ミャンマー戦で改めて大迫をOA枠に推薦/六川亨の日本サッカー見聞録

2021.05.29 22:10 Sat
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JFA(日本サッカー協会)は29日、政府の緊急事態宣言の延長により来月から始まるキリンチャレンジ杯とカタールW杯アジア2次予選、そしてU-24日本代表のテストマッチ1試合(5日のU-24ガーナ戦)をリモートマッチ(無観客)で開催することを発表した。有観客試合となるのは12日に豊田で開催されるジャマイカ戦だけの予定だ。その一方で五輪は開催のために着々と準備が進められている。五輪のための緊急事態宣言の延長という見方もできるし、そのために日本はW杯2次予選のセントラル開催(複数チームのバブル対策のシミュレーション)を引き受けたと思うのは私だけだろうか。

さてミャンマー戦である。19年9月のアウェーは豪雨の影響もあり2-0の勝利にとどまった。当時は毎日夕方になるとスコールだった印象が強く残っている。しかし今回は万全のピッチ状態で、日本はJリーグが開催されている関係から“海外組"のメンバー編成になったが、“国内組"がスタメンに入る可能性はかなり低いだろう。

つまり現状で考えられるベストメンバーで試合に臨んだだけに、10-0の大差がついたのも当然だ。そして大迫は2試合連続してハットトリック、南野はW杯予選で6試合連続ゴールという記録を更新した。こちらも対戦相手の実力を考えれば当然の結果であり、特筆すべきことではない。

それでも敢えて指摘するなら、今シーズンのブレーメンではノーゴールだった大迫の得点感覚は衰えていないことだ。巧みなポジショニングからヘディングでのゴールがあり、体が自然に反応したスライディングでのゴール、南野のシュートに反応したゴールなど、様々なパターンから得点した。

3月の時も言っていたが、ブレーメンではトップ下だったりサイドだったりと、本職のFWで起用されないことに不満を漏らしていた。しかし森保ジャパンでは4-2-3-1の「1」の絶対的な存在である。そして起用されれば期待に応える結果を残してきた。

現在の日本のストロングポイントは、南野や鎌田、原口ら2列目にテクニシャンが揃っていることだろう。それはU-24日本も同様で、堂安、久保、三笘、三好、食野、相馬とタレントは豊富だ。となると、東京五輪でも1トップを採用する可能性が高い。

今回U-24日本に招集されているFWは林、前田、上田、田川の4人だが、前田と田川に林はA代表では伊東と浅野のポジションで起用されるタイプである。スピード勝負であり、ロンドン五輪では永井の役割となる。とするなら大迫のようなオールラウンダー候補は上田しかいない。しかし上田もケガに悩まされることが多いのが気がかりだ。

となれば、やはりOA枠は当初の予定通り「呼ばれると想像していなかった」という酒井ではなく大迫を選ぶべきではないだろうか。

先週のコラムで大迫が外れたのは「五輪の経験の有無を森保監督は重視した」と紹介したが、酒井自身、ロンドン五輪は「初戦のスペイン戦でケガをして、ろくに動けないのでチームに迷惑をかけた思いしかない」と振り返っていた。

今回招集されたメンバーで右SBには橋岡と菅原の2人の候補がいる。手薄なのは板倉と中山という候補はいるものの、彼らはCB候補でもあるためボランチということになるだろう。そのために遠藤航がOA枠に選ばれたことは理解できる。そしてCBは冨安という絶対的な存在がいるが、これまではU-24日本より日本代表の活動の方が長いため、コンビを組むなら吉田ということになるのも必然だ。

今シーズンでマルセイユを退団する酒井は、フランスが日本と同じグループになったことに触れ、「ベストメンバーが来れば強いですよ」と言いつつ、「U-23代表はEUROがある」ことで主力の来日を懐疑視した。ヨーロッパ勢はEUROの本大会があり、U-23の大会もある。だからこそ優勝候補は南米の2強(アルゼンチンとブラジル)であり、日本にもメダルのチャンスがあるというわけだ。

そのためには、負けないことも大事だが、勝ちきる必要もある。ミャンマー戦を見る限り、ロンドン五輪の出場を逃した大迫にリベンジの機会を与える意味でもOA枠として選出することを森保監督に提言したい。

