マドリッドのクラブサッカー最後の週末はお祝い三昧…/原ゆみこのマドリッド
2024.06.04 20:00 Tue
「そうか、優勝だもんね」そんな風に私が早合点を後悔していたのは月曜日、お昼のニュースで2部のマドリッドの弟分、レガネスの選手たちがブタルケのピッチや彼らのお祝い事の定点、同市のエスパーニャ広場でトロフィーを誇らしげに掲げている映像を見た時のことでした。いやあ、日曜は私も彼らの1部昇格を見るため、エルチェ戦に足を運んだんですけどね。試合の方は前半早々から、ミゲール・デ・ラ・フエンテのゴールで先制したボルハ・ヒメネス監督のチームが、ロスタイムにもファン・クルスのシュートで2点目をゲット。相手が前節に昇格プレーオフ入りがなくなり、消化試合モードだったおかげもあって、2-0のまま、後半が終わる前から、ファンは4年ぶりの1部昇格祝いを満喫することに。
ただ、これは「Campeones, campeones/カンペオネス(チャンピオン)」と皆が歌っているのをレガネスの優勝と結び付けなかった私の浅はかさもあって、ええ、同時進行だった、勝ち点3差で直接昇格の2位を奪われる可能性が僅かにあった3位のエイバルのオビエド戦は時々、経過を伺っていたんですけどね。レガネスの勝利により、昇格条件だった勝ち点1奪取を満たしたため、他は気にしていなかったところ、何と前節、今季29節の間、首位をキープしていたレガネスを出し抜いて、一足先に1部復帰を決めたバジャドリーがテネリフェに負けていたんですよ。
そのおかげで最終節に再び首位に返り咲いた彼らは2部王者として、トロフィー授与されたんですが、そこまで頭が回らなかったのが運の尽き。後はもう、ファンとお祝いするだけだろうと、チームが場内一周を始めた時点でスタジアムを出ることに。いえ、午後6時から始まったTDP(スペイン国営放送のスポーツチャンネル)のDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝)祝勝行事追っかけ生中継を試合中もスマホで流しっぱなしにしていたため、レアル・マドリーがアルムデナ大聖堂、続いてアジュソ州知事がブタルケに駆けつける約束をキャンセルして、チームを迎えた州庁舎訪問とプエルタ・デル・ソル(マドリッドの中心にある広場)を埋め尽くすファンへのバルコニーからの挨拶。
更にシベレス噴水広場にある市庁舎訪問という、リーガ優勝時とほぼ同じ行程に例年通り、遅れが出ていたため、あと30分ぐらいはブタルケにいても、午後10時スタート予定だったサンティアゴ・ベルナベウでのフィエスタには間に合いそうだったんですけどね。それが、前日のCL決勝パブリックビューイングに行った時、普段のマッチデー以上の混雑に巻き込まれてしまってねえ。サンティアゴ・ベルナベウ駅で人を捌ききれず、メトロも1駅前のヌエボス・ミニステリオスから歩かされたため、ええ、だって、このカンカン照りの暑さの中、5、6時間もの間、何千人もののファンが選手たちを見ようと待機していたシベレスのステージでのお祝いの後、マドリーのオープンデッキバスがベルナベウに到着する時間に重なったら、大変じゃないですか。
それこそ、バスを走って追うようなファンが多数いるぐらいですから、フィエスタの始まる前、スタジアム周辺が到着を待つ群衆で身動きできなるのは火を見るよりも明らか。そこで早めにブタルケを切り上げ、セルカニアス(国鉄近郊路線)に乗ることにしたんですが、いやあ、今季をスタートした時はまったく、目標に入ってなかった1部再昇格を果たしたレガネスのはじけっぷりも半端ないよう。すでに日曜夜には選手たちが行っていたにも関わらず、月曜にはオープンデッキバスに乗っての市内パレード。その後、またエスパーニャ広場で、今度はステージを組んで、お祝いをしていましたが、更に水曜午後9時にはブタルケのピッチで選手たちを囲んで、軽食をつまむイベントを入場料65ユーロ(1万2000円)で開催。うーん、今は皆、1部に上がるにはあと3週間、プレーオフで戦わないといけないエイバル、エスパニョール、スポルティング、オビエドの4チームを尻目に、少しでも早く、バカンスに行きたいんじゃないですかね。
実況もしてくれる上に、マドリーの得点時など、普通の試合のように盛大なゴールコールで盛り上がることができたんですが、それは後半の話。そう、前半は、うーん、開始30秒でウェンブリーのピッチに3人も乱入者が現れて、2分近くもゲームが止まっていたのが影響したんですかね。前半23分にはフュルクルクのシュートがゴールポストを直撃し、オフサイドだったのにホッとさせられたり、アデイェミには2度も肝を冷やされる始末。更にはサビッツァーの強烈シュートを弾くなど、マドリッドから当日移動して、その日のベンチにいたインフル明けのルーニンの代わりに決勝の舞台に立った、GKクルトワの正当性を証明するシーンのオンパレードだったんですよ。
いやあ、これにはアンチェロッティ監督も「En la primera parte hemos sido un poco vagos/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・エモス・シドー・ウン・ポコ・バゴス(前半のウチはちょっと怠け者だった)。ボールロストが多くて、相手のしたいようにされてしまった」と反省していたんですけどね。私もその光景には、ええ、準々決勝2ndレグではアトレティコがまさにこのドルトムントに4点も奪われ、逆転敗退していただけに、このままじゃ、絶対、ゴールを入れられる。いや、マドリーのことだから、却って、先制された方が根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神に火がついていいのかもとか、あれこれ考えさせられることに。
幸運にも0-0のまま、始まった後半もしばらく相手の優勢が続いたんですが、そこはCLの権化と言っていいマドリー。それはドルトムントがアデイェミから、2013年には同じウェンブリーでのCL決勝でクロースのいたバイエルンに負け、奇しくも同様に今季限りで引退するマルコ・ロイスを投入したすぐ後の29分のことでした。何と、クロースの蹴ったCKに身長173cmのカルバハルが189cmのフュルクルクより高く跳び、ヘッドで先制ゴールを挙げたから、それまで欲求不満の塊だったベルナベウのファンたちがどんなに沸いたことか。
