【2022-23ブンデスリーガ前半戦総括】 超WS選出の最優秀選手はムシアラ

2023.02.02 18:00 Thu
Getty Images
11連覇を目指すバイエルンが2位ウニオン・ベルリンに3ポイント差を付けて順当に首位ターンとした今季のブンデスリーガ前半戦。そのウニオンと、フライブルクの両伏兵の躍進が目立った中、バイエルンの牙城を崩したいドルトムントとライプツィヒはやや安定感に欠ける戦いぶりだった。
PR
◆レヴァンドフスキの穴をチュポ=モティングが埋める~バイエルン(勝ち点36)~
年間30ゴールを約束してくれた希代のFWレヴァンドフスキの抜けた穴はやはり大きかった。追加点を奪いきれず試合を決めきれないことから8月下旬から9月中旬にかけて格下相手に4試合勝利から見放される時期があった。ただ、レヴァンドフスキの控えに甘んじていたチュポ=モティングを最前線で起用してからは昨季までの安定した強さが蘇り、W杯ブレイク前は6連勝で終えることに成功。上昇ムードに乗った。
◆ローゼ監督就任でV字回復~ライプツィヒ(勝ち点32)~
昨季途中就任でチームをV字回復させたテデスコ体制で新シーズンを迎えたライプツィヒ。しかし5試合を終えた段階で1勝と振るわず解任を決断し、昨季ドルトムントを率いていたローゼ監督を迎えた。この決断が奏功し、チームは昨季同様にV字回復。エンクンク、ショボスライらが躍動してローゼ監督就任後は8勝3分け1敗の好成績を収め、3位で前半戦を終えた。

◆守備の立て直し利かず~ドルトムント(勝ち点31)~
バイエルンの牙城を崩さなければならないドルトムントだったが、補強した成果が出たとは言えない前半戦となった。目玉のシュロッターベックとジューレの両ドイツ代表センターバックは不安定なドルトムント守備陣を安定させることはできず。とりわけシュロッターベックに至ってはミスから失点に関与する場面も散見され、期待されたパフォーマンスを発揮できているとは言えない。今やピッチ内の王様と化したベリンガムが際立ったプレーでチームを牽引している姿は頼もしいが、彼に頼りきりなようでは到底バイエルンに追いつくことはできないだろう。

◆鎌田と堂安が好調チームを牽引~10人の日本人ブンデスリーガー~
W杯明けにデビューした上月を含めると10人がプレーしている今季の日本人ブンデスリーガー。とりわけ目立った活躍を見せたのがフランクフルトの鎌田だ。既にブンデスキャリアハイとなる7ゴールをマーク。ボランチへのコンバートをしたにも関わらず、ゴールへの関与が増しており、好調さが際立っている。W杯では思うような活躍を見せられなかったが、悔しい想いを糧に後半戦での活躍に期待したい。
鎌田とは対照的にW杯で大活躍だった堂安はフライブルクでの好調を持続した様子だ。PSVからレンタルで加入し、2季ぶりのブンデスリーガでのプレーとなったが、成長した姿を披露してくれた。主に右ウイング、シャドーでの起用となった中、攻撃面での存在感が増した。毎試合ゴールチャンスに絡む勢いがあり、充実の時を過ごしている。

シュツットガルトでレギュラーを張る遠藤と伊藤に関しては昨季同様の安定したパフォーマンスを披露している。チームの結果は出ていないが、彼らは自身のタスクをしっかりとこなしている印象だ。

昨季、シャルケの1部復帰に貢献した板倉はボルシアMGでもセンターバックのレギュラーとしてプレー。ヒザを負傷するアクシデントはあったが、W杯でも安定したプレーを見せた。再開後のブンデスリーガでもそつのないプレーをしており、今後の代表守備陣を支えていく存在として期待したい。

一方でサンプドリアからシャルケに活躍の場を移した吉田は大苦戦している。キャプテンを任され期待されているが、走力のあるアタッカーに対応できないことが多々あり、戦犯となっている。代表では守備を統率する頼もしい姿が見られるが、言葉が通じないのか、持ち味が出ていない模様。チームは最下位と厳しいがベテランの経験値を生かして立て直しを図れるか。

