【2018-19リーガエスパニョーラ・シーズン総括】最優秀選手はメッシ!
2019.05.28 21:00 Tue
★安定感光ったバルセロナが連覇!
昨季、2年ぶりの優勝を果たしたバルセロナに対して、ロペテギ新体制のレアル・マドリー、積極補強のアトレティコ・マドリーと三つ巴の争いが想定された中、レアル・マドリーのシーズン早々の脱落、アトレティコの取りこぼしによってシーズン中盤から独走態勢に入ったバルセロナが2位以下に勝ち点11差を付けての圧勝劇で2連覇を達成した。
バルベルデ体制2年目となったバルセロナは巨星MFイニエスタの退団によって新たなサイクルを迎えた中、中盤にMFアルトゥール、MFビダル、補強ポイントだったセンターバックにDFラングレを加えた。第3節のウエスカ戦で8-2の大勝を飾るなど、開幕4連勝の好スタートを切ったが、第5節のジローナ戦でのドローから守備面の問題によってレガネス戦の初黒星を含め4戦未勝利に。さらに、5試合ぶりの白星を挙げたセビージャ戦ではエースFWメッシが右腕を骨折するアクシデントに見舞われ、今季最初のエル・クラシコでは大エースを欠くことに。それでも、FWスアレスのハットトリックの活躍でレアル・マドリーを一蹴すると、ベティス相手のホーム敗戦という屈辱こそ味わったものの、DFピケを中心とする守備陣の安定によってそこから無敗を継続。4月の第31節、アトレティコ戦を2-0で制して優勝に大きく近づくと、第35節のレバンテ戦をメッシのゴールで勝ち切って3節を残しての連覇を達成した。
そのバルセロナの後塵を拝して2位フィニッシュとなったアトレティコは、エースFWグリーズマン、守護神オブラクの残留に加え、クラブ史上最高額で獲得したMFレマル、FWジェウソン・マルティンス、MFロドリゴ・エルナンデスら新戦力の加入によって下馬評は高かったものの、グリーズマンやFWジエゴ・コスタの不振やロドリ以外の新戦力の適応の遅れに加え、DFゴディンら守備陣の不振も重なって第3節のセルタ戦で早くも土が付くなど、苦しい序盤戦に。その後、一度は盛り返したものの、2月始めのベティス、レアル・マドリー相手の連敗で優勝の可能性がほぼ潰えると、宿敵の予想外の躓きに2位確保に成功したものの期待外れの1年に。また、今季限りでグリーズマン、ゴディン、DFフアンフランら重鎮の退団が確定し、来季に向けては大きな再編を迫られることになる。
連覇が期待された中、ここ10数年で最悪のシーズンを過ごすことになったのが、3位のレアル・マドリー。ジダン監督、エースFWクリスティアーノ・ロナウドの退団を受けてロペテギ体制で再スタートを切ると、開幕4勝1分けと好スタートを切ったものの、第6節のセビージャ戦で初黒星を喫すると、深刻な得点力不足に陥って公式戦5戦未勝利と一転泥沼に陥る。そして、メッシ不在のバルセロナ相手の大敗を受けてロペテギ体制が終焉。その後、ソラーリ監督の下で復調気配を見せたが、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグ(CL)での敗退を受け、ソラーリ監督も今年3月に解任。その後任としてジダン監督の電撃再任が発表されたが、モチベーションを著しく欠いたチームは“笛吹けど踊らぬ”という状態で最悪のシーズンを終えることになった。
優勝争い、残留争いが比較的早々に決着がついた中、最後まで熾烈な争いが繰り広げられた4位争いとヨーロッパリーグ(EL)出場争いでは、4位にバレンシア、以下ヘタフェ、セビージャ、エスパニョールという結果に終わった。CLとの二足の草鞋に深刻な得点力不足で序盤戦は降格圏に沈んだバレンシアだったが、シーズンを通じて安定した守備と、後半戦の攻撃陣の復調によって最終的に昨季と同じ4位フィニッシュに成功。また、昨季の堅守をベースに得点力を増したヘタフェ、中国旋風が巻き起こったエスパニョールの健闘も光った。
