あと一歩が足りなかった…/原ゆみこのマドリッド

2021.10.13 17:00 Wed
twitterfacebookhatenalinegplus
photo
「今頃、ペレス会長はこの夏にエムバペを獲れなかったのを後悔しているかも」そんな風に私が考えていたのは火曜日、久々の国外旅行となった1週間のイタリア滞在を終え、自宅でくつろいでいる時のことでした。いやあ、世間一般にはイタリア語とスペイン語は似ているように思われているんですが、あちらはイントネーションが派手なせいですかね。やっぱり耳に入る分にはスペイン語の方が落ち着いていていいと実感していたのはともかく、せっかく2012年ユーロ優勝以来となる国際代表大会の決勝でルイス・エンリケ監督のチームはトロフィーに手が届かず。それもベンゼマ、エムバペ揃い踏みのゴールでフランスが優勝したとなれば、もし今季のレアル・マドリーで2人が一緒にプレーしていたらと地団太を踏んでいるのは絶対、アンチェロッティ監督だけではない?

え、ネーションズリーグ・ファイナルフォーでの活躍で評価が赤丸急上昇したベンゼマだからって、彼をバロンドール本命に挙げるのは、いくら何でも持ち上げすぎじゃないかって?うーん、確かに今年は絶対的な候補がおらず、通常だったら、昨季CLと夏のユーロでdoblete(ドブレテ/2冠優勝のこと)を達成した、チェルシーのイタリア代表選手が来そうなものですけどね。それに該当するのはジョルジーニョだけで、一応、UEFA年間最優秀選手賞は受賞したものの、当人はキャプテンでもなく、ボランチとあって、少々地味な感じは否めず。一方、ベンゼマも久々に復帰したフランス代表でのユーロは16強止まり、マドリーもCLは準決勝でチェルシーに敗退、リーガはお隣さんに及ばず2位と、獲得タイトルはネーションズリーグだけですからね。

2021年に限った得点数でも彼は34(アシスト15)で、レバンドフスキ(バイエルン)50(同5)、メッシ(バルサからPSGに移籍)42(同17)、ハーランド(ドルトムント)42(同14)、クリスチアーノ・ロナウド(ユベントスからマンチェスター・ユナイテッドに移籍)36(同9)と上には何人もの選手が。そうなると、何となく、バロンドールに関しては、3年前のロペテギ監督(現セビージャ)、昨年のジダン監督2期をなぞるように、ここ3試合白星なし。CLシェリフ戦とエスパニョール戦では連敗となり、アンチェロッティ監督の下でも10月のクライシスが始まったかのようなマドリーに華やかな話題を提供しないといけないという、クラブとスペインマスコミの使命感によるキャンペーンにも思えますが…。

まあ、そんなことはともかく、日曜のネーションズリーグの試合がどうだったのか、お伝えしていくことにすると。同日は午後3時から、ユベントス・スタジアムで3位決定戦があったんですが、何せ木曜のベルギーvsフランスの準決勝の後、終バスが行ってしまったことに1時間近く気づかず、街中の宿まで帰るのに難儀した経験がありましたからね。トリノーミラノ間は急行電車でも1時間ちょっとかかることもあって、とても8時45分にサン・シーロに着いている自信がなかったため、私はパスしたんですが、こちらは開催国が意地を見せたか、イタリアが後半にバレッラ(インテル)のゴールとベラルディ(サッスオーロ)のPKで2点をリード。ベルギーも41分にはデ・ケテラエレ(クラブ・ブルージュ)が1点を返したものの、2-1でイタリアが勝つことに。

ただ、この結果には気が収まらなかった選手が1人いて、それはGKクルトワ(マドリー)。ええ、準決勝のフランス戦でも3失点と、別に当人の責任ではないんですが、この大会で計5点も奪われたのがムカついたのか、試合後には「この3位決定戦はお金のためだけの試合。UEFAがエキストラマネーを稼ぐためにボクらはプレーした。もしこれが決勝だったら、違う選手が出ていただろう」とインタビューでぶちまけていたから、驚いたの何のって。更に批判は昨今の試合数過多にも及び、「今度は毎年、ユーロかW杯をやるようになるみたいだけど、そしたらボクらはいつ休む?来年は11月にW杯があって、リーガは6月末までになる。皆、ケガしちゃうよ。バケーションが3週間だけじゃ、12カ月間、最高レベルのパフォーマンスを見せるには十分じゃないんだ」とはごもっとも。

私も今年の夏などは、ユーロと東京オリンピックを梯子して、バケーションが細切れ単位になった選手たちのことを心配していましたけどね。世の中には色んな意見があるもので、いつも新聞を買うキオスコのオジさんなど、「あれだけの給料をもらえたら、何年か、休みがなくたって、自分は全然、構わない」そう。フランス戦でハムストリングに筋肉痛を起こし、イタリア戦は欠場となったアザール(マドリー)など、数試合出るたびに負傷して、結局はかなり長い期間、休んでいるような気もしますし、とりあえず、後半43分までプレーしたカラスコ(アトレティコ)には特に異変はなかったため、今はこの発言でクルトワがUEFAから迫害を受けないことを祈るばかりでしょうか。

そしてサン・シーロの決勝の方は、いやあ、準決勝の日とは違い、天気も良かったため、先日のCLミラン戦の時にはアトレティコファンが大量に集まっていたドゥオモ(大聖堂)前広場にスペイン人サポーターがいないか、昼間には立ち寄ってみたんですけどね。ネーションズリーグのトロフィーを展示したUEFAのテントには列ができていたものの、国旗や赤のユニを身に着けた人は少なく、今ではコロナ禍前のように観光客でごった返しているのに閉口して、早々に退散することに。スタジアムへの入場や、幾つか、私が行った博物館などではグリーンパス(ワクチン接種完了証明)の提示を要求されたんですが、1年半前にはロックダウンで死に絶えた街のようになっていたミラノが、今ではこれ程、賑わっているとは予想もしませんでしたっけ。

それでもサン・シーロには3000人程のスペインサポーターがいたようで、フランス側に負けじと熱心に応援する中、いよいよキックオフとなったんですが、ルイス・エンリケ監督はイタリア戦から、コケ(アトレティコ)をロドリ(マンチェスター・シティ)に、パウ・トーレス(ビジャレアル)をエリック・ガルシア(バルサ)に代えただけで、足の甲のケガが心配されたフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)も無事回復して、あとは同じメンバーでスタート。立ち上がりこそ、いきなりベンゼマが1人、エリア内に現れてドッキリさせられたものの、折り返しのパスをクリアして何とか凌いだところ、前半はそのまま膠着状態に。ボールはスペインが持っていたとはいえ、どちらのチームもほとんどシュートがなく、43分にはバラン(マンチェスター・ユナイテッド)がケガをして、ウパメカーノ(バイエルン)と交代したぐらいが、特筆すべきことでしょうか。

それとは対照的だったのが後半で、いやあ、サラビア(スポルティングCP)がジェレミー・ピノ(ビジャレアル)と代わり、ガビ(バルサ)と2人ティーンエイジャー体制になったスペインが19分、ブスケツ(バルサ)のスルーパスを受けたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)がウパメカーノをかわし、先制ゴールを挙げた時にはこれは行けると私も思ったもんですけどね。まさか、「La pena es que no hemos podido disfrutar ni meterles el miedo durante más de 30 segundos/ラ・ペナ・エス・ケ・ノー・エモス・ポディードー・ディスルフルタル・ニ・メテールレス・エル・ミエードー・ドゥランテ・マス・デ・トレインタ・セグンドス(残念なのは30秒以上、ウチがリードを満喫も、相手に恐れを抱かせるのもできなかったこと)」とルイス・エンリケ監督も言っていた通り、もう2分後にはエムバペのパスを受けたベンゼマに、「蹴った途端、自分にはゴールに入るとわかった」シュートを決められてしまうとは情けない。

1-1でガス欠となったガビと代わり、コケがピッチ入ったのを見た時は何とも、2回目のマドリーダービーとなった2016年CL決勝延長、PK戦が頭をよぎって、帰りの足が不安になった私ですが、大丈夫。それより全然早く、35分にはその日、1つ年上の兄、ルカ(バイエルン)を差し置いて、2試合連続先発となったテオ・エルナンデス(ミラン)が送ったスルーパスにエムバペが反応。というか、彼は明らかにオフサイドの位置でスタートしたんですが、ボールが届く前にクリアしようとしたエリック・ガルシアのスパイクが当たったのが運の尽きだったんですよ。そのままエムバペがエリアに持ち込んで、立ちふさがるGKウナイ・シモン(アスレティック)をモノともせずに決めたゴールがVAR(ビデオ審判)に認められてしまったから、さあ大変!

うーん、これには英語の得意な元マンチェスター・シティのエリック、アスピリクエタ、ミケル・アロンソ(チェルシー)らがテイラー主審を囲んで猛抗議したんですけどね。「El árbitro dice que tengo intención de jugar el balón/エル・アルビトロ・ディセ・ケ・テンゴ・インテンシオン・デ・フガール・エル・バロン(ボクにはボールをプレーする意志があったと審判は言うんだ)。足を出さず、エムバペにコントロールさせるべきだったって」(エリック)そうで、いや、「un defensa nunca en la vida se puede apartar/ウン・デフェンサ・ヌンカ・エン・ラ・ビダ・セ・プエデ・アパルタル(何があったって、DFが見過ごすなんてありえないよ)」というのは正論でしょう。ただ、これはプレー規則通りの解釈で、テオのパスにエリックが触れたため、敵からのボールを受けたことになるエムバペはオフサイドにはならないのだとか。

そうなると、「この規則を作った奴はサッカーをプレーしたことがないんだろう。Eric no quiere jugar, quiere despejar/エリック・ノー・キエレ・フガール、キエレ・デスペハール(エリックはプレーしたかったんじゃない。クリアしたかったんだ)」(オジャルサバル)とか、「Eric solo quiere cortar, no falla en el control/エリック・ソロ・キエレ・コルタル、ノー・ファジャ・エン・エル・コントロル(エリックはカットしたかっただけで、ボールコントロールに失敗した訳じゃない)」(ブスケツ)とか言われてもちょっと、屁理屈に聞こえてしまうんですが、まあ、その規則自体がおかしいとしても今更、変える訳にはいきませんからね。結局、このエムバペのゴールはスコアに上がり、フェラン、ロドリをフォルナルス(ウェストハム)、ミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)に代えたスペインは残り時間で必死に同点を目指したんですが…。

ダメでした。終盤にはオジャルサバルやピノがシュートを至近距離から撃ったんですが、GKロリス(トッテナム)にparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、フランスが2試合連続で逆転勝利。第1回のポルトガルを継いで、2代目ネーションズリーグ王者となった彼らは、サン・シーロまで駆けつけたフランス人ファンたちの前で盛大にお祝いしていたんですが…ま、これがユーロやW杯の決勝でないのは不幸中の幸いだったかと。一応、ルイス・エンリケ監督も「ウチはユーロ王者(イタリア)に勝ったし、hemos competido de tú a tú contra el campeón del mundo/エモス・コンペティードー・デ・トゥ・ア・トゥ・コントラ・エル・カンペオン・デル・ムンド(世界王者と互角に戦うことができた)」と言っていたように、最近のスペインにしては健闘した方だった?

