全てが止まっている…/原ゆみこのマドリッド

2020.04.09 15:45 Thu
Getty Images
「いくら何でもこれはないわよね」そんな風に私が肩をすくめていたのは水曜日、カナリア諸島のホテルチェーンがリーガの残り試合を1部、2部の全てのチームを集め、当地で集中開催しないかというオファーをリーガ協会とサッカー協会に送ったというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、最近の話の進み具合では、選手たちは真夏にプレーすることになるため、6、7、8月でも気温30度を超えない大西洋のリゾートアイランドはコンディション的にはいい選択だと思うんですけどね。

一方で1月30日にスペイン初の新型コロナウィルス感染者が発見されたあちらでは、その分、イベリア半島より早くピークアウトを迎える予定。島だけに人の出入りのコントロールもしやすいと、Estado de Alarma(エスタードー・デ・アラルマ/警戒態勢)宣言以降、閉鎖を余儀なくされているホテル業界の巻き返しの試みのようですが、あのお、プレミアリーグがロンドンに集結、セリエAもローマで開催という案の後追いをするのはいいですが、残り11節、1部だけでも110試合をこなせるだけのスタジアムがカナリア諸島にあるんですか?

ちなみに今季、そちらをホームとするチームは1部にはなく、2部のラス・パルマスとテネリフェだけ。こちらの本拠地は使えるとしても果たして、全てのチームが満足する練習グラウンドを得られるかどうかは不明です。もちろんヨーロッパを代表する観光地とあって、各選手、スタッフが家族を連れていったとて、宿泊施設には事欠かないはずですけどね。ほぼ45日間余りも島に缶詰というのはちょっと気の毒かと。
え、それにしても試合もないのに連日、リーガ協会、サッカー協会、AFE(サッカー選手の労働組合)のTV会議が開かれているのは一体、何を揉めているのかって?いやあ、さすがリーガが中断して1カ月にもなると、どのクラブも収入がまったくないことが深刻な問題になっていて、その経営危機を乗り越えるため、選手たちの給料を減額する方向で話し合いが進行。ところが、ラ・リーガのテバス会長曰く、このまま今季が打ち切りとなると10億ユーロ(約1200億円)、残りを無観客試合にして終わると3億5000万ユーロ(約417億円)、普通に行っても1憶5000万ユーロ(約180億円)の損失が出るということで、その半分相当を選手の年棒カットで穴埋めしてほしいという案がAFEの猛反対を受けることに。

ええ、一部ではバルサやアトレティコなど、先にERTE(不況時の雇用調整法)を申請して、選手たちと試合中断中は70%の月給減額で同意を取り付けたクラブもあるんですが、AFEが打ち切りの場合は年棒20%のカット、非公開試合なら10%のカットまでしか認めないという主張をしているため、ずっと平行線を辿っているのだとか。ただ、ライバルに比べて、ゆとり財政を誇っているレアル・マドリーにしても水曜には10~20%の年棒減額をサッカーとバスケットボールのトップチームの選手たちと取り決めましたからね。
中にはクロースのように、「給料は満額受け取って、それぞれが正しいと思うやり方で使うのがいいと自分は思う。今、助けを必要としているところは沢山あるし、減給は空しい寄付にしかならない」と意見していた選手もいましたけどね。でも、そのお給料を払ってくれているクラブが潰れてしまっては元も子もないですし、メッシなど、給料カットにも関わらず、100万ユーロ(約1憶2000万円)を病院に寄付したりしていますから、この非常時、あまりケチ臭いことを言っても仕方ありませんって。

その一方でマドリッドの2部の弟分、フエンラブラダなどは選手たちに年棒を100%払うことを約束する代わりに、リーガが6月末日以降も続いた場合、全試合終了するまで、追加報酬なしでプレーするように求めたため、正GKのビエル・リバスにそんなのとんでもないと逃げられてしまったりしていましたけどね。選手たちに感染の危険が完全になくなるまでプレーしたくないAFEとは、再開の時期もなかなか一致を見ず、結局、同意があったのは夏の暑さを考慮して、前半、後半に2度ずつ、お水休憩をはさむことだけだったそうです。

うーん、スペイン全土の警戒態勢が9日終了予定から、26日まで延長になってもテバス会長には最短で5月29日、でなければ6月6日、最悪の場合は6月28日という心つもりがあるようなんですけどね。早期再開なら、CL、ELの残り試合と並行して、6月末にもつれ込んだ時はヨーロッパの試合を8月に開催してもらうことになると、火曜には海外メディアに語っていたんですが、それもこれも8日間、死者800人以上(900人以上も2日あった)を記録した後、せっかく2日間は600人台で推移、その後また700人以上とコロナの犠牲者が高止まりしている現状では何を話しても獲らぬ狸の皮算用。

昨年、心臓発作を起こした後、今季限りで現役を引退し、サッカー協会会長に立候補する意志を表明したカシージャス(ポルト)など、「Llevas la competicion a ano natural?/ジェバス・ラ・コンペティシオン・ア・アーニョ・ナトゥラル(今季の終了を1年の終わりにするのは?)。あと3、4カ月もすれば良くなるなら、それから残り試合を消化して、コパ・デル・レイ決勝やCL、ELの決勝も12月にやればいい。次のW杯は2022年11月なんだし」と自身のツィッターで提案してましたけどね。来年の夏は延期されたユーロやオリンピックもありますし、もしそうなると、いつ失われた1シーズンをやればいいんだという話にならない?

その辺は莫大なTV放送権料なども絡んでくる上、一応、FIFAからは今季が終了するまでは、6月に契約が終わる選手も現在所属するクラブと延長契約して、次のクラブとの契約より優先されるべきという勧告が出たとはいえ、半年はあまりに長いですしね。大体、延長契約については個々の選手と取り決めないといけないですし、7、8月にプレーして、長期負傷となった際の扱いとか、微妙な問題もあるため、いろいろややこしいようですが、さて。

そして先週の金曜には25人のトップチーム選手全員とジダン監督がビデオチャットをするなど、明るい話題もあったレアル・マドリーとは対照的に週明け早々、悲報に見舞われたのがアトレティコで何と、1996年にリーガとコパ・デル・レイのdoblete(ドブレテ/2冠優勝)をクラブにもたらしたアンティッチ監督が71才で帰らぬ人に。ずっとすい臓ガンを患っていたそうで、コロナと直接の関係はないかもしれないんですけどね。実際、2010年にELに優勝した年にはカンプ・ノウでのコパ決勝でセビージャに負け、リーガ優勝した2014年にはCL決勝でお隣さんに負けるのを目にしている私としては、あのクラブがどうやって1シーズンに2度も優勝できたのか、不思議でたまりませんが、そのアンティッチ監督の下、選手として2冠を経験しているシメオネ監督なら、そのうち再現してくれるかもしれない?

その他にもアトレティコではカポン(72才)、ペイロ(84才)、水曜にもミゲール・ジョンズ(81才)と、歴代の名選手がコロナによる肺炎で何人も亡くなっていて、クラブは試合が再開したら、ワンダ・メトロポリターノで全員に敬意を表すセレモニーを行うそうですが、それも一体、いつのことになるのやら。いよいよ、このparon(パロン/リーガの中断期間)も通常のバケーション並みの長さになってきましたしね。となると再開前のミニプレシーズンも2週間から3週間に増えそうなのも何ですが、今はそれまでにウィルスの犠牲者が更に増えないよう、外出制限のせいで引きこもり状態になっている私も祈るしかありません。

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