いやあ、このゴールついて、「今季はCKの時に自分も上がるようになったんだけど、大事なのは決意を持って挑むことだ。Se me fue una arriba y la segunda la tenía que enchufar/セ・メ・フエ・ウナ・アリーバ・イ・ラ・セグンダ・ラ・テニア・ケ・エンチュファール(1つ目は上に行ってしまったから、2度目は入れないと)」と当人は言っていたんですけどね。本当にマドリーの怖いところは、後でアンチェロッティ監督も「Otra vez la tactica del muerto/(オトラ・ベス・ラ・タクティカ・デル・ムエルトー(また死人の振り作戦))」と茶化していたそうですが、どんな劣勢にある試合でも、一瞬で状況を引っくり返せる力があること。
実際、今季の決勝トーナメントでは16強対決ライプツィヒ戦、準々決勝マンチェスター・シティ戦、準決勝バイエルン戦でも、え?と思うような場面で得点していましたからね。それこそ、テルジッチ監督も「チャンスを沢山、作りながら、ゴールにできなかったのが肝だった」と言っていたんですが、まあ、それも慣れない決勝ではありうることかと。大体がして、あんなにポンポン、ゴールを決められたアトレティコが愚かだっただけで、しかも相手がCL絶対王者となれば…。
結局、マレン、ハラーとFWを総動員しながら、その1点を返せなかったドルトムントは総攻撃態勢に入っていた38分、ベリンガムのラストパスからビニシウスに2点目を奪われて、最後は0-2で敗北。マドリーの優勝が決まった途端、ベルナベウには「We are the Champions」が鳴り響き、表彰式を待つ間、場内はカンペオネスやマドリーのクラブ歌などを延々と合唱することに。
そしていよいよ、「La voy a levantar lo más alto que pueda, es la más especial como capitán/ラ・ボイ・ア・レバンタール・ロ・マス・アルトー・エ・プエダ、エス・ラ・マス・エスペシアル・コモ・カピタン(できる限り、高く上げるよ。キャプテンとして、最高のCL優勝だ)」というナチョがチームメートの待つ壇上でトロフィーを掲げた瞬間、巨大スクリーンのボックスから紙吹雪が飛び出し、レーザー光線ショーも始まるといった具合で、もうそれだけで、翌日の祝賀イベントのバージョンアップ予告には十分だった?
それにしたって凄いのはもちろん、これでマドリーはCL優勝回数ダントツの15回に到達、しかもうち6回はここ10年で達成というのもそうなんですが、指揮官として、5回目のCL優勝となったアンチェロッティ監督の選手たちへの信頼ぶり。ええ、「Estábamos tranquilos pese a todo/エスタバモス・トランキーロス・ペセ・ア・トードー(何があっても私たちは落ち着いていた)。ちょっと変えるだけで良かったよ。ドルトムントはウチを生かしておいてくれたし」と、ええ、彼もCLマッチでは幾度も土壇場で奇跡が起きるのを見てきましたからね。
ナチョ、カルバハル、モドリッチと共にCL優勝6回となり、マドリーのレジェンド、ヘントに並んだクロースなども「La primera parte no ha salido bien pero da igual, este equipo siempre sigue/ラ・プリメーラ・パルテ・ノー・ア・サリードー・ビエン・ペロ・ダ・イグアル、エステ・エキポ・シエンプレ・シゲ(前半は上手くいかなかったけど、構わない。このチームは常に進み続ける)」と言っていましたが、ホント、マドリーのCL神話は度し難い。ウェンブリーのピッチで思う存分、お祝いをしたチームは翌日早朝にマドリッドに帰還。そして翌日も6時間以上、マラソン祝賀行事に取り組むだけの体力が選手たちに残っていたんですが…。
だってえ、シベレスからオープンデッキバスがベルナベウに着いたのは午後10時45分近くだったんですよ。ピッチの巨大スクリーンがイベントスタートを告げる1回目から15回目のハイライトを映し始めたのが11時過ぎで、いやもう、これはそのうち、30回とか、40回になったら、できなくなるんでしょうけどね。アンチェロッティ監督を筆頭に選手が1人ひとり、紹介されながら、登場したのは11時10分頃からで、巨大スクリーンのボックス屋上のステージに全員が揃ったのが40分頃。ナチョが再び、トロフィーを掲げると、屋内で花火が上がったのにはビックリさせられましたが、これは前回まで、場外からの打ち上げ花火の大爆音が怖くて仕方なかった私には嬉しい変更だったかと。
まあ、さすがコンサート会場機能を強化すべく、大改装を行ったおかげで、またしても満員となった場内を彩る光のショーや音響など、見事なものではありましたけどね。マイクを握ったモドリッチが「Nos vemos la temporada que viene/ノス・ベモス・ラ・テンポラーダ・ケ・ビエネ(来季にまた会おう)」と言ったため、契約延長が確実なのもわかりましたし、実はいつの間にか、ベリンガムのスペイン語力もかなりアップしていたよう。「Como no te voy a querer/コモ・ノー・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして君を好きにならずにいられようか)」の定番応援歌を歌い出して、驚かせてくれましたが、トロフィーを持っての場内一周が終わり、ピッチに選手たちの家族が登場。キッズパークと化して、ようやくお開きとなったのは日付の変わった0時15分過ぎでしたっけ。
まあ、こんな感じのベルナベウでの2夜だったんですが、マドリーファンのための今季はこれで店仕舞いとはいえ、さすがにエリート揃いのチームだけあって、このままバケーション入りできる選手は少数派。ええ、月曜夕方に入団が公式発表されたエムバペ(PSGと契約終了)やエンドリッキ(パルメイラスから移籍)らを含め、18人もがユーロ、コパ・アメリカに出場する各国代表のお勤めに出ることに。折しもCL決勝の日にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿を始めたスペイン代表にはホセル、ナチョ、カルバハルの3人が招集されているんですが、こちらは木曜からの合流が予定されています。