ただ、11月にはまだ大事な試合が残っていて、このネーションズリーグ・ファイナルフォー期間中にドイツやデンマークなど、W杯出場を決めたチームがあるのとは対照的に、スペインはギリシャ、スウェーデンとの予選残り2試合で突破を決めないといけないんですよ。それもこの火曜にはスウェーデンがギリシャに勝って、現在、勝ち点差2で首位に立たれているため、2連勝が必要かもしれないんですが、同時に次の招集リストはかなりの激戦区になりそうな。何せ、今回はモラタ(ユベントス)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)、ペドリ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、カルロス・ソレル、ガヤ(バレンシア)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ)と負傷で呼べない選手が沢山いましたからね。ガビやピノら初招集組、3年ぶりに復帰したマルコス・アロンソもいい働きをしているだけに、ネーションズリーグ準優勝のメダルをもらった後、チームと別れ、家族としばらくイタリア滞在を楽しむことにしたルイス・エンリケ監督の選択もかなり吟味されたものになるかと。

まあ、その辺はまた試合が近くなってから、考えればいいんですが、ちょっとマドリッド勢のクラブの様子も見ておくと。2018年W杯優勝時には呼ばれていなかったフランス代表で念願の初タイトルを獲得して、意気揚々とベンゼマが戻って来たマドリーでは、マルセロ、イスコ、メンディらが負傷から、すでに回復してチームに合流。週末のアスレティック戦は延期されたため、次は来週火曜のCLシャフタール戦になりますが、アザール、そしてparon(パロン/リーガの停止期間)直前のエスパニョール戦で左足を痛めながら、フランスU21代表に行ったカマビンガは試合に出ずに戻って来たため、出場は微妙かと。歯の痛みでブラジル代表を早退したカセミロは大丈夫なようですが、この日曜にはゴルフのスペインオープンを観戦に行っていたベイルにもそろそろ復帰してほしいところですよね。

一方、アトレティコはあまりネーションズリーグでは目立つシーンがなかったものの、ベンゼマ、エムバペの2弾頭をトップ下として支えたグリーズマンが自信をつけてきたのが朗報で、いや、ま、コケは可哀そうでしたけどね。ウルグアイ代表からヒメネスが太もものケガで帰還したのは、こちらも初戦となるCLリバプール戦ではサビッチがまだ出場停止処分中のため、シメオネ監督のお気に入り、CB3人制に支障が出そうですが、ここはエルモーソとフェリペに頑張ってもらうしかないかと。今回の代表戦にはレマルとジョアン・フェリックスは呼ばれていないため、2人が体力十分で挑めるのも良かったですし、あとは木曜にW杯予選3試合目をこなさないといけないルイス・スアレス(ウルグアイ)、コレア、デ・パウル(アルゼンチン)らが無事に帰還してくれることを待つばかりかと。

そして日曜にリーガ戦のある弟分たちはラージョがエルチェ戦。月曜にドイツに0-4のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったGKディミトリエフスキ(マケドニア)が落ち込んでいないかも心配ですが、やはり一番の懸念はファルカオ(コロンビア)の到着が間に合うかどうか。2期目は成功しなかったミチェル監督から、3期目となるキケ・サンチェス・フローレス監督に代わって、今季初勝利を目指すヘタフェは、こちらもパコ・ロペス監督を解任し、河南嵩山龍門からハビエル・ペレイラ監督を迎えるレバンテと対戦しますが、何せ選手たちは同じですからね。この2週間で負傷者が減って、気分的に上向いてくれていることを期待しています。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


