プレビュー:ポルトガルの雄とスイスの雄、最後に笑うのは!?《ポルトvsバーゼル》

2015.03.10 12:00 Tue
▽CL決勝トーナメント1回戦2ndレグのポルトvsバーゼルが、10日の日本時間28:45からエスタディオ・ド・ドラゴンで開催される。
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◆1stレグは1-1のドロー
▽両者にとって初顔合わせとなったザンクト・ヤコブ・パルクで行われた1stレグは、1-1のドローに終わった。試合は、立ち上がりからアウェイのポルトがボールの主導権を握ったものの、ホームのバーゼルがカウンター戦術を展開。開始11分に失点を喫するなど相手の術中にはまったポルトだったが、79分に得たPKから同点ゴールを奪い、ポルトガルの雄が敵地で苦しみながらもアウェイゴールを持ち帰ることに成功している。▽前述の通り、1stレグでアウェイゴールを持ち帰ったポルトは、相手よりもやや有利な状況でホームでの2ndレグを迎える。とはいえ、1stレグでは相手の堅い守りに苦戦を強いられているだけに、今回の対戦でも気が抜けない戦いになることは間違いない。さらに、今回はJ・マルティネスの負傷欠場が確定。エースの不在は痛手となるが、前回の対戦で封じ込まれた攻撃陣が本来の輝きを放つことができれば悲願の8強入りも現実味を帯びるはずだ。
▽一方のバーゼルは、ホームでの1stレグでアウェイゴールを奪われているため、勝利か、2-2以上での引き分けが勝ち抜け条件となる。ただ、1stレグでは、得意のカウンター戦術でポルトを終盤まで苦しめていただけに、2ndレグに向けて悪いイメージはないはず。過去3分2敗と振るわないポルトガルの地でも、前回と同様の戦いを見せることができればベスト8の扉を開く可能性は十分にある。

◆柿谷は再びベンチ外か
▽ホームでの1stレグでベンチ外となるなどバーゼルで苦悩のシーズンを送っている柿谷。しかし、直近の2試合では帯同メンバー入りを果たすと、そのうち4日に行われたスイスカップ準々決勝のミュンジンゲン戦ではフル出場し、移籍後初のハットトリックを達成している。今回の一戦でもベンチ入りできるかは微妙な状況であることに変わりはないが、仮に出場のチャンスが巡ってきた際は持ち味である積極性を全面に出したプレーで自身の真価を証明したいところだ。
◆ポルト◆
【4-1-2-3】
▽ポルト予想スタメン
GK:ファビアーノ
DF:ダニーロ、マイコン、マルカノ、A・サンドロ
MF:H・エレーラ、カゼミロ、エヴァンドロ
FW:テージョ、アブバカル、ブラヒミ
負傷者:MFオリベル・トーレス(肩)、FWアドリアン・ロペス(ハムストリング)、J・マルティネス(そけい部)
出場停止者:なし

▽今回の一戦に向けた大幅なシステム変更はなさそうだ。気がかりな点は、そけい部を痛めているエースのJ・マルティネスが欠場することが確定しているFWの位置。さらに、前回のバーゼル戦で肩を負傷したオリベルのコンディション面も気になるところだ。両選手の代役には直近のリーグ戦に出場していたアブバカル、エヴァンドロが起用される見込みだ。

◆バーゼル◆
【4-2-3-1】
▽バーゼル予想スタメン
GK:バシリク
DF:T・ジャカ、シェアー、サムエル、サファリ
MF:デルリス・ゴンサレス、エルネニー、ツフィ、F・フライ、ガシ
FW:シュトレラー
負傷者:DFイバノフ(ヒザ)、MFマティアス・デルガド(病気)
出場停止者:DFスヒー

▽2ndレグはスヒーが出場停止となるが、1stレグをサスペンションで欠場したシェアーが復帰。負傷者に関してはイバノフとM・デルガドのみであり、そのほかの主力の起用は可能だ。布陣に関しては、1stレグと同様に [4-2-3-1]を採用するはずだ。