実際のところ、スペインの合宿開始は遅い方で、ユーロのグループリーグで当たるクロアチア、イタリア、アルバニアはとっくに練習を始めているみたいですけどね。ただ、私もCL決勝のせいで、土曜の公開セッションに行けずに生配信で我慢するしかなかったため、まだあまり、今回の代表の情報を仕入れていないんですが、ちなみに初日は29人の招集選手中、マドリー勢、サルジアラビア杯決勝のせいでまだ来ていないラポール(アル・ナスル)、自身の結婚式と被ったミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)、兄イニャキの結婚式があったニコ・ウィリアムス(アスレティック)らを除く、23人が参加。45分程の練習の後、彼らは施設のスタンドを埋めたファンのサインやセルフィーのリクエストにせっせと応えることに。
早くも水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からはバダホス(スペイン南部)で強化親善試合のアンドラ戦も控えているため、早いところ、私もモードをスペイン代表に切り替えないといけないんですが…とりあえず、最初の焦点は最初の招集リストから、落ちる3人がどの選手になるかという辺りでしょうか。
ただ、これは「Campeones, campeones/カンペオネス(チャンピオン)」と皆が歌っているのをレガネスの優勝と結び付けなかった私の浅はかさもあって、ええ、同時進行だった、勝ち点3差で直接昇格の2位を奪われる可能性が僅かにあった3位のエイバルのオビエド戦は時々、経過を伺っていたんですけどね。レガネスの勝利により、昇格条件だった勝ち点1奪取を満たしたため、他は気にしていなかったところ、何と前節、今季29節の間、首位をキープしていたレガネスを出し抜いて、一足先に1部復帰を決めたバジャドリーがテネリフェに負けていたんですよ。
そのおかげで最終節に再び首位に返り咲いた彼らは2部王者として、トロフィー授与されたんですが、そこまで頭が回らなかったのが運の尽き。後はもう、ファンとお祝いするだけだろうと、チームが場内一周を始めた時点でスタジアムを出ることに。いえ、午後6時から始まったTDP(スペイン国営放送のスポーツチャンネル)のDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝)祝勝行事追っかけ生中継を試合中もスマホで流しっぱなしにしていたため、レアル・マドリーがアルムデナ大聖堂、続いてアジュソ州知事がブタルケに駆けつける約束をキャンセルして、チームを迎えた州庁舎訪問とプエルタ・デル・ソル(マドリッドの中心にある広場)を埋め尽くすファンへのバルコニーからの挨拶。
それこそ、バスを走って追うようなファンが多数いるぐらいですから、フィエスタの始まる前、スタジアム周辺が到着を待つ群衆で身動きできなるのは火を見るよりも明らか。そこで早めにブタルケを切り上げ、セルカニアス(国鉄近郊路線)に乗ることにしたんですが、いやあ、今季をスタートした時はまったく、目標に入ってなかった1部再昇格を果たしたレガネスのはじけっぷりも半端ないよう。すでに日曜夜には選手たちが行っていたにも関わらず、月曜にはオープンデッキバスに乗っての市内パレード。その後、またエスパーニャ広場で、今度はステージを組んで、お祝いをしていましたが、更に水曜午後9時にはブタルケのピッチで選手たちを囲んで、軽食をつまむイベントを入場料65ユーロ(1万2000円)で開催。うーん、今は皆、1部に上がるにはあと3週間、プレーオフで戦わないといけないエイバル、エスパニョール、スポルティング、オビエドの4チームを尻目に、少しでも早く、バカンスに行きたいんじゃないですかね。
そんなことはともかく、先週末のビッグイベントだったCL決勝ドルトムント戦がどんなだったかもお話ししていかないと。7万5000人の満員御礼となったベルナベウのピッチは、突貫工事でテイラー・スウィフトのコンサート舞台を撤去し、中央に巨大スクリーンを設置。これは2014年のDecima(10回目のCL優勝)以来、必ず、翌日は優勝祝いにも使われるお便利設備なんですが、加えて、天井から吊り下がった360度大型スクリーンにもTV中継の映像だけでなく、時間や交代選手の名前が出たため、試合の見やすいことといったら、もう。
実況もしてくれる上に、マドリーの得点時など、普通の試合のように盛大なゴールコールで盛り上がることができたんですが、それは後半の話。そう、前半は、うーん、開始30秒でウェンブリーのピッチに3人も乱入者が現れて、2分近くもゲームが止まっていたのが影響したんですかね。前半23分にはフュルクルクのシュートがゴールポストを直撃し、オフサイドだったのにホッとさせられたり、アデイェミには2度も肝を冷やされる始末。更にはサビッツァーの強烈シュートを弾くなど、マドリッドから当日移動して、その日のベンチにいたインフル明けのルーニンの代わりに決勝の舞台に立った、GKクルトワの正当性を証明するシーンのオンパレードだったんですよ。
いやあ、これにはアンチェロッティ監督も「En la primera parte hemos sido un poco vagos/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・エモス・シドー・ウン・ポコ・バゴス(前半のウチはちょっと怠け者だった)。ボールロストが多くて、相手のしたいようにされてしまった」と反省していたんですけどね。私もその光景には、ええ、準々決勝2ndレグではアトレティコがまさにこのドルトムントに4点も奪われ、逆転敗退していただけに、このままじゃ、絶対、ゴールを入れられる。いや、マドリーのことだから、却って、先制された方が根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神に火がついていいのかもとか、あれこれ考えさせられることに。
幸運にも0-0のまま、始まった後半もしばらく相手の優勢が続いたんですが、そこはCLの権化と言っていいマドリー。それはドルトムントがアデイェミから、2013年には同じウェンブリーでのCL決勝でクロースのいたバイエルンに負け、奇しくも同様に今季限りで引退するマルコ・ロイスを投入したすぐ後の29分のことでした。何と、クロースの蹴ったCKに身長173cmのカルバハルが189cmのフュルクルクより高く跳び、ヘッドで先制ゴールを挙げたから、それまで欲求不満の塊だったベルナベウのファンたちがどんなに沸いたことか。
いやあ、このゴールついて、「今季はCKの時に自分も上がるようになったんだけど、大事なのは決意を持って挑むことだ。Se me fue una arriba y la segunda la tenía que enchufar/セ・メ・フエ・ウナ・アリーバ・イ・ラ・セグンダ・ラ・テニア・ケ・エンチュファール(1つ目は上に行ってしまったから、2度目は入れないと)」と当人は言っていたんですけどね。本当にマドリーの怖いところは、後でアンチェロッティ監督も「Otra vez la tactica del muerto/(オトラ・ベス・ラ・タクティカ・デル・ムエルトー(また死人の振り作戦))」と茶化していたそうですが、どんな劣勢にある試合でも、一瞬で状況を引っくり返せる力があること。
実際、今季の決勝トーナメントでは16強対決ライプツィヒ戦、準々決勝マンチェスター・シティ戦、準決勝バイエルン戦でも、え?と思うような場面で得点していましたからね。それこそ、テルジッチ監督も「チャンスを沢山、作りながら、ゴールにできなかったのが肝だった」と言っていたんですが、まあ、それも慣れない決勝ではありうることかと。大体がして、あんなにポンポン、ゴールを決められたアトレティコが愚かだっただけで、しかも相手がCL絶対王者となれば…。
結局、マレン、ハラーとFWを総動員しながら、その1点を返せなかったドルトムントは総攻撃態勢に入っていた38分、ベリンガムのラストパスからビニシウスに2点目を奪われて、最後は0-2で敗北。マドリーの優勝が決まった途端、ベルナベウには「We are the Champions」が鳴り響き、表彰式を待つ間、場内はカンペオネスやマドリーのクラブ歌などを延々と合唱することに。
そしていよいよ、「La voy a levantar lo más alto que pueda, es la más especial como capitán/ラ・ボイ・ア・レバンタール・ロ・マス・アルトー・エ・プエダ、エス・ラ・マス・エスペシアル・コモ・カピタン(できる限り、高く上げるよ。キャプテンとして、最高のCL優勝だ)」というナチョがチームメートの待つ壇上でトロフィーを掲げた瞬間、巨大スクリーンのボックスから紙吹雪が飛び出し、レーザー光線ショーも始まるといった具合で、もうそれだけで、翌日の祝賀イベントのバージョンアップ予告には十分だった?
それにしたって凄いのはもちろん、これでマドリーはCL優勝回数ダントツの15回に到達、しかもうち6回はここ10年で達成というのもそうなんですが、指揮官として、5回目のCL優勝となったアンチェロッティ監督の選手たちへの信頼ぶり。ええ、「Estábamos tranquilos pese a todo/エスタバモス・トランキーロス・ペセ・ア・トードー(何があっても私たちは落ち着いていた)。ちょっと変えるだけで良かったよ。ドルトムントはウチを生かしておいてくれたし」と、ええ、彼もCLマッチでは幾度も土壇場で奇跡が起きるのを見てきましたからね。
ナチョ、カルバハル、モドリッチと共にCL優勝6回となり、マドリーのレジェンド、ヘントに並んだクロースなども「La primera parte no ha salido bien pero da igual, este equipo siempre sigue/ラ・プリメーラ・パルテ・ノー・ア・サリードー・ビエン・ペロ・ダ・イグアル、エステ・エキポ・シエンプレ・シゲ(前半は上手くいかなかったけど、構わない。このチームは常に進み続ける)」と言っていましたが、ホント、マドリーのCL神話は度し難い。ウェンブリーのピッチで思う存分、お祝いをしたチームは翌日早朝にマドリッドに帰還。そして翌日も6時間以上、マラソン祝賀行事に取り組むだけの体力が選手たちに残っていたんですが…。
だってえ、シベレスからオープンデッキバスがベルナベウに着いたのは午後10時45分近くだったんですよ。ピッチの巨大スクリーンがイベントスタートを告げる1回目から15回目のハイライトを映し始めたのが11時過ぎで、いやもう、これはそのうち、30回とか、40回になったら、できなくなるんでしょうけどね。アンチェロッティ監督を筆頭に選手が1人ひとり、紹介されながら、登場したのは11時10分頃からで、巨大スクリーンのボックス屋上のステージに全員が揃ったのが40分頃。ナチョが再び、トロフィーを掲げると、屋内で花火が上がったのにはビックリさせられましたが、これは前回まで、場外からの打ち上げ花火の大爆音が怖くて仕方なかった私には嬉しい変更だったかと。
まあ、さすがコンサート会場機能を強化すべく、大改装を行ったおかげで、またしても満員となった場内を彩る光のショーや音響など、見事なものではありましたけどね。マイクを握ったモドリッチが「Nos vemos la temporada que viene/ノス・ベモス・ラ・テンポラーダ・ケ・ビエネ(来季にまた会おう)」と言ったため、契約延長が確実なのもわかりましたし、実はいつの間にか、ベリンガムのスペイン語力もかなりアップしていたよう。「Como no te voy a querer/コモ・ノー・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして君を好きにならずにいられようか)」の定番応援歌を歌い出して、驚かせてくれましたが、トロフィーを持っての場内一周が終わり、ピッチに選手たちの家族が登場。キッズパークと化して、ようやくお開きとなったのは日付の変わった0時15分過ぎでしたっけ。
まあ、こんな感じのベルナベウでの2夜だったんですが、マドリーファンのための今季はこれで店仕舞いとはいえ、さすがにエリート揃いのチームだけあって、このままバケーション入りできる選手は少数派。ええ、月曜夕方に入団が公式発表されたエムバペ(PSGと契約終了)やエンドリッキ(パルメイラスから移籍)らを含め、18人もがユーロ、コパ・アメリカに出場する各国代表のお勤めに出ることに。折しもCL決勝の日にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿を始めたスペイン代表にはホセル、ナチョ、カルバハルの3人が招集されているんですが、こちらは木曜からの合流が予定されています。
実際のところ、スペインの合宿開始は遅い方で、ユーロのグループリーグで当たるクロアチア、イタリア、アルバニアはとっくに練習を始めているみたいですけどね。ただ、私もCL決勝のせいで、土曜の公開セッションに行けずに生配信で我慢するしかなかったため、まだあまり、今回の代表の情報を仕入れていないんですが、ちなみに初日は29人の招集選手中、マドリー勢、サルジアラビア杯決勝のせいでまだ来ていないラポール(アル・ナスル)、自身の結婚式と被ったミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)、兄イニャキの結婚式があったニコ・ウィリアムス(アスレティック)らを除く、23人が参加。45分程の練習の後、彼らは施設のスタンドを埋めたファンのサインやセルフィーのリクエストにせっせと応えることに。
早くも水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からはバダホス(スペイン南部)で強化親善試合のアンドラ戦も控えているため、早いところ、私もモードをスペイン代表に切り替えないといけないんですが…とりあえず、最初の焦点は最初の招集リストから、落ちる3人がどの選手になるかという辺りでしょうか。
レアル・マドリーの関連記事
UEFAチャンピオンズリーグの関連記事
|
レアル・マドリーの人気記事ランキング
1
“時を止める男”グティの”神のバックヒール”から生まれたベンゼマのゴール【インクレディブル・ゴールズ】
サッカーファンなら誰もが一度は見たことがあるであろう歴史に残るスーパーゴール。今回の企画『Incredible Goals』(信じられないゴール)では、これまでに生まれた驚愕のゴールを紹介していく。 今回は元フランス代表FWカリム・ベンゼマが元スペイン代表MFグティのアシストから決めたゴールだ。 <div id="cws_ad">◆グティが見せた“神のバックヒール”から生まれた見事なゴール!<br/><div style="margin:0 auto; max-width:100%; min-width:300px; " ><div style="position: relative; padding-bottom:56.25%; height: 0; overflow: hidden; "><iframe src="https://embed.dugout.com/v2/?p=eyJrZXkiOiJCeTl2U0JFRSIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0=" style="width: 300px; min-width: 100%; position: absolute; top:0; left: 0; height: 100%; overflow: hidden; " width="100%" frameborder="0" allowfullscreen scrolling="no"></iframe></div></div></div> 2005年にデビューしたリヨンで頭角を現し、2009年夏にレアル・マドリーへ移籍したベンゼマ。現在はチームのエースストライカーとして活躍しているが、FWクリスティアーノ・ロナウドがマドリーに在籍していた頃は、ロナウドの引き立て役になりがちな役回りを続けていた。それでも、2010年1月30日に行われた、ラ・リーガ第20節、デボルティボ・ラ・コルーニャ戦では、先輩グティの絶妙なアシストを受けてゴールを決めている。 1-0とマドリーが先制し、リードして迎えた40分、グティが後世に語り継がれるスーパープレーを見せる。 カウンターからチャンスを作ったマドリーは、敵陣左でボールを持ったMFカカが、ボックス手前でフリーになっていたグティへパス。GKと1vs1の場面となり、グティがこのままシュートすると誰もが思ったが、次の瞬間グティはバックヒールを選択。後ろからフォローに来ていたベンゼマへパス。相手DFがグティに気を取られていたこともあり、完全にノーマークになっていたベンゼマがこれを落ち着いてゴール左へ流し込んだ。 繊細なボールタッチと背中に目があるかのような視野の広さから“時を止める男”と呼ばれたグティのスーパーアシストで2-0としたマドリーは、その後1点を返されたものの、終了間際にも追加点を奪い3-1と勝利している。 2020.07.29 18:00 Wed2
重傷を負ったレアルの17歳逸材CBが復帰間近、昨夏のツアー帯同に続くCWC参加なるか
レアル・マドリーU-19のU-17スペイン代表DFジョアン・マルティネスが、復帰へと近づいている。スペイン『マルカ』が報じた。 今シーズン開幕前のアメリカツアーでは、ブレイクを果たしたスペイン人DFラウール・アセンシオらとともにファーストチームに帯同したマルティネス。カルロ・アンチェロッティ監督も高く評価した17歳センターバックだが、ツアー終了後のトレーニングで左ヒザ前十字じん帯断裂の重傷を負っていた。 2024年8月の負傷からもうすぐ7カ月が経とうというなか、すでにボールを使ったピッチでのトレーニングを再開しているとのこと。リハビリは最終段階にあり、あと1カ月ほどでチームに復帰できる段階まで来ているという。 アルバロ・アルベロア監督率いるU-19チームでのシーズン中の復帰が期待される一方、ファーストチーム に帯同してのFIFAクラブ・ワールドカップ(CWC)参加も視野に。出場することが目標ではなく、再びアンチェロッティ監督のもとでトレーニングし、その後のプレシーズンに備えたいという考えのようだ。 2025.02.26 18:58 Wed3
