ケガとコロナで選手が減っていく…/原ゆみこのマドリッド
2021.02.09 18:35 Tue
「もうこれってクラスターだよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、お昼のニュースで午後9時にリーガ22節最後の試合、セルタ戦を控えたアトレティコにコロナ陽性疑いの選手が更に2人現れたことが判明。普通なら当日のお昼頃、アクティベーションの軽い練習をした後、ワンダ・メトロポリターノ近くのホテルで合宿に入るはずのところ、選手は自家用車に乗って、各々スタジアムに行くという、バルサ方式になったと聞いた時のことでした。いやあ、前節のカディス戦前にはカラスコとエルモーソが感染、今週もジョアン・フェリックスとデンベレが自宅隔離となった彼らでしたが、これだけでもう、チームの半数は抗体保持者になったことに。
ただ、実はカラスコなど、2度目の感染という噂もあり、本当の実数はわからなくて、うーん、クラブは選手たちの私生活が乱れているんじゃないかと邪推しているなんて報も一部のスポーツ紙ではあったんですけどね。でもそれもSNSの写真など、証拠はないため、他にケチつけようのない絶対首位チームに対する嫌がらせかもしれませんし、今季の開幕直前に自身も感染しているシメオネ監督などは、「ラ・リーガの行動規定通り、用心するようにはしているが、hay veces por más que te cuides te toca/アイ・ベセス・ポル・マス・ケ・テ・クイデス・テ・トカ(どんなに用心しても感染ることはある)」と諦め顔。
昨今はイギリス変異株が台頭してきているため、感染力の強いそれがチーム内クラスターを起こしているんじゃないかと、マルカ(スポーツ紙)では言っていたんですが、まったく。おかげでスペインも16日(火)までイギリス人の入国が禁止されていて、もしこの規制が延長された場合、23日(火)にワンダ・メトロポリターノでCL16強対決1stレグを戦う予定のチェルシーも来られず。そうなった際には入国規制のないルーマニアのブカレストにある、2012年EL優勝を遂げた思い出のスタデイオヌル・ナツィオナルでプレーすることを取り決めたのだとか。でもこれで3月17日の2ndレグ開催時、急ピッチでワクチン投与が進むイギリスの感染状況がすでに改善していて、スタンフォード・ブリッジでリターンマッチとなれば、どうにも不公平感が拭えない気がしないでもないんですが…。
とりあえず、今は先に土曜にプレーしたお隣さんと弟分の試合を伝えていくことにすると、アルコラスでウエスカと対戦したレアル・マドリーは開始から4分までに敵に3本もシュートを撃たれるという、波乱のスタートだったものの、幸い失点には至らず。とはいえ、自分たちもゴールを挙げることはできず、0-0のまま、後半に入ったんですが、また同じミスを犯してしまったんですよ。しかも今度はミケル・リコとラファ・ミール、2人のシュートはゴールバーが助けてくれたものの、3分には岡崎慎司選手がドリブルで上がり、左側に来たハビ・ガランへ絶妙のキラーパス。そのvolea(ボレア/ボレーシュート)がGKクルトワを破り、ウエスカの先制点となってしまったから、ビックリしたの何のって。
でもこの日のマドリーは意地を見せてくれました。ええ、10分、ベンゼマの蹴ったFKは枠に弾かれてしまったんですが、落ちてきたボールを敵DFたちより高く飛んだバランがヘッドして、早々にスコアをイーブンに。17分にはまたしても、前節のバジャドリー戦でハットトリックを挙げていたラファ・ミールに至近距離から頭で狙われ、再びリードを奪われかねなかったんですが、ここはクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で阻止。
ちなみにラモスのケガは昨年の代表戦以来のもので、1月のスペイン・スーパーカップ準決勝に痛み止めを打ってプレーしてから、ますます悪化。ここ3週間、6月末で終わるマドリーとの契約延長交渉が遅々として進んでいないため、他クラブからビッグオファーをもらうべく、ムリしないようにしているという心無い報道もあったりしたんですけどね。様子見療法でリハビリを続けていたものの、まったく改善の見込みが立たず、結局、24日のアタランタ戦1stレグも3月16日の2ndレグも出られないって、本当に最近の彼はCL16強対決にツキがありません。
何にしても最後は1-2の逆転勝利を収めることができたため、コロナ感染による自宅隔離から復帰して最初の試合となったジダン監督も「Hoy, de verdad, era importante ganar, con carácter/オイ、デ・ベルダッド、エラ・インポルタンテ・ガナール、コン・カラクテル(今日は本当に勝つことが大事だった。それも強い意志を持ってね)」と喜んでいたんですが、残念ながら、彼らが2位に上昇できたのは土曜の1日だけ。翌日はバルサもベティスに2-3と逆転勝ちしてしまったため、週明けにはまた3位に戻ったんですが、今週は火曜に延期されていた1節、弟分ヘタフェとのミニダービーがあるため、コパ・デル・レイ準決勝セビージャ戦1stレグを水曜に控えているライバルにリーガで差をつけるのにはいいチャンスかと。
え、それでもそのウエスカ戦では右SBのオドリオソラがふくらはぎをつって交代。その日はレバンテ戦での退場で出場停止処分だったミリトンも練習中に筋肉を痛め、マドリーは更なる人員不足に見舞われているんだろうって?その通りで、クロースも累積警告で出られないヘタフェ戦もカルバハル、ルーカス・バスケス、ベルベルデ、ロドリゴ、アザールらは休場が続き、トップチームのメンバーは背筋痛だったイスコが戻っても13人しかいないんですが、第3GKのアルトゥーベに加え、今回は余裕を持って、試合48時間前のPCR検査を受けることができた5人のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)がヘルプとして入ることに。実際、ウエスカ戦終盤も左SBのメンディがオドリオソラの代わりに右に回ったり、その彼も代わった後はサイドアタッカーのマルビンが担当していたりと、イロイロ工夫はしていたんですが、やはりウーデゴール(アーセナルにレンタル移籍)とヨビッチ(同アイントラハト・フランクフルト)を冬の市場で出したのは先見の明に欠けていた?
一方、土曜の夜、セビージャと試合したヘタフェも比較的、拮抗していた前半は35分のオカンポスのゴールもVAR(ビデオ審判)により、ハンドを取られて認められず、両者スコアレスのまま、ハーフタイムに入ったんですけどね。後半10分、ボールを奪いに行ったジェネがそのオカンポスの足首をモロに踏んでしまい、こちらもVARの注進で退場となってしまったから、さあ大変!おまけに担架で運び出された当人が泣きながら、ロペテギ監督に「Me han destrozado la pierna/メ・アン・デストロサードー・ラ・ピエルナ(足をズタズタにされた)」と訴えたためか、両チームの監督同士で口論が始まり、喧嘩両成敗で2人共、レッドカードを受けるとは情けない。うーん、ボルダラス監督によると、「オカンポスの様子を見に行ったら、対戦相手の監督が罵られた。ケガを私のせいにして、プロとして許せない侮辱の言葉を投げかけてきた」そうですが、まあ、その時はかなり重傷に見えましたしね。
一時は足首の靭帯断裂で今季絶望なんて声も聞こえたんですが、翌日の検査でオカンポスのケガは全治4~6週間のネンザと判明。どちらにしろ、水曜にはコパのバルサ戦、来週ミッドウィークにもCLドルトムント戦と大事な試合が続くセビージャにとって、大打撃なのは確かでしょう。試合の方はここで久保建英選手がCBカバコと代わり、10人となったヘタフェは人数的劣勢を跳ね返せず。22分にはムニルに先制点を奪われると、32分のエン・ネシリのゴールはVARでオフサイドとなったものの、42分にはオカンポスと交代したパプ(この冬、アタランタから移籍)のミドルシュート、44分にも2度目の正直でエン・ネシリに3点目を決められて、最後は3-0で完敗してしまいましたっけ。
その結果、せっかく累積警告による出場停止処分が明けて、戻って来たジェネがマドリー戦に出られなくなり、何せ、最近ではアスレティック戦で5-1の大敗とか、守備崩壊もありうるヘタフェですからね。たとえ、かなり戦力減退しているとはいえ、元々、ほとんど勝ったことのない兄貴分に歯が立つのかどうか。アランバリが1試合の処分を終えて復帰、セビージャ戦ではカバコに加え、クーチョ、オリベイラら、負傷していた選手たちもプレーできるようになっていたのは朗報ですが、せっかく久保選手とアレニャの加入で2連勝した後、チームは3試合1分け2敗。再び、不調の波に襲われてしまった折りに、何とも間が悪く、マドリーにより勢いづく理由ができてしまったとなれば…。
そう、月曜の夜、3人のカンテラーノ(アトレティコBの選手)の応援を得て、こちらもベンチ入り19人と少数精鋭でセルタに挑んだアトレティコは土壇場で白星を逃してしまったんですよ。前半12分、マジョのクロスから、サビッチ、フェリペ、ヒメネスと3人もCBがいるにも関わらず、サンティ・ミナにヘッドを決められてしまった時は、何せ最近の彼らはremontada(レモンターダ/逆転勝利)も結構、披露していますからね。私もそう焦らずに様子を覗っていたところ、ハーフタイム入り直前にエースが本領を発揮。マルコス・ジョレンテが右から入れたラストパスにルイス・スアレスが突っ込んで、同点ゴールを挙げてくれるんですから、本当に有難いっちゃありません。
スアレスのご利益は後半早々、5分にも現れて、今度はコンドグビアが左サイドに送った大きなパスをロディがワンタッチでエリア内へ。バッチリ合わせた彼が勝ち越しゴールもゲットと、あっという間に逆転に成功したんですが、おそらく後半頭から、イエローカードをもらっていたフェリペを引っ込め、トレイラを投入。馴染みの4-4-2に変えてから、ほとんど苦労しないで相手を抑えていたのが、油断に繋がりましたかね。
ヒメネスのシュートもわずかに枠を外れ、ダメ押しの追加点を取れないまま、いよいよアトレティコ今季20勝目まであと少しと迫った44分、途中出場していたソラリ(アルゼンチンのラシン・クラブから移籍)からのパスを、同じくミナから代わったフェレイラ(ベンフィカから移籍)がゴール前から押し込んで、冬の補強選手2人でセルタに追いつかれてしまったのですから、詰めが甘い。いやまあ、トレイラ以降、カラスコだけは当日、抗体検査でOKが出て、ベンチにいたものの、最後まで交代選手を入れることもありませんでしたしね。シメオネ監督は「Hicimos un zoom para preparar el partido/イシモス・ウン・スーム・パラ・プレパラル・エル・パルティードー(試合の準備はズームを使ってやった)」と言っていましたが、その辺、やはりエレーラとレマルまでコロナ陽性となってしまった影響はあったかと。
実際、コパもない彼らの次の試合は土曜のグラナダ戦なので、その日、スタメンで出た選手が90分間、ヘトヘトになるまでプレーしても全然、構わないんですが、ちょっと気になるのは、コケも「Estamos permitiendo últimamente muchos goles al inicio de los partidos/エスタモス・ペルミティエンドー・ウルティマメンテ・ムーチョス・ゴーレス・アル・イニシオ・デ・ロス・パルティードス(ウチは最近、試合の序盤に沢山、失点している)」と反省していた点。確かにスアレスがいれば逆転も可能とはいえ、今季はクルトワからのサモラ(リーガで一番失点率が低いGKに与えられる賞)奪還を目指しているオブラクにもあまり迷惑はかけられませんからね。
首位の座についてまだ、お隣さんともバルサとも勝ち点差8あるんですが、もしマドリーがヘタフェに勝てば、その差は5まで縮小するってことで、いやあ、ホント、こうなるとジダン監督のチームが張り切ってプレーするだろう光景が目に浮かんでくる?そんなマドリーvsヘタフェ戦は火曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でキックオフ。今週の試合予定はあと、水曜(セビージャvsバルサ)、木曜(アスレティックvsレバンテ)にコパ準決勝1stレグがあるだけで、マドリッド勢は週末に再びリーガ戦を迎えることになりますが、また水曜まで練習休みになったアトレティコでコロナ陽性者がこれ以上、増えないことを祈っています。
ただ、実はカラスコなど、2度目の感染という噂もあり、本当の実数はわからなくて、うーん、クラブは選手たちの私生活が乱れているんじゃないかと邪推しているなんて報も一部のスポーツ紙ではあったんですけどね。でもそれもSNSの写真など、証拠はないため、他にケチつけようのない絶対首位チームに対する嫌がらせかもしれませんし、今季の開幕直前に自身も感染しているシメオネ監督などは、「ラ・リーガの行動規定通り、用心するようにはしているが、hay veces por más que te cuides te toca/アイ・ベセス・ポル・マス・ケ・テ・クイデス・テ・トカ(どんなに用心しても感染ることはある)」と諦め顔。
昨今はイギリス変異株が台頭してきているため、感染力の強いそれがチーム内クラスターを起こしているんじゃないかと、マルカ(スポーツ紙)では言っていたんですが、まったく。おかげでスペインも16日(火)までイギリス人の入国が禁止されていて、もしこの規制が延長された場合、23日(火)にワンダ・メトロポリターノでCL16強対決1stレグを戦う予定のチェルシーも来られず。そうなった際には入国規制のないルーマニアのブカレストにある、2012年EL優勝を遂げた思い出のスタデイオヌル・ナツィオナルでプレーすることを取り決めたのだとか。でもこれで3月17日の2ndレグ開催時、急ピッチでワクチン投与が進むイギリスの感染状況がすでに改善していて、スタンフォード・ブリッジでリターンマッチとなれば、どうにも不公平感が拭えない気がしないでもないんですが…。
でもこの日のマドリーは意地を見せてくれました。ええ、10分、ベンゼマの蹴ったFKは枠に弾かれてしまったんですが、落ちてきたボールを敵DFたちより高く飛んだバランがヘッドして、早々にスコアをイーブンに。17分にはまたしても、前節のバジャドリー戦でハットトリックを挙げていたラファ・ミールに至近距離から頭で狙われ、再びリードを奪われかねなかったんですが、ここはクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で阻止。
ベンゼマもいいシュートを2本放ったんですが、GKアルバロも冴えていたため、ようやくマドリーに勝ち越し点が入ったのは39分になってからのことでした。そう、こちらもFKからのプレーで今度はクロースが上げたボールをカセミロがヘッド。それをアルバロが弾いたところに丁度よくいたバランが蹴り込んで決勝点って、え、もしやその日の午前中、いきなり左ヒザの半月板を手術したとの報が届き、6週間近く離脱することになってしまったキャプテン、セルヒオ・ラモスの守備の要役だけでなく、攻撃面でも彼が先頭に立ってくれるってこと?
