まだ有頂天になるのは早い…/原ゆみこのマドリッド
2020.09.29 17:00 Tue
「上手い話には絶対、ウラがあるんだから」そんな風に私が疑心暗鬼になっていたのは日曜日、これまでずっと行きつけだった近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)が新型コロナウィルス流行の影響で今季もサッカー中継のTV契約をしてくれず、仕方なく、代わりに通うようになったお店で初めて頼んだハンバーガーが予想より、ずっと美味しかったことだけでも結構、満足していたんですけどね。ワンダ・メトロポリターノでの今季開幕戦に挑んだアトレティコも1-0とグラナダにリードしてハーフタイムに入ったことだし、あとはじっと辛抱するだけと心を決めていたのが嘘のように、後半は怒涛のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)って、ルイス・スアレスが加わっただけでいきなり、ここ数年の課題だった体質改善に成功するなんてこと、あっていい?
いや、まあ、昨季も弟分のヘタフェ、レガネスに、どちらも地味な1-0でですが、開幕2連勝して、首位に立ち、9月の代表戦のparon(パロン/リーガの中断期間)に入りながら、その後は尻つぼんでしまったアトレティコですから、まだ全然、信用なんてできないんですけどね。今季も3節終了後の首位は2勝しているベティスとグラナダと、少なくとも5試合ぐらいはやってみないと、どのチームが本当に強いのかもわからないんですが、とりあえず、話を順番にしていくことにすると。8月にヨーロッパの大会に参加していたため、リーガのスタートが遅れていたマドリッドの1部3チームがいよいよ、揃い踏みした先週末の3節、トップバッターを飾ったのはヘタフェ。初戦となった2節でオサスナに1-0で勝利した後、アラベスとのアウェイゲームを迎えたんですが…。
うーん、まだ、コロナ流行下の特別措置として続いているベンチ入り23名のリストを満たすだけの選手が揃ってないせいもあるんですかね。一応、FWだけはマタ、アンヘルに新加入のクーチョ(マジョルカから移籍)、ウナル・エネル(同ビジャレアル)と4人いるボルダラス監督のチームなんですが、どうにもゴールが決まらず。アラベスも昨季の後半、ヘタフェにレンタル移籍していたデイベルソンがチャンスを作ったものの、最後はスコアレスドローと、開幕2連敗していた向こうが一息ついたという形でしたが、何せ、今週はミッドウィーク開催節がありますからね。早くも火曜にはコリセウム・アルフォンソ・ペレスでベティス戦となるんですが、それまでに補強選手が到着する兆しもないため、ここはお馴染みの面々に頑張ってもらうしかなさそうです。
そして土曜の夜には兄貴分のレアル・マドリーが、首位のお手並み拝見とばかりにベニト・ビジャマリンに乗り込んだんですが、やはり開幕戦だった前節、こちらもレアル・ソシエダと0-0で引き分けていたため、ジダン監督も真剣にゴール不足解消に取り組むことにしたんでしょうか。4-2-3-1のシステムを採用した初戦とは打って変わり、ビニシウスとロドリゴのブラジル人若年FWコンビをベンチに置くと、この日は4-4-2として、ベンゼマとヨビッチのツートップを採用。ただ、先制点を挙げたのはベンゼマのラストパスをゴール左前で受けた、こちらもレアル・アレナでは控えだったバルベルデだったんですが、その後がいけません。
ええ、キャプテンのセルヒオ・ラモスも「1点目が入った後、inconscientemente hicimos una línea defensiva, regalamos el balón/インコンシエンテメンテ・イシモス・ウナ・リネア・デフェンシバ、レガラモス・エル・バロン(ボクらは無意識に守る方に傾いて、相手にボールを贈ってしまった)」と言っていたように、お隣さんの十八番を真似されてもねえ。それも相手が昨季のベティスだったら、まだ大丈夫だったのかもしれませんが、ペジェグリーニ監督が赴任してからの彼らは、メンバーはそう変わらなくともチームとしてはまったくの別物。諦めずに攻め続けたおかげで、34分にはCKを起点にカナレスのクロスをメンディがヘッドで叩き込むと、その3分後にもカルバーリョのゴールが決まって、前半中に逆転されてしまったから、驚いたの何のって。
かてて加えて、39分など、次のプレーが始まっていたにも関わらず、遡って、エリア内でボルハ・マジョラルとバルトラがボールを争った際、ベティスのDFのハンドがあったことが発覚しているとなれば、もうジダン監督もラス・ロサス(マドリッド近郊、VARのモニタールームはスペイン・サッカー協会施設内にある)に足を向けては眠れない?いやあ、実はこの時、マジョラルはオフサイドでボールを受けていたものの、スルーされたなんて話を聞くと、結局、ラモスのPKが決まり、2-3で逆転負けを喰らったペジェグリーニ監督が、「Penalti, expulsión, el VAR y el Real Madrid juntos es demasiado/ペナルティ、エクスプルシオン、エル・バル・イ・エル・レアル・マドリッド・エス・デマシアドー(ペナルティ、退場処分、VARにレアル・マドリーが一緒に来るのは多すぎる)」と嘆いていたのもわかりますが、この新生ベティス、今季は結構、手ごわそうな感じがします。
そんな、晴れて今季1勝目を挙げたマドリーにはもう補強の予定はないとはいえ、今週はゆっくりしている時間もなく、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)には次節のバジャドリー戦をホームで迎えるんですが、相変わらず、サンティアゴ・ベルナベウは絶賛大改装中でねえ。今季も当分、無観客試合が続くのをいいことに、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場内にあるエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で全て賄うようなんですが、月曜のセッションでは背筋痛でセビージャ遠征参加を急遽、取り止めたマルセロが回復していたのが朗報かと。クロースの方は全治10~15日のケガになるため、復帰は来週から始まる10月の代表戦週間が終わってからになりますが、すでに全体練習に参加しているアザールとアセンシオはそろそろ、招集されるかもしれませんね。
え、それでアトレティコのゴールラッシュがどんな試合だったのか、早く教えてくれって?そうですね、勿体ぶる程のこともないんですが、このプレシーズン、アルメリア(2部)を迎えての変則30分x4ハーフの非公開練習試合しかしていない彼らだったため、私も実戦を見るのは8月のCL準々決勝ライプツィヒ戦以来。その時のゴールがなかなか入らない、痛ましい姿しか、記憶に残っていないせいもあって、開始早々の前半9分、コレアのクロスから、ジエゴ・コスタのヘッドが決まったのに驚かされることに。
更に前半16分には第2FWの位置で先発したジョアン・フェリックスがエリア内でドゥアルテに足を踏まれ、PKを獲得したんですが、キッカーはリスボンで同点ゴールを挙げた彼ではなく、サウールが担当。これがまた、古い話の繰り返しで、昨季のバルサ戦では失敗したコスタの代わりにPKを蹴って、2本共、決めていたにも関わらず、この日はGKルイ・シウバに弾かれてしまう有様なんですよ。リーガで一番、PK成功率が低いクラブという記録を不動のものにしてくれたんですが、まさか、試合が終わる頃にはそんなこと、些末事として忘れ去られているとは、一体、誰が想像したでしょう。
そう、この木曜にELグループリーグ出場の最終関門である予選プレーオフでマルメ(スウェーデン)と戦うため、ソルダードやマチスら、ここまで公式戦4連勝を支えた自慢のレギュラー陣を多数、温存したグラナダがほとんど攻めてこないのをいいことに、後半はアトレティコの独壇場となったんです。早くも2分にはジョアンの上げたクロスをエリア内左から、コレアが決めて2点目をゲットしたかと思えば、20分にはそのコレアのパスをコスタがスルー、後ろにいたジョアンがCBバジェホを切り返しで座らせて、3点目を挙げているとなれば、これはいよいよ、昨年夏の1憶2800万ユーロ(約160億円)の投資が実を結び始めたとほくそ笑んでいたのは決して、ヒル・マリン筆頭株主だけではなかったはず。
これで3-0と、GKオブラクを擁するアトレティコにとっては完全に勝ち試合になりましたから、先週木曜にはPCR検査で2度目の陰性を出し、何とかベンチ入りすることができたシメオネ監督も前線総取っ替えという荒業が可能に。ええ、26分にはコスタ、ジョアン、カラスコに代え、マルコス・ジョレンテ、トマス、そして入団ほやほやのスアレスをピッチに入れたんですが、いや、この元バルサのCF、ファルカオ(現ガラタサライ)以来のゴール量産型エースになってくれるかもしれません。その手始めはほんの1分後のことで、彼がワンタッチで繋いだパスをジョレンテがシュートして、4点目が入っているのには私も呆気に取られるばかりだったかと。
34分にはフェデ・ビコにスアレスがエリア内で倒され、PKが宣告されたため、当人が蹴る気満々でボールを持っていたものの、VARでペナルティが認められなかったのは、この先のPKキッカーの人選を知る機会がなくなったという意味でも残念ですが、とんでもない。これが逆に早く、新チームでゴールデビューして、戦力外のレッテルを貼ったバルサ幹部を見返してやろうという、スアレスの負けん気を刺激したか、40分にはジョレンテのクロスを悠々、頭で決めているんですから、何とも頼もしいじゃないですか。
いやあ、そのすぐ後にはこの夏、ヘタフェから河岸を変え、グラナダで自身2年連続となるELグループリーグ出場を目指しているホルヘ・モリーナがオブラクの前で倒れながら、足だけ上げて決めたゴールで1点を返されてしまったアトレティコでしたけどね。ロスタイムにも1度、ビトロのアシストで放ったシュートが枠に弾かれながら、跳ね返りに自ら駆けつけ、ネットに収めるという、スアレスの飽くなき、ゴールへの執念も見られましたしね。もちろん、昨今の得点がなかなかできない彼らに慣れていた私など、しみったれ根性で次の試合のために少しはゴールを節約しておいた方がいいんじゃないかとチラッと思ったりもしたんですが…いや、このアトレティコはそんな心配とは無縁のチームに生まれ変わった?
ちなみにシメオネ監督は6-1という、彼らにしては滅多にない大量得点で勝利した後、スアレスが2ゴール挙げたことより、彼のアシストやマーク外しの動きなどを賞賛。同時に「Su llegada genera una competencia interna muy buena/ス・ジェガダ・ヘネラ・ウナ・コンペテンシア・インテルナ・ムイ・ブエナ(彼の加入はとてもいいチーム内競争を生む)。今いる23人がそれ相応のプレー時間を受け入れてくれれば、ウチが競っていけるのは確かだ」と、主役の座を与えられないのが不満で、たったの1年半であっさり、ユベントスに移籍してしまったモラタへの当てつけとも取れるような台詞もあったんですけどね。やあ、実際、誰かさんとスアレスはシュート精度に天と地の差があるかも。
ただ、この日は先制ゴールを決め、今季こそは前回在籍した頃の得点力回復に向け、いいスタートを切ったかに見えたコスタに関しては、まだ先行きが決まっていないようで、当人も「クラブや監督と話して、ケガさえなければ、チームのために戦うつもりだけど、もし移籍の可能性があって、それがクラブにとってもいいことなら、その判断に従う」と言っていたんですけどね。巷にはスアレスに続いて、同じウルグアイ代表FWで、PSGを退団してフリーのカバーニも獲得するかもしれないという噂もあるんですが、今年はコロナ禍のせいで、夏の移籍市場が閉まるのも10月5日とまだちょっと先。
それまでどうなるかはわかりませんが、2度続けて当たりが出るのかというのもありますしね。今週は水曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、岡崎慎司選手のいるウエスカのホームを訪れるアウェイ戦、土曜午後4時(同午後11時)からは再び、ワンダ・メトロポリターノで久保建英選手のビジャレアルを迎えるホームゲームと日本のファンも興味を惹かれる試合が続くため、是非とも、もっぱら「Se le veía libre/セ・レ・ベイア・リブレ(のびのびプレーしているように見える)」(シメオネ監督)というジョアンのおかげか、プレーも良くなり、ゴールも入るようになったアトレティコを見てもらいたいと思いますが…なかなか、予想通りにはならないのも彼らの特技なんですよね。
いや、まあ、昨季も弟分のヘタフェ、レガネスに、どちらも地味な1-0でですが、開幕2連勝して、首位に立ち、9月の代表戦のparon(パロン/リーガの中断期間)に入りながら、その後は尻つぼんでしまったアトレティコですから、まだ全然、信用なんてできないんですけどね。今季も3節終了後の首位は2勝しているベティスとグラナダと、少なくとも5試合ぐらいはやってみないと、どのチームが本当に強いのかもわからないんですが、とりあえず、話を順番にしていくことにすると。8月にヨーロッパの大会に参加していたため、リーガのスタートが遅れていたマドリッドの1部3チームがいよいよ、揃い踏みした先週末の3節、トップバッターを飾ったのはヘタフェ。初戦となった2節でオサスナに1-0で勝利した後、アラベスとのアウェイゲームを迎えたんですが…。
うーん、まだ、コロナ流行下の特別措置として続いているベンチ入り23名のリストを満たすだけの選手が揃ってないせいもあるんですかね。一応、FWだけはマタ、アンヘルに新加入のクーチョ(マジョルカから移籍)、ウナル・エネル(同ビジャレアル)と4人いるボルダラス監督のチームなんですが、どうにもゴールが決まらず。アラベスも昨季の後半、ヘタフェにレンタル移籍していたデイベルソンがチャンスを作ったものの、最後はスコアレスドローと、開幕2連敗していた向こうが一息ついたという形でしたが、何せ、今週はミッドウィーク開催節がありますからね。早くも火曜にはコリセウム・アルフォンソ・ペレスでベティス戦となるんですが、それまでに補強選手が到着する兆しもないため、ここはお馴染みの面々に頑張ってもらうしかなさそうです。
ええ、キャプテンのセルヒオ・ラモスも「1点目が入った後、inconscientemente hicimos una línea defensiva, regalamos el balón/インコンシエンテメンテ・イシモス・ウナ・リネア・デフェンシバ、レガラモス・エル・バロン(ボクらは無意識に守る方に傾いて、相手にボールを贈ってしまった)」と言っていたように、お隣さんの十八番を真似されてもねえ。それも相手が昨季のベティスだったら、まだ大丈夫だったのかもしれませんが、ペジェグリーニ監督が赴任してからの彼らは、メンバーはそう変わらなくともチームとしてはまったくの別物。諦めずに攻め続けたおかげで、34分にはCKを起点にカナレスのクロスをメンディがヘッドで叩き込むと、その3分後にもカルバーリョのゴールが決まって、前半中に逆転されてしまったから、驚いたの何のって。
おまけにハーフタイム入り直前にはクロースが臀部の負傷でモドリッチと交代という不運にも見舞われたマドリーでしたが、後半にはVAR(ビデオ審判)という名のツキが巡ってきたんですよ。ええ、再開早々、3分にカルバハルが入れたラストパスに向かったベンゼマはエメルソンに先んじられ、オウンゴールで殊勲の同点弾を奪われてしまいましたが、そのスタート位置にかけられたオフサイドの疑いはVARのラインにより解消。22分にエメルソンがボールを持ってゴールに向かうヨビッチを後ろから倒したプレーについても、審判がリプレーをピッチ脇のモニターで見てくれたため、GK前、最後のDFのファールとして、レッドカードを出してもらえましたしね。
かてて加えて、39分など、次のプレーが始まっていたにも関わらず、遡って、エリア内でボルハ・マジョラルとバルトラがボールを争った際、ベティスのDFのハンドがあったことが発覚しているとなれば、もうジダン監督もラス・ロサス(マドリッド近郊、VARのモニタールームはスペイン・サッカー協会施設内にある)に足を向けては眠れない?いやあ、実はこの時、マジョラルはオフサイドでボールを受けていたものの、スルーされたなんて話を聞くと、結局、ラモスのPKが決まり、2-3で逆転負けを喰らったペジェグリーニ監督が、「Penalti, expulsión, el VAR y el Real Madrid juntos es demasiado/ペナルティ、エクスプルシオン、エル・バル・イ・エル・レアル・マドリッド・エス・デマシアドー(ペナルティ、退場処分、VARにレアル・マドリーが一緒に来るのは多すぎる)」と嘆いていたのもわかりますが、この新生ベティス、今季は結構、手ごわそうな感じがします。
そんな、晴れて今季1勝目を挙げたマドリーにはもう補強の予定はないとはいえ、今週はゆっくりしている時間もなく、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)には次節のバジャドリー戦をホームで迎えるんですが、相変わらず、サンティアゴ・ベルナベウは絶賛大改装中でねえ。今季も当分、無観客試合が続くのをいいことに、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場内にあるエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で全て賄うようなんですが、月曜のセッションでは背筋痛でセビージャ遠征参加を急遽、取り止めたマルセロが回復していたのが朗報かと。クロースの方は全治10~15日のケガになるため、復帰は来週から始まる10月の代表戦週間が終わってからになりますが、すでに全体練習に参加しているアザールとアセンシオはそろそろ、招集されるかもしれませんね。
え、それでアトレティコのゴールラッシュがどんな試合だったのか、早く教えてくれって?そうですね、勿体ぶる程のこともないんですが、このプレシーズン、アルメリア(2部)を迎えての変則30分x4ハーフの非公開練習試合しかしていない彼らだったため、私も実戦を見るのは8月のCL準々決勝ライプツィヒ戦以来。その時のゴールがなかなか入らない、痛ましい姿しか、記憶に残っていないせいもあって、開始早々の前半9分、コレアのクロスから、ジエゴ・コスタのヘッドが決まったのに驚かされることに。
更に前半16分には第2FWの位置で先発したジョアン・フェリックスがエリア内でドゥアルテに足を踏まれ、PKを獲得したんですが、キッカーはリスボンで同点ゴールを挙げた彼ではなく、サウールが担当。これがまた、古い話の繰り返しで、昨季のバルサ戦では失敗したコスタの代わりにPKを蹴って、2本共、決めていたにも関わらず、この日はGKルイ・シウバに弾かれてしまう有様なんですよ。リーガで一番、PK成功率が低いクラブという記録を不動のものにしてくれたんですが、まさか、試合が終わる頃にはそんなこと、些末事として忘れ去られているとは、一体、誰が想像したでしょう。
そう、この木曜にELグループリーグ出場の最終関門である予選プレーオフでマルメ(スウェーデン)と戦うため、ソルダードやマチスら、ここまで公式戦4連勝を支えた自慢のレギュラー陣を多数、温存したグラナダがほとんど攻めてこないのをいいことに、後半はアトレティコの独壇場となったんです。早くも2分にはジョアンの上げたクロスをエリア内左から、コレアが決めて2点目をゲットしたかと思えば、20分にはそのコレアのパスをコスタがスルー、後ろにいたジョアンがCBバジェホを切り返しで座らせて、3点目を挙げているとなれば、これはいよいよ、昨年夏の1憶2800万ユーロ(約160億円)の投資が実を結び始めたとほくそ笑んでいたのは決して、ヒル・マリン筆頭株主だけではなかったはず。
これで3-0と、GKオブラクを擁するアトレティコにとっては完全に勝ち試合になりましたから、先週木曜にはPCR検査で2度目の陰性を出し、何とかベンチ入りすることができたシメオネ監督も前線総取っ替えという荒業が可能に。ええ、26分にはコスタ、ジョアン、カラスコに代え、マルコス・ジョレンテ、トマス、そして入団ほやほやのスアレスをピッチに入れたんですが、いや、この元バルサのCF、ファルカオ(現ガラタサライ)以来のゴール量産型エースになってくれるかもしれません。その手始めはほんの1分後のことで、彼がワンタッチで繋いだパスをジョレンテがシュートして、4点目が入っているのには私も呆気に取られるばかりだったかと。
34分にはフェデ・ビコにスアレスがエリア内で倒され、PKが宣告されたため、当人が蹴る気満々でボールを持っていたものの、VARでペナルティが認められなかったのは、この先のPKキッカーの人選を知る機会がなくなったという意味でも残念ですが、とんでもない。これが逆に早く、新チームでゴールデビューして、戦力外のレッテルを貼ったバルサ幹部を見返してやろうという、スアレスの負けん気を刺激したか、40分にはジョレンテのクロスを悠々、頭で決めているんですから、何とも頼もしいじゃないですか。
いやあ、そのすぐ後にはこの夏、ヘタフェから河岸を変え、グラナダで自身2年連続となるELグループリーグ出場を目指しているホルヘ・モリーナがオブラクの前で倒れながら、足だけ上げて決めたゴールで1点を返されてしまったアトレティコでしたけどね。ロスタイムにも1度、ビトロのアシストで放ったシュートが枠に弾かれながら、跳ね返りに自ら駆けつけ、ネットに収めるという、スアレスの飽くなき、ゴールへの執念も見られましたしね。もちろん、昨今の得点がなかなかできない彼らに慣れていた私など、しみったれ根性で次の試合のために少しはゴールを節約しておいた方がいいんじゃないかとチラッと思ったりもしたんですが…いや、このアトレティコはそんな心配とは無縁のチームに生まれ変わった?
