南野拓実のデビュー戦、日本の“KOP”はどう観た!? 本国メディアが取材の観戦会に潜入
2020.01.06 22:00 Mon
日本サッカー界にとって、新たな歴史の幕開けとも言えるだろう。ザルツブルクから移籍した日本代表MF南野拓実が、新天地・リバプールでいきなりデビューを果たした。その舞台は、プレミアリーグではなくFAカップ3回戦であったが、もしかしたらリーグ戦デビューよりも大きな意味を持った試合かもしれない。相手は、同じ街のライバル・エバートン。“マージーサイド・ダービー”でのデビューは、世界最高峰のセンターバックと評価され、2019年のバロンドールで最終候補にも残ったオランダ代表DFヴィルヒル・ファン・ダイクと同じ道を歩んでいる。これは期待の表れととってもいいだろう。
そんな南野のデビュー戦には、日本のみならずイングランドでも注目が集まった。リバプールの公式サポーターズクラブ「Liverpool Supporter Club Japan(LSCJ)」は、観戦会を実施。場所は、リバプールの観戦会をよく行っている恵比寿のパブ『EPILOGUE』だった。観戦会中の入り口には「KOP ONLY」と張り紙が貼られるほどの店だ。(※「KOP」とはリバプールサポーターのこと。本拠地アンフィールドのスタンドの名前が由来)

加えて、この観戦会にはイギリス本国の国営放送『BBC』とイギリスメディア『Squawka』の取材が入ることとなった。南野の加入時には地元紙『Liverpool Echo』から取材を受けるなど、クラブ史上初の日本人選手の獲得には本国も注目していることが良くわかる。そんなこともあってか、新年の仕事始めとなるであろう当日の未明に50人を超える「KOP」が観戦会に集まったのだ。リバプールサポーターの熱さが分かる。
キックオフの1時間ほど前、5日の24時に会場へ到着すると、すでに店の半分ほどがサポーターで埋まっていた。キックオフ30分前にはすでに満員に近い状態となり、立ち見で試合開始を待つ人も多かった。
試合前には、サポーター同士がお酒を飲みながら談笑。すでに南野がスターティングメンバーとしてデビューすることは発表されており、どのポジションで起用されるのか、若手主体のチームにおける立ち位置などを、思い思いに話し時間を潰していた。

とはいえ、相手はエバートン。南野のデビュー戦に向けた期待以上に、チャンピオンズリーグではナポリの指揮官としてリバプールを苦しめたカルロ・アンチェロッティ監督率いるチームがベストメンバーで臨んできたことで、カラバオカップ(ELFカップ)のアストン・ビラ戦の二の舞にならないかと若干の不安も。しかし、ここで『Squawka』の取材カメラの要望で『You’ll Never Walk Alone』を合唱することに。別の緊張感が漂う中、50名を超えるサポーターの大合唱で、試合への熱を取り戻していった。
試合直前、ピッチに出る準備をしている選手の中にいる南野がカメラに抜かれると大きな歓声が。スターティング11に並ぶ「Minamino」という文字を見れば、既に分かっていたことでありながら再び大歓声。リバプールを愛して応援し続けてきたサポーターにとって、自身が応援しているクラブに日本人選手が加入したことの感動、その凄さに感激している雰囲気が、会場全体から感じられた。
70分に南野がアレックス・オックスレイド=チェンバレンと交代になった際には、「あぁ〜」という声が漏れるも、直後に拍手が。短い準備期間の中でも、精一杯自分の持ち味を出した南野にサポーターも満足。一方で、現地サポーターからも拍手が送られ、ピッチサイドで待っていたユルゲン・クロップ監督の表情も満足げに見えた。
試合は南野が交代した直後の71分にユースから上がってきた注目の若手、カーティス・ジョーンズがボックス外からスーパーゴールを叩き込み先制。このゴールが決勝点となり、リバプールは無事ライバル・エバートンを下して4回戦に駒を進めた。

南野のデビューを観られたこと、そして若手中心のメンバーでフルメンバーのエバートンに勝てたこと等、サポーターとしてもチームとしてもポジティブな要素の多い試合となり、試合後の観戦会会場は笑顔に溢れていた。
LSCJの代表を務める田丸さんは南野について「クロップがプレミア未経験の新加入選手をいきなりスタメン起用するのは異例のことなので、まずはスタメンだったことに驚きましたが、それほどまでにクロップからの信頼を得ているということがわかりました」と先発起用に驚いたと語り、プレーについては「3回しかトレーニングに参加していなかったことを考えれば、十分な出来だったのではないでしょうか。動きにキレがありましたし、クロップサッカーの代名詞である前線からの激しいプレッシングも当たり前のようにやっていましたから、クロップにとっては、自分のサッカーを理解し、それを体現できる選手だということを確認できただけでも十分だったのではないでしょうか」とピッチで見せたプレーにも好印象を持ったと語ってくれた。
また、南野加入時に『Liverpool Echo』から取材を受けたItatsuさんは南野のパフォーマンスについて「良かった。最も目立ったのはカーティス・ジョーンズやエリオットだろうが、オフェンスの選手で言えばその次の位置付けくらいによくできていた。?守備ではよく走り、攻撃ではとにかく裏を狙い続けた。いずれも少なくない脅威を相手に与えていた」とコメント。「中央に絞って2,3人で連携してプレスをはがす際のテンポを作ってるシーンもあった。周囲の味方をコントロールしプレーメイクていたとさえ感じた」とデビュー戦での出来栄えに驚いた様子だった。
また、「初めてのプレミア、初めてのアンフィールド、初めてのマージーサイド・ダービーで初出場が初スタメンという状況にも臆することなくプレーしていた」と特別な試合でのデビューにも臆さなかった南野を評価するItatsuさん。「特にネガティブトランジションへの意識の高さは流石だなと感じた。パス要求する仕草は幾度もみられたがボールが相手に渡った瞬間、素早く詰めていた」と守備面での貢献も十分だと感じたようだ。
今回、観戦会には初めて参加したが、南野のデビュー戦ということもあり、会場の熱量が高く、素晴らしい会だと感じた。またHTには、SNSで交流があった人同士が実際に会って交流を深める姿なども見られ、サポーター同士のコミュニティの居心地の良さを感じることができた。
近年のチーム状況の好調さに加え、南野の加入でますます盛り上がりを見せているリバプール。実際にアンフィールドに行ったことはないが、海外にも負けない熱量を持った、日本のサポーター活動もさらに熱を帯びることだろう。南野の活躍だけでなく、LSCJの活動にもより注目していきたい。
《超リバプールWeekly/MCウッチー》
そんな南野のデビュー戦には、日本のみならずイングランドでも注目が集まった。リバプールの公式サポーターズクラブ「Liverpool Supporter Club Japan(LSCJ)」は、観戦会を実施。場所は、リバプールの観戦会をよく行っている恵比寿のパブ『EPILOGUE』だった。観戦会中の入り口には「KOP ONLY」と張り紙が貼られるほどの店だ。(※「KOP」とはリバプールサポーターのこと。本拠地アンフィールドのスタンドの名前が由来)

(C)CWS Brains,LTD
加えて、この観戦会にはイギリス本国の国営放送『BBC』とイギリスメディア『Squawka』の取材が入ることとなった。南野の加入時には地元紙『Liverpool Echo』から取材を受けるなど、クラブ史上初の日本人選手の獲得には本国も注目していることが良くわかる。そんなこともあってか、新年の仕事始めとなるであろう当日の未明に50人を超える「KOP」が観戦会に集まったのだ。リバプールサポーターの熱さが分かる。
試合前には、サポーター同士がお酒を飲みながら談笑。すでに南野がスターティングメンバーとしてデビューすることは発表されており、どのポジションで起用されるのか、若手主体のチームにおける立ち位置などを、思い思いに話し時間を潰していた。

(C)CWS Brains,LTD
とはいえ、相手はエバートン。南野のデビュー戦に向けた期待以上に、チャンピオンズリーグではナポリの指揮官としてリバプールを苦しめたカルロ・アンチェロッティ監督率いるチームがベストメンバーで臨んできたことで、カラバオカップ(ELFカップ)のアストン・ビラ戦の二の舞にならないかと若干の不安も。しかし、ここで『Squawka』の取材カメラの要望で『You’ll Never Walk Alone』を合唱することに。別の緊張感が漂う中、50名を超えるサポーターの大合唱で、試合への熱を取り戻していった。
KOPの皆さんこんばんは!
