【原ゆみこのマドリッド】いよいよCLも再開した…
2016.02.20 14:00 Sat
▽「みんな勝つなんて凄いわね」そんな風に私が感心していたのは金曜日、前夜に行われたヨーロッパリーグ・ベスト32の1stレグでスペイン勢が4チームとも白星だったのを知った時のことでした。いやあ、ここ数年はアトレティコもヘタフェもすっかりご無沙汰している大会ですし、今季はオープン放送での中継枠がないため、ここまであまり気にしてはいなかったんですけどね。
▽前人未到の3連覇を狙っているセビージャがノルウェーのモルデに3-0と貫録勝ちしたのはともかく、ビジャレアルもデニス・スアレスのFKゴールにより、セリエAの首位争いをしているナポリに1-0で先勝。昔、ヘタフェを率いてELを戦っていたミチェル監督率いるマルセイユも先日、35歳になったアドゥリスに30メートル程、離れたところからgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて0-1でアスレティック・ビルバオに遅れをとり、さらには前節リーガ初勝利を祝ったばかりのネビル監督のバレンシアなんて、ラピド・ウィーンに6-0と大勝しているのですから、何とも驚かされるじゃないですか。
▽といっても私が結果を気にしていたのは、いえ、もちろんELでもバーゼルでの決勝ではスペインのチームの姿を見たいと思っているのは確かなんですけどね。木曜にグループリーグより消耗する上、ローテーションも控え目になるラウンドを戦った彼らのうちの二者はこの日曜、マドリッドにやって来るから。そう、セビージャはラージョとのリーガ戦でエスタディオ・デ・ラス・バジェカスへ、ビジャレアルはビセンテ・カルデロンでアトレティコと対戦するとなれば、どちらもELはホームゲームだったものの、中2日というハードスケジュールなだけに、今週はミッドウィークに試合のなかった地元チームが有利な気がしなくもないじゃないですか。
▽まあ、その辺の話はまた後ですることにして、先にマドリッド勢のCLベスト16、1stレグの様子をお伝えしておかないと。ええ、もちろんレアル・マドリーのことで、水曜にはスタディオ・オリンピコでローマと顔を合わすことに。久々のヨーロッパの大会ですから、私も張り切って近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に見に行ったんですけど、うーん、やっぱり苦手なアウェイだったからですからねえ。前半は敵チームのサラーのスピードが目を惹くぐらいで、どちらのチームもチャンスが少なかったため、かなり退屈していたものの…どうやら「Zidane nos dijo al descanso que teniamos que llegar arriba sin prisa/ジダン・ノス・ディホ・アル・デスカンソ・ケ・テニアモス・ケ・ジェガール・アリーバ・シン・プリサ(ジダンにハーフタイムにウチは慌てないで敵ゴールに行かないといけないと言われた)」(セルヒオ・ラモス)のがしっかり効いたよう。
▽それは後半17分、肩の脱臼を即行で治して先発していたマルセロがクリスチアーノ・ロナウドにパスを送ったところ、近頃はサンティアゴ・ベルナベウ以外ではゴールを決めてないとか、ビッグゲームで得点しないとか、世間にイロイロ言われていて、本人も腹に据えかねていたんでしょうかね。まるで前節のアスレティック戦のようにエリア内でフロレンツィをかわしてシュートすると、ボールがネットに収まって先制点になってくれたから、助かるじゃないですか。
▽いえ、ベニテス氏は「ペレス会長が毎日、選手や記者と話していて、監督にはやりにくい状況だった」とか、「リーガ優勝には継続性が必要で、しかも独自のプレースタイルとモデルを持っているバルサと戦わないといけない。それなのにマドリーは毎シーズン、監督を代えるから、常に1から始めることになって、ここ7年間で優勝したのは1度だけ。ペレス会長の任期中、バルサはその倍、いや倍以上のタイトルを獲っている」とか、至極正論を言っただけだったんですけどね。まだマドリーの監督だった12月には、「クラブと会長、監督に対してアンチキャンペーンがある」と擁護していながら、上司でなくなった途端、大々的に批判するのはどうかと思いますが、体制側にいては言えないこともきっとあったはず。