もちろん5日のU-24ガーナ戦で前線の選手が活躍すれば、考えが変わる可能性もあるけれど……。

【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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物足りない“なでしこジャパン”の「個の力」/六川亨の日本サッカー見聞録

早いもので、東京五輪の男女サッカーはベスト8が決定した。女子はほぼFIFAランクランク(20年6月26日現在)通りの顔ぶれとなった。 アメリカ(1位)、オランダ(4位)、スウェーデン(5位)、イギリス(イングランド6位)、オーストラリア(7位)、ブラジル(8位)、カナダ(8位タイ)に日本(11位)である。FIFAランク2位のドイツと3位のフランスは、予選を兼ねた19年フランスW杯でベスト8止まりだったため東京五輪の出場権を逃していた。 一方、男子に目を向けると、ブラジル(3位)、スペイン(6位)はFIFAランク通りの成績だが、フランス(2位)を始め、欧州予選ベスト4のルーマニアはニュージーランドに同勝点ながら得失点差で足元をすくわれ、南米予選1位で優勝候補の一角だったアルゼンチン(8位)も得失点差でエジプトの後塵を拝した。そして欧州予選2位のドイツは初戦でブラジルに敗れたのが響き、コートジボワールに2位の座を譲らなければならなかった。 ベスト8の顔ぶれはアジアが2チーム(日本と韓国)、アフリカが2チーム(エジプトとコートジボワール)、ヨーロッパと南米、北中米が各1チームにオセアニアが1チーム! という「サッカー後進国」が躍進する結果となった。 さて五輪のサッカーはW杯と違い、連日試合があるわけではない。開会式の前は日本以外の試合もテレビで放送したが、開会式後は多くの競技がスタートするため、日本戦以外の試合はテレビで放送しない。このため、どんなチームでどんな試合内容だったのかを知ることができないのが辛いところ。 取材のIDカードがあれば、同じグループの2試合を取材できるため情報を入手できるが、JOC(日本オリンピック委員会)は基本的にフリーランスを認めていないので、テレビで観戦するしかない。 それでも、3連勝でグループリーグを突破したサムライブルーに比べ、なでしこジャパンの凋落ぶりはテレビでも顕著だった。 11年になでしこジャパンがドイツW杯で優勝した時のことだ。知人らは、なでしこリーグを観戦するようになった。 その理由として、「なでしこジャパンの試合はショートパスを巧みにつなぎながら、前へ前へと積極的に攻める。Jリーグの試合はバックパスが多くて欲求不満が募る。それにJリーグでは接触プレーがあるたびに選手は大げさに転げ回っているが、なでしこの選手はすぐに起き上がってプレーを続ける。このためスピード感がある」と話していた。 しかし今大会のなでしこジャパンは、U-17W杯やU―20W杯で優勝したメンバーもいるが、“大人のサッカー”ができていない印象を受けた。パス回しはDFラインから、なかなか前線へとつながらない。スピード不足に加え、判断のスピードも遅い。 そして、例えば抜かれそうになったら反則で止めるとか、シュートやクロスに体を張ってブロックするといった必死さが感じられなかった。 1対1で相手をスピードかドリブルで抜ける選手は岩渕か塩越くらい。そして守備に回ると2~3人がかりでもボールをなかなか奪えなかった。ヨーロッパやアメリカでプレーしている選手もいるが、「個の強化」がサムライブルーと比べて一時代遅れていると感じたのは私だけではないだろう。 9月からはプロリーグであるWEリーグがスタートするが、すぐには結果が出ないだけに、並行して代表強化にも着手すべきである。サムライブルーは近年まで外国人監督を招聘したことで「個の強化の必要性」を学んだ。そろそろなでしこジャパンも監督に、外国人を招いてはいかがだろうか。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2021.07.30 15:28 Fri
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五輪スタートで男子は波乱続出/六川亨の日本サッカー見聞録