ちなみにラモスのケガは昨年の代表戦以来のもので、1月のスペイン・スーパーカップ準決勝に痛み止めを打ってプレーしてから、ますます悪化。ここ3週間、6月末で終わるマドリーとの契約延長交渉が遅々として進んでいないため、他クラブからビッグオファーをもらうべく、ムリしないようにしているという心無い報道もあったりしたんですけどね。様子見療法でリハビリを続けていたものの、まったく改善の見込みが立たず、結局、24日のアタランタ戦1stレグも3月16日の2ndレグも出られないって、本当に最近の彼はCL16強対決にツキがありません。
何にしても最後は1-2の逆転勝利を収めることができたため、コロナ感染による自宅隔離から復帰して最初の試合となったジダン監督も「Hoy, de verdad, era importante ganar, con carácter/オイ、デ・ベルダッド、エラ・インポルタンテ・ガナール、コン・カラクテル(今日は本当に勝つことが大事だった。それも強い意志を持ってね)」と喜んでいたんですが、残念ながら、彼らが2位に上昇できたのは土曜の1日だけ。翌日はバルサもベティスに2-3と逆転勝ちしてしまったため、週明けにはまた3位に戻ったんですが、今週は火曜に延期されていた1節、弟分ヘタフェとのミニダービーがあるため、コパ・デル・レイ準決勝セビージャ戦1stレグを水曜に控えているライバルにリーガで差をつけるのにはいいチャンスかと。
え、それでもそのウエスカ戦では右SBのオドリオソラがふくらはぎをつって交代。その日はレバンテ戦での退場で出場停止処分だったミリトンも練習中に筋肉を痛め、マドリーは更なる人員不足に見舞われているんだろうって?その通りで、クロースも累積警告で出られないヘタフェ戦もカルバハル、ルーカス・バスケス、ベルベルデ、ロドリゴ、アザールらは休場が続き、トップチームのメンバーは背筋痛だったイスコが戻っても13人しかいないんですが、第3GKのアルトゥーベに加え、今回は余裕を持って、試合48時間前のPCR検査を受けることができた5人のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)がヘルプとして入ることに。実際、ウエスカ戦終盤も左SBのメンディがオドリオソラの代わりに右に回ったり、その彼も代わった後はサイドアタッカーのマルビンが担当していたりと、イロイロ工夫はしていたんですが、やはりウーデゴール(アーセナルにレンタル移籍)とヨビッチ(同アイントラハト・フランクフルト)を冬の市場で出したのは先見の明に欠けていた?
一方、土曜の夜、セビージャと試合したヘタフェも比較的、拮抗していた前半は35分のオカンポスのゴールもVAR(ビデオ審判)により、ハンドを取られて認められず、両者スコアレスのまま、ハーフタイムに入ったんですけどね。後半10分、ボールを奪いに行ったジェネがそのオカンポスの足首をモロに踏んでしまい、こちらもVARの注進で退場となってしまったから、さあ大変!おまけに担架で運び出された当人が泣きながら、ロペテギ監督に「Me han destrozado la pierna/メ・アン・デストロサードー・ラ・ピエルナ(足をズタズタにされた)」と訴えたためか、両チームの監督同士で口論が始まり、喧嘩両成敗で2人共、レッドカードを受けるとは情けない。うーん、ボルダラス監督によると、「オカンポスの様子を見に行ったら、対戦相手の監督が罵られた。ケガを私のせいにして、プロとして許せない侮辱の言葉を投げかけてきた」そうですが、まあ、その時はかなり重傷に見えましたしね。
一時は足首の靭帯断裂で今季絶望なんて声も聞こえたんですが、翌日の検査でオカンポスのケガは全治4~6週間のネンザと判明。どちらにしろ、水曜にはコパのバルサ戦、来週ミッドウィークにもCLドルトムント戦と大事な試合が続くセビージャにとって、大打撃なのは確かでしょう。試合の方はここで久保建英選手がCBカバコと代わり、10人となったヘタフェは人数的劣勢を跳ね返せず。22分にはムニルに先制点を奪われると、32分のエン・ネシリのゴールはVARでオフサイドとなったものの、42分にはオカンポスと交代したパプ(この冬、アタランタから移籍)のミドルシュート、44分にも2度目の正直でエン・ネシリに3点目を決められて、最後は3-0で完敗してしまいましたっけ。
その結果、せっかく累積警告による出場停止処分が明けて、戻って来たジェネがマドリー戦に出られなくなり、何せ、最近ではアスレティック戦で5-1の大敗とか、守備崩壊もありうるヘタフェですからね。たとえ、かなり戦力減退しているとはいえ、元々、ほとんど勝ったことのない兄貴分に歯が立つのかどうか。アランバリが1試合の処分を終えて復帰、セビージャ戦ではカバコに加え、クーチョ、オリベイラら、負傷していた選手たちもプレーできるようになっていたのは朗報ですが、せっかく久保選手とアレニャの加入で2連勝した後、チームは3試合1分け2敗。再び、不調の波に襲われてしまった折りに、何とも間が悪く、マドリーにより勢いづく理由ができてしまったとなれば…。
そう、月曜の夜、3人のカンテラーノ(アトレティコBの選手)の応援を得て、こちらもベンチ入り19人と少数精鋭でセルタに挑んだアトレティコは土壇場で白星を逃してしまったんですよ。前半12分、マジョのクロスから、サビッチ、フェリペ、ヒメネスと3人もCBがいるにも関わらず、サンティ・ミナにヘッドを決められてしまった時は、何せ最近の彼らはremontada(レモンターダ/逆転勝利)も結構、披露していますからね。私もそう焦らずに様子を覗っていたところ、ハーフタイム入り直前にエースが本領を発揮。マルコス・ジョレンテが右から入れたラストパスにルイス・スアレスが突っ込んで、同点ゴールを挙げてくれるんですから、本当に有難いっちゃありません。
スアレスのご利益は後半早々、5分にも現れて、今度はコンドグビアが左サイドに送った大きなパスをロディがワンタッチでエリア内へ。バッチリ合わせた彼が勝ち越しゴールもゲットと、あっという間に逆転に成功したんですが、おそらく後半頭から、イエローカードをもらっていたフェリペを引っ込め、トレイラを投入。馴染みの4-4-2に変えてから、ほとんど苦労しないで相手を抑えていたのが、油断に繋がりましたかね。
ヒメネスのシュートもわずかに枠を外れ、ダメ押しの追加点を取れないまま、いよいよアトレティコ今季20勝目まであと少しと迫った44分、途中出場していたソラリ(アルゼンチンのラシン・クラブから移籍)からのパスを、同じくミナから代わったフェレイラ(ベンフィカから移籍)がゴール前から押し込んで、冬の補強選手2人でセルタに追いつかれてしまったのですから、詰めが甘い。いやまあ、トレイラ以降、カラスコだけは当日、抗体検査でOKが出て、ベンチにいたものの、最後まで交代選手を入れることもありませんでしたしね。シメオネ監督は「Hicimos un zoom para preparar el partido/イシモス・ウン・スーム・パラ・プレパラル・エル・パルティードー(試合の準備はズームを使ってやった)」と言っていましたが、その辺、やはりエレーラとレマルまでコロナ陽性となってしまった影響はあったかと。
実際、コパもない彼らの次の試合は土曜のグラナダ戦なので、その日、スタメンで出た選手が90分間、ヘトヘトになるまでプレーしても全然、構わないんですが、ちょっと気になるのは、コケも「Estamos permitiendo últimamente muchos goles al inicio de los partidos/エスタモス・ペルミティエンドー・ウルティマメンテ・ムーチョス・ゴーレス・アル・イニシオ・デ・ロス・パルティードス(ウチは最近、試合の序盤に沢山、失点している)」と反省していた点。確かにスアレスがいれば逆転も可能とはいえ、今季はクルトワからのサモラ(リーガで一番失点率が低いGKに与えられる賞)奪還を目指しているオブラクにもあまり迷惑はかけられませんからね。
