JFA100周年で歴代ベストマッチ10/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.09.18 10:40 Sat
去る9月10日、JFA(日本サッカー協会)は創設100周年を迎え、舞浜にあるシアターで200人以上のゲストを招いて記念式典を開催した。JFAの前身である大日本蹴球協会(戦後に日本蹴球協会と名称を変更)が誕生したのは1921年(大正10年)9月10日のことだった。
日本サッカー協会と改称したのは1974年と、西ドイツW杯が開催された年のため“クライフ旋風”を記憶しているオールドファンも多いだろう。それでも半世紀も前のことだから、改めて月日の流れる早さを感じずにはいられない。
式典にはFIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長も祝福のビデオメッセージを寄せるなど祝賀ムードに包まれた。そしてゲストには、釜本邦茂氏をはじめとするメキシコ銅メダル組はもちろんのこと、日本人プロ第1号の奥寺康彦氏、サッカー教室で日本全国を回り普及に貢献したセルジオ越後氏、18年にJFAの殿堂入りしたラモス瑠偉氏らが元気な姿を見せて関係者と旧交を温め合っていた。
記念式典では日本サッカーの歴史を振り返りつつ、ゲストがステージに登壇して当時の思い出を語ったが、もう一つ興味深かったのが、JFAのサポーティングカンパニーである朝日新聞社が企画した「あなたが選ぶ、日本サッカー名勝負」の発表だった。
こちらはタブロイド版8ページの新聞でベスト29(同数で並んだ試合があるため実際はベスト32)まで発表されたので、そのうちのベスト10を紹介しよう。W杯か五輪絡みの試合が上位に来ていることは、読者の想像通りである。
9位(61ポイント)は、オールドファンの得票が多かったのだろう。1968年10月24日のメキシコ五輪3位決定戦で、日本が釜本氏の2ゴールでメキシコを2-0と下し、銅メダルを獲得した試合だ。その後、日本は12年ロンドン五輪と21年東京五輪で3位決定戦に勝ち進んだが、あと一歩及ばすメダルを逃している。もしも銅メダルを獲得していれば、メキシコ五輪より上位にランクされたのかどうか。こちらは24年のパリ五輪で確かめられることを期待したい。
8位(80ポイント)も意外なようで、「なるほど」と納得できる選出だ。1995年5月15日といえば、もうお分かりだろう。記念すべきJリーグの開幕戦、オランダ人ストライカーのマイヤーのミドルシュートで先制したヴェルディ川崎だったが、1979年ワールドユース得点王のラモン・ディアスの決勝点で横浜マリノスが2-1と逆転勝利を収めた試合だ。ディアスはその後もゴールを重ね、Jリーグ初代得点王に輝いた。
7位からはW杯の試合が登場する。まずは2002年日韓W杯グループリーグ初戦、日本対ベルギーの試合だ(81ポイントと7位とは僅差)。埼玉スタジアムでの開幕戦、ビルモッツのゴールで先制された日本だったが、小野伸二のタテパスに鈴木隆行が足を伸ばして同点ゴールを押し込む。その後も稲本潤一がドリブル突破から逆転シュート決めたものの、追いつかれて2-2のドロー。しかし日本はW杯初の勝点1をゲットした。
6位も同じく日韓W杯のグループリーグ、日本対ロシア戦(91ポイント)だった。舞台を横浜国際(日産スタジアム)に移しての第2戦、日本は初戦で負傷した森岡隆三に代わり宮本恒靖が3バックの中央に入った。そして中田浩二の左アーリークロスをゴール中央で柳沢敦が落とすと、走り込んだ稲本が右足で突き刺し決勝点。勝点を4に伸ばし、決勝トーナメント進出に大きく前進した。
5位は、予想通りベストテン入りした試合だが、もっと上位にランクインしてもいい試合ではないかと思った。ここらあたり、もしかしたら投票者の年齢層が関係しているかもしれない。といったところで、ベスト5の紹介は来週に譲りたい。
日本サッカー協会と改称したのは1974年と、西ドイツW杯が開催された年のため“クライフ旋風”を記憶しているオールドファンも多いだろう。それでも半世紀も前のことだから、改めて月日の流れる早さを感じずにはいられない。
式典にはFIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長も祝福のビデオメッセージを寄せるなど祝賀ムードに包まれた。そしてゲストには、釜本邦茂氏をはじめとするメキシコ銅メダル組はもちろんのこと、日本人プロ第1号の奥寺康彦氏、サッカー教室で日本全国を回り普及に貢献したセルジオ越後氏、18年にJFAの殿堂入りしたラモス瑠偉氏らが元気な姿を見せて関係者と旧交を温め合っていた。
こちらはタブロイド版8ページの新聞でベスト29(同数で並んだ試合があるため実際はベスト32)まで発表されたので、そのうちのベスト10を紹介しよう。W杯か五輪絡みの試合が上位に来ていることは、読者の想像通りである。
まず10位(56ポイント)は意外にも、日本代表の試合ではなく2016年12月18日のクラブW杯決勝、レアル対鹿島の試合だった。初めてクラブW杯に出場した鹿島が難敵を退けて決勝戦に進出。レアルとの決勝では柴崎岳が2ゴールを決めて“白い巨人”を慌てさせた試合といえば、思い出す読者もいるのではないだろうか。
9位(61ポイント)は、オールドファンの得票が多かったのだろう。1968年10月24日のメキシコ五輪3位決定戦で、日本が釜本氏の2ゴールでメキシコを2-0と下し、銅メダルを獲得した試合だ。その後、日本は12年ロンドン五輪と21年東京五輪で3位決定戦に勝ち進んだが、あと一歩及ばすメダルを逃している。もしも銅メダルを獲得していれば、メキシコ五輪より上位にランクされたのかどうか。こちらは24年のパリ五輪で確かめられることを期待したい。
8位(80ポイント)も意外なようで、「なるほど」と納得できる選出だ。1995年5月15日といえば、もうお分かりだろう。記念すべきJリーグの開幕戦、オランダ人ストライカーのマイヤーのミドルシュートで先制したヴェルディ川崎だったが、1979年ワールドユース得点王のラモン・ディアスの決勝点で横浜マリノスが2-1と逆転勝利を収めた試合だ。ディアスはその後もゴールを重ね、Jリーグ初代得点王に輝いた。
7位からはW杯の試合が登場する。まずは2002年日韓W杯グループリーグ初戦、日本対ベルギーの試合だ(81ポイントと7位とは僅差)。埼玉スタジアムでの開幕戦、ビルモッツのゴールで先制された日本だったが、小野伸二のタテパスに鈴木隆行が足を伸ばして同点ゴールを押し込む。その後も稲本潤一がドリブル突破から逆転シュート決めたものの、追いつかれて2-2のドロー。しかし日本はW杯初の勝点1をゲットした。
6位も同じく日韓W杯のグループリーグ、日本対ロシア戦(91ポイント)だった。舞台を横浜国際(日産スタジアム)に移しての第2戦、日本は初戦で負傷した森岡隆三に代わり宮本恒靖が3バックの中央に入った。そして中田浩二の左アーリークロスをゴール中央で柳沢敦が落とすと、走り込んだ稲本が右足で突き刺し決勝点。勝点を4に伸ばし、決勝トーナメント進出に大きく前進した。
5位は、予想通りベストテン入りした試合だが、もっと上位にランクインしてもいい試合ではないかと思った。ここらあたり、もしかしたら投票者の年齢層が関係しているかもしれない。といったところで、ベスト5の紹介は来週に譲りたい。
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overflow:hidden; padding:8px 0 7px; text-align:center; text-overflow:ellipsis; white-space:nowrap;"><a href="https://www.instagram.com/p/Clo2ePCPNB8/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading" style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px; text-decoration:none;" target="_blank">ESPN FC(@espnfc)がシェアした投稿</a></p></div></blockquote> <script async src="//www.instagram.com/embed.js"></script> 2022.12.03 15:33 Sat4
森保監督続投で歴代最長監督はというと…/六川亨の日本サッカーの歩み
まだ正式決定ではないが、森保一監督の『2年間の』続投が決まったようだ。正式には来年のJFA(日本サッカー協会)理事会での承認待ちになる。その頃にはコーチ陣などのスタッフの詳細も決定しているだろう。 93年のJリーグ誕生以降、日本代表の監督は基本的にW杯の4年サイクルで交代してきた。例外は94年のアジア大会で韓国に敗れたロベルト・ファルカン氏、97年のアウェー中央アジア2連戦で更迭された加茂周氏、07年に病に倒れたイヴィチャ・オシム氏、15年に契約解除されたハビエル・アギーレ氏、そして18年に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ氏の5人しかいない。 そうした過去30年の歴史のなかで、初めて『続投』が決定的となったのが森保監督である。目標としていた「ベスト8」には届かなかったものの、大国ドイツとスペインに逆転勝ちを収めたことが高く評価されたことは言うまでもない。 そこで過去の歴代監督の任期を振り返ると、上には上がいるもので、長沼健氏(元JFA会長)は1962年から69年までの7年間と、さらに72年から76年までの4年間、トータル11年間も日本代表の監督を務めた。「時代が違う」と言ってしまえばそれまでだが、おそらく2度と破られることのない記録と言っていいだろう。 長沼氏が“長期政権"を担うことになったのには理由がある。64年に東京五輪があったからだ。このため62年に33歳の若さで監督に抜擢された。そして東京五輪ではグループリーグでアルゼンチンを倒して決勝トーナメントに進出。準々決勝で銀メダルに輝いたチェコスロバキアに0-4で敗れたが、ベスト8進出で日本に“第1次サッカーブーム"を巻き起こした。 さらに4年後のメキシコ五輪では、アジア勢初となる銅メダル獲得の快挙を達成。その再現を半世紀後の21年東京五輪で森保監督は期待されたが、残念ながらメダルにはあと一歩届かなかった。 長沼氏は69年のメキシコW杯アジア1次予選で、韓国とオーストラリアの後塵を拝したことで監督の座をコーチだった岡野俊一郎氏(元JFA会長)に譲る。しかし岡野氏が71年のミュンヘン五輪予選で韓国とマレーシアに負けたことで、日本サッカーの復権は再び長沼氏に託されることになった。 ところが73年の西ドイツW杯アジア予選はイスラエル(当時はアジアに所属し、中東勢が対戦を拒否したため予選は東アジアに組み込まれた)とマレーシアに敗れ、76年のモントリオール五輪アジア予選も韓国とイスラエルに敗れて監督から退くことになった。 当時の日本サッカーは、「W杯予選は負けても当たり前」であり、五輪予選で敗退するたびに監督は交代していた。Jリーグ開幕以前では、92年のバルセロナ五輪アジア最終予選で敗れた横山謙三総監督、88年ソウル五輪アジア最終予選で中国に逆転負けを喫した石井義信氏(故人)、80年モスクワ五輪アジア予選で韓国とマレーシアに及ばなかった下村幸男氏らである。 しかし96年のアトランタ五輪に28年ぶりに出場して以来、五輪出場は7大会連続して出場。その間には12年ロンドン五輪と21年東京五輪ではメダルまであと一歩に迫った。もう五輪は出場するのは当たり前で、次の24年パリ五輪は「メダル獲得」がノルマになるだろう。 同じようにW杯も98年以降7大会連続して出場中で、さらに2026年のアメリカ・カナダ・メキシコ大会は出場国が48に増えるため、出場権を失うことはまず考えられない。森保監督にとっては「ベスト8」への再チャレンジになるが、その前に横内昭展ヘッドコーチは磐田の監督に、上野優作コーチはFC岐阜の監督に転身するなどスタッフの陣容は一新せざるを得ない。 果たして新たなスタッフの顔ぶれはどうなるのか。そこに外国人コーチが入るのかどうかなどは楽しみなところ。 そして森保監督は、23年こそ秋まで親善試合しかない“静かな"一年になるものの、21年東京五輪は「金メダル」を目標に掲げながらも4位に終わり、カタールW杯も「ベスト8」が目標だったがラウンド16で敗退した。このため、まだ先の話ではあるが、24年のアジアカップでは『優勝』がW杯まで続投するためのノルマにすべきではないだろうか。 2022.12.26 22:00 Mon5