「最も気性の荒い2人」ガビvsヴィニシウスのバチバチなバトルに現地紙も注目「火花が散った」「クラシコの決闘」
5日、コパ・デル・レイ準決勝2ndレグでバルセロナとレアル・マドリーが対戦。アウェイのマドリーがFWカリム・ベンゼマのハットトリックなどで大量4ゴールを奪い、1stレグでのビハインドをひっくり返して2戦合計1-4で決勝に駒を進めた。 特に試合が白熱したのは28分の場面。ボールをキープするマドリーのFWヴィニシウス・ジュニオールに対し、バルセロナのMFガビがファウル覚悟で力強くタックル。当然笛が吹かれると、今度はボールを取り戻そうとしたヴィニシウスがガビに背後からぶつかるような格好となり、両者は額を合わせて一触即発となったのだ。 互いのチームメイトたちが引きはがしそれ以上発展することはなかったが、スペイン『マルカ』はこのシーンを「ガビとビニ、クラシコの決闘」とし、「この決闘は、今後のクラシコの熱さとなるだろう。2人が近づくと同時に火花が散ったのは、この試合で最も気性の荒い2人の選手だからだ」と伝えている。 2人はハーフタイムでロッカールームへと戻る際にも言い合い、その時もチームメイトが引きはがすことに。 来季のクラシコでも2人から目が離せなさそうだ。 <span class="paragraph-title">【動画】「最も気性の荒い2人」ガビvsヴィニシウスがバチバチにやりあう</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="es" dir="ltr">Suben las pulsaciones en El Clásico: amarilla para Vinicius y Gavi. <a href="https://twitter.com/hashtag/LaCopaMola?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#LaCopaMola</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/LaCasaDelF%C3%BAtbol?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#LaCasaDelFútbol</a> <a href="https://t.co/M93HoQFzk0">pic.twitter.com/M93HoQFzk0</a></p>— Fútbol en Movistar Plus+ (@MovistarFutbol) <a href="https://twitter.com/MovistarFutbol/status/1643697429777113092?ref_src=twsrc%5Etfw">April 5, 2023</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2023.04.06 20:00 Thu4
バルサは祝ってるけど、まだ続くリーガもある…/原ゆみこのマドリッド
「あと大変なのは弟分だけね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、慌ただしいミッドウィーク開催36節がバルサのリーガ優勝で終わった翌朝のことでした。いやあ、もちろん、水曜のサンティアゴ・ベルナベウでマジョルカ相手に意地で勝利を挙げた甲斐もなく、翌日にはクラシコ(伝統の一戦)で勝ち点差を7にした宿敵がエスパニョールに0-2と勝利。最短ルートでタイトルをものにしたのはきっと、レアル・マドリーの選手たちも面白くないものを感じているとは思いますけどね。お隣さんも負けたため、2位の座が安泰となったのは良かったかと。 一方、またしてもアウェイで恥をさらしてきたアトレティコも前節で、毎シーズンの義務である5位以上の来季CL出場権は確定させていますからね。まだ4位のアスレティックに抜かれる可能性あるものの、5位ビジャレアルとは勝ち点差6でゴールアベレージはイーブン、総得失点差で上回っているため、落ちても4位で来季のスペイン・スーパーカップ出場権(今季の決勝がバルサvsマドリーだったため)はゲットと至って平和なんですが、対照的に残り2節に全てが懸かってしまったのが、ラージョ、ヘタフェ、レガネスのマドリッド勢弟分3チームなんですよ。 その状況を説明するのを兼ねて、この火曜水曜の試合がどうだったか、振り返っていくことにすると。先陣を切ったのはどこより辛い状況にあるレガネスで、ええ、ラ・セラミカでのビジャレアル戦を私もサンティアゴ・ベルナベウへ行く前に見ていたんですけどね。前節はようやくエスパニョールに勝ったため、少しは継続してくれるかと期待したものの、それがまったくダメだったんです。相手がCL出場権獲得に邁進しているチームだというのもあったんでしょうが、前半だけでアジョセに2本、そしてハーフタイム入り直前にもペペに決められて、呆気なく3-0で勝負がついてしまいましたっけ。 それも不幸は重なるもので、同日同時間帯にプレーしていたアラベスがバレンシアに1-0で勝ったため、残留圏最後の17位である相手とレガネスの勝ち点差が4となり、いえ、おかげでバジャドリーに続き、ラス・パルマスの降格が決まり、僅かでも生き残りの可能性があるのは18位のレガネスだけとなったんですけどね。ボルハ・ヒメネス監督は、「Mientras hay vida, hay esperanza. Vamos a pelear a por los 40 puntos/ミエントラス・アイ・ビダ、アイ・エスペランサ。バモス・ア・ペレアル・ア・ポル・ロス・クアレンタ・プントス(生きている間は希望がある。ウチは勝ち点40を目指して戦う)」と話していたものの…。 というのも、彼らの残りの対戦相手は37節、日曜の全カードunificacion(ウニフィカシオン/統合)時間帯午後7時(日本時間翌午前2時)ではラス・パルマス、最終節はバジャドリーと両降格済みチームというのは希望が持てるんですが、他力本願になることだから。要はやはり、次節にバジャドリーと対戦するアラベスが勝った場合、勝ち点が41となり、レガネスは2連勝しても追いつけず。