リベンジされてしまった…/原ゆみこのマドリッド

2021.10.22 17:00 Fri
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「この激戦の後、中2日は可哀そうかも」そんな風に私が驚いていたのは水曜日、マドリッド勢のCL戦が同日開催で火曜に終わったのもあって、アルコルコンとレガネスの2部弟分ダービーを現地観戦した後のことでした。いやあ、平日の夜9時キックオフという時間が悪かったのか、ずっと最下位なのにファンが失望したのか、試合1時間前に私がサント・ドミンゴに着いた時は周辺にほとんど人影がなく、もしや日付を間違えたのかと心配したもんですけどね。両チームのアップ中もスタンドはガラガラで、まさかスペイン中のスタジアムがキャパ100%の入場を許可されたのを無視して、ここだけ無観客試合を続けているのかと思ったぐらいですが、それは大丈夫。始まる頃には車で15分程のお隣の街、レガネスからも応援団が到着して、ホームチームのファンも300~400人はいたようですが、柴崎岳選手も先発したこの試合、開始3分にはドゥクレの犯したペナルティから、ファン・エルナンデスがPKゴールを決め、アルコルコンが先制。23分にはフェデ・ビコのスルーパスから、バルセナスが同点ゴールを挙げ、すぐにレガネスも追いついたんですが、更にそれぞれ、ファンマ、ハビ・エルナンデセスが追加点と、2-2でハーフタイムに入るという乱戦模様に。後半18分にはバルセナスのクロスをアルナイスがヘッドして、とうとうレガネスが逆転したものの、30分、エリア外からフライレにgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて、最後は3-3の引分けで終わってしまいましたっけ。

返す返すも後半41分に柴崎選手のクロスをゴール前、アトレティコのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)、今季はレガネスでレンタル修行中のボルハ・ガルセスがヘッドしながら、GKダニ・ヒメネスに止められたのが悔やまれますが、弟分同士で潰し合うのも不毛ですからね。ただ辛いのは、ヨーロッパの大会週にミッドウィークリーガを当てがわれた2部はすぐに週末の試合が来て、降格圏ギリギリ19位で上2チームと同じ勝ち点のレガネスは土曜午後9時から、ブタルケでテネリフェ戦をプレーしないといけないんですよ。アルコルコンも最下位のままで、まあ、次戦のラル・パルマス戦が日曜なことだけがちょっと救いですが、どこのチームもだんだんケガ人が増えてきた昨今、試合が立て続けにあるのはアシエル・ガリターノ監督も、アンケーラ監督を引き継ぎ、Bチームから昇格したホルヘ・ロメロ監督もやりくりが大変ですよね。

え、それよりワンダ・メトロポリターノでのCLリバプール戦がどうだったかの方が気になるって?そうですね、こちらはアルコルコンとは真逆で、うーん、前日記者会見でシメオネ監督が「前回の対戦ではキックオフ前からファンが伝えてきたエネルギーで、ウチは勝ち始めていた」とアジッたせいもあったんですけどね。もしやと私も1時間15分前にはスタジアムの駅に着いていたんですが、ちょっと遅かったようで、その時はもう、チームバスを迎えるため、沿道に集結したファンが焚いた大量のbengala(ベンガラ/発煙筒)の煙の匂いが残るばかり。

どうやらコロナ大流行中だった昨季とは違い、ロッカールームに長くいてもいいせいか、チームはまた1時間半前にスタジアム入りするようになったみたいですが、すでに違いは行きのメトロの中でもくっきりと。そう、リバプールを応援にやって来た3000人以上のイギリス人ファンで車内が賑わっていたせいですが、最初のサプライズと言えば、スタメンにエースのルイス・スアレスがいなかったことの方でしょうか。といっても開始7分、サラーのシュートがミルナーに当たり、早々に先制点を奪われてしまったのは、別にグリーズマンとジョアン・フェリックスのツートップだったせいではなし。シメオネ監督も後で「Salah vino para dentro 12 o 15 metros y nadie salió a taparle/サラー・ビノ・パラ・デントロ・オンセ・オ・キンセ・メトロス・イ・ナディエ・サリオ・ア・タパールレ(サラーが内方向に12、15メートルも来て、それを誰も止めなかった)」と言っていた通り、カラスコ、レマル、コケが傍観してしまったからなんですけどね。

更に守備ミスは13分にも発生し、今度はフェリペがエリア前にいたケイタの正面にボールをクリア、volea(ボレア/ボレーシュート)でGKオブラクを破られてしまったとなると事態は深刻で、もちろんスタンドの多数派だったアトレティコファンはますます、声援の音量を高めたんですけどね。その窮地を打開してくれるのが、バルサから出戻りして、ワンダで復帰ゴールをまだ挙げていなかったグリーズマンになるとは一体、誰が予想した?まずは20分、CKから始まったプレーでレマルがエリア内左奥から戻したボールをコケが反対側からシュート。ゴール前には人が密集していたものの、グリーズマンが流し込んで、1点を返したかと思うと、GKアリソンとの1対1を失敗した後の33分、ジョアンのスルーパスを受け、2点目を挙げてくれるんですから、1期目のアトレティコでエースを張っていたのは決してダテではありませんって。

おかげで後半を2-2の同点で迎えることができたんですが、うーん、早くファンの支持を取り戻したいグリーズマンの熱意が過ぎたんでしょうかね。守備にも積極的に参加していた彼は再開早々の3分、ハイボールをクリアしようとして高く上げた足でフィルミーノの頭を蹴ってしまったから、さあ大変!すぐさま審判がレッドカードを提示して、いえ、クロップ監督は「運は悪かったが、あれはレッド。ウチの選手の顔に足が当たったんだから」と言っていましたけどね。彼らと同グループのもう1試合、ポルトvsミラン戦ではイブラヒモビッチが似たようなファールをしながら、イエローカードで済んだという例があるため、かならずしも退場に値する訳ではないのが悔しいところ。

ただ、10人になったものの、それでもアトレティコが崩れることはなく、かなりいい戦いをしていたんですが、全ての努力が水泡に帰したのは30分。ええ、まさかエルモーソがエリア内に落ちてくるボールを見もせず、マネと代わって入っていたジオゴ・ジョタに体当たり、ペネルティを献上しているようではどうしたらいいんでしょう。PKはサラーがしっかり決め、リバプールがまた1点をリードした直後、シメオネ監督はもう10分近く、ライン際で交代を待っていた4人を一斉に投入。ええ、ジョアン、レマル、デ・パウル、エルモーソから、スアレル、コレア、マルコス・ジョレンテ、ロディにして、同点を目指したんですが、まさかその1分後、FKでヒメネスがジョタに倒され、アトレテシコにもPKがもらえるとは!

でも、せっかくスアレスがボールを持ってPKマークのところで待っていたにも関わらず、VAR(ビデオ審判)に呼ばれてモニターを見に行った主審が気を変えてしまったんですよ。いや、まあ、フェリペなど、「エルモーソの時はいやに早かったのに、para el nuestro, miró, miró, miró, volvió, miró otra vez…/パラ・エル・ヌエストロ、ミロ、ミロ、ミロ、ボルビオ、ミロ・オトラ・ベス(ボクらのは見て見て見て、また見て…)。ちょっと不公平だ」と愚痴っていたんですけどね。そうは言ってもペナルティになるかどうかは運次第のところもあるため、その前に「皆で勝って、皆で負ける。No hay error de uno u otro/ノー・アイ・エロール・デ・ノ・ウ・オトロ(1人や誰かのミスではない)」(フェリペ)なんて開き直ってないで、エルモーソ同様、自身の2失点目のクリアミスを反省した方が良くなくない?

結局、ロスタイムにコレアが放ったシュートもゴールを大きく外れ、アトレティコは2-3で敗戦。それこそ、グリーズマンの失敗した1対1の他にもジョアン、レマル、カラスコがGKアリソンに弾かれていたため、全然、歯が立たなかった感はないんですけどね。試合後には審判が終了の笛を吹いた途端、いつもようにシメオネ監督が脱兎のごとく、ロッカールームへの階段を走り上がって行ってしまったため、挨拶をしようとしてすかされたクロップ監督が照れ隠しなのか、アトレティコのスタッフや控え選手らの手を1人ひとり握っていたなんてシーンも。

とりあえず、2年前のワンダでのリベンジを果たされてしまったアトレティコですが、まだ11月3日にはアンフィールドでの対戦が待っていますからね。イブラの退場はなかったものの、ミランがポルトに1-0で負けてしまったため、勝ち点4で並ばれてしまった彼らとしては次こそ、リバプールに勝って、グループ突破に近づきたいところですが、実は悪いニュースも。というのもその2020年のCL16強対決2ndレグ延長戦で2得点し、一気にゴールゲッターの素質を開花させたジョレンテがparon(パロン/リーガの停止期間)前のバルサ戦で負った右太もものケガを再発。全治1カ月となってしまったため、少なくとも1試合は出場停止が課されるグリーズマンと共にグループリーグ4節に出られないことですが、例年よりショック度が低いのはやはり、今季は前線が充実しているおかげでしょうか。

日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのレアル・ソシエダ戦にはスアレス、ジョアン、コレア、クーニャに加え、グリーズマンも出られますし、何より相手は木曜にオーストリアのグラーツでシュトルムとのEL戦をプレーしていますからね。そちらではオジャルサバルの負傷欠場も何のその、イサクのゴールで0-1と勝っているんですが、当然、遠征続きとなる疲れはあるかと。丁度、お隣さんがクラシコ(伝統の一戦)でガチンコ勝負をしている隙に、ワンダで勝ち点差3を稼ぎ、リーガ首位に並ぶのにいいチャンスかとも思えますが、2位グループにはレアル・マドリーの他にセビージャ、オサスナもいるため、しばらくこの熾烈なトップ争いは続きそうですね。

え、面倒だから、差し挟まなかったけど、ワンダのスタンドでは私もオンダ・マドリッド(ローカルラジオ)の2元中継のおかげで、マドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を逐一、知ることができたんだろうって?その通りで、昨季はCLグループリーグで2敗していたシャフタール戦が同時進行していたんですが、こちらもまずはキエフのオリンピスキーでリベンジ第1部に成功。前半のうちは37分にルーカス・バスケスのクロスをベンゼマが受ける前にクリフトフがクリア、そのボールがオウンゴールになってしまっただけだったんですが、後半にはここ4試合、なりを潜めていたビニシウスが爆発したんですよ。6分にはベンゼマ、モドリッチと繋いだパスからチームの2点目を決めたかと思えば、11分には敵DF4人をかわしてまたゴール。19分にも今度は1つ年下のブラジル人の後輩、ロドリゴのゴールをアシストしているとなれば、やっぱり今季はビニシウス台頭の年となるのかも。

更にロスタイムにもベンゼマが1点を加えたマドリーは0-5という大勝を収めたんですが、昨季までのジダン監督もできなかった、ビニシウスの才能を引き出したアンチェロッティ監督にはただただ、感心するばかり。ええ、当人も「時々、シュートに失敗すると、監督は『Te voy a quitar, te voy a quitar/テ・ボイ・ア・キタール(お前を下げるぞ)』って、ピッチの外から言うんだ。ボクが集中力を保って、チームのためにゴールを挙げられるようにね」と言っていたんですが、それぐらいであんなに的を外してばかりだった選手が成長できる訳もなく、きっとバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習で相当、しごかれたのでは?

これでいよいよ、CLグループで同日、インテルに3-1と負け、そろそろメッキが剥げてきたモルドバのシェリフと同じ勝ち点6、2位となったマドリーは11月3日にサンティアゴ・ベルナベウで再び、シャフタールを下せば、かなり突破に近づくんですが、1日練習休みを置いて、木曜からのセッションではすでにクラシコが照準に。何せ、相手も水曜にはカンプ・ノウで同じオリンピスキーをホームとするディナモ・キエフにピケのゴールで勝ったとはいえ、1-0であんまり見栄えのしないプレーぶりだったらしいですからね。更にメンディが復帰し、左SBの心配がなくなったマドリーとは対照的に、あちらはジョルディ・アルバが右足首をネンザ。

一応、木曜にはペドリに続き、同じ18才のアンス・ファティとクラブ史上最高額の契約破棄金10億ユーロ(約1330億円)で延長契約を結び、クラシコ前の雰囲気を盛り上げていましたが、直前の試合でゴール祭りとなったマドリーではアザールやカルバハルも復帰できる可能性もありますしね。とはいえ、クラシコは予想できないことが起きる試合でもあるため、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのカンプ・ノウでの一戦はどちらのファンも見逃せません。

そしてマドリッド1部の弟分チームたちは今週末、ラージョが日曜にベニト・ビジャマリンでベティス戦。木曜にホームでのELレバークーゼン戦に1-1と引分けたばかりの相手はリーガでも勝ち点15の8位と、勝ち点16で6位のイラオラ監督のチームにとって、現時点での好敵手になりますが、ミッドウィークに試合がない方がこういう時は有利かも。前節のエルチェ戦には出場機会がなかったファルカオもコロンビア代表戦の疲れが取れ、今度は体調万全のはずですからね。来週のミッドウィーク節にバルサをエスタディオ・バジェカスに迎える前にここは勝っておいてほしいかと。

一方、いまだに勝ち点が2しかないヘタフェは月曜試合で、キケ・サンチェス・フローレス監督が3度目のコリセウム・アルフォンソ・ペレスデビュー。前節、引き分けに終わったレバンテ戦から中8日もあったんですが、どうやらヤンクト、ビトロ、マタは間に合わないようです。ただ、そうこうするうち、どんどんリーガは進んで行きますし、15位のセルタだって、完全な状態で来る訳じゃありませんしね。まだ上との距離が近いうちにヘタフェなり、アルコンコンなり、マドリッド勢から最下位がいなくなってくれるのが一番ですが、それにはやっぱり、ホームサポーターの応援が欠かせませんよね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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他が好調なだけに尚更、不憫に思える…/原ゆみこのマドリッド

「これならもう、どうやって見るかの心配はしなくていいわね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせが決まった時のことでした。いやあ、今季も昨季同様、コパのTV中継はメディアセットによるオープンチャンネル放送が毎ラウンド2試合、残りはDAZNによるインターネット配信だったんですけどね。先週の土曜、マドリッドの弟分ラージョの16強対決ミランデス(2部)戦が見たいと思い、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)を訪れたところ、後者はバルのTVで見られないことが判明して、ショックを受けることに。 よくよく考えてみると、昨季はアトレティコとヘタフェが2回戦で敗退、レアル・マドリーも32強対決で敗退。ラージョこそ、16強対決まで進んだものの、当時、2部だった彼らはバルサをホームに迎え、0-2で負けるのを私もスタジアムで見れたため、特に観戦方法に困ることもなく、家のTVで映る試合だけを何となく流していたんですけどね。この水曜のレアル・ソシエダvsアトレティコ戦だけは仕方なく、DAZNを1カ月だけ契約して見ることにしたんですが、何なんですかね。その試合は無事、観戦できたものの、自分のアカウントが日本のDAZNに登録されていたせいで、翌日のエルチェvsマドリー戦前にログインができず。 DAZNスペインに文句を言って、何とか、9.99ユーロ(約1300円)の視聴料は返してもらえたため、別にいいんですが、新たにアカウントを作らないと利用できないと言われ、面倒臭がっている間に木曜日が終わってしまうことに。翌日には準々決勝の抽選があり、アスレティックvsマドリーはオープン放送、ラージョはマジョルカとのホームゲーム、準決勝、決勝はもう全部、普通に家のTVで見られるとなれば、わざわざお金を払う必要もないんですが、果たしてマドリッド勢がそこまで生き残ることができるのかどうか。 というのも準々決勝の日付が丁度、中南米で開催されるW杯予選2試合とかぶっていて、いえ、エスタディオ・バジェカスで今季、圧倒的な強さを誇る弟分の方は2月2日のマジョルカ戦、コロンビア代表のファルカオが欠けるぐらいで済むんですけどね。3日にプレーするマドリーなど、ビニシウス、ロドリゴ、カセミロ、ミリトン(ブラジル)、バルベルデ(ウルグアイ)を戻って来られず、基本的にバスク地方出身選手からなるアスレティックは全然、影響を受けないって、ちょっと不公平ではない? もちろん、先日はサウジアラビアでのスペイン・スーパーカップ決勝でも0-2で彼らを下したスーパー王者は12月のリーガ戦でも2勝と、アスレティックをお得意様にしている感もなくはないんですけどね。ただ、相手は木曜の16強対決で雨の中、サン・マメスのサポーターの応援を得て、これまで何度もコパ決勝で痛い目に遭わされてきたバルサを3-2で撃破。それも後半41分にイニゴ・マルティネスのゴールで一旦は勝利を掴みながら、ロスタイムにペドリに決められて、まさかの延長戦へ。最後はムニアインのPKゴールでとうとう、リベンジを果たしたとなれば、準々決勝もビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)での開催ですし、マドリーも決して油断はできないかと。 まあ、その辺はまた、準々決勝が近づいたら話すことにして、今週ミッドウィークの試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。いやあ、先にコパ16強対決をプレーしたのはアトレティコだったんですが、これがレアル・アレナにチームバスが着く前から大騒ぎでねえ。周辺に集結したレアル・ソシエダの過激なサポーターたちが石などを投げつけてきたため、バックミラーや窓が割られ、シメオネ監督など、席を立って猛抗議。選手たちもかなり怖かったんじゃないかと思いますが、だからって、あんな情けない試合をされても困っちゃいますよ。 そう、スペイン・スーパーカップ準決勝アスレティック戦で退場したヒメネス、リハビリ終了間際のサビッチを欠いた守備陣がまたしてもすかすかで、いえ、エルストンド、ヤヌザイ、オジャルサバルらの序盤のシュートは枠を外れてくれたため、難を逃れることができたんですけどね。この日もルイス・スアレスをベンチに置いて、ジョアン・フェリックスとコレアでスタートした攻撃陣も前半15分、カラスコがゴール右前からシュートを撃ったものの、ポストに当たってしまい、先制点はならず。そうこうするうち、33分にはサルドゥアが右サイドから上げたクロスをヤヌザイにヘッドで決められ、それもフェリペ、ベルサイコ、コレアが当人を囲んでいながら、クリアできなかったとなれば、もう手の施しようがない? 1-0とリードされて始まった後半は心を入れ替えてくれるかと期待したものの、2分もしないうち、今度はフェリペが自陣エリア前でオジャルサバルにボールを奪われている始末。パスを受けたセルロートのシュートで2点目を奪われた瞬間には正直、辛抱強いGKオブラクもこの冬の市場で移籍希望を出すんじゃないかという恐れが頭をよぎったぐらいでしたけどね。とはいえ、責任は反撃のため、10分にコレア、コケ、ロディに代わって入ったスアレス、クーニャ、レマルにもあって、とにかく点が取れないんですから、救えませんって。 この時点でベンチに残っていたのは控えGKルコント以外、カンテラーノ(アトレティコB)のヘルプ組5人だけとなり、最後に投入されたカルロス・マルティンとセラーノは一生懸命プレーしていたんですが、やはりRFEF3部(実質5部)の選手に奇跡は望めず。