「このグループで一番強い」キルギス戦を前に森保一監督、チーム内の意見交換に「素晴らしい要求」

2021.06.14 12:20 Mon
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日本代表の森保一監督が、15日に行われるカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選最終節のキルギス代表戦の前日会見に臨んだ。5月28日のカタールW杯アジア2次予選のミャンマー代表戦からスタートした今回のシリーズ。日本はミャンマー戦での勝利で最終予選進出を決めていた。

6月にはU-24日本代表戦(3日)、タジキスタン代表戦(7日)、セルビア代表戦(11日)と行われた中、ミャンマー戦から4連勝をおさめてきた。

およそ3週間の活動の集大成として、最後のキルギス戦を前に、森保監督がコメント。メンバー選考や今回の合宿、キルギスについて語った。

ーキルギス代表戦のメンバーの考え方について

「メンバーはセルビア戦からは大幅に変更して、タジキスタン戦のメンバーを中心に今日のトレーニングで試して、試合の準備をしたいと思っています」

「100%タジキスタン戦と同じではないですが、トレーニングで試して明日のメンバーを決めたいと思います。ベースはタジキスタン戦のメンバーになると思います」

ー選手が非常に意見を出し合っているシーンが見えている。チームにとって良い変化なのではないか

「元々、私が代表の監督になる前に、ロシア・ワールドカップから見させてもらっていたメンバーは意見をぶつけ合って、自分たちがイメージの共有をしあう、チームの一番良い戦い方を選択できるようにということで意見をぶつけ合うのは見てきました」

「ここ最近、色々なメンバーが変わる中で、条件等々あって、メンバーが変わっていく中で、スタートの時点ではお互い主張し合うというか、意見をぶつけあるということは少ないようなところもあったかもしれないですけど、私が見えていないところで選手は付き合っているのでわからないところもありますが、ここ最近になって、コミュニケーションの量は間違いなく増えてきたのかなと思います」

「国内組と海外組がホテルや食事が別々で会話ができないこと、ホテルから試合会場や練習場も別に行くのでコミュニケーションが取りづらいですが、食事会場でお互いの顔をあわせることがあるので、コミュニケーションが増えているのかなと思います。意見をぶつけあうことはすごく良いことだと思います」

「我々は勝つことを目標に1試合1試合戦っていますし、お互いが良いプレーをしてお互いの個の高める、チームの価値を高めるということを選手たちは目指して戦ってくれているので、なんとなくうやむやにして上手くいかない状況があったりするよりも、どんどん意見をぶつけ合ってチームの戦い方の最善を見つけることは非常に良いことだと思います」

「セルビア戦の前半は上手くいかなかったと色々目にしますが、強豪相手に自分たちの理想的な戦いだけではないというところを踏まえておかなければいけないと思います。セルビアの強固なディフェンスをこじ開けられない、リズムを掴めない中でミスはありましたが、チームとしての考え方はブレがなかったと思いますので、上手くいかない中でも無失点で試合を進めていく、流れを掴み取るということができるようになったことは、非常にポジティブな部分だと思います」

「もちろん目指すこととして、前半から理想通り戦えることは厳しく目指していくことは素晴らしい要求だと思います」

ー最後の試合になるキルギスについてどういうチームだと感じているか

「まずは非常にハードワークを局面で選手たちがしてくる。球際も強く、セカンドボールの反応も早い。組織としてやるべきコンセプトが固まっている、ハッキリしているチームだと思います」

「実力でも我々のグループで2位にいますし、1回目のキルギスとの戦いで、このグループで一番強いという印象を受けています」

「アウェイで2-0で勝利させてもらいましたが、何度もピンチになりましたし、そういった意味では非常に力のあるチームだと思います」

ー昨日の練習では守備を確認していた。森保監督が守備原則の中で一番大事なものは

「昨日の練習では斉藤俊秀コーチが攻撃のGKを使ったビルドアップということで、選手たちの意思統一を図ってくれました」

「守備の部分においても、チームのコンセプトの部分を選手たちに伝えてくれていて、非常に良いトレーニングだったと思います」

「我々がやっていることを見ていただけて良かったです。試合等々でそういった部分がお見せできればと思いますが、守備の部分はあまりない方が良いですね」

「守備で一番大切なところは相手にゴールをさせないという部分で、セルビア戦でも無失点で終えることができましたし、だからこそ安心して落ち着いて攻撃できるということになると思うので、相手に得点を与えないようにすることです」

