サガン鳥栖は歴史を繰り返すのか/六川亨の日本サッカーの歩み
2020.05.04 21:00 Mon
再開の目処が立たないJリーグに関し、将来的なスポンサー離れなどネガティブな報道が増えてきたのは仕方のないことだろう。特にここ1週間は、先月26日に株主総会と19年度決算報告を行い、約20億1486万9000円の赤字を計上したサガン鳥栖の経営状況について悲観的な報道が目立つ。
鳥栖が経営危機に陥ったのは、収入の2本柱である入場料収入が今シーズンは未定であることに加え、ここ数年で大手スポンサーであるCygamesとDHCが撤退したことが指摘されていた。2018年には推定年俸8億円でフェルナンド・トーレスを獲得。彼以外にも多くの選手と複数年契約を結んだり、期限付き移籍ではなく完全移籍で選手を獲得したりするなど、チームの人件費の高騰がクラブの経営を圧迫したと複数のメディアが報じていた。
深刻な経営難に陥っている鳥栖に果たして“未来”はあるのか。
鳥栖はその歴史の中で、一度は取締役会の決定で“解散”したクラブでもある。前身は静岡県浜松市をホームタウンにする「PJMフーチャーズ」というチームだった。元々はJSL(日本サッカーリーグ)の本田技研の監督を務めていた桑原勝義(現JFL理事長)が浜松に「クワバラ・スポーツクラブ」を設立。理念は一貫指導により「2002年のW杯に出場する日本代表選手を育成する」ことだった。
そして1987年、能力開発システムのPJMジャパンの社長である有田平が、桑原の夢を実現するためにはトップチームを持つことを提案されたことで全面バックアップを約束。子供の未来(フーチャー)を創る夢のトップチームという意味で「PJMフーチャーズ」と名付けた。
Jリーグ初年度のメンバーに選ばれたのは清水で、本田技研はプロ入りからの撤退を表明。フーチャーズはヤマハとともにJリーグ入りを目指したが、91年に有田の故郷である佐賀県からホームタウンの誘致があり、地域の活性化の必要を感じていた鳥栖市が手を上げた。
93年、Jリーグの開幕した年にフーチャーズは鳥栖への移転とJリーグ準会員加盟を申請する。翌年には満場一致で準会員加盟が承認された。そしてチーム名も「鳥栖フーチャーズ」に変更し、96年には鳥栖駅前に約2万人収容の鳥栖スタジアムも完成した。
しかし「好事魔多し」とはよく言ったもので、96年11月、PJMジャパンがチームからの撤退を表明。3年連続してJ昇格を逃したチームには12億円の負債が残った。97年元旦の天皇杯決勝ではサポーターが存続のための署名活動を実施。その数は5万人を超えた。寄付金も300万円が集まった。
それでも1月31日の株主総会で「解散」が決定した。ところが翌2月1日、Jリーグは臨時実行委員会で、準会員の資格こそ失うものの「超法規的措置」としてヤマザキ・ナビスコカップへの出場とJFLへの参戦を認め、スタッフの派遣も決定した。
川淵三郎チェアマンは「5万人以上の署名を集め、地元に根ざしたクラブチーム継続の強い希望があった」と語ったように、5万人以上の署名が「人の心」を動かした結果と言える。新チームの名前は「佐賀」の「鳥栖」という意味の方言である「サガン鳥栖」に決まった。
新組織の代表には県サッカー協会の中村安昭が就任し、日産で実行委員としてチームの強化に携わり、Jリーグフォトの専務でもあった熊地洋二(その後、群馬や大分でも再建に尽力)がアドバイザーとして新チームの立ち上げに尽力した。
そして98年には翌シーズンからのJ2リーグ加盟が承認された。
同じ年の11月に、横浜フリューゲルスの出資会社である佐藤工業が経営不振によりクラブ運営から撤退を表明し、もう1つの出資会社である全日空も赤字から単独でクラブを運営することができず、横浜Mに吸収合併されたのは皮肉な結果だろう。その後、横浜FCが誕生したとはいえ、元フリューゲルスサポーターからしたら複雑な心境かもしれない(鳥栖の場合は新チーム創設が、横浜Fの場合は合併が前提で話し合われたからと噂された)。
さて鳥栖に話を戻すと、J2を主戦場にしながらも経営難とクラブ運営のゴタゴタは毎年のように続き、Jリーグからは「除名や退会勧告もやむをえない」と鈴木昌チェアマンに言われたこともある。ようやく2005年、佐賀県出身の元映像ディレクターで、人材ネットワーク会社「クリーク・アンド・リバー社」を経営する井川幸広が経営権を握ったことでチームは安定飛行に移り、2012年には念願のJ1昇格を果たした。
以上、簡単に鳥栖の歴史を振り返ったが、PJMというスポンサーの撤退により市民クラブとして再スタートを切ったものの、2015年にCygamesがスポンサーについたことで経営が安定したからか、竹原社長は人件費の高騰を承知でチーム強化に努めた。その結果が約20億円の赤字であり、新型コロナウイルスがそれに追い打ちをかけた。果たして同氏の挑戦は夢のまま終わるのか、それとも新たな未来があるのだろうか。
