【ユーロ2020/グループF総括】3強勝ち抜けもハンガリー奮闘で“死の組”に相応しい大混戦に
2021.06.26 12:30 Sat
ユーロ2020のグループステージが6月23日に終了した。前大会王者、世界王者、ドイツの強豪3チームが同居したグループFは“死の組”という前評判通りの大混戦に。その中で唯一無敗のフランスが首位通過し、ドイツとポルトガルも共に決勝トーナメント進出。一方、敗退となったハンガリーだったが、強豪相手に大奮闘を見せてかき回し役を見事に完遂した。
■順位表■
1.フランス(勝ち点5)
2.ドイツ(勝ち点4)
3.ポルトガル(勝ち点4)
4.ハンガリー(勝ち点2)
■試合結果■
▽第1節
ハンガリー 0-3 ポルトガル
フランス 1-0 ドイツ
▽第2節
ハンガリー 1-1 フランス
ポルトガル 2-4 ドイツ
▽第3節
ポルトガル 2-2 フランス
ドイツ 2-2 ハンガリー
ベルギーらと並んで今大会の優勝候補筆頭に挙がるフランスは、攻守に課題残すも1勝2分けの無敗で首位通過を決めた。試金石となったドイツとの初戦では決勝点こそオウンゴールも、持ち味の堅守速攻を武器に多くの決定機を創出した上、相手の攻撃陣を危なげなく封じた。だが、第2節ではハンガリー相手に攻撃が停滞し、不用意な形で失点を喫するなど、消化不良のドローに。最終節ではポルトガル相手にPK2本で追いつかれるも、ここまで結果が出ていなかったFWベンゼマに2ゴールが生まれるなど最低限のドローに持ち込み、首位通過を果たした。
MFカンテとMFポグバのゴールデンコンビの安定感に加え、FWムバッペ、ベンゼマ、FWグリーズマンのトリデンテの連携にも磨きがかかっており、今後はしり上がりに調子を上げていくことが期待される。その一方で、DFリュカとDFディーニュの左サイドバック2人を中心に数人の負傷者が出ているところは懸念材料だ。ただ、ラウンド16の対戦相手はグループA3位通過のスイスとやや力が劣る相手だけに徐々にかみ合い始めた攻撃陣を軸に押し切りたい。
◆守備改善急務も前大会王者振り切る~ドイツ~
最終節の残り20分まで敗退危機に陥っていた中、不屈のゲルマン魂を見せて最低限の目標であるグループリーグ突破を決めた。フランスとの初戦ではボールを持たされた際、崩しの局面でのアイデア、パワーに欠けた上、MFキミッヒの右ウイングバック起用などに注文が付いたが、第2戦では指揮官の良い意味での頑固さが大勝をもたらす結果に。ポルトガル戦ではキミッヒとMFゴセンズの両ウイングバックに高い位置を取らせてサイドバックの守備に難がある相手を力業でねじ伏せて4-2の大勝を飾った。
ただ、この大勝で波に乗るかに思われた最終節ではハンガリーの攻守両面に渡るハードワークに屈し、2度のリードを許す窮地に追いやられた。それでも、リスクを冒した攻めからMFハヴァーツ、MFゴレツカのゴールでドローに持ち込み、直接対決で勝利している前回王者を振り切っての2位通過を決めた。ラウンド16ではグループDを首位通過したイングランドとの対戦が決まっており、快足を揃える相手の攻撃陣に対して、グループリーグを通じて問題となっているDFフンメルスのアジリティ不足など守備面の修正を施したい。
◆エース躍動も指揮官采配に疑問符~ポルトガル~
大会連覇を目指すポルトガルだが、奇しくも前大会と同じ3位で決勝トーナメントに進出することになった。ハンガリーとの初戦では苦しみながらも試合終盤の3ゴールによって快勝スタートを飾ったが、第2節ではドイツに屈辱の2-4で大敗。最終節ではフランス相手に2-2のドローに持ち込んだが、結果内容共に大きな課題を残すグループリーグの戦いとなった。
エースのFWクリスティアーノ・ロナウドが3試合連続を含む最多5ゴールと抜群の存在感を放った一方、気がかりはフェルナンド・サントス監督の采配だ。MFダニーロとMFウィリアム・カルヴァーリョと配球力と機動力に欠ける2選手の併用にこだわり、2戦目ではドイツの5枚の攻撃陣に対して完全にウィークとなっていた4バックにテコ入れを行わず、チームを苦境に陥れていた。その采配の影響か、MFブルーノ・フェルナンデスがなかなか存在感を放てず、持ち味だった守備のソリッドさも欠いている印象だ。そういった中、ラウンド16ではグループBを首位通過した優勝候補ベルギーとの対戦が決定。[3-4-2-1]を採用する相手はドイツの戦い方を参考としてくるだけに、指揮官の修正力が勝敗のカギを握りそうだ。
◆未勝利も大善戦~ハンガリー~
組み合わせが決定した時点では勝ち点の草刈り場になると思われたハンガリーだったが、強豪相手に2つの引き分けに持ち込む大善戦を見せた。ポルトガルとの初戦では80分までほぼ互角の戦いに持ち込むも、試合終盤の連続失点で0-3の完敗。この敗戦によって大きく崩れるかに思われたが、満員のサポーターの後押しを受けた世界王者との一戦では攻守両面で素晴らしいハードワークを披露し、堂々たるドローゲームを演じた。さらに、最終節では主砲FWアダム・サライのゴールなどで強豪ドイツをあと一歩のところまで追い詰めた。結果的にはベスト16進出を果たした前大会及ばずも、チームとしての成長を感じさせる戦いぶりだった。
■順位表■
1.フランス(勝ち点5)
2.ドイツ(勝ち点4)
3.ポルトガル(勝ち点4)
4.ハンガリー(勝ち点2)
■試合結果■
▽第1節
ハンガリー 0-3 ポルトガル
フランス 1-0 ドイツ
ハンガリー 1-1 フランス
ポルトガル 2-4 ドイツ
▽第3節
ポルトガル 2-2 フランス
ドイツ 2-2 ハンガリー
◆攻守に課題残すも貫録の首位通過~フランス~
Getty Images
ベルギーらと並んで今大会の優勝候補筆頭に挙がるフランスは、攻守に課題残すも1勝2分けの無敗で首位通過を決めた。試金石となったドイツとの初戦では決勝点こそオウンゴールも、持ち味の堅守速攻を武器に多くの決定機を創出した上、相手の攻撃陣を危なげなく封じた。だが、第2節ではハンガリー相手に攻撃が停滞し、不用意な形で失点を喫するなど、消化不良のドローに。最終節ではポルトガル相手にPK2本で追いつかれるも、ここまで結果が出ていなかったFWベンゼマに2ゴールが生まれるなど最低限のドローに持ち込み、首位通過を果たした。
MFカンテとMFポグバのゴールデンコンビの安定感に加え、FWムバッペ、ベンゼマ、FWグリーズマンのトリデンテの連携にも磨きがかかっており、今後はしり上がりに調子を上げていくことが期待される。その一方で、DFリュカとDFディーニュの左サイドバック2人を中心に数人の負傷者が出ているところは懸念材料だ。ただ、ラウンド16の対戦相手はグループA3位通過のスイスとやや力が劣る相手だけに徐々にかみ合い始めた攻撃陣を軸に押し切りたい。
◆守備改善急務も前大会王者振り切る~ドイツ~
Getty Images
最終節の残り20分まで敗退危機に陥っていた中、不屈のゲルマン魂を見せて最低限の目標であるグループリーグ突破を決めた。フランスとの初戦ではボールを持たされた際、崩しの局面でのアイデア、パワーに欠けた上、MFキミッヒの右ウイングバック起用などに注文が付いたが、第2戦では指揮官の良い意味での頑固さが大勝をもたらす結果に。ポルトガル戦ではキミッヒとMFゴセンズの両ウイングバックに高い位置を取らせてサイドバックの守備に難がある相手を力業でねじ伏せて4-2の大勝を飾った。
ただ、この大勝で波に乗るかに思われた最終節ではハンガリーの攻守両面に渡るハードワークに屈し、2度のリードを許す窮地に追いやられた。それでも、リスクを冒した攻めからMFハヴァーツ、MFゴレツカのゴールでドローに持ち込み、直接対決で勝利している前回王者を振り切っての2位通過を決めた。ラウンド16ではグループDを首位通過したイングランドとの対戦が決まっており、快足を揃える相手の攻撃陣に対して、グループリーグを通じて問題となっているDFフンメルスのアジリティ不足など守備面の修正を施したい。
◆エース躍動も指揮官采配に疑問符~ポルトガル~
Getty Images
大会連覇を目指すポルトガルだが、奇しくも前大会と同じ3位で決勝トーナメントに進出することになった。ハンガリーとの初戦では苦しみながらも試合終盤の3ゴールによって快勝スタートを飾ったが、第2節ではドイツに屈辱の2-4で大敗。最終節ではフランス相手に2-2のドローに持ち込んだが、結果内容共に大きな課題を残すグループリーグの戦いとなった。
エースのFWクリスティアーノ・ロナウドが3試合連続を含む最多5ゴールと抜群の存在感を放った一方、気がかりはフェルナンド・サントス監督の采配だ。MFダニーロとMFウィリアム・カルヴァーリョと配球力と機動力に欠ける2選手の併用にこだわり、2戦目ではドイツの5枚の攻撃陣に対して完全にウィークとなっていた4バックにテコ入れを行わず、チームを苦境に陥れていた。その采配の影響か、MFブルーノ・フェルナンデスがなかなか存在感を放てず、持ち味だった守備のソリッドさも欠いている印象だ。そういった中、ラウンド16ではグループBを首位通過した優勝候補ベルギーとの対戦が決定。[3-4-2-1]を採用する相手はドイツの戦い方を参考としてくるだけに、指揮官の修正力が勝敗のカギを握りそうだ。
◆未勝利も大善戦~ハンガリー~
Getty Images
組み合わせが決定した時点では勝ち点の草刈り場になると思われたハンガリーだったが、強豪相手に2つの引き分けに持ち込む大善戦を見せた。ポルトガルとの初戦では80分までほぼ互角の戦いに持ち込むも、試合終盤の連続失点で0-3の完敗。この敗戦によって大きく崩れるかに思われたが、満員のサポーターの後押しを受けた世界王者との一戦では攻守両面で素晴らしいハードワークを披露し、堂々たるドローゲームを演じた。さらに、最終節では主砲FWアダム・サライのゴールなどで強豪ドイツをあと一歩のところまで追い詰めた。結果的にはベスト16進出を果たした前大会及ばずも、チームとしての成長を感じさせる戦いぶりだった。
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