その場合はもう2つの残留未達成チーム、勝ち点5差のヘタフェか、エスパニョールが2連敗してくれるかどうかに懸かってくることに。 どちらにしろ、かなり見込みの薄い賭けに見えるんですが、ラ・セラミカでの帰りがけには応援に来ていたレガネスファンが、来季はバレンシア移籍の噂があるネユウに「Basura!/basura(クズ)」と罵声を浴びせ、一気触発状態になったなんてことも。いつもブタルケでは「2部Bになってもついていく」と歌っているファンたちなんですから、今季4年ぶりで再昇格して、慣れない1部での戦いにここまで一生懸命、取り組んできた選手たちを貶めることはしないでほしいものです。 そして火曜の午後9時半、サンティアゴ・ベルナベウにマジョルカを迎えたマドリーはというと、泣きっ面に蜂とはまさにこのことで、クラシコに負けてリーガ逆転優勝の目が99%なくなった彼らには前代未聞の頭数不足が襲来。元々、長期離脱のカルバハル、ミリトン、手術したリュディガー、アラバ、メンディ、まだリハビリ中のカマビンガ、クラシコでケガをしたビニシウス、ルーカス・バスケス、自信喪失中のロドリゴ、出場停止のチュアメニに加え、試合前日にもGKルニンとブライムが招集リスト落ちとなったおかげで、とうとう大量12名が欠けたとなれば、その日の控え選手がバジャホ以外、全員カンテラーノ(RMカスティージャの選手)だったの仕方なかったかと。 そのせいか、ベルナベウも満員にはならなかったんですが、そんな状況でも勝利を求められるのがマドリーですからね。前半11分、マテウのパスをセバージョスがカットできず、バルイェントに先制ゴールを奪われた時には場内も一瞬、凍りついたものでしたが、そこは世界一を自負するチーム。GKレオ・ロマンがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発したせいで、同点になるのは後半23分、モドリッチのスルーパスから、敵DF3人に囲まれたエムバペが格の違いを際立たせるシュートを決めてくれるまで待たないといけなかったんですが、いやホント、マドリーには最後まで絶対に諦めない精神がしみ込んでいるんですねえ。 そう、後半19分に脚を打撲した、今は押しも押されぬレギュラーでも登録がRMカスティージャのままのアセンシオをトップチームの幽霊部員バジェホに交代。他は29分にせっかく巡ってきた先発のチャンスを生かせなかったエンドリックをコパ・デル・レイ準々決勝レガネス戦の後半ロスタイムに決勝ゴールを挙げたゴンサロにしただけで、トップチームの選手が常時7人以上ピッチにいないといけない規定を守ったマドリーは、アンチェロッティ監督も「Nunca he visto un equipo que haya tirado 40 veces a portería como hemos hecho/ヌンカ・エ・ビストー・ウン・エキポ・ケ・アジャ・ティラードー・クアレンタ・ベセス・ア・ポルテリア・コモ・エモス・ヘッチョー(ウチがやったように40回もシュートするチームは見たことがない)」と驚いていた猛攻を、飽きずに終盤まで続けることに。 するととうとう、後半ロスタイム最後の分にはモドリッチのCKがクリアされた後、フラン・ガルシアが再びエリアに戻したボールをバジェホがヘッドで流し、出場3試合目のCBヤコボがコペテに先んじてシュート。「He ido y no sé ni cómo, pero la he metido/エ・イドー・イ・ノー・セ・ニ・コモ、ペロ・ラ・エ・メティードー(行って、どうやったかはわからないけど、ゴールに入れた)」という彼の初得点で、土壇場のremontada(レモンダーダ/逆転劇)を達成しているんですから、驚いたの何のって(最終結果2-1)。 これでバルサがエスパニョール戦をプレーする前にして、リーガチャンピオンとなるのを防げたマドリーだったんですが、この根性を今季、リーガのバルサ戦以外の試合でも見せられていいたらねえ。試合後、クルトワなどは、「Vamos a creer hasta que matemáticamente sea imposible/バモス・ア・クレエル・アスタ・ケ・マテマティカメンテ・セア・インポシブレ(数字的に不可能になるまで、ボクらは信じる)」と言っていたものの、翌日のカタルーニャダービーでは予想通り、奇跡は起こらず。 よって、残りのセビージャ、レアル・ソシエダとの2試合は、レバンドフスキととうとう3得点差になったエムバペが上乗せゴールを入れて、ピチチ(リーガの得点王)だけでなく、ヨーロパ・ゴールデンシュー獲得を目指す機会と、クラブW杯前のプレシーズンマッチと化したマドリーなんですが、ケガから復帰する選手もそうそう多くはなさそうですしね。大体がして、もうアンチェロッティ監督の頭にはブラジル代表の6月W杯予選に向けての招集リスト作りしかないかも。 せいぜい、6月に赴任するシャビ・アロンソ監督にRMカスティージャからの抜擢メンバーがアピールする機会ぐらいにしかならないんじゃないかと思いますが、困ったのは、試合終了直前まで、勝ち点1確保を見込みながら、空手で帰ることになったマジョルカのアラサーテ監督の決意。そう、8位のコンフェレンスリーグ出場の座を勝ち点1差でラージョ、オサスナと争っている彼らだけに、「最後のCKをクリアして終わったはずだったのにゴールを入れられた。Te vas con rabia, pero hay que transformarla en energía el domingo/テ・バス・コン・ラビア、ペロ・アイ・ケ・トランスフォルマルラ・エン・エネルヒア・エル・ドミンゴ(怒り心頭だが、このエネルギーを日曜に持って行かないと)」と言っていたんですが、その日曜の相手はヘタフェなんですよ。 おまけに「Tenemos que intentar ganar el domingo para llegar a Vallecas con opciones europeas/テネモス・ケ・インテンタール・ガナール・エル・ドミンゴ・パラ・ジェガール・ア・バジェカス・コン・オプシオネス・エウロペアス(日曜に勝って、ヨーロッパの大会参加の可能性を残してバジェカスに着かないといけない)」(アラサーテ監督)というように、マジョルカの最終節はラージョ戦。