そのシャルケに彗星の如く現れた上月。果敢なアタッカーはデビューから2戦目で早くもブンデス初ゴールをマーク。後半戦の活躍が楽しみな逸材だ。

W杯では重傷明けながらスーパーサブとして結果を残した浅野に関してはボーフムではノーゴールと苦戦しているが、後半戦巻き返しとなるか。

そして代表から引退している長谷部を除いて唯一ブンデスリーガーではW杯落選となった原口は心機一転、移籍先のシュツットガルトでレギュラー奪取を目指す。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFジャマル・ムシアラ(バイエルン)
Getty Images

前半戦を終えて9ゴール7アシストと圧巻のスタッツを残した。レヴァンドフスキが抜け、マネやミュラーの離脱があった中、弱冠19歳が攻撃陣を牽引する働きを見せた。既に完成されたプレーを見せるムシアラが今後どういった成長を遂げるのか、楽しみでならない。

★最優秀監督
◆マルコ・ローゼ
Getty Images

昨季就任したドルトムントでは成功できなかったが、自身の哲学とライプツィヒの相性は良かったようだ。ローゼ監督就任によってライプツィヒの躍動感溢れるプレーが復活。とりわけショボスライが本来のパフォーマンスを取り戻して攻撃陣を牽引。魅力的かつ強いチームに仕上げている。

【期待以上】
★チーム
◆ウニオン・ベルリン
Getty Images

昨季15ゴールのアウォニーを引き抜かれた中、前半戦を終えた段階で首位バイエルンを3ポイント差で追う2位ウニオンを選出。一昨季7位、昨季5位と年々進化を遂げているウニオンだが、その立役者は言わずもがな堅守速攻のスタイルを一切崩さないフィッシャー監督の手腕によるもの。そのブレない方針で後半戦も安定した戦いを見せてくれそうだ。

★選手
FWコロ・ムアニ(フランクフルト)
Getty Images

ナントから加入し、前半戦を終えて6ゴール11アシストを記録。周囲も生かせるタイプのストライカーで柔軟性が高い。ボレから完全にレギュラーの座を奪い、フランクフルトの攻撃に幅を与えた。

【期待外れ】
★チーム
◆レバークーゼン
Getty Images

昨季3位に導いたセオアネ監督の下で迎えたシーズンだったが、チャンピオンズリーグとの兼ね合いの影響か、全く結果が出なかった。8試合を終えた段階で1勝に留まり、10月の段階でセオアネ監督を解任せざるを得ない状況となった。後任にはトップチームの監督初挑戦となるシャビ・アロンソが就任。どこまで巻き返せるかに注目だ。

★選手
◆DFニコ・シュロッターベック&ニクラス・ジューレ(ドルトムント)
Getty Images

不安定な守備陣のテコ入れを図るべく獲得した両ドイツ代表DF。彼らの能力に申し分はないはずなのだが、前半戦を見る限りドルトムントの守備力を向上させるほどの影響力はなかったようだ。チームスタイルの問題なのか、センターバックにとって受難のチームなのか原因は不明だが、後半戦にフィットすることを祈るばかりだ。

PR
関連ニュース

ドイツ代表指揮官ナーゲルスマンが2026年W杯まで契約延長! バイエルン復帰なしに

ドイツ代表のユリアン・ナーゲルスマン監督(36)がユーロ2024後も指揮する運びとなった。 ドイツサッカー連盟(DFB)は19日、2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国共催で行われる北中米ワールドカップ(W杯)まで契約を延長した旨を発表。昨年9月に着任したナーゲルスマン監督の契約は当初、自国開催となる今夏のユーロ2024までだった。 青年監督はDFBの公式サイトで「これは心からの決断。代表チームの監督となり、国内最高の選手たちと仕事ができるのは大変光栄なこと」とし、決意を新たにしている。 「情熱的なパフォーマンスをもって成功させ、国全体を鼓舞するチャンスだ。3月のフランスとオランダ相手の勝利は本当に感動した。自国でのユーロで成功したいし、コーチ陣と一緒にW杯に挑戦するのが本当に楽しみだ」 ナーゲルスマン監督はバイエルンが今季限りで退任するトーマス・トゥヘル監督の後任として再招へいに動くのではないかとされ、具体的な交渉も取り沙汰されたが、ユーロ以降も代表を率いる決断に至ったようだ。 なお、ナーゲルスマン体制発足後のドイツは6試合の国際親善試合を消化。3勝1分け2敗としている。 2024.04.19 18:50 Fri

至宝ムシアラにバイエルンが新契約打診へ シティ関心話も

バイエルンがドイツ代表MFジャマル・ムシアラ(21)に新契約を申し出るようだ。 2020年6月にバイエルンのトップチームでデビューしてから瞬く間にチームの中心となり、今やドイツ代表でも主力と化すムシアラ。まだ21歳だが、バイエルンでは通算161試合も積み上げ、今季も公式戦36試合で12得点7アシストをマークしている。 バイエルンでは至宝とも評されるように順風満帆のキャリアだが、契約も2026年夏まで残すなか、最近ではまことしやかにマンチェスター・シティの関心報道も。だが、バイエルン側に手放す気などない模様だ。 移籍市場に精通する記者のファブリツィオ・ロマーノ氏によると、「バイエルンはムシアラに関してのプランを明確にしている。この夏に彼らの宝石を売るつもりなどない」とし、新たな契約も準備しているという。 新契約はアドオン付きの大幅な昇給というもので、近くオファーするとのこと。イングランドとスペインのトップクラブが注視しているものの、話し合いに至っていないそうだ。 また、ドイツの移籍市場に精通するフロリアン・プレッテンベルク記者も「ムシアラは間違いなく非売品。マックス・エベールはいかなるオファーも考慮したりしない」とした。 2024.04.19 16:35 Fri

CL4強入り貢献も…負傷抱えるサネは「ぎりぎりの状態だった」

バイエルンのドイツ代表FWレロイ・サネは痛みを押して大一番を戦ったようだ。ドイツ『スカイ・スポーツ』が伝えた。 アーセナルとのチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝では1stレグに続いて2ndレグにも先発し、バイエルンの準決勝進出に貢献したサネ。しかし、両レグともに直前のブンデスリーガを欠場していた。 ベスト4入りが決まった2ndレグ後、スポーツ・ディレクター(SD)を務めるクリストフ・フロイント氏がオーストリア『スカイ・スポーツ』にコメント。サネが痛みとつきあいながらプレーしたと明かした。 「完全にぎりぎりの状態だった。彼は一切のトレーニングができていない。メディカルスタッフたちは本当にできる限りのことをしてくれた」 「レロイは必死に歯を食いしばり、素晴らしい仕事をしてくれた。実際、彼は数週間トレーニングできなかったが、この試合にはなんとか間に合わせた」 また、『スカイ・スポーツ』で解説者を務める元ドイツ代表MFディートマー・ハマン氏は痛みに耐えながらプレーするサネの様子を気にしていた模様。すでにバイエルンのブンデスリーガ12連覇の夢が途絶えていることもあり、トーマス・トゥヘル監督は大一番以外、サネに頼るべきではないという考えだ。 「バイエルンは幸運だ。必ずしもブンデスリーガでプレーする必要はない。私ならプレーさせない。必要に応じて準決勝で起用する」 「彼をしばらく休ませて、この状況に対処できるか様子を見るべきだ。痛みのない100%の状態のサネがいれば、優位に進められる可能性がはるかに高くなる」 2024.04.19 14:13 Fri