21日に始まった東京五輪の女子サッカーで、なでしこジャパンは田中のPK失敗がありながらもエース・岩渕の同点弾でカナダと1-1で引き分けた。12年ロンドン五輪、16年リオ五輪と2大会続けて銅メダルを獲得している相手に先制点を許しただけに、追いついてのドロー発信はけして悪いスタートではない。 第2戦のイギリス戦は過去1勝1分け5敗と日本が大の苦手にしている相手。クラシカルなキック&ラッシュによるフィジカル勝負のサッカーだが、スピード勝負となると日本は圧倒的に分が悪い(現チームには攻守にスピードのある選手がいない)。このためイギリス戦もドロー狙いで、勝負は最終戦のチリ戦での得失点差争いに持ち込むのが現実的な目標だろう。 その女子サッカーの初戦で、過去に3度の金メダルを獲得しているアメリカがグループリーグ初戦でスウェーデンに0-3で敗れる波乱があった。前回のリオ五輪でも両チームは準々決勝で対戦し、この時はスウェーデンが1-1からのPK戦を4-3で制して銀メダルを獲得している(金メダルは今回出場していないドイツが獲得)。このためアメリカが負けたことは想定内にしても、0-3という一方的なスコアは衝撃的だった。 それ以外は順当な結果に終わった女子サッカーの第1節だった。 それに比べ22日にスタートした男子では波乱の連続だった。 男子の日本は南アフリカの守備的なサッカーと粘りに苦しみながらも、久保の大会第1号ゴールにより1-0で逃げ切った。グループAのもう1試合は12年ロンドン五輪金メダルのメキシコがフランスを4-1と粉砕した他、リオ五輪決勝の再戦となったブラジル対ドイツ戦はブラジルがヒシャルリソンのハットトリックなどで4-2と圧勝した。 ところが韓国は、ニュージーランドを圧倒的に攻めながら1チャンスを決められ0-1で初戦を落としてしまう。優勝候補筆頭のスペインもエジプトに0-0のドロー。04年アテネ五輪、08年北京五輪金メダルのアルゼンチンもオーストラリアに0-2で敗れる波乱があった。 ヨーロッパ勢は新シーズンの開幕を控え、チームが選手の招集を拒むケースもあるだけに、狙い通りのチーム作りができなかった国もある。このため“前評判”はあまり当てにならないこともある。 そして初戦を落とすと、思わぬ落とし穴にはまることがあるのが五輪やW杯の国際大会だ。12年ロンドン五輪では、優勝候補にあげられていたスペインが初戦で日本に0-1で敗れ、なおかつ退場者を出したため、終わってみればグループリーグ最下位で敗退した。02年日韓W杯では、前回大会優勝のフランスがグループリーグで敗退している。 初戦を落としたフランスや韓国、アルゼンチン、ドイツが第2戦以降、どう立て直してくるのかも注目したい。日本の第2戦の相手は12年ロンドン五輪の準決勝で1-3と敗れたメキシコだ。25日の第1試合、フランス対南ア戦でフランスが敗れればグループリーグ敗退が決定する。 このため第3戦の日本戦のモチベーションはかなり低下するだろう。そうなれば無理してメキシコに勝ちに行く必要はない。引き分け狙いで勝点を分け合い、フランス戦での得失点差争いでグループAの1位抜けがいいか2位抜けにするか、他グループ(Cのスペインかアルゼンチンか、Dのブラジルかドイツ、コートジボワールか)の状況を見ながら選択できれば理想的だ。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2021.07.24 17:00 Sat
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東京五輪で道交法が変わった?/六川亨の日本サッカーの歩み

