誰かが笑えば、誰かは泣く…/原ゆみこのマドリッド
2021.10.09 18:00 Sat
「5年前の決勝最悪経験を繰り返すのはどっちかしら」そんな風に私が思いを馳せていたのは金曜日、2日後に迫ったスペインとフランスのネーションズリーグ・ファイナルフォー決勝に思いを馳せていた時のことでした。いやあ、この夏は楽しみにしていたユーロ2020もコロナ禍による入場人数制限などにより、セビージャ開催のグループリーグでさえ、マドリッドの自宅でTV観戦するしかなかったんですけどね。どういう訳か、スペイン代表の国際大会を現地で見るという長年の夢が突如、叶ったため、火曜にミラノに移動していたんですが、そう、前回、私がこの街に来たのは2016年CL決勝マドリーダービーの時。
そんなことはともかく、まずはスペインがホスト国のイタリアと対決した水曜の準決勝がどうだったか、お伝えしていくことにすると。ミラノに来たビジターチームのファンが集結する定番ポイント、先日のCLミラン戦の時もアトレティコファンが騒いでいたドゥオモ前広場に私が行ったのは前日だったので、どのくらいスペイン人のファンが現地で応援するのか、見当もつかなかったんですけどね。大体、チケットの販売が始まったのだって、開催1週間前程という異例さだったんですが、最近はようやくマドリッドでもスタジアムのキャパ100%の観客入場が認められたものの、どうやらこの大会は50%までの制限があったよう。チケット完売でも3万7000人だったため、周辺の混雑もあまりなく、スタンドにも結構、隙間がありましたっけ。
開幕セレモニーもCL決勝のように凝ったものではなく、ネーションズリーグのロゴと両国の大きな国旗を広げて、ボランティアの若い子たちがパタパタ、波うたせるぐらい。それにしても絶対的に数が多かったイタリア人サポーターたちが、スペインのhimno(イムノ/国歌、ただしスペインは歌詞がない)が流れている間、ピーピーやっているのには驚いたものの、まさか、いくらサン・シーロをホームとするミランのファンが場所柄、多かったとはいえ、GKドンナルンマ(この夏、契約満了でPSGに移籍)へのpito(ピト/ブーイング)ときたら、いつぞや、ピケ(バルサ)がサンティアゴ・ベルナベウでの代表戦で受けていた音量とは比べものにならず。これでは当人もやりにくかったでしょうが、スペインサイドにも今回初招集の17才、ガビ(バルサ)がいきなりスタメンデビューというサプライズがあったんですよ。
そのおかげもあってか、比較的攻撃に専念できたスペインは前半17分、先週はコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのヘタフェ戦でミチェル監督にとどめを刺す同点ヘッドを決めていたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)が、この日はアシスト役を務めることに。ええ、彼が左から出したラストパスをフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)がゴール前でvolea(ボレア/ボレーシュート)して、先制ゴールを挙げているんですから、幸先がいいじゃないですか。スペインには41分にも運が味方して、ブスケツにボヌッチ(ユベントス)がcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞っていたことがVAR(ビデオ審判)で発覚。レッドカードで退場となり、敵が1人少なくなったとなれば、ロスタイムに再び、オジャルサバルのクロスから、フェランが頭で決めた2点目はダメ押しのようなものだった?
