【ブンデス前半戦総括&ベスト11】～バイエルンの独走とドルトムントの低迷～

▽3連覇を目指す本命バイエルンが例年通り、前半戦終了時点で2位ヴォルフスブルクを11ポイント離す独走態勢を築いた。ワールドカップによる疲労の影響を感じさせず、主力にケガ人が続出しながらも、分厚い選手層を生かして乗り切った。とりわけ、MFシャビ・アロンソの補強は大成功し、チーム力を大幅にアップさせることにつながった。

▽一方、対抗馬になると思われたドルトムントは一時最下位に落ちるなどまさかの残留争いに巻き込まれてしまった。MF香川を含めて補強した選手たちが機能せず、FWレヴァンドフスキの穴をなかなか埋めきれずに低空飛行を続け、降格圏内の17位で前半戦を終えた。

▽そんな中で躍進したのはヴォルフスブルク。ヘッキンク体制3季目となった今季は、MFデ・ブライネ、MFペリシッチが絡むショートカウンターの精度が増し、MFギラヴォギの加入によって中盤が一層ソリッドとなった。そして、明確なスタイルを提唱する指揮官に率いられたレバークーゼンとボルシアMGも開幕前の予想通り、しっかりと上位に付けている。
▽12人が在籍する日本人選手ではFW岡崎が昨季の15ゴールに続き、今季も前半戦だけで8ゴールと結果を出した。また、シャルケのDF内田も開幕から4試合はケガで欠場したものの、それ以降は攻守両面で秀逸のプレーを見せ続け、チームの建て直しに大きく貢献。そのほか、MF清武やDF酒井宏、MF長谷部やMF乾、MF細貝、DF酒井高といったメンバーがレギュラーの座を勝ち取った。一方でブンデス初挑戦となったFW大迫やFW原口は出場機会に恵まれず、期待された結果を出すことはできていない。

▽ドルトムントが巻き込まれている残留争いでは、昨季に続いてハンブルガーSVやブレーメン、シュツットガルトといった名門クラブが苦戦中と、後半戦も予断を許さない状況が続きそうだ。

---

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFシャビ・アロンソ(バイエルン)▽同胞のMFハビ・マルティネスの長期離脱によって急遽レアル・マドリーから移籍したスペイン人MFがバイエルンのチーム力をさらにワンランク上げることに貢献した。加入からわずか1日後に公式戦に出場したシャビ・アロンソは、長年チームに在籍していたかの如くチームにフィットし、長短のパスを駆使してバイエルンの中盤に君臨した。MFシュバインシュタイガーがケガで出遅れ、DFラームやMFチアゴを欠いた中、リーグ戦17試合中15試合に先発。グアルディオラ監督の信頼を完全に掴んだ。★最優秀監督
◆ジョゼップ・グアルディオラ(バイエルン)
▽14勝3分、41得点4失点という圧倒的なスタッツが示す通り、前半戦のバイエルンは他を寄せ付けなかった。グアルディオラ監督はこれまでの4バックから、ラームやアラバといった本来サイドバックの選手たちを3バックの一角に据える新システムにチャレンジ。導入当初こそ守備に不安が見られたが、徐々に順応させ、今では圧倒的なポゼッションを握るためのオプションの一つとなった。

---

【期待以上】
★チーム
◆ヴォルフスブルク▽ヘッキンク体制3季目の今季、中盤センターに構えるグスタボとギラヴォギを軸とする堅守と、2列目のデ・ブライネとペリシッチを軸とするショートカウンターを武器に安定した戦績を残している。その一方、ストライカーを任されているのが今季5得点を記録する35歳の大ベテラン・オリッチである点は後半戦に向けてやや心もとない面がある。それでも、ドルトムントが躓いた中、バイエルンの独走を阻む対抗馬として後半戦も期待せずにはいられない。

★選手
◆MFカリム・ベララビ(レバークーゼン)
▽昨季降格したブラウンシュヴァイクから強豪レバークーゼンにレンタル復帰した24歳が見事なブレイクを果たした。ドルトムントとの開幕戦でブンデス史上最速ゴールを決めた快速の右ウインガーは、その勢いのまま8ゴール4アシストと大活躍。10月にはドイツ代表にも選出され、マンチェスター・ユナイテッドやリバプールなどプレミアリーグのビッグクラブが熱視線を送る注目株となった。

---

【期待外れ】
★チーム
◆ドルトムント▽バイエルンの優勝を阻む最右翼の対抗馬となるはずだったが、まさかの残留争いを強いられている。レヴァンドフスキの抜けた穴を埋めきれず、名将の試行錯誤が続いている。1トップの人材を固定できないことから2列目の選手たちとの連係が高まらず、持ち味の連動性をなかなか発揮しきれていない。守備面も攻撃陣に足を引っ張られるように不安定さを増し、攻守両面で大きな問題を抱えている。

★選手
◆FWチーロ・インモービレ(ドルトムント)
▽レヴァンドフスキの後釜として、昨季トリノで22ゴールを奪ってセリエA得点王に輝いたイタリア代表FWを、ドルトムントは移籍金1850万ユーロ(当時のレートで約26億円)で獲得。しかし、リーグ戦で挙げた得点はわずかに3ゴールと期待に応えられていない。さらに、インモービレがリーグ戦で先発した6試合の戦績は2分4敗と、完全にチームのブレーキとなってしまった。

---

【前半戦ベストイレブン】GK:ノイアー
DF:ナウド、J・ボアテング、シュトランツル
MF:ベララビ、デ・ブライネ、シャビ・アロンソ、ペリシッチ
FW:ロッベン、ミュラー、チュポ=モティング

---

【後半戦展望】
★注目はCL出場権争いと残留争い
▽主力に多数ケガ人を抱えた中、前半戦を圧倒したバイエルンが3連覇を達成するのは、ほぼ確実だ。後半戦に向けてケガ人の復帰が見込めるため、前半戦ほどグアルディオラ監督が頭を悩ますことはないだろう。

▽注目は、4位までに与えられるCL出場権争いと残留争いだ。2位ヴォルフスブルク(勝ち点34)、3位レバークーゼン(勝ち点28)、4位ボルシアMG(勝ち点27)を軸に、ディ・マッテオ監督就任後浮上の兆しが見える5位シャルケや、攻撃陣にタレントの揃う7位ホッフェンハイムあたりが絡んでの争いとなりそうだ。そして、シャルケの内田を除いて日本人選手が所属するチームは、軒並み残留争いに巻き込まれる可能性が高そうだ。