★タクティカル・プレビュー
◆流れは不変
▽展開は、前回対戦と大きく変化することはないだろう。ボールポゼッションのポルトとカウンターのバーゼル。大方の予想通り、ポルトガルの地でも対極する2つのスタイルがぶつかり合う展開になるはずだ。

◆状況に応じた攻撃を~ポルト~
▽地力の差や相手のスタイルを考えれば、基本的にボールを保持する展開となるポルトだが、敵地でアウェイゴールを手にしているため、今回の一戦では無理に前へ攻め急ぐ必要がない。ただ、圧倒的なボールポゼッションを記録した1stレグでは、不用意な形からカウンターを浴び、バーゼルに先制点を献上している。守備面では、自陣でボールを保持する際にイージーミスや不用意なボールロストに気をつけつつ、相手の攻撃に備えたリスクマネジメントにも気を配りたい。

▽一方の攻撃面では、 自陣にブロックを敷いて守りを固めたバーゼルに対して、オリベル・トーレス、カゼミロ、H・エレーラの中盤3枚が相手のタイトなマークに苦しみ、思うような形でゲームをオーガナイズできなかった印象だ。その影響で、ボックス内で力を発揮するタイプのJ・マルティネス(アブバカル)、ブラヒミとテージョの両ウイングもボールを良い形で受けられずに孤立するなど、チームの攻撃は停滞していた。

▽ホームのポルトとしては前回と同じ轍を踏まないためにも、奇襲の意味も含めてバーゼルに“ボールを持たせる”展開に誘導するのもアリかもしれない。元々ブラヒミやテージョといったドリブラーを擁すポルトは、ポゼッションサッカーに加え、縦への推進力を生かしたカウンターアタックを得意としている。前回の経験を踏まえ、今回の2ndレグでは遅効と速攻を織り交ぜるなど状況に応じた攻撃で相手守備の攻略を狙っていきたい。

◆攻撃にも力を~バーゼル~
▽対するバーゼルに関しては、1stレグで機能していた堅守速攻を引き続きポルトガルの地でも継続してくることが濃厚。前回と同様にF・フライ・エルネニー、ツフィの中盤3枚のところでボールスキルに優れるH・エレーラ、カゼミロ、オリベル・トーレス(エヴァンドロ)を監視しつつ、デルリス・ゴンサレス、シュトレラー、ガシの前線3枚でゴールに迫る形が主となるだろう。

▽ただ、今回はポルトガルに乗り込んでのアウェイゲームであり、ホームで行われた前回対戦ほどパウロ・ソウザ監督の用いるカウンター戦術が機能するとは考えにくい。加えて、ラウンド16を突破するには勝利か、2点以上を奪っての引き分けと、敵地でゴールを奪うことが求められる。したがって、前回の戦いを継続しながらも、攻撃時に多くの人数をかけるなど、よりリスクを冒したプレーが必要となる。

▽そこで、キーマンとなるのがデルリス・ゴンサレスとガシの両サイドアタッカー。彼らが対峙することが予想されるダニーロ、A・サンドロは攻撃的サイドバックであり、攻守のバランスを意識しながらもチャンスがあれば、積極的に高い位置まで飛び出してくるはずだ。前回対戦では守備のタスクに追われ、両サイドバックの上がったスペースをアタックする意識に欠けていたように見受けられた。

▽今回の一戦では相手サイドバックが攻撃参加してきた際、これまで以上に攻守の切り替えを徹底し、積極的に攻め上がっていきたい。さらに、相手のセンターバックはお世辞にもアジリティに優れているとは言い難い。デルリス・ゴンサレスとガシの仕掛けで相手の最終ラインをうまく揺さぶることができれば、得点を奪うチャンスは必ず出てくるはずだ。

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