U-24日本対U-24南アフリカ戦を3日後に控えた19日、南アの選手2名とスタッフ1名の3名が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。さらに残りのメンバー21名も保健所の検査により濃厚接触者と判定された。 発熱の症状があり陽性と判明したのはDFジエームズ・モニャンとMFカモヘロ・マーラツィで、選手村を出てホテルに隔離されているそうだ。そして濃厚接触者のチームメイトとスタッフは全員が自室待機となっている。 日本政府と組織委員会は、試合開始(20時)6時間前のPCR検査で陰性なら出場を認めるが、果たしてどんな結果が出るか予断を許さない。 過去の夏期オリンピックでは、第一次世界大戦(1916年ベルリン五輪)と第二次世界大戦(40年東京五輪)で2度の中止と、ソ連のアフガニスタン侵攻により西側諸国がボイコット(80年モスクワ五輪)したり、その報復に東側諸国がボイコット(84年ロサンゼルス五輪)したりした。 しかし今回は新型コロナウイルスのパンデミックという、これまで経験したことのない脅威の中での開催だ。もしも日本対南アの試合が開催できなければ初めてのケースになるだろうし、南ア戦だけでなく他のカード、もしくは他の競技にも同様のケースが起こらないとは断言できない。こちらは今後も注意深く見守る必要があるだろう。 さて、開幕を控えて都内の首都高速道では大規模な交通規制が始まった。料金所のレーン数を減少したり、入り口を封鎖したりして交通量を減らし、選手と大会関係者がスムーズに移動できるようにするためだ。 19日の昼過ぎに大宮対浦安の練習試合を取材するためクルマを走らせていたが、平日の日中なのにやけに交通量が多く渋滞している。するとラジオからは高速道路の入り口閉鎖のニュースが流れてきた。こんなところにも影響が出てくるのだと実感した。 高速道では日中料金を午前6時から午後10時まで通常料金にプラスして、1000円を上乗せすることで交通量を規制しようとしている。期間は19日から8月9日までと、パラリンピックの期間中の8月24日から9月5日までだ。こちらはクルマに乗っていると、それを伝える電光掲示板での表示があるため知っていた。 しかしTVで報道するまで、東京都と千葉県の一般道で、選手や大会関係者が乗る車両の専用レーンと優先レーンがあることは知らなかった。通行証を持たない一般車両がこのレーンを走ると道交法の違反となり、普通車は違反点数1点と反則金6000円を支払わないといけないらしい。 こちらに関しては、ほとんど告知していない(と思う)ので、知らずに走ってしまい“被害"にあうドライバーも多いのではないだろうか。これは大会組織委員会と政府の怠慢以外のなにものでもないと思う。 86年メキシコW杯を取材した時のことだ。選手、関係者はもちろん、メディアも移動手段はバスがメインだった。当時はメキシコシティに地下鉄こそあったものの、それ以外の移動手段はバスかタクシーかレンタカーしかなかった。そしてメインメディアセンターからスタジアムへはメディア専用のバスがあり、白バイが先導したため渋滞に巻き込まれることはなかった。 ただ、貧しい人々が暮らすネサでは、プレスバスを目がけて石を投げたり、徐行運転になると車体に蹴りを入れたりする若者がいた。それだけ不満が溜まっていたのだろう。 90年イタリアW杯などヨーロッパでの大会は、基本的に都市間の移動手段は列車になる。それでもナポリでのゲームでは、プレスセンターからのバスが確実な移動手段だった。広い道路には今回の東京五輪と同様に大会関係者専用のレーンがあったものの、それを守るナボリっ子は1人もいない。 かくして大渋滞になるが、先導する白バイは突然、空いている反対車線にコースを変え、サイレンを鳴らして信号無視でプレスバスを先導。乗客のスペイン人らしい記者は「バモ! バモ!(行け、行け)」とはやしたてていた。 この白バイやパトカーによる先導は、14年ブラジルW杯でも活躍した。ブラジルでの移動手段の基本は飛行機である(広大なため)。そして空港からはバスかタクシーになる。そこで代表チームを乗せたバスが走る時間帯の高速道は、一般車の乗り入れが一切禁止となり、パトカーが前後について、かなりのスピードでキャンプ地まで先導した。 同じようなこと(パトカーの先導)はW杯予選のオーストラリアでも目撃したが、残念ながら日本はパトカーによる先導が法的に認められていない。02年の日韓W杯ではパトカーが先導したものの、選手バスの移動のタイミングに応じてすべての信号を“青“に変える高等テクニックを使った。まさに日本ならではの芸当だろう。 しかし東京五輪では、日韓W杯とは比べものにならない法規制を実施する。それもこれも新型コロナウイルスの影響かもしれないが、それならいっそ、白バイやパトカーによる先導と信号無視などを認める法改正を――時限立法でもいいから――すべきではないだろうか。 専用レーンを走ったら減点1と反則金は、なんだかだまし討ちのような気がしてならないからだ。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2021.07.20 15:00 Tue
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上田綺世は初戦に間に合うのか/六川亨の日本サッカー見聞録

昨日14日は、なでしこジャパンがオーストラリアに1-0の勝利を収めた。月曜日の12日にはU-24日本がU-24ホンジュラスに3-1と快勝した。6月に6-0と粉砕したU―24ガーナや、5-1と圧勝したメキシコ女子代表と違い、オーストラリアとホンジュラスはいずれも東京五輪に出場するチーム。それだけに、ホンジュラス戦の後半以外は引き締まった試合内容だった。 高倉監督は代表経験の浅い塩越(3試合)をスタメンで起用したほか、同じく3試合出場の北村を交代でピッチに送り込むなど、選手の経験値を上げようと試行錯誤した。女子は3グループの上位2チームと、成績上位3位の2チームが準々決勝に進出できる。 しかし、なでしこジャパンのグループリーグの対戦相手は相性のよくないイギリス、FIFAランク8位のカナダ(日本は11位)と難敵が控えている。初戦の相手カナダには最低でも引き分けて、第3戦のチリ(37位)戦で大量得点からグループリーグの首位突破を狙いたい。 グループEを1位で突破したら、準々決勝の対戦相手はグループFかGの3位のため、順当ならオーストラリア(7位)か中国(15位)になるだろう。ここを突破すれば、メダルはすぐ目の前だ。 初戦と第2戦を札幌ドームで戦い、第3戦も宮城スタジアムと移動距離が短いのもホームのアドバンテージと言える。 一方の男子である。17日に神戸でU-24スペインと対戦して、22日からの南アフリカ戦に備える。このスペイン戦がメダルを占う試金石になるだろう。先のEUROでは18歳で6試合すべてにスタメン出場したペドリ(バルセロナ)以外にも、ダニ・セバージョス(レアル・マドリー)らOA枠をしっかり使い、優勝候補の1角にあげられる。 そこで気になるのがFW陣の構成だ。本来なら五輪の登録メンバーは18名だ。しかし新型コロナウイルスの影響でバックアップメンバー4名も同じ扱いになった。日本はもちろん、他国もそのアドバンテージ恩恵に預かっている。そして試合ごとに登録メンバー18名を決めるルールだ。 このためホンジュラス戦では、当初はバックアップメンバーの林大地(鳥栖)がスタメン出場し、後半に前田大然(横浜FM)と交代した。この試合はACL組が不在だったため、新たなバックアップメンバーとして藤田譲瑠チマ(徳島)が交代出場したほか、櫻川ソロモン(千葉)、山本理仁(東京V)らもメンバー入りした。3年後のパリ五輪を目指すメンバーでもある。 林はポストプレーで堂安律の2点目をアシストしたほか、泥臭いプレーで存在感を示したのは好材料だが、彼がスタメンで起用されたのは前田と上田綺世がケガとコンディション不良から別メニュー調整だったからである。前田は交代出場できるまで復帰したが、上田は15日の記者会見でも「『順調です』としか言えません。本大会に合わせて、もっとよくしていきたい。焦りはないです」と話したものの、表情は終始硬いものだった。 「ボールを使った練習もやっているので、あとは強度を高めるだけ」と言っていたが、初戦の南ア戦まで6日しかない。右足の付け根付近の肉離れから7月22日までにどこまで回復できるか未定だが、すでに5日で選手の登録期限が過ぎているため変更はできない。(怪我の場合は初戦の24時間前まで可能) OA枠を森保一監督は守備陣の強化に使ったが、たとえ大迫勇也や鈴木武蔵をOA枠で招集できなかったとしても、J1リーグで得点ランク2位のオナイウ阿道を候補に入れておくべきではなかったか。 上田が復帰するまで森保ジャパンは勝ち続けることができるのか。それとも“ゼロトップ"という秘策があるのだろうか。いずれにせよ1週間後には初戦がスタートする。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2021.07.16 10:55 Fri
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EUROのイングランドと日本サッカー/六川亨の日本サッカーの歩み

