W杯2次予選はスタジアム変更?/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.05.07 16:50 Fri
JFA(日本サッカー協会)の反町技術委員長が5月6日、定例の技術委員会後にリモートによる記者会見に臨んだ。質問は今月28日から始まるカタールW杯アジア2次予選と、U-24日本代表の活動に集中した。
まず28日のミャンマー戦は、AFCの発表では千葉県となっていたが、反町技術委員長と広報部長もフクアリ(フクダ電子アリーナ)での開催を認めた。問題は、対戦相手のミャンマーが来日できるかどうかである。
5年前のリオ五輪では、初戦の相手であるナイジェリアがサッカー協会の金銭問題からアメリカ・アトランタのキャンプ地から出発できず、出場が危ぶまれたことがあった。日本の有名な美容整形外科のT須院長が費用を出すと言って話題になったことを覚えている読者もいるのではないだろうか。
U-24日本を率いた手倉森監督(現仙台監督)も「ナイジェリアだけにナイと言われても。あれば、アルジェリア。いや、アルジェリアが来ちゃダメか」と得意のダジャレを飛ばしていたものだ(試合は日本が4-5で敗戦)。
しかしながら今回のミャンマーは、軍事クーデターで内乱状態とかなり深刻な状況である。このため反町技術委員長も試合開催に関して質問されても「わからない。こっちが聞きたいくらい。情報が入って来ない。情報があれば対応できるが、情報がない。AFC(アジアサッカー連盟)の発表を受けて準備しているくらい」とお手上げ状態だ。
影響を受けるのは28日のミャンマー戦だけではない。当初の予定では、サムライブルーは6月3日の札幌ドームでのキリンカップで活動をスタートさせ、7日にパナソニックスタジアム吹田でW杯予選のタジキスタン戦、11日にノエビアスタジアム神戸でのキリンカップ、そして15日に再びパナソニックスタジアム吹田でキルギス戦という日程だった。
しかし東京、大阪、兵庫、京都の4都府県には緊急事態宣言が出されていて、現状では今月末まで延期される可能性が高い。さらに感染が拡大している愛知と福岡も対象に加えると同時に北海道、千葉、埼玉、神奈川、にもまん延防止等重点措置の適用や延長の可能性が出てきた。
これらがいつまで延長されるのか不明だが、サムライブルーは4試合すべてが、U-24日本は6月5日の博多での試合と12日の豊田での試合が、なでしこジャパンは14日の京都での試合に影響が出ることも予想される。
このことに関しても反町技術委員長は「試合の日程を発表できないのは、そういう背景があるから」と認めつつ、「Jリーグの大阪ダービー(5月2日)も無観客になった。状況はよくないのだと思う。我々はどこであろうと、しっかりやりきる準備があることを示すしかない」と先行きが不透明でも準備を進めるしかないことを強調した。
改めて言うまでもなく、すべては新型コロナの影響で、「大阪、千葉を再考せよと政府が言ってくるかどうか」(反町技術委員長)でスタジアムの変更を余儀なくされるかもしれない。それでも最悪なケースを予測しつつ、できる限りの準備(関西圏がNGなら関東圏を最検討するなど)を進めるしか乗り切る方法はないだろう。
【文・六川亨】
まず28日のミャンマー戦は、AFCの発表では千葉県となっていたが、反町技術委員長と広報部長もフクアリ(フクダ電子アリーナ)での開催を認めた。問題は、対戦相手のミャンマーが来日できるかどうかである。
U-24日本を率いた手倉森監督(現仙台監督)も「ナイジェリアだけにナイと言われても。あれば、アルジェリア。いや、アルジェリアが来ちゃダメか」と得意のダジャレを飛ばしていたものだ(試合は日本が4-5で敗戦)。
しかしながら今回のミャンマーは、軍事クーデターで内乱状態とかなり深刻な状況である。このため反町技術委員長も試合開催に関して質問されても「わからない。こっちが聞きたいくらい。情報が入って来ない。情報があれば対応できるが、情報がない。AFC(アジアサッカー連盟)の発表を受けて準備しているくらい」とお手上げ状態だ。
試合は5月28日に予定されているので、当日に試合を開催できなければ「見なし開催」として日本の勝利になるのか。それともIMD(インターナショナルマッチデー)は6月15日まであるので、それまでに試合を消化すればいいのかについても、「AFCはミャンマーがゲームをする意思があると捕らえている。15日までに終えないといけないと互いに合意している。我々は最善の準備をするしかないし、調べようがない」と苦しい胸の内を明かした。
影響を受けるのは28日のミャンマー戦だけではない。当初の予定では、サムライブルーは6月3日の札幌ドームでのキリンカップで活動をスタートさせ、7日にパナソニックスタジアム吹田でW杯予選のタジキスタン戦、11日にノエビアスタジアム神戸でのキリンカップ、そして15日に再びパナソニックスタジアム吹田でキルギス戦という日程だった。
しかし東京、大阪、兵庫、京都の4都府県には緊急事態宣言が出されていて、現状では今月末まで延期される可能性が高い。さらに感染が拡大している愛知と福岡も対象に加えると同時に北海道、千葉、埼玉、神奈川、にもまん延防止等重点措置の適用や延長の可能性が出てきた。
これらがいつまで延長されるのか不明だが、サムライブルーは4試合すべてが、U-24日本は6月5日の博多での試合と12日の豊田での試合が、なでしこジャパンは14日の京都での試合に影響が出ることも予想される。
このことに関しても反町技術委員長は「試合の日程を発表できないのは、そういう背景があるから」と認めつつ、「Jリーグの大阪ダービー(5月2日)も無観客になった。状況はよくないのだと思う。我々はどこであろうと、しっかりやりきる準備があることを示すしかない」と先行きが不透明でも準備を進めるしかないことを強調した。
改めて言うまでもなく、すべては新型コロナの影響で、「大阪、千葉を再考せよと政府が言ってくるかどうか」(反町技術委員長)でスタジアムの変更を余儀なくされるかもしれない。それでも最悪なケースを予測しつつ、できる限りの準備(関西圏がNGなら関東圏を最検討するなど)を進めるしか乗り切る方法はないだろう。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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