関連ニュース
thumb

いきなりヒマになった…/原ゆみこのマドリッド

「今の時期にparon(パロン/リーガの停止期間)があるなんてね」そんな風に私が愚痴っていたのは火曜日、この週末にはリーガ2部の試合しかなく、マドリッドの1部チームたちは9日から14日間もの中休みに入ることに気がついた時のことでした。いやあ、昨今は過密日程に文句を言う選手も増えていることですし、年明け早々、リーガやコパ・デル・レイ、更にはスペイン・スーパーカップまで、ずっと週2試合が続いていたチームにとっては有難いと思うんですけどね。といっても休養できるのは今回、試合のないヨーロッパの国々の代表選手だけ。コロナ禍により、W杯予選が終わっていない中南米の代表に招集された選手たちはいつものように、綱渡りの旅程でクラブの試合に間に合うよう、帰って来ないといけないって、かなり不公平では? おまけにその中でもすでに本大会出場が決定しているブラジルに呼ばれているビニシウス、カセミロ、ミリトン、ロドリゴ(レアル・マドリー)、クーニャ(アトティコ)、同アルゼンチンのコレア、デ・パウル(アトレティコ)などはどちらかと言えば、気楽な方で、いえまあ、2月2日のパラグアイ戦終了直後、3日のコパ・デル・レイ準々決勝アスレティック戦のため、マドリー勢はチャーター便で駆けつけないといけなかったりするんですけどね。同じ2日に2試合目のベネズエラ戦があるウルグアイなんて、予選グループ7位とW杯出場が危うくなっているため、必死度も高いんですが、バルベルデ(マドリー)以外、ミッドウィークにコパの試合はなし。 ええ、タバレス監督解任の後を引き継いだディエゴ・アロンソ監督にルイス・スアレスとヒメネスのみならず、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガまで徴用されてしまったアトレティコはリーガ戦が6日ですし、アランバリ、ダミアンが参加するヘタフェも金曜試合とはいえ、定期便で帰って来る余裕はありますからね。一番気の毒なのは2日にコパ準々決勝マジョルカ戦がありながら、同日にはW杯出場圏内の4位死守を懸けて、アルゼンチン戦に挑むラージョのファルカオだったりするんじゃないかと思いますが…片や、1日に日本でサウジアラビア戦がある久保建英選手がエスタディオ・バンジェカスでの試合に間に合うのかも、ちょっと気になるところです。 まあ、その辺は日付が近くなってから、また話すことにして、今は先週末のマドリッド勢がどうだったか、伝えていくことにすると。この22節、土曜試合だったのはアトレティコだけで、サウジアラビアでのスペイン・スーパーカップ準決勝でアスレティックに敗れ、サン・セバスティアン(スペイン北部)でのコパ16強対決でもレアル・ソシエダに負けるという悲しい行脚を終えた彼らは2週間ぶりにワンダ・メトロポリターノに帰還。それでもシメオネ監督の呼びかけに応え、スタンドのファンはキックオフ前から、いつものように盛り上げていたんですが、とにかく肝心の選手たちのリアクションがなくてねえ。 ええ、前半25分にはバレンシアのカウンターを喰らい、右サイドを上がるゲデスを全員で追いかけたものだから、左側がガラ空きに。クロスを受けたムサーに対するのはベルサイコ1人だけだったとなれば、あっさり先制点を奪われてしまっても仕方なかった?すぐに始まった「Echale huevos/エチャレ・ウエボス(根性見せろ)」のカンティコも選手たちの目を覚ますことはできず、輪をかけてシュールだったのは44分。エルモーソが自陣エリア前から、クリアボールをラト目掛けて蹴ったかと思えば、そのスルーパスがアトレティコの選手が何人もいる間を通り抜け、ウーゴ・ドゥーロに2点目を決められているって、もしや今季のアトレティコはもう1つもゴールが入らず、1勝もできないのではという私の予感は正しかった? おかげでハーフタイム中には、シーズン前半戦でのメスタジャでも後半ロスタイムにドゥーロに2ゴールを入れられ、1-3が3-3の引分けで終わった過ちから、全然学んでないじゃないかと頭を抱えていたものですが、どうやら、その時にはアトレティコのロッカールームでシメオネ監督の訓示があったよう。ええ、「Hablamos de que hay muchas maneras de perder, pero si perdiamos fuera con valentía/アブラモス・デ・ケ・アイ・ムーチャス・マネラス・デ・ペルデル、ペロ・シー・ペルディアモス・フエラ・コン・バンレティア(負け方は沢山あるが、もし負けるのなら、勇気を持って負けよう)」と本人も後で言っていたんですけどね。 何より、アトレティコファンの心の広さに感心したのは、「Sabíamos que la gente no nos iba a fallar/サビアモス・ケ・ラ・ヘンテ・ノー・ノス・イバ・ア・ファジャール(人々が我々を失望させないのは知っていた)。他のスタジアムならどこでも批判されていただろう」(シメオネ監督)という言葉通り、後半のピッチに選手たちが現れた時もスタンドからは一切、pito(ピト/ブーイング)が聞こえなかったこと。ただ、さすがにまだ0-2のままだった12分、ジョアン・フェリックスとレマルが交代。FWクーニャはともかく、何故かCBフェリペが入った時には、「敵エリア内でプレーする選手が欲しくてクーニャ。Y un central para parar las contras/イ・エン・セントラル・パラ・ラス・コントラス(そしてカウンターを止めるためのCB)」という監督の深淵な意図がわからず、場内が騒然となるなんてこともありましたっけ。 その後もベルサイコがエレーラに代わったりして、後でヒメネスなど、頻繁にポジションチェンジしても選手たち自身はちゃんと理解してやっていると、記者の失礼な質問に答えていたんですけどね。正直、私も何がなんだかわからなくなっていたものの、結果から察するに、どうやら鍵は右のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)でスタートしたカラスコが得意の左サイドに移ったことにあったよう。19分には彼のCKをクーニャがゴール前から流し込んで、1点差に迫ると、そこからまた一段、ギアを挙げた彼らは45分、今度はカラスコが左から入れたラストパスにルイス・スアレスは間に合わず。GKドメネクに弾かれてしまったものの、ハーフタイム明けからピッチに入っていたコレアが同点ゴールを入れてしまったから、ビックリしたの何のって。 いやあ、その夜はかなり寒かったため、2-2になったところで満足して、ワンダを出てしまったファンも結構、いたんですけどね。それだけでは飽きたらず、まさかボルダラス監督のチームがゴールキックなどを遅らせて、ずっと時間稼ぎをしていたせいでもらった7分という、長いロスタイムまで活用してしまうとは!ええ、48分にはエレーラのパスから、コレアがtaconazo/タコナソ(ヒールキック)でエリア内のクーニャに繋ぎ、反対サイドのゴール前で勝利のゴールをエルモーソが撃ち込んているって、え、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)はお隣りさんの専売特許じゃなかった? 実際、こんな奇跡を目の当たりにしたのは2019-20シーズンCL16強対決リバプール戦2ndレグ以来で、あの時は延長戦に入ってから、総合スコア2-1とされたのをマルコス・ジョレンテの2発で逆転したんですけどね。その直後、コロナ第1波によるCLやリーガの中断があったりしたため、すっかり忘れていたんですが、うーん。