鳥栖が経営危機に陥ったのは、収入の2本柱である入場料収入が今シーズンは未定であることに加え、ここ数年で大手スポンサーであるCygamesとDHCが撤退したことが指摘されていた。2018年には推定年俸8億円でフェルナンド・トーレスを獲得。彼以外にも多くの選手と複数年契約を結んだり、期限付き移籍ではなく完全移籍で選手を獲得したりするなど、チームの人件費の高騰がクラブの経営を圧迫したと複数のメディアが報じていた。
深刻な経営難に陥っている鳥栖に果たして“未来”はあるのか。
そして1987年、能力開発システムのPJMジャパンの社長である有田平が、桑原の夢を実現するためにはトップチームを持つことを提案されたことで全面バックアップを約束。子供の未来(フーチャー)を創る夢のトップチームという意味で「PJMフーチャーズ」と名付けた。
元本田技研の選手で構成されたフーチャーズは強かった。1994年のJSL入りを目標に掲げていたが、創部3年目の89年に風向きが変わる。日本はプロリーグの設立に舵を切ったのだ。当然フーチャーズもプロ入りに目標を変えたが、当時の静岡ではヤマハ、本田、県リーグの清水クラブ(現エスパルス)が立候補する最激戦区だった。
Jリーグ初年度のメンバーに選ばれたのは清水で、本田技研はプロ入りからの撤退を表明。フーチャーズはヤマハとともにJリーグ入りを目指したが、91年に有田の故郷である佐賀県からホームタウンの誘致があり、地域の活性化の必要を感じていた鳥栖市が手を上げた。
93年、Jリーグの開幕した年にフーチャーズは鳥栖への移転とJリーグ準会員加盟を申請する。翌年には満場一致で準会員加盟が承認された。そしてチーム名も「鳥栖フーチャーズ」に変更し、96年には鳥栖駅前に約2万人収容の鳥栖スタジアムも完成した。
しかし「好事魔多し」とはよく言ったもので、96年11月、PJMジャパンがチームからの撤退を表明。3年連続してJ昇格を逃したチームには12億円の負債が残った。97年元旦の天皇杯決勝ではサポーターが存続のための署名活動を実施。その数は5万人を超えた。寄付金も300万円が集まった。
それでも1月31日の株主総会で「解散」が決定した。ところが翌2月1日、Jリーグは臨時実行委員会で、準会員の資格こそ失うものの「超法規的措置」としてヤマザキ・ナビスコカップへの出場とJFLへの参戦を認め、スタッフの派遣も決定した。
川淵三郎チェアマンは「5万人以上の署名を集め、地元に根ざしたクラブチーム継続の強い希望があった」と語ったように、5万人以上の署名が「人の心」を動かした結果と言える。新チームの名前は「佐賀」の「鳥栖」という意味の方言である「サガン鳥栖」に決まった。
新組織の代表には県サッカー協会の中村安昭が就任し、日産で実行委員としてチームの強化に携わり、Jリーグフォトの専務でもあった熊地洋二(その後、群馬や大分でも再建に尽力)がアドバイザーとして新チームの立ち上げに尽力した。
そして98年には翌シーズンからのJ2リーグ加盟が承認された。
同じ年の11月に、横浜フリューゲルスの出資会社である佐藤工業が経営不振によりクラブ運営から撤退を表明し、もう1つの出資会社である全日空も赤字から単独でクラブを運営することができず、横浜Mに吸収合併されたのは皮肉な結果だろう。その後、横浜FCが誕生したとはいえ、元フリューゲルスサポーターからしたら複雑な心境かもしれない(鳥栖の場合は新チーム創設が、横浜Fの場合は合併が前提で話し合われたからと噂された)。
さて鳥栖に話を戻すと、J2を主戦場にしながらも経営難とクラブ運営のゴタゴタは毎年のように続き、Jリーグからは「除名や退会勧告もやむをえない」と鈴木昌チェアマンに言われたこともある。ようやく2005年、佐賀県出身の元映像ディレクターで、人材ネットワーク会社「クリーク・アンド・リバー社」を経営する井川幸広が経営権を握ったことでチームは安定飛行に移り、2012年には念願のJ1昇格を果たした。
以上、簡単に鳥栖の歴史を振り返ったが、PJMというスポンサーの撤退により市民クラブとして再スタートを切ったものの、2015年にCygamesがスポンサーについたことで経営が安定したからか、竹原社長は人件費の高騰を承知でチーム強化に努めた。その結果が約20億円の赤字であり、新型コロナウイルスがそれに追い打ちをかけた。果たして同氏の挑戦は夢のまま終わるのか、それとも新たな未来があるのだろうか。
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