに良かったという、スコアレスドローで終了することに。

▽いえ、アトレティコに次ぐリーガで2番目に少ない失点数である相手の守備は固かったのは確かなんですけどね。せっかく先週はビセンテ・カルデロンの芝を貼り替えたというのにも関わらず、ボール扱いの上手い敵を恐れてpatadon(パタドン/ロングボール)を多用。地上戦でのパス成功率もたったの57%と、およそ2本に1本は失敗するような状態でも、シメオネ監督が平静を保っていられるのは常に、「ビジャレアルとの差は勝ち点6のまま。Eso para nuestro torneo y nuestra forma de pensar es positivo/エソ・パラ・ヌエストロ・トルネオ・イ・ヌエストラ・フォルマ・デ・ペンサール・エス・ポシティーボ(それがウチの大会で、ウチの考え方としてはポジティブ)」と、アトレティコの目標はあくまでリーガ3位であるという建前があるから?

▽おまけに「上位3チームとは戦力の厚みに差がありすぎて、son inalcanzables para el Villarreal/ソン・インカンサブレ・パラ・エル・ビジャレアル(ビジャレアルには到達不可能)」(マルセリーノ監督)というコメントなども聞かれた日には、ますます安心できるでしょうけど、だったら勝ち点8差あるバルサは超安心しているかと。うーん、コケなども「Vamos segundos y vamos a luchar hasta el final/バモス・セグンドス・イ・バモス・ア・ルチャール・アスタ・エル・フィナル(ボクらは2位で行くし、最後まで戦うよ)」と、言い訳とも諦めとも取れる台詞を口にしていましたけどね。大体がして、リーガはどのチームも38節プレーするのが義務ですし、来季のプレーオフなしCL出場権がもらえる2位と3位では実質的に何の違いもないとなれば、ラモスもカルバハルもグリースマンもイエローカードをもらわず、出場停止の選手がいないのは幸いとはいえ、この土曜のマドリーダービーがどんなにカフェインレスになってしまうことか。

▽まあ、その辺は月曜に通信社EFEに第1回スポーツ界リーダーシップ賞を贈られた席で、ゴディンが「ダービーには勝ち点3以上のものが懸かっている。勝つために全力を尽くすよ」と宣言。さらに「en el fútbol siempre puede pasar cualquier cosa/エン・エル・フトボル・シエンプレ・プエデ・パサール・クアルキエル・コーサ(サッカーでは常にどんなことも起こりうる)」と、リーガにも絶望していないこと態度を示してくれたため、私も極力、情報収集には努めますが、アトレティコがさっさと気持ちを切り替えて、今、一番に考えなければいけないのは水曜のCLベスト16、PSV戦1stレグ。何せ、相手はこのところ上り調子で、前節にはとうとうエールディビジの首位に立ちましたからね。

▽イングランドやイタリアのチームに比べ、楽勝と思われがちなオランダのチームですが、先日同様のケースでセルタとコパの準々決勝1stレグをアウェイで0-0と引き分け、2ndレグでまんまと2-3でやられてしまったことを決して忘れてはいけません。そんな中、嬉しい知らせは、1月のバルサ戦で左ヒザのじん帯を部分断裂していたアウグストが全快通知をもらったことで、こんな折ですから、ネコの手も借りたいということでしょうか。火曜にアイントホーヘンに発つ遠征隊のメンバーには彼も加わることに。相変わらず、カラスコ、チアゴ、トマスはまだリハビリ中と、攻撃陣にも変化はありませんが、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの一戦では何とか、前日にアーセナル戦に挑むバルサに続いて、アトレティコもいい結果を出してくれるよう願うばかりです。

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バルサは祝ってるけど、まだ続くリーガもある…/原ゆみこのマドリッド

「あと大変なのは弟分だけね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、慌ただしいミッドウィーク開催36節がバルサのリーガ優勝で終わった翌朝のことでした。いやあ、もちろん、水曜のサンティアゴ・ベルナベウでマジョルカ相手に意地で勝利を挙げた甲斐もなく、翌日にはクラシコ(伝統の一戦)で勝ち点差を7にした宿敵がエスパニョールに0-2と勝利。最短ルートでタイトルをものにしたのはきっと、レアル・マドリーの選手たちも面白くないものを感じているとは思いますけどね。お隣さんも負けたため、2位の座が安泰となったのは良かったかと。 一方、またしてもアウェイで恥をさらしてきたアトレティコも前節で、毎シーズンの義務である5位以上の来季CL出場権は確定させていますからね。