なでしこジャパンと全国地域サッカーチャンピオンズリーグ/六川亨の日本サッカー見聞録

2021.11.28 14:00 Sun
今週末は充実した取材の日々だった。25日の深夜というか午前3時30分から、オランダ遠征中のなでしこジャパン対アイスランドとの試合をテレビで観戦。26日は味の素フィールド西が丘での全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2021決勝ラウンドを取材。そして27日はJ1リーグの浦和対清水戦を取材した。

新生なでしこジャパンは、池田太新監督のメッセージは伝わってきた。アイスランドの俊足FWに対し、21歳と若くフィジカルも強い方で、ワシントン・スピリットでプレーしている宝田沙織をマーカーに抜擢。しかし相手の方が1枚上手で、日本選手はスピードに太刀打ちできず1ゴール1アシストを許して0-2と敗れた。

これは昔からの“なでしこジャパンの弱点”でもある。克服できる特効薬はないだけに、2点とられたら3点とり返すしか解決策はないだろう。
一方、攻撃陣に目を向けると池田監督は植木理子(22歳)を最後まで辛抱強く使った。いつまでも岩渕真奈(28歳)に頼るわけにはいかないし、菅澤優衣香(31歳)、田中美南(27)もベテランの域に入りつつある。若返りが急務であることは明白だし、池田監督の意図も前任者と違ってわかりやすかった。

全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2021決勝ラウンドでは、初日に勝利をあげたFC.ISE-SHIMAとクリアソン新宿が激突。クリアソン新宿は元横浜F・Mの小林祐三や浦和のGK岩舘直らを擁し、新宿区を本拠にJリーグ入りを目指すクラブだ。区内にはホームにできるスタジアムがないものの、今年2月には「Jリーグ百年構想クラブ」に認定されている。
一方のFC.ISE-SHIMAは名前の通り三重県をホームにする、こちらも将来のJリーグ入りを目指すクラブだ。チームの母体を作ったのは伊勢市出身で、四日市中央工業高校時代に高校選手権で帝京高校と同時優勝を果たした中田一三氏(元京都監督)。現在は高校時代のチームメイトである中西永輔氏、島岡健太氏(元南葛SC監督)らとともにクラブのアドバイザーを務めている。

そしてチームを率いる監督はというと、四中高時代に「レフティー・モンスター」(命名したのはサッカーダイジェスト時代に高校サッカーを担当していた金子達仁氏)と言われた小倉隆史氏だ。

試合は0-0のドローに終わったものの、小倉監督のチームはボールを保持して多彩な攻撃を繰り広げるなかなかの好チームで、かつての四中高を彷彿させた。ただ、選手層が厚くフィジカルの鍛えられているクリアソン新宿(何せスタメンに徳島や鳥栖など元Jリーガーが8人、サブに2人)に終盤は防戦一方になったのは仕方のないところ。それでも引き分けて28日の最終戦に望みをつないだ。

全国地域サッカーチャンピオンズリーグで1位と2位になったチームには(2試合を終えて3位は1勝1敗のおこしやす京都AC、4位は2敗のFC徳島)JFLの下位チームとの入替え戦が待っている。

全国地域サッカーチャンピオンズリーグで優勝したからといって、すんなりJFLに昇格できるわけではない。それを考えると、J3リーグに昇格するのにもスタジアム要件などクリアしなければならないハードルは数多く、高い。その頂点にいるJ1リーグには、いかにレベルの高い選手が揃っていることか。改めて痛感させられた全国地域サッカーチャンピオンズリーグの決勝ラウンドだった。

JFLの関連記事

3日から4日にかけ、日本フットボールリーグ(JFL)第8節の8試合が行われた。ゴールデンウィーク期間のJFLは今節のみで、ヴェルスパ大分のホームゲームが観衆2527人を記録した。 ◆YSCC 3-3 滋賀 Jリーグ返り咲きを期すY.S.C.C.横浜と、Jリーグ初参入を誓うレイラック滋賀。立ち上がりから一進一 2025.05.04 21:40 Sun
3日、日本フットボールリーグ(JFL)第8節の飛鳥FCvsいわてグルージャ盛岡が奈良県立橿原公苑陸上競技場で行われ、1-0で勝利した飛鳥が記念すべき「JFL初白星」とした。 昨季まで11年間Jリーグに身を置いた岩手が、昨季まで地域リーグ(関西1部)を戦った飛鳥のホームに乗り込んだ一戦。岩手は4連敗中で、飛鳥は開幕 2025.05.03 15:30 Sat
20日、日本フットボールリーグ(JFL)第7節の5試合が各地で行われた。 ◆沖縄 0-0 Honda 首位・沖縄SVと2位・Honda FCによる首位攻防戦はゴールレスドローで決着。Hondaは今季無敗を継続も、5連勝と首位浮上はならず。この結果、19日に勝ち点「3」を積み上げたヴェルスパ大分が暫定首位から 2025.04.20 16:30 Sun
19日、日本フットボールリーグ(JFL)第7節の3試合が各地で行われた。 ◆浦安市川 1-0 岩手 早くも3連敗中のいわてグルージャ盛岡は、敵地でブリオベッカ浦安・市川と対戦。立ち上がりから攻勢をかけるも、MF小林祐希の浮き玉に抜け出したFW藤本憲明がGKとの一対一を外した以外は、なかなか決定機を作れない。 2025.04.19 22:30 Sat
13日、日本フットボールリーグ(JFL)第6節の4試合が各地で行われた。 ◆ミネベア 0-1 沖縄 沖縄SVが実業団・ミネベアミツミFCとの九州勢対決を制して首位キープ。41分、テゲバジャーロ宮崎から期限付き移籍で加入中のFW上野瑶介が右足シュートを突き刺し、上野のJFL通算20得点目が先制点・決勝点となっ 2025.04.13 18:15 Sun

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly