反町技術委員長ブリーフィングで日本代表の新コーチは?/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.01.16 12:55 Sat
JFA(日本サッカー協会)は1月14日、今年最初の技術委員会を開催し、終了後は反町技術委員長がオンラインによるブリーフィングに応じた。
そこで横内コーチの代わりとして誰がA代表のコーチに就任するのか。
14日の会見で反町技術委員長は、「最終的な発表は理事会マターなので名前は出せない。選定はしたので技術委員会として理事会に諮る。順序というものが世の中にはある」と理解を求めた。
とはいえ、そこは記者も反町技術委員長も心得たもの。「複数の候補がいたのか一本釣りか」と攻める角度を変えて水を向ける。
すると反町技術委員長は「最初に、どういう感じがいいかスタートした。横内が3月と6月はU-24(代表)に行く。どういうニーズが必要で、足りないところは何か」と現状を分析した。
そして反町技術委員長自身も「10、11月の活動で足りないところがあった」と感じ、「選手にもう少し近づくコーチがいてもいい」と意見を述べたという。
U-24日本代表には川口GKコーチ、U-19日本代表には内田ロールモデルコーチがいる。それなら日本代表には中村憲剛コーチか! はさすがに無理があったようだ。
様々な意見を集約し、当事者である森保監督の意向も聞いて候補者を絞り、最後は「一本釣り」(反町技術委員長)で決めた。
とはいえ、そうした人事が漏れるのもよくあるケース(既成事実を作る意味も含め)。すでにネット上には昨シーズンまで浦和のヘッドコーチを務めた上野優作氏(47歳)の名前が出ていて、「複数の関係者によると」という常套句に続き、「交渉は順調に進み、近日中にも正式発表」と報道されていた。
上野氏の、指導者としての手腕について正確な情報を持っていないのでコメントは避けたい。ただし広島在籍時は森保監督もまだ現役だったため一緒にプレーし、新潟在籍時には当時の反町監督の指導を受けた。
さらに出身は筑波大学と、田嶋会長や小野技術委員と母校が同じだ。誰にとっても「気心の知れた後輩」であるだけに、納得できる人選と言っていいだろう。
反町技術委員長とのブリーフィングはその後も多岐に渡って続いたが、面白かったのは今年の高校選手権でトレンドになったロングスローに関してだ。
「持てる武器を使うのは当たり前」と理解を示しつつ、「守備の方がだらしないかな」と感想を述べた。
それというのも、専門のGKコーチがJクラブのユースに比べると高校サッカーには少ない。その影響か長身GKが高校サッカーには少ない。このため「守備範囲が狭かった」と理解を示しつつ、「出られないでやられていた」と分析した。
そして反町技術委員長なら「ゴールエリアに飛んできたらGKにすべて勝負に行けと言う。出られないでやられていたからね。そしてGKが出たらストーンを後方に2人置く。そういう工夫が守備側にはなかった」と残念がった。
その上でロングスローでは、「守備の選手が上がっているので、GKがキャッチしてゴロで味方に転がしたら、ドリブルで確実にハーフラインまで行けるので、カウンターのチャンスになると思う」と対策を述べていた。
確かに、反町技術委員長の指摘したように、ロングスローに対して受け身のチームが多かった印象が強い。果たして来年の選手権では、そうしたロングスロー対策を講じるチームがあるのかどうか。まだ先の話ではあるが、高校選手権のロングスローが新シーズンのJリーグやその他の大会にどういった影響を及ぼすのかも気になるところである。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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注目の的は、昨年11月に森保監督が「Jリーグが終了すればオープンになるでしょう」と言っていた代表チームの人事に関してだ。すでに12月末の夢フィールドでのU-24代表キャンプ後の会見で、森保監督は3月と6月の代表の活動期間ではA代表に専念することを発表。東京五輪に出場するU-24日本代表については横内コーチが指揮を執り、栗原コーチと川口GKコーチで臨むことを明言した。14日の会見で反町技術委員長は、「最終的な発表は理事会マターなので名前は出せない。選定はしたので技術委員会として理事会に諮る。順序というものが世の中にはある」と理解を求めた。
これまで技術委員会が推挙した監督・コーチを理事会が覆したことはほとんどない(唯一の例外は1995年にネルシーニョ現レイソル監督の代表監督就任を覆した「腐ったミカン」事件)。とはいえ、理事会の承認を得なければ正式に認められたことにはならないので、反町技術委員長の言い分ももっともである。
とはいえ、そこは記者も反町技術委員長も心得たもの。「複数の候補がいたのか一本釣りか」と攻める角度を変えて水を向ける。
すると反町技術委員長は「最初に、どういう感じがいいかスタートした。横内が3月と6月はU-24(代表)に行く。どういうニーズが必要で、足りないところは何か」と現状を分析した。
そして反町技術委員長自身も「10、11月の活動で足りないところがあった」と感じ、「選手にもう少し近づくコーチがいてもいい」と意見を述べたという。
U-24日本代表には川口GKコーチ、U-19日本代表には内田ロールモデルコーチがいる。それなら日本代表には中村憲剛コーチか! はさすがに無理があったようだ。
様々な意見を集約し、当事者である森保監督の意向も聞いて候補者を絞り、最後は「一本釣り」(反町技術委員長)で決めた。
とはいえ、そうした人事が漏れるのもよくあるケース(既成事実を作る意味も含め)。すでにネット上には昨シーズンまで浦和のヘッドコーチを務めた上野優作氏(47歳)の名前が出ていて、「複数の関係者によると」という常套句に続き、「交渉は順調に進み、近日中にも正式発表」と報道されていた。
上野氏の、指導者としての手腕について正確な情報を持っていないのでコメントは避けたい。ただし広島在籍時は森保監督もまだ現役だったため一緒にプレーし、新潟在籍時には当時の反町監督の指導を受けた。
さらに出身は筑波大学と、田嶋会長や小野技術委員と母校が同じだ。誰にとっても「気心の知れた後輩」であるだけに、納得できる人選と言っていいだろう。
反町技術委員長とのブリーフィングはその後も多岐に渡って続いたが、面白かったのは今年の高校選手権でトレンドになったロングスローに関してだ。
「持てる武器を使うのは当たり前」と理解を示しつつ、「守備の方がだらしないかな」と感想を述べた。
それというのも、専門のGKコーチがJクラブのユースに比べると高校サッカーには少ない。その影響か長身GKが高校サッカーには少ない。このため「守備範囲が狭かった」と理解を示しつつ、「出られないでやられていた」と分析した。
そして反町技術委員長なら「ゴールエリアに飛んできたらGKにすべて勝負に行けと言う。出られないでやられていたからね。そしてGKが出たらストーンを後方に2人置く。そういう工夫が守備側にはなかった」と残念がった。
その上でロングスローでは、「守備の選手が上がっているので、GKがキャッチしてゴロで味方に転がしたら、ドリブルで確実にハーフラインまで行けるので、カウンターのチャンスになると思う」と対策を述べていた。
確かに、反町技術委員長の指摘したように、ロングスローに対して受け身のチームが多かった印象が強い。果たして来年の選手権では、そうしたロングスロー対策を講じるチームがあるのかどうか。まだ先の話ではあるが、高校選手権のロングスローが新シーズンのJリーグやその他の大会にどういった影響を及ぼすのかも気になるところである。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
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