最後にヘタフェのMF柴崎岳、アラベスのMF乾貴士の日本人選手2選手に関してはいずれも厳しいシーズンを過ごすことになった。昨夏の退団も噂された柴崎はシーズン最終盤に出場機会を与えられたものの、今季リーグ戦の出場はわずか7試合に。一方、エイバルからベティスにステップアップを図った乾は、そのベティスで目に見える結果を残せず、今冬の移籍市場でアラベスにレンタルに出された。そのアラベスでは2試合連続ゴールを記録するなど、レギュラーポジションを掴んだが、シーズン終盤は足首のケガに悩まされ、最終的にはベティスで8試合、アラベスで12試合の合計20試合2ゴールという結果に終わった。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWリオネル・メッシ(バルセロナ)
★最優秀監督
◆ホセ・ボルダラス(ヘタフェ)
【期待以上】
★チーム
◆エスパニョール
★選手
◆FWボルハ・イグレシアス(エスパニョール)
【期待外れ】
★チーム
◆レアル・マドリー
★選手
◆FWガレス・ベイル(レアル・マドリー)
昨季、2年ぶりの優勝を果たしたバルセロナに対して、ロペテギ新体制のレアル・マドリー、積極補強のアトレティコ・マドリーと三つ巴の争いが想定された中、レアル・マドリーのシーズン早々の脱落、アトレティコの取りこぼしによってシーズン中盤から独走態勢に入ったバルセロナが2位以下に勝ち点11差を付けての圧勝劇で2連覇を達成した。
バルベルデ体制2年目となったバルセロナは巨星MFイニエスタの退団によって新たなサイクルを迎えた中、中盤にMFアルトゥール、MFビダル、補強ポイントだったセンターバックにDFラングレを加えた。第3節のウエスカ戦で8-2の大勝を飾るなど、開幕4連勝の好スタートを切ったが、第5節のジローナ戦でのドローから守備面の問題によってレガネス戦の初黒星を含め4戦未勝利に。さらに、5試合ぶりの白星を挙げたセビージャ戦ではエースFWメッシが右腕を骨折するアクシデントに見舞われ、今季最初のエル・クラシコでは大エースを欠くことに。それでも、FWスアレスのハットトリックの活躍でレアル・マドリーを一蹴すると、ベティス相手のホーム敗戦という屈辱こそ味わったものの、DFピケを中心とする守備陣の安定によってそこから無敗を継続。4月の第31節、アトレティコ戦を2-0で制して優勝に大きく近づくと、第35節のレバンテ戦をメッシのゴールで勝ち切って3節を残しての連覇を達成した。
そのバルセロナの後塵を拝して2位フィニッシュとなったアトレティコは、エースFWグリーズマン、守護神オブラクの残留に加え、クラブ史上最高額で獲得したMFレマル、FWジェウソン・マルティンス、MFロドリゴ・エルナンデスら新戦力の加入によって下馬評は高かったものの、グリーズマンやFWジエゴ・コスタの不振やロドリ以外の新戦力の適応の遅れに加え、DFゴディンら守備陣の不振も重なって第3節のセルタ戦で早くも土が付くなど、苦しい序盤戦に。その後、一度は盛り返したものの、2月始めのベティス、レアル・マドリー相手の連敗で優勝の可能性がほぼ潰えると、宿敵の予想外の躓きに2位確保に成功したものの期待外れの1年に。また、今季限りでグリーズマン、ゴディン、DFフアンフランら重鎮の退団が確定し、来季に向けては大きな再編を迫られることになる。
優勝争い、残留争いが比較的早々に決着がついた中、最後まで熾烈な争いが繰り広げられた4位争いとヨーロッパリーグ(EL)出場争いでは、4位にバレンシア、以下ヘタフェ、セビージャ、エスパニョールという結果に終わった。CLとの二足の草鞋に深刻な得点力不足で序盤戦は降格圏に沈んだバレンシアだったが、シーズンを通じて安定した守備と、後半戦の攻撃陣の復調によって最終的に昨季と同じ4位フィニッシュに成功。また、昨季の堅守をベースに得点力を増したヘタフェ、中国旋風が巻き起こったエスパニョールの健闘も光った。
残留争いにおいては今季昇格組のラージョ(最下位)、ウエスカ(19位)の2チームに加え、昨季は昇格組として躍進を見せたジローナが無念の降格に。大苦戦を強いられたビジャレアルや昇格組唯一の生き残りとなったバジャドリーは終盤戦で粘り強く獲得した勝ち点が最後に生きた。