「W杯2次予選で1失点を前節してしまいましたが、良い教訓にしてキルギス戦では無失点で終えられるように、1つの目標としたいと思います」

「ただ守るだけではないです。相手に激しく、厳しく制限をかけていくこと。自分が奪えなくても、ボール保持者にファーストディフェンダーがプレッシャーをかけることで、次の選手、次の次の選手かもしれないですが、チームでボールを奪えるようにという連携連動に繋げられるようにと考えています。アグレッシブにボールを奪いにいって欲しいです」

ーU-24日本代表も含めて競争が激しくなるボランチについての選考基準は。柴崎岳も最近は呼ばれていないが

「今後の選考においてですが、最終予選を選考するにあたってベースとなるのは、その時に所属チームで試合に出ているパフォーマンスを見てということになります」

「プラスこれまでの活動の中で、選手たちのパフォーマンスをずっと見てきているので、過去を踏まえて、総合的に選手の選考につなげたいと思っています」

「柴崎岳に関しては3月、6月とプレーオフで1部昇格ができるかもしれないという戦いをしていたので、そこは配慮して選考外にしたところはあります」

「将来的に絶対的だということはないですが、今回の6月シリーズでも可能であればチームに合流してもらうことは考えていました」

「9月に関してはたくさん力を示してくれている選手がいるので、A代表、U-24日本代表のボランチをベースに考えながら、海外にも、国内にも候補に挙がっている選手がいるので、その時の状況でベストなメンバーと思われる選手を招集したいと思っています」

ー左サイドバックも長友佑都が強烈なインパクトを今も残しているが、今後のポジションについて

「道筋は色々考えていますが、今回のA代表であるならば、佐々木(翔)であったり小川(諒也)であったりももちろん候補でもありますし、これまで招集している選手もいますし、U-24で左サイドをやってくれる選手ももちろん候補に入ってきます」

「候補はたくさんいると思いますし、現時点でここまで招集させてもらって見てきた選手は候補の優先順位で上にいると思いますが、視察を重ねながら9月の時点でチームにとって一番良いと思われる選手を招集したいと思っています」

「今回の5月の末のミャンマー戦からの活動を見ていただいたり、3月の活動を見ていただいて、色々な選手が初招集とか、代表経験が浅い中でも代表の戦力として機能できることを示してくれていると思います」

「国内外問わず良いプレーを見せてくれている選手たちをこれまでとは別にチームに加わってもらって戦力として戦ってもらうことを考えています」

「1チーム2カテゴリーでA代表とU-24オリンピック代表ということで我々は今2チームで活動していますが、U-24がオリンピックのアンダー世代の代表ではなく、もう1つの日本代表だと思っています」

「ジャマイカ戦でもそういったプレーを選手たちは見せてくれましたし、選択の幅は広がっていると思います」
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なでしこが突き付けられた「経験値」と「成長速度」、男女で明暗分かれた東京五輪の日本サッカー/日本代表コラム

東京オリンピックも残すところ1週間となった。およそ3週間に渡る大会もあっという間に終わりを迎える。 自国開催のオリンピックにおいて、日本勢は各競技で躍進が続いている。柔道では連日金メダル獲得の報が入る他、新種目のスケートボードやサーフィンでメダルを獲得するなどし、金メダル数は前回の東京オリンピック(1964年)とアテネ・オリンピック(2004年)をすでに超えることとなった。 各競技で金メダルを目指してアスリートたちが戦う中、サッカーも当然のことのように目標として金メダルを掲げていた。 しかし、女子は準々決勝で優勝候補のスウェーデン女子代表に3-1で敗れて敗退。男子は準々決勝でU-24ニュージーランドと対戦し、PK戦の末に勝ち上がりを決めた。 メダルを逸した女子と可能性を残した男子。ともに準々決勝では苦しい戦いを強いられたが、その内容には明らかな隔たりがあった。 <span class="paragraph-title">◆チーム内に見えるメンタル面の充実</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20210802_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> まずは男子だ。グループステージは南アフリカ、メキシコ、フランスと強豪とされる相手との“死の組”に入ったとも言われた中、16カ国中唯一の3連勝でグループステージを首位通過した。 グループステージの3試合ともに先制し、試合を優位に進めることに成功した。初戦のU-24南アフリカ代表戦こそ守備を固める相手になかなかネットを揺らせなかったが、U-24メキシコ代表戦、U-24フランス代表戦と前半の早い時間帯に先制。焦る相手を尻目に追加点と、盤石の試合運びを見せた。 一方で女子は初戦のカナダ女子代表戦では、稚拙な守備対応から6分で失点。2戦目のイギリス女子代表戦では、警戒していたエレン・ホワイトに、一瞬の隙を突かれてクロスに合わせられて失点した。 警戒していた形でやられるやり方は、3戦目のチリ女子代表戦こそなかったが、準々決勝のスウェーデン女子代表戦でもサイドを突破されてやられていた。 相手との実力差という点もあるが、何よりも試合に臨むメンタリティに差を感じた。男子に関しては、自分たちが積み上げてきたものをしっかりと出すことに集中。前からのプレス、パスワークでの崩しなど、準備したものをここまで出せている。ニュージーランドに対応されても、ブレることなく戦い方を貫いた先にPK戦での勝利を手にした。 一方で、なでしこに関しては準備してきたものを出せているとは言い難い戦いぶりだった。どこか積極性を欠き、相手の圧に押されている印象を常に感じた。もちろん、ミスやリスクを避けたかったのかもしれないが、相手のプラスの力にはそれでは負けてしまう。パスを繋ぐサッカーだったが、横と後ろへのパスが多かった印象だ。 <span class="paragraph-title">◆明暗を分けた経験値の差</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20210802_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> その違いはどこから来るのか。1つは選手個々の経験値の差が大きいと言えるだろう。 互いに22名が登録されている今回のオリンピック。海外クラブに所属している選手が10名(田中碧も含む)、また海外リーグでの経験を含めると酒井宏樹と前田大然の2名がプラスされる。田中はプレーはしていないが、それでも11名が海外のトップリーグでのプレーを経験している。 一方でなでしこは、DF宝田沙織、MF長谷川唯、MF林穂之香、FW岩渕真奈、FW籾木結花の5名。経験者という意味ではFW田中美南も入るが6名だ。 男子に関しては日頃から対峙して居る相手と同等のレベルの選手とピッチ上で対峙する。またA代表との1チーム2カテゴリーを実践してきたことから、世代別ではない代表選手とのプレーも経験しており、より高いレベルを経験値として持って居ることが大きい。 もちろん、オーバーエイジの3選手の存在感は群を抜いて居るが、それでも多くの選手が外国人との対戦経験が豊富という状況だ。さらにそこに引き上げられるように、Jリーグでプレーする選手たちの強度や意識は格段に向上しているのが見て取れる。 一方で、なでしこはそこが不足。2019年の女子ワールドカップに出場したメンバーも多いが、男子に比べて経験値は圧倒的に低い。DF熊谷紗希が唯一群を抜いて経験値が高いが、1人ではカバーしきれない部分は多いだろう。 国内でプレーする選手が多いことが問題というよりは、世界基準に上げられたかどうかという部分が大きな差となった。日々の経験の差もあることながら、チームとしてどこまで世界基準を要求し引き上げたか。