ちなみにシメオネ監督は6-1という、彼らにしては滅多にない大量得点で勝利した後、スアレスが2ゴール挙げたことより、彼のアシストやマーク外しの動きなどを賞賛。同時に「Su llegada genera una competencia interna muy buena/ス・ジェガダ・ヘネラ・ウナ・コンペテンシア・インテルナ・ムイ・ブエナ(彼の加入はとてもいいチーム内競争を生む)。今いる23人がそれ相応のプレー時間を受け入れてくれれば、ウチが競っていけるのは確かだ」と、主役の座を与えられないのが不満で、たったの1年半であっさり、ユベントスに移籍してしまったモラタへの当てつけとも取れるような台詞もあったんですけどね。やあ、実際、誰かさんとスアレスはシュート精度に天と地の差があるかも。
ただ、この日は先制ゴールを決め、今季こそは前回在籍した頃の得点力回復に向け、いいスタートを切ったかに見えたコスタに関しては、まだ先行きが決まっていないようで、当人も「クラブや監督と話して、ケガさえなければ、チームのために戦うつもりだけど、もし移籍の可能性があって、それがクラブにとってもいいことなら、その判断に従う」と言っていたんですけどね。巷にはスアレスに続いて、同じウルグアイ代表FWで、PSGを退団してフリーのカバーニも獲得するかもしれないという噂もあるんですが、今年はコロナ禍のせいで、夏の移籍市場が閉まるのも10月5日とまだちょっと先。
それまでどうなるかはわかりませんが、2度続けて当たりが出るのかというのもありますしね。今週は水曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、岡崎慎司選手のいるウエスカのホームを訪れるアウェイ戦、土曜午後4時(同午後11時)からは再び、ワンダ・メトロポリターノで久保建英選手のビジャレアルを迎えるホームゲームと日本のファンも興味を惹かれる試合が続くため、是非とも、もっぱら「Se le veía libre/セ・レ・ベイア・リブレ(のびのびプレーしているように見える)」(シメオネ監督)というジョアンのおかげか、プレーも良くなり、ゴールも入るようになったアトレティコを見てもらいたいと思いますが…なかなか、予想通りにはならないのも彼らの特技なんですよね。
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ラ・リーガ第19節、アトレティコ・マドリーvsオサスナが12日にリヤド・エア・メトロポリターノで行われ、ホームのアトレティコが1-0で勝利した。 2024年最終戦となったバルセロナとの頂上決戦を劇的な2-1の逆転勝利で飾った2位のアトレティコ。さらに、新年初戦となったコパ・デル・レイ3回戦では3部のマルベーリャ相手に苦戦も、きっちりウノセロ勝利。白星で2025年をスタートするとともに公式戦13連勝とした。 直近6戦未勝利で10位のオサスナをホームで迎え撃った前半戦ラストマッチではバルセロナ戦から先発2人を変更。ジョレンテとヒメネスに代えてモリーナ、ル・ノルマンを起用。前線には引き続きアルバレスとグリーズマンが並んだ。 立ち上がりからエンジン全開のホームチームが攻勢を仕掛けていく。7分には右のポケットを取ったモリーナの折り返しをニアに飛び込んだグリーズマンが身体ごとボールに合わせてゴールネットを揺らすが、ここはやや意図的に肘でボールにアタックした感もあってオンフィールド・レビューの末にノーゴールの判定に。 さらに、13分にはジュリアーノ・シメオネが快足を飛ばしてボックス右に持ち込んで正確な折り返しを入れるが、中央のアルバレスのワンタッチシュートは力なくGKにキャッチされた。 前半20分を過ぎた辺りからオサスナに押し返されてクロスやセットプレーで際どい場面も作られたアトレティコだったが、試合の主導権は渡さない。28分にはデ・パウルの浮き球パスに反応したアルバレスのヘディングシュートでゴールに迫るが、これはGKの好守に阻まれた。 前半終盤にかけて膠着状態に陥った試合はゴールレスのまま後半に折り返した。シメオネ監督はギャラガーを下げてハーフタイム明けにリーノを投入。両サイドにドリブラーを配置し、攻勢を強めていく。 流れの中では決定機まであと一歩という状況は変わらずも、セットプレーからゴールをこじ開ける。55分、右CKの場面でショートコーナーからグリーズマンがファーサイドへ絶妙なクロスを入れると、競り勝ったラングレの丁寧なヘディングでの落としを、ゴール前のアルバレスが抑えの利いたボレーシュートで突き刺した。 後半立ち上がりに先制したホームチームはオサスナの出方を窺いつつ、よりゲームコントロールを優先した戦い方にシフト。カウンターを軸に追加点を狙う一方、相手が攻撃的なカードを切って布陣を変更すると、ジョレンテやアンヘル・コレアと献身的な守備とカウンター時の推進力に優れるタレントをピッチに送り出した。 攻撃面ではその狙いは嵌らずも、安定したゲームクローズでオサスナの終盤の攻撃を冷静に撥ね返し続け、代名詞のウノセロで逃げ切った。この結果、クラブ新記録となる公式戦14連勝を達成したコルチョネロスはレアル・マドリーを抜き前半戦を首位でフィニッシュした。 アトレティコ・マドリー 1-0 オサスナ 【アトレティコ】 フリアン・アルバレス(後10) 2025.01.13 02:29 Mon4
誉れ高き背番号14、名手グティがマドリー時代を回想「…へ移籍する可能性もあった」
元レアル・マドリーのグティ氏が現役時代を振り返った。スペイン『Relevo』が伝えている。 エル・ブランコのレジェンド、グティ氏。ほぼ左足一本での優雅なプレー、決定的なスルーパスの数々がファンを魅了し、そのルックスも女性人気を博した、比類なきスター選手だった。 引退から12年、現役フットボーラーにも多くのファンを持つ氏は、スペイン『El Chiringuito』へのゲスト出演で現役時代を振り返り、2006年に宿敵へ移籍する可能性もあったと明かす。 「アトレティコ・マドリーに行くことができた時期もあった。そうだよ、これは真実だ。ヒル・マリン(アトレティコCEO)が僕のファンでね。彼と何度も協議した」 「マドリーもアトレティコからパブロ・イバニェス(※1)を欲しがっていてね。ケガをしていた私には手術を受けさせようとしていて、だが結局パブロはマドリーに来ず、私も手術しなかった」 (※1)元スペイン代表DF。2006年ドイツW杯に出場したセンターバック パブロ・イバニェス氏と自身の実質的なトレード案がクラブ間で存在したと明かしたグティ氏。「実現しなくてよかった」と当時を振り返る。 「私はマドリーの一員として、ビセンテ・カルデロン(アトレティコの旧本拠地)での試合でタイトルを獲ったこともあるしね。あの素晴らしい夜を今でもよく覚えている。パブロがマドリーへ、私がアトレティコへ。そんなことがあれば、どちらのファンも嫌な思いをしたはずだ」 マドリーからアトレティコへ移籍した近年の代表格は、スペイン代表MFマルコス・ジョレンテ。ジョレンテはマドリーの下部組織出身だが、トップチームで成功を掴む前の移籍であり、少年時代はアトレティコ所属。 2006年当時、すでにマドリーを象徴する1人だったグティ氏がアトレティコへ移籍すれば、世紀の大事件だっただろう。 2024.05.02 19:30 Thu5