まだ4位のアスレティックに抜かれる可能性あるものの、5位ビジャレアルとは勝ち点差6でゴールアベレージはイーブン、総得失点差で上回っているため、落ちても4位で来季のスペイン・スーパーカップ出場権(今季の決勝がバルサvsマドリーだったため)はゲットと至って平和なんですが、対照的に残り2節に全てが懸かってしまったのが、ラージョ、ヘタフェ、レガネスのマドリッド勢弟分3チームなんですよ。 その状況を説明するのを兼ねて、この火曜水曜の試合がどうだったか、振り返っていくことにすると。先陣を切ったのはどこより辛い状況にあるレガネスで、ええ、ラ・セラミカでのビジャレアル戦を私もサンティアゴ・ベルナベウへ行く前に見ていたんですけどね。前節はようやくエスパニョールに勝ったため、少しは継続してくれるかと期待したものの、それがまったくダメだったんです。相手がCL出場権獲得に邁進しているチームだというのもあったんでしょうが、前半だけでアジョセに2本、そしてハーフタイム入り直前にもペペに決められて、呆気なく3-0で勝負がついてしまいましたっけ。 それも不幸は重なるもので、同日同時間帯にプレーしていたアラベスがバレンシアに1-0で勝ったため、残留圏最後の17位である相手とレガネスの勝ち点差が4となり、いえ、おかげでバジャドリーに続き、ラス・パルマスの降格が決まり、僅かでも生き残りの可能性があるのは18位のレガネスだけとなったんですけどね。ボルハ・ヒメネス監督は、「Mientras hay vida, hay esperanza. Vamos a pelear a por los 40 puntos/ミエントラス・アイ・ビダ、アイ・エスペランサ。バモス・ア・ペレアル・ア・ポル・ロス・クアレンタ・プントス(生きている間は希望がある。ウチは勝ち点40を目指して戦う)」と話していたものの…。 というのも、彼らの残りの対戦相手は37節、日曜の全カードunificacion(ウニフィカシオン/統合)時間帯午後7時(日本時間翌午前2時)ではラス・パルマス、最終節はバジャドリーと両降格済みチームというのは希望が持てるんですが、他力本願になることだから。要はやはり、次節にバジャドリーと対戦するアラベスが勝った場合、勝ち点が41となり、レガネスは2連勝しても追いつけず。その場合はもう2つの残留未達成チーム、勝ち点5差のヘタフェか、エスパニョールが2連敗してくれるかどうかに懸かってくることに。 どちらにしろ、かなり見込みの薄い賭けに見えるんですが、ラ・セラミカでの帰りがけには応援に来ていたレガネスファンが、来季はバレンシア移籍の噂があるネユウに「Basura!/basura(クズ)」と罵声を浴びせ、一気触発状態になったなんてことも。いつもブタルケでは「2部Bになってもついていく」と歌っているファンたちなんですから、今季4年ぶりで再昇格して、慣れない1部での戦いにここまで一生懸命、取り組んできた選手たちを貶めることはしないでほしいものです。 そして火曜の午後9時半、サンティアゴ・ベルナベウにマジョルカを迎えたマドリーはというと、泣きっ面に蜂とはまさにこのことで、クラシコに負けてリーガ逆転優勝の目が99%なくなった彼らには前代未聞の頭数不足が襲来。元々、長期離脱のカルバハル、ミリトン、手術したリュディガー、アラバ、メンディ、まだリハビリ中のカマビンガ、クラシコでケガをしたビニシウス、ルーカス・バスケス、自信喪失中のロドリゴ、出場停止のチュアメニに加え、試合前日にもGKルニンとブライムが招集リスト落ちとなったおかげで、とうとう大量12名が欠けたとなれば、その日の控え選手がバジャホ以外、全員カンテラーノ(RMカスティージャの選手)だったの仕方なかったかと。 そのせいか、ベルナベウも満員にはならなかったんですが、そんな状況でも勝利を求められるのがマドリーですからね。前半11分、マテウのパスをセバージョスがカットできず、バルイェントに先制ゴールを奪われた時には場内も一瞬、凍りついたものでしたが、そこは世界一を自負するチーム。GKレオ・ロマンがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発したせいで、同点になるのは後半23分、モドリッチのスルーパスから、敵DF3人に囲まれたエムバペが格の違いを際立たせるシュートを決めてくれるまで待たないといけなかったんですが、いやホント、マドリーには最後まで絶対に諦めない精神がしみ込んでいるんですねえ。 そう、後半19分に脚を打撲した、今は押しも押されぬレギュラーでも登録がRMカスティージャのままのアセンシオをトップチームの幽霊部員バジェホに交代。他は29分にせっかく巡ってきた先発のチャンスを生かせなかったエンドリックをコパ・デル・レイ準々決勝レガネス戦の後半ロスタイムに決勝ゴールを挙げたゴンサロにしただけで、トップチームの選手が常時7人以上ピッチにいないといけない規定を守ったマドリーは、アンチェロッティ監督も「Nunca he visto un equipo que haya tirado 40 veces a portería como hemos hecho/ヌンカ・エ・ビストー・ウン・エキポ・ケ・アジャ・ティラードー・クアレンタ・ベセス・ア・ポルテリア・コモ・エモス・ヘッチョー(ウチがやったように40回もシュートするチームは見たことがない)」と驚いていた猛攻を、飽きずに終盤まで続けることに。 するととうとう、後半ロスタイム最後の分にはモドリッチのCKがクリアされた後、フラン・ガルシアが再びエリアに戻したボールをバジェホがヘッドで流し、出場3試合目のCBヤコボがコペテに先んじてシュート。「He ido y no sé ni cómo, pero la he metido/エ・イドー・イ・ノー・セ・ニ・コモ、ペロ・ラ・エ・メティードー(行って、どうやったかはわからないけど、ゴールに入れた)」という彼の初得点で、土壇場のremontada(レモンダーダ/逆転劇)を達成しているんですから、驚いたの何のって(最終結果2-1)。 これでバルサがエスパニョール戦をプレーする前にして、リーガチャンピオンとなるのを防げたマドリーだったんですが、この根性を今季、リーガのバルサ戦以外の試合でも見せられていいたらねえ。試合後、クルトワなどは、「Vamos a creer hasta que matemáticamente sea imposible/バモス・ア・クレエル・アスタ・ケ・マテマティカメンテ・セア・インポシブレ(数字的に不可能になるまで、ボクらは信じる)」と言っていたものの、翌日のカタルーニャダービーでは予想通り、奇跡は起こらず。 よって、残りのセビージャ、レアル・ソシエダとの2試合は、レバンドフスキととうとう3得点差になったエムバペが上乗せゴールを入れて、ピチチ(リーガの得点王)だけでなく、ヨーロパ・ゴールデンシュー獲得を目指す機会と、クラブW杯前のプレシーズンマッチと化したマドリーなんですが、ケガから復帰する選手もそうそう多くはなさそうですしね。大体がして、もうアンチェロッティ監督の頭にはブラジル代表の6月W杯予選に向けての招集リスト作りしかないかも。 せいぜい、6月に赴任するシャビ・アロンソ監督にRMカスティージャからの抜擢メンバーがアピールする機会ぐらいにしかならないんじゃないかと思いますが、困ったのは、試合終了直前まで、勝ち点1確保を見込みながら、空手で帰ることになったマジョルカのアラサーテ監督の決意。そう、8位のコンフェレンスリーグ出場の座を勝ち点1差でラージョ、オサスナと争っている彼らだけに、「最後のCKをクリアして終わったはずだったのにゴールを入れられた。Te vas con rabia, pero hay que transformarla en energía el domingo/テ・バス・コン・ラビア、ペロ・アイ・ケ・トランスフォルマルラ・エン・エネルヒア・エル・ドミンゴ(怒り心頭だが、このエネルギーを日曜に持って行かないと)」と言っていたんですが、その日曜の相手はヘタフェなんですよ。 おまけに「Tenemos que intentar ganar el domingo para llegar a Vallecas con opciones europeas/テネモス・ケ・インテンタール・ガナール・エル・ドミンゴ・パラ・ジェガール・ア・バジェカス・コン・オプシオネス・エウロペアス(日曜に勝って、ヨーロッパの大会参加の可能性を残してバジェカスに着かないといけない)」(アラサーテ監督)というように、マジョルカの最終節はラージョ戦。となれば、もしやマドリーは弟分たちに対して、余計なことをしてくれた? ええ、何せ翌木曜にはマドリッドがサン・イシドロ祭の祝日で賑わう中、エスタディオ・バジェカスに足を運んだ私だったんですけどね。昼間に降ったにわか雨も上がり、お日様がさんさんと輝く中でキックオフとなったベティス戦は、ラージョが前半37分にペドロ・ディアスのミドルシュートがバーに当たって落ちたボールをデ・フルートスがヘッドで決めて先制。更に前半ロスタイムにもルジューヌの直接FKがゴールとなり、2-0で折り返す最高の展開に。 やっぱりここ3週間、コンフェレンスリーグ準決勝フィオレンティーナ戦から週2試合となり、しかも先週は延長戦でチェルシーとの決勝に進出とあって、ベティスは疲れているはずという予想が当たったと、ホクホクしながら、後半を捨てて、私がコリセウムに向かったところ、やられました!うーん、やはり「Salimos un poco aturdidos quizás por la euforia, en la segunda parte/サリモス・ウン・ポコ・アトゥルディードス・キサ・ポル・ラ・エウフォリア、エン・ラ・セグンダ・パルテ(ボクらは多分、歓喜しすぎていて、ちょっとボオッとして後半に入った)」(ラティウ)のせいだったんでしょうかね。 メトロからアトーチャ駅でセルカニアス(国鉄近郊路線)に乗り換える前、早くも6分にはクチョのゴールで1点を返され、15分には英雄だったルジューヌがアブデをエリア内で倒してPKを献上。イスコに2点目を決められて、最後は2-2で引き分けてしまうんですから、ガッカリじゃないでうか。いえ、「Tenemos dos finales por delante y hay que ganarla/テネモス・ドス・フィナレス・ポル・デランテ・イ・アイ・ケ・ガナールラ(ウチには2つの決勝があって、勝たないといけない)」とイニゴ・ペレス監督も言っていた通り、日曜のセルタ戦、最終節のマジョルカ戦に勝てば、来季のコンフェレンスリーグの切符どころか、36節で勝ち点4差になってしまったセルタを追い越して、未だにEL行きも夢じゃないんですけどね。 せっかくの直接ライバルたちと差をつける機会を失ってしまったのは残念ではありますが、まあ、最後まで競うものが残留ではないだけ、ラージョは百万倍幸せ。だってえ、ファンに総動員をかけ、アスレティック戦前にはbengala(ベンガラ/発煙筒)を焚いて、チームバスをお出迎えしてもらい、普段の数倍は力強いコリセウムの応援を受けながら、GKダビド・ソリアとウナイ・シモンのロングゴールキックと延々にボールが宙を舞っていた試合、ヘタフェは後半31分にグルセタ、44分にはCKからビビアンのシュートを浴びて、ウィリアムス兄弟のいなかったアスレティックに0-2で負け、来季のCL出場確定を祝われてしまったんですよ。 おかげでとうとう、試合の終盤にはスタンドから、「jugadores mercenarios/フガドーレス、メセナリオス(選手は金で雇われた傭兵)」というカンティコが出ていた程だったんですが、つまりこれって、6連敗の彼らは未だに残留確定ができておらず。エスパニョール、アラベス、レガネスと共に降格最後の1チームになる可能性があるってことで、奇跡が起こって、お隣さんが残留できても、ヘタフェが落ちたら、そんな悲劇はない?いやまあ、それでも日曜のマジョルカ戦、最終節のセルタ戦で勝ち点を貯められれば、回避可能なんですけどね。揃って相手がヨーロッパの大会出場を目指しているチームというのが辛いところかと。 そんなヘタフェにはもう少しのガッツと幸運を祈るしかないんですが、え?何で木曜にプレーしたアトレティコの話が抜けているんだって?いやあ、私がバジェカスに行ったのも実はもう、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)であの、ちっちもさっちもいかない彼らのアウェイゲームを見ているのに耐えられなかったからで、案の定、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継でも一向にいい話は聞こえてこず。挙句の果てに前半24分にはCKから、カテナにヘッドでゴールを挙げられて先制されると、後半途中にはシメオネ監督がフリアン・アルバレス、セルロートを下げる不可解采配を見せ、ええ、今のコレアとグリーズマンではゴールをまったく期待できませんですからね。 最後は後半37分にもブドミルに頭で決められ、2-0ですごすご完敗と、その気合のないプレーぶりにラジオの解説者たちがカンカンだったのを聞くにつけ、見ないで本当に良かったとホッとしたのは私だけではない?これで彼らはコパ・デル・レイ準決勝でバルサに負けて、今季全てのタイトル獲得可能性がほぼ消えて以来、アウェイ戦5試合でたったの1勝。そんな情けない有様にならなければ、もっと遅くまでリーガで粘れたんじゃないかと思うんですが、これには「監督がアウェイで選手たちがいいレベルを見せるのに必要なモチベーションを与えられない監督の責任」といくらシメオネ監督が言い張ったって、やっぱり当事者たちの自覚の問題があるのでは? おまけにこのオサスナ戦では後半途中にバリオスがジョレンテの腰に頭をぶつけ、脳震盪で交代。日曜のスィートホーム、メトロポリターノでの今季最終戦、ベティス戦にも出られなくなってしまうとは如何に。昨季同様、シーズン終盤は突極のアウェイ弱者になり下がったアトレティコにはもう、何を言っていいか、私もわからないんですが、そんなところを含めて、彼らは人間的な愛すべきチーム。今はせめて、クラブW杯では心を入れ替えて、今季のCLグループフェーズ、PSG戦やレバークーゼン戦で見せた強さを再現してくれることを願うしかありませんね。 ご挨拶: サイトのサービス終了をもって、このコラムも今回で終わりとなります。長年のおつき合い、ありがとうございました。この先もサッカーファンの旅行先として最適なマドリッドの魅力、リーガやマドリッドのクラブの試合やニュース、スペイン代表などについて、お伝えする方法を模索中なので、その際にはよろしくお願いします。 2025.05.17 21:00 Sat
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終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル①~ペジェグリーニ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆マヌエル・ペジェグリーニ体制/2009-10</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190308_23_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>ペレス会長は、2度目の政権の皮切りにペジェグリーニ監督を招へい。前シーズンにはビジャレアルで攻撃的なサッカーを組み立て、チャンピオンズリーグ(CL)ベスト8に名を連ねており、国内外で評価を上昇させていた。 マドリーは前年度までのCLで5シーズン連続のベスト16に終わっており、リーガでもバルセロナの後塵を拝しての2位。コパ・デル・レイのタイトルも獲れず、ペジェグリーニ監督にはCLベスト8以上に加えて、主要タイトルの獲得が求められていた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-4-2]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190308_23_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>2009年夏、ペジェグリーニ監督を招へいしたマドリーはFWクリスティアーノ・ロナウド、MFカカら多く新戦力を獲得し、FWロッベンやMFスナイデル、DFエインセ、DFカンナバーロ、DFサルガドらが去った穴を埋めた。“新銀河系軍団”はこの時から形作られている。 基本フォーメーションに関しては、フラットな[4-4-2]だけでなく、カカをトップ下に配した[4-3-1-2]も多く採用した。また、負傷によりシーズン後半を棒に振ったDFペペが起用可能だった当初には、マルセロを一列前に上げてセルヒオ・ラモスを右SB、アルベロアを左SBに回している。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point!~クラシコでの2敗&CLベスト16の壁~</span> 結果から言えば、このシーズンのマドリーは無冠に終わった。CLどころか、リーガは宿敵バルセロナに奪われ、コパ・デル・レイに至っては当時3部だったアルコルコン(1stレグの0-4敗戦が後に“アラコルコンの悲劇”と呼ばれる)に敗れベスト32で散っている。 たらればの話ではあるが、CLベスト8に進出出来ていれば閉塞感を振り払えていただろう。決勝戦の会場が本拠地サンティアゴ・ベルナベウに決まっていただけに、多くの期待が寄せられていたが、ベスト16でリヨンに2戦合計1-2で敗戦。6シーズン連続のベスト16敗退となった。 さらに、CLを逃したとなれば、リーガ優勝がペジェグリーニ監督続投の条件となっていたが、ここでも首位バルセロナ(勝ち点99)とわずか3ポイント差で撃沈。2試合の直接対決では2敗を喫しており、“エル・クラシコ”で勝ち越せなかったことがタイトル獲得を阻んだ。 そして、ペジェグリーニ監督は2010年の夏に解任。言わずもがな、その理由は全てのタイトルを逸したためだ。<hr>▽マヌエル・ペジェグリーニ 【在任期間】 1シーズン(2009-10) 【戦績】 公式戦48試合36勝5分け7敗 チャンピオンズリーグ:ベスト16 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点96) コパ・デル・レイ:ベスト16 【主な獲得選手】 FWクリスティアーノ・ロナウド、FWカリム・ベンゼマ、MFカカ、MFシャビ・アロンソ 【主な放出選手】 FWアリエン・ロッベン、MFヴェスレイ・スナイデル、DFガブリエル・エインセ、DFファビオ・カンナバーロ、DFミチェル・サルガド 2019.03.09 18:30 Sat
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終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル②~モウリーニョ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ジョゼ・モウリーニョ体制/2010-13</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190309_23_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>モウリーニョ監督は、マドリーを指揮する前年、当時率いていたインテルでイタリア史上初となるチャンピオンズリーグ(CL)、セリエA、コッパ・イタリアの三冠を達成。ポルトやチェルシーでの功績と合わせ、世界最高指揮官の1人として満を持して“新銀河系軍団”を率いることとなった。 前年には、ペレス会長がトップに返り咲き、マヌエル・ペジェグリーニ前監督の下でFWクリスティアーノ・ロナウドら大型補強を敢行していたマドリー。しかし、CLでは6シーズン連続のベスト16敗退、リーガエスパニョーラ、コパ・デル・レイでの優勝にも届かず。モウリーニョ監督には、初年度に何らかのタイトルを獲得した上で、クラブを世界最高峰に復権させる仕事が求められていた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-2-3-1]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190309_23_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>モウリーニョ監督は、FWクリスティアーノ・ロナウドやMFシャビ・アロンソら前年度に加入した選手を最大限生かせるよう、MFメスト・エジルやMFサミ・ケディラらを初年度に獲得。一方でFWラウールやMFグティら年齢を重ねていたスター選手たちを容赦なく切り捨てた。また、後に欠かせない選手となるMFルカ・モドリッチ、DFラファエル・ヴァランもモウリーニョ政権時に獲得している。 最前線のチョイスではFWベンゼマとFWイグアインに競争を強いていたが、その他はあまり変化させず。ベンゼマが落とし、エジルが前を向き、前線のC・ロナウドが電光石火のシュートを見舞う形は、“世界最高のカウンター”と評された。また、カバーリング範囲の広いDFペペと、インターセプトに優れるDFセルヒオ・ラモスの相性はすこぶる良く、指揮官の重視する守備戦術の根幹を担った。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point!~レヴァンドフスキの悪夢~</span> “スペシャル・ワン”という代名詞を引っ提げてやってきたモウリーニョ監督は、初年度からコパ・デル・レイ決勝で宿敵バルセロナを撃破し、3年ぶりの主要タイトルをもたらした。そして、2年目にはリーガ史上最多勝ち点100、得点121でリーガを制覇。ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で史上最強とも呼ばれていたバルセロナと激しく火花を散らし、対等に渡り合った。 また、初年度からCLでも7シーズンぶりにベスト16を突破。3年連続でベスト4で終わってしまったものの、確実にクラブを前進させていた。しかし、指揮3年目にはロッカールーム内から不穏な空気が漏れ伝えられ、特にクラブのリビング・レジェンドでもあるGKカシージャスとの軋轢はモウリーニョ監督へのバッシングに繋がった。 そして、その2012-13シーズン、CL準決勝1stレグ・ドルトムント戦でFWロベルト・レヴァンドフスキに4得点を奪われて1-4と大敗。既にリーガではバルセロナの優勝が確実視されており、批判は加速することとなった。 結局、10度目の欧州制覇“デシマ”を達成できなかったモウリーニョ監督は、2013年5月に追われるようにして契約解除に同意している。<hr>▽ジョゼ・モウリーニョ 【在任期間】 3シーズン(2010-13) 【戦績】 [2010-11] 公式戦59試合44勝9分け6敗 チャンピオンズリーグ:ベスト4 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点92) コパ・デル・レイ:優勝 [2011-12] 公式戦58試合45勝7分け6敗 チャンピオンズリーグ:ベスト4 リーガエスパニョーラ:優勝(勝ち点100) コパ・デル・レイ:ベスト8 [2012-13] 公式戦61試合38勝12分け12敗 チャンピオンズリーグ:ベスト4 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点85) コパ・デル・レイ:準優勝 [合計] 公式戦178試合127勝28分け23敗 【主な獲得選手】 MFアンヘル・ディ・マリア、MFメスト・エジル、MFサミ・ケディラ、MFルカ・モドリッチ、MFカゼミロ、DFラファエル・ヴァラン 【主な放出選手】 FWラウール、MFラファエル・ファン・デル・ファールト、MFグティ、MFフェルナンド・ガゴ、MFエステバン・グラネロ、MFラサナ・ディアッラ 2019.03.10 18:00 Sun

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