確かに後でマンチーニ監督も「スペインとボールポゼッションで争うのは11人でも難しいんだが、10人になればそりゃあもう」と嘆いていたんですが、後半のイタリアはベルバルデスキをキッエリーニ(ユベントス)に代え、態勢を立て直すことに。逆にスペインは早くも3分にはフェランが足をケガして、18才に若年初招集仲間、ジェレミー・ピノ(ビジャレアル)と交代。30分頃にはサラビア(スポルティングCP)とコケの29才コンビが20才のブライアン・ヒル(トッテナム)と25才のミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)に代わったため、まずますスペインはチームの平均年齢を下げたんですが、別にそのせいではないですよ。38分にはパウ・トーレス(ビジャレアル)のミスから、キエサ(ユベントス)がドリブルで独走、ゴール前でボールをもらったペッレグリニ(ローマ)が1点を返すというドッキリがあったのは。
何せ、パウはオジャルサバル、エリック・ガルシア(バルサ)、GKウナイ・シモン(アスレティク)と一緒にこの夏、ユーロ、東京オリンピックの連続勤務をした選手ですからね。それだけ代表に貢献してくれているのですから、感謝こそすれ、責めたりできませんって。実際、リーガが始まってから、2週間弱、バケーションを取っただけのオジャルサバルなどが、「ahora mismo estoy en un gran estado físico y tengo que aprovecharlo/アオラ・ミスモ・エストイ・エン・ウン・グラン・エスタードー・フィシコ・イ・テンゴ・ケ・アプロベチャールロ(今の自分はフィジカルが最高の状態にあって、それを利用しないと)」と言っているのを聞くと、「Estoy bien, pero nadie está al cien por cien/エストイ・ビエン、ペロ・ナディエ・エスタ・アル・シエン・ポル・シエン(元気だけど、100%な選手はいないよ)。ユーロに行ったメンバーはほとんどバケーションがなかったんだから」とボヤく、30代ブスケツと20代半ばの選手たちの体力差はかなりあるかと。
結局、イタリアにそれ以上、チャンスを作られることもなく、1-2で勝利したスペインはユーロ準決勝敗退のリベンジを達成。月曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合し、「Con entrenamiento y medio es difícil pero han estado genial de actitud/コン・エントレナミエント・イ・メディオ・エス・ディフィシル・ペロ・アン・エスタードー・ヘニアル・デ・アクティトゥッド(1回半の練習では大変だったが、選手たちの態度は素晴らしかった)」とルイス・エンリケ監督も褒めていたように目標通り、サン・シーロに近いミラノの本拠地ホテルを出ることなく、日曜の決勝まで居座れることに。でもねえ、こちらでのセッションは1時間程、街から離れた郊外にあるインテルの練習場でやっているんですよ。
とても私などが独力で行ける訳もなく、フェランの回復状況が気になりつつも翌木曜には電車でトリノに移動。もう1つの準決勝ベルギーvsフランス戦をユベントス・スタジアムで見ることにしたんですが、いやあ、ワンダ・メトロポリターノのように駅数は結構あっても、メトロでちゃっちゃと行けるサン・シーロと違い、これがまたセントロ(市内中心部)から遠くてねえ。おまけに夕方のラッシュ時にぶつかった日にはバスで1時間近くかかった上、試合後は満員で乗れず、1時間待った挙句、タクシーを捕まえるしかなかったなんてことも。それでも怖いもの知らずなのか、応援にやって来た両国のファンはいっぱいいて、お隣さんだからですかね。フランスのサポーターの方が数的には勝っていたようですが、こちらも前日とまったく同じ開幕セレモニーの後、キックオフ。
え、ベルギーが押し気味だった前半、37分にまさかと思う狭い隙間を縫って、カラスコの先制ゴールが決まった時には、サン・シーロでのリベンジマッチに燃えているアトレティコの選手がここにもいたと思わなかったかって?まあ、そうなんですが、むしろ私の目が釘付けになったのは40分、ルカク(チェルシー)がデ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)のスルーパスを受けて、ゴール右横に切り込むのをデシャン監督の3CB制のおかげもあって、初の兄弟先発となったCBルカと左SBテオ(現ミラン)、アトレティコのカンテラーノ(ユースチーム出身の選手)が揃って止められず、まんまと2点目を決められてしまった時の方だったかと。
こうなると、前日のスペイン同様、もう決勝進出はもらったと、赤のユニを着たベルギーファンたちも大喜びしていたんですが、いえいえ、決して侮ってはいけません。2018年W杯で優勝した現世界王者はハーフタイムにデシャン監督から訓示を受け、心を入れ替えた後半、「キリアンとカリムは最高の仕事をしたよ。前線からプレスをかけて、ゴールを入れて、違いを見せつけた」と、ピッチ中を駆け回っていたグリーズマンも褒めていたんですけどね。17分にはまず、お隣さんのエースがエリア内で敵DF2、3人をかわしてシュート。いえ、リーガの前節、エスパニョール戦で彼が似たようなゴールを決めた日はあと1点が足らず、マドリーは負けてしまったものの、この日は21分にグリーズマンが隣人愛を発揮します。ティーレマンス(レスター)にエリア内で倒されて、VARでペナルティが認められたから、ここはベンゼマのdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)かと思ったんですが…。
うーん、別に最近、盛んにメディアに「遅かれ早かれ、マドリーでプレーするはず」と話し、エムバペ(PSG)の勧誘に余念のないベンゼマだから、PKキッカーも譲ってしまった訳じゃないと思いますけどね。逆にこれで外したら、大変なことになると、いつも悪い方向にばかり考えてしまう私など、ドキドキしていたんですが大丈夫。エムバペがしっかり、こちらも来季は同僚になるかもしれないGKクルトワを破り、ブランスも2-2の同点に追いつんですから、根性あるじゃないですか。
ベルギーにとっては間の悪いことに、その5分後にはアザールがまた負傷して、いえ、翌日の検査で痛めたハムストリングスは筋肉痛だけで、肉断裂はしてないようですけどね。42分にはカラスコのスルーパスをルカクが決めて、土壇場で勝ち越し点を挙げたように見えたのも束の間、オフサイドでノーゴールとなっては運の尽き。45分、最後はエリア内でのクリアボールをベンゼマは拾えなかったものの、突っ込んできたテオが撃ち込んで、フランスが2-3で決勝に進むことになりましたっけ。
いやあ、ホント、デシャン監督も「こういう形でゲームに勝つのはチームの意志の強さを示している。ウチの選手たちは決して屈服しない」と言っていたんですけどね。2点リードに安心してしまったか、大舞台の場数を踏んでいないせいか、「後半はあまりに決勝のことを考えすぎてしまったかもしれない」(ロベルト・マルティネス監督)というベルギーと比べると、スペインの相手として、フランスはかなり怖い感じがしないでもなし。だってえ、ベンゼマ、エムバペ、グリーズマンの3弾頭にはあのGKクルトワでさえ、2失点ですよお。当人も「いくらフランスのような強敵相手でも2-0のリードをあんな風にムダにしちゃいけない」とプンプンしていましたが、果たしてスペインの守備陣とGKウナイ・シモンにそれを止めることができるのか。
そんなフランスとスペインが激突するネーションズリーグ決勝は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、サン・シーロでキックオフなんですが、実はこの大会、W杯のように3位決定戦もあって、イタリアvsベルギー戦が午後3時から、ユベントス・スタジアムで開催。よって、マドリッド勢の選手たちもまだ代表から解放されなくて、何せ、木曜には大西洋を隔てた遥か彼方でW杯南米予選を戦っているウルグアイのルイス・スアレスとヒメネス(アトレティコ)が、向こうもファルカオ(ラージョ)が出場しながら、0-0と引分けたコロンビア戦でケガしたという報が入ってきましたからね。それも前者はヒザの切り傷だけのようですが、後者は筋肉系の負傷なので、paron(パロン/リーガの停止期間)明けの初戦となるCLリバプール戦に出られないというのは、まだサビッチの出場停止処分が終わっていないアトレティコには大打撃?
まあ、その辺はシメオネ監督も、そして今は並行してネーションズリーグ・ファイナルフォーに出ていないヨーロッパのチームのW杯予選も行われているため、お隣さんのアンチェロッティ監督も心配しているはずですが、10月も3試合予定の南米と違い、こちらは全て2試合だけになったのはやや気が楽かと。ええ、各国代表選手は弟分のラージョにもファルカオ以外、バリウ(アルバニア)とディミトリエフスキ(マケトニア)、水曜にはキケ・サンチェス・フローレス監督の復帰プレレゼンがあったヘタフェにもジェネ(トーゴ)、マクシモビッチ、ミトロビッチ(セルビア)とそれぞれ、3人いますからね。どの選手も無事に帰還して、リーガ戦に障りが出ないといいのですが…。
PR
サン・シーロではセルヒオ・ラモス(現PSG)に先制点を奪われ、せっかくカラスコの同点ゴールで追いついたアトレティコだったものの、グリーズマンがPKを失敗。延長戦でも勝ち越せず、最後はPK戦でファンフランがポストに当てた後、クリスチアーノ・ロナウド(現マンチェスター・ユナイテッド)が決めて、レアル・マドリーがUndecima(ウデシマ/11回目のCL優勝のこと)達成というショックな結末にクラクラしながら、ホテルに戻ることに。え、ただのファンである自分が平常心を失い、あまつさえ、翌朝のマルペンサ空港では搭乗予定のフライトを逃し、ミラノに延泊する破目になったぐらいとなれば、その試合に出ていた選手たちの傷心ぶりはそれどころではなかったんじゃないかって?まあ、そうでしょうが、彼らはプロですからね。このネーションリーグ決勝には、当時ピッチにいたコケ、グリーズマン、すでに2年前のシーズンにCL優勝済みのルカ・エルナンデス(現バイエルン)が出場。勝ち組メンバーはベンゼマ、バラン(現マンチェスター・ユナイテッド)とどちらもフランス勢となりますが、きっと準決勝で涙を呑んだGKクルトワ(当時はアトレティコ)、カラスコの2人もできれば、リベンジの舞台に立ちたかったんじゃないでしょうか。開幕セレモニーもCL決勝のように凝ったものではなく、ネーションズリーグのロゴと両国の大きな国旗を広げて、ボランティアの若い子たちがパタパタ、波うたせるぐらい。それにしても絶対的に数が多かったイタリア人サポーターたちが、スペインのhimno(イムノ/国歌、ただしスペインは歌詞がない)が流れている間、ピーピーやっているのには驚いたものの、まさか、いくらサン・シーロをホームとするミランのファンが場所柄、多かったとはいえ、GKドンナルンマ(この夏、契約満了でPSGに移籍)へのpito(ピト/ブーイング)ときたら、いつぞや、ピケ(バルサ)がサンティアゴ・ベルナベウでの代表戦で受けていた音量とは比べものにならず。これでは当人もやりにくかったでしょうが、スペインサイドにも今回初招集の17才、ガビ(バルサ)がいきなりスタメンデビューというサプライズがあったんですよ。
まあ、「Tenía la tarea de marcar a su ídolo, Verrati/テニア・ラ・タレア・デ・マルカル・ア・ス・イドロ、ベラッティ(自分のアイドル、ベラッティをマークするという役目を負っていた)」という彼が、「Es anormal que juegue así/エス・アノルマル・ケ・フエゲ・アシー(あんな風にプレーできるのは普通ではない)。自分を持っていて、羨むばかりの高いフィジカル能力、ウチのプレースタイルにも合っている」(ルイス・エンリケ監督)という働きを示したのは、いやあ、何せ、私が当人のプレーを初めて見たのは先週土曜、ワンダ・メトロポリターノでアトレティコがバルサを2-0で破った試合でしたからね。その時はあまり印象に残らなかったものの、いくら横ではクラブの大先輩、ブスケツが見守ってくれていたとはいえ、大人の大会でここまで物怖じしないティーンエンジャーがいるとは!
そのおかげもあってか、比較的攻撃に専念できたスペインは前半17分、先週はコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのヘタフェ戦でミチェル監督にとどめを刺す同点ヘッドを決めていたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)が、この日はアシスト役を務めることに。ええ、彼が左から出したラストパスをフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)がゴール前でvolea(ボレア/ボレーシュート)して、先制ゴールを挙げているんですから、幸先がいいじゃないですか。スペインには41分にも運が味方して、ブスケツにボヌッチ(ユベントス)がcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞っていたことがVAR(ビデオ審判)で発覚。レッドカードで退場となり、敵が1人少なくなったとなれば、ロスタイムに再び、オジャルサバルのクロスから、フェランが頭で決めた2点目はダメ押しのようなものだった?
確かに後でマンチーニ監督も「スペインとボールポゼッションで争うのは11人でも難しいんだが、10人になればそりゃあもう」と嘆いていたんですが、後半のイタリアはベルバルデスキをキッエリーニ(ユベントス)に代え、態勢を立て直すことに。逆にスペインは早くも3分にはフェランが足をケガして、18才に若年初招集仲間、ジェレミー・ピノ(ビジャレアル)と交代。30分頃にはサラビア(スポルティングCP)とコケの29才コンビが20才のブライアン・ヒル(トッテナム)と25才のミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)に代わったため、まずますスペインはチームの平均年齢を下げたんですが、別にそのせいではないですよ。38分にはパウ・トーレス(ビジャレアル)のミスから、キエサ(ユベントス)がドリブルで独走、ゴール前でボールをもらったペッレグリニ(ローマ)が1点を返すというドッキリがあったのは。
何せ、パウはオジャルサバル、エリック・ガルシア(バルサ)、GKウナイ・シモン(アスレティク)と一緒にこの夏、ユーロ、東京オリンピックの連続勤務をした選手ですからね。それだけ代表に貢献してくれているのですから、感謝こそすれ、責めたりできませんって。実際、リーガが始まってから、2週間弱、バケーションを取っただけのオジャルサバルなどが、「ahora mismo estoy en un gran estado físico y tengo que aprovecharlo/アオラ・ミスモ・エストイ・エン・ウン・グラン・エスタードー・フィシコ・イ・テンゴ・ケ・アプロベチャールロ(今の自分はフィジカルが最高の状態にあって、それを利用しないと)」と言っているのを聞くと、「Estoy bien, pero nadie está al cien por cien/エストイ・ビエン、ペロ・ナディエ・エスタ・アル・シエン・ポル・シエン(元気だけど、100%な選手はいないよ)。ユーロに行ったメンバーはほとんどバケーションがなかったんだから」とボヤく、30代ブスケツと20代半ばの選手たちの体力差はかなりあるかと。
結局、イタリアにそれ以上、チャンスを作られることもなく、1-2で勝利したスペインはユーロ準決勝敗退のリベンジを達成。月曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合し、「Con entrenamiento y medio es difícil pero han estado genial de actitud/コン・エントレナミエント・イ・メディオ・エス・ディフィシル・ペロ・アン・エスタードー・ヘニアル・デ・アクティトゥッド(1回半の練習では大変だったが、選手たちの態度は素晴らしかった)」とルイス・エンリケ監督も褒めていたように目標通り、サン・シーロに近いミラノの本拠地ホテルを出ることなく、日曜の決勝まで居座れることに。でもねえ、こちらでのセッションは1時間程、街から離れた郊外にあるインテルの練習場でやっているんですよ。
とても私などが独力で行ける訳もなく、フェランの回復状況が気になりつつも翌木曜には電車でトリノに移動。もう1つの準決勝ベルギーvsフランス戦をユベントス・スタジアムで見ることにしたんですが、いやあ、ワンダ・メトロポリターノのように駅数は結構あっても、メトロでちゃっちゃと行けるサン・シーロと違い、これがまたセントロ(市内中心部)から遠くてねえ。おまけに夕方のラッシュ時にぶつかった日にはバスで1時間近くかかった上、試合後は満員で乗れず、1時間待った挙句、タクシーを捕まえるしかなかったなんてことも。それでも怖いもの知らずなのか、応援にやって来た両国のファンはいっぱいいて、お隣さんだからですかね。フランスのサポーターの方が数的には勝っていたようですが、こちらも前日とまったく同じ開幕セレモニーの後、キックオフ。
え、ベルギーが押し気味だった前半、37分にまさかと思う狭い隙間を縫って、カラスコの先制ゴールが決まった時には、サン・シーロでのリベンジマッチに燃えているアトレティコの選手がここにもいたと思わなかったかって?まあ、そうなんですが、むしろ私の目が釘付けになったのは40分、ルカク(チェルシー)がデ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)のスルーパスを受けて、ゴール右横に切り込むのをデシャン監督の3CB制のおかげもあって、初の兄弟先発となったCBルカと左SBテオ(現ミラン)、アトレティコのカンテラーノ(ユースチーム出身の選手)が揃って止められず、まんまと2点目を決められてしまった時の方だったかと。