首位の座についてまだ、お隣さんともバルサとも勝ち点差8あるんですが、もしマドリーがヘタフェに勝てば、その差は5まで縮小するってことで、いやあ、ホント、こうなるとジダン監督のチームが張り切ってプレーするだろう光景が目に浮かんでくる?そんなマドリーvsヘタフェ戦は火曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でキックオフ。今週の試合予定はあと、水曜(セビージャvsバルサ)、木曜(アスレティックvsレバンテ)にコパ準決勝1stレグがあるだけで、マドリッド勢は週末に再びリーガ戦を迎えることになりますが、また水曜まで練習休みになったアトレティコでコロナ陽性者がこれ以上、増えないことを祈っています。
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【2022-23 ラ・リーガベストイレブン】4季ぶり優勝のバルセロナから最多5名を選出
2022-23シーズンのラ・リーガが全日程を消化しました。そこで本稿では今シーズンのベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆ラ・リーガベストイレブン GK:テア・シュテーゲン DF:アルナウ・マルティネス、アラウホ、クリステンセン、フラン・ガルシア MF:スビメンディ、F・デ・ヨング MF:久保建英、グリーズマン、ヴィニシウス FW:レヴァンドフスキ GK マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(31歳/バルセロナ) 出場試合数:38(先発:38)/失点数:18 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今シーズンのMVP。シーズンを通して抜群の安定感と、驚異的なセービングで幾度もピンチを救い、自身初のサモラ賞を受賞。消化試合となった残り4試合でのチームの緩んだパフォーマンスがなければ、シーズン最多クリーンシート記録、最少失点記録樹立も可能だった。 DF アルナウ・マルティネス(20歳/ジローナ) 出場試合数:33(先発:32)/得点数:3 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 総合力高いバルセロナ育ちの俊英。マシア育ちでジローナでトップチームデビューを飾った20歳は、センターバックと右サイドバックを主戦場にレギュラーに定着。昨季のプリメーラ昇格に貢献。今季は右サイドバックで高い身体能力を生かした対人守備、縦への推進力を発揮。さらに、ヤン・コウトが右サイドハーフに定着後は攻撃時にドブレピボーテの右に入るファルソ・ラテラルの役割を担い、バルセロナ育ちらしい戦術理解度の高さやパスセンスを発揮した。 DF ロナルド・アラウホ(24歳/バルセロナ) 出場試合数:22(先発:21)/得点数:0 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ワールドクラスの域に到達。シーズンを通してフル稼働が求められるセンターバックで22試合という出場数は物足りないが、出場試合で披露した圧倒的なパフォーマンス、優勝への貢献度を考えると、やはり外すことはできない。以前から卓越した身体能力と守備センスはすでに世界屈指と言えたが、チャビ監督の薫陶によってパスやポジショニング、判断に磨きをかけた攻撃面でも著しい成長をみせ、より弱点が少ない総合力の高いDFに成長。クラシコではすでにお馴染みとなったヴィニシウス対策の右サイドバック起用では世界最高峰のマッチアップも見せてくれた。 DF アンドレアス・クリステンセン(27歳/バルセロナ) 出場試合数:23(先発:22)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> バルセロナの今季ベスト補強に。アラウホ同様に出場数は物足りず、ミリトンやダビド・ガルシア、ル・ノルマンを選出する選択肢もあったが、フリー加入のデンマーク代表DFの期待以上のパフォーマンスをより評価した。チェルシーでの立ち位置を考えると、センターバックのバックアッパー的な起用が予想されていたが、負傷者や右サイドバック不在の歪なチーム事情もあってセンターバックの主軸に定着。アラウホとはかつてのプジョールとピケのような補完性をみせ、安定した守備に持ち味の配球能力を遺憾なく発揮。最少失点の堅守構築に大きな貢献を見せた。 DF フラン・ガルシア(23歳/ラージョ) 出場試合数:38(先発:38)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 充実のシーズンを過ごして古巣帰還。レアル・マドリーのカンテラ出身でレンタル移籍の翌シーズンにラージョに完全移籍した左サイドバックは、インテンシティの高さに定評があるラージョで今季の全38試合に出場。爆発的なスピードを生かした攻撃参加で、阿吽の呼吸を見せるアルバロ・ガルシアと左サイドの攻撃を活性化。さらに、169cmとサイズには恵まれていないものの、球際の競り合いを苦にしておらず、安定したテクニックと共に総合力の高いサイドバックという評価を確立。来季は買い戻しオプションを行使した古巣への復帰が決定したほか、追加招集ながらスペイン代表初招集と更なる躍進が期待される。 MF 久保建英(22歳/レアル・ソシエダ) 出場試合数:35(先発:29)/得点数:9 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 躍進ラ・レアルのベストプレーヤー。マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェとレアル・マドリーからの武者修行先ではチームスタイルや指揮官との相性に加え、フィジカル面の未熟さもあって完全な主力にはなり切れず。それでも、昨夏完全移籍したソシエダでは個人としてのパフォーマンス向上はさることながら、ようやく自身の特長を生かせる指揮官、チームメイトと巡り合えた。2トップの一角や右ウイングを主戦場に35試合出場でキャリアハイの9ゴールを記録し、巧い選手から怖い選手に変貌。アシスト数は「4」にとどまったものの、味方が着実に決定機を決めていれば、その数字は少なくとも倍にはなっていたはずだ。卓越したテクニックに加え、スピードとパワーの向上で個での局面打開の場面が増え、シルバを中心に周囲とのコンビプレーも強力で対峙する守備者にとっては抑え込むのが難しい一線級のアタッカーに成長。また、右ウイングが主戦場となったシーズン終盤戦では守備面の貢献度の高さも際立っていた。 MF マルティン・スビメンディ(24歳/レアル・ソシエダ) 出場試合数:36(先発:35)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 躍進ラ・レアルの要。一昨季の主力定着以降、安定したパフォーマンスを継続し、国内屈指のピボーテに成長した。バルセロナがブスケッツの後継者、クラブOBでもあるアルテタ率いるアーセナルも関心を示す逸材は、シーズンを通して躍動。守備では強度の高い対人守備、カバー範囲の広さを生かしてフィルター役を完遂。攻撃では巧みなポジショニングと視野の広さを武器にボールの循環の基準点として機能した。メリーノやブライス・メンデスが一時パフォーマンスを落としていた中、久保と共に安定したパフォーマンスで4位チームを支え続けた。来季も愛するクラブに残り、イジャラメンディの背番号4を継承する見込みだ。 MF アントワーヌ・グリーズマン(32歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:38(先発:31)/得点数:15 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季の最優秀フィールドプレーヤー。得点ランキング4位タイの15ゴールに、最多アシストとなる16アシストを記録し、今季のラ・リーガで最も多くのゴールに関与した。シーズン序盤戦では保有元のバルセロナの契約条項の影響で30分以内限定の起用を強いられたが、クラブ間の交渉がまとまってフル稼働が可能となって以降は不振のチームを攻守に牽引。とりわけ、後半戦ではフランス代表での役割に近いトップ下でフリーロールを与えられると、卓越した戦術眼とテクニック、献身性を遺憾なく発揮し、驚異的なパフォーマンスを披露し続けた。 MF フレンキー・デ・ヨング(26歳/バルセロナ) 出場試合数:33(先発:29)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 開幕前の不当な扱いを乗り越えて優勝の立役者に。自身に何ら非はなかったものの、深刻な財政問題を抱えるクラブ事情でマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を迫られる難しい状況でシーズンをスタート。しかし、開幕からガビやペドリと共にチャビ監督が求めるアグレッシブなスタイルをピッチ上で体現する担い手となり、攻守に八面六臂の活躍を披露。出場試合での存在感ではペドリをより評価する声もあるが、前述のクラブでの扱いや守備時のブスケッツのサポートなど多くのタスクをこなした点を評価した。 FW ヴィニシウス・ジュニオール(22歳/レアル・マドリー) 出場試合数:33(先発:32)/得点数:10 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 更なる進化を遂げたエル・ブランコの若きエース。今季記録した10ゴール9アシストは、昨季の17ゴール13アシストをいずれも下回るものになったが、ドリブル成功率や被ファウル、チャンスクリエイトといったスタッツはやはり驚異的だった。今季はベンゼマの不調に加え、常にダブルチームに近い形での徹底マークに遭っており、その中で残した前述の数字は価値があるものだ。背番号7への変更が発表された来季は頼れる相棒ベンゼマの退団によって、正真正銘のマドリーのエースとしての更なる活躍が求められる。 FW ロベルト・レヴァンドフスキ(34歳/バルセロナ) 出場試合数:34(先発:33)/得点数:23 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 初挑戦のラ・リーガでいきなりのピチーチ獲得。昨夏、新生バルセロナの目玉補強としてバイエルンから鳴り物入りでの加入となったポーランド代表FW。これまで多くの超一流ストライカーが適応に苦しんだバルセロナだけに一抹の不安もあったが、第2節のソシエダ戦でドブレーテを達成すると、そこからは6試合連続を含めゴールを量産。さすがの存在感でブラウグラナの攻撃をけん引した。中断前後はW杯の疲労や3試合のサスペンションの影響でパフォーマンスを落としたが、終盤戦で再びギアを上げ直した。守備の貢献度や運動量に関してはチームメイトから冗談交じりで注文も付けられたが、さすがの決定力に加えて7アシストと確度の高いポストワークでも存在感を示した。 2023.06.14 18:01 Wed4
【平成史に残るレジェンドチーム50選】vol.46 3強時代への入り口、“チョリスモ”の浸透/アトレティコ・マドリー[2013-14]