A代表と兼任している森保一監督の良さが出た部分とも言えるかもしれない。 <span class="paragraph-title">◆成長速度の変化</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20210802_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> また、その差は経験値だけにとどまらない。強化、成長速度という点では、女子は圧倒的に世界から遅れていることが浮き彫りになった。 各国でプロ化が進んでいる女子サッカー。日本もオリンピック後の9月にWEリーグが開幕し、プロリーグが初めて誕生する。 しかし、世界の強豪国と呼ばれる選手たちはすでにプロ選手ばかり。環境の差は、そのまま成長の差に繋がっていく。 10年前、ドイツ女子ワールドカップでなでしこジャパンが世界一になり、世界を驚かせた。体格面、特にフィジカル面で劣る中、連携やテクニック、戦術的な部分で上回ることに活路を見出し、それを体現したことで世界女王に輝いた。 そこから10年。両者のフィジカル面の差を埋めることは難しい。むしろ、アスリート能力という点では、ヨーロッパやアメリカの選手たちの方が向上した感さえある。準々決勝のスウェーデン戦を見ていても、体格差以上に走力や身体の使い方などは相手の方がはるかに上だった。 そして何より、日本が長けていたはずの戦術面に関しては、それぞれの国々が10年前の日本の優勝を境に最も取り組んできた部分だったと言える。 相手に合わせた戦い方、フィジカルに任せたプレーではなく、自分たちのストロングポイントを出すスタイルに変化が現れ、選手たちもそれをしっかりとピッチ上で表現できるレベルになっていた。 細かくパスを繋ぐポゼッションスタイルと掲げていた日本に対しては、素早いプレスをかけることでうまくビルドアップさせない戦い方を選び、優っていた走力や身体の強さを生かしたプレーで攻め込んだ。 なでしこジャパンもこの10年で成長していないとは言わない。個々のレベルも上がったと言えるだろう。ただ、その成長速度には大きな差が生まれ、もともと優っていた部分の差を埋められ、もともと劣っていた部分の差も広げられたことが現実だろう。結果として、日本の力の無さが出てしまった大会とも言える。 <span class="paragraph-title">◆なでしこに突きつけられた課題、男子は払拭できるか</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/japan20210802_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> WEリーグという国内でのプロリーグが開幕する前に不安要素が浮き彫りとなった女子サッカー。もちろん、悲観的になるだけでなく、それこそWEリーグが何を果たすべきなのかが明確になったのではないだろうか。 例えば、ヨーロッパでは、女子サッカーに投資する男子のビッグクラブが年々増えて居る。2020-21シーズンからはレアル・マドリーが女子チームを作り参戦。イングランドではマンチェスター・ユナイテッドも女子チームを本格的に動かす。 フランスでは圧倒的に女子サッカーが強かったリヨンに代わり、ここからはパリ・サンジェルマンが強い時代が来そうな予感だ。女子チャンピオンズリーグの顔ぶれも、かつては女子チームとして栄えたチームが多かったが、今では男子のそれとほぼ顔ぶれは変わらない。 WEリーグに参戦するJリーグクラブは浦和レッズ、大宮アルディージャ、東京ヴェルディ、ジェフユナイテッド千葉、アルビレックス新潟、AC長野パルセイロ、サンフレッチェ広島の7つのみ。まだまだ国内での女子サッカーの地位は高いとは言えない。この先女子サッカー界で日本の地位を上げるには、国内リーグの競争力アップも必要だ。 一方でメダルに一歩近づいた男子は、準決勝でスペインと対戦する。優勝候補筆頭のスペインだが、ここでこそ今の日本代表の力を示すところだろう。これまでとの違いは何なのか。個々の選手たちがそれぞれのクラブで積み上げてきたもの、経験値を出す場だと言える。 大会前には1-1で引き分けた相手だ。ただ、来日から間も無く、チームとしての実戦が少ない状態での試合だった。そこから東京オリンピックでは4試合を戦って居る。相手も勝てば銀メダル以上が確定するだけに、当然必勝体制でくる。ここで勝てるかどうか。史上初の決勝に駒を進めるかどうかは、オリンピックだけでなく、A代表にとっても大きな1試合となりそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2021.08.02 13:45 Mon
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