となれば、もしやマドリーは弟分たちに対して、余計なことをしてくれた? ええ、何せ翌木曜にはマドリッドがサン・イシドロ祭の祝日で賑わう中、エスタディオ・バジェカスに足を運んだ私だったんですけどね。昼間に降ったにわか雨も上がり、お日様がさんさんと輝く中でキックオフとなったベティス戦は、ラージョが前半37分にペドロ・ディアスのミドルシュートがバーに当たって落ちたボールをデ・フルートスがヘッドで決めて先制。更に前半ロスタイムにもルジューヌの直接FKがゴールとなり、2-0で折り返す最高の展開に。 やっぱりここ3週間、コンフェレンスリーグ準決勝フィオレンティーナ戦から週2試合となり、しかも先週は延長戦でチェルシーとの決勝に進出とあって、ベティスは疲れているはずという予想が当たったと、ホクホクしながら、後半を捨てて、私がコリセウムに向かったところ、やられました!うーん、やはり「Salimos un poco aturdidos quizás por la euforia, en la segunda parte/サリモス・ウン・ポコ・アトゥルディードス・キサ・ポル・ラ・エウフォリア、エン・ラ・セグンダ・パルテ(ボクらは多分、歓喜しすぎていて、ちょっとボオッとして後半に入った)」(ラティウ)のせいだったんでしょうかね。 メトロからアトーチャ駅でセルカニアス(国鉄近郊路線)に乗り換える前、早くも6分にはクチョのゴールで1点を返され、15分には英雄だったルジューヌがアブデをエリア内で倒してPKを献上。イスコに2点目を決められて、最後は2-2で引き分けてしまうんですから、ガッカリじゃないでうか。いえ、「Tenemos dos finales por delante y hay que ganarla/テネモス・ドス・フィナレス・ポル・デランテ・イ・アイ・ケ・ガナールラ(ウチには2つの決勝があって、勝たないといけない)」とイニゴ・ペレス監督も言っていた通り、日曜のセルタ戦、最終節のマジョルカ戦に勝てば、来季のコンフェレンスリーグの切符どころか、36節で勝ち点4差になってしまったセルタを追い越して、未だにEL行きも夢じゃないんですけどね。 せっかくの直接ライバルたちと差をつける機会を失ってしまったのは残念ではありますが、まあ、最後まで競うものが残留ではないだけ、ラージョは百万倍幸せ。だってえ、ファンに総動員をかけ、アスレティック戦前にはbengala(ベンガラ/発煙筒)を焚いて、チームバスをお出迎えしてもらい、普段の数倍は力強いコリセウムの応援を受けながら、GKダビド・ソリアとウナイ・シモンのロングゴールキックと延々にボールが宙を舞っていた試合、ヘタフェは後半31分にグルセタ、44分にはCKからビビアンのシュートを浴びて、ウィリアムス兄弟のいなかったアスレティックに0-2で負け、来季のCL出場確定を祝われてしまったんですよ。 おかげでとうとう、試合の終盤にはスタンドから、「jugadores mercenarios/フガドーレス、メセナリオス(選手は金で雇われた傭兵)」というカンティコが出ていた程だったんですが、つまりこれって、6連敗の彼らは未だに残留確定ができておらず。エスパニョール、アラベス、レガネスと共に降格最後の1チームになる可能性があるってことで、奇跡が起こって、お隣さんが残留できても、ヘタフェが落ちたら、そんな悲劇はない?いやまあ、それでも日曜のマジョルカ戦、最終節のセルタ戦で勝ち点を貯められれば、回避可能なんですけどね。揃って相手がヨーロッパの大会出場を目指しているチームというのが辛いところかと。 そんなヘタフェにはもう少しのガッツと幸運を祈るしかないんですが、え?何で木曜にプレーしたアトレティコの話が抜けているんだって?いやあ、私がバジェカスに行ったのも実はもう、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)であの、ちっちもさっちもいかない彼らのアウェイゲームを見ているのに耐えられなかったからで、案の定、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継でも一向にいい話は聞こえてこず。挙句の果てに前半24分にはCKから、カテナにヘッドでゴールを挙げられて先制されると、後半途中にはシメオネ監督がフリアン・アルバレス、セルロートを下げる不可解采配を見せ、ええ、今のコレアとグリーズマンではゴールをまったく期待できませんですからね。 最後は後半37分にもブドミルに頭で決められ、2-0ですごすご完敗と、その気合のないプレーぶりにラジオの解説者たちがカンカンだったのを聞くにつけ、見ないで本当に良かったとホッとしたのは私だけではない?これで彼らはコパ・デル・レイ準決勝でバルサに負けて、今季全てのタイトル獲得可能性がほぼ消えて以来、アウェイ戦5試合でたったの1勝。そんな情けない有様にならなければ、もっと遅くまでリーガで粘れたんじゃないかと思うんですが、これには「監督がアウェイで選手たちがいいレベルを見せるのに必要なモチベーションを与えられない監督の責任」といくらシメオネ監督が言い張ったって、やっぱり当事者たちの自覚の問題があるのでは? おまけにこのオサスナ戦では後半途中にバリオスがジョレンテの腰に頭をぶつけ、脳震盪で交代。日曜のスィートホーム、メトロポリターノでの今季最終戦、ベティス戦にも出られなくなってしまうとは如何に。昨季同様、シーズン終盤は突極のアウェイ弱者になり下がったアトレティコにはもう、何を言っていいか、私もわからないんですが、そんなところを含めて、彼らは人間的な愛すべきチーム。今はせめて、クラブW杯では心を入れ替えて、今季のCLグループフェーズ、PSG戦やレバークーゼン戦で見せた強さを再現してくれることを願うしかありませんね。 ご挨拶: サイトのサービス終了をもって、このコラムも今回で終わりとなります。長年のおつき合い、ありがとうございました。この先もサッカーファンの旅行先として最適なマドリッドの魅力、リーガやマドリッドのクラブの試合やニュース、スペイン代表などについて、お伝えする方法を模索中なので、その際にはよろしくお願いします。 2025.05.17 21:00 Sat5