1989年1月8日に日本で始まった「平成」。日本では31年にわたって使用されてきたが、2019年4月30日をもってその時代が終わりを告げる。 日本サッカーにおいても激動の時代であった「平成」だが、目をヨーロッパに向け、同じ時代で印象に残ったレジェンドチームを超ワールドサッカー編集部が選出。記憶や記録に残る50チームを紹介していく。 <div style="position: relative;margin: 2em 0;padding: 25px 10px 7px;border: solid 2px #FFC107;"><span style="position: absolute;display: inline-block;top: -2px;left: -2px;padding: 0 9px;height: 25px;line-height: 25px;vertical-align: middle;font-size: 17px;background: #FFC107;color: #ffffff;font-weight: bold;">vol.46</span><p style="margin: 0; padding: 0;font-weight:800">2013-2014シーズン/アトレティコ・マドリー ~チョリスモ~</p></div> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/2013-14atletico.jpg" style="max-width:100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brians,LTD.<hr></div><div style="padding: 0.5em 1em;margin: 2em 0;border: double 5px #4ec4d3;"><p style="margin: 0; padding: 0;">監督:ディエゴ・シメオネ 獲得タイトル:リーガエスパニョーラ 攻撃力7:★★★★★★★☆☆☆ 守備力10:★★★★★★★★★★ タレント7:★★★★★★☆☆☆ 連係10:★★★★★★★★★★ 選手層8:★★★★★★★★☆☆ </p></div> <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">2強時代に終止符</div> アトレティコ・マドリー、バルセロナ、レアル・マドリーの三つ巴となったリーガの優勝争いは、バルセロナとの天王山を引き分けで終えたアトレティコに軍配が上がった。終盤は取りこぼしの目立つ優勝争いとなったが、最後はシーズンを通して最も安定していたアトレティコが18シーズンぶり10度目の戴冠を果たしている。 バルセロナとレアル・マドリーの2強に比べて戦力面で劣ることから、終盤に息切れするのではないかとみられていたが、大方の予想に反してチャンピオンズリーグとの二束の草鞋を履きこなし、シメオネ監督の下で戦う集団と化したロヒ・ブランコスがネプトゥーノ広場まで駆け抜けた。 2011-12シーズン途中に就任したシメオネ監督は、豊富とは言えない戦力のなか、運動量が求められる中盤を上手く入れ替えながら長丁場を乗り切った。また、モチベーターとしての手腕をいかんなく発揮し、並行して行われたCLで結果を残しつつ、最後までチーム全体のモチベーションとインテンシティを落さなかったあたりも流石だ。その存在の大きさは、選手たちから聞こえてくる称賛の声からもうかがえた。 アトレティコ・マドリーは、このシーズンにレアル・マドリーとバルセロナの2強時代に終止符を打ち、その後はスペインに留まらず欧州屈指の強豪にまで上り詰めた。シメオネイズム=チョリスモを体現したチームは現在もそのスタイルで戦いを続けている。 <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">“チョリスモ”を体現</div> GKティボー・クルトワが抜群の安定感と存在感を示し、守護神として君臨。ゴールマウスに鍵をかけ、個人としても2年連続でサモラ(最少失点GK)賞を獲得した。 ディエゴ・ゴディンとミランダの長身センターバックコンビが、最後尾からチームの守備をオーガナイズした。また、両者とも空中戦でも強さを発揮し攻撃面でもチームに貢献した。サイドバックでは攻撃力抜群のフィリペ・ルイスがコケやアルダ・トゥランと好連携を見せ、シメオネ監督から大きな信頼を寄せていたフアンフランは右サイドで攻守に効いていた。 中盤では、キャプテンを務めたガビが中盤の底でハードワークをこなし、相方をチアゴやマリオ・スアレスらが務めていた。サイドは、左をアルダ、右をラウール・ガルシアが担当することが多く、前者は攻撃の仕上げ役としてアシストを量産。後者は空中戦の強さを武器に2トップの一角にポジションを移すなど、シーズン17ゴールを挙げた。 2トップには強力な2人が配置され、前線守備とポストプレーを行う“野獣”ジエゴ・コスタが覚醒しリーグ戦で27ゴールを記録。バルセロナから格安で移籍してきたベテランのダビド・ビジャも堅実にチャンスを決め、シーズン15ゴールを記録した。 <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">ピックアップ・プレイヤー</div> <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">FW:ジエゴ・コスタ(24)</span> アトレティコの快進撃は、この男の存在を抜きにして語ることはできない。最前線でボールを収め、対峙するDFを振り切りながらゴールを量産。得点数ではロナウドとメッシに及ばなかったものの、34試合に出場しての27得点は立派な数字だ。 また、ジエゴ・コスタの素晴らしさは、攻撃力だけにとどまらない。チームの一員として、最前線からプレスをかけることも厭わない。彼の献身性があったからこそ、アトレティコがリーグ最少失点を記録できたと言っても過言ではないだろう。 2019.04.26 12:00 Fri5