例えば1982年のスペイン・ワールドカップ。優勝候補の本命はヨーロッパ遠征で桁違いの強さを見せたブラジルだった。ジーコ、ソクラテス、ロベルト・ファルカンら魅力的な中盤だけでなく、オスカーやレアンドロ、ジュニオールら守備陣にも錚錚たるメンバーが揃っていた。 彼らの対抗馬としては、ディフェンディングチャンピオンでマラドーナの加わったアルゼンチン、1980年のEUROを制し、ベテランのパウル・ブライトナー、主力のカール・ハインツ・ルムメニゲ、若手のピエール・リトバルスキーらを揃え、選手層の充実している西ドイツがあげられた。 しかし3度目の優勝を遂げたのは、グループリーグをやっとのことで通過したイタリアだった。 同じことは2006年のドイツ・ワールドカップにも当てはまる。優勝候補は地元ドイツに加え、4年前は負傷により力を発揮できなかったジネディーヌ・ジダンの復帰したフランス、2年前のEUROで準優勝のポルトガル、ロナウドに加えロナウジーニョら攻撃陣にタレントを揃えたブラジルだった。 しかしPK戦にもつれながらも優勝したのは、ファビオ・カンナバーロら強固な守備を誇ったイタリアだった。 そう、期待されていない時ほどイタリアは強さを発揮する。 そしてイングランドといえば、古くは1990年イタリアW杯ではポール・ガスコインとデイビット・プラットを擁しながら、準決勝でPK戦から敗退。2018年のロシア・ワールドカップでも準決勝でクロアチアにまさかの敗北を喫した。 過去にはデイビット・ベッカムを、そして今回のEUROではハリー・ケインという絶対的なストライカーを擁し、「今度こそは」と期待されながら結果を出せない。それがイングランドだった。 そう、期待されている時のイングランドほど、勝負弱いという印象が強い。 期待値の高さに反比例するのがイングランドの「負の歴史」と言えなくもない。それでも今回のEUROでは、決勝戦まで進出した。イングランドが主要な国際大会(W杯とEURO)で決勝戦まで進出したのは、1966年のイングランドW杯以来55年ぶりの快挙でもある。 それはそれで、新たな歴史を刻んだと言っていいだろう。 これは完全な私見だが、イングランドは、よく言えば「潔い」と思う。逆な見方をすれば「諦めが早い」という印象もある。ドイツ(西ドイツ時代も含め)のような、「奇跡的な逆転勝利」を収めた記憶がないからかもしれない。 プレーはとてもフェアで、南米の選手とは比べものにならない。しかし、そのぶん勝負への執着が感じられないのは私だけだろうか。 2001年のことだった。翌年の日韓W杯を控え、パレルモ島でのイタリア対アメリカの親善試合を取材後、足を伸ばしてポーツマスに移籍した川口能活を取材した。練習後に海沿いのレストランで食事をしたが、川口に聞いたところ、彼もイングランドの選手は「諦めるのが早い」と感じていた。 それはそれで、けして悪いことではないし、国民性だと理解したい。負けたからといって不満のはけ口を代表チームに向けるのではなく、代表チームと一緒になって悲しむ。86年や90年のワールドカップで、ブラジルのサポーターは涙を流して代表チームの敗退を悲しんでいた。その姿に感動を覚えたものだ。 今回のEUROで間違いなくイングランドは躍進した。しかし、それが来年のカタールW杯の出場を約束するものではない。個人的な経験として、ワールドカップにイングランドとドイツ、イタリア、フランス、ブラジル、日本(と聞き慣れた韓国)の国歌は必要不可欠だと思っている。 「好事魔多し」ではないが、イングランドには油断することなく予選を突破して本大会に出てきて欲しい。 で日本は? この最終予選の組み合わせなら問題はないはず。先週のビーチサッカーのオープニングセレモニーで田嶋JFA(日本サッカー協会)会長に、「カタールW杯はベスト8以上が目標ですね」と質問したところ、「その前にまず最終予選を突破しなければなりません」と返された。 それはその通り。でも、今回の予選は実力を発揮すれば簡単に突破できるはず。五輪代表の充実度を含め、いまの日本は過去最強と思えるほど選手層は厚い。落とし穴があるとすれば、それは「過信」しかない。イタリアのように、したたかに戦えるか。その意味で森保監督はエリートではない“強み"があると思っている。 <hr>【文・六川亨】<br/><div id="cws_ad">1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた</div> 2021.07.13 19:00 Tue
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