そのまま2-0で負け、スペイン・スーパーカップに続き、今季2つ目のタイトル獲得のチャンスをフイにしてしまうことに。うーん、それでもシメオネ監督は「Las oportunidades están, tenemos la Liga y la Champions/ラス・オポルトゥニダーデス・エスタン、テネモス・ラ・リーガ・イ・ラ・チャンピオンズ(チャンスはある。ウチにはまだリーガとCLがあるんだから)」と言っていましたけどね。 現在、首位と勝ち点差16のリーガはCL出場権のもらえる4位で終われれば恩の字と言ったところですし、CLだって、16強対決の相手は天下のマンチェスター・ユナイテッド。あまり楽しいシーズン残りが待っている気はしませんが、まずは土曜午後9時(日本時間翌午前5時)、ワンダ・メトロポリターノでプレーするリーガのバレンシア戦で彼らがやる気を見せることが大事かと。ええ、今季はどんなにスタンドのファンが応援で盛り上げようと、なかなか勝てないアトレティコだけに、いくらシメオネ監督から、「Pido a la gente que esté con el equipo/ピド・ア・ラ・ヘンテ・ケ・エステ・コン・エル・エキポ(人々にはチームと共にいてくれることを頼む)」と言われても、それこそ選手たちの行動が伴ってくれないことにはねえ。 一応、この試合ではヒメネス、そしてとうとうサビッチも復帰となりますが、グリーズマン、マルコス・ジョレンテ、コンドグビアはまだリハビリ中。相手のバレンシアも同じ水曜にはリーガ戦でセビージャと1-1で引分け、現在9位と一向に目標のヨーロッパの大会出場圏に届かないばかりか、ヴァスはまさにアトレテォコから、トリッピアー(ニューキャッスルに移籍)の後継としてのオファーを受け、クラブと交渉中だったり、体重1キロオーバーでベンチ外にされたマキシ・ゴメスも移籍希望だったりと、イロイロあるようですけどね。アトレティコ・バレアレス(RFEF1部/実質3部)とのコパ16強対決を突破した彼らには、まだベティスとの準々決勝があるのは羨ましい限りです。 そして木曜はコリセウム・アルフォンソ・ペレスにグラナダを迎えるヘタフェのリーガ戦を見に行った私でしたが、まさか知らないうちに弟分がこんなにも眩しく成長していたとは!そう、前半9分にサンドロのゴールで奪った先制点は12分、古巣への帰還となったホルヘ・モリーナから、コロンビア人FWのルイス・スアレスにラストパスを送られて、イーブンにされてしまったんですが、後半のヘタフェは流れるようなプレーで相手を圧倒。再開早々の2分にはウナルが2度撃ちして勝ち越し点を奪うと、17分には何と、GKマキシミリアーノがオリベイラのシュートを弾いたところ、フリーだったマクシモビッシの前へ。とりわけミチェル監督下で白星が1つもなかったシーズン当初、何度シュートしても決まらなかったMFに今季初得点が生まれたとなれば、こんなに嬉しいことはない? ただ、33分にはGKダビド・ソリアがゴールキックをスアレスに当て、1点を返されてしまったヘタフェだったんですけどね。でも、大丈夫、選手登録の間に合ったボルハ・マジョラル(ローマからレンタル移籍)がデビューするなり、4点目を挙げてくれたとなれば、たとえ、日曜のレアル・ソシエダ戦でサンドロとウナルが出場停止でも、ゴールが不足することはないかと。そのまま4-2で勝利した彼らは16位に上昇、降格圏とも勝ち点4差と余裕ができたんですが、それにつけても適確な補強ができているのは、どこぞの兄貴分チームにも見習ってもらいたいところ。もちろん、それはヘタフェと同時刻、マルティネス・バレロでコパ16強対決のエルチェ戦をプレーしていたマドリーではなくって…。 いえ、ハラハラはさせられたんですよ。というのもコリセウムのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継を聞きながら、いつgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)の報が始まるかと身構えていた私ですが、驚いたことに目の前の試合が終わり、ホルヘ・モリーナがヘタフェファンに拍手で送られてピッチを去った後にも得点知らせは届かず。0-0のまま延長戦に入り、プレスルームで監督記者会見を待っている間、「Gooool!」の絶叫でこれはと思いきや、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のグラウンドでやっていた女子スペイン・スーパーカップ準決勝レバンテ戦でアトレティコが挙げたゴールだったりと、このままではPK戦入りも覚悟しないといけなかったんですが、まさか延長戦前半12分、マルセロがモレンテへのファールでレッド退場させられてしまうとは! おまけにそのFKでベルドゥが蹴ったボールがマドリーの壁で跳ね返り、再度、彼がシュートしたところ、セバージョスに当たって、GKルニンを破ってしまったから、さあ大変!うーん、この日はベンゼマがお留守番、先発したヨビッチも後半34分にはイスコに代わり、CFなしで戦っていた彼らでしたからね。おまけに1人少ないのではとても追いつけるようには思えませんでしたが、その絶対的不利状態がマドリーのDNAに刻み込まれた、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を発動させることになるんですから、ビックリしたの何のって。 ええ、延長戦ハーフタイムが終わって後半3分、せっかく最後の切り札として、アザールと共にピッチに入りながら、敵の得点に協力してしまったセバージョスが放ったシュートをエリア内でイスコがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)。これが同点ゴールとなったばかりでなく、10分には飛び出してきた敵GKをかわし、アザールが勝ち越し点を挙げてくれたんですよ。これには試合前、「el entrenador, que soy yo, tiene que elegir a los mejores para cada partido/エル・エントレナドール、ケ・ソイ・ジョ、ティエネ・ケ・エレヒル・ア・ロス・メホーレス・パラ・カーダ・パルティードー(監督は、それは私だが、毎試合、一番いい選手たちを選ばないといけない)」と、このところアザールに出番がないのは、いかにも彼の力が劣るからと言わんばかりだったアンチェロッティ監督も考えを改めることになったよう。 1-2でエルチェに逆転勝利、準々決勝の切符を手に入れた後には、「イスコとアザールで試合に勝ったのには意味がある。Puede que debieran jugar más/プエデ・ケ・デビエラン・フガール・マス(もっとプレーさせるべきだったのかもしれない)」と反省していましたが、それではようやく背筋痛が癒えて、ベンチに入りながら、出番のなかったベイルの立場がない?何にしろ、この日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのリーガ、今度はサンティアゴ・ベルナベウでエルチェとまみえる試合ではベンゼマも戻りますし、コパを体調不良で欠場したGKクルトワも治りましたからね。 延長戦の疲労も、せっかく虎の子の1点を奪いながら、体力的限界もあって、残り時間、ボールをキープできなかったエルチェの方が高そうですし、このミッドウィークに同じ試合数となって、勝ち点4差に詰めてきた2位セビージャとの距離を更に縮められることはなさそうですが、さて。気になるのは残り3分まで延長戦をプレーしたビニシウスの回復具合ぐらいとなりますが、コパの方では退場したマルセロに3試合の出場停止処分という悪いニュースも。いえまあ、リーガの左SBはメンディが務めますし、この週末の後、リーガはヨーロッパ各国の代表戦はないものの、南米勢に配慮してのparon(パロン/停止期間)入り。 同じ日曜、スペイン・スーパーカップ、コパと連戦続きでヘトヘトのアスレティックをホームに迎えるラージョも含め、来週末、1部のチームには試合がないため、大半の選手たちが2月のコパ準々決勝までゆっくりできるのはこの過密日程すぎるシーズン、とても有難いんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.22 22:30 Sat
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もうちょっと日程を整頓してほしい…/原ゆみこのマドリッド

