今は嵐の前の静けさだけど…/原ゆみこのマドリッド
2025.02.15 00:30 Sat
「これじゃバルサ祭りだわ」そんな風に私が嘆いていたのは木曜日、前日にコパ・デル・レイ準決勝のカードが決まったため、アトレティコの先の予定を見ていた時のことでした。いやあ、リーガ前節でも引き分けたばかりだった、ファンの心臓に悪いマドリーダービー祭りこそ、お隣さんの相手がレアル・ソシエダに決まって避けられたんですけどね。バルサvsアトレティコ戦1stレグは2月25日、2ndレグは4月2日と離れているものの、シメオネ監督のチームは3月16日の週末にもリーガで彼らをメトロポリターノに迎えるって、3月は各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)もあることを考えると、ほぼ隔週でバルサ戦がある?
いえ、昨年の12月にはモンジュックでセルロートが後半ロスタイム6分に勝ち越しゴールを挙げ、1-2の土壇場逆転勝ちをしたのはまだ、記憶に新しいんですけどね。といっても、シメオネ監督がバルサとのアウェイゲームで白星を挙げたのは就任以来、それが初めてで、準決勝1stレグでリピートできるかどうかは怪しいところ。救いは2ndレグをメトロポリターノでプレーできることですが、え?コパの狭間に当たる3月4、5日と11、12日に開催されるCL16強対決がマドリーダービーになる可能性も今では一層、大きくなったんじゃないかって?
まさにその通りで、そうなると2月末から4月の頭まで、アトレティコは延々と強敵と戦い続けることになりますからね。この2週間こそ、レアル・マドリーがCL16強対決を懸けたプレーオフでマンチェスター・シティと死闘を繰り広げているのを高見の見物で済んでいる彼らですが、もしかしたら、その先が恐ろしくハードになりそうなのはかなり、怖いですよね。
まあ、そんなことはともかく、そのCL16強マドリーダービー実現に向けて、お隣さんが一歩前進した火曜の試合がどんなだったか、お話ししていくことにすると。昨今、毎年のようにマンチェスター・シティと対戦していたマドリーだったんですが、Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)を達成した昨季は準々決勝2ndレグをPK戦で制して突破。とはいえ、エティハド・スタジアムでは未だに普通に勝ったことがなかったため、ええ、しかも現在、負傷者多発でDF4人のラインがかつて誰も想像したことのないメンバーになっていましたからね。
この日は先日のマドリーダービーで右SBを務めたルーカス・バスケスもハムストリングのケガでおらず、MFのバルベルデが代行。CBコンビはカンテラーノのアセンシオと本職ボランチのチュアメニ、左SBのメンディだけがDFのレギュラーという、「Los cuatro de atrás nunca habían jugado juntos, y nunca ni siquiera habían entrenado juntos/ロス・クアトロ・デ・アトラス・ヌンカ・アビアン・フガードー・フントス、イ・ヌンカ・ニ・シキエラ・アビアン・エントレナードー・フントス(後ろの4人は一度も一緒にプレーしたことがない。練習すらしことがなかった)」(アンチェロッティ監督)という急造カルテットだったため、マドリーファンは心配していたかもしれないんですが、これが意外と大丈夫だったんです。
それが、正確にはわからなくても、挑発されたと感じた当人が序盤からハッスルし、エリア内に突っ込んで、GKエデルソンに倒されながら、オフサイドでPKを取ってもらないなんてことがあった後、19分にはハーランドに先制点を奪われてしまったから、さあ大変!そう、この時はグリーリッシュが入れた浮き球をグヴァルディオルが胸で落とし、そのボールをハーランドが近距離シュートで決めたんですが、とにかくVAR(ビデオ審判)によるオフサイドチェックが長くってねえ。その間、試合開始の45分前に入って、かろうじてカウンターの席を私が確保できた近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で観戦するファンもジリジリしながら待っていたんですが、結果は凶と出ることに。
ただ、シティもあまり運に恵まれておらず、30分にはグリーリッシュが負傷して、早々とフォーデンと交代したんですけどね。とにかく撃つには撃っていたマドリーながら、ビニシウスのシュートがゴールバーに当たってしまったりと、前半のうちには追いつくことができず。挙句の果てには、クルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)でフォーデンを止めるなんてこともあったため、ハーフタイムにはアンチェロッティ監督がスタメンの選手たち、とりわけ守備に協力的でなかった前線の4人を、「Si en cinco minutos, no hacéis lo que se dice, llegarán los cambios/シー・エン・シンコ・ミヌートス、ノー・アセイス・ロ・ケ・セ・ディセ、ジェガラン・ロス・カンビオス(5分以内に言われたことができてなかったら、交代だ)」と脅したところ…。
その効果があったんでしょうかね。後半頭にもアカンジがルイスと代わったシティは再開早々、ハーランドがシュートをゴールバーに当てて、ヒヤリとさせられたりしたものの、15分には待望の同点ゴールが入ったんですよ。そう、FKが敵の壁に当たって戻って来たのをセバージョスがエリア内に送り、エムバペがアクロバティックなtigera(ティヘラ/シザースシュート)で決めたんですが、いやあ、彼、あんな特異な体勢からゴールが入れられるのに、普通のシュートをよく外しているのは一体、何故?
これで1-1となり、まあ、引分けならば、来週水曜のサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでどうにでもなると思ったんですが、うーん、もしかしてUEFAのVARはリーガより厳しいんでしょうか。何と32分、先日はマドリーダービーでバリオスの足首を踏みながら、レッドカードを免れたセバージョスがフォーデンをエリアのライン上で倒し、ペナルティを取られてしまうとは!当然ながら、ハーランドがしっかりゴールに変え、2-1で再びリードされてるって、困ったもんじゃないですか。
え、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が売りのマドリーなんだから、そのまま負けたって、2ndレグで引っくり返すのに全然、問題ないんじゃないかって?まあ、そうですが、今季はシティ自体が負の連鎖に陥っているようでねえ。あとでグァルディオラ監督も「Tras el 2-1, pasó lo que ha pasado muchas veces esta temporada. Lo regalamos/トラス・エル・ドス・ウノ、パソ・ロ・ケ・ア・パサードー・ムーチャス・ベセス・エスタ・テンポラーダ。ロ・レガラモス(2-1になった後、今季何度も起こっていることが起きた。ウチがプレゼントしてしまった)」と言っていたんですが、だからって、その逆転ドラマを最後の最後まで取っておく辺りはいかにもマドリーらしかったかと。
そう、PKが決まった直後にセバージョスはモドリッチと交代となり、更にはロドリゴがブライムと代わっても、しばし変化は見られなかったんですけどね。いよいよ残り5分を切った41分、ビニシウスのシュートはエデルソンに弾かれたものの、こぼれたボールをブライムが撃ち込んで、マドリーは同点をゲット。ロスタイムに入ると、ええ、アンチェロッティ監督もイーブンで2ndレグを始められれば、満足だったんでしょう。エムバペをフラン・ガルシアにして、守備固めに入ったんですが、まさにその1分後のことでした。マドリーのレモンターダが完成したのは。
いえ、敵陣でボールを奪ったビニシウスが、エデルソンが飛び出してくる前で放ったvaselina(バセリーナ/ループシュート)は枠を外れていたんですけどね。そこにベリンガムが脱兎のように駆けつけ、コースを変えてゴールに入れてしまったから、ビックリしたの何のって。だってえ、90分プレーした後であのダッシュ力ですよ。やっぱり一流選手は体力も込みで一流なんだと再確認させられた私でしたが、もちろん、このゴールに店内のファンたちが狂喜乱舞していたのは言うまでもありませんって。
ちなみに2-3で勝った後のアンチェロッティ監督は、今更ながら土壇場のゴール力には驚いてはいなかったものの、「No pensaba que en este momento el equipo pudiese tener un sacrificio así/ノー・ペンサバ・ケ・エン・エステ・モメントー・エル・エキポ・プディエセ・テネール・ウン・サクリフィシオ・アシー(この瞬間にチームにあんな献身的なプレーができるとは思わなかった)」と、後半は選手たちが真剣に守っていたことを評価。要はビニシウス、エムバペ、ロドリゴ、ベリンガムがいれば、ほっといても点は入るため、失点を防ぐ方が大事ってことでしょうが、となると、来週の2ndレグにリュディガーとアラバが戻って来られそうなのは大きいかと。
ただ、その前、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、エル・サダルでプレーするオサスナ戦はわからないんですけどね。辛いのは今、リーガの方もマドリーは首位とはいえ、2位のアトレティコ、3位のバルサが勝ち点1差で続いているため、まったく気が抜けないことで、何せ、ライバル2チームはCL16強対決に直接進出。今週来週はミッドウィークフリーと、体力十分で週末の試合に挑めるため、マドリーも躓いてはいられないんですよ。
そうそう、今節はマドリーを援護射撃できるかもしれない弟分がいて、それは月曜午後9時(日本時間翌午前5時)にモンジュイックに乗り込むラージョ。いやまあ、このところ、コパ準々決勝でバレンシアに0-5、前節もセビージャに1-4とまたgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)基調に戻ってしまったバルサだけに、ここ9試合連続無敗とクラブ最長記録を打ち立てているイニゴ・ペレス監督のチームでも難しいかもしれないんですけどね。その上、メンタル系の疾患で2カ月半程、休んでいたRdT(ラウール・デ・トマス)が練習再開したという知らせはあったものの、実戦復帰はまだ先のことですし、前節のバジャドリー戦ではカメージョが中足骨を骨折。
丁度、オサスナのブライアン・サラゴサが同じケガを12月にして、復帰したのが最近ですから、カメージョも同じく、回復には2カ月ぐらいかかりそうですが、せめてもの慰みは出場停止だったエヌテカが戻って来ること。ええ、彼と前節に決勝ゴールを挙げたアルバロ・ガルシアは今週、どちらも2026年までの契約延長をして、きっと張り切っているはずですからね。最近、来季のコンフェレンスリーグ出場圏の6位に定着したラージョは後続と勝ち点4差ありますし、バルサに勝てなくても、せめて引き分けてくれれば、喜ぶのはもう1つの兄貴分も一緒かと。
そのアトレティコは日月火と3連休を取って、グリーズマンとコケがスーパーボウルを見にアメリカまで行ったり、フリアン・アルバレスは彼女とベネチアでロマンチックな休日を過ごすなど、皆、しっかりリフレッシュができたようですが、まあ土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのセルタ戦はメトロポリターノ開催ですからね。今度はダービーで出場停止だったル・ノルマンも戻り、お隣さんと対照的にケガ人がまったくいない彼らですし、ホームのファンの前でまた強いところを見せてくれるかと思いますが、こればっかりはねえ。
