“和”を重んじる森保采配も、状況を打破した三笘薫の“個”、2連勝は評価も打開策のない采配の未来は/日本代表コラム

2021.11.17 13:01 Wed
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©︎JFA
11月シリーズはアウェイでの2連戦。日本代表はグループ4位というポジションでこの戦いを迎えた。

9月、10月と1勝1敗で終えていた日本。10月はライバルであるサウジアラビア代表にアウェイで敗れた一方で、オーストラリア代表にはホームで勝利。崖っぷちから一歩だけ前に出た状態での11月の2試合は連勝が必須だった。

そんな中11日のベトナム代表戦は1-0で勝利。オマーンが引き分けたことで3位に浮上するというオマケも付いてきた。

そして迎えたオマーン代表戦。日本は苦しい戦いを強いられたが1-0で再び勝利。見事に連勝を達成し、さらにオーストラリアが中国代表と引き分けたことで2位に浮上することに成功した。

目標としていた勝ち点6をアウェイから持ち帰ったことは大いに評価できる。窮地に立った中からの生還。もちろん残り4試合でどうなるかは分からないが、自力でW手が届くを掴める位置には戻ってきた。その点は評価すべきだろう。しかし、それでしかないということも言える2試合だった。


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W杯の選手枠増が日本代表にもたらす影響は? プラス3名に入り込むのは誰だ/日本代表コラム

史上初の冬開催となるカタール・ワールドカップ(W杯)。ヨーロッパのシーズン真っ只中に行われることもあり、出場する選手たちをはじめ多くの関係者のなかに困惑もあるはずだ。 コンディション調整の仕方、シーズンの戦い方、そしてW杯後の戦い方など、それぞれの思惑もあるだろう。 そんな中、23日に国際サッカー連盟(FIFA)が、カタールW杯に向けた新たな変更点を発表。チームの登録人数がこれまでの23名から26名に増加したのだ。 これは新型コロナウイルス(COVID-19)がいまだに終息に向かわないなか、選手たちに感染者が出る可能性も考慮したもの。また、5人交代というルールを継続することから、枠を拡大することとなった。 たった3名と思う人もいるかもしれないが、この3名があるかどうかでは大きくチームの戦略も変わってくる。また、15名がベンチ入りできるということは、ケガや出場停止がなければフルに全員を試合で起用できるという状況なだけに、監督としても幅が広がるはずだ。 そこで、今の日本代表が26名で編成されるとしたらどのような影響があるのか予想してみた。 <span class="paragraph-title">◆GK3名+各ポジション2名</span> これまでの23名という枠で考えると、まずはGKに3名、そして残りの20名を各10のポジションに2人ずつという計算になる。 もちろん、違うメンバー構成にするところは多々あるが、考え方としてはレギュラー10名+バックアップ10名ということだ。 日本代表は[4-1-4-1(4-3-3)]と[4-2-3-1]を併用しているが、[4-1-4-1]に当てはめて考えてみたい。 まずGKだが、こちらは別途3枠がある。正守護神である権田修一(清水エルパルス)、3大会に出場している川島永嗣(ストラスブール/フランス)は入る可能性が高い。そして残りの1枠は国によって考え方が違い、若手の枠として考えるか、控えの戦力として考えるかだ。これまでの代表招集の実績でいけば、谷晃生(湘南ベルマーレ)かシュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)が濃厚。ただ、6月に招集された大迫敬介(サンフレッチェ広島)、U-21日本代表で活躍する鈴木彩艷(浦和レッズ)もいる。残り5カ月の中で決めることになりそうだが、目下7月のEAFF E-1サッカー選手権の出来が重要になりそうだ。 右サイドバックはケガからの回復次第だが、酒井宏樹(浦和レッズ)、山根視来(川崎フロンターレ)、左サイドバックは長友佑都(FC東京)、中山雄太(ズヴォレ/オランダ)が現時点では順当な選出となるだろう。 そしてCBは4名。最近の招集メンバーを見れば、吉田麻也(サンプドリア/イタリア)、冨安健洋(アーセナル/イングランド)、板倉滉(シャルケ/ドイツ)、谷口彰悟(川崎フロンターレ)という構成になると見て良い。 中盤は考え方次第だがアンカーとインサイドハーフで6名という計算。遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)、守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)、田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)という最終予選のレギュラー3人に、原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)、柴崎岳(レガネス/スペイン)という3名になると予想できる。 前線の3人に関しては、右は伊東純也(ヘンク/ベルギー)、左は南野拓実(リバプール/イングランド)が軸に。そして控えとして堂安律(PSV/オランダ)、三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー)と見て良いだろう。1トップは大迫勇也(ヴィッセル神戸)、浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)という序列に感じる。 これが本来の23名の枠で考えた時のメンバー。直近の日本代表活動で招集され、森保一監督の下で長い間プレーしてきたメンバーとなる。順当すぎるという感じだろう。 <span class="paragraph-title">◆残り3名でチームの幅を広げる</span> では、ここに3名が加わると考えるとどういう方法論があるのか。単純に考えれば、DF、MF、FWに1人ずつというのがセオリーとも言える。 すでに選んだ8名に加え、DF陣でもう1人加えると考えるなら、伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)という選択肢になるだろう。6月に初招集を受けて4試合中3試合でプレー。日本代表に慣れていない中、左サイドバック、センターバックでプレーしたが、高さとフィード能力で一定のパフォーマンスを見せた。 まだまだ連携面や約束事という点では物足りなさはあるが、ドイツに渡って1年目でシュツットガルト首脳陣の予想を良い意味で裏切りレギュラーとしてプレーした能力は十分見せた。複数ポジションができるという点でも望ましいメンバーの1人と言える。 中盤は[4-1-4-1]をベースに考えた6名を選択しているが、[4-2-3-1]となれば1つポジションが空いている。それがトップ下だ。 23名の中で考えれば鎌田、南野、堂安あたりが務めることになりそうだが、ここに割って入るとすれば久保建英(マジョルカ/スペイン)だろう。多くの期待を背負っている久保は、6月のガーナ代表戦でついに初ゴールを記録。3年かけての初ゴールとなったが、残り5カ月のパフォーマンスが重要。現時点で序列は低いが、3枠増えることで選択肢の1つになることは間違いない。どこのクラブに行くのか。選択を間違えず、5カ月でパフォーマンスを上げられることが期待される。 そしてもう1枠が前線。候補としては古橋亨梧、前田大然(セルティック/スコットランド)、上田綺世(鹿島アントラーズ)辺りだろう。いずれもクラブではゴールを量産しているが、代表ではなかなか結果を残せていない。試合に勝ってベスト8を目指すという目標に向けては、点が取れる選手が必要。大迫の状態もこの先わからず、流動的になるだろうが、W杯の時点で一番乗っている選手がベストだろう。この3人以外にもまだまだチャンスがあると言えるだけに、ゴールを量産し続ける選手としておきたい。 <span class="paragraph-title">◆チーム作りは無駄ではない可能性</span> ここまで森保一監督は、最終予選ではメンバーをほぼ固定して戦った一方で、6月の4試合はチームのベースアップ、様々な組み合わせによる化学反応を見極める時間に費やした。 新たなポジション、新たな組み合わせで見えてくるものもあり、固定して戦い方を固めた方が良いという意見も理解はできるが、このやり方も間違いではなかったと言える。 枠が3人広がったことで、チームとしてのバリエーションは広げられることになった。ただ3名を追加するというよりも、意図を持って3人追加できる方がプラス。そういった意味では、6月の4試合で見えたものをどうブラッシュアップしていくか。9月の貴重な時間に向けて、26名でのプランニングが必要となる。 ドイツ代表、スペイン代表、コスタリカ代表とどの相手も実力があり、一筋縄で勝てる相手ではないことは承知。ただ、そこを戦略性を持って攻略することは不可能ではない。残り5カ月、選手たちはピッチ上で最高のパフォーマンスを続けること、そして森保監督には26名で完成するパズルを組み立ててもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.24 12:50 Fri
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4試合で掴んだ手応えと浮き彫りになった課題、擦り合わせたいフィニッシュの形/日本代表コラム

「毎試合選手を変える中で戦うことは選手たちにとっては難しいこと、選手たちにプレーしてもらったので、選手たちの責任でこういう結果になったわけではないと思います」 試合後にこう語ったのは日本代表の森保一監督だ。14日に行われたキリンカップサッカー2022決勝のチュニジア代表戦で優勝を目指したが、結果は0-3の惨敗に終わった。 20年前の同じ6月14日、日韓ワールドカップ(W杯)のグループステージで対戦した日本とチュニジア。当時は同じ大阪でも長居スタジアムでの椎亜だったが、0-2で日本が勝利しベスト16に進んだ。 20年の時を経ての再戦。偶然の一致とはいえ、20年ぶりの同一カードということで注目も集めた中、日本は良さを見せることなく終わった。 6月の4連戦はこれで2勝2敗で終わったわけだが、カタールW杯に向けたアジア最終予選で苦戦を強いられた日本にとっては、全くもってテストができないまま出場権をなんと確保した状況。この4試合で多くのことを試したかったというよりも、試さなければいけない状況だった。 そのことは指揮官も選手たちも重々承知。各取材でも多くの選手たちも口にしていた。 その意味では、この4試合は有意義に過ごせたと言えるだろう。まずは予選の苦境を救う形となった[4-1-4-1]のシステムにおいて、ほぼ固定のメンバーだった中で、様々な組み合わせを試すことができた。 また、離脱者、不参加者の関係もあったものの、右サイドバックで長友佑都(FC東京)を起用。さらに、左サイドバックでは初招集の伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)を3試合で起用することができた。 GKに関しても権田修一(清水エスパルス)がほぼ1人で守ってきた予選だったが、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)を2試合、川島永嗣(ストラスブール/フランス)を1試合で起用することができた。 多くのトライを行い、多くのパターンを試し、戦い方のバリエーションを増やすことや、選手の組み合わせによるパフォーマンスの変化などを見て取ることはできた。 ただ、最後のチュニジア戦では、そのツケを払うことも知らされたが、特に残念だったのは攻撃陣だったと言えるだろう。 <span class=“paragraph-title”>◆頂けないミスだが起こり得ること</span> まずチュニジア戦で目がいくのは失点シーンだろう。1点目は伊藤が被った中で相手にボールを奪われると、スルーパスを通される。吉田麻也(サンプドリア/イタリア)がなんとか戻って対応、板倉滉(シャルケ/ドイツ)もカバーに入ったが、滑った吉田が相手と接触。PKが与えられ決められてしまった。 2点目は相手のGKから。フィードが流れ、吉田と板倉はGKシュミット・ダニエルに任せたボールだったが、シュミット・ダニエルが反応できずに前に出てこなかったために相手に奪われ、そこからゴールを許した。 この2失点に関してだが、1点目は吉田のミスといえばミスだが、起こらないとはいえないこと。相手のレベルが上がれば、あのようなシーンは起こる。対応のまずさは指摘できるが、起こり得るミスだ。 2点目に関しては、完全に意思疎通が上手くいかなかったということ。「明らかに防げる失点」とシュミット・ダニエルは振り返り、森保監督は「私自身が反省しなければいけない」と、GKをこれまで試せてこなかったことが生んだことだとした。 いずれにしても、この2失点は起こり得るものでもあり、簡単に防げたものでもある。それが出てしまったことはもちろん評価できないが、あえていうのであれば本番の前に出て良かったということだ。同じ場面があれば吉田は滑らないだろうし、シュミット・ダニエルは自分がキャッチに行くはずだ。 <span class=“paragraph-title”>◆敗れた2試合の問題は攻撃陣</span> もう1つ上げるとすればビルドアップのミス。今回の4試合のうち、最初の3試合で喫した3失点はいずれもビルドアップのミスからだった。ここに関しても、基本的な戦い方として、ビルドアップを放棄しては目標のW杯ベスト8は叶わないだろう。 長い時間守備をするということは本来はリスクが増えるというもの。