ゴールが少ないのは淋しい…/原ゆみこのマドリッド
2020.07.07 21:00 Tue
「まるでお隣さんみたいになっちゃったわね」そんな風に私が首を振っていたのは月曜日、また先週末も勝って、リーガ優勝に一歩近づいたものの、再開後の7節全勝のレアル・マドリーではここ3試合、ずっと1-0が続いていることに気がついた時のことでした。いやあ、今季は特にゴール日照りに苦しんだアトレティコでしたら、最少得点で勝ち点3を挙げるという効率の良さを褒められこそすれ、決して失望されることはないんですけどね。ただ、それが伝統的にgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質のマドリーで起きるとなると話は別。
それもベンゼマ珠玉のtaconazo(タコナソ/ヒールキック)から、カセミロが決勝点を挙げたエスパニョール戦はともかく、直近2試合はセルヒオ・ラモスのPKゴールによる勝利ですからね。おかげで4得点と、再開後リーガで当人がピチチ(得点王)レースのトップに君臨、PKもここ20回、連続で成功させているのも、キッカー入れ替わり立ち替わりでその半分はゴールにならず。「El Atlético es de los equipos que más penaltis ha fallado en la historia/エル・アトレティコ・エス・デ・ロス・エキポス・ケ・マス・ペナルティス・ア・ファジャードー・エン・ラ・イストリア(アトレティコは史上、最もPKを失敗しているチームの1つ)」と認めていただけに、シメオネ監督も羨んでいるんじゃないかと思いますが、何せ最近のペナルティにはVAR(ビデオ審判)が絡みますからね。
え、でも「Si les cobran más penales es porque atacan más como el Madrid/シー・レス・コブラン・マス・ペナレス・エス・ポルケ・アタカン・マス・コモ・エル・マドリッド(PKを多く獲得するのはそれだけ多く攻めるからだ。マドリーのようにね)」(シメオネ監督)という理由付けもできるんだろうって?まあ、そうなんですが、昨今、議論になっているのはマドリーにPK与えられることではなく、逆に敵チームにはPKが認められないことで、実際、ヘタフェ戦でもオリベイラがカルバハルを倒したプレーはペナルティで、その逆はスルーされていましたからね。
これまた、似たような展開となったのが日曜のアスレティック戦で、足首の痛みでアザールが前節に続いて欠場となったため、ジダン監督はベンゼマにアセンシオとロドリゴを添えて前線を形成。別にそのせいではないんでしょうが、前半はロドリゴやベンゼマのヘッドが外れたぐらいで両者、無得点に終わります。そしていよいよ後半28分、マルセロがエリア内でダニ・ガルシアに倒されて得たPKにより、マドリーが待望のリードを奪ったんですが、その2分後には自陣エリア内でラウール・ガルシアをマークしていたラモスがうっかり相手の足を踏んでしまったから、さあ大変!
その時にはVAR介入がなかったため、そのまま0-1で敗戦となったアスレティクサイドからは、「Raúl nos ha dicho que le han pisado/ラウール・ノス・ア・ディッチョー・ケ・レ・アン・ピサードー(ラウールはボクらに踏まれたと言ってたよ)。違いはマドリーの時は見直しがあって、ウチにはなかったってことさ」とピッチインタビューで怒っていたムニアインを始め、ウィリアムスなどもツィッターで抗議することに。どうやらジャッジの決め手はラモスが後ろにいたラウール・ガルシアに気づかず、踏んだように見えたことのようですが、ラッキーと言えばラッキーですよねえ。
そして日曜は、金曜に一足早く、マジョルカ戦で3-0と快勝したアトレティコを除いて、その他マドリッド勢の連チャンで、午後5時からの枠では弟分のレガネスがエスパニョールと最下位決戦。お日様がカンカン照って暑い時間ですし、場所もバルセロナのRCDEスタジアムだったため、選手たちの体調が心配だったんですが、まあ、そうでなくても不調のチーム同士、なかなか点が入らないのは当たり前のことだったかと。エスパニョールサイドはエースのラウール・デ・トマスが途中、ほてってダウンしていたのも影響したんでしょうが、そんな中、後半8分、エリア内でボールを受けた左SBのジョナタン・シウバがレガネスの先制点を決めてくれたから、ビックリしたの何のって。
その1点のおかげでリーガ再開後、ようやく彼らは初勝利を挙げられたんですが、だからって奇跡の降格回避を望めるかといったら、それはまた別の話。いえ、その時点でバルサに勝ち点差7つけていた兄貴分が、「No voy a hablar de media Liga/ノー・ボイ・ア・アブラル・デ・メディ・リーガ(半分はリーガ優勝したようなものなんて言うつもりはない)」(ジダン監督)と用心深くしていたのは実際、夜の試合で2位チームがビジャレアルに1-4と圧勝し、また4差に戻ってしまったため、当然と言えば当然だったんですけどね。
逆にレガネスと、残留ゾーンに並ぶアラベス、セルタ、エイバルとの7差は動かなかったものの、このエスパニョール戦後にはアギーレ監督から、不可解な告発があったんですよ。ええ、3試合前のグラナダ戦で負傷したカリージョと代わり、前半20分ぐらいプレーしただけで、筋肉痛がケガに繋がるのを避けて、後半はベンチに戻ったオスカルのことなんですが、監督によると、もう今季はプレーしないのだとか。それも3度検査を受けたところ、最初は何もなかったにも関わらず、いつの間にか肉離れが3つも見つかったとか、近親の誰かから何か言われたのかもしれないとか、事情も怪しげなんですが、とにかくもうアテにはできないって、いや、今のチーム、オスカル以外、ゴールを挙げられる選手って、いるんですかあ?
更にカリージョ、オメルオは今季絶望、ルーベン・ペレスもエスパニョール戦で捻挫となると、この木曜、月曜にセビージャに負け、距離が開かなかったエイバルとのブタルケ決戦も大事ですが、その後の相手がバレンシア、アスレティック、そしてマドリーですからね。もちろん今週はまず火曜午後10時から、アトレティコがバライドスでセルタ戦。ジョアン・フェリックスが足首の負傷でお休み、ジエゴ・コスタも出場停止という、ちょっと攻撃力が落ちる状況ではありますが、再開後、7試合5勝2分けという、3位にふさわしい貫禄を示し、4位セビージャとの勝ち点差2の死守共々、弟分のヘルプに尽力するのは確実。マドリーだって、アシエル・ガリターノ監督を解任し、ムニス監督が招聘されたアラベスを全力で叩きにいくはずですが、とにかくレガネス自身が頑張ってくれないことにはどうしようもありませんって。
そしてマドリー勢、日曜最後の試合となったのはヘタフェで、いやあ、エル・サダルではゴールを1本も見ることができず。スコアレスドローというのは、すでに残留確定したオサスナにとっては良かったんですが、CL出場圏の4位届きたい弟分にはかなり痛い結果だったかと。そのせいか、とうとうボルダラス監督など、「No sé por qué habláis de Champions, no es el objetivo/ノー・セ・ポル・ケ・アブライス・デ・チャンピオンズ、ノー・エス・エル・オブヘティボ(どうしてCLの話をするのかわからない。ウチの目標ではないのに)」と開き直ってしまったんですが、でもねえ。
確かにリーガ再開後のヘタフェは調子を落とし、5試合目でやっと初勝利を挙げたぐらいだったんですが、その相手はレアル・ソシエダ。この水曜にも1つ上の5位でEL出場権を争っているビジャレアルと直接対決できますしね。「El Getafe está peleando por Europa, después de estar jugando Europa League, es algo increíble/エル・ヘタフェ・エスタ・ペレアンドー・ポル・エウロッパ、デスプエス・デ・エスタル・フガンドー・エウロッパ・リーグ、エス・アルゴ・インクレイブレ(ヘタフェはヨーロッパの大会への出場を争っている。しかも今季のELに出た後となれば、信じがたいことだ)」と監督も言う通り、勝ち点差が7と開いた4位の座は諦めても、まずはEL参加リピートを確定させることが肝心。それと並行して、8月に16強対決インテル戦から再開される今季ELで優勝すれば、CLに出場できることを頭に置いておいくのも悪くはないんじゃないでしょうか。
それもベンゼマ珠玉のtaconazo(タコナソ/ヒールキック)から、カセミロが決勝点を挙げたエスパニョール戦はともかく、直近2試合はセルヒオ・ラモスのPKゴールによる勝利ですからね。おかげで4得点と、再開後リーガで当人がピチチ(得点王)レースのトップに君臨、PKもここ20回、連続で成功させているのも、キッカー入れ替わり立ち替わりでその半分はゴールにならず。「El Atlético es de los equipos que más penaltis ha fallado en la historia/エル・アトレティコ・エス・デ・ロス・エキポス・ケ・マス・ペナルティス・ア・ファジャードー・エン・ラ・イストリア(アトレティコは史上、最もPKを失敗しているチームの1つ)」と認めていただけに、シメオネ監督も羨んでいるんじゃないかと思いますが、何せ最近のペナルティにはVAR(ビデオ審判)が絡みますからね。
え、でも「Si les cobran más penales es porque atacan más como el Madrid/シー・レス・コブラン・マス・ペナレス・エス・ポルケ・アタカン・マス・コモ・エル・マドリッド(PKを多く獲得するのはそれだけ多く攻めるからだ。マドリーのようにね)」(シメオネ監督)という理由付けもできるんだろうって?まあ、そうなんですが、昨今、議論になっているのはマドリーにPK与えられることではなく、逆に敵チームにはPKが認められないことで、実際、ヘタフェ戦でもオリベイラがカルバハルを倒したプレーはペナルティで、その逆はスルーされていましたからね。
その時にはVAR介入がなかったため、そのまま0-1で敗戦となったアスレティクサイドからは、「Raúl nos ha dicho que le han pisado/ラウール・ノス・ア・ディッチョー・ケ・レ・アン・ピサードー(ラウールはボクらに踏まれたと言ってたよ)。違いはマドリーの時は見直しがあって、ウチにはなかったってことさ」とピッチインタビューで怒っていたムニアインを始め、ウィリアムスなどもツィッターで抗議することに。どうやらジャッジの決め手はラモスが後ろにいたラウール・ガルシアに気づかず、踏んだように見えたことのようですが、ラッキーと言えばラッキーですよねえ。
まあ、この日はカルバハルと共にラモスも5枚目となるイエローカードを受けたため、次戦金曜午後10時(日本時間翌午前5時)からのアラベス戦には累積警告で出場停止となるんですが、となるとちょっと気になるのは、「PK時には最大の緊張感があって、自分が一番居心地良く感じる瞬間なんだ。Creo que soy el idóneo para asumir esa responsabilidad/クレオ・ケ・ソイ・エル・イドネオ・パラ・アスミル・エサ・レスポンサビリダッド(この責任を引き受けるのにボクは最適だと思うよ)」と試合後、悦に入って話していたラモスの代わりにPKキッカーをやるのは誰なのか。順当に行けばベンゼマでしょうが、ベイルやその日は個人的事情でベンチ入りを免除してもらったハメス・ロドリゲスなどにはもうチャンスはないんでしょうかね。
そして日曜は、金曜に一足早く、マジョルカ戦で3-0と快勝したアトレティコを除いて、その他マドリッド勢の連チャンで、午後5時からの枠では弟分のレガネスがエスパニョールと最下位決戦。お日様がカンカン照って暑い時間ですし、場所もバルセロナのRCDEスタジアムだったため、選手たちの体調が心配だったんですが、まあ、そうでなくても不調のチーム同士、なかなか点が入らないのは当たり前のことだったかと。エスパニョールサイドはエースのラウール・デ・トマスが途中、ほてってダウンしていたのも影響したんでしょうが、そんな中、後半8分、エリア内でボールを受けた左SBのジョナタン・シウバがレガネスの先制点を決めてくれたから、ビックリしたの何のって。
その1点のおかげでリーガ再開後、ようやく彼らは初勝利を挙げられたんですが、だからって奇跡の降格回避を望めるかといったら、それはまた別の話。いえ、その時点でバルサに勝ち点差7つけていた兄貴分が、「No voy a hablar de media Liga/ノー・ボイ・ア・アブラル・デ・メディ・リーガ(半分はリーガ優勝したようなものなんて言うつもりはない)」(ジダン監督)と用心深くしていたのは実際、夜の試合で2位チームがビジャレアルに1-4と圧勝し、また4差に戻ってしまったため、当然と言えば当然だったんですけどね。
逆にレガネスと、残留ゾーンに並ぶアラベス、セルタ、エイバルとの7差は動かなかったものの、このエスパニョール戦後にはアギーレ監督から、不可解な告発があったんですよ。ええ、3試合前のグラナダ戦で負傷したカリージョと代わり、前半20分ぐらいプレーしただけで、筋肉痛がケガに繋がるのを避けて、後半はベンチに戻ったオスカルのことなんですが、監督によると、もう今季はプレーしないのだとか。それも3度検査を受けたところ、最初は何もなかったにも関わらず、いつの間にか肉離れが3つも見つかったとか、近親の誰かから何か言われたのかもしれないとか、事情も怪しげなんですが、とにかくもうアテにはできないって、いや、今のチーム、オスカル以外、ゴールを挙げられる選手って、いるんですかあ?