— ウッチー@超WSTV (@ucchy_lfcweekly) January 6, 2020
昨日ついにエピローグさんデビューしました️
南野デビューとジョーンズのスーパーゴールの余韻に浸っているところで、エピローグでのYNWAの大合唱をご覧ください pic.twitter.com/OkmoScCeaK
試合直前、ピッチに出る準備をしている選手の中にいる南野がカメラに抜かれると大きな歓声が。スターティング11に並ぶ「Minamino」という文字を見れば、既に分かっていたことでありながら再び大歓声。リバプールを愛して応援し続けてきたサポーターにとって、自身が応援しているクラブに日本人選手が加入したことの感動、その凄さに感激している雰囲気が、会場全体から感じられた。
試合が始まると、やはり南野がボールに触る度に歓声が上がる。前線からのハードなプレスや、相手ディフェンスの裏を狙う走り込み、自分でボールを前線に運ぶドリブルなど、持ち味を見せるプレーには「いいぞ」という声や、「南野いけ!」という声があちこちから飛んだ。34分にはディヴォク・オリジのクロスにヘディングで合わせ、あわやデビューゴールの場面も。これは上手くミートできず、枠内にボールは飛ばなかったものの、会場では大きな歓声とため息が漏れ、ゴールへの期待が徐々に高まっていった。
70分に南野がアレックス・オックスレイド=チェンバレンと交代になった際には、「あぁ〜」という声が漏れるも、直後に拍手が。短い準備期間の中でも、精一杯自分の持ち味を出した南野にサポーターも満足。一方で、現地サポーターからも拍手が送られ、ピッチサイドで待っていたユルゲン・クロップ監督の表情も満足げに見えた。
試合は南野が交代した直後の71分にユースから上がってきた注目の若手、カーティス・ジョーンズがボックス外からスーパーゴールを叩き込み先制。このゴールが決勝点となり、リバプールは無事ライバル・エバートンを下して4回戦に駒を進めた。

(C)CWS Brains,LTD
南野のデビューを観られたこと、そして若手中心のメンバーでフルメンバーのエバートンに勝てたこと等、サポーターとしてもチームとしてもポジティブな要素の多い試合となり、試合後の観戦会会場は笑顔に溢れていた。
LSCJの代表を務める田丸さんは南野について「クロップがプレミア未経験の新加入選手をいきなりスタメン起用するのは異例のことなので、まずはスタメンだったことに驚きましたが、それほどまでにクロップからの信頼を得ているということがわかりました」と先発起用に驚いたと語り、プレーについては「3回しかトレーニングに参加していなかったことを考えれば、十分な出来だったのではないでしょうか。動きにキレがありましたし、クロップサッカーの代名詞である前線からの激しいプレッシングも当たり前のようにやっていましたから、クロップにとっては、自分のサッカーを理解し、それを体現できる選手だということを確認できただけでも十分だったのではないでしょうか」とピッチで見せたプレーにも好印象を持ったと語ってくれた。
また、南野加入時に『Liverpool Echo』から取材を受けたItatsuさんは南野のパフォーマンスについて「良かった。最も目立ったのはカーティス・ジョーンズやエリオットだろうが、オフェンスの選手で言えばその次の位置付けくらいによくできていた。?守備ではよく走り、攻撃ではとにかく裏を狙い続けた。いずれも少なくない脅威を相手に与えていた」とコメント。「中央に絞って2,3人で連携してプレスをはがす際のテンポを作ってるシーンもあった。周囲の味方をコントロールしプレーメイクていたとさえ感じた」とデビュー戦での出来栄えに驚いた様子だった。
また、「初めてのプレミア、初めてのアンフィールド、初めてのマージーサイド・ダービーで初出場が初スタメンという状況にも臆することなくプレーしていた」と特別な試合でのデビューにも臆さなかった南野を評価するItatsuさん。「特にネガティブトランジションへの意識の高さは流石だなと感じた。パス要求する仕草は幾度もみられたがボールが相手に渡った瞬間、素早く詰めていた」と守備面での貢献も十分だと感じたようだ。
今回、観戦会には初めて参加したが、南野のデビュー戦ということもあり、会場の熱量が高く、素晴らしい会だと感じた。またHTには、SNSで交流があった人同士が実際に会って交流を深める姿なども見られ、サポーター同士のコミュニティの居心地の良さを感じることができた。
近年のチーム状況の好調さに加え、南野の加入でますます盛り上がりを見せているリバプール。実際にアンフィールドに行ったことはないが、海外にも負けない熱量を持った、日本のサポーター活動もさらに熱を帯びることだろう。南野の活躍だけでなく、LSCJの活動にもより注目していきたい。
《超リバプールWeekly/MCウッチー》
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今季は5名が新加入、イングランドでプレーする日本人女子選手の増加傾向に英紙が注目「今後も続く可能性が高い」
現在は9人、イングランドでプレーする日本人女子選手の増加傾向を英紙が注目「今後も続く可能性が高い」 イングランドのFA女子スーパーリーグ(FAWSL)には、現在9人の日本人選手が所属。アジア人プレーヤーが増加傾向にある理由を、イギリス『BBC』が探った。 マンチェスター・シティのMF長谷川唯を筆頭に、ウェストハムにはDF清水梨紗とMF林穂之香に加え、今季からはFW植木理子も在籍。リバプールではMF長野風花が主軸を担っている。 オーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)得点王の実績が評価され、マンチェスター・ユナイテッドにはMF宮澤ひなたが加入。チェルシーにはローンバックでFW浜野まいかが復帰し、今冬にはレスター・シティへ宝田沙織と籾木結花が籍を移した。 なでしこジャパンが2011年ドイツ女子W杯で優勝、2012年にロンドン・オリンピックで銀メダルを獲得した直後にも、2013年にチェルシーへ永里優季(現:ヒューストン・ダッシュ/アメリカ)が、2014年にアーセナルへ大野忍(スペランツァ大阪監督)や近賀ゆかり(サンフレッチェ広島レジーナ)が加入と、イングランドでのプレーを選択する日本人が続いたが、現在は当時とは異なる風向きで、勢いも加速している。 WSLで頭角を現した最初のアジア人選手と言えば、チェルシーで6度のリーグ優勝を達成した韓国女子代表MFチ・ソヨン(2014-2022年5月)をおいて他にないが、『BBC』では、続く存在として長谷川を挙げ、増加傾向にある日本人選手を特集。スカウティングへの投資、テレビによる世界的な女子サッカー中継の増加、移籍市場での競争の激化など、いくつかの要因を挙げた。 「映像が得られるという点で、スカウティングリソースは劇的に増加した。我々には2人の素晴らしいアナリストもいて、間違いのない選手を特定するのに役立っている」と、宝田と籾木を獲得したレスターのウィリー・カーク監督の言葉を引用。ウェストハムのレハネ・スキナー監督は、国際大会を通じて植木の才能を買っていたと話す。 また、イングランド内における女子サッカーの地位が高まったことによる、待遇の変化にも注目。給与の向上や移籍市場の変化により、WSLが選手にとってより魅力的なものになったと伝えている。 各チームの監督ともに、日本人選手の良さに「規律や戦術理解度、技術の高さ」などを挙げる。『BBC』は「これらの要因により、アジア系の才能ある人材がイギリスに流入することになり、最近到着した選手たちの成功を考えると、この傾向は今後も続く可能性が高い」と結んでいるが、まさしくその通りになるだろう。 最後に、各指揮官によるコメントを掲載。日本人選手、特に自チーム所属の選手を大いに評価している点がユニークだ。 「(WSLでプレーする)日本人選手はどんどん増えてくるだろうし、その理由も分かるだろう。非常に規律があり、聞く耳を持っている。強度も高く、ゲームの理解度もとても高い。もちろん、個々の能力は異なる。(長谷川)唯は非常に知的でゲームの読み方は誰にも負けないだろうし、信じられないほどの才能があると思う」(マンチェスター・シティ/ガレス・テイラー監督) 「風花は試合を読む力が高く、本当に素晴らしいサッカー選手だ。彼女たちは戦術面において非常にクレバーで、技術的にもとても優れている。後方から組み立てるチームの多いWSLの現状において、"日本ブランド"は我々にとって助けになる」(リバプール/マット・ビアード監督) 「日本人選手が増えた理由は明白です。戦術的に聡明で、技術的にも才能のある選手を望まない人はいないでしょう?彼女たちは私たちのチームに大きな価値をもたらしてくれました」(ウェストハム/レハネ・スキナー監督) 「必ずしもアジアの選手を探していたわけではなく、トップクラスのナンバー6を探していたら宝田を見つけたんだ。半年ほど注視して、夏に獲得しようとしたが、リンシェーピングとの合意に至らなかったから、(それなら満了後にと)事前契約を行った。チャンピオンズリーグのアーセナル戦は素晴らしかった」 「宝田選手をさらに見ていたら、籾木の良さにも気付いて、これは良い機会だと思ったんだ。2人とも素晴らしい才能のある選手だよ」(レスター・シティ/ウィリー・カーク監督) 2024.02.12 21:57 Mon5