どんな形でも点が入る可能性はあり、いくら全員で引いたからといって失点がないわけではない。 その点では、後方から繋いでいくということにトライすることは重要。ただ、それがスムーズにいけたかと言えば、そうでないシーンも多かった。それは選手の組み合わせを試したことも影響がある。織り込み済みの状況で起こるミスは想定内。褒められることではないが、大きな問題ではない。 ただ、敗れた2試合の攻撃陣に関しては大きな問題と言って良いだろう。 ブラジル戦、チュニジア戦と無得点で日本は敗れたわけだが、この2試合は枠内シュートが「0」。攻撃陣が結果を残せなかった。 ブラジル戦は守備でよく耐えていた一方で、ブラジルの守備の前に歯が立たなかった印象だ。一方で、チュニジア戦は前半に伊東純也(ヘンク/ベルギー)が何度となく右サイドを仕掛け、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)、南野拓実(リバプール/イングランド)が決定機を迎えたが、鎌田は空振り、南野はオフサイドとゴールとはならなかった。 数が多かったわけではないが決定機もあった日本。後半も徐々に攻撃陣が停滞した中、左ウイングに入った三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー)が再三ドリブル突破。しかし、中央への折り返しはブロックされたり合わなかったりと決定機までは作れていなかった。 この試合も日本のミドルシュートは数える程。攻撃面では、苦しい戦いの時にゴールをこじ開けるという形が作れないという課題が明白となった。 <span class=“paragraph-title”>◆フィニッシュのイメージを共有できるか</span> ポイントとなるのはチャンスメイクの形ではなく、フィニッシュの形ではないだろうか。例えば、伊東や三笘のサイドの突破は、相手も警戒するほどの脅威があり、そこからチャンスを作るというのは日本の1つの形だ。 しかし、それはチャンスを作るところまで。ゴールを奪うということには繋がっていない。 一方で、ガーナ戦の1点目の久保建英(マジョルカ/スペイン)、堂安律(PSV/オランダ)、山根視来(川崎フロンターレ)の3人が絡んだゴールの形に始まり、三笘のクロスからのゴール、三笘の仕掛けからの久保のゴール、そして伊東のクロスから前田大然(セルティック/スコットランド)のゴールと、どれもゴールにつながる形が見えた崩しだった。 今回呼ばれたメンバーは、各々がクラブで得点を重ねている状況。その中でも得意なゴールパターンはある中で、今回の活動ではそこがどれだけt出せたかだ。 突破やクロス、コンビネーションとそれぞれが良いものであっても、最後にゴールを決めるという部分と繋がらなければ意味をなさない。トレーニング時間が取れない中で、そこを突き詰めるのは至難の業。個々人がクラブで磨き続け、周りがそれを共有して理解してプレーすることができるかどうか。9月の2試合では、その点をしっかりと見せてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.15 13:00 Wed
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パターンではなくキャラクター、柴崎岳の提言は日本の“伸び代”か/日本代表コラム

「5カ月で世界のトップと互角にすることは無理だと思います。日本の現状を考えても、それは最適なアイデアではないと思います」 そう口にしたのはMF柴崎岳(レガネス)。カタール・ワールドカップ(W杯)まで残り5カ月という短い期間で、世界のトップと互角に戦うには?と質問された時の答えだ。 高校2年生で日本屈指の強豪である鹿島アントラーズと契約し、その後プロとして活躍。クラブ・ワールドカップでは、レアル・マドリーを相手にゴールを決めるなどして世界にインパクトを与え、2017年1月に海を渡ってテネリフェへと移籍した。 その後、ヘタフェ、デポルティボ・ラ・コルーニャ、そしてレガネスとスペイン4クラブでプレーする柴崎は、日本代表としてのキャップも重ね、4年前のロシアW杯は主軸として4試合に出場。ラウンド16のベルギー代表戦では先制ゴールとなる原口元気(ウニオン・ベルリン)のゴールをアシストした。 世界を知る柴崎から出た言葉。決して悲観的になっているというわけではなく、現実を見て世界のトップトップと互角に戦おうという選択肢は無理なことだという冷静な分析だ。 日本は4年前の失意の敗戦もあり、W杯でのベスト16の壁を越えるという大きな目標へ、より一頭思いを強くしている。選手たちはさらにヨーロッパでプレーする機会が増え、日々トップクラブを体感。この4年間でも、選手たちが積み上げた経験値は相当な者だと言える。 しかし、改めて4年前のW杯のベルギー戦以来といえる強豪国との対戦となった6日のブラジル代表戦。スコアは0-1となり、守備面では確かに善戦していたが、その距離が縮まっているかといえば、ほんのわずかと言えるだろう。大きな差があることは、スコア以上に感じた方も多いはずだ。 ただ、日本はカタールW杯でドイツ代表、スペイン代表と世界のトップの強豪国との対戦が決まっている。これは紛れもない事実であり、この2カ国を超えることが、ベスト8への道となる。グループステージで当たらずとも、準々決勝では対戦するクラスなだけに、そのクラスの国に勝つということは必要となってくる。 では、柴崎はどう考えるのか。「何が起こるのか分からないのがサッカーで、今の自分たちの力、日本が持っている力をどう引き出して、相手とどう戦っていくかを探し続けていく」と、日本の力で対抗するための策を練ることが大事だとコメント。「可能性を見出していくことが大事」と、3試合を通じてのプランニングが大事だとした。日本は、初戦でドイツ、2戦目でニュージーランドかコスタリカ、3戦目でスペインと対戦。この3試合でどう勝ち点を取っていくかということだ。 その中で柴崎は日本の戦い方に提言をした。 「今は代表チームとしてある程度の形を持って守備も攻撃も自分たちの中でイメージを持ってできるようになっている反面、その型にハマりすぎるという危険性もある」 「とりわけ、そのパターンになってしまうと相手もそれを分かりやすく対応できる訳で。うちでいえばサイド攻撃だったり。ブラジル戦では中のコンビネーションは皆無で、どちらかというと外からでしか突破口を見出せなかったと思います」 ブラジル戦を観ていて感じた方も多いかもしれないが、日本は準備してきたいくつかの型をもって戦っていた。これは日本に限らず、どの国にもあることではあるが、その型を意識するあまり、個の特徴、特に交代で入る選手の特徴を生かしきれていない場面が多い。 柴崎はエースであり今回は不在のFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)を引き合いに出し、「今までであれば大迫選手がメインでやっていて、彼のキャラクターと、(古橋)亨梧、(前田)大然、(上田)綺世のキャラクターは全く違います。この3人の中でも違うキャラクターがあって、彼らが出た時に同じサッカーが期待できるかというとそれはまた違うレベルの話です」とコメント、選手としての特徴が違うため、招集されている今回の古橋亨梧(セルティック)、前田大然(セルティック)、上田綺世(鹿島アントラーズ)を生かすプレーを見せられるようになる必要があるとした。 よりチームが良くなり、より世界に近づくために柴崎が考えているビジョン。ここまで、ハッキリと口にするのも、ブラジル戦でトップを体感し、まだまだ差があることを感じたからかもしれない。 森保一監督はこの柴崎の発言についてコメント。「ブラジルのようなレベルの高いチームに対して、アタッキングサードで形を作らせてもらえなかったことは事実」とトップ相手の苦戦を認めながらも、「今後多くチャンスを作るだけのベースとなるビルドアップの手応えを掴めたと思います」と、手応えも感じた部分があるとした。 また、「まずはダイレクトにゴールに直結するプレーをするというのが原点」と、日本代表としての戦い方のポイントを改めて語り、「早い選手を起用する、ポストプレータイプを起用するということではなく、中央で背後を突く、起点を作る、サイドから攻撃を仕掛けるというチームの戦術的共有認識として選手たちに働きかけたいと思います」と、選手のタイプではなく、チームとしての戦い方のベースを再認識させることが大事だとし、あくまでもゴールにすぐ向かうことが第一だとコメントした。 この言葉を受ければ、そもそも大迫のポストプレーありきという考えが間違っているということになる。もちろん前線でタメを作れる大迫のパフォーマンスは卓越しているが、そんな時間を作らずにゴールを奪えるのが一番ということ。そういった意味では、大迫も安泰ではなく、いかに効率良くゴールを奪えるかが重要視される。 ここまで起用されていないのは上田のみ。Jリーグでは圧倒的なパフォーマンスを見せている中で、残り2試合で何を見せるのか。古橋はかつての本拠地に凱旋、前田は2試合出場しビッグチャンスを逸して未だノーゴール。FW陣だけを見ても、それぞれの良さを出し、周りが引き出すことで大きな変化が生まれる可能性はある。時間が少ない中ではあるが、“伸び代”と捉えても良いかもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.10 11:45 Fri
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インサイドハーフの新たな可能性…原口元気、鎌田大地という選択肢が持つ意味/日本代表コラム

世界一のチームと言っても良いブラジルと対戦する日本代表。これまで12試合を戦い、2分け10敗と歯が立っていない。 しかし、ワールドカップ(W杯)開催の年に、それも大会に向けた準備が進んでいる段階で対戦するのは初めて。今まで以上に、豪華な主軸が顔を並べている。 カタールW杯では、日本はドイツ代表、スペイン代表と世界でも有数の強豪国とグループステージで同居している。いわゆる、“死の組”と言われても良いようなグループだ。 もう1チームはニュージーランド代表かコスタリカ代表かはまだ決定していないが、下馬評はドイツとスペインの勝ち上がりであることは間違いない。実力的に考えても当然の結果と言える。 しかし、その壁を打ち破るべく日本は準備。「ワールドカップでベスト8」という目標を掲げているが、その目標を達成するには遅かれ早かれ、世界の強豪国と対戦することにはなる。 その大きな2試合を前に、ブラジルと対戦できることは、現在地を測るという意味でも非常に大きい。そして、何が通用し、何が通用しないのか。どの戦い方ならば勝機が見出せるのかを見つけるにも良い機会と言えるだろう。 その中で1つポイントとして見たいのが、インサイドハーフの選択だ。 2日に行われたキリンチャレンジカップ2022のパラグアイ代表戦では、控えメンバーが中心となり、原口元気(ウニオン・ベルリン)と鎌田大地(フランクフルト)がインサイドハーフで起用された。 7大会連続7度目のW杯出場に黄信号が灯った日本は、それまでの[4-2-3-1]から[4-3-3]にシステムを変更。それに伴い、インサイドハーフには守田英正(サンタ・クララ)と田中碧(デュッセルドルフ)を起用。アンカーの遠藤航(シュツットガルト)との3人の中盤で守備の強度をあげ、中盤を制圧することに成功した。 この3人は、元々ボランチでプレーしており、守備の強度が高く、運動量も豊富。さらに、後方からのビルドアップの能力に長けており、ポジションを前後しながらも互いに補完しあい、チームとしてスムーズにビルドアップして流れを掴むことができていた。 ボールを握る時間が長くなるアジアでの戦いには確かに適しており、中盤で守備強度をあげ、奪って一気にカウンターという戦い方も合っていた。サウジアラビア代表やオーストラリア代表といったアジアの強豪に手こずることが多かった日本だが、[4-3-3]が成熟した結果、今まで以上にコントロールでき、アウェイでのオーストラリア戦初勝利でカタールW杯行きを決めたということからも、安定感が増したことはわかる。 ただ、世界の強豪と戦う上では、それだけでは物足りないと言える。 確かにビルドアップ能力だけでなく、守田も田中もポジショニングが優れていたり、それぞれの特徴を持っている。しかし、ボールを握る時間は強豪相手には確実に減る。さらに、ビルドアップも思うようにさせてもらえないだろう。中盤の強度という点では五分に近い形で戦える可能性はあるが、アジア仕様の人選と言える可能性もある。 そこで注目したいのがパラグアイ戦でプレーした2人。クラブではインサイドハーフでもプレーしながら、代表ではほとんど試されることがなかった。いや、試せる状況でもなかったと言えるのかもしれない。 ただ、原口はレギュラーとして1年間戦い、ウニオン・ベルリンはブンデスリーガで5位フィニッシュ。鎌田も決定的な仕事が増え、特に優勝したヨーロッパリーグでは数字も残していた。 この2人、今回の合宿ではトレーニングでも常にと言って良いほど横にいて、よく話したり絡んでいる姿を見た。さらに、クラブでの充実感から来るものなのか、顔つきがこれまでの代表活動とは違い、鎌田は自信がついたのかリラックスしながらも精悍な顔つきに、原口も闘志を秘めた良い顔をしていた。 その結果、パラグアイ戦で原口は2アシスト、鎌田は1ゴール1アシストを記録。インサイドハーフでもパフォーマンスが出せることを示しただけでなく、日本にとって新たなパターンを生み出す可能性を見せたのだ。 守田、田中に比べ、確実に前のポジションでのプレー経験が多い原口と鎌田は、攻撃面で圧倒的に違いを出せることを証明した。ボックス付近で絡むだけでなく、ボックス内にまで入っていくプレーを何度となく行い、ゴールに近いポジションでプレーするという、本来インサイドハーフに求められるプレーを見せた。 そこで言えるのが、戦い方を相手によって変えるために、インサイドハーフの組み合わせを変えるということだ。 ビルドアップ力に長け、守備の強度を高められる守田と田中、ボックス内でのプレーも厭わず、より攻撃に絡むことが得意な原口と鎌田。この4人が組み合うことができると大きな作用が生まれるはずだ。 パラグアイ戦の後半途中に選手交代の流れで鎌田と田中がインサイドで組む時間があった。田中は森田に比べてパスで局面を変えることができ、攻撃への判断が早いため、ボックス付近にポジションをとった鎌田を生かしていた。また、ミドルシュートでゴールを決めた田中だが、そのパスを送ったのは鎌田。互いの特徴を理解し、ポジションを取れれば、いつもと違う組み合わせでも結果を出せるのだ。 また、ボールを保持する時間が減り、ビルドアップも簡単に行かないことが想像される強豪国との対戦では、奪ってからのショートカウンターという選択肢もある。守備強度の高い2人を使って奪う力を増すのか、攻撃的にプレーできる2人を使って、よりカウンターの推進力を増すのか。最終予選では試せなかった戦い方のトライをぜひ見てみたい。 ブラジル相手にも攻撃タイプのインサイドハーフが通用するのかは、限られた時間帯でも見て見たいものだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.06 06:40 Mon
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大胆采配も回ってきたツケ、W杯ベスト8に向け残り8カ月で浮き彫りになった課題/日本代表コラム

「なかなか練習時間が短い中、全てのことを評価するのは難しいと思います。まずは選手たちの姿勢の部分でやってやろうという気持ちでしっかり準備してくれたことを見てあげたいと思います」 試合後にそう語ったのは日本代表の森保一監督。W杯出場を決めたアウェイでのオーストラリア代表戦から、DF吉田麻也(サンプドリア)、DF山根視来(川崎フロンターレ)以外の9名を変更した。 GK川島永嗣(ストラスブール)は今回の最終予選初出場となり、MF旗手怜央(セルティック)は日本代表デビュー戦。MF柴崎岳(レガネス)は4試合ぶり、MF久保建英(マジョルカ)は3試合ぶりと、出番が限られている選手たちがピッチに並んだ。 W杯の出場権を獲得したからこそできた今回の采配。これまで割とメンバーを固定して戦い、出場権獲得という目標に向かって進んできたため、多くの選手を試すということは難しかった。 特に最初の3試合で2敗という苦しいスタートとなってしまっただけに、4戦目のオーストラリア戦から[4-3-3]のシステムに変更し、ケガでの不参加や出場停止を除いてはメンバーを固定してきていた。 苦しい戦いの中でも、試練を乗り越えて出場権を確保したという部分は評価されるべきだが、9戦目まで長引かせてしまったことで、テストする機会を失ったことも事実だろう。 <span class="paragraph-title">◆良いテストの場に</span> 「チームと選手に望むのはホームで勝って、グループ首位で終わらせるということ」と前日の会見で語っていた森保監督だが、試合は難しいものとなってしまった。 システムは[4-3-3]を踏襲し、日本へ帰国してからのトレーニングでプレーしてきた選手を起用した。 中盤から前の6人に関しては、[4-3-3]にシステムが変わってからは柴崎を除いて初めての先発出場。また柴崎もアンカーで出るのは初めてであり、大きなテストの場となった。 これまでの[4-3-3]の中盤の3枚はボランチタイプの選手が並び、特に守備面での強度が高く、ボールを奪ってからの守から攻へのトランジションは特徴があった。また、ボールを奪い切る力が個々にあるため、局面をひっくり返すことにも特徴を持っていた。 一方で今日の中盤3枚は、どちらかと言えば攻撃に特徴がある選手たち。柴崎、原口元気(ウニオン・ベルリン)、旗手怜央(セルティック)といずれもハードワークができる選手だが、本来の特徴は攻撃面で発揮されるメンバーだ。 また、前線の3人も主軸であれば右に伊東純也(ヘンク)、左に南野拓実(リバプール)と並び、伊東は主にワイドにポジションを取り、南野はワイドから中に入るという戦い方を見せ、右サイドから攻撃を組み立てるという特徴があったが、この試合では右に久保、左に三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)が入ったため、普段とは異なり左で攻撃を作るという形が増えていった。 選手が代われば特徴も変わり、チームとしての戦い方も変わるものだが、この試合では選手たちの意気込みがどこか噛み合わない感覚を覚えた。 全員がアピールということに気持ちが入りすぎたのか、ボールに絡みたがり、ゴールへと急ぐシーンが散見。スペースがなかなか無いというベトナムの守備陣形もあったが、じっくりとボールを出し入れしてポゼッションを高めて崩していくというよりは、個々が仕掛けて行きながら、奪われてしまって攻撃が滞るという展開が前半は続いてしまった。 森保監督は「試合の中でも自分の良さを発揮するという部分、チームの中での競争という部分でも、積極的にプレーしてくれていましたが、なかなかお互いのプレーのイメージを合わせることができなかったということで、難しい状況が続いた」と試合後に振り返ったが、まさにその通り。パフォーマンスが悪かったというよりは、バランスを取れない時間が長く続いてしまい、チームとして機能させることがなかなかできなかった印象だ。 <span class="paragraph-title">◆W杯ベスト8への道のりは険しい</span> 結果だけを見れば、セットプレーで失点し、最下位のチーム相手に1ゴールしか奪えずに引き分けたということになる。もちろん、勝って首位を確定させたいという思いはあったはずだが、ここまでメンバーを入れ替えれば、こういう結果になることも想定はできていたはずだ。 吉田は試合後「メンバーを大幅に代えたので、チグハグ感が出ることも予想していましたし、今日はチャレンジな試合になると思っていました」と語っており、予想通りだったと振り返った。それでも、試合中に修正する力がなければ、目標とするW杯でのベスト8入りは難しいものになる。 この試合も吉田の勇気ある上がりから、そのまま流れでゴールを奪い切るシーンがあった。徐々に並びを変えたこともあり、リズムができていた中で、主軸組を出してさらにそれを加速させていった。この流れは非常に良いものであったが、逆に言えば前半のうちにここまで修正できなければいけなかっただろう。 常に個々が100%の力を出すということはもちろん理想としてあるが、その力を出すメンバーが11名しかいないとすれば、W杯でのベスト8入りはほぼ不可能と言える。いかにして、チーム全体で高いレベルのパフォーマンスを出せるかが大事になる。 常に崖っぷちで戦うことになってしまった最終予選。タフさというところでは、チームが得たものはあるかもしれないが、多くの選手が代表チームのコンセプトを保って、真剣勝負で勝っていくという点では、ほとんど成果は得られていないと言っていい。親善試合もほとんどなく、常に予選を戦い続けてきた中で、新たな力を試してこなかったツケが回ってきたともいえる。予てから散々懸念してきたものが、改めて浮き彫りになったと言って良い。 誰が出ても変わらぬクオリティをピッチ内で出せることがベスト。短期間で集まって試合を行う代表チームにおいては、チームとしての完成度がレギュラー以外のメンバーにも浸透しているかが重要だ。今のチームは個々の能力、個々の理解はあったとしても、実戦の場が少なく、ベトナム戦のようなことが起きるのも致し方ない。 現にオーストラリア戦も苦しんだ中、最後に局面を打開したのは選手のコンビネーション。川崎フロンターレで共にプレーし培っていた感覚を生かしてゴールを奪い切ったのだ。「絵を合わせていけるように準備しなければ」と常に森保監督は口にするが、それが主力以外の選手にも波及しなければいけない。絵が想像できても、描けなければ意味がない。 今日の試合では、まだまだその力がないことが浮き彫りとなった。この問題を、残りの8カ月、少ない試合でどう解消していくのか。それはトレーニングではなく、実戦でなければ難しいと考えられる。 次の活動は5月から6月にかけてのインターナショナル・マッチデー。4月1日にW杯の組み合わせが決まるため、相手を想定した上での試合が組まれることになるだろうが、数少ない試合で、精度をあげていく必要がある。 クラブでのパフォーマンスを個々の選手が高め、少ない時間で代表チームとしてのサッカーを体現する。それができる選手が多くなれば、チーム力が必然的に向上し、W杯でも結果を残せるようになるはずだ。残された時間は8カ月。ヨーロッパ組は残りシーズンでどれだけインパクトあるパフォーマンスをクラブで見せられるかに注目が集まる。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.03.30 06:45 Wed
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