「何だかややこしいことになってるのね」そんな風に私が眉をしかめていたのは火曜日、今週のミッドウィークはコパ・デル・レイ16強対決の残り試合だけと思いきや、並行してリーガ21節のカードが開催されているのに気がついた時のことでした。いやあ、元々、この節はアスレティクvsレアル・マドリー戦が2021年最後の試合として先行開催。ふと見れば、エルチェvsビジャレアル戦もこっそり、スペイン・スーパーカップ決勝のある日曜のお昼にプレーしていたりしたんですけどね。更に込み入ってしまったのは、スペイン・スーパーカップ参加4チームもコパをこなさないといけないため、この火水木には21節の残り5カードしかできず、あと3試合は後日開催になったという次第ですが、これって、また順位がわかりにくくなるのでは? それどころか、先週末の土曜のアンダルシア・コパダービーでは、パプのゴールでセビージャに先制されたベティスがフェキルのgol olimpico/ゴール・オリンピコ(CKが直接入るゴールのこと)で追いついた直後、ベニト・ビジャマリンのスタンドから、プラスティック製の旗竿のようなものが飛んできて、ジョルダンの頭を直撃。幸い、大したケガではなかったんですが、プレー続行不可能ということで、前半39分で中断されることに。実はこのカード、2007年にもコパ準々決勝2ndレグでベティスファンの投げたペットボトルがセビージャのファンデ・ラモス監督の頭に当たり、当人は担架で搬送。中断された残りの部分を数日後、無観客のコリセウム・アルフォンソ・ペレスでプレーするのを私も見ることができたため、もしや今回もとちょっと期待したものの、いやいや。 というのも火曜にベティスはアラベス戦、セビージャも水曜にバレンシア戦とリーガ21節がすでに組まれていたためで、もう翌日の夕方にはベニト・ビジャマリンで再開していたんですよ。うーん、いくら最後はカナレスのゴールでベティスが2-1で勝ち上がったとはいえ、コロナ流行下のキャパ制限75%の席がすべて埋まった前夜と打って変わって、その日のスタジアムは無観客。これでは宿命のライバルを破っての準々決勝進出も喜び半減だったんじゃないかと思いますが、まあそれはそれ。同日中に異なる3大会の試合があったため、私も気が散ってしまいましたが、まずは日曜の夜に行われたスペイン・スーパーカップ決勝がどうだったか、お話ししていくことにしましょうか。 先週水曜のスーパーカップ準決勝、延長戦で決着がついたクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)の後、カルバハルがコロナ陽性に、アセンシオも負傷してしまったレアル・マドリーはスタメンをそれぞれ、ルーカス・バスケス、ロドリゴに、ケガから回復したアラバがナチョに代わるという布陣でスタートしたんですが、この日はプレースタイルも変更。引いて自陣で必殺カウンターのチャンスを待つのではなく、ええ、あとでアンチェロッティ監督も「Para mí hoy, demasiada posesión/パラ・ミー・オイ、デマシアドー・ポセシオン(私にしてみれば、ポゼッションが高すぎた)」とジョークを言っていたくらいなんですけどね。 普通にボールを持って、木曜の準決勝アトレティコ戦と同じスタメンを並べたアスレティックにほとんどチャンスを与えなかったんですが、ようやく先制点が入ったのは前半38分になってからのこと。今季、マドリー入団4年目で開花したビニシウスに1年遅れているせいか、まだ右サイドのアタッカーのポジションを完全に自分のものにしたとは言えないロドリゴが、この時はいい判断をしました。ええ、敵エリア内右から折り返したところ、今月9日に21才になったばかりのブラジル人FWのパスを15才年上の大先輩、モドリッチがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)に変えてしまったから、ビックリしたの何のって。 おかげで0-1とマドリーがリードして、後半に入ることができたんですが、追加点はそう時間がかかりません。今度はベンゼマのシュートがエリア内でジェライの腕に当たり、VAR(ビデオ審判)のモニターを見た主審がPKを宣告、ベンゼマがしっかり決めて、6分にはリードが2点になったため、何せ、マドリーはお隣りさんのようにマヌケな守備ミスはしませんからね。途中出場したラウール・ガルシアの2度のヘッドもGKクルトワを破るには至らず、そのまますんなり勝てるんじゃないかと思いきや、43分に遅ればせながら、見せ場がやって来るとは! そう、今度はラウール・ガルシアのヘッドにミリトンの手がゴール前で当たったとして、こちらもVARチェックの後、PKが与えられることに。おまけにそのミリトンがレッドカードで退場になってしまったため、ここで1点差に迫られたら、ロスタイムにアスレティックが意地を見せて、2試合連続延長戦もありうるかもと、私も憂鬱になったもんでしたが…大丈夫。「En el penalty dudaba entre la derecha o el medio, deje el pie/エン・エルペナルティ・ドゥダバ・エントレ・ラ・デレッチャ・オ・エル・メディオ、デヘ・エル・ピエ(PKでは右側か、真ん中か迷って、足を残したんだ)」というクルトワが、ラウール・ガルシアの蹴ったボールを左足で弾いて失点を回避してくれるんですから、まったく有難いじゃないですか。 おかげで10人になりながらも、マドリーはそのまま0-2で勝利。ファイナルフォー形式となって初めてだった2020年にPK戦でアトレティコを破って優勝してから、2年ぶりにスペイン・スーパーカップ王者として返り咲くことに。いやあ、アンチェロッティ監督も「No tenemos una sola manera, esa es la fuerza/ノー・テネモス・ウナ・ソラ・マネラ、エサ・エス・ラ・フエルサ(ウチのプレースタイルは1つだけではない。それが強さだ)」と言っていたように、今季の彼らはカウンターサッカーもポゼッションサッカーも自由自在。となれば、リーガで首位を独走しているのも当然ですが、中でも36才になっても衰えないモドリッチにはただただ、感心するばかりかと。 ええ、ペレス会長からも「Modric está en un estado de forma envidiable, digno de volver a ganar el Balón de Oro/モドリッチ・エスサ・エン・ウン・エスアードー・デ・フォルマ・エンビディアブレ、ディグノー・デ・ボルベル・ア・ガナール・エル・バロン・デ・オロ(モドリッチは羨むばかりのいい状態で、再びバロンドールを獲るのにふさわしい)」と称賛されていましたしね。懸念は昨季、1年延長した彼の契約がこの6月で終わってしまうことだけだったんですが、それに関しては、当人が決勝のMVP受賞記者会見でコメント。 ええ、「これまで交渉に2分とかかったことがなかったし、契約延長の合意はできるだろう。Se sabe mi deseo y seguro que el club también quiere esto/セ・サベ・ミ・デセオ・イ・セグロ・ケ・エル・クルブ・タンビエン・キエレ・エスト(皆、ボクの望みは知っているし、クラブもきっとそれを望んでいるはずだから)」というのを聞けば、マドリーファンも安心できたかと。同じく今季で契約が切れ、退団見込みとなっているせいでのアンチェロッティ監督の心遣いか、キャプテンとしてトロフィーを掲げるため、終盤にピッチに入ったマルセロとは違い、コロナ禍が収まれば、来季こそ、サンティアゴ・ベルナベウにモドリッチの勇姿を見に行こうと計画している日本のファンにも、これで希望が出てきましたよね。 そして翌朝にはマドリッドに戻ったチームは火曜から、1日遅れでスペイン・スーパーカップ主催のサッカー協会のコロナ陽性者たちと一緒のチャーター機で着いたカルバハルはまだ自宅隔離ですが、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でコパ16強対決エルチェ戦に向けての準備をスタート。折しもその日の未明、クラブの名誉会長、リーガ12回、CL6回のマドリーで最多優勝記録を持つ、レジェンドでもあるパコ・ヘント氏が88才で亡くなるという訃報があったため、選手たちの情報は少なかったんですが、背筋痛でサウジアラビアに行かずにお留守番をしていたベイルは回復したよう。 欠場確実なのはアスレティックとの決勝前に負傷したアセンシオ、同様にリアドでの練習でケガをしたバジェホ、そしてマリアーノとなりますが、何せ相手のエルチェはビジャレアル戦ではボジェのゴールで勝利したとはいえ、まだまだ15位とリーガでは下の方にいるチームですからね。ここはスペイン・スーパーカップでまったく出番のなかったアザールやヨビッチらを起用しても良さそうですが、この木曜午後7時(日本時間翌午前3時)から、マルティネス・バレロでキックオフするコパの後、週末日曜のリーガでもマドリーはサンティアゴ・ベルナベウで22節のエルチェ戦というのは、何とも奇遇。エスクリバ監督から、フランシスコ監督になって、残留達成への光明が見えてきた相手も週3試合の過密日程は辛いかもしれませんね。 え、その木曜午後7時からは弟分のヘタフェもコリセウムで試合があるんだろうって?いやあ、その通りなんですが、こちらはリーガ21節のグラナダ戦で、何せ、コパ2回戦敗退組の彼らは先週末には試合がなく、もっぱら戦力補強に集中していましたからね。ええ、先週にはボリハ・マジョラルとゴンサロ・ビジャルがローマからレンタル移籍したのに続き、この月曜にもセビージャから、同様にレンタルでオスカル・ロドリゲスを獲得。こちらは2018年から2020年の2シーズン、2部に落ちるまで、お隣さんのレガネスに兄貴分のマドリーから出向していた選手なので、マドリッドのサッカーファンには彼の呆気に取られるような直接FKゴールの数々を覚えている向きも多いかと。 ただ、まだ放出選手がいないため、木曜までにリーガに登録できるかは微妙なんですが、今のヘタフェは17位で、降格圏との差はたった勝ち点1だけ。キケ・サンチェス・フローレス監督にしてもできるだけ早く、新戦力を活用したいところでしょうが、トップチーム所属選手が規定の25人枠一杯いると、その辺の調整が難しいんですよね。 そして逆にトリッピアーのニューキャッスル移籍の後、とうとうトップチーム総勢20人になってしまったアトレティコはというと。いやあ、これがスペイン・スーパーカップ準決勝でアスレティックに逆転負けしてすぐ、金曜にはマドリッドに戻っていたんですが、一向に補強が進まなくてねえ。水曜午後9時(日本時間翌午前5時)にコパ16強対決のレアル・ソシエダ戦があるため、私も前日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に偵察に行ってきたんですが、そのキング・ファハドスタジアムでの試合で揃って左のハムストリングを痛めたマルコス・ジョレテンテとコンドグビアはもちろん、グリーズマンもまだリハビリ中。ようやくチーム練習に復帰してきたサビッチを含めても、フィールドプレーヤーが15人しかいないんですから、何とも淋しいじゃないですか。 アスレティック戦後半ロスタイムに退場したヒメネスも出られないとあって、前日夜にサン・セバスティアン(スペイン北部のビーチリゾートタウン、レアル・ソシエダのホーム)に移動したチームには、カンテラーノ(アトレティコBの選手)のヘルプが5人も入っていたんですが、彼らはRFEF3部(実質5部)所属。平たく言えば、EFEF1部(同3部)でプレーする、シャビ・アロンソ監督率いるレアル・ソシエダBの選手たちより、ランクが劣りますからねえ。頻繁にイマノル監督が徴用しているレアル・ソシエダや、若手満載のバルサ(こちらもBチームはRFEF1部)のように当てにできないのは仕方ないんですが、ここに来て、いよいよリーガ4位のCL出場権死守に専念する腹を決めたシメオネ監督が、コパを捨てるかもしれないという疑惑も聞こえだしたから、さあ大変。 いえ、彼自身は前日記者会見で、「Creo en mi equipo y no tengo dudas de que va a responder bien/コレオ・エン・ミ・エキポ・イ・ノー・テンゴ・ドゥーダス・デ・ケ・バ・ア・レスポンデル・ビエン(私のチームを信じているし、応えてくれることに疑いはない)」と言っていたんですけどね。今季は同じ過ちを繰り返してばかりの選手たちを見ていると、イマノル監督の「偉大なアトレティコにお目にかかるのは間違いないから、tendremos que hacer un partidazo para poder pasar/テンドレモス・ケ・アセール・ウン・パルティダソ・パラ・ポデール・パサール(勝ち抜けるのにウチはビッグな試合をしないといけない)」という言葉も体のいいお世辞に聞こえてしまう?ちなみにその火曜のセッションでは、私が敷地の裏に回って、目隠し越しに様子を伺っていた時間もセットプレー守備の練習はしていませんでしたっけ。 そして最後にこのミッドウィークは21節のバルサ戦が延期となったため、試合のないラージョなんですが、何せ、彼らは先週末の土曜にコパ16強対決でジローナ(2部)にセルジ・グアルディオラの2発で1-2と逆転勝利。マジョルカ、カディス、バレンシア、ベティスと並んで、すでに準々決勝の切符を勝ち取っていますからね。今は金曜の抽選会を待ちつつ、前節はベティスと1-1で分け、ホーム連勝を途切れさせてしまったのを反省。日曜に再び、エスタディオ・バジェカスにアスレティックを迎える試合に備えているところですが、相手がスペイン・スーパーカップ決勝のマドリー戦から、木曜はコパのバルサ戦と息もつく暇もないのは、7位の彼らにとって、EL出場圏に復帰する、いいチャンスになるんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.19 20:00 Wed
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スーパーダービーはなかった…/原ゆみこのマドリッド

「同じ敗退組なのにこうも明暗が分かれるとは」そんな風に私が愕然としていたのは金曜日、午前中にバラハス空港から、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に着いたアトレティコの選手たちの映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いえ、マドリッドでは明け方に気温が急激に下がったせいで、選手たちが屋外駐車場止めておいた車のフロントガラスが霜で真っ白に。各自、自分の手でコシコシ払ってからでないと、運転できなかったなんていうのは別にいいんですけどね。 何というか、1日早く、水曜のスペイン・スーパーカップ準決勝で宿命のライバルに負けたバルサについては、17才のガビを筆頭に、67日ぶりの出場でゴールを挙げた19才のアンス・ファティ、負傷とコロナ感染の逆境ダブルから回復した19才のペドリ、尚且つ、チーム練習を1回もせずに先発デビューした21才のフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)、先週金曜に手の手術をしたばかりながら、保護カバーをして120分の激闘を戦い抜いた22才のアラウホと、何人もの若手がこのスーパーカップ・クラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリー戦のこと)で善戦。おかげで世間から、チャビ監督のチームの未来は明るい的な評価をされることに。 実際のところ、リーガでは首位のマドリーと勝ち点差17でCL出場圏外の6位、サウジアラビアから帰国後の初戦、来週木曜のコパ・デル・レイ16強対決の相手も昨季のスペイン・スーパーカップ決勝でトロフィーをさらわれたアスレティックですし、2月にあるEL16強対決のプレーオフではナポリと対戦。そうそう楽観的になれるとも思えないんですけどね。ええ、同じティーンエイジャーで、もう1つの準決勝でアスレティックに勝利をもたらしたニコ・ウィリアムスが、マルセリーノ監督に「Tiene 19 años y no hay que añadirle presión. Vamos a ir paso a paso/ティエネ・ディエシヌエベ・アーニョス・イ・ノー・アイ・ケ・アニャディルレ・プレシオン。バモス・ア・イル・ア・パソ・ア・パソ(19才だから、プレッシャーを増やしちゃいけない。一歩一歩、やっていくつもりだ)」と気遣われているのを見れば、何をか言わんやですって。 世が世なら、天下のバルサの屋台骨を若い子ばかりに背負わせる訳にもいかないはずですが、何せ、アトレティコなど、移籍金1憶2700万ユーロ(約170億円)で3年前に獲得した若手ギャラクティコ、22才のジョアン・フェリックスがまたしても期待に応えられませんでしたからね。今季もう、何度繰り返したかわからないチーム全員のミスも一向に直らないとあって、昨年12月の4連敗の後、年明けの2連勝で一時、収まっていたシメオネ監督批判も再燃してきたんですが、はあ。こちらもお隣さんとは勝ち点差16のリーガ4位、来週水曜のコパ16強対決は去年4月、アスレティックを破って、2019-20シーズンのコパ王者となったレアル・ソシエダとですし、CL16強対決の相手もマンチェスター・ユナイテッドとあって、何だかお先真っ暗な気がしてきたんですが…いや、今は嘆いてないで、スペイン・スーパーカップ準決勝の2試合がどうだったか、お伝えしていかないと。 まずは水曜、リヤドのキング・ファハドスタジアムで昨季リーガ2位のマドリーとコパ優勝のバルサが激突、今季2度目のクラシコとなったんですが、先手を取ったのはアンチェロッティ監督のチームの方。ええ、相手が「Hemos jugado con muchos complejos durante 20 o 25 minutos/エモス・フガードー・コン・ムーチョ・コンプレホス・ドゥランテ・ベインテ・オ・ベインテシンコ・ミヌートス(ウチは20か25分間ぐらい、コンプレックスを沢山抱えてプレーしていた)」(チャビ監督)という前半25分には、センターでベンゼマがブスケツからボールを奪い、最後はフラメンゴから移籍して4年目、21才の今季、いよいよ開花したビニシウスがアラウホを振り切ってシュート。これが見事に先制点となったため、やはり戦前の予想通り、リーガでの差が如実に反映する展開になるのかと思いきや…。 まあ、確かに41分、デンベレのシュートをゴール前でミリトンがクリアしようとして、ルーク・デ・ヨングにボールが当たり、同点ゴールになってしまったのは運が悪かったんですけどね。バルサがフランキー・デ・ヨングと10月のネーションズリーグ・ファイナルフォーのスペイン代表で負傷して以来、プレーしていなかったフェランをペドリとアブデ(20才)に代えた後半27分には再びマドリーが得点。これも一旦はベンゼマが弾かれて、カルバハルが撃ち直したボールもGKテア・シュテーゲンの足で逸らされてしまったものの、そのボールがベンゼマの前に。もちろん、リーガピチチ(得点王)がこんなチャンスを逃す訳はなく、またしてもマドリーがリードを奪ったとなれば、もう勝負はあった? でもそうは問屋が卸さなかったんですよ。というのもやはり、年少の選手の中でも2020年からスペイン!代表に招集され、メッシ(現PSG)の背番号10を受け継いだアンス・ファティは才能が飛び抜けているんでしょうかね。負傷を繰り返している今季は8試合しか出場していないにも関わらず、4ゴールを挙げているんですが、この日も後半21分にピッチに入ると、38分にはジョルディ・アルバのクロスをヘッド。易々とGKクルトワを破ってしまったから、ビックリしたの何のって。これでスコアは2-2となり、試合は延長戦に入ることに。 でも大丈夫。この日も途中から、「Apretar arriba nos cuesta más/アプレタル・アリバ・ノス・クエスタ・マス(ウチは高い位置でプレスをかけるのに苦労する)」(アンチェロッティ監督)という理由により、自陣で敵を待ち受ける戦法に切り替えたマドリーの必殺カウンターが、延長戦前半8分にとうとう爆発したんですよ。いやもう、モウリーニョ監督下のBBC(ベンゼマ、ベイル、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)時代から、足の速い選手が多いチームは羨ましいと思っていたんですが、この時も5人程、ドドッと白のユニフォームがバルサのゴールに突進する中、敵はたったの3人。右からロドリゴが送ったラストパスを後ろにベンゼマの気配を感じ取ったビニシウスはスルーしたんですが、まさかモドリッチと交代で入っていた、やはり健脚のバルベルデが先んじてシュートしてしまうとは! この3点目のゴールで、いえ、2-3で負けたチャビ監督は試合後も「Hemos dominado al Madrid, que se ha metido atrás/エモス・ドミナードー・アル・マドリッド・ケ・セ・ア・メティードー・アトラス(ウチがマドリーを支配していたから、彼らは自陣に引きこもっていた)」と言っていましたけどね。アンチェロッティ監督は「Partido igualado/パルティードー・イグアラードー(拮抗した試合)」と反論。「El bloque bajo no es muy estético/エル・ブロケ・バホ・ノー・エス・ムイ・エスティコ(低い位置でプレーするのはあまり美的ではない)が、ウチの前線にある質の高さを楽しまないのはもったいなさすぎる」そうですが、まあ昔から、世界最高のクラブと自称する彼らがボールポゼッションを捨てて、カウンター戦法を取ると、あれこれ世間がうるさいですからね。 その辺はアンチェロッティ監督も気が引けているのかもしれませんが、合わせて38得点14アシストという、ベンゼマとビニシウスのコンビの豊作を見れば、誰も文句はつけられないかと。そこで翌木曜は、スペイン・スーパーカップ決勝ではスーパークラシコに続いて、スーパーダービーを見ることになるのかと、私も気を引き締めて、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に連日出勤したんですが、とんでもない。前日はコロナ感染予防のため、キャパ50%までの観客制限ギリギリの4万人を集めたスタジアムに6000人しか入らなかったのにもめげず、キックオフ直後、アトレティコはレマルからパスを受けたジョアンがアスレティックのエリアに切り込んでシュート。電光石火の先制点と喜んだのも束の間、あっさりオフサイドでノーゴールとなった時から、今になって思えば、ケチがついていたんでしょうか。 そこから15分程は攻めていたアトレティコもいつしか尻つぼみとなり、0-0のままだった後半開始時には臀部の負傷を三度、再発させたマルコス・ジョレンテがロディに交代。更に5分にはコンドグビアもどこかを痛め、デ・パウルに代わることになり、こうなるとスコアレスでの延長戦も覚悟しないといけないと、私も2杯目のカーニャ(グラスビール)をいつ頼むか、思案していたんですけどね。それでも17分にはレマルの蹴ったCKをジョアンがヘッド、ゴールポストに弾かれたボールがGKウナイ・シモンの背中に当たってオウンゴールになってくれたため、ちょっとは気が楽になったんですが、何せ今季のアトレティコはよく逆転されていましたからねえ。とても1点だけでは心もとないというのに、まさか、お家芸の「リードしたら一歩後退」をこの日も忠実に実行してくれるとは! 案の定、アスレティックの猛反撃に遭い、うーん、FKからのイニゴ・マルティネスのヘッドやウィリアムス兄の一撃はGKオブラクが必死にセーブしてくれたんですけどね。32分には苦手中の苦手、CKの守備がお約束のように破綻。ええ、ムニアインの上げたボールに合わせたジェライに潰されるばかりだったコケにそのヘッドを阻むことはできず、同点ゴールを決められてしまったから、さあ大変。おまけにその4分後にも再びCKを与え、今度はイニゴ・マルティネスのヘッドこそ、ダニ・ガルシアに当たって逸れたものの、エリア内に転がったボールをウィリアムス弟にフリーで撃ち込まれているって、もう一体、どうしたらいいのやら。 その後はジョアン、ルイス・スアレス、クーニャのFW3人で同点を目指したアトレティコですが、ゴールは生まれず、それどころか、ロスタイムにはヒメネスが空中キックでイニゴ・マルティネスの頭を直撃して、レッドカードで退場する始末。いやあ、1-2で敗退が決まった後、シメオネ監督も「El equipo no tiene fortaleza defensiva en el juego aéreo/エル・エキポ・ノー・ティエネ・フォルタレサ・デフェンシバ・エン・エル・フエゴ・アエレオ(チームは空中戦での守備力がない)」と認めていましたけどね。もうシーズンも半ば過ぎているというのに今更、「Hay que trabajar la concentración/アイ・ケ・トラバハール・ラ・コンセントラシオン(集中力を鍛えないといけない)」(コケ)なんていう言葉を聞くと、やっぱり彼らは全然、学んでいない? いや実際、「Es fácil entrenarlo cuando no hay gente, el problema es cuando hay rival/エス・ファシル・エントレナールロ・クアンドー・ノー・アイ・ヘンテ、エル・プロブレマ・エス・クアンドー・アイ・リバル(人がいない時に練習するのは簡単だが、問題は敵がいる時)」とシメオネ監督も嘆いていたんですけどね。チームのリードを守ろうと孤軍奮闘したオブラクなど、もっと踏み込んで、「ゴールを入れた後、ウチは後ろに下がって待つけど、si esperamos a lo que va a pasar es que ocurren cosas como las de hoy/シー・エスペラモス・ア・ロ・ケ・バ・ア・パサール・エス・ケ・オクレン・コーサス・コモ・ラス・デ・オイ(何が起きるか待っていると、今日みたいなことが起きる)」と苦言を呈していましたが、とにかく彼らには暇になるこの週末に今一度、猛省を促したいところです。 一方、ロッカールームで決勝進出をまたしてもビジャリブレのトランペット伴奏で祝ったアスレティックはスペイン・スーパーカップ2連覇のチャンスをゲットしたんですが、奇しくも彼らは12月中にリーガで2回、マドリーと対戦。マルセリーノ監督も「jugamos como nunca y perdimos como siempre/フガモス・コモ・ヌンカ・イ・ペルディモス・コモ・シエンプレ(今までないぐらいにいいプレーをしたが、いつものように負けてしまった)」と話していた通り、サンティアゴ・ベルナベウではベンゼマのゴールで1-0。年内最終戦だったサン・マメスでも7分までにベンゼマに2点を決められ、サンセットが1点返しただけで、1-2で涙を飲んでいるんですよ。 それも後者の日など、マドリーが大量5人もコロナ感染で選手がいなかったとなると、いくら延長戦だったとはいえ、休みが1日多い相手が有利なのは変わらないかと思いますが、金曜になって、カルバハルが検査で陽性になったのはちょっと注意が必要かと。ええ、月曜にリヤド入りした彼らは練習と試合以外、外出していないため、それでもうつったとなれば、チーム内クラスターである可能性もなきにしろあらず。加えて、バルサ戦をふくらはぎ痛で欠場したアラバも回復が難しいとなれば、今年もアスレティックが波乱を起こすかもしれません。 そして最後にマドリッドの弟分チームの予定も見ておくと、この週末は土曜にラージョがコパ16強対決ジローナ戦に挑むことに。しかも会場は昨季の昇格プレーオフ決勝2ndレグでまさにこの相手を下し、1部復帰を決めたモンテリビ。向こうの指揮官がこれまた、ラージョのレジェンドであるミチェル監督となれば、結構、見応えのある試合になりそうな。対照的に2回戦でコパ敗退しているヘタフェは来週木曜のリーガ21節グラナダ戦まで、ゆっくりしていられるんですが、この金曜には残留達成に大きく力を貸してくれそうな選手が2人、ローマからレンタル移籍で到着。マドリー出身のFWボルハ・マジョラルとエルチェ出身のMFゴンサロ・ビジャルなんですが、ネックはチェマがエイバル(2部)に行った後もまだ1つ登録選手枠が足らず、早く空きを作らないといけないことでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.15 22:00 Sat
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気がついたら次はクラシコだった…/原ゆみこのマドリッド