3-2で勝利した後、シメオネ監督もヒメネスも「En el primer tiempo se vio lo que no somos, y el segundo, lo que realmente somos nosotros/エン・エル・プリメール・テェンポー・セ・ビオ・ケ・ノー・ソモス、イ・エル・セグンド・ロ・ケ・レアルメンテ・ソモス・ノソトロス(前半はウチじゃないチームで、後半は本当のボクたちだった)」と口を揃えていたんですが、いやいや。 それが本当なら、スペイン・スーパーカップでもコパでも逆転できていたはずですから、どちらもアトレティコの真の姿だと思いますが、何にせよ、嬉しいですよね。勝ち越しゴールが入った時など、シメオネ監督を始め、ベンチの選手たちや私服で来ていた負傷中のグリーズマンまで飛び出して、団子になって喜んでいる姿を見られたのは。そのお祝いのせいもあって、最後は11分近くまで、全力で守った彼らは終了後もピッチに残り、ファンに感謝していましたが、実はこの時、ジョアンの姿だけが見えず。1人だけ、さっさとロッカールームに帰ってしまったのはちょっと、尾を引くかもしれませんね。 え、感動的な勝利でも順位表を見ると、やはり同日、2点ビハインドから追いついて、セルタと2-2で引分けた2位セビージャとの差が勝ち点10もあるのに愕然としなかったかって?まあ、その通りで首位のマドリーなど、14差もありますからね。とりあえずは翌日、アラベスに0-1と辛勝した5位のバルサと勝ち点差1を保てたのを良しとしないと。戦犯転じて英雄となったエルモーソも「この休止期間は試合でのミスを直して、改善するのにいい」と言っていたように、6日のCL出場圏を懸けた直接対決に備えて、マハダオンダ(マドリッド近郊)で黙々と練習に励むのがいいかと。その頃にはグリーズマン、マルコス・ジョレンテ、コンドグビアらのリハビリ組も合流していそうですし、バレンシア戦ではベンチ待機だったサビッチ、火曜にコロナ陽性になってしまったGKオブラクも準備が整っているはずなので、とにかく今はいいムードを持続できるようにしてもらいたいところです。 そして翌日曜はまだ明るい時間にサンティアゴ・ベルナベウに行った私だったんですが、先週、88才の大往生をしたマドリーのレジェンド、ヘント名誉会長の追悼セレモニーは想定内だったものの、ちょっと目算が狂いました。というのもエルチェとは先週木曜、コパ16強対決の延長戦で勝利していただけでなく、その時はお休みだったベンゼマとGKクルトワが出場。おまけにマドリーのホームで相手は1度も勝ったことがなく、フランシスコ監督もコロナ陽性隔離中で帯同してないとなれば、早い時間に大差がつくんじゃないかと思ったため、後半途中には次の時間帯のラージョvsアスレティック戦に行くつもりだったから。 今思えば、前半31分、クロースがペレ・ミジャの足を蹴ったファールをスルーして、エリア内でモヒカがビニシウスに足をかけたプレーをせっかくペナルティと認めてもらいながら、ベンゼマがそのPKを大きく外してしまったのがケチの付き始めだったんでしょうか。何と41分、ケガをしたモレンテの代わりに入ったフィデルのクロスを、コパの日はネンザでいなかったエルチェのエース、ボジェにヘッドで決められてしまったから、さあ大変!更にアンチェロッティ監督のチームの不幸は続き、後半12分にはハムストリングの筋肉痛でベンゼマがヨビッチに交代する破目に。同点ゴールが入らないまま、31分にはボジェのスルーパスから、ミジャのシュートで2点目を奪われているって、これじゃ、私も席を立てませんよ。 でもそこはレモンターダ体質の本家本元、粘った甲斐はあったんです。後半序盤はアザールがエリア内で倒されたプレーをVAR(ビデオ審判)のモニターを見た主審が翻意、ペナルティ宣告を取り消されていたマドリーですが、37分にはCKのボールにミジャの腕が当たり、この試合、2度目のPKをゲット。クロアチア代表ではお馴染みながら、マドリーでは初めてとなるPKゴールをモドリッチが決めて、反撃の狼煙を上げると、ロスタイムにはビニシウスのクロスをミリトンがヘッドして、土壇場で同点に追いついてしまうのですから、侮れないじゃないですか。 といってもこちらはロスタイムが4分、そしてマルセロが退場して1人少なくなっていたコパとは違い、逆境が少なかったのも悪かったんですかね。残念ながら、あと1点は奪えず、2-2の引分けで終わってしまいましたが、大丈夫。2位セビージャとの差は勝ち点4のままですし、3位のベティス以下は2桁差となれば、全然、余裕ですって。ベンゼマも軽傷だったようで、コパ準々決勝には間に合いそうですしね。あとは南米代表勢が無事に戻って来てくれれば、その頃にはアセンシオやバジェホもケガが治っているんじゃないかと思いますし、週明けにコロナ陰性となったカルバハルも調整する時間が十分あるため、マドリーには十分、明るい未来を期待していいかと。 ちなみに試合の結末を見届けてから、大急ぎでエスタディオ・バジェカスに移動した私だったんですが、ベルナベウ周辺が試合の時間は車両通行止めとなるのを失念。なかなかタクシーの通る道まで出られず、着いた時はすでに前半25分程が経過していることに。おまけにまさか、スタンドに出る直前だった前半34分、ラウール・ガルシアのクロスをシセがヘッドでクリアしたボールが初先発の18才、ニコ・セラーノの足元に落ち、先制点を決められてしまうとはまったくもって、ツイていません。うーん、スペイン・スーパーカップで決勝まで進出、先週のコパ16強対決も延長戦の激闘で疲れ果て、バルサを敗退に追い込むPKゴールを挙げたムニアインもコロナ陽性で来ていなかったアスレティックをとりわけ後半、ラージョは攻めまくったんですけどね。 その日はどうやら、ゴールが遠い日だったか、シュート29本(うち枠内3本)の猛攻も実らず、最後は0-1で終わってしまいましたが、まあ、仕方ないですよ。大体がして、2部から戻って来たばかりの今季ながら、1月までホームでの敗戦がなかっただけでも偉業だったとはい、久々に負け試合を見たラージョファンはちょっと困惑していたかも。順位も少し落ちて、8位になってしまいましたが、残留達成にはあと3勝で足りますし、次のコパ準々決勝のマジョルカ戦で頑張ってくれれば、皆、満足してくれますって。 そうそう、丁度、同時刻開催でレアル・ソシエダと戦っていたもう1つの弟分、ヘタフェはレアル・アレナで最後まで無失点をキープし、スコアレスドローで貴重な勝ち点1をゲット。こちらは前線レギュラーのエネス・ウナルとサンドロが揃って出場停止、前節のグラナダ戦でゴールデビューをしたボルハ・マジョラル(ローマからレンタル移籍)も得点できなかったんですが、その試合でポカとやって、コロンビア人のルイス・スアレスにゴールを献上していたGKダビド・ソリアが汚名返上の活躍をしてくれたよう。 キケ・サンチェス・フローレス監督になって持ち直したとはいえ、いまだに彼らはアウェーゲームでの白星がないんですが、もう降格圏とは勝ち点差が4もあるせいですかね。「Ganando en casa el 80 % de los partidos, podemos conseguir e l objetivo/ガナンドー・エン・カサ・エル・オチェンタ・ポル・シエントー・デ・ロス・パルティードス、ポデモス・コンセギール・エル・オブヘティーボ(ホームで80%の試合に勝てば、目標を達成できる)」(ソリア)というのも事実ですし、先週はコパで兄貴分がコロッと負けていた相手に一歩も引かなかったというだけで、十分、褒めてあげるに値しますよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.26 19:00 Wed
twitterfacebook
thumb