更にカリージョ、オメルオは今季絶望、ルーベン・ペレスもエスパニョール戦で捻挫となると、この木曜、月曜にセビージャに負け、距離が開かなかったエイバルとのブタルケ決戦も大事ですが、その後の相手がバレンシア、アスレティック、そしてマドリーですからね。もちろん今週はまず火曜午後10時から、アトレティコがバライドスでセルタ戦。ジョアン・フェリックスが足首の負傷でお休み、ジエゴ・コスタも出場停止という、ちょっと攻撃力が落ちる状況ではありますが、再開後、7試合5勝2分けという、3位にふさわしい貫禄を示し、4位セビージャとの勝ち点差2の死守共々、弟分のヘルプに尽力するのは確実。マドリーだって、アシエル・ガリターノ監督を解任し、ムニス監督が招聘されたアラベスを全力で叩きにいくはずですが、とにかくレガネス自身が頑張ってくれないことにはどうしようもありませんって。
そしてマドリー勢、日曜最後の試合となったのはヘタフェで、いやあ、エル・サダルではゴールを1本も見ることができず。スコアレスドローというのは、すでに残留確定したオサスナにとっては良かったんですが、CL出場圏の4位届きたい弟分にはかなり痛い結果だったかと。そのせいか、とうとうボルダラス監督など、「No sé por qué habláis de Champions, no es el objetivo/ノー・セ・ポル・ケ・アブライス・デ・チャンピオンズ、ノー・エス・エル・オブヘティボ(どうしてCLの話をするのかわからない。ウチの目標ではないのに)」と開き直ってしまったんですが、でもねえ。
確かにリーガ再開後のヘタフェは調子を落とし、5試合目でやっと初勝利を挙げたぐらいだったんですが、その相手はレアル・ソシエダ。この水曜にも1つ上の5位でEL出場権を争っているビジャレアルと直接対決できますしね。「El Getafe está peleando por Europa, después de estar jugando Europa League, es algo increíble/エル・ヘタフェ・エスタ・ペレアンドー・ポル・エウロッパ、デスプエス・デ・エスタル・フガンドー・エウロッパ・リーグ、エス・アルゴ・インクレイブレ(ヘタフェはヨーロッパの大会への出場を争っている。しかも今季のELに出た後となれば、信じがたいことだ)」と監督も言う通り、勝ち点差が7と開いた4位の座は諦めても、まずはEL参加リピートを確定させることが肝心。それと並行して、8月に16強対決インテル戦から再開される今季ELで優勝すれば、CLに出場できることを頭に置いておいくのも悪くはないんじゃないでしょうか。
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style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 初挑戦のラ・リーガでいきなりのピチーチ獲得。昨夏、新生バルセロナの目玉補強としてバイエルンから鳴り物入りでの加入となったポーランド代表FW。これまで多くの超一流ストライカーが適応に苦しんだバルセロナだけに一抹の不安もあったが、第2節のソシエダ戦でドブレーテを達成すると、そこからは6試合連続を含めゴールを量産。さすがの存在感でブラウグラナの攻撃をけん引した。中断前後はW杯の疲労や3試合のサスペンションの影響でパフォーマンスを落としたが、終盤戦で再びギアを上げ直した。守備の貢献度や運動量に関してはチームメイトから冗談交じりで注文も付けられたが、さすがの決定力に加えて7アシストと確度の高いポストワークでも存在感を示した。 2023.06.14 18:01 Wed3
【平成史に残るレジェンドチーム50選】vol.46 3強時代への入り口、“チョリスモ”の浸透/アトレティコ・マドリー[2013-14]
1989年1月8日に日本で始まった「平成」。日本では31年にわたって使用されてきたが、2019年4月30日をもってその時代が終わりを告げる。 日本サッカーにおいても激動の時代であった「平成」だが、目をヨーロッパに向け、同じ時代で印象に残ったレジェンドチームを超ワールドサッカー編集部が選出。記憶や記録に残る50チームを紹介していく。 <div style="position: relative;margin: 2em 0;padding: 25px 10px 7px;border: solid 2px #FFC107;"><span style="position: absolute;display: inline-block;top: -2px;left: -2px;padding: 0 9px;height: 25px;line-height: 25px;vertical-align: middle;font-size: 17px;background: #FFC107;color: #ffffff;font-weight: bold;">vol.46</span><p style="margin: 0; padding: 0;font-weight:800">2013-2014シーズン/アトレティコ・マドリー ~チョリスモ~</p></div> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/2013-14atletico.jpg" style="max-width:100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brians,LTD.<hr></div><div style="padding: 0.5em 1em;margin: 2em 0;border: double 5px #4ec4d3;"><p style="margin: 0; padding: 0;">監督:ディエゴ・シメオネ 獲得タイトル:リーガエスパニョーラ 攻撃力7:★★★★★★★☆☆☆ 守備力10:★★★★★★★★★★ タレント7:★★★★★★☆☆☆ 連係10:★★★★★★★★★★ 選手層8:★★★★★★★★☆☆ </p></div> <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">2強時代に終止符</div> アトレティコ・マドリー、バルセロナ、レアル・マドリーの三つ巴となったリーガの優勝争いは、バルセロナとの天王山を引き分けで終えたアトレティコに軍配が上がった。終盤は取りこぼしの目立つ優勝争いとなったが、最後はシーズンを通して最も安定していたアトレティコが18シーズンぶり10度目の戴冠を果たしている。 バルセロナとレアル・マドリーの2強に比べて戦力面で劣ることから、終盤に息切れするのではないかとみられていたが、大方の予想に反してチャンピオンズリーグとの二束の草鞋を履きこなし、シメオネ監督の下で戦う集団と化したロヒ・ブランコスがネプトゥーノ広場まで駆け抜けた。 2011-12シーズン途中に就任したシメオネ監督は、豊富とは言えない戦力のなか、運動量が求められる中盤を上手く入れ替えながら長丁場を乗り切った。また、モチベーターとしての手腕をいかんなく発揮し、並行して行われたCLで結果を残しつつ、最後までチーム全体のモチベーションとインテンシティを落さなかったあたりも流石だ。その存在の大きさは、選手たちから聞こえてくる称賛の声からもうかがえた。 アトレティコ・マドリーは、このシーズンにレアル・マドリーとバルセロナの2強時代に終止符を打ち、その後はスペインに留まらず欧州屈指の強豪にまで上り詰めた。シメオネイズム=チョリスモを体現したチームは現在もそのスタイルで戦いを続けている。 <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">“チョリスモ”を体現</div> GKティボー・クルトワが抜群の安定感と存在感を示し、守護神として君臨。ゴールマウスに鍵をかけ、個人としても2年連続でサモラ(最少失点GK)賞を獲得した。 ディエゴ・ゴディンとミランダの長身センターバックコンビが、最後尾からチームの守備をオーガナイズした。また、両者とも空中戦でも強さを発揮し攻撃面でもチームに貢献した。サイドバックでは攻撃力抜群のフィリペ・ルイスがコケやアルダ・トゥランと好連携を見せ、シメオネ監督から大きな信頼を寄せていたフアンフランは右サイドで攻守に効いていた。 中盤では、キャプテンを務めたガビが中盤の底でハードワークをこなし、相方をチアゴやマリオ・スアレスらが務めていた。サイドは、左をアルダ、右をラウール・ガルシアが担当することが多く、前者は攻撃の仕上げ役としてアシストを量産。後者は空中戦の強さを武器に2トップの一角にポジションを移すなど、シーズン17ゴールを挙げた。 2トップには強力な2人が配置され、前線守備とポストプレーを行う“野獣”ジエゴ・コスタが覚醒しリーグ戦で27ゴールを記録。バルセロナから格安で移籍してきたベテランのダビド・ビジャも堅実にチャンスを決め、シーズン15ゴールを記録した。 <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">ピックアップ・プレイヤー</div> <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">FW:ジエゴ・コスタ(24)</span> アトレティコの快進撃は、この男の存在を抜きにして語ることはできない。最前線でボールを収め、対峙するDFを振り切りながらゴールを量産。得点数ではロナウドとメッシに及ばなかったものの、34試合に出場しての27得点は立派な数字だ。 また、ジエゴ・コスタの素晴らしさは、攻撃力だけにとどまらない。チームの一員として、最前線からプレスをかけることも厭わない。彼の献身性があったからこそ、アトレティコがリーグ最少失点を記録できたと言っても過言ではないだろう。 2019.04.26 12:00 Fri4
