EUROのイングランドと日本サッカー/六川亨の日本サッカーの歩み
2021.07.13 19:00 Tue
例えば1982年のスペイン・ワールドカップ。優勝候補の本命はヨーロッパ遠征で桁違いの強さを見せたブラジルだった。ジーコ、ソクラテス、ロベルト・ファルカンら魅力的な中盤だけでなく、オスカーやレアンドロ、ジュニオールら守備陣にも錚錚たるメンバーが揃っていた。
同じことは2006年のドイツ・ワールドカップにも当てはまる。優勝候補は地元ドイツに加え、4年前は負傷により力を発揮できなかったジネディーヌ・ジダンの復帰したフランス、2年前のEUROで準優勝のポルトガル、ロナウドに加えロナウジーニョら攻撃陣にタレントを揃えたブラジルだった。
しかしPK戦にもつれながらも優勝したのは、ファビオ・カンナバーロら強固な守備を誇ったイタリアだった。
そしてイングランドといえば、古くは1990年イタリアW杯ではポール・ガスコインとデイビット・プラットを擁しながら、準決勝でPK戦から敗退。2018年のロシア・ワールドカップでも準決勝でクロアチアにまさかの敗北を喫した。
過去にはデイビット・ベッカムを、そして今回のEUROではハリー・ケインという絶対的なストライカーを擁し、「今度こそは」と期待されながら結果を出せない。それがイングランドだった。
そう、期待されている時のイングランドほど、勝負弱いという印象が強い。
期待値の高さに反比例するのがイングランドの「負の歴史」と言えなくもない。それでも今回のEUROでは、決勝戦まで進出した。イングランドが主要な国際大会(W杯とEURO)で決勝戦まで進出したのは、1966年のイングランドW杯以来55年ぶりの快挙でもある。
それはそれで、新たな歴史を刻んだと言っていいだろう。
これは完全な私見だが、イングランドは、よく言えば「潔い」と思う。逆な見方をすれば「諦めが早い」という印象もある。ドイツ(西ドイツ時代も含め)のような、「奇跡的な逆転勝利」を収めた記憶がないからかもしれない。
プレーはとてもフェアで、南米の選手とは比べものにならない。しかし、そのぶん勝負への執着が感じられないのは私だけだろうか。
2001年のことだった。翌年の日韓W杯を控え、パレルモ島でのイタリア対アメリカの親善試合を取材後、足を伸ばしてポーツマスに移籍した川口能活を取材した。練習後に海沿いのレストランで食事をしたが、川口に聞いたところ、彼もイングランドの選手は「諦めるのが早い」と感じていた。
それはそれで、けして悪いことではないし、国民性だと理解したい。負けたからといって不満のはけ口を代表チームに向けるのではなく、代表チームと一緒になって悲しむ。86年や90年のワールドカップで、ブラジルのサポーターは涙を流して代表チームの敗退を悲しんでいた。その姿に感動を覚えたものだ。
今回のEUROで間違いなくイングランドは躍進した。しかし、それが来年のカタールW杯の出場を約束するものではない。個人的な経験として、ワールドカップにイングランドとドイツ、イタリア、フランス、ブラジル、日本(と聞き慣れた韓国)の国歌は必要不可欠だと思っている。
「好事魔多し」ではないが、イングランドには油断することなく予選を突破して本大会に出てきて欲しい。
で日本は?
この最終予選の組み合わせなら問題はないはず。先週のビーチサッカーのオープニングセレモニーで田嶋JFA(日本サッカー協会)会長に、「カタールW杯はベスト8以上が目標ですね」と質問したところ、「その前にまず最終予選を突破しなければなりません」と返された。
それはその通り。でも、今回の予選は実力を発揮すれば簡単に突破できるはず。五輪代表の充実度を含め、いまの日本は過去最強と思えるほど選手層は厚い。落とし穴があるとすれば、それは「過信」しかない。イタリアのように、したたかに戦えるか。その意味で森保監督はエリートではない“強み"があると思っている。
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彼らの対抗馬としては、ディフェンディングチャンピオンでマラドーナの加わったアルゼンチン、1980年のEUROを制し、ベテランのパウル・ブライトナー、主力のカール・ハインツ・ルムメニゲ、若手のピエール・リトバルスキーらを揃え、選手層の充実している西ドイツがあげられた。しかし3度目の優勝を遂げたのは、グループリーグをやっとのことで通過したイタリアだった。しかしPK戦にもつれながらも優勝したのは、ファビオ・カンナバーロら強固な守備を誇ったイタリアだった。
そう、期待されていない時ほどイタリアは強さを発揮する。
そしてイングランドといえば、古くは1990年イタリアW杯ではポール・ガスコインとデイビット・プラットを擁しながら、準決勝でPK戦から敗退。2018年のロシア・ワールドカップでも準決勝でクロアチアにまさかの敗北を喫した。
過去にはデイビット・ベッカムを、そして今回のEUROではハリー・ケインという絶対的なストライカーを擁し、「今度こそは」と期待されながら結果を出せない。それがイングランドだった。
そう、期待されている時のイングランドほど、勝負弱いという印象が強い。
期待値の高さに反比例するのがイングランドの「負の歴史」と言えなくもない。それでも今回のEUROでは、決勝戦まで進出した。イングランドが主要な国際大会(W杯とEURO)で決勝戦まで進出したのは、1966年のイングランドW杯以来55年ぶりの快挙でもある。
それはそれで、新たな歴史を刻んだと言っていいだろう。
これは完全な私見だが、イングランドは、よく言えば「潔い」と思う。逆な見方をすれば「諦めが早い」という印象もある。ドイツ(西ドイツ時代も含め)のような、「奇跡的な逆転勝利」を収めた記憶がないからかもしれない。
プレーはとてもフェアで、南米の選手とは比べものにならない。しかし、そのぶん勝負への執着が感じられないのは私だけだろうか。
2001年のことだった。翌年の日韓W杯を控え、パレルモ島でのイタリア対アメリカの親善試合を取材後、足を伸ばしてポーツマスに移籍した川口能活を取材した。練習後に海沿いのレストランで食事をしたが、川口に聞いたところ、彼もイングランドの選手は「諦めるのが早い」と感じていた。
それはそれで、けして悪いことではないし、国民性だと理解したい。負けたからといって不満のはけ口を代表チームに向けるのではなく、代表チームと一緒になって悲しむ。86年や90年のワールドカップで、ブラジルのサポーターは涙を流して代表チームの敗退を悲しんでいた。その姿に感動を覚えたものだ。
今回のEUROで間違いなくイングランドは躍進した。しかし、それが来年のカタールW杯の出場を約束するものではない。個人的な経験として、ワールドカップにイングランドとドイツ、イタリア、フランス、ブラジル、日本(と聞き慣れた韓国)の国歌は必要不可欠だと思っている。
「好事魔多し」ではないが、イングランドには油断することなく予選を突破して本大会に出てきて欲しい。
で日本は?
この最終予選の組み合わせなら問題はないはず。先週のビーチサッカーのオープニングセレモニーで田嶋JFA(日本サッカー協会)会長に、「カタールW杯はベスト8以上が目標ですね」と質問したところ、「その前にまず最終予選を突破しなければなりません」と返された。
それはその通り。でも、今回の予選は実力を発揮すれば簡単に突破できるはず。五輪代表の充実度を含め、いまの日本は過去最強と思えるほど選手層は厚い。落とし穴があるとすれば、それは「過信」しかない。イタリアのように、したたかに戦えるか。その意味で森保監督はエリートではない“強み"があると思っている。
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