他が好調なだけに尚更、不憫に思える…/原ゆみこのマドリッド

「これならもう、どうやって見るかの心配はしなくていいわね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせが決まった時のことでした。いやあ、今季も昨季同様、コパのTV中継はメディアセットによるオープンチャンネル放送が毎ラウンド2試合、残りはDAZNによるインターネット配信だったんですけどね。先週の土曜、マドリッドの弟分ラージョの16強対決ミランデス(2部)戦が見たいと思い、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)を訪れたところ、後者はバルのTVで見られないことが判明して、ショックを受けることに。 よくよく考えてみると、昨季はアトレティコとヘタフェが2回戦で敗退、レアル・マドリーも32強対決で敗退。ラージョこそ、16強対決まで進んだものの、当時、2部だった彼らはバルサをホームに迎え、0-2で負けるのを私もスタジアムで見れたため、特に観戦方法に困ることもなく、家のTVで映る試合だけを何となく流していたんですけどね。この水曜のレアル・ソシエダvsアトレティコ戦だけは仕方なく、DAZNを1カ月だけ契約して見ることにしたんですが、何なんですかね。その試合は無事、観戦できたものの、自分のアカウントが日本のDAZNに登録されていたせいで、翌日のエルチェvsマドリー戦前にログインができず。 DAZNスペインに文句を言って、何とか、9.99ユーロ(約1300円)の視聴料は返してもらえたため、別にいいんですが、新たにアカウントを作らないと利用できないと言われ、面倒臭がっている間に木曜日が終わってしまうことに。翌日には準々決勝の抽選があり、アスレティックvsマドリーはオープン放送、ラージョはマジョルカとのホームゲーム、準決勝、決勝はもう全部、普通に家のTVで見られるとなれば、わざわざお金を払う必要もないんですが、果たしてマドリッド勢がそこまで生き残ることができるのかどうか。 というのも準々決勝の日付が丁度、中南米で開催されるW杯予選2試合とかぶっていて、いえ、エスタディオ・バジェカスで今季、圧倒的な強さを誇る弟分の方は2月2日のマジョルカ戦、コロンビア代表のファルカオが欠けるぐらいで済むんですけどね。3日にプレーするマドリーなど、ビニシウス、ロドリゴ、カセミロ、ミリトン(ブラジル)、バルベルデ(ウルグアイ)を戻って来られず、基本的にバスク地方出身選手からなるアスレティックは全然、影響を受けないって、ちょっと不公平ではない? もちろん、先日はサウジアラビアでのスペイン・スーパーカップ決勝でも0-2で彼らを下したスーパー王者は12月のリーガ戦でも2勝と、アスレティックをお得意様にしている感もなくはないんですけどね。ただ、相手は木曜の16強対決で雨の中、サン・マメスのサポーターの応援を得て、これまで何度もコパ決勝で痛い目に遭わされてきたバルサを3-2で撃破。それも後半41分にイニゴ・マルティネスのゴールで一旦は勝利を掴みながら、ロスタイムにペドリに決められて、まさかの延長戦へ。最後はムニアインのPKゴールでとうとう、リベンジを果たしたとなれば、準々決勝もビルバオ(スペイン北部、アスレティックのホームタウン)での開催ですし、マドリーも決して油断はできないかと。 まあ、その辺はまた、準々決勝が近づいたら話すことにして、今週ミッドウィークの試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。いやあ、先にコパ16強対決をプレーしたのはアトレティコだったんですが、これがレアル・アレナにチームバスが着く前から大騒ぎでねえ。周辺に集結したレアル・ソシエダの過激なサポーターたちが石などを投げつけてきたため、バックミラーや窓が割られ、シメオネ監督など、席を立って猛抗議。選手たちもかなり怖かったんじゃないかと思いますが、だからって、あんな情けない試合をされても困っちゃいますよ。 そう、スペイン・スーパーカップ準決勝アスレティック戦で退場したヒメネス、リハビリ終了間際のサビッチを欠いた守備陣がまたしてもすかすかで、いえ、エルストンド、ヤヌザイ、オジャルサバルらの序盤のシュートは枠を外れてくれたため、難を逃れることができたんですけどね。この日もルイス・スアレスをベンチに置いて、ジョアン・フェリックスとコレアでスタートした攻撃陣も前半15分、カラスコがゴール右前からシュートを撃ったものの、ポストに当たってしまい、先制点はならず。そうこうするうち、33分にはサルドゥアが右サイドから上げたクロスをヤヌザイにヘッドで決められ、それもフェリペ、ベルサイコ、コレアが当人を囲んでいながら、クリアできなかったとなれば、もう手の施しようがない? 1-0とリードされて始まった後半は心を入れ替えてくれるかと期待したものの、2分もしないうち、今度はフェリペが自陣エリア前でオジャルサバルにボールを奪われている始末。パスを受けたセルロートのシュートで2点目を奪われた瞬間には正直、辛抱強いGKオブラクもこの冬の市場で移籍希望を出すんじゃないかという恐れが頭をよぎったぐらいでしたけどね。とはいえ、責任は反撃のため、10分にコレア、コケ、ロディに代わって入ったスアレス、クーニャ、レマルにもあって、とにかく点が取れないんですから、救えませんって。 この時点でベンチに残っていたのは控えGKルコント以外、カンテラーノ(アトレティコB)のヘルプ組5人だけとなり、最後に投入されたカルロス・マルティンとセラーノは一生懸命プレーしていたんですが、やはりRFEF3部(実質5部)の選手に奇跡は望めず。そのまま2-0で負け、スペイン・スーパーカップに続き、今季2つ目のタイトル獲得のチャンスをフイにしてしまうことに。うーん、それでもシメオネ監督は「Las oportunidades están, tenemos la Liga y la Champions/ラス・オポルトゥニダーデス・エスタン、テネモス・ラ・リーガ・イ・ラ・チャンピオンズ(チャンスはある。ウチにはまだリーガとCLがあるんだから)」と言っていましたけどね。 現在、首位と勝ち点差16のリーガはCL出場権のもらえる4位で終われれば恩の字と言ったところですし、CLだって、16強対決の相手は天下のマンチェスター・ユナイテッド。あまり楽しいシーズン残りが待っている気はしませんが、まずは土曜午後9時(日本時間翌午前5時)、ワンダ・メトロポリターノでプレーするリーガのバレンシア戦で彼らがやる気を見せることが大事かと。ええ、今季はどんなにスタンドのファンが応援で盛り上げようと、なかなか勝てないアトレティコだけに、いくらシメオネ監督から、「Pido a la gente que esté con el equipo/ピド・ア・ラ・ヘンテ・ケ・エステ・コン・エル・エキポ(人々にはチームと共にいてくれることを頼む)」と言われても、それこそ選手たちの行動が伴ってくれないことにはねえ。 一応、この試合ではヒメネス、そしてとうとうサビッチも復帰となりますが、グリーズマン、マルコス・ジョレンテ、コンドグビアはまだリハビリ中。相手のバレンシアも同じ水曜にはリーガ戦でセビージャと1-1で引分け、現在9位と一向に目標のヨーロッパの大会出場圏に届かないばかりか、ヴァスはまさにアトレテォコから、トリッピアー(ニューキャッスルに移籍)の後継としてのオファーを受け、クラブと交渉中だったり、体重1キロオーバーでベンチ外にされたマキシ・ゴメスも移籍希望だったりと、イロイロあるようですけどね。アトレティコ・バレアレス(RFEF1部/実質3部)とのコパ16強対決を突破した彼らには、まだベティスとの準々決勝があるのは羨ましい限りです。 そして木曜はコリセウム・アルフォンソ・ペレスにグラナダを迎えるヘタフェのリーガ戦を見に行った私でしたが、まさか知らないうちに弟分がこんなにも眩しく成長していたとは!そう、前半9分にサンドロのゴールで奪った先制点は12分、古巣への帰還となったホルヘ・モリーナから、コロンビア人FWのルイス・スアレスにラストパスを送られて、イーブンにされてしまったんですが、後半のヘタフェは流れるようなプレーで相手を圧倒。再開早々の2分にはウナルが2度撃ちして勝ち越し点を奪うと、17分には何と、GKマキシミリアーノがオリベイラのシュートを弾いたところ、フリーだったマクシモビッシの前へ。とりわけミチェル監督下で白星が1つもなかったシーズン当初、何度シュートしても決まらなかったMFに今季初得点が生まれたとなれば、こんなに嬉しいことはない? ただ、33分にはGKダビド・ソリアがゴールキックをスアレスに当て、1点を返されてしまったヘタフェだったんですけどね。でも、大丈夫、選手登録の間に合ったボルハ・マジョラル(ローマからレンタル移籍)がデビューするなり、4点目を挙げてくれたとなれば、たとえ、日曜のレアル・ソシエダ戦でサンドロとウナルが出場停止でも、ゴールが不足することはないかと。そのまま4-2で勝利した彼らは16位に上昇、降格圏とも勝ち点4差と余裕ができたんですが、それにつけても適確な補強ができているのは、どこぞの兄貴分チームにも見習ってもらいたいところ。もちろん、それはヘタフェと同時刻、マルティネス・バレロでコパ16強対決のエルチェ戦をプレーしていたマドリーではなくって…。 いえ、ハラハラはさせられたんですよ。というのもコリセウムのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継を聞きながら、いつgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)の報が始まるかと身構えていた私ですが、驚いたことに目の前の試合が終わり、ホルヘ・モリーナがヘタフェファンに拍手で送られてピッチを去った後にも得点知らせは届かず。0-0のまま延長戦に入り、プレスルームで監督記者会見を待っている間、「Gooool!」の絶叫でこれはと思いきや、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設のグラウンドでやっていた女子スペイン・スーパーカップ準決勝レバンテ戦でアトレティコが挙げたゴールだったりと、このままではPK戦入りも覚悟しないといけなかったんですが、まさか延長戦前半12分、マルセロがモレンテへのファールでレッド退場させられてしまうとは! おまけにそのFKでベルドゥが蹴ったボールがマドリーの壁で跳ね返り、再度、彼がシュートしたところ、セバージョスに当たって、GKルニンを破ってしまったから、さあ大変!うーん、この日はベンゼマがお留守番、先発したヨビッチも後半34分にはイスコに代わり、CFなしで戦っていた彼らでしたからね。おまけに1人少ないのではとても追いつけるようには思えませんでしたが、その絶対的不利状態がマドリーのDNAに刻み込まれた、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を発動させることになるんですから、ビックリしたの何のって。 ええ、延長戦ハーフタイムが終わって後半3分、せっかく最後の切り札として、アザールと共にピッチに入りながら、敵の得点に協力してしまったセバージョスが放ったシュートをエリア内でイスコがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)。これが同点ゴールとなったばかりでなく、10分には飛び出してきた敵GKをかわし、アザールが勝ち越し点を挙げてくれたんですよ。これには試合前、「el entrenador, que soy yo, tiene que elegir a los mejores para cada partido/エル・エントレナドール、ケ・ソイ・ジョ、ティエネ・ケ・エレヒル・ア・ロス・メホーレス・パラ・カーダ・パルティードー(監督は、それは私だが、毎試合、一番いい選手たちを選ばないといけない)」と、このところアザールに出番がないのは、いかにも彼の力が劣るからと言わんばかりだったアンチェロッティ監督も考えを改めることになったよう。 1-2でエルチェに逆転勝利、準々決勝の切符を手に入れた後には、「イスコとアザールで試合に勝ったのには意味がある。Puede que debieran jugar más/プエデ・ケ・デビエラン・フガール・マス(もっとプレーさせるべきだったのかもしれない)」と反省していましたが、それではようやく背筋痛が癒えて、ベンチに入りながら、出番のなかったベイルの立場がない?何にしろ、この日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのリーガ、今度はサンティアゴ・ベルナベウでエルチェとまみえる試合ではベンゼマも戻りますし、コパを体調不良で欠場したGKクルトワも治りましたからね。 延長戦の疲労も、せっかく虎の子の1点を奪いながら、体力的限界もあって、残り時間、ボールをキープできなかったエルチェの方が高そうですし、このミッドウィークに同じ試合数となって、勝ち点4差に詰めてきた2位セビージャとの距離を更に縮められることはなさそうですが、さて。気になるのは残り3分まで延長戦をプレーしたビニシウスの回復具合ぐらいとなりますが、コパの方では退場したマルセロに3試合の出場停止処分という悪いニュースも。いえまあ、リーガの左SBはメンディが務めますし、この週末の後、リーガはヨーロッパ各国の代表戦はないものの、南米勢に配慮してのparon(パロン/停止期間)入り。 同じ日曜、スペイン・スーパーカップ、コパと連戦続きでヘトヘトのアスレティックをホームに迎えるラージョも含め、来週末、1部のチームには試合がないため、大半の選手たちが2月のコパ準々決勝までゆっくりできるのはこの過密日程すぎるシーズン、とても有難いんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.22 22:30 Sat
twitterfacebook
thumb