▽カンテラ(ユース組織)時代から20年もいた愛するチームからひどい形で追い出され、当人が怒っているのもわかりますが、何せ、一番大切な選手たちの人間関係が上手くいかなくてはねえ。こればっかりは人柄とか、相性とか、どうしようもないところもありますし、ジダン監督に代わってからチームのムードが良くなったのは誰も否定できないので、やはり解任は正しかったかと。実際、サッカー界のレジェンドが率いる、スーパースター揃いのチームはまさにペレス会長の望むところでしょうし、個人のタレントを見せつけて、世界一知名度が高いチームというステータスを保てれば、別にタイトルは獲れなくもいいのかなと私なんかは思ったりもしますが、内実はよくわかりませんね。
▽一方、ジダン監督に脱兎のごとく駆け寄っていたロナウドもロナウドで、試合の後では「Normal, normal. Cuando se tiene calidad.../ノーマル・ノーマル。クアンドー・セ・ティエネ・カリダッド(普通だよ。才能を持っていれば…)」なんて、ゴールを賞賛する言葉に答えていたんですけどね。前日の試合前会見では、「A mí eso de los abracitos y las comiditas no me dice nada, lo importante es lo que hagamos en el campo/ア・ミー・エソ・デ・ロス・アブラシートス・イ・ラス・コミディータス・ノー・メ・ディセ・ナーダ、ロ・インポルタンテ・エス・ロ・ケ・アガモス・エンエル・カンポ(自分にとって、チームメートと抱き合ったり、食事をしたりなんてのは何の意味もない。大事なのはピッチでやること)」と語り、ベンゼマやベイルを家に招くこともなければ、マンチェスター・ユナイテッド時代も「ファーディナンド、ギグス、スコールズらとは『オハヨウ』ぐらいしか言葉を交わさなかったけど、CLに優勝した」例も挙げて、人間関係にクールな自分を強調していた割にはかなり熱い祝い方だったかと。
▽とはいえ、これには元同僚のリオ・ファーディナンドからすぐチャチャが入って、曰く「ずっと自分の側にいたのに忘れちゃったのかね。どうやらボクの作った食事が気に入らなかったようだ」と、ユナイテッド時代にはプライベートな付き合いがあったことを暴露。加えて、「ロッカールームでは彼のことを随分、笑いのネタにしたよ。あの頃はいつもピチピチのパンツをはいていてね」って、え、若かりし頃のロナウドはいじられキャラだった?まあ、クラブのオフィシャルウェブにもピッチに出る前にはジダン監督と抱擁しているビデオも出ていましたし(http://www.realmadrid.com/aficion/videos/2016/02/el-abrazo-de-zidane-a-sus-jugadores-antes-de-ganar-en-roma-2)、要は男同士なんですから、別にいつもくっついていなくてもいいってことでしょうか。
▽そして試合に話を戻すと、その後はリードを奪われたローマも反撃に出たんですが、そのハードなプレーに被害を被った選手が約1名。それはハメス・ロドリゲスで、いやあ、後半早々にもバンケールのキックで耳を切って、3針縫ったりしていたんですけどね。21分、今度はマノラスに突き飛ばされ、左肩が外れてしまったから、さあ大変! 幸いチームドクターがその場ではめてくれたため、プレーは続行できましたが、36分にはヘセと交代となり、ベンチに退くことに。とはいえ、棚からボタ餅とはまさにこのことで、その4分後には見事にマドリーのカウンターが炸裂し、ヘセが敵ゴール目掛けて一直線。最後はエリア内からシュートを決めて、0-2のスコアにしてくれたとなれば、2ndレグはお得意のホームであることを考えずとも、大船に乗ったつもりでいい?