こうなると、前日のスペイン同様、もう決勝進出はもらったと、赤のユニを着たベルギーファンたちも大喜びしていたんですが、いえいえ、決して侮ってはいけません。2018年W杯で優勝した現世界王者はハーフタイムにデシャン監督から訓示を受け、心を入れ替えた後半、「キリアンとカリムは最高の仕事をしたよ。前線からプレスをかけて、ゴールを入れて、違いを見せつけた」と、ピッチ中を駆け回っていたグリーズマンも褒めていたんですけどね。17分にはまず、お隣さんのエースがエリア内で敵DF2、3人をかわしてシュート。いえ、リーガの前節、エスパニョール戦で彼が似たようなゴールを決めた日はあと1点が足らず、マドリーは負けてしまったものの、この日は21分にグリーズマンが隣人愛を発揮します。ティーレマンス(レスター)にエリア内で倒されて、VARでペナルティが認められたから、ここはベンゼマのdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)かと思ったんですが…。
うーん、別に最近、盛んにメディアに「遅かれ早かれ、マドリーでプレーするはず」と話し、エムバペ(PSG)の勧誘に余念のないベンゼマだから、PKキッカーも譲ってしまった訳じゃないと思いますけどね。逆にこれで外したら、大変なことになると、いつも悪い方向にばかり考えてしまう私など、ドキドキしていたんですが大丈夫。エムバペがしっかり、こちらも来季は同僚になるかもしれないGKクルトワを破り、ブランスも2-2の同点に追いつんですから、根性あるじゃないですか。
ベルギーにとっては間の悪いことに、その5分後にはアザールがまた負傷して、いえ、翌日の検査で痛めたハムストリングスは筋肉痛だけで、肉断裂はしてないようですけどね。42分にはカラスコのスルーパスをルカクが決めて、土壇場で勝ち越し点を挙げたように見えたのも束の間、オフサイドでノーゴールとなっては運の尽き。45分、最後はエリア内でのクリアボールをベンゼマは拾えなかったものの、突っ込んできたテオが撃ち込んで、フランスが2-3で決勝に進むことになりましたっけ。
いやあ、ホント、デシャン監督も「こういう形でゲームに勝つのはチームの意志の強さを示している。ウチの選手たちは決して屈服しない」と言っていたんですけどね。2点リードに安心してしまったか、大舞台の場数を踏んでいないせいか、「後半はあまりに決勝のことを考えすぎてしまったかもしれない」(ロベルト・マルティネス監督)というベルギーと比べると、スペインの相手として、フランスはかなり怖い感じがしないでもなし。だってえ、ベンゼマ、エムバペ、グリーズマンの3弾頭にはあのGKクルトワでさえ、2失点ですよお。当人も「いくらフランスのような強敵相手でも2-0のリードをあんな風にムダにしちゃいけない」とプンプンしていましたが、果たしてスペインの守備陣とGKウナイ・シモンにそれを止めることができるのか。
そんなフランスとスペインが激突するネーションズリーグ決勝は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、サン・シーロでキックオフなんですが、実はこの大会、W杯のように3位決定戦もあって、イタリアvsベルギー戦が午後3時から、ユベントス・スタジアムで開催。よって、マドリッド勢の選手たちもまだ代表から解放されなくて、何せ、木曜には大西洋を隔てた遥か彼方でW杯南米予選を戦っているウルグアイのルイス・スアレスとヒメネス(アトレティコ)が、向こうもファルカオ(ラージョ)が出場しながら、0-0と引分けたコロンビア戦でケガしたという報が入ってきましたからね。それも前者はヒザの切り傷だけのようですが、後者は筋肉系の負傷なので、paron(パロン/リーガの停止期間)明けの初戦となるCLリバプール戦に出られないというのは、まだサビッチの出場停止処分が終わっていないアトレティコには大打撃?
まあ、その辺はシメオネ監督も、そして今は並行してネーションズリーグ・ファイナルフォーに出ていないヨーロッパのチームのW杯予選も行われているため、お隣さんのアンチェロッティ監督も心配しているはずですが、10月も3試合予定の南米と違い、こちらは全て2試合だけになったのはやや気が楽かと。ええ、各国代表選手は弟分のラージョにもファルカオ以外、バリウ(アルバニア)とディミトリエフスキ(マケトニア)、水曜にはキケ・サンチェス・フローレス監督の復帰プレレゼンがあったヘタフェにもジェネ(トーゴ)、マクシモビッチ、ミトロビッチ(セルビア)とそれぞれ、3人いますからね。どの選手も無事に帰還して、リーガ戦に障りが出ないといいのですが…。
PR
UEFAネーションズリーグの関連記事
|