もうちょっと日程を整頓してほしい…/原ゆみこのマドリッド

「何だかややこしいことになってるのね」そんな風に私が眉をしかめていたのは火曜日、今週のミッドウィークはコパ・デル・レイ16強対決の残り試合だけと思いきや、並行してリーガ21節のカードが開催されているのに気がついた時のことでした。いやあ、元々、この節はアスレティクvsレアル・マドリー戦が2021年最後の試合として先行開催。ふと見れば、エルチェvsビジャレアル戦もこっそり、スペイン・スーパーカップ決勝のある日曜のお昼にプレーしていたりしたんですけどね。更に込み入ってしまったのは、スペイン・スーパーカップ参加4チームもコパをこなさないといけないため、この火水木には21節の残り5カードしかできず、あと3試合は後日開催になったという次第ですが、これって、また順位がわかりにくくなるのでは? それどころか、先週末の土曜のアンダルシア・コパダービーでは、パプのゴールでセビージャに先制されたベティスがフェキルのgol olimpico/ゴール・オリンピコ(CKが直接入るゴールのこと)で追いついた直後、ベニト・ビジャマリンのスタンドから、プラスティック製の旗竿のようなものが飛んできて、ジョルダンの頭を直撃。幸い、大したケガではなかったんですが、プレー続行不可能ということで、前半39分で中断されることに。実はこのカード、2007年にもコパ準々決勝2ndレグでベティスファンの投げたペットボトルがセビージャのファンデ・ラモス監督の頭に当たり、当人は担架で搬送。中断された残りの部分を数日後、無観客のコリセウム・アルフォンソ・ペレスでプレーするのを私も見ることができたため、もしや今回もとちょっと期待したものの、いやいや。 というのも火曜にベティスはアラベス戦、セビージャも水曜にバレンシア戦とリーガ21節がすでに組まれていたためで、もう翌日の夕方にはベニト・ビジャマリンで再開していたんですよ。うーん、いくら最後はカナレスのゴールでベティスが2-1で勝ち上がったとはいえ、コロナ流行下のキャパ制限75%の席がすべて埋まった前夜と打って変わって、その日のスタジアムは無観客。これでは宿命のライバルを破っての準々決勝進出も喜び半減だったんじゃないかと思いますが、まあそれはそれ。同日中に異なる3大会の試合があったため、私も気が散ってしまいましたが、まずは日曜の夜に行われたスペイン・スーパーカップ決勝がどうだったか、お話ししていくことにしましょうか。 先週水曜のスーパーカップ準決勝、延長戦で決着がついたクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)の後、カルバハルがコロナ陽性に、アセンシオも負傷してしまったレアル・マドリーはスタメンをそれぞれ、ルーカス・バスケス、ロドリゴに、ケガから回復したアラバがナチョに代わるという布陣でスタートしたんですが、この日はプレースタイルも変更。引いて自陣で必殺カウンターのチャンスを待つのではなく、ええ、あとでアンチェロッティ監督も「Para mí hoy, demasiada posesión/パラ・ミー・オイ、デマシアドー・ポセシオン(私にしてみれば、ポゼッションが高すぎた)」とジョークを言っていたくらいなんですけどね。 普通にボールを持って、木曜の準決勝アトレティコ戦と同じスタメンを並べたアスレティックにほとんどチャンスを与えなかったんですが、ようやく先制点が入ったのは前半38分になってからのこと。今季、マドリー入団4年目で開花したビニシウスに1年遅れているせいか、まだ右サイドのアタッカーのポジションを完全に自分のものにしたとは言えないロドリゴが、この時はいい判断をしました。ええ、敵エリア内右から折り返したところ、今月9日に21才になったばかりのブラジル人FWのパスを15才年上の大先輩、モドリッチがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)に変えてしまったから、ビックリしたの何のって。 おかげで0-1とマドリーがリードして、後半に入ることができたんですが、追加点はそう時間がかかりません。今度はベンゼマのシュートがエリア内でジェライの腕に当たり、VAR(ビデオ審判)のモニターを見た主審がPKを宣告、ベンゼマがしっかり決めて、6分にはリードが2点になったため、何せ、マドリーはお隣りさんのようにマヌケな守備ミスはしませんからね。途中出場したラウール・ガルシアの2度のヘッドもGKクルトワを破るには至らず、そのまますんなり勝てるんじゃないかと思いきや、43分に遅ればせながら、見せ場がやって来るとは! そう、今度はラウール・ガルシアのヘッドにミリトンの手がゴール前で当たったとして、こちらもVARチェックの後、PKが与えられることに。おまけにそのミリトンがレッドカードで退場になってしまったため、ここで1点差に迫られたら、ロスタイムにアスレティックが意地を見せて、2試合連続延長戦もありうるかもと、私も憂鬱になったもんでしたが…大丈夫。「En el penalty dudaba entre la derecha o el medio, deje el pie/エン・エルペナルティ・ドゥダバ・エントレ・ラ・デレッチャ・オ・エル・メディオ、デヘ・エル・ピエ(PKでは右側か、真ん中か迷って、足を残したんだ)」というクルトワが、ラウール・ガルシアの蹴ったボールを左足で弾いて失点を回避してくれるんですから、まったく有難いじゃないですか。 おかげで10人になりながらも、マドリーはそのまま0-2で勝利。ファイナルフォー形式となって初めてだった2020年にPK戦でアトレティコを破って優勝してから、2年ぶりにスペイン・スーパーカップ王者として返り咲くことに。いやあ、アンチェロッティ監督も「No tenemos una sola manera, esa es la fuerza/ノー・テネモス・ウナ・ソラ・マネラ、エサ・エス・ラ・フエルサ(ウチのプレースタイルは1つだけではない。それが強さだ)」と言っていたように、今季の彼らはカウンターサッカーもポゼッションサッカーも自由自在。となれば、リーガで首位を独走しているのも当然ですが、中でも36才になっても衰えないモドリッチにはただただ、感心するばかりかと。 ええ、ペレス会長からも「Modric está en un estado de forma envidiable, digno de volver a ganar el Balón de Oro/モドリッチ・エスサ・エン・ウン・エスアードー・デ・フォルマ・エンビディアブレ、ディグノー・デ・ボルベル・ア・ガナール・エル・バロン・デ・オロ(モドリッチは羨むばかりのいい状態で、再びバロンドールを獲るのにふさわしい)」と称賛されていましたしね。懸念は昨季、1年延長した彼の契約がこの6月で終わってしまうことだけだったんですが、それに関しては、当人が決勝のMVP受賞記者会見でコメント。 ええ、「これまで交渉に2分とかかったことがなかったし、契約延長の合意はできるだろう。Se sabe mi deseo y seguro que el club también quiere esto/セ・サベ・ミ・デセオ・イ・セグロ・ケ・エル・クルブ・タンビエン・キエレ・エスト(皆、ボクの望みは知っているし、クラブもきっとそれを望んでいるはずだから)」というのを聞けば、マドリーファンも安心できたかと。同じく今季で契約が切れ、退団見込みとなっているせいでのアンチェロッティ監督の心遣いか、キャプテンとしてトロフィーを掲げるため、終盤にピッチに入ったマルセロとは違い、コロナ禍が収まれば、来季こそ、サンティアゴ・ベルナベウにモドリッチの勇姿を見に行こうと計画している日本のファンにも、これで希望が出てきましたよね。 そして翌朝にはマドリッドに戻ったチームは火曜から、1日遅れでスペイン・スーパーカップ主催のサッカー協会のコロナ陽性者たちと一緒のチャーター機で着いたカルバハルはまだ自宅隔離ですが、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でコパ16強対決エルチェ戦に向けての準備をスタート。折しもその日の未明、クラブの名誉会長、リーガ12回、CL6回のマドリーで最多優勝記録を持つ、レジェンドでもあるパコ・ヘント氏が88才で亡くなるという訃報があったため、選手たちの情報は少なかったんですが、背筋痛でサウジアラビアに行かずにお留守番をしていたベイルは回復したよう。 欠場確実なのはアスレティックとの決勝前に負傷したアセンシオ、同様にリアドでの練習でケガをしたバジェホ、そしてマリアーノとなりますが、何せ相手のエルチェはビジャレアル戦ではボジェのゴールで勝利したとはいえ、まだまだ15位とリーガでは下の方にいるチームですからね。ここはスペイン・スーパーカップでまったく出番のなかったアザールやヨビッチらを起用しても良さそうですが、この木曜午後7時(日本時間翌午前3時)から、マルティネス・バレロでキックオフするコパの後、週末日曜のリーガでもマドリーはサンティアゴ・ベルナベウで22節のエルチェ戦というのは、何とも奇遇。エスクリバ監督から、フランシスコ監督になって、残留達成への光明が見えてきた相手も週3試合の過密日程は辛いかもしれませんね。 え、その木曜午後7時からは弟分のヘタフェもコリセウムで試合があるんだろうって?いやあ、その通りなんですが、こちらはリーガ21節のグラナダ戦で、何せ、コパ2回戦敗退組の彼らは先週末には試合がなく、もっぱら戦力補強に集中していましたからね。ええ、先週にはボリハ・マジョラルとゴンサロ・ビジャルがローマからレンタル移籍したのに続き、この月曜にもセビージャから、同様にレンタルでオスカル・ロドリゲスを獲得。こちらは2018年から2020年の2シーズン、2部に落ちるまで、お隣さんのレガネスに兄貴分のマドリーから出向していた選手なので、マドリッドのサッカーファンには彼の呆気に取られるような直接FKゴールの数々を覚えている向きも多いかと。 ただ、まだ放出選手がいないため、木曜までにリーガに登録できるかは微妙なんですが、今のヘタフェは17位で、降格圏との差はたった勝ち点1だけ。キケ・サンチェス・フローレス監督にしてもできるだけ早く、新戦力を活用したいところでしょうが、トップチーム所属選手が規定の25人枠一杯いると、その辺の調整が難しいんですよね。 そして逆にトリッピアーのニューキャッスル移籍の後、とうとうトップチーム総勢20人になってしまったアトレティコはというと。いやあ、これがスペイン・スーパーカップ準決勝でアスレティックに逆転負けしてすぐ、金曜にはマドリッドに戻っていたんですが、一向に補強が進まなくてねえ。水曜午後9時(日本時間翌午前5時)にコパ16強対決のレアル・ソシエダ戦があるため、私も前日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に偵察に行ってきたんですが、そのキング・ファハドスタジアムでの試合で揃って左のハムストリングを痛めたマルコス・ジョレテンテとコンドグビアはもちろん、グリーズマンもまだリハビリ中。ようやくチーム練習に復帰してきたサビッチを含めても、フィールドプレーヤーが15人しかいないんですから、何とも淋しいじゃないですか。 アスレティック戦後半ロスタイムに退場したヒメネスも出られないとあって、前日夜にサン・セバスティアン(スペイン北部のビーチリゾートタウン、レアル・ソシエダのホーム)に移動したチームには、カンテラーノ(アトレティコBの選手)のヘルプが5人も入っていたんですが、彼らはRFEF3部(実質5部)所属。平たく言えば、EFEF1部(同3部)でプレーする、シャビ・アロンソ監督率いるレアル・ソシエダBの選手たちより、ランクが劣りますからねえ。頻繁にイマノル監督が徴用しているレアル・ソシエダや、若手満載のバルサ(こちらもBチームはRFEF1部)のように当てにできないのは仕方ないんですが、ここに来て、いよいよリーガ4位のCL出場権死守に専念する腹を決めたシメオネ監督が、コパを捨てるかもしれないという疑惑も聞こえだしたから、さあ大変。 いえ、彼自身は前日記者会見で、「Creo en mi equipo y no tengo dudas de que va a responder bien/コレオ・エン・ミ・エキポ・イ・ノー・テンゴ・ドゥーダス・デ・ケ・バ・ア・レスポンデル・ビエン(私のチームを信じているし、応えてくれることに疑いはない)」と言っていたんですけどね。今季は同じ過ちを繰り返してばかりの選手たちを見ていると、イマノル監督の「偉大なアトレティコにお目にかかるのは間違いないから、tendremos que hacer un partidazo para poder pasar/テンドレモス・ケ・アセール・ウン・パルティダソ・パラ・ポデール・パサール(勝ち抜けるのにウチはビッグな試合をしないといけない)」という言葉も体のいいお世辞に聞こえてしまう?ちなみにその火曜のセッションでは、私が敷地の裏に回って、目隠し越しに様子を伺っていた時間もセットプレー守備の練習はしていませんでしたっけ。 そして最後にこのミッドウィークは21節のバルサ戦が延期となったため、試合のないラージョなんですが、何せ、彼らは先週末の土曜にコパ16強対決でジローナ(2部)にセルジ・グアルディオラの2発で1-2と逆転勝利。マジョルカ、カディス、バレンシア、ベティスと並んで、すでに準々決勝の切符を勝ち取っていますからね。今は金曜の抽選会を待ちつつ、前節はベティスと1-1で分け、ホーム連勝を途切れさせてしまったのを反省。日曜に再び、エスタディオ・バジェカスにアスレティックを迎える試合に備えているところですが、相手がスペイン・スーパーカップ決勝のマドリー戦から、木曜はコパのバルサ戦と息もつく暇もないのは、7位の彼らにとって、EL出場圏に復帰する、いいチャンスになるんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.19 20:00 Wed
twitterfacebook
thumb