▽終盤にはスパレッティ監督が最後のCLホーム戦だからということか、大御所トッティも出してくれたため、ファンも楽しめましたしね。モドリッチが帰りがけにその彼と記念のツーショットを撮って、自身のツィッター(https://twitter.com/modric19?lang=ja)に載せていたなんてことは別にいいんですが、とりあえず、スペイン勢としてCLで先陣を切ったマドリーの滑り出しは上々。唯一、気の毒だったのは同日、クラブ・ワールドカップで延期していたスポルティング戦をプレーしたバルサが大方の予想通り快勝。リーガ首位との差が勝ち点7に開いてしまったことですが、こちらの大会は長期戦ですからね。同6差になったお隣さん共々、この先、まだ紆余曲折があることを望むばかりかと。
▽ちなみにこの週末にマドリーが挑むのはアウェイでのマラガ戦で、ローマで肩を痛めたハメスは休養する予定。前節のアスレティック戦で退場したバランも上訴委員会にも異議が認められず、TAD(スポーツ行政法廷)にcautelar(カウテラル/処分一時停止命令)を頼むと、来週に判決が出て、月曜からは70~240ユーロ(約9000~3万円)で一般向けチケットの販売も始まるマドリーダービーに出られなくなる危険性があるため、この試合で出場停止処分を済ませることに。まだペペのケガも治っていないため、CBはラモスとナチョで賄うことになりそうです。そんなマラガ戦のキックオフは日曜午後4時(日本時間月曜午前零時)、土曜にはバルサがラス・パルマス戦を先に済ませるため、試合前は勝ち点差が10になっているかもしれませんが、ファンの方々はショックを受けないでくださいね。
▽そして今週は丸々、体力強化に充てられたアトレティコは前述の通り、ビジャレアルを日曜午後8時半(日本時間翌午前4時半)から迎えるんですが、こちらはこの先、中2日で連続3試合、CLのPSV戦、マドリーダービーとヘビーな対戦が続くという時に限って、負傷者数が増加。ええ、前節のヘタフェ戦で足首をねん挫したカラスコ、火曜からようやくグラウンドでのトレーニングを開始したアウグスト、腓骨の骨折からの回復のちょうど、折り返し地点となったチアゴ、そして筋肉痛のトマスが欠場することはもう決まっていて、さらに今回はヒメネスが累積警告で出場停止という逆境も。ただ、CBは先週末、故郷のベオグラードまで飛んで、かかりつけの医者に診てもらったサビッチが全快したようなので、30歳のバースデーを迎えたゴディンとコンビを組んでくれます。
▽え、ここまでリーガ24試合でダントツ最少の11失点しかしていない守備より、お隣さんのちょうど半分の35得点という、攻撃面の方が気になるって? そうですね、昨季、ホームで0-1で負けたビジャレアルからはその決勝点を挙げたビエットを今季は自軍に取り込んでいますから、それはいいとしても、今シーズン前半戦でも彼らには1-0で負けていますからね。その時、ゴールを挙げたレオ・バプチストンがアトレティコからのレンタル選手で、しかも今回も制限条項が契約になく、出場可能というのはちょっと心配ですが、たったの1点も返すのに苦労するFW陣はもっと頭が痛いかも。
▽というのも現在、頼みのグリースマンが4試合連続ノーゴールと調子を落としていて、彼以外は皆、ここまで5本の指で足るしか得点がありませんからね。2人目のアタッカーとしては前節、開始2分で速攻ゴールを挙げたフェルナンド・トーレスがリピートするようですが、そのツキが続いてくれることを祈るしかありません。カラスコの代わりはオリベルかビエットになりそうです。そうそう、近頃のアトレティコは勝ってはいても、いい試合をしていないという点に関しては、元々、「Jugar bien al fútbol es saber a lo que juegas/フガール・ビエン・アル・フトボル・エス・サベール・ア・ロ・ケ・フエガス(いいサッカーをするというのは何のためにプレーしているかを知っているということ)。アトレティコはそれをとてもよく知っている。だから、とてもいいサッカーをしているんだよ」(トーレス)というスタンスのチームなので、あまり贅沢を言わないようにしてあげてくださいね。
