プレビュー:プライドを懸けた戦い《ブラジルvsオランダ》

▽ブラジル・ワールドカップ3位決定戦のブラジル代表vsオランダ代表が日本時間12日29時からエスタディオ・ナシオナル・デ・ブラジリアで行われる。準決勝で対象的な敗戦を喫した強豪国同士が、プライドを懸けて対決する。

▽ブラジルは、決勝進出、そして優勝を目指し臨んだ準決勝でドイツ代表相手にまさかの7失点。エースFWネイマール、主将のDFチアゴ・シルバを欠いていたとはいえ、勝利を願う多くのファン・サポーターの前で歴史的大敗を喫してしまった。

▽一方、準決勝でアルゼンチン代表と対戦したオランダは、互いにリスクを犯さない戦い方に終始した試合で120分間を終えゴールレス。準々決勝のコスタリカ代表戦に続いてPK戦までもつれたものの、今回は相手GKロメロの活躍もあり勝利を掴めなかった。

◆過去4度の対戦は五分
▽両国はワールドカップで過去4度対戦しており、成績は2勝2敗の五分だ。直近では、2010年南アフリカ大会の準々決勝でオランダがブラジルを2-1で下し、ファイナリストになっている。1998年のフランス大会では、準決勝で対戦しPK戦の末ブラジルが決勝に勝ち進んだ。1994年のアメリカ大会は準々決勝で対戦しブラジルが勝利。1974年は、準決勝で対戦しオランダが勝利している。

▽これまでの対戦は、いずれも決勝進出を目指し、生き残りをかけた戦いであったが、今回は3位決定戦と両国にとってモチベーションの上げ方が難しい試合になるだろう。しかし、ベスト4にまで進出していながら、2連敗で大会を去るということだけはどちらも避けたいはずだ。

◆ブラジル代表◆
【4-3-3】
▽ブラジル代表予想スタメン
GK:ジュリオ・セーザル
DF:ダニエウ・アウベス、D・ルイス、チアゴ・シルバ、マルセロ
MF:パウリーニョ、グスタボ、オスカル
FW:ウィリアン、フレッヂ、フッキ
負傷者:FWネイマール(腰椎骨折)
出場停止者:なし

▽準決勝ドイツ戦の大敗を受け、気になるのは選手たちの精神状態だ。決勝まであと一歩のところでの、よもやの大敗。この敗戦を引きずらずに試合に臨めるかが、鍵を握る。

▽メンバーは、ドイツ戦を出場停止により欠場したチアゴ・シルバが復帰し、守備面は安定感を取り戻せるだろう。メンタル面を考慮し、若干のメンバー変更が行われるかもしれないが、ここはドイツ戦のメンバーに自信を取り戻させるべく最小限に抑えるのではないだろうか。ネイマールの代わりには、FWベルナールではなく、MFウィリアンを起用すると予想する。

◆オランダ代表◆
【5-3-2】
▽オランダ代表予想スタメン
GK:フォルム
DF:カイト、デフライ、フラール、マルティンス・インディ、ブリント
MF:ワイナルドゥム、スナイデル、デ・ヨング
FW:ロッベン、ファン・ペルシ
負傷者:なし
出場停止者:なし

▽ブラジルよりも試合間隔が1日短いオランダは、これまで結果を残していた5-3-2でこの一戦に臨むと予想する。相手守備陣の裏を突くべく、ロッベンを使ったカウンター主体の攻撃を見せてくれるだろう。

▽また、GKはフォルムが初めて起用されると予想する。ここまで22名の選手を起用してきたファン・ハール監督は、きっと“23番目の男”を起用してくるはずだ。アルゼンチンにはPK戦の末に敗れたものの、記録上はドロー。つまり、今大会無敗を維持している。今大会を良い形で終えるために、勝利を目指す。

★注目選手
◆DFチアゴ・シルバ(ブラジル)
▽準決勝での大敗の責任を重く受け止めているだろう主将に注目だ。完膚なきまでにやられているチームメイトをただただスタンドで見守ることしかできなかったチアゴ・シルバ。優勝という目標は達成できないが、最後に母国のファン・サポーターに笑顔を届けたいと思っているはずだ。FWロッベン、FWファン・ペルシと強力な攻撃陣を誇るオランダだが、コンビを組むDFダビド・ルイスと共に王国・ブラジルの誇りを見せてくれるだろう。

◆FWアリエン・ロッベン(オランダ)
▽やはり、今大会のオランダにおいてキーマンとなるのはロッベンだろう。準決勝のアルゼンチン戦ではマスチェラーノの前に決定的な仕事ができずに終わった。これまで見せてきた、キレのある動きで突破を繰り返し、勝利という結果で大会を締めくくりたいはずだ。2トップを組むであろうFWファン・ペルシ、そしてMFスナイデルとともに、ブラジルのゴールを切り開く。