「スペインから応援に行けないんじゃねえ」そんな風に私が嘆いていたのは火曜日、オミクロン株によるコロナ感染拡大を受けて、水曜からサウジアラビアで開催されるスペイン・スーパーカップはほとんどの観客が地元民の大会になると知った時のことでした。いやあ、ここ数日はテニスのオーストラリアオープンにワクチン接種をしていないジョコビッチが出られるのか、出られないのか、世間の注目を集めていたため、とってつけたように参加4チームの中にワクチン非接種の選手がいたら、サウジアラビアに入国できないなんて話もあったんですけどね。ヨーロッパの他のリーグに比べると、ラ・リーガは接種率が高く、それで引っかかった選手はいなかったようですが、リヤドのキング・ファハドスタジアムではお馴染みのファンのカンティコ(応援歌)が聞こえないというのは結構、淋しいかも。 実際、まだ先週末のリーガ戦の余韻も覚めやらぬうち、月曜にはスペイン・スーパーカップを最初に戦うレアル・マドリーとバルサが、火曜にはアトレティコとアスレティックがそれぞれ、リヤド入りしたんですが、水木の準決勝も日曜の決勝もバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで見られるのはいいとして、その間、リーガ戦はないですからね。土日にはコパ・デル・レイ16強対決の5試合があるものの、すでに敗退しているチームなど、クリスマス休暇並に1週間以上、ヒマになるというのもどうかと。 ちなみに昨季、無観客のカルトゥーハで開催されたスペイン・スーパーカップで王者となったのは準決勝でマドリーを破り、レアル・ソシエダを破って決勝に進出したバルサを2-1で倒したアスレティック。ただ、その後に行われた2019-21シーズンのコパ決勝ではレアル・ソシエダに負け、続いて2021-22シーズンのコパ決勝でもバルサに負けるという、悔しい思いをしているだけに、マルセリーノ監督もリベンジに燃えているかと思いますが、今回の出場チーム中、彼らはリーガ9位と、一番順位が低いのはちょっと、辛いところかもしれませんね。 まあ、スペイン・スーパーカップについてはまた、後で話すとして、今は先にリーガ前節のマドリッド勢の試合を見ていくことにすると。1チームだけ土曜にプレーしたのが兄貴分のマドリーで、サンティアゴ・ベルナベウでの年明け初試合ではバレンシアと対戦。コロナからビニシウスも回復し、ほぼベストメンバーで挑めた彼らとは対照的に欠場者が多かったボルダラス監督のチームですが、前半は拮抗していたんですよ。そう43分、アルデレテがカセミロをエリア内で倒したとして、マドリーがPKをゲットするまでは。それもスロー再生のリプレーではどうにも、カセミロの方がぶつかっていったみたいで、審判が頑としてVAR(ビデオ審判)のモニターを見に行かないものだから、バレンシアのスタッフが自前のパソコンで映像を提示しようとまでしていたんですけどね。 まったく相手にされず、ベンゼマのPKが決まって、1-0でハーフタイムに入ることになったんですが、クラブ公式ツィッターでもすぐさま、「Lo de los robos en Madrid empieza a ser algo repetitivo/ロ・デ・ロス・ロボス・エン・マドリッド・エンピエサ・ア・セル・アルゴ・レペティティーボ(マドリッドで盗まれるのはもうリピートされる何かになっている)」と呟いていたように、バレンシア側がこの件にこだわりすぎたせいでしょうか。後半はマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まり、7分にはベンゼマとのワンツーでエリア内に入ったビニシウスがディアカビとアルデレテをかわしてシュート。2点目を挙げると、15分にはアセンシオの一撃はGKシレッセンに弾かれたものの、丁度いい位置に詰めていたビニシウスがヘッドで3点目もゲットすることに。 そんな彼の活躍ぶりにはアンチェロッティ監督も「Ha marcado goles de delantero centro, de delantero de área/ア・マルカードー・ゴーレス・デ・デランテーロ・セントロ、デ・デランテーロ・デ・アレア(CFのゴール、エリア内のFWのゴールを決めた)」と賛辞を惜しまなかったんですけどね。31分にはメンディがマルコス・アンドレの手を引っ張って、シュートの邪魔をしたため、バレンシアにもPKが与えられ、1度はGKクルトワが弾きながら、跳ね返りをキッカーのゲデスが再度ヘッド。これで1点を返されたものの、43分にはベンゼマがエースの貫禄を示す4点目を挙げているとなれば、「no vamos a poner excusas del árbitro cuando te ganan 4-1/ノー・バモス・ア・ポンーエル・エクスクーサス・デル・アルビトロ・クアンドー・テ・ガナン・クアトロ・ウノ(4-1で勝たれた時に審判を言い訳にするつもりはない)」というガヤの弁も当然だったかと。 これで2位のセビージャに距離を縮められる懸念も払拭、ベンゼマ(17得点)とビニシウス(12得点)のリーガピチチ(得点王)と次点のコンビを引っ提げて、スペイン・スーパーカップのクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)に臨めることになったマドリーだったんですが、サウジアラビア遠征には更にコロナ明けのヨビッチ、そして負傷の治ったカルバハルでパワーアップして出発。いえ、アンチェロッティ監督によると、「カルバハルの先発は微妙、右サイドもアセンシオにするか、ロドリゴにするか。Son las únicas dudas que tengo/ソン・ラス・ウニカス・ドゥーダス・ケ・テンゴ(決まっていないのはそれだけだ)」とスタメンにはまだ迷いがあるようですけどね。 確かに「Nadie sabe lo que puede pasar, independientemente de la diferencia de puntos/ナディエ・サベ・ロ・ケ・プエデ・パサール、インデペンディエンテメンテ・デ・ラ・ディフェレンシア・デ・プントス(勝ち点差とは関係なく、何が起きるかは誰もわからない)」(チャビ監督)のがクラシコとはいえ、相手は土曜のグラナダ戦でも終盤に追いつかれ、1-1で引分けるという無念を味わったばかり。アンス・ファティが満を持して復帰、金曜に手を手術したばかりのアラウホも強行参加、入団プレゼン直後にコロナ陽性となり、ようやく陰性となって、ペドリと一緒に1日遅れて現地に移動したフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)もコウチーニョのアストン・ビラへのレンタル移籍、ウムティッティの減給契約延長により、ラ・リーガのサラリーキャップをかわして選手登録はできたとはいえ、その期待の彼も負傷明けだったりしますからね。 そうなると、コパのアルコジャノ(RFEF1部/実質3部)戦で負傷したマリアーノと今度は背筋痛でやはり、ウェールズ代表のW杯プレーオフがある3月が近づくまで、クラブの実戦に出る気はないんじゃないかという疑いのあるベイルだけが欠場となるマドリーの方が、水曜午後8時(日本時間翌午前4時)からの準決勝には有利な気がしますが、さて。そういえば、昨年10月のリーガ、シーズン前半クラシコもアラバとルーカス・バスケスのゴールで1-2とマドリーが勝利していましたが、その時のバルサの1点が心臓のトラブルで昨年中に現役引退したアグエロのゴールだったのを思い出すとちょっと、しんみりしてしまいますね。 そして翌日曜には今季、ラージョの定番時間帯となったような午後2時からのベティス戦を見にエスタディオ・バジェカスに行った私だったんですが、こちらもジャッジでトラブルが発生。