最後にヘタフェのMF柴崎岳、アラベスのMF乾貴士の日本人選手2選手に関してはいずれも厳しいシーズンを過ごすことになった。昨夏の退団も噂された柴崎はシーズン最終盤に出場機会を与えられたものの、今季リーグ戦の出場はわずか7試合に。一方、エイバルからベティスにステップアップを図った乾は、そのベティスで目に見える結果を残せず、今冬の移籍市場でアラベスにレンタルに出された。そのアラベスでは2試合連続ゴールを記録するなど、レギュラーポジションを掴んだが、シーズン終盤は足首のケガに悩まされ、最終的にはベティスで8試合、アラベスで12試合の合計20試合2ゴールという結果に終わった。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWリオネル・メッシ(バルセロナ)

Getty Images
今季も圧巻の輝きを放ったメッシが文句なしのMVPだ。今季の欧州得点王となる36ゴールに加え、リーガトップタイの13アシストとチームが今季記録した総得点90の半数以上に絡む圧巻の数字を残した。31歳という年齢もあって今季はバルベルデ監督の休養策に同意したことで出場時間は減ったものの、右腕の骨折というアクシデンタルなケガ以外に大きなケガに悩まされることなくシーズンを通してフレッシュな状態でプレーできた点も大きかった。来季に向けては完調のデンベレ、今夏加入が噂されるFWグリーズマンを新たに従えて今季以上の輝きを放つことになるのか。★最優秀監督
◆ホセ・ボルダラス(ヘタフェ)

Getty Images
惜しくもクラブ史上初のCL出場権を逃したものの、乏しい戦力を率いてヘタフェをクラブ史上最高位の5位に導いた55歳のスペイン人指揮官を最優秀監督に推したい。2016年に当時セグンダAに所属したヘタフェの指揮官に就任したボルダラスは就任1年目でプリメーラ昇格に導くと、昨季はアトレティコに迫る堅守を武器に昇格組ながら8位での残留に成功。そして、就任3年目となった今季はシーズンを通して4位争い、EL出場権争いに絡んだ中、2009-10シーズン以来のEL出場権獲得に成功した。対戦相手からの研究が進んだ中、昨季の42得点33失点から48得点35失点と数字面を改善。また、今季新加入のFWハイメ・マタがチーム最多タイの14ゴール、MFネマニャ・マクシモビッチが最多出場と戦術の落とし込みに関しても見事な手腕を発揮した。【期待以上】
★チーム
◆エスパニョール

Getty Images
2004-05シーズンの5位に次ぐ近年のクラブ最高位の7位に躍進したエスパニョール。昨季、ウエスカをプリメーラ初昇格に導いたクラブOBのルビ監督を新指揮官に迎え、攻撃的なスタイルに転換を図った中、シーズン序盤は安定した戦績を残した。その後、第12節のセビージャ戦から第17節のアトレティコ戦まで泥沼の6連敗。今年1月に入っても3連敗を喫する苦難の日々を過ごすことになった。これによって一時は残留争いに巻き込まれる形となったが、潮目が変わったのは1月末に中国サッカー界最高のアタッカーとして上海上港から加入した中国代表FWウー・レイの存在。当初は中国系オーナーによるマーケティング先行の補強と思われたが、リーグ戦16試合に出場したウー・レイは3ゴール3アシストと貴重な攻撃オプションとして活躍。さらに、中国でのエスパニョールフィーバーによって後押しされたチームは主砲ボルハ・イグレシアスやDFエルモソの活躍も光ってシーズン終盤9戦無敗を継続し、9位で迎えた最終節での劇的勝利で来季EL出場権獲得に成功した。★選手
◆FWボルハ・イグレシアス(エスパニョール)

Getty Images
26歳の苦労人ストライカーが本格挑戦のプリメーラで躍動。ビジャレアルの下部組織出身のボルハ・イグレシアスは、2015年1月にセルタでトップチームデビュー。しかし、その後はトップチームでの出場機会に恵まれず、2017年の夏にセグンダA(スペイン2部)のレアル・サラゴサにレンタル移籍。同シーズンに2部で22ゴールを挙げる活躍をみせ、昨夏エスパニョールにステップアップ。すると、ほぼ初挑戦のプリメーラの戦いにすぐさま順応すると、第9節のウエスカ戦から第13節のジローナ戦まで圧巻の5試合連続ゴールを記録するなど、37試合で得点ランキング7位の17ゴールを奪った。187cmと恵まれた体躯を持つものの、真骨頂はボックス内でのポジショニングや駆け引き。それを表すように今季奪ったゴールのほとんどはクロスやこぼれ球を押し込むワンタッチゴール。もちろん、右足のシュートは正確且つパワフルだ。【期待外れ】