ニャブリにトッテナムが獲得本腰? バイエルンは売却に前向きとの見立ても

トッテナムの、バイエルンのドイツ代表FWセルジュ・ニャブリ(28)に対する関心は本物だという。 ドイツ代表通算45試合22得点を誇る同国屈指のアタッカー・ニャブリ。バイエルン歴も長くなった28歳だが、今季は相次ぐケガでなかなか稼働できず、公式戦17試合出場にとどまっている。 イギリス『フットボール・インサイダー』によると、アーセナル在籍経験も持つニャブリにはトッテナムが具体的な関心。両ワイドに時としてセンターフォワードもこなす能力の高さを、アンジェ・ポステコグルー監督が高く評価しているのは想像に難くない。 ニャブリの現行契約は2026年6月まで。選手本人がトッテナム行きを含む移籍を考慮しているかは不明だが、バイエルン側はニャブリの売却に前向きとの見立てもあり、「現段階で去就は不透明」というのが妥当なところか。 ニャブリはイングランドだとアーセナルとWBAに在籍経験があるが、ブレイク前の若手時代だったため、プレミアリーグ通算11試合1得点。アーセナルから放出された先のブレーメンで才能を開花させ、現在に至る。 2024.04.19 14:00 Fri

ガスペリーニ、クロップ、アルテタ…個性豊かな名将に師事してきたソクラティスの“特別なボス”とは「師匠のサッカーは…」

レアル・ベティスの元ギリシャ代表DFソクラティス・パパスタソプーロスが、これまで師事してきた名だたる指揮官たちを振り返った。 ギリシャを代表するフットボーラー、35歳ソクラティス。ミランやドルトムント、アーセナルといった強豪に在籍歴を持つ歴戦の雄だ。 そんな彼は20年近いプロキャリアの中で名だたる指揮官たちに師事。 例えば、19歳で加入したジェノアにて、当時のボスは現在アタランタで長期政権を敷くジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督。“個”を伸ばすマジシャンであり、普段は温厚かつ選手に対する平等な姿勢から人望も厚い男として知られる。 ジェノアからのレンタル移籍で10-11シーズンに1年間だけ在籍したミランでは、セリエA優勝メンバーの一員に。ボスは当時まだ40代前半で、青年指揮官として評価急上昇中だったマッシミリアーノ・アッレグリ監督。 ドルトムントではユルゲン・クロップ監督の“深い愛”に始まり、トーマス・トゥヘル監督体制下でレギュラーポジションを確保。アーセナル時代はウナイ・エメリ監督およびミケル・アルテタ現監督と共闘した。 現所属ベティスでも、指導者として世界各地を渡り歩いた老将マヌエル・ペジェグリーニ監督に師事。スペイン『Relevo』のインタビューで“ボスたち”を振り返ったソクラティスは、それぞれの特徴を語っていく。そこに負の記憶はない。 「誰もがそれぞれ異なる特徴を持っているのは面白いよね。クロップなんか、ピッチを離れれば選手の友達じゃないか(笑) 心理学者のように選手の内側を見透かしていく。信頼されるはずだ」 「トゥヘルとアルテタは似ているかも。戦術面に強くて、それらを試合で表現するための努力を絶対に怠らない。僕はアルテタの下で長くプレーできなかったけど、負の感情はない。優れたボスであることは就任初日から明らかだったんだ」 「エメリもいわゆる“真面目タイプ”かな(笑) 熱心に仕事に取り組む一方、選手との対話にも時間を割く。そうだね、僕のキャリアで最も重要な1人はエメリだ」 そんななかでも「特別な人」がいると言う。 「特別な人は…やっぱりガスペリーニかな。師匠のサッカーは本当に難しくて、最初の1カ月は混乱しっぱなしだったよ(笑) ようやく理解し起用して貰えるようになり、彼の下での経験は今の僕の基礎となっているよ」 「アッレグリを含め、総じてイタリアの指揮官は『戦術面』に明るい。僕がディフェンダーだからなのか、カルチョの戦術は本当にレベルが高いと感じる。あの経験は大きかったよ」 このように歴代の名だたるボスたちを振り返ったソクラティス。現在師事するぺジェグリーニ監督からロッカールームのリーダーを託される35歳は、引退後の将来をどう考えているのか。 「マヌエル(ぺジェグリーニ監督)にはとてつもなく長いキャリアがあって、僕は彼に何でも相談することができる。常に冷静で、それは40年の経験値からなせるものだよ。いつか僕もそうなれるか?...まだ考えたこともないな(笑)」 多くの名将に師事してきたソクラティスにも監督業を期待したいところだが、今のところ、自身はその名将たちの足元にも及ばないと考えているようだ。 2024.04.18 17:20 Thu
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly