「この癌がサッカーを滅ぼす前に行動を」FIFA審判委員長コッリーナ氏、トルコでの審判暴行事件を受け

国際サッカー連盟 (FIFA) 審判委員会会長を務めるピエルルイジ・コッリーナ氏が、トルコリーグでの審判への暴行について口を開いた。イギリス『BBC』が伝えた。11日に行われたトルコ1部のスュペル・リグ第15節、アンカラギュジュvsチャイクル・リゼスポルでは、1-1の試合終了直後に審判団への暴力行為が起きた。ハーフウェイライン付近にいた審判団に対し、アンカラギュジュのファルク・コジャ会長が猛然とダッシュ。そのままハリル・ウムット・メレル主審の左頬を殴りつけた。さらに、地面に倒れた主審を蹴る人物もいた。
この事件を受けてトルコのサッカーリーグはすべて中断。コジャ氏は逮捕され、クラブの職を辞した。

また、メレル主審は左目の周囲に出血と眼窩骨折と診断され、頭部にも外傷があるために検査入院はするものの、命に別状はないとのことだ。ピッチ上での衝撃的な事件に、コッリーナ氏は遺憾の意を示すとともに、これは氷山の一角でしかないことも明らかにした。

「さらに恐ろしいことに、世界の下位カテゴリーの試合では、言葉や身体的な虐待を受けている審判が何千人もいるということだ。彼らはまだ無名で、その大多数はキャリア初期の若い審判だ」

「たとえ判定が間違っていたとしても、下した判定のせいで殴られるなどあってはならない。ペナルティキックを下したことで審判の車が爆撃される、放火されるなどは言語道断だ」

「残念ながら、これは誇張ではなく、自動車爆破や放火はある国で起きたことであり、決して有り得ないことではない」

「美しいフットボールを愛するすべての人が行動を起こし、何かを成す責任がある。手遅れになる前に、この癌が、サッカーを滅ぼす前に」

また、イギリス審判サポートの最高経営責任者マーティン・キャシディ氏は「シーズン中は毎週のように、これと同等かそれ以上の事件報告を受けている。違いはカメラの有無と、それが全国で生中継されたことでしかない」と、実際には多くの審判員が被害を受けているとも述べている。

判定に対して不満を抱くことはあるかもしれないが、暴言や暴力を向けることは到底許されることではない。