★チーム
◆レアル・マドリー

Getty Images
近年で最も最悪なシーズン。ロペテギ、ソラーリとシーズンに2度の監督解任に踏み切ったレアル・マドリーは1998-99シーズン以来の1シーズン12敗、2001-02シーズン以降最少の勝ち点68と屈辱の1年を過ごした。昨夏、ジダン監督とC・ロナウドの電撃退団によって少なからず厳しいシーズンが予想されていたが、正直ここまでの不振は誰もが予想していなかったことだろう。その不振の要因もひとつに絞ることはできず、得点力不足、守備の脆さ、勝負弱さ、規律面の問題と多岐に渡った。そのため、今年3月に再任したジダン監督の下でもさすがに立て直しはできなかった。チームとしての体をなしていなかった中、及第点が与えられるのは孤軍奮闘のFWベンゼマただ1人だ。★選手
◆FWガレス・ベイル(レアル・マドリー)

Getty Images
問題の本質はC・ロナウドにあらず…。前述のように近年で最も最悪なシーズンを過ごしたエル・ブランコにあって戦犯はDFセルヒオ・ラモスやDFマルセロ、MFモドリッチ、MFイスコ、FWアセンシオと枚挙にいとまがないが、その中でも最も期待を裏切ったのが29歳のウェールズ代表だ。相性が悪かったC・ロナウドの退団に伴い、奮起が求められた今季だったが、開幕3試合連続ゴールを記録して以降、それまでの姿に逆戻り。今季に関してはケガによる離脱は例年に比べて少なかったものの、ピッチ内でのパフォーマンスが低調の一言。29試合で8ゴール3アシストの数字にとどまった中、攻撃面では効果的なプレーが少なく、守備では献身性のかけらも見せないという体たらく。確執が噂されるジダン監督の再任以降は、ベンチを温め続けた。バルセロナの関連記事
|
バルセロナの人気記事ランキング
1
今季わずか9試合の出場、バルサで不遇のアンス・ファティは冬にトルコ行きが目前も破談…ベシクタシュ会長が理由を明かす
バルセロナのスペイン代表FWアンス・ファティ(22)だが、トルコへの移籍が近づいていたことが判明した。スペイン『アス』が伝えた。 バルセロナのカンテラ出身で、その才能には太鼓判が押されていたアンス・ファティ。将来を担う存在として期待されていた中、2020年の負傷をきっかけにパフォーマンスが急降下。チーム内での信頼を失うと、ブライトン&ホーヴ・アルビオンへのレンタル移籍も経験した。 今シーズンはバルセロナに復帰してプレーしている中、ここまで公式戦で9試合しかプレーしておらず、ハンジ・フリック監督の信頼は得られていない状況。冬にも移籍の可能性があった中、結局はバルセロナに残留していた。 しかし、実は冬の移籍市場でスュペル・リグ(トルコ1部)を戦うベシクタシュへの移籍の可能性があったとのこと。ベシクタシュのセルダル・アダリ会長がその事実を認めた。 「アンス・ファティは、パトリック・ベルグとサミュエル・ダールと同様に、我々の候補に挙がっていた。ヨーロッパリーグのトゥベンテ戦の後、私はファティをイスタンブールに連れてくるつもりだった。バルセロナとも移籍で合意に達していた」 「しかし、敗退した夜、バルセロナから彼がイスタンブールに来られないという連絡があった。選手は非常に興奮していて、すでに父親に連絡を取っていた。しかし、ヨーロッパリーグの敗退によって、獲得が台無しになってしまった」 ベシクタシュは今シーズンのヨーロッパリーグに出場していたが、リーグフェーズを28位で終えて即敗退。プレーオフにも進めなかったが、これが移籍が実現しなかった理由だという。 また、アトレティコ・マドリーのノルウェー代表FWアレクサンデル・セルロートも狙っていたようだが、こちらは不可能だと感じていたという。 「セルロートの獲得は事実上不可能に思えた。チームには明確な代替選手がいなかった。私が彼と話していないと思っているのか?冬には話した。今は連絡が取れない。アトレティコとは良好な関係を築いているが、選手について問い合わせると『では、どのストライカーを起用すべきか?』と聞かれるだろう」 アトレティコのストライカー不足により、獲得が不可能だったセルロート。夏にベシクタシュはどういった動きを見せるだろうか。 2025.04.18 19:15 Fri2