一方、一部残留の戦いをしている弟分たちでは、ヘタフェが金曜試合でジローナと対戦。前節、アラベスに勝って、降格圏との差を勝ち点5に広げたボルダラス監督のチームですが、実は彼ら、今年になってからのリーガのアウェイ戦で3連勝中なんですよ。ホームでは引き分けて、5試合無敗と好調なんですが、何せ、相手のジローナもCLに敗退して、今週は休養十分ですからね。ルイス・ミジャ以外、負傷者がおらず、ベルナト(ビジャレアルと契約解消)、テラツ(ビジャレアルからレンタル)、ファンミ(ベティスからレンタル)も加わって、選手層がやや厚くなった効用をモンテリビでも見せられるといいのですが。
そしてそのお隣さんのレガネスは土曜にブタルケでアラベス戦なんですが、こちらは先日、コパ準々決勝で兄貴分のマドリーに土壇場敗退した後、前節のバレンシア戦でも負けて、少々ショックが尾を引いている感も。おまけにその試合では入団したてだったバリシッチ(トラブゾンスポルからレンタル)がデビュー早々、ヒザの靭帯を断裂し、今季絶望になるという悲劇も発生。今は降格圏から1つ上の17位とはいえ、18位のバレンシア、19位のアラベスとこちらも勝ち点1ずつ差という、かなり切羽詰まった状態ですしね。そんな時こそ、初心に帰って、12月からバルサ、アトレティコ、アスレティックを零封した鉄壁の守備力を取り戻し、勝利に繋げてもらえたらと思いますが、果たしてどうなるんでしょうね。
いえ、昨年の12月にはモンジュックでセルロートが後半ロスタイム6分に勝ち越しゴールを挙げ、1-2の土壇場逆転勝ちをしたのはまだ、記憶に新しいんですけどね。といっても、シメオネ監督がバルサとのアウェイゲームで白星を挙げたのは就任以来、それが初めてで、準決勝1stレグでリピートできるかどうかは怪しいところ。救いは2ndレグをメトロポリターノでプレーできることですが、え?コパの狭間に当たる3月4、5日と11、12日に開催されるCL16強対決がマドリーダービーになる可能性も今では一層、大きくなったんじゃないかって?
まさにその通りで、そうなると2月末から4月の頭まで、アトレティコは延々と強敵と戦い続けることになりますからね。この2週間こそ、レアル・マドリーがCL16強対決を懸けたプレーオフでマンチェスター・シティと死闘を繰り広げているのを高見の見物で済んでいる彼らですが、もしかしたら、その先が恐ろしくハードになりそうなのはかなり、怖いですよね。
この日は先日のマドリーダービーで右SBを務めたルーカス・バスケスもハムストリングのケガでおらず、MFのバルベルデが代行。CBコンビはカンテラーノのアセンシオと本職ボランチのチュアメニ、左SBのメンディだけがDFのレギュラーという、「Los cuatro de atrás nunca habían jugado juntos, y nunca ni siquiera habían entrenado juntos/ロス・クアトロ・デ・アトラス・ヌンカ・アビアン・フガードー・フントス、イ・ヌンカ・ニ・シキエラ・アビアン・エントレナードー・フントス(後ろの4人は一度も一緒にプレーしたことがない。練習すらしことがなかった)」(アンチェロッティ監督)という急造カルテットだったため、マドリーファンは心配していたかもしれないんですが、これが意外と大丈夫だったんです。
いえまあ、キックオフ前にCLアンセムが鳴る時には、シティの応援団がバロンドールをもらうロドリゴの写真に「Stop Crying Your Heart Out/心から泣くのは止めて」という、オアシスの歌のタイトルを添えた大幕を用意。GKクルトワなど、「ボクは見たけど、no sé si Vini entiende bien el inglés para saber lo que era/ノー・セ・シ・ビニ・エンティエンデ・ビエン・エル・イングレス・パラ・サベール・ロ・ケ・エラ(何のことかわかるぐらい、ビニが英語をよく理解しているかは知らないよ)」なんて、失礼なことを言っていたんですけどね。
それが、正確にはわからなくても、挑発されたと感じた当人が序盤からハッスルし、エリア内に突っ込んで、GKエデルソンに倒されながら、オフサイドでPKを取ってもらないなんてことがあった後、19分にはハーランドに先制点を奪われてしまったから、さあ大変!そう、この時はグリーリッシュが入れた浮き球をグヴァルディオルが胸で落とし、そのボールをハーランドが近距離シュートで決めたんですが、とにかくVAR(ビデオ審判)によるオフサイドチェックが長くってねえ。その間、試合開始の45分前に入って、かろうじてカウンターの席を私が確保できた近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で観戦するファンもジリジリしながら待っていたんですが、結果は凶と出ることに。
ただ、シティもあまり運に恵まれておらず、30分にはグリーリッシュが負傷して、早々とフォーデンと交代したんですけどね。とにかく撃つには撃っていたマドリーながら、ビニシウスのシュートがゴールバーに当たってしまったりと、前半のうちには追いつくことができず。挙句の果てには、クルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)でフォーデンを止めるなんてこともあったため、ハーフタイムにはアンチェロッティ監督がスタメンの選手たち、とりわけ守備に協力的でなかった前線の4人を、「Si en cinco minutos, no hacéis lo que se dice, llegarán los cambios/シー・エン・シンコ・ミヌートス、ノー・アセイス・ロ・ケ・セ・ディセ、ジェガラン・ロス・カンビオス(5分以内に言われたことができてなかったら、交代だ)」と脅したところ…。
その効果があったんでしょうかね。後半頭にもアカンジがルイスと代わったシティは再開早々、ハーランドがシュートをゴールバーに当てて、ヒヤリとさせられたりしたものの、15分には待望の同点ゴールが入ったんですよ。そう、FKが敵の壁に当たって戻って来たのをセバージョスがエリア内に送り、エムバペがアクロバティックなtigera(ティヘラ/シザースシュート)で決めたんですが、いやあ、彼、あんな特異な体勢からゴールが入れられるのに、普通のシュートをよく外しているのは一体、何故?
これで1-1となり、まあ、引分けならば、来週水曜のサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグでどうにでもなると思ったんですが、うーん、もしかしてUEFAのVARはリーガより厳しいんでしょうか。何と32分、先日はマドリーダービーでバリオスの足首を踏みながら、レッドカードを免れたセバージョスがフォーデンをエリアのライン上で倒し、ペナルティを取られてしまうとは!当然ながら、ハーランドがしっかりゴールに変え、2-1で再びリードされてるって、困ったもんじゃないですか。
え、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が売りのマドリーなんだから、そのまま負けたって、2ndレグで引っくり返すのに全然、問題ないんじゃないかって?まあ、そうですが、今季はシティ自体が負の連鎖に陥っているようでねえ。あとでグァルディオラ監督も「Tras el 2-1, pasó lo que ha pasado muchas veces esta temporada. Lo regalamos/トラス・エル・ドス・ウノ、パソ・ロ・ケ・ア・パサードー・ムーチャス・ベセス・エスタ・テンポラーダ。ロ・レガラモス(2-1になった後、今季何度も起こっていることが起きた。ウチがプレゼントしてしまった)」と言っていたんですが、だからって、その逆転ドラマを最後の最後まで取っておく辺りはいかにもマドリーらしかったかと。
そう、PKが決まった直後にセバージョスはモドリッチと交代となり、更にはロドリゴがブライムと代わっても、しばし変化は見られなかったんですけどね。いよいよ残り5分を切った41分、ビニシウスのシュートはエデルソンに弾かれたものの、こぼれたボールをブライムが撃ち込んで、マドリーは同点をゲット。ロスタイムに入ると、ええ、アンチェロッティ監督もイーブンで2ndレグを始められれば、満足だったんでしょう。エムバペをフラン・ガルシアにして、守備固めに入ったんですが、まさにその1分後のことでした。マドリーのレモンターダが完成したのは。
いえ、敵陣でボールを奪ったビニシウスが、エデルソンが飛び出してくる前で放ったvaselina(バセリーナ/ループシュート)は枠を外れていたんですけどね。そこにベリンガムが脱兎のように駆けつけ、コースを変えてゴールに入れてしまったから、ビックリしたの何のって。だってえ、90分プレーした後であのダッシュ力ですよ。やっぱり一流選手は体力も込みで一流なんだと再確認させられた私でしたが、もちろん、このゴールに店内のファンたちが狂喜乱舞していたのは言うまでもありませんって。
ちなみに2-3で勝った後のアンチェロッティ監督は、今更ながら土壇場のゴール力には驚いてはいなかったものの、「No pensaba que en este momento el equipo pudiese tener un sacrificio así/ノー・ペンサバ・ケ・エン・エステ・モメントー・エル・エキポ・プディエセ・テネール・ウン・サクリフィシオ・アシー(この瞬間にチームにあんな献身的なプレーができるとは思わなかった)」と、後半は選手たちが真剣に守っていたことを評価。要はビニシウス、エムバペ、ロドリゴ、ベリンガムがいれば、ほっといても点は入るため、失点を防ぐ方が大事ってことでしょうが、となると、来週の2ndレグにリュディガーとアラバが戻って来られそうなのは大きいかと。
ただ、その前、土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、エル・サダルでプレーするオサスナ戦はわからないんですけどね。辛いのは今、リーガの方もマドリーは首位とはいえ、2位のアトレティコ、3位のバルサが勝ち点1差で続いているため、まったく気が抜けないことで、何せ、ライバル2チームはCL16強対決に直接進出。今週来週はミッドウィークフリーと、体力十分で週末の試合に挑めるため、マドリーも躓いてはいられないんですよ。
そうそう、今節はマドリーを援護射撃できるかもしれない弟分がいて、それは月曜午後9時(日本時間翌午前5時)にモンジュイックに乗り込むラージョ。いやまあ、このところ、コパ準々決勝でバレンシアに0-5、前節もセビージャに1-4とまたgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)基調に戻ってしまったバルサだけに、ここ9試合連続無敗とクラブ最長記録を打ち立てているイニゴ・ペレス監督のチームでも難しいかもしれないんですけどね。その上、メンタル系の疾患で2カ月半程、休んでいたRdT(ラウール・デ・トマス)が練習再開したという知らせはあったものの、実戦復帰はまだ先のことですし、前節のバジャドリー戦ではカメージョが中足骨を骨折。
丁度、オサスナのブライアン・サラゴサが同じケガを12月にして、復帰したのが最近ですから、カメージョも同じく、回復には2カ月ぐらいかかりそうですが、せめてもの慰みは出場停止だったエヌテカが戻って来ること。ええ、彼と前節に決勝ゴールを挙げたアルバロ・ガルシアは今週、どちらも2026年までの契約延長をして、きっと張り切っているはずですからね。最近、来季のコンフェレンスリーグ出場圏の6位に定着したラージョは後続と勝ち点4差ありますし、バルサに勝てなくても、せめて引き分けてくれれば、喜ぶのはもう1つの兄貴分も一緒かと。