現役時代のシメオネ監督はどんな人物だった? かつての同僚が明かす
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督について、現役時代のチームメイトたちが振り返った。スペイン『マルカ』が伝えている。 現役時代セビージャやアトレティコ、そしてインテルなどで活躍したシメオネ氏。特に現在監督を務めるアトレティコには1994年から1997年までの3年間と2003年から2005年1月までの1年半の2度在籍し、公式戦155試合出場29ゴールを記録した。 <div id="cws_ad"><div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJKcDZqR25nZCIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script></div> 監督としてピッチサイドで感情を全面に出したスタイルでチームを鼓舞するシメオネ氏だが、現役時代からこの情熱的なスタイルは一貫したもので、共にプレーした多くの選手たちに大きな印象を与えていたようだ。 アトレティコでのチームメイトだった元スペイン代表DFトニ・ムニョス氏は、選手時代のシメオネ氏の情熱を振り返っている。 「彼は全てにおいて情熱的で、ピッチ上でも自分が感じたことを表現していた。苦しむことを楽しんでいたし、全員に対して高い要求を持っていて、強いパーソナリティのある選手だった」 またムニョス氏は、シメオネ氏の優れた戦術眼が得点に繋がっていたと話す。 「戦術的にもとても優れていた。常に1シーズンで8から14ゴールくらいを決めていたが、それは彼がフリーキックや攻撃参加が上手かっただけでなく、試合を読む力に非常に長けていたからだ」 「彼のフットボールに対する思いはとても大きかった。私にシエスタすらさせてくれなかったよ。常にフットボールについて話していて、寝ていても起こされたものだ」 「彼のウォーミングアップは試合前のホテルから始まっていた。チームメイトに指示をして人を集めて、ランチやディナーの時、気付いたら相手がどういう風にプレーするのかという話をしていた」 またセビージャ時代のチームメイトである元スペイン代表DFマノーロ・ヒメネス氏も、シメオネ氏がピッチ上で見せる姿に感嘆していたと明かし、選手時代から名監督としての片鱗を見せていたと語った。 「彼は熱量に溢れていた。失敗した時には怒り、野心と高い要求を求める選手だった。彼はチームのみんなのリスペクトを勝ち取った。なぜなら、失敗しても自分の足でもう一度立ち上がることのできる、勇気ある選手だったからだ」 「彼はハードワーカーで、自分の持つ全てをピッチで出し尽くし、全てのボールを200%の力で追う、今で言うBox to Box タイプのMFだった」 「アグレッシブさとクオリティを兼ね備え、前線への攻撃参加もできた、完全な選手だった。彼が監督になる姿は容易に想像できた」 「選手の時も監督の時も、エル・チョロ(シメオネ愛称)は誇張して大袈裟に行動したりしない。あれが彼のそのままの生き方なんだ」 「彼はベンチで静かに座っているようなタイプではない。自分のメンタルの強さやウイニング・スピリットを常に示してきた人物で、それは彼のDNAの中にあるものなんだ」 また、同じくセビージャ時代の同僚でチームのCBであったホセ・ミゲル・プリエト氏も、シメオネ氏は選手時代からリーダシップを発揮していたと明かした。 「彼はよく試合の前、失敗はピッチに持ち込まずロッカールームに置いていけと私たちに言ったよ」 「常にフットボールのことを考えていて、その執着にも似た思いは今でも増していると思う」 「試合中は全てのプレーに関わっていたし、サッカーというものを理解していた。優れたMFがいれば、CBの力を引き出すことができる。私たちが活躍できたのは彼のおかげだ」 しかし、そんな情熱的なシメオネ氏だが、抜けている部分もあったとプリエト氏は語る。 「私たちはトレーニングに彼の車に乗って行ったことがあったが、車のタイヤがパンクしていたのにずっと変えていなかったんだ。だから私がタイヤの買い方を教えてやったんだ」 2020.06.10 12:45 Wed5