スーパーダービーはなかった…/原ゆみこのマドリッド

「同じ敗退組なのにこうも明暗が分かれるとは」そんな風に私が愕然としていたのは金曜日、午前中にバラハス空港から、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に着いたアトレティコの選手たちの映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いえ、マドリッドでは明け方に気温が急激に下がったせいで、選手たちが屋外駐車場止めておいた車のフロントガラスが霜で真っ白に。各自、自分の手でコシコシ払ってからでないと、運転できなかったなんていうのは別にいいんですけどね。 何というか、1日早く、水曜のスペイン・スーパーカップ準決勝で宿命のライバルに負けたバルサについては、17才のガビを筆頭に、67日ぶりの出場でゴールを挙げた19才のアンス・ファティ、負傷とコロナ感染の逆境ダブルから回復した19才のペドリ、尚且つ、チーム練習を1回もせずに先発デビューした21才のフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)、先週金曜に手の手術をしたばかりながら、保護カバーをして120分の激闘を戦い抜いた22才のアラウホと、何人もの若手がこのスーパーカップ・クラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリー戦のこと)で善戦。おかげで世間から、チャビ監督のチームの未来は明るい的な評価をされることに。 実際のところ、リーガでは首位のマドリーと勝ち点差17でCL出場圏外の6位、サウジアラビアから帰国後の初戦、来週木曜のコパ・デル・レイ16強対決の相手も昨季のスペイン・スーパーカップ決勝でトロフィーをさらわれたアスレティックですし、2月にあるEL16強対決のプレーオフではナポリと対戦。そうそう楽観的になれるとも思えないんですけどね。ええ、同じティーンエイジャーで、もう1つの準決勝でアスレティックに勝利をもたらしたニコ・ウィリアムスが、マルセリーノ監督に「Tiene 19 años y no hay que añadirle presión. Vamos a ir paso a paso/ティエネ・ディエシヌエベ・アーニョス・イ・ノー・アイ・ケ・アニャディルレ・プレシオン。バモス・ア・イル・ア・パソ・ア・パソ(19才だから、プレッシャーを増やしちゃいけない。一歩一歩、やっていくつもりだ)」と気遣われているのを見れば、何をか言わんやですって。 世が世なら、天下のバルサの屋台骨を若い子ばかりに背負わせる訳にもいかないはずですが、何せ、アトレティコなど、移籍金1憶2700万ユーロ(約170億円)で3年前に獲得した若手ギャラクティコ、22才のジョアン・フェリックスがまたしても期待に応えられませんでしたからね。今季もう、何度繰り返したかわからないチーム全員のミスも一向に直らないとあって、昨年12月の4連敗の後、年明けの2連勝で一時、収まっていたシメオネ監督批判も再燃してきたんですが、はあ。こちらもお隣さんとは勝ち点差16のリーガ4位、来週水曜のコパ16強対決は去年4月、アスレティックを破って、2019-20シーズンのコパ王者となったレアル・ソシエダとですし、CL16強対決の相手もマンチェスター・ユナイテッドとあって、何だかお先真っ暗な気がしてきたんですが…いや、今は嘆いてないで、スペイン・スーパーカップ準決勝の2試合がどうだったか、お伝えしていかないと。 まずは水曜、リヤドのキング・ファハドスタジアムで昨季リーガ2位のマドリーとコパ優勝のバルサが激突、今季2度目のクラシコとなったんですが、先手を取ったのはアンチェロッティ監督のチームの方。ええ、相手が「Hemos jugado con muchos complejos durante 20 o 25 minutos/エモス・フガードー・コン・ムーチョ・コンプレホス・ドゥランテ・ベインテ・オ・ベインテシンコ・ミヌートス(ウチは20か25分間ぐらい、コンプレックスを沢山抱えてプレーしていた)」(チャビ監督)という前半25分には、センターでベンゼマがブスケツからボールを奪い、最後はフラメンゴから移籍して4年目、21才の今季、いよいよ開花したビニシウスがアラウホを振り切ってシュート。これが見事に先制点となったため、やはり戦前の予想通り、リーガでの差が如実に反映する展開になるのかと思いきや…。 まあ、確かに41分、デンベレのシュートをゴール前でミリトンがクリアしようとして、ルーク・デ・ヨングにボールが当たり、同点ゴールになってしまったのは運が悪かったんですけどね。バルサがフランキー・デ・ヨングと10月のネーションズリーグ・ファイナルフォーのスペイン代表で負傷して以来、プレーしていなかったフェランをペドリとアブデ(20才)に代えた後半27分には再びマドリーが得点。これも一旦はベンゼマが弾かれて、カルバハルが撃ち直したボールもGKテア・シュテーゲンの足で逸らされてしまったものの、そのボールがベンゼマの前に。もちろん、リーガピチチ(得点王)がこんなチャンスを逃す訳はなく、またしてもマドリーがリードを奪ったとなれば、もう勝負はあった? でもそうは問屋が卸さなかったんですよ。というのもやはり、年少の選手の中でも2020年からスペイン!代表に招集され、メッシ(現PSG)の背番号10を受け継いだアンス・ファティは才能が飛び抜けているんでしょうかね。負傷を繰り返している今季は8試合しか出場していないにも関わらず、4ゴールを挙げているんですが、この日も後半21分にピッチに入ると、38分にはジョルディ・アルバのクロスをヘッド。易々とGKクルトワを破ってしまったから、ビックリしたの何のって。これでスコアは2-2となり、試合は延長戦に入ることに。 でも大丈夫。この日も途中から、「Apretar arriba nos cuesta más/アプレタル・アリバ・ノス・クエスタ・マス(ウチは高い位置でプレスをかけるのに苦労する)」(アンチェロッティ監督)という理由により、自陣で敵を待ち受ける戦法に切り替えたマドリーの必殺カウンターが、延長戦前半8分にとうとう爆発したんですよ。いやもう、モウリーニョ監督下のBBC(ベンゼマ、ベイル、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)時代から、足の速い選手が多いチームは羨ましいと思っていたんですが、この時も5人程、ドドッと白のユニフォームがバルサのゴールに突進する中、敵はたったの3人。右からロドリゴが送ったラストパスを後ろにベンゼマの気配を感じ取ったビニシウスはスルーしたんですが、まさかモドリッチと交代で入っていた、やはり健脚のバルベルデが先んじてシュートしてしまうとは! この3点目のゴールで、いえ、2-3で負けたチャビ監督は試合後も「Hemos dominado al Madrid, que se ha metido atrás/エモス・ドミナードー・アル・マドリッド・ケ・セ・ア・メティードー・アトラス(ウチがマドリーを支配していたから、彼らは自陣に引きこもっていた)」と言っていましたけどね。アンチェロッティ監督は「Partido igualado/パルティードー・イグアラードー(拮抗した試合)」と反論。「El bloque bajo no es muy estético/エル・ブロケ・バホ・ノー・エス・ムイ・エスティコ(低い位置でプレーするのはあまり美的ではない)が、ウチの前線にある質の高さを楽しまないのはもったいなさすぎる」そうですが、まあ昔から、世界最高のクラブと自称する彼らがボールポゼッションを捨てて、カウンター戦法を取ると、あれこれ世間がうるさいですからね。 その辺はアンチェロッティ監督も気が引けているのかもしれませんが、合わせて38得点14アシストという、ベンゼマとビニシウスのコンビの豊作を見れば、誰も文句はつけられないかと。そこで翌木曜は、スペイン・スーパーカップ決勝ではスーパークラシコに続いて、スーパーダービーを見ることになるのかと、私も気を引き締めて、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に連日出勤したんですが、とんでもない。前日はコロナ感染予防のため、キャパ50%までの観客制限ギリギリの4万人を集めたスタジアムに6000人しか入らなかったのにもめげず、キックオフ直後、アトレティコはレマルからパスを受けたジョアンがアスレティックのエリアに切り込んでシュート。電光石火の先制点と喜んだのも束の間、あっさりオフサイドでノーゴールとなった時から、今になって思えば、ケチがついていたんでしょうか。 そこから15分程は攻めていたアトレティコもいつしか尻つぼみとなり、0-0のままだった後半開始時には臀部の負傷を三度、再発させたマルコス・ジョレンテがロディに交代。更に5分にはコンドグビアもどこかを痛め、デ・パウルに代わることになり、こうなるとスコアレスでの延長戦も覚悟しないといけないと、私も2杯目のカーニャ(グラスビール)をいつ頼むか、思案していたんですけどね。それでも17分にはレマルの蹴ったCKをジョアンがヘッド、ゴールポストに弾かれたボールがGKウナイ・シモンの背中に当たってオウンゴールになってくれたため、ちょっとは気が楽になったんですが、何せ今季のアトレティコはよく逆転されていましたからねえ。とても1点だけでは心もとないというのに、まさか、お家芸の「リードしたら一歩後退」をこの日も忠実に実行してくれるとは! 案の定、アスレティックの猛反撃に遭い、うーん、FKからのイニゴ・マルティネスのヘッドやウィリアムス兄の一撃はGKオブラクが必死にセーブしてくれたんですけどね。32分には苦手中の苦手、CKの守備がお約束のように破綻。ええ、ムニアインの上げたボールに合わせたジェライに潰されるばかりだったコケにそのヘッドを阻むことはできず、同点ゴールを決められてしまったから、さあ大変。おまけにその4分後にも再びCKを与え、今度はイニゴ・マルティネスのヘッドこそ、ダニ・ガルシアに当たって逸れたものの、エリア内に転がったボールをウィリアムス弟にフリーで撃ち込まれているって、もう一体、どうしたらいいのやら。 その後はジョアン、ルイス・スアレス、クーニャのFW3人で同点を目指したアトレティコですが、ゴールは生まれず、それどころか、ロスタイムにはヒメネスが空中キックでイニゴ・マルティネスの頭を直撃して、レッドカードで退場する始末。いやあ、1-2で敗退が決まった後、シメオネ監督も「El equipo no tiene fortaleza defensiva en el juego aéreo/エル・エキポ・ノー・ティエネ・フォルタレサ・デフェンシバ・エン・エル・フエゴ・アエレオ(チームは空中戦での守備力がない)」と認めていましたけどね。もうシーズンも半ば過ぎているというのに今更、「Hay que trabajar la concentración/アイ・ケ・トラバハール・ラ・コンセントラシオン(集中力を鍛えないといけない)」(コケ)なんていう言葉を聞くと、やっぱり彼らは全然、学んでいない? いや実際、「Es fácil entrenarlo cuando no hay gente, el problema es cuando hay rival/エス・ファシル・エントレナールロ・クアンドー・ノー・アイ・ヘンテ、エル・プロブレマ・エス・クアンドー・アイ・リバル(人がいない時に練習するのは簡単だが、問題は敵がいる時)」とシメオネ監督も嘆いていたんですけどね。チームのリードを守ろうと孤軍奮闘したオブラクなど、もっと踏み込んで、「ゴールを入れた後、ウチは後ろに下がって待つけど、si esperamos a lo que va a pasar es que ocurren cosas como las de hoy/シー・エスペラモス・ア・ロ・ケ・バ・ア・パサール・エス・ケ・オクレン・コーサス・コモ・ラス・デ・オイ(何が起きるか待っていると、今日みたいなことが起きる)」と苦言を呈していましたが、とにかく彼らには暇になるこの週末に今一度、猛省を促したいところです。 一方、ロッカールームで決勝進出をまたしてもビジャリブレのトランペット伴奏で祝ったアスレティックはスペイン・スーパーカップ2連覇のチャンスをゲットしたんですが、奇しくも彼らは12月中にリーガで2回、マドリーと対戦。マルセリーノ監督も「jugamos como nunca y perdimos como siempre/フガモス・コモ・ヌンカ・イ・ペルディモス・コモ・シエンプレ(今までないぐらいにいいプレーをしたが、いつものように負けてしまった)」と話していた通り、サンティアゴ・ベルナベウではベンゼマのゴールで1-0。年内最終戦だったサン・マメスでも7分までにベンゼマに2点を決められ、サンセットが1点返しただけで、1-2で涙を飲んでいるんですよ。 それも後者の日など、マドリーが大量5人もコロナ感染で選手がいなかったとなると、いくら延長戦だったとはいえ、休みが1日多い相手が有利なのは変わらないかと思いますが、金曜になって、カルバハルが検査で陽性になったのはちょっと注意が必要かと。ええ、月曜にリヤド入りした彼らは練習と試合以外、外出していないため、それでもうつったとなれば、チーム内クラスターである可能性もなきにしろあらず。加えて、バルサ戦をふくらはぎ痛で欠場したアラバも回復が難しいとなれば、今年もアスレティックが波乱を起こすかもしれません。 そして最後にマドリッドの弟分チームの予定も見ておくと、この週末は土曜にラージョがコパ16強対決ジローナ戦に挑むことに。しかも会場は昨季の昇格プレーオフ決勝2ndレグでまさにこの相手を下し、1部復帰を決めたモンテリビ。向こうの指揮官がこれまた、ラージョのレジェンドであるミチェル監督となれば、結構、見応えのある試合になりそうな。対照的に2回戦でコパ敗退しているヘタフェは来週木曜のリーガ21節グラナダ戦まで、ゆっくりしていられるんですが、この金曜には残留達成に大きく力を貸してくれそうな選手が2人、ローマからレンタル移籍で到着。マドリー出身のFWボルハ・マジョラルとエルチェ出身のMFゴンサロ・ビジャルなんですが、ネックはチェマがエイバル(2部)に行った後もまだ1つ登録選手枠が足らず、早く空きを作らないといけないことでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.15 22:00 Sat
twitterfacebook
thumb