▽そしてもう1チーム、日曜にプレーするのがラージョなんですが、こちらはアジア向けゴールデンタイムの正午(日本時間午後8時)からセビージャ戦をキックオフ。うーん、金曜には一足早く最下位レバンテとのアウェイ戦に挑んだ弟分の片割れ、ヘタフェが3-0とまたしても負け、とうとう5連敗となってしまいましたからねえ。せめてラージョには景気づけに勝ってもらいたいものですが、相手のEL疲れを上手くつけますかどうか。近頃はハビ・ゲラにゴールが入らなくなった代わりにミク、そしてリーガでMFとして最多の10得点を挙げているホサベドが頑張ってはいますが、5月21日にはブルース・スプリングスティーンのコンサートが入って、完全にサンティアゴ・ベルナベウでの開催はなくなったコパ・デル・レイ決勝に進出しているセビージャはリーガでもすでに5位まで上昇。ハードルはかなり高いものの、ホームのファンを失望させない試合を見せてくれると嬉しいです。
▽前人未到の3連覇を狙っているセビージャがノルウェーのモルデに3-0と貫録勝ちしたのはともかく、ビジャレアルもデニス・スアレスのFKゴールにより、セリエAの首位争いをしているナポリに1-0で先勝。昔、ヘタフェを率いてELを戦っていたミチェル監督率いるマルセイユも先日、35歳になったアドゥリスに30メートル程、離れたところからgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて0-1でアスレティック・ビルバオに遅れをとり、さらには前節リーガ初勝利を祝ったばかりのネビル監督のバレンシアなんて、ラピド・ウィーンに6-0と大勝しているのですから、何とも驚かされるじゃないですか。
▽といっても私が結果を気にしていたのは、いえ、もちろんELでもバーゼルでの決勝ではスペインのチームの姿を見たいと思っているのは確かなんですけどね。木曜にグループリーグより消耗する上、ローテーションも控え目になるラウンドを戦った彼らのうちの二者はこの日曜、マドリッドにやって来るから。そう、セビージャはラージョとのリーガ戦でエスタディオ・デ・ラス・バジェカスへ、ビジャレアルはビセンテ・カルデロンでアトレティコと対戦するとなれば、どちらもELはホームゲームだったものの、中2日というハードスケジュールなだけに、今週はミッドウィークに試合のなかった地元チームが有利な気がしなくもないじゃないですか。
▽それは後半17分、肩の脱臼を即行で治して先発していたマルセロがクリスチアーノ・ロナウドにパスを送ったところ、近頃はサンティアゴ・ベルナベウ以外ではゴールを決めてないとか、ビッグゲームで得点しないとか、世間にイロイロ言われていて、本人も腹に据えかねていたんでしょうかね。まるで前節のアスレティック戦のようにエリア内でフロレンツィをかわしてシュートすると、ボールがネットに収まって先制点になってくれたから、助かるじゃないですか。
▽え、ロナウドのゴールより、その時もっと注目されたのは点が入った後、当人を筆頭に控えも含めて大勢の選手がジダン監督と抱き合って喜んでいたシーンじゃないかって? まあ、後で「自分の選手たちが一緒にゴールを祝うのを見るのは、監督に取って嬉しいこと。繰り返したいね」と、CL初陣の指揮官も話していましたけどね。それだけ彼が、まるで昨季のアンチェロッティ監督のように部下たちから信頼されているのがまざまざと浮かび上がった光景だったせいか、折しもちょうど、その夜、マドリー監督を解任されて以来、初めて解説者としてTV出演したベニテス氏の発言にマスコミからは鬼のような非難が降り注ぐことに。
▽いえ、ベニテス氏は「ペレス会長が毎日、選手や記者と話していて、監督にはやりにくい状況だった」とか、「リーガ優勝には継続性が必要で、しかも独自のプレースタイルとモデルを持っているバルサと戦わないといけない。それなのにマドリーは毎シーズン、監督を代えるから、常に1から始めることになって、ここ7年間で優勝したのは1度だけ。ペレス会長の任期中、バルサはその倍、いや倍以上のタイトルを獲っている」とか、至極正論を言っただけだったんですけどね。まだマドリーの監督だった12月には、「クラブと会長、監督に対してアンチキャンペーンがある」と擁護していながら、上司でなくなった途端、大々的に批判するのはどうかと思いますが、体制側にいては言えないこともきっとあったはず。