バルセロナが公式戦25戦ぶり敗戦も逃げ切ってベスト4進出! 昨季準優勝ドルトムントはギラシーのハットで意地見せる【CL】
チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、ドルトムントvsバルセロナが15日にBVBシュタディオンで行われ、ホームのドルトムントが3-1で勝利。だが、2戦合計3-5でバルセロナが準決勝進出を決めている。 9日に行われた1stレグは、ホームのバルセロナが古巣対戦となったレヴァンドフスキのドブレーテの活躍などで4-0の完勝。昨季ファイナリストに地力の差を見せつけ、ベスト4進出に王手をかけた。 敵地で惨敗となったドルトムント。先週末に行われたブンデスリーガのデア・クラシカーでは敵地でバイエルンと2-2のドロー。2度のビハインドを追いついたものの、奇跡の逆転突破を目指すホームでのリターンレグに弾みを付けられる。ニコ・コバチ監督はその一戦から先発4人を変更。負傷でメンバー外のジャンに代えてベンセバイニを起用したほか、リエルソン、エズジャン、ブラントに代えてヤン・コウト、エンメチャ、アデイェミを起用。より攻撃的な[3-4-3]の布陣で臨んだ。 一方、大きなアドバンテージを得て敵地に乗り込んだバルセロナ。直近のラ・リーガではレガネスに苦戦も、1-0で競り勝って公式戦連勝を達成。そのレガネス戦からは先発4人を変更。負傷のバルデの代役にマルティン、イニゴ・マルティネス、ペドリ、エリック・ガルシアに代わってクバルシ、フレンキー・デ・ヨング、ガビを起用した。 黄色い壁の圧倒的な後押しを受けて、キックオフ直後からアグレッシブさを全面に押し出したドルトムント。前がかりな守備と人数をかけた攻撃で押し込むと、その勢いのままに先制点を奪い切る。 9分、ボックス内に抜け出したグロスがGKシュチェスニーと交錯してPKを獲得。これをキッカーのギラシーが中央上部に蹴り込んで11分の先制点とした。 開始早々のゴールによって奇跡の逆転への機運高まるスタジアムの熱狂的な空気にもあてられて攻勢を継続するドルトムント。以降はオフサイド判定となったものの、グロスが裏抜けからゴールネットを揺らす場面やセットプレーからベンセバイニのヘディングシュートで2点目に迫る。 これに対して15分を過ぎた辺りから冷静さを取り戻したバルセロナは徐々に自分たちのリズムでボールを動かし、相手陣内の深い位置まで侵攻。さらに、レヴァンドフスキの正確なポストワークを活かしてフェルミン・ロペスやハフィーニャが左サイドで背後を取って際どい場面も作り出す。 前半半ばから終盤にかけてはバルセロナがボールを保持したものの、カウンターを軸に背後を狙うドルトムントがアデイェミを起点により効率よくフィニッシュまで繋げていく。スタッツではドルトムントがシュート10本枠内7本、バルセロナがシュート1本枠内0本と圧倒したが、スコアは1-0での折り返しとなった。 互いに選手交代なしで臨んだ後半も押し込んだドルトムントがいきなりゴールをこじ開ける。49分、右CKの場面でファーへのクロスをベンセバイニがゴールライン際で頭で折り返すと、これをゴール右で競り勝ったギラシーが頭で押し込み、ハフィーニャに並ぶ今季CL得点ランキングトップの12ゴール目を挙げた。 これで再びスタジアムのボルテージが上がったが、バルセロナも反発力を示す。54分、クンデの縦パスに反応したフェルミンが右サイド深い位置からグラウンダーのクロスをGKとディフェンスラインの間に送り込むと、手前でクリアを試みたDFベンセバイニのクリアミスを誘発。これがニア下に決まってオウンゴールで1点を返した。 ツキにも見放されたダメージが残る失点によってドルトムントの勢いに陰りが見え始める。より安定してゲームをコントロールできるようになったアウェイチームは、ガビを下げてペドリ。70分にはラミン・ヤマルとフェルミンに代えてフェラン・トーレス、エリック・ガルシアとフレッシュな選手をピッチに送り込む。 これに対してドルトムントもエンメチャ、バイアーに代えてレイナ、デュランヴィルとより攻撃的なメンバーを投入。すると