気がついたら次はクラシコだった…/原ゆみこのマドリッド

「スペインから応援に行けないんじゃねえ」そんな風に私が嘆いていたのは火曜日、オミクロン株によるコロナ感染拡大を受けて、水曜からサウジアラビアで開催されるスペイン・スーパーカップはほとんどの観客が地元民の大会になると知った時のことでした。いやあ、ここ数日はテニスのオーストラリアオープンにワクチン接種をしていないジョコビッチが出られるのか、出られないのか、世間の注目を集めていたため、とってつけたように参加4チームの中にワクチン非接種の選手がいたら、サウジアラビアに入国できないなんて話もあったんですけどね。ヨーロッパの他のリーグに比べると、ラ・リーガは接種率が高く、それで引っかかった選手はいなかったようですが、リヤドのキング・ファハドスタジアムではお馴染みのファンのカンティコ(応援歌)が聞こえないというのは結構、淋しいかも。 実際、まだ先週末のリーガ戦の余韻も覚めやらぬうち、月曜にはスペイン・スーパーカップを最初に戦うレアル・マドリーとバルサが、火曜にはアトレティコとアスレティックがそれぞれ、リヤド入りしたんですが、水木の準決勝も日曜の決勝もバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで見られるのはいいとして、その間、リーガ戦はないですからね。土日にはコパ・デル・レイ16強対決の5試合があるものの、すでに敗退しているチームなど、クリスマス休暇並に1週間以上、ヒマになるというのもどうかと。 ちなみに昨季、無観客のカルトゥーハで開催されたスペイン・スーパーカップで王者となったのは準決勝でマドリーを破り、レアル・ソシエダを破って決勝に進出したバルサを2-1で倒したアスレティック。ただ、その後に行われた2019-21シーズンのコパ決勝ではレアル・ソシエダに負け、続いて2021-22シーズンのコパ決勝でもバルサに負けるという、悔しい思いをしているだけに、マルセリーノ監督もリベンジに燃えているかと思いますが、今回の出場チーム中、彼らはリーガ9位と、一番順位が低いのはちょっと、辛いところかもしれませんね。 まあ、スペイン・スーパーカップについてはまた、後で話すとして、今は先にリーガ前節のマドリッド勢の試合を見ていくことにすると。1チームだけ土曜にプレーしたのが兄貴分のマドリーで、サンティアゴ・ベルナベウでの年明け初試合ではバレンシアと対戦。コロナからビニシウスも回復し、ほぼベストメンバーで挑めた彼らとは対照的に欠場者が多かったボルダラス監督のチームですが、前半は拮抗していたんですよ。そう43分、アルデレテがカセミロをエリア内で倒したとして、マドリーがPKをゲットするまでは。それもスロー再生のリプレーではどうにも、カセミロの方がぶつかっていったみたいで、審判が頑としてVAR(ビデオ審判)のモニターを見に行かないものだから、バレンシアのスタッフが自前のパソコンで映像を提示しようとまでしていたんですけどね。 まったく相手にされず、ベンゼマのPKが決まって、1-0でハーフタイムに入ることになったんですが、クラブ公式ツィッターでもすぐさま、「Lo de los robos en Madrid empieza a ser algo repetitivo/ロ・デ・ロス・ロボス・エン・マドリッド・エンピエサ・ア・セル・アルゴ・レペティティーボ(マドリッドで盗まれるのはもうリピートされる何かになっている)」と呟いていたように、バレンシア側がこの件にこだわりすぎたせいでしょうか。後半はマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まり、7分にはベンゼマとのワンツーでエリア内に入ったビニシウスがディアカビとアルデレテをかわしてシュート。2点目を挙げると、15分にはアセンシオの一撃はGKシレッセンに弾かれたものの、丁度いい位置に詰めていたビニシウスがヘッドで3点目もゲットすることに。 そんな彼の活躍ぶりにはアンチェロッティ監督も「Ha marcado goles de delantero centro, de delantero de área/ア・マルカードー・ゴーレス・デ・デランテーロ・セントロ、デ・デランテーロ・デ・アレア(CFのゴール、エリア内のFWのゴールを決めた)」と賛辞を惜しまなかったんですけどね。31分にはメンディがマルコス・アンドレの手を引っ張って、シュートの邪魔をしたため、バレンシアにもPKが与えられ、1度はGKクルトワが弾きながら、跳ね返りをキッカーのゲデスが再度ヘッド。これで1点を返されたものの、43分にはベンゼマがエースの貫禄を示す4点目を挙げているとなれば、「no vamos a poner excusas del árbitro cuando te ganan 4-1/ノー・バモス・ア・ポンーエル・エクスクーサス・デル・アルビトロ・クアンドー・テ・ガナン・クアトロ・ウノ(4-1で勝たれた時に審判を言い訳にするつもりはない)」というガヤの弁も当然だったかと。 これで2位のセビージャに距離を縮められる懸念も払拭、ベンゼマ(17得点)とビニシウス(12得点)のリーガピチチ(得点王)と次点のコンビを引っ提げて、スペイン・スーパーカップのクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)に臨めることになったマドリーだったんですが、サウジアラビア遠征には更にコロナ明けのヨビッチ、そして負傷の治ったカルバハルでパワーアップして出発。いえ、アンチェロッティ監督によると、「カルバハルの先発は微妙、右サイドもアセンシオにするか、ロドリゴにするか。Son las únicas dudas que tengo/ソン・ラス・ウニカス・ドゥーダス・ケ・テンゴ(決まっていないのはそれだけだ)」とスタメンにはまだ迷いがあるようですけどね。 確かに「Nadie sabe lo que puede pasar, independientemente de la diferencia de puntos/ナディエ・サベ・ロ・ケ・プエデ・パサール、インデペンディエンテメンテ・デ・ラ・ディフェレンシア・デ・プントス(勝ち点差とは関係なく、何が起きるかは誰もわからない)」(チャビ監督)のがクラシコとはいえ、相手は土曜のグラナダ戦でも終盤に追いつかれ、1-1で引分けるという無念を味わったばかり。アンス・ファティが満を持して復帰、金曜に手を手術したばかりのアラウホも強行参加、入団プレゼン直後にコロナ陽性となり、ようやく陰性となって、ペドリと一緒に1日遅れて現地に移動したフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)もコウチーニョのアストン・ビラへのレンタル移籍、ウムティッティの減給契約延長により、ラ・リーガのサラリーキャップをかわして選手登録はできたとはいえ、その期待の彼も負傷明けだったりしますからね。 そうなると、コパのアルコジャノ(RFEF1部/実質3部)戦で負傷したマリアーノと今度は背筋痛でやはり、ウェールズ代表のW杯プレーオフがある3月が近づくまで、クラブの実戦に出る気はないんじゃないかという疑いのあるベイルだけが欠場となるマドリーの方が、水曜午後8時(日本時間翌午前4時)からの準決勝には有利な気がしますが、さて。そういえば、昨年10月のリーガ、シーズン前半クラシコもアラバとルーカス・バスケスのゴールで1-2とマドリーが勝利していましたが、その時のバルサの1点が心臓のトラブルで昨年中に現役引退したアグエロのゴールだったのを思い出すとちょっと、しんみりしてしまいますね。 そして翌日曜には今季、ラージョの定番時間帯となったような午後2時からのベティス戦を見にエスタディオ・バジェカスに行った私だったんですが、こちらもジャッジでトラブルが発生。ええ、まだ0-0だった前半35分、2019年に2部に落ちたラージョから、ベティスに河岸を変えたアレックス・モレノの足がイシの頭に当たり、当人はピッチに倒れていたにも関わらず、プレーが続いていたんですけどね。一段落ついて、審判が様子を見に近づいた頃にはイシのスキンヘッドの頭が血まみれだったため、アレックス・モレノにはレッドカードが出されることに。 まあ、実のところは「相手が頭を下げたから、足が当たっただけ。Con la sangre se impresionó/コン・ラ・サングレ・セ・インプレシオノ(出血を見てショックを受けたんだろう)」(ペジェグリーニ監督)というのが正解でしょうが、でもねえ。相手が10人になったのにラージョが油断してしまったんですよ。おかげで前半ロスタイムにはベジェリンが送ったラストパスをカナレスに、ディミトリエフスキの負傷で最近、先発を任されるようになったジダン監督の次男、ルカがガラ空きのゴールに決められて、0-1とリードされてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 いえ、後半26分にはその日、コパに続いてスタメン出場していたファルカオのヘッドはGKルイ・シウバに弾かれてしまったものの、ゴール前に人が沢山、倒れているうちにバリュウが撃ち込んで、何とか同点にはなったんですけどね。結局、1-1のドローで終わり、8勝2分けとホーム無敗は維持できたんですが、レアル・ソシエダが勝ったため、順位が7位に落ちてしまったのは残念だったかと。それでも帰りがけ、スタジアム前でファンにサインしていたイシは傷口こそ、パーカーのフードで見えなかったものの、元気そうでしたし、肉離れで戦線離脱していたアルバロ・ガルシアも途中出場で復帰という朗報もあるため、今週土曜のコパ16強対決、昨季のプレーオフ決勝2ndレグで勝利し、1部昇格を決めた思い出のモンテリビでのジローナ(2部)戦ではいい試合が期待できると思いますよ。 え、でも日曜は次の時間帯でプレーしたもう1つの弟分も、夜9時の試合となった兄貴分も勝利は掴めなったんだろうって?その通りでラージョ以上にアウェイが苦手で、今季1勝も挙げていないヘタフェは、まあ、相手が2位のセビージャというのもありますけどね。前半22分、オカンポスのパスからラファ・ミールにtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でシュートを撃たれ、「uno de nuestros mejores jugadores, Soria, no está acertado/ウノ・デ・ヌエストロス・メホーレス・フガドーレス、ソリア、ノー・エスタ・セルタードー(ウチの最高の選手の1人、ソリアが上手く捌けなかった)」(キケ・サンチェス・フローレス監督)というGKのミスで先制点を奪われてしまうことに。 それだけでなく、ミールには他にもオフサイドで取り消されたゴールがありましたし、アランバリとオリベイラを累積警告で欠くヘタフェはほとんどシュートもできなかったため、そのまま1-0で負けてしまったのも仕方ないんですが、幸い降格圏外16位の順位は変わらず。コパ敗退済みの彼らは20日のグラナダ戦まで試合もありませんし、長らく欠場していたビトロも戻って来たため、ここしばらくは1月後半のリーガ戦に備えて、じっくり調整できるのを強みに変えてもらいたいところです。 一方、ラ・セラミカでビジャレアルに挑んだのが4位のアトレティコなんですが、いやあ、人生に1度起きるか起きないかの奇跡というのはやはり悲劇の前触れだったんですね。そう、序盤から、圧倒的にボールを敵に支配されていた彼らだったんですが、前半10分、パレホのパスをセンターでカットしたコレアがそのままロングシュート。「ya conozco a Rulli y sé que su manera de jugar es muy adelantado/ジャー・コノスコ・ア・ルリ・イ・セ・ケ・ス・マネラ・デ・フガール・エス・ムイ・アデランタードー(ルリのことは知っていて、ゴールから凄く前に出てプレーするのもわかっていた)」という当人の目論見通り、50メートルの距離からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めたんですが、だからといって、その後も3本とパスが続かない、ポゼッション最低プレーが改善するには至りません。 いえ、それでもクーニャが1対1のシュートをGKルリに弾かれたり、今度はコレアがゴール前から決めたゴールがオフサイドだったりということはあったんですが、20分、アルベルト・モレノのパスがレマルの腕に当たったとして、ペナルティを取られてしまってはねえ。幸運もここまでかと思われたんですが、それからが予想外の連続です。だってえ、スペシャリストのジェラール・モレノが、PKセーブがあまり得意でないGKオブラクに弾かれるなんて、滅多にあることじゃないんですよ。それなのにフェリペとぶつかり合った末、パレホの腰に当たったボールがゴールになったとなれば、もう泣いちゃうしかありませんって。 でも大丈夫。ここでもう1度、奇跡が起こり、VAR判定でパレホの手にボールが当たっていたとして、このゴールは認められないことに。といっても29分にはそのパレホのFKをオブラクがキャッチし損ね、こぼれたボールをパウ・トーレスに同点ゴールにされているんですから、まったく救えませんけどね。後半13分には再び、出場停止のヒメネスに頼れないフェリペとエルモーソのCBコンビが決壊し、ジェラール・モレノのスルーパスをアントニオ・モレノに撃ち込まれて、とうとう逆転されてしまった時にはもう、年明けのラージョ戦、コパのラージョ・マハダオンダ(RFEF1部、ラージョ・バジェカーノと経営関係はない)戦の快勝はただの幻だったのかと、私も肩を落としていたんですが…。 まさか選手交代の効果があそこまで出るなんて!ええ、リードされてすぐ、シメオネ監督がデ・パウル、クーニャ、ロディをコケ、ジョアン・フェリックス、ベルサイコに代え、4-4-2から、CBを3人にする5-3-2にシステムチェンジしたアトレティコは急に盛り返し、23分には右から左に移ったカラスコのラストパスをコレアがシュート。これはルリに弾かれてしまったものの、コンドグビアがエリア前から同点ゴールを決めてしまったから、驚いたの何のって。それどころか、2-2になった後の彼らはとても同じチームとは思えないぐらいパスが上手くなり、ガンガン繋げるようになったんですが、まったくもう。 それができるなら、最初からやればいいのにというのは私の勝手な言い分で、後半ロスタイムにはコンドグビアが2枚目のイエローカードをもらい、退場となったのもあり、結局、試合はそのままドローで終了。おかげで3位のベティスにも追いつけず、首位のお隣さんとの差もまた勝ち点16に開いてしまったんですが、まあこればっかりはねえ。ちなみに木曜午後8時からのスペイン・スーパーカップ準決勝ではこの日、出場停止だったヒメネスとルイス・スアレスは復帰するものの、コパで太ももケガを再発したグリーズマン、12月からずっとリハビリ中のサビッチは戻って来られず。シーズン前半戦ではスコアレスドローに終わったカードでしたが、今度は誰が勝利のゴールを入れてくれることになるんでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.01.12 21:00 Wed
twitterfacebook
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly