フジゼロックス杯名称変更で思い出したスーパーカップ/六川亨の日本サッカーの歩み

2021.12.16 19:00 Thu
©︎J.LEAGUE
Jリーグは12月14日、社員総会と実行委員会を開催し、それぞれZoomによる会見を実施した。来年22年度の事業計画では、今年度に続き22年度も22億円の赤字を予定しているが、これは新型コロナウイルス対策のための費用を15億円計上したからだ。それでも33億円の純資産があるため債務超過にはならないと報告された。
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これは、あくまでオミクロン株を含めてコロナ禍が沈静化しつつある日本の現状を踏まえての予算のため、予断を許さない状況に変わりはない。そして実行委員会では、昨日13日の新型コロナウイルス対策連絡会議でPCR検査と抗原定性検査の陰性結果が99・9パーセント一致したとの報告を受け、Jリーグも高額で結果が判明するまで1~2日かかるPCR検査を止め、15分足らずで結果の出る抗原定性検査に切り替えることが発表された。
これまで2週間に1回のPCR検査から、1週間に2回の抗原定性検査に変更しつつ、Jリーグの主導から各クラブの自主的・主体的な感染対策へとシフト。さらに審判員はJリーグが検査キットを発送するものの、結果はJFA(日本サッカー協会)の審判部が管理することになった。

そして新シーズンの到来を告げる、リーグ覇者と天皇杯優勝チームが激突する「FUJI XEROX SUPER CUP」は、22年シーズンより「FUJIFILM SUPER CUP」に名称が変更されることも合わせて発表された。確か去年も大会前にそんな話を聞いたような気がしたが、すっかり忘れていた。
同大会はJリーグが開幕した翌年の94年に「XEROX SUPER CUP」としてスタートし、08年まで同じ名称で開催された。09年からは「FUJI XEROX SUPER CUP」として28年間、同一スポンサーによる「スーパーカップ」としてギネス記録を更新してきた。とはいえ、同業者の間では「ゼロックス」とか「ゼロックス杯」で意味が通じていたため、詳しい社名を意識することはほとんどなかった。

しかし去年4月に「富士ゼロックス」から「富士フイルムビジネスイノベーション」に社名を変更したため、大会名もマイナーチェンジすることになった次第だ。

30年近く前の大会を覚えているファン・サポーターも少ないだろうが、それ以前にも「ゼロックス・スーパー・サッカー」という大会が存在したことを簡単に紹介しよう。

日本で最初に海外から複数のチームを招待して行われた国際大会は、78年にスタートした「ジャパンカップ(後のキリンカップ)」である。その1年後の79年、世界的なスーパースターのいるチームを招待して日本代表と対戦したのが「ゼロックス・スーパー・サッカー」だった(翌80年にトヨタカップもスタート)。

79年の第1回大会はペレやフランツ・ベッケンバウアーを擁するニューヨーク・コスモス、翌80年の第2回大会はヨハン・クライフが選手として初来日したワシントン・ディプロマッツが日本代表と対戦した。その後も全盛時のディエゴ・マラドーナがボカ・ジュニアーズを率いて来日。マラドーナはその後も南米選抜とSSCナポリの一員として3度の来日を果たしている。しかし90年、クラウス・アウゲンターラー率いるバイエルン・ミュンヘンの来日を最後に同大会は幕を閉じた。

例えスーパースターがいたとしても、トヨタカップという真剣試合の醍醐味を知ってしまった日本のファンは親善試合に満足できなかったことも大会が消滅した一因かもしれない。キリンカップも92年からはクラブチームではなく、代表チームを招待して国際Aマッチによる代表強化の大会へとグレードアップした。

そしてJリーグの誕生により「スーパー・サッカー」が「スーパーカップ」にリニューアルされたのも、時代の流れとして当然だったのかもしれない。


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