そのアトレティコは日月火と3連休を取って、グリーズマンとコケがスーパーボウルを見にアメリカまで行ったり、フリアン・アルバレスは彼女とベネチアでロマンチックな休日を過ごすなど、皆、しっかりリフレッシュができたようですが、まあ土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのセルタ戦はメトロポリターノ開催ですからね。今度はダービーで出場停止だったル・ノルマンも戻り、お隣さんと対照的にケガ人がまったくいない彼らですし、ホームのファンの前でまた強いところを見せてくれるかと思いますが、こればっかりはねえ。
一方、一部残留の戦いをしている弟分たちでは、ヘタフェが金曜試合でジローナと対戦。前節、アラベスに勝って、降格圏との差を勝ち点5に広げたボルダラス監督のチームですが、実は彼ら、今年になってからのリーガのアウェイ戦で3連勝中なんですよ。ホームでは引き分けて、5試合無敗と好調なんですが、何せ、相手のジローナもCLに敗退して、今週は休養十分ですからね。ルイス・ミジャ以外、負傷者がおらず、ベルナト(ビジャレアルと契約解消)、テラツ(ビジャレアルからレンタル)、ファンミ(ベティスからレンタル)も加わって、選手層がやや厚くなった効用をモンテリビでも見せられるといいのですが。
そしてそのお隣さんのレガネスは土曜にブタルケでアラベス戦なんですが、こちらは先日、コパ準々決勝で兄貴分のマドリーに土壇場敗退した後、前節のバレンシア戦でも負けて、少々ショックが尾を引いている感も。おまけにその試合では入団したてだったバリシッチ(トラブゾンスポルからレンタル)がデビュー早々、ヒザの靭帯を断裂し、今季絶望になるという悲劇も発生。今は降格圏から1つ上の17位とはいえ、18位のバレンシア、19位のアラベスとこちらも勝ち点1ずつ差という、かなり切羽詰まった状態ですしね。そんな時こそ、初心に帰って、12月からバルサ、アトレティコ、アスレティックを零封した鉄壁の守備力を取り戻し、勝利に繋げてもらえたらと思いますが、果たしてどうなるんでしょうね。
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バルサは祝ってるけど、まだ続くリーガもある…/原ゆみこのマドリッド
「あと大変なのは弟分だけね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、慌ただしいミッドウィーク開催36節がバルサのリーガ優勝で終わった翌朝のことでした。いやあ、もちろん、水曜のサンティアゴ・ベルナベウでマジョルカ相手に意地で勝利を挙げた甲斐もなく、翌日にはクラシコ(伝統の一戦)で勝ち点差を7にした宿敵がエスパニョールに0-2と勝利。最短ルートでタイトルをものにしたのはきっと、レアル・マドリーの選手たちも面白くないものを感じているとは思いますけどね。お隣さんも負けたため、2位の座が安泰となったのは良かったかと。 一方、またしてもアウェイで恥をさらしてきたアトレティコも前節で、毎シーズンの義務である5位以上の来季CL出場権は確定させていますからね。まだ4位のアスレティックに抜かれる可能性あるものの、5位ビジャレアルとは勝ち点差6でゴールアベレージはイーブン、総得失点差で上回っているため、落ちても4位で来季のスペイン・スーパーカップ出場権(今季の決勝がバルサvsマドリーだったため)はゲットと至って平和なんですが、対照的に残り2節に全てが懸かってしまったのが、ラージョ、ヘタフェ、レガネスのマドリッド勢弟分3チームなんですよ。 その状況を説明するのを兼ねて、この火曜水曜の試合がどうだったか、振り返っていくことにすると。先陣を切ったのはどこより辛い状況にあるレガネスで、ええ、ラ・セラミカでのビジャレアル戦を私もサンティアゴ・ベルナベウへ行く前に見ていたんですけどね。前節はようやくエスパニョールに勝ったため、少しは継続してくれるかと期待したものの、それがまったくダメだったんです。相手がCL出場権獲得に邁進しているチームだというのもあったんでしょうが、前半だけでアジョセに2本、そしてハーフタイム入り直前にもペペに決められて、呆気なく3-0で勝負がついてしまいましたっけ。 それも不幸は重なるもので、同日同時間帯にプレーしていたアラベスがバレンシアに1-0で勝ったため、残留圏最後の17位である相手とレガネスの勝ち点差が4となり、いえ、おかげでバジャドリーに続き、ラス・パルマスの降格が決まり、僅かでも生き残りの可能性があるのは18位のレガネスだけとなったんですけどね。ボルハ・ヒメネス監督は、「Mientras hay vida, hay esperanza. Vamos a pelear a por los 40 puntos/ミエントラス・アイ・ビダ、アイ・エスペランサ。バモス・ア・ペレアル・ア・ポル・ロス・クアレンタ・プントス(生きている間は希望がある。ウチは勝ち点40を目指して戦う)」と話していたものの…。 というのも、彼らの残りの対戦相手は37節、日曜の全カードunificacion(ウニフィカシオン/統合)時間帯午後7時(日本時間翌午前2時)ではラス・パルマス、最終節はバジャドリーと両降格済みチームというのは希望が持てるんですが、他力本願になることだから。要はやはり、次節にバジャドリーと対戦するアラベスが勝った場合、勝ち点が41となり、レガネスは2連勝しても追いつけず。その場合はもう2つの残留未達成チーム、勝ち点5差のヘタフェか、エスパニョールが2連敗してくれるかどうかに懸かってくることに。 どちらにしろ、かなり見込みの薄い賭けに見えるんですが、ラ・セラミカでの帰りがけには応援に来ていたレガネスファンが、来季はバレンシア移籍の噂があるネユウに「Basura!/basura(クズ)」と罵声を浴びせ、一気触発状態になったなんてことも。いつもブタルケでは「2部Bになってもついていく」と歌っているファンたちなんですから、今季4年ぶりで再昇格して、慣れない1部での戦いにここまで一生懸命、取り組んできた選手たちを貶めることはしないでほしいものです。 そして火曜の午後9時半、サンティアゴ・ベルナベウにマジョルカを迎えたマドリーはというと、泣きっ面に蜂とはまさにこのことで、クラシコに負けてリーガ逆転優勝の目が99%なくなった彼らには前代未聞の頭数不足が襲来。元々、長期離脱のカルバハル、ミリトン、手術したリュディガー、アラバ、メンディ、まだリハビリ中のカマビンガ、クラシコでケガをしたビニシウス、ルーカス・バスケス、自信喪失中のロドリゴ、出場停止のチュアメニに加え、試合前日にもGKルニンとブライムが招集リスト落ちとなったおかげで、とうとう大量12名が欠けたとなれば、その日の控え選手がバジャホ以外、全員カンテラーノ(RMカスティージャの選手)だったの仕方なかったかと。 そのせいか、ベルナベウも満員にはならなかったんですが、そんな状況でも勝利を求められるのがマドリーですからね。前半11分、マテウのパスをセバージョスがカットできず、バルイェントに先制ゴールを奪われた時には場内も一瞬、凍りついたものでしたが、そこは世界一を自負するチーム。GKレオ・ロマンがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発したせいで、同点になるのは後半23分、モドリッチのスルーパスから、敵DF3人に囲まれたエムバペが格の違いを際立たせるシュートを決めてくれるまで待たないといけなかったんですが、いやホント、マドリーには最後まで絶対に諦めない精神がしみ込んでいるんですねえ。 そう、後半19分に脚を打撲した、今は押しも押されぬレギュラーでも登録がRMカスティージャのままのアセンシオをトップチームの幽霊部員バジェホに交代。他は29分にせっかく巡ってきた先発のチャンスを生かせなかったエンドリックをコパ・デル・レイ準々決勝レガネス戦の後半ロスタイムに決勝ゴールを挙げたゴンサロにしただけで、トップチームの選手が常時7人以上ピッチにいないといけない規定を守ったマドリーは、アンチェロッティ監督も「Nunca he visto un equipo que haya tirado 40 veces a portería como hemos hecho/ヌンカ・エ・ビストー・ウン・エキポ・ケ・アジャ・ティラードー・クアレンタ・ベセス・ア・ポルテリア・コモ・エモス・ヘッチョー(ウチがやったように40回もシュートするチームは見たことがない)」と驚いていた猛攻を、飽きずに終盤まで続けることに。 するととうとう、後半ロスタイム最後の分にはモドリッチのCKがクリアされた後、フラン・ガルシアが再びエリアに戻したボールをバジェホがヘッドで流し、出場3試合目のCBヤコボがコペテに先んじてシュート。「He ido y no sé ni cómo, pero la he metido/エ・イドー・イ・ノー・セ・ニ・コモ、ペロ・ラ・エ・メティードー(行って、どうやったかはわからないけど、ゴールに入れた)」という彼の初得点で、土壇場のremontada(レモンダーダ/逆転劇)を達成しているんですから、驚いたの何のって(最終結果2-1)。 これでバルサがエスパニョール戦をプレーする前にして、リーガチャンピオンとなるのを防げたマドリーだったんですが、この根性を今季、リーガのバルサ戦以外の試合でも見せられていいたらねえ。試合後、クルトワなどは、「Vamos a creer hasta que matemáticamente sea imposible/バモス・ア・クレエル・アスタ・ケ・マテマティカメンテ・セア・インポシブレ(数字的に不可能になるまで、ボクらは信じる)」と言っていたものの、翌日のカタルーニャダービーでは予想通り、奇跡は起こらず。 よって、残りのセビージャ、レアル・ソシエダとの2試合は、レバンドフスキととうとう3得点差になったエムバペが上乗せゴールを入れて、ピチチ(リーガの得点王)だけでなく、ヨーロパ・ゴールデンシュー獲得を目指す機会と、クラブW杯前のプレシーズンマッチと化したマドリーなんですが、ケガから復帰する選手もそうそう多くはなさそうですしね。大体がして、もうアンチェロッティ監督の頭にはブラジル代表の6月W杯予選に向けての招集リスト作りしかないかも。 せいぜい、6月に赴任するシャビ・アロンソ監督にRMカスティージャからの抜擢メンバーがアピールする機会ぐらいにしかならないんじゃないかと思いますが、困ったのは、試合終了直前まで、勝ち点1確保を見込みながら、空手で帰ることになったマジョルカのアラサーテ監督の決意。そう、8位のコンフェレンスリーグ出場の座を勝ち点1差でラージョ、オサスナと争っている彼らだけに、「最後のCKをクリアして終わったはずだったのにゴールを入れられた。Te vas con rabia, pero hay que transformarla en energía el domingo/テ・バス・コン・ラビア、ペロ・アイ・ケ・トランスフォルマルラ・エン・エネルヒア・エル・ドミンゴ(怒り心頭だが、このエネルギーを日曜に持って行かないと)」と言っていたんですが、その日曜の相手はヘタフェなんですよ。 おまけに「Tenemos que intentar ganar el domingo para llegar a Vallecas con opciones europeas/テネモス・ケ・インテンタール・ガナール・エル・ドミンゴ・パラ・ジェガール・ア・バジェカス・コン・オプシオネス・エウロペアス(日曜に勝って、ヨーロッパの大会参加の可能性を残してバジェカスに着かないといけない)」(アラサーテ監督)というように、マジョルカの最終節はラージョ戦。となれば、もしやマドリーは弟分たちに対して、余計なことをしてくれた? ええ、何せ翌木曜にはマドリッドがサン・イシドロ祭の祝日で賑わう中、エスタディオ・バジェカスに足を運んだ私だったんですけどね。昼間に降ったにわか雨も上がり、お日様がさんさんと輝く中でキックオフとなったベティス戦は、ラージョが前半37分にペドロ・ディアスのミドルシュートがバーに当たって落ちたボールをデ・フルートスがヘッドで決めて先制。更に前半ロスタイムにもルジューヌの直接FKがゴールとなり、2-0で折り返す最高の展開に。 やっぱりここ3週間、コンフェレンスリーグ準決勝フィオレンティーナ戦から週2試合となり、しかも先週は延長戦でチェルシーとの決勝に進出とあって、ベティスは疲れているはずという予想が当たったと、ホクホクしながら、後半を捨てて、私がコリセウムに向かったところ、やられました!うーん、やはり「Salimos un poco aturdidos quizás por la euforia, en la segunda parte/サリモス・ウン・ポコ・アトゥルディードス・キサ・ポル・ラ・エウフォリア、エン・ラ・セグンダ・パルテ(ボクらは多分、歓喜しすぎていて、ちょっとボオッとして後半に入った)」(ラティウ)のせいだったんでしょうかね。 メトロからアトーチャ駅でセルカニアス(国鉄近郊路線)に乗り換える前、早くも6分にはクチョのゴールで1点を返され、15分には英雄だったルジューヌがアブデをエリア内で倒してPKを献上。イスコに2点目を決められて、最後は2-2で引き分けてしまうんですから、ガッカリじゃないでうか。いえ、「Tenemos dos finales por delante y hay que ganarla/テネモス・ドス・フィナレス・ポル・デランテ・イ・アイ・ケ・ガナールラ(ウチには2つの決勝があって、勝たないといけない)」とイニゴ・ペレス監督も言っていた通り、日曜のセルタ戦、最終節のマジョルカ戦に勝てば、来季のコンフェレンスリーグの切符どころか、36節で勝ち点4差になってしまったセルタを追い越して、未だにEL行きも夢じゃないんですけどね。 せっかくの直接ライバルたちと差をつける機会を失ってしまったのは残念ではありますが、まあ、最後まで競うものが残留ではないだけ、ラージョは百万倍幸せ。だってえ、ファンに総動員をかけ、アスレティック戦前にはbengala(ベンガラ/発煙筒)を焚いて、チームバスをお出迎えしてもらい、普段の数倍は力強いコリセウムの応援を受けながら、GKダビド・ソリアとウナイ・シモンのロングゴールキックと延々にボールが宙を舞っていた試合、ヘタフェは後半31分にグルセタ、44分にはCKからビビアンのシュートを浴びて、ウィリアムス兄弟のいなかったアスレティックに0-2で負け、来季のCL出場確定を祝われてしまったんですよ。 おかげでとうとう、試合の終盤にはスタンドから、「jugadores mercenarios/フガドーレス、メセナリオス(選手は金で雇われた傭兵)」というカンティコが出ていた程だったんですが、つまりこれって、6連敗の彼らは未だに残留確定ができておらず。エスパニョール、アラベス、レガネスと共に降格最後の1チームになる可能性があるってことで、奇跡が起こって、お隣さんが残留できても、ヘタフェが落ちたら、そんな悲劇はない?いやまあ、それでも日曜のマジョルカ戦、最終節のセルタ戦で勝ち点を貯められれば、回避可能なんですけどね。揃って相手がヨーロッパの大会出場を目指しているチームというのが辛いところかと。 そんなヘタフェにはもう少しのガッツと幸運を祈るしかないんですが、え?何で木曜にプレーしたアトレティコの話が抜けているんだって?いやあ、私がバジェカスに行ったのも実はもう、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)であの、ちっちもさっちもいかない彼らのアウェイゲームを見ているのに耐えられなかったからで、案の定、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継でも一向にいい話は聞こえてこず。挙句の果てに前半24分にはCKから、カテナにヘッドでゴールを挙げられて先制されると、後半途中にはシメオネ監督がフリアン・アルバレス、セルロートを下げる不可解采配を見せ、ええ、今のコレアとグリーズマンではゴールをまったく期待できませんですからね。 最後は後半37分にもブドミルに頭で決められ、2-0ですごすご完敗と、その気合のないプレーぶりにラジオの解説者たちがカンカンだったのを聞くにつけ、見ないで本当に良かったとホッとしたのは私だけではない?これで彼らはコパ・デル・レイ準決勝でバルサに負けて、今季全てのタイトル獲得可能性がほぼ消えて以来、アウェイ戦5試合でたったの1勝。そんな情けない有様にならなければ、もっと遅くまでリーガで粘れたんじゃないかと思うんですが、これには「監督がアウェイで選手たちがいいレベルを見せるのに必要なモチベーションを与えられない監督の責任」といくらシメオネ監督が言い張ったって、やっぱり当事者たちの自覚の問題があるのでは? おまけにこのオサスナ戦では後半途中にバリオスがジョレンテの腰に頭をぶつけ、脳震盪で交代。日曜のスィートホーム、メトロポリターノでの今季最終戦、ベティス戦にも出られなくなってしまうとは如何に。昨季同様、シーズン終盤は突極のアウェイ弱者になり下がったアトレティコにはもう、何を言っていいか、私もわからないんですが、そんなところを含めて、彼らは人間的な愛すべきチーム。今はせめて、クラブW杯では心を入れ替えて、今季のCLグループフェーズ、PSG戦やレバークーゼン戦で見せた強さを再現してくれることを願うしかありませんね。 ご挨拶: サイトのサービス終了をもって、このコラムも今回で終わりとなります。長年のおつき合い、ありがとうございました。この先もサッカーファンの旅行先として最適なマドリッドの魅力、リーガやマドリッドのクラブの試合やニュース、スペイン代表などについて、お伝えする方法を模索中なので、その際にはよろしくお願いします。 2025.05.17 21:00 Sat3
「王者として重要な大会を戦わなければ」代表招集拒否のスペイン女子代表選手たちの声明、同意しなかったW杯優勝メンバーが理由を明かす「私は何よりもプレーしたい」
レアル・マドリーのスペイン女子代表FWアテネア・デル・カスティージョが、同意しなかった声明について自身の考えを明かした。 オーストラリ&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)で見事に優勝したスペイン女子代表。しかし、メダルが授与されるセレモニーでスペインサッカー連盟(RFEF)のルイス・ルビアレス会長がFWジェニファー・エルモソの唇にキス。これが大きな問題に発展した。 エルモソは望んでいないキスをされたとすると、世界中で批判がルビアレス会長に集中することに。しかし、ルビアレス会長は自身の行動を一度は謝罪するも、「合意の上だった」「辞任する気はない」と主張を繰り返すことに。ただ、国際サッカー連盟(FIFA)から懲戒処分を受けると、エルモソも正式に告訴。その結果、会長を辞任することとなった。 一方で、スペイン代表の選手たちや候補選手たちは連盟で改善がない限り代表招集に応じない意向を発表。RFEFはホルヘ・ビルダ監督も解任し、体制が変わったRFEFだったが、UEFA女子ネーションズリーグに向けたメンバーが発表される予定の15日に、39名の選手が更なる改善を要求し代表招集を拒否する声明を発表していた。 これにより、スペイン女子代表メンバー発表は延期されることとなった、女子W杯優勝メンバーのうち2人が声明にサインしていなかった。1人は、レアル・マドリーのMFクラウディア・ソルノサだったが、女子W杯をもって代表引退を決意したとのこと。もう1人が、カスティージョだった。 カスティージョは自身のX(旧ツイッター)を通じて、自身が声明に同意しなかった理由を説明。ルビアレス元会長の行為やRFEFの体制に対しての不満や訴えには同意しているものの、まずは代表選手としてプレーすることが大事だと考えていると明かした。 「ここ数時間の出来事を受け、私の意見と決断を下した全ての理由を述べたいと思う」 「今回発表された声明を掘り下げる前に、私の考えを明確にしておきたいと思う。仲間がすでに述べているように、ジェニ・エルモソに起こった全てのことを非難し、ルイス・ルビアレスの全く場違いで遺憾な行動を指摘することに、私は完全に同意する」 「このため、私は他の80人の選手たちと共に、この事件を非難する声明に署名し、ルイス・ルビアレスが引き続きその職に就くならば、代表チームに行かないと表明した」 「この声明とその後の出来事の後、誰もが知るように、ルイス・ルビアレスとホルヘ・ビルダはもはやRFEFにいない。ただ、ネーションズリーグの戦いが近いこと、そして私たちの要求の重要な部分が満たされていることを考慮すると、代表チームへの招集を断ることは考えていない。その主張を明確に示したいと思う」 「まず第一に、私たちはサッカー選手。ここ数週間に起こったことを考慮すると、それを思い出しておいて損はない。私たちはプロフェッショナルとして、その義務を果たさなければならない」 「第二に、私たちが要求する変化には名前と姓があり、それらを引き起こす、または少なくともそれを始めるのに最良の方法は内部からであると私は信じている」 「もちろん、それは必要だと思うけど、RFEFが全く不確実な状況にあることも承知しているし、現時点で指揮を執っている人たちを信頼したいと思っている。私たちは、そのために指定されたわけではないため、選手が私たちが求めているこれらの変更を行うことはできないことは明らかだ」 「また、オリンピック出場のチャンスを与えてくれる非常に重要な大会を戦わなければならないと思う。私たちは世界王者のチームであり、それを忘れてはいけない。選手たちは皆、スペインのスポーツ界で最も重要な偉業の1つを達成した後、酷い数週間を過ごした。私は特にサッカーに行きたい、サッカーを見たい、そして何よりもプレーしたいと思っている」 「要するに、私は自分が考えていること、やりたいことを表明し他のであり、それ以上でもそれ以下でもない。この状況を完全に終わらせて、サッカーのことだけを考え、プレーし、見て、楽しむことに戻りたいと思っている」 2023.09.16 19:30 Sat4
重傷を負ったレアルの17歳逸材CBが復帰間近、昨夏のツアー帯同に続くCWC参加なるか
レアル・マドリーU-19のU-17スペイン代表DFジョアン・マルティネスが、復帰へと近づいている。スペイン『マルカ』が報じた。 今シーズン開幕前のアメリカツアーでは、ブレイクを果たしたスペイン人DFラウール・アセンシオらとともにファーストチームに帯同したマルティネス。カルロ・アンチェロッティ監督も高く評価した17歳センターバックだが、ツアー終了後のトレーニングで左ヒザ前十字じん帯断裂の重傷を負っていた。 2024年8月の負傷からもうすぐ7カ月が経とうというなか、すでにボールを使ったピッチでのトレーニングを再開しているとのこと。リハビリは最終段階にあり、あと1カ月ほどでチームに復帰できる段階まで来ているという。 アルバロ・アルベロア監督率いるU-19チームでのシーズン中の復帰が期待される一方、ファーストチーム に帯同してのFIFAクラブ・ワールドカップ(CWC)参加も視野に。出場することが目標ではなく、再びアンチェロッティ監督のもとでトレーニングし、その後のプレシーズンに備えたいという考えのようだ。 2025.02.26 18:58 Wed5