ええ、まだ0-0だった前半35分、2019年に2部に落ちたラージョから、ベティスに河岸を変えたアレックス・モレノの足がイシの頭に当たり、当人はピッチに倒れていたにも関わらず、プレーが続いていたんですけどね。一段落ついて、審判が様子を見に近づいた頃にはイシのスキンヘッドの頭が血まみれだったため、アレックス・モレノにはレッドカードが出されることに。 まあ、実のところは「相手が頭を下げたから、足が当たっただけ。Con la sangre se impresionó/コン・ラ・サングレ・セ・インプレシオノ(出血を見てショックを受けたんだろう)」(ペジェグリーニ監督)というのが正解でしょうが、でもねえ。相手が10人になったのにラージョが油断してしまったんですよ。おかげで前半ロスタイムにはベジェリンが送ったラストパスをカナレスに、ディミトリエフスキの負傷で最近、先発を任されるようになったジダン監督の次男、ルカがガラ空きのゴールに決められて、0-1とリードされてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 いえ、後半26分にはその日、コパに続いてスタメン出場していたファルカオのヘッドはGKルイ・シウバに弾かれてしまったものの、ゴール前に人が沢山、倒れているうちにバリュウが撃ち込んで、何とか同点にはなったんですけどね。結局、1-1のドローで終わり、8勝2分けとホーム無敗は維持できたんですが、レアル・ソシエダが勝ったため、順位が7位に落ちてしまったのは残念だったかと。それでも帰りがけ、スタジアム前でファンにサインしていたイシは傷口こそ、パーカーのフードで見えなかったものの、元気そうでしたし、肉離れで戦線離脱していたアルバロ・ガルシアも途中出場で復帰という朗報もあるため、今週土曜のコパ16強対決、昨季のプレーオフ決勝2ndレグで勝利し、1部昇格を決めた思い出のモンテリビでのジローナ(2部)戦ではいい試合が期待できると思いますよ。 え、でも日曜は次の時間帯でプレーしたもう1つの弟分も、夜9時の試合となった兄貴分も勝利は掴めなったんだろうって?その通りでラージョ以上にアウェイが苦手で、今季1勝も挙げていないヘタフェは、まあ、相手が2位のセビージャというのもありますけどね。前半22分、オカンポスのパスからラファ・ミールにtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でシュートを撃たれ、「uno de nuestros mejores jugadores, Soria, no está acertado/ウノ・デ・ヌエストロス・メホーレス・フガドーレス、ソリア、ノー・エスタ・セルタードー(ウチの最高の選手の1人、ソリアが上手く捌けなかった)」(キケ・サンチェス・フローレス監督)というGKのミスで先制点を奪われてしまうことに。 それだけでなく、ミールには他にもオフサイドで取り消されたゴールがありましたし、アランバリとオリベイラを累積警告で欠くヘタフェはほとんどシュートもできなかったため、そのまま1-0で負けてしまったのも仕方ないんですが、幸い降格圏外16位の順位は変わらず。コパ敗退済みの彼らは20日のグラナダ戦まで試合もありませんし、長らく欠場していたビトロも戻って来たため、ここしばらくは1月後半のリーガ戦に備えて、じっくり調整できるのを強みに変えてもらいたいところです。 一方、ラ・セラミカでビジャレアルに挑んだのが4位のアトレティコなんですが、いやあ、人生に1度起きるか起きないかの奇跡というのはやはり悲劇の前触れだったんですね。そう、序盤から、圧倒的にボールを敵に支配されていた彼らだったんですが、前半10分、パレホのパスをセンターでカットしたコレアがそのままロングシュート。「ya conozco a Rulli y sé que su manera de jugar es muy adelantado/ジャー・コノスコ・ア・ルリ・イ・セ・ケ・ス・マネラ・デ・フガール・エス・ムイ・アデランタードー(ルリのことは知っていて、ゴールから凄く前に出てプレーするのもわかっていた)」という当人の目論見通り、50メートルの距離からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めたんですが、だからといって、その後も3本とパスが続かない、ポゼッション最低プレーが改善するには至りません。 いえ、それでもクーニャが1対1のシュートをGKルリに弾かれたり、今度はコレアがゴール前から決めたゴールがオフサイドだったりということはあったんですが、20分、アルベルト・モレノのパスがレマルの腕に当たったとして、ペナルティを取られてしまってはねえ。幸運もここまでかと思われたんですが、それからが予想外の連続です。だってえ、スペシャリストのジェラール・モレノが、PKセーブがあまり得意でないGKオブラクに弾かれるなんて、滅多にあることじゃないんですよ。それなのにフェリペとぶつかり合った末、パレホの腰に当たったボールがゴールになったとなれば、もう泣いちゃうしかありませんって。 でも大丈夫。ここでもう1度、奇跡が起こり、VAR判定でパレホの手にボールが当たっていたとして、このゴールは認められないことに。といっても29分にはそのパレホのFKをオブラクがキャッチし損ね、こぼれたボールをパウ・トーレスに同点ゴールにされているんですから、まったく救えませんけどね。後半13分には再び、出場停止のヒメネスに頼れないフェリペとエルモーソのCBコンビが決壊し、ジェラール・モレノのスルーパスをアントニオ・モレノに撃ち込まれて、とうとう逆転されてしまった時にはもう、年明けのラージョ戦、コパのラージョ・マハダオンダ(RFEF1部、ラージョ・バジェカーノと経営関係はない)戦の快勝はただの幻だったのかと、私も肩を落としていたんですが…。 まさか選手交代の効果があそこまで出るなんて!ええ、リードされてすぐ、シメオネ監督がデ・パウル、クーニャ、ロディをコケ、ジョアン・フェリックス、ベルサイコに代え、4-4-2から、CBを3人にする5-3-2にシステムチェンジしたアトレティコは急に盛り返し、23分には右から左に移ったカラスコのラストパスをコレアがシュート。これはルリに弾かれてしまったものの、コンドグビアがエリア前から同点ゴールを決めてしまったから、驚いたの何のって。それどころか、2-2になった後の彼らはとても同じチームとは思えないぐらいパスが上手くなり、ガンガン繋げるようになったんですが、まったくもう。 それができるなら、最初からやればいいのにというのは私の勝手な言い分で、後半ロスタイムにはコンドグビアが2枚目のイエローカードをもらい、退場となったのもあり、結局、試合はそのままドローで終了。おかげで3位のベティスにも追いつけず、首位のお隣さんとの差もまた勝ち点16に開いてしまったんですが、まあこればっかりはねえ。ちなみに木曜午後8時からのスペイン・スーパーカップ準決勝ではこの日、出場停止だったヒメネスとルイス・スアレスは復帰するものの、コパで太ももケガを再発したグリーズマン、12月からずっとリハビリ中のサビッチは戻って来られず。シーズン前半戦ではスコアレスドローに終わったカードでしたが、今度は誰が勝利のゴールを入れてくれることになるんでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.12 21:00 Wed
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異常だったのは昨季の方…/原ゆみこのマドリッド

「いよいよ見応えのあるカードが出てきたわね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるスペイン・サッカー協会施設で行われたコパ・デル・レイ16強対決組み合わせ抽選の結果を見た時のことでした。いやあ、この辺まで来ると、生き残りのほとんどが1部のチームなのは例年のことなんですが、何せ昨季はマドリッド両雄が揃って早期敗退したため、ほとんどコパを堪能できず。それが今季はどちらも32強対決を突破して、レアル・マドリーはエルチェ、アトレティコはレアル・ソシエダとそれぞれ、マルティネス・バレロ、レアル・アレナでのアウェイ戦で準々決勝行きの切符を争うことに。 ちなみに1部勢同士のカードは5つあって、他はベティスvsセビージャのアンダルシアコパダービー、アスレティックvsバルサの昨季コパ決勝の再演、そしてマジョルカvsエスパニョールなんですが、ちょっと得した感じなのは2つしかない2部生き残りの1チーム、ジローナと当たった弟分のラージョだったかと。2部で残留争いをしているマドリッドの弟分、フエンラブラダから後半ロスタイムに1点を奪って勝利、次もスポルティング・ヒホンと当たることになった、自身も残留争い真っ只中にあるカディスなどは、逆に1部のプライドみたいなのがあるため、少々、有難迷惑だったりするかもしれませんけどね。そんな中、当たりを引いたのは、ヘタフェを5-0と破った後、セルタも2-1で倒し、RFEF1部(実質3部)で唯一、ここまで上がってきたアトレティコ・バレアレスとの組み合わせになったバレンシアでしょうか。 え、そのコパ16強対決はスペイン・スーパーカップに出場しないチームは来週の週末、出場するチームはその次の週のミッドウィークに開催とまだ先だし、肝心のマドリッド勢の32強対決はどんなだったのかって?そうですね、順番にお伝えしていくことにすると、まず先陣を切ったのは2部の弟分、レガネスで水曜の夕方にレアル・ソシエダとブタルケで対戦。やはり1部、しかもその上位チームでEL決勝トーナメントにも残っている相手というだけでなく、「Hoy hemos traído a todo lo que teníamos. Hemos sacado el mejor once possible/オイ・エモス・トライドー・ア・トードー・ロ・ケ・テニアモス。ヘモス・サカードー・エル・メホール・オンセ(使える選手全員を連れて来て、最高のスタメンを並べた)」(イマノル監督)せいもあったんでしょうね。 前半9分にはイサクに、43分にもオジャルサバルにゴールを決められて、対照的に柴崎岳選手をベンチ外にするなど、控え選手中心で挑んだレガネスは互いの実力差をはっきり示されてしまったんですが、冷たい雨の中、スタンドのファンが傘をさして応援する後半、まさかサプライズが待っていたとは!それが始まったのは15分、ランジェロビッチの上げたクロスをファン・ムニョスがヘッドで1点を返したかと思いきや、その10分後にもまた彼がエリア前からのシュートを決め、あっさり同点に追いついてしまったとなれば、昨年はコロナ禍で開催できなかったロス・レジェス・マゴス(東方の3賢人)のcabalgata(カバルガタ/パレード)を見に行かず、寒さに耐えてスタジアムに残っていたサポーターたちも報われた? でもねえ、そのすぐ後だったんですよ。せっかくremontada(レモンターダ/逆転勝利)ムードに入りながら、この試合に抜擢されたカンテラーノ(レガネスBの選手)、リーガ出場未経験のルビオが自陣エリア内でオジャルサバルの足を踏んでしまったのは。PKのスペシャリストである当人がこれを決め、最後はアルナイスやルーベン・パルド、ボルハ・ガルセスら、主力を投入したものの、レガネスが追いつくことはできませんでしたっけ(最終結果2-3)。 それでもファンは、「ハーフタイムまでに0-2にされ、点差はもっと開いていた可能性があった。その時点でのオプションは2つ。土曜のリーガのことを考えるか、勝利を信じて戦うか。Lo hemos querido hasta el final/ロ・エモス・ケリードー・アスタ・エル・フィナル(ウチは最後まで勝利を求めた)」というナフティ監督のチームの健闘を拍手で称えてくれていましたからね。これはこれで、今はまだ勝ち点差9もありますが、昇格プレーオフ出場圏入りを目指して、シーズン後半戦の巻き返しを図るのには、いいキッカケになるかもしれませんよ。 そして水曜にはラージョも2部のミランデスと戦ったんですが、こちらは後半22分までスコアが動かず。先発したファルカオではなく、アンドレス・マルティンのヘッドで奪った1点を最後まで守りきり、イラオラ監督がアンドゥーバへの凱旋帰還を16強進出で飾ることができたのは良かったかと。そうそう、彼らはこの日曜にはベニト・ビジャマリンでベティス戦なんですが、リーガ前節の年明け試合では、アトレティコにワンダ・メトロポリターノで2-0と負けてスタート。おかげで兄貴分だけでなく、マジョルカに勝ったバルサにも抜かれ、6位になってしまったんですが、まだ3位のベティスとの勝ち点差は3ですからね。アウェイの苦手意識を克服する意味でも勝利を目指してもらいたいところですが、相手もコパではローテーションメンバーを使って、2部のバジャドリーに0-3と快勝したばかりとなると、ちょっと難しいですかね。 え、それで2年連続でエル・コジャオを訪れたマドリーはリベンジを果たせたのかって?そうですね、クルトワ、ベンゼマ、モドリッチ、メンディにお休みを与えたアンチェロッティ監督のチームは少々、手こずったものの、前半39分にはロドリゴの蹴ったCKをミリトンがヘッドで決め、先制点奪取に成功。でもこれって、延長戦で2-1とアルコジャーノに負けた昨季とまったく同じパターンで、しかもこの日は後半開始早々、遠征に同行した唯一のCFだったマリアーノがハムストリンングスをケガして交代という不幸に見舞われたから、さあ大変。おまけに仕方なく、アセンシオを入れて、アザールにfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)をさせていた20分、カセミロをエリア内で切り返したダニ・ベガがとてもRFEF1部の選手とは思えないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決め、同点にされてしまったとなれば、胸がザワザワし始めたマドリーファンも多かったかと。 でも大丈夫。この日の彼らには昨季はなかった運があったんです。いやだって、31分に撃ったアセンシオのシュートは敵に当たって軌道を変え、GKホセ・ファンを惑わして勝ち越しゴールになりましたし、その2分後など、アルコジャーノがクリアしようとしたボールがチームメートに跳ね返されてエリア内に。それを追ったイスコがホセ・ファンにぶつかられる直前に蹴っていたんですが、最後は相手の踵に当たって3点目になったとなれば、これをツキと呼ばずして何と呼ぶ(最終結果1-3)? いえ、アンチェロッティ監督は「Este equipo esta noche ha puesto la calidad abajo y ha luchado/エステ・エキポ・エスタ・ノチェ・ア・プエストー・ラ・カリダッド・アバホ・イ・ア・ルチャード(今夜のチームはプレーの質を脇に置いて戦った)。ここではそれをしないと、昨季のように負けることになる」と言っていましたけどね。大体がして、実質3部のチーム相手に敗退した前回が異常だっただけで、いえ、去年はコロナ禍のせいで無観客試合となり、スタジアムに隣接したマンションの住人だけしか、生で見られなかったゴールデンマッチのリピートとあって、この日はスタンドどころか、ピッチが見える周辺道路からも応援していた地元のファンには残念でしたけどね。 この先は負けても言い訳のできる同等の1部チームとしか、ほぼ対戦しないとあって、今ではマドリーの関心も土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのバレンシア戦に移っていますが、ちょっとこの試合は用心が必要かも。というのも、相手がコパでは後半ロスタイムにチェリシェフが決勝ゴールを挙げ、2部のカルタヘナを1-2で下したというのは別にして、ボルダラス監督は前節、多彩なファールを駆使して、マドリーから1-0の勝利を挙げた弟分ヘタフェを5年間率いていた指揮官。その哲学はバレンシアでも忠実に引き継がれ、今季は20チーム中、ヘタフェを2位に抑えて、ファール数1位を維持しているから。 ただ、司令塔のカルロス・ソレルがコパで負傷、他にもユネス・ムサー、ディアカビ、ラチッチと出場が微妙な選手もいる上、ボルダラス監督の愛弟子、ヘタフェのカンテラ出身のウーゴ・ドゥーロも出場停止となると、バレンシアのプレーも変わってくるかもしれませんけどね。どちらにしろ、コリセウム・アルフォンソ・ペレスではまだクリマスのバケーション気分が抜けなかったマドリーの選手たちもアルコジャーノ戦のように闘争心を忘れずにプレーしないと、サンティアゴ・ベルナベウのファンをガッカリさせることになりかねないかと。 でもまあ、今度はコパでお休みをもらった選手たちに加え、いよいよコロナ明けのビニシウスも戻って来ますしね。この試合に勝てば、2位セビージャとの差を勝ち点5のまま維持して、サウジアラビアでのスペイン・スーパーカップ準決勝のクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)に挑めますし、そちらでは背中に痛みを抱えるベイルは間に合わないかもしれませんが、カルバハルとヨビッチは復帰できそうというのはいいニュースですよね。 そして翌木曜、極寒の夜9時半からラージョ・マハダオンダ(RFEF1部、ラージョ・バジェカーノと経営関係はない)と対戦したアトレティコはというと。いやあ、いくら相手がホームして使っているとはいえ、いつも自分たちが練習しているマハダオンダ(マドリッド近郊)のミニスタジアムでは真剣勝負の雰囲気に欠けると心配したか、ワンダ・メトロポリターノを会場として提供したのがバッチリ当たったんですよ。というか、よっぽどここ2年、格下の2部B(今季からRFEF1部と2部に分裂)だったクルトゥラル・レオネサとコルネジャに早期敗退を喰らっているのが効いたんでしょうね。これまでコパでは常に控えGKを使っていたシメオネ監督がルコントではなく、オブラクを先発させていたのには私も目を白黒させるばかり。 それ以外の選手もリーガ前節のラージョ戦から、コレアがクーニャに、エルモーソがフェリペに、ニューキャッスルに行ってしまったトリッピアーが負傷から復帰したマルコス・ジョレテンテに代わっただけと、バリバリのレギュラーを並べたとなれば、「La Copa es muy importante para nosotros y la vamos a pelear/ラ・コパ・エス・ムイ・インポルタテ・パラ・ノソトロス・イ・ラ・マモス・ア・ペレアル(ウチにとって、コパはとても重要で、優勝を争うつもりだ)」(クーニャ)と、選手たちが監督からのメッセージを感じ取ったのも当然だった?おかげで鼻息荒く、序盤からトップギアでスタートした彼らは、うーん、1万7000人という、ワンダの正面スタンドを除いた1、2階を埋めるだけの人数ですが、定員3000人のホームを大いに上回るチケット収入を得ることができたぐらいが慰めで、マハダオンダにはちょっと、気の毒だったんですけどね。 相手は開始1分になる前にFKから、コンドグビアのヘッドを弾いたGKゴルカが手をルイス・スアレスに踏まれ、ほとんど夢の舞台でプレーすることなく、控えのアルバロに代わらないといけなかったという不幸も重なりましたが、こうなるともうカテゴリーの差がありあり。ええ、12分のゴールはオフサイドで認められなかったものの、17分にはエリア内からボールを出そうとしたカサードのパスがカラスコに当たり、またもやオフサイドの位置だったクーニャのシュートによるゴールがスコアに挙がって先制点に。おかげでワンダでの試合ながら、ACDCのサンターストラックが大音響で鳴り響くラインアップ紹介の電飾ショーもなく、アカペラでクラブ歌を合唱することもできず、欲求不満を感じていた多数派のアトレティコファンがどんなに沸いたことか。 いえ、こういう不具合も16強対決から、VAR(ビデオ審判)が入れば、なくなるはずですけどね。更に17分、アトレティコはレマルのスルーパスをロディが撃ち込んで畳みかけると、41分には右サイドから切り込んだジョレンテのラストパスを受け、とうとう9試合ぶりにルイス・スアレスがゴールを挙げてくれたとなれば、こんなに心強いことはない?最近、よくケガがぶり返すヒメネスとジョレンテがコケとベルサイコに、スアレスのリーガ次戦出場停止に備えて、クーニャがコレアに代わった後半もアトレティコの勢いは止まらず、22分にはコレアのスルーパスから、こちらも途中出場のグリーズマンが4点目をゲット。唯一の後悔はその後、昨年のマドリーダービーの後、右太ももを痛め、バケーション中のコロナ感染もあって、ようやくこの日、実戦復帰となった彼が31分に同じケガを再発してしまったことでしょうか。 ええ、この週末ばかりか、来週のスペイン・スーパーカップにも出場できないことが自分でもわかったか、泣きながら、当人もピッチを去って行ったんですが、いやもう、その時はすでにアトレティコの交代枠は残っておらず、チームは10人で残り時間をプレーすることになったんですけどね。34分にはカラスコが自陣から放ったスルーパスを追いかけ、ジョアン・フェリックスが5点目を決めているとなれば、これぞまさに昨季リーガ王者の実力? いえ、2つもカテゴリーが下のチーム相手に0-5と大勝したからって、全然、威張ることはできませんけどね。選手たちが真価を見せつけないといけないのはこの日曜、午後9時からのビジャレアル戦で、何せ、出場停止なのはスアレスだけでなく、ヒメネスもですし、サビッチはまだリハビリ中。グリーズマンもいないとなれば、それこそクーニャ、コレア、ジョアンの3人で点を取ってもらわないといけないんですが、さて。ちなみにウナイ・エメリ監督のチームは木曜にスポルティング・ヒホンに2-1で負け、コパ敗退しているんですが、リーガはレバンテに5-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らわせたばかり。昨年の4連敗で勝ち点差14ついた首位のお隣さんに追いつく望みを持っているアトレティコファンはもうあまりいないとはいえ、今はCL出場圏の3、4位が激戦区になっているため、しばらくこの調子を維持してほしいところです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.08 21:00 Sat
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