▽カンテラ(ユース組織)時代から20年もいた愛するチームからひどい形で追い出され、当人が怒っているのもわかりますが、何せ、一番大切な選手たちの人間関係が上手くいかなくてはねえ。こればっかりは人柄とか、相性とか、どうしようもないところもありますし、ジダン監督に代わってからチームのムードが良くなったのは誰も否定できないので、やはり解任は正しかったかと。実際、サッカー界のレジェンドが率いる、スーパースター揃いのチームはまさにペレス会長の望むところでしょうし、個人のタレントを見せつけて、世界一知名度が高いチームというステータスを保てれば、別にタイトルは獲れなくもいいのかなと私なんかは思ったりもしますが、内実はよくわかりませんね。
▽一方、ジダン監督に脱兎のごとく駆け寄っていたロナウドもロナウドで、試合の後では「Normal, normal. Cuando se tiene calidad.../ノーマル・ノーマル。クアンドー・セ・ティエネ・カリダッド(普通だよ。才能を持っていれば…)」なんて、ゴールを賞賛する言葉に答えていたんですけどね。前日の試合前会見では、「A mí eso de los abracitos y las comiditas no me dice nada, lo importante es lo que hagamos en el campo/ア・ミー・エソ・デ・ロス・アブラシートス・イ・ラス・コミディータス・ノー・メ・ディセ・ナーダ、ロ・インポルタンテ・エス・ロ・ケ・アガモス・エンエル・カンポ(自分にとって、チームメートと抱き合ったり、食事をしたりなんてのは何の意味もない。大事なのはピッチでやること)」と語り、ベンゼマやベイルを家に招くこともなければ、マンチェスター・ユナイテッド時代も「ファーディナンド、ギグス、スコールズらとは『オハヨウ』ぐらいしか言葉を交わさなかったけど、CLに優勝した」例も挙げて、人間関係にクールな自分を強調していた割にはかなり熱い祝い方だったかと。
▽とはいえ、これには元同僚のリオ・ファーディナンドからすぐチャチャが入って、曰く「ずっと自分の側にいたのに忘れちゃったのかね。どうやらボクの作った食事が気に入らなかったようだ」と、ユナイテッド時代にはプライベートな付き合いがあったことを暴露。加えて、「ロッカールームでは彼のことを随分、笑いのネタにしたよ。あの頃はいつもピチピチのパンツをはいていてね」って、え、若かりし頃のロナウドはいじられキャラだった?まあ、クラブのオフィシャルウェブにもピッチに出る前にはジダン監督と抱擁しているビデオも出ていましたし(http://www.realmadrid.com/aficion/videos/2016/02/el-abrazo-de-zidane-a-sus-jugadores-antes-de-ganar-en-roma-2)、要は男同士なんですから、別にいつもくっついていなくてもいいってことでしょうか。
▽そして試合に話を戻すと、その後はリードを奪われたローマも反撃に出たんですが、そのハードなプレーに被害を被った選手が約1名。それはハメス・ロドリゲスで、いやあ、後半早々にもバンケールのキックで耳を切って、3針縫ったりしていたんですけどね。21分、今度はマノラスに突き飛ばされ、左肩が外れてしまったから、さあ大変! 幸いチームドクターがその場ではめてくれたため、プレーは続行できましたが、36分にはヘセと交代となり、ベンチに退くことに。とはいえ、棚からボタ餅とはまさにこのことで、その4分後には見事にマドリーのカウンターが炸裂し、ヘセが敵ゴール目掛けて一直線。最後はエリア内からシュートを決めて、0-2のスコアにしてくれたとなれば、2ndレグはお得意のホームであることを考えずとも、大船に乗ったつもりでいい?
▽終盤にはスパレッティ監督が最後のCLホーム戦だからということか、大御所トッティも出してくれたため、ファンも楽しめましたしね。モドリッチが帰りがけにその彼と記念のツーショットを撮って、自身のツィッター(https://twitter.com/modric19?lang=ja)に載せていたなんてことは別にいいんですが、とりあえず、スペイン勢としてCLで先陣を切ったマドリーの滑り出しは上々。唯一、気の毒だったのは同日、クラブ・ワールドカップで延期していたスポルティング戦をプレーしたバルサが大方の予想通り快勝。リーガ首位との差が勝ち点7に開いてしまったことですが、こちらの大会は長期戦ですからね。同6差になったお隣さん共々、この先、まだ紆余曲折があることを望むばかりかと。
▽ちなみにこの週末にマドリーが挑むのはアウェイでのマラガ戦で、ローマで肩を痛めたハメスは休養する予定。前節のアスレティック戦で退場したバランも上訴委員会にも異議が認められず、TAD(スポーツ行政法廷)にcautelar(カウテラル/処分一時停止命令)を頼むと、来週に判決が出て、月曜からは70~240ユーロ(約9000~3万円)で一般向けチケットの販売も始まるマドリーダービーに出られなくなる危険性があるため、この試合で出場停止処分を済ませることに。まだペペのケガも治っていないため、CBはラモスとナチョで賄うことになりそうです。そんなマラガ戦のキックオフは日曜午後4時(日本時間月曜午前零時)、土曜にはバルサがラス・パルマス戦を先に済ませるため、試合前は勝ち点差が10になっているかもしれませんが、ファンの方々はショックを受けないでくださいね。
▽そして今週は丸々、体力強化に充てられたアトレティコは前述の通り、ビジャレアルを日曜午後8時半(日本時間翌午前4時半)から迎えるんですが、こちらはこの先、中2日で連続3試合、CLのPSV戦、マドリーダービーとヘビーな対戦が続くという時に限って、負傷者数が増加。ええ、前節のヘタフェ戦で足首をねん挫したカラスコ、火曜からようやくグラウンドでのトレーニングを開始したアウグスト、腓骨の骨折からの回復のちょうど、折り返し地点となったチアゴ、そして筋肉痛のトマスが欠場することはもう決まっていて、さらに今回はヒメネスが累積警告で出場停止という逆境も。ただ、CBは先週末、故郷のベオグラードまで飛んで、かかりつけの医者に診てもらったサビッチが全快したようなので、30歳のバースデーを迎えたゴディンとコンビを組んでくれます。
▽え、ここまでリーガ24試合でダントツ最少の11失点しかしていない守備より、お隣さんのちょうど半分の35得点という、攻撃面の方が気になるって? そうですね、昨季、ホームで0-1で負けたビジャレアルからはその決勝点を挙げたビエットを今季は自軍に取り込んでいますから、それはいいとしても、今シーズン前半戦でも彼らには1-0で負けていますからね。その時、ゴールを挙げたレオ・バプチストンがアトレティコからのレンタル選手で、しかも今回も制限条項が契約になく、出場可能というのはちょっと心配ですが、たったの1点も返すのに苦労するFW陣はもっと頭が痛いかも。
▽というのも現在、頼みのグリースマンが4試合連続ノーゴールと調子を落としていて、彼以外は皆、ここまで5本の指で足るしか得点がありませんからね。2人目のアタッカーとしては前節、開始2分で速攻ゴールを挙げたフェルナンド・トーレスがリピートするようですが、そのツキが続いてくれることを祈るしかありません。カラスコの代わりはオリベルかビエットになりそうです。そうそう、近頃のアトレティコは勝ってはいても、いい試合をしていないという点に関しては、元々、「Jugar bien al fútbol es saber a lo que juegas/フガール・ビエン・アル・フトボル・エス・サベール・ア・ロ・ケ・フエガス(いいサッカーをするというのは何のためにプレーしているかを知っているということ)。アトレティコはそれをとてもよく知っている。だから、とてもいいサッカーをしているんだよ」(トーレス)というスタンスのチームなので、あまり贅沢を言わないようにしてあげてくださいね。
▽そしてもう1チーム、日曜にプレーするのがラージョなんですが、こちらはアジア向けゴールデンタイムの正午(日本時間午後8時)からセビージャ戦をキックオフ。うーん、金曜には一足早く最下位レバンテとのアウェイ戦に挑んだ弟分の片割れ、ヘタフェが3-0とまたしても負け、とうとう5連敗となってしまいましたからねえ。せめてラージョには景気づけに勝ってもらいたいものですが、相手のEL疲れを上手くつけますかどうか。近頃はハビ・ゲラにゴールが入らなくなった代わりにミク、そしてリーガでMFとして最多の10得点を挙げているホサベドが頑張ってはいますが、5月21日にはブルース・スプリングスティーンのコンサートが入って、完全にサンティアゴ・ベルナベウでの開催はなくなったコパ・デル・レイ決勝に進出しているセビージャはリーガでもすでに5位まで上昇。ハードルはかなり高いものの、ホームのファンを失望させない試合を見せてくれると嬉しいです。
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スアレスのバルサ退団劇、同胞フォルランが皮肉交じりに語る
元ウルグアイ代表FWのディエゴ・フォルラン氏がウルグアイ代表FWルイス・スアレスのバルセロナ退団劇に言及した。 2014年夏にリバプールからバルセロナに加わり、クラブ歴代3位の公式戦通算198ゴールを誇ったスアレスだが、今季から指揮を執るロナルド・クーマン監督の構想から外れ、25日にアトレティコ・マドリーに移籍した。 大きな話題をさらったスアレスのアトレティコ行きだが、フォルラン氏からすれば、驚きでも何でもないようだ。スペイン『Radio MARCA』で同胞の移籍劇について、こう述べた。 「あのクラブのスアレスに対する仕打ちは彼らの歴史上でほかの選手の身にも起こったことだ」 「最も重要なのは彼がバルセロナのためにすべてを尽くしたということ。彼自身が後悔することは何もない」 元スペイン代表FWのダビド・ビジャ氏ら歴代点取り屋をあっさりと手放してきたバルセロナの歴史を皮肉交じりに指摘したフォルラン氏。自身の古巣でもあるアトレティコでスアレスの活躍を期待した。 「スアレスのような選手はアトレティのようなクラブでうまくやれる。家にいるような感覚になると思う。彼がチームの力となり、トップポジションを目指して戦ってくれるのを願う」 また、「スアレス、ジョアン・フェリックス、ジエゴ・コスタがアトレティコ・マドリーのトリデンテを形成し得る」と語り、チームとしての新たな形にも期待を膨らませている。 2020.09.26 11:50 Sat4
名門フラメンゴを今月から率いるはフィリペ・ルイス39歳…トップ初指揮で初陣から2連勝も3試合目は黒星
つい数年前まで欧州の最前線で活躍した元ブラジル代表DFフィリペ・ルイス(39)。彼は今月から、名門フラメンゴを指揮している。 アトレティコ・マドリーのレジェンドにして、一時期はチェルシーにも所属。サイドバックとして確かな技術を持ちながらも、ハードな守備を厭わず、多くのファンを魅了したF・ルイス。 昨年末にフラメンゴで現役を引退すると、そのまま育成年代でコーチングキャリアへ。 当初はU-17チームだったが、夏にU-20を任され、10月に入るとトップチームがチッチ監督を解任…39歳F・ルイスが後任を託された。 3日の初陣は、国内カップ戦準決勝でいきなり強豪コリンチャンスと。F・ルイス新監督は「さっそくブラジル最大のクラシックマッチかよ(笑) このプレッシャーを光栄に感じないわけがないね」と語り、1-0勝利で1stレグ先勝。 続けて6日は初のリーグ戦。敵地でバイーアを2-0と撃破し、就任から公式戦2連勝とした。ブラジル『グローボ』いわく、この2試合は現地でとても高く評価されたそうだ。 しかし17日、リーグ戦第30節でフルミネンセに0-2と敗戦。初黒星にF・ルイス監督は「(準決勝)2ndレグの直前にこういった負け方は痛い。しかしサッカーは毎週、自己を回復し、自信を取り戻す猶予を与えてくれる。選手には頭を空っぽにしてもらいたい」とコメントした。 名手フィリペ・ルイス39歳の、名将への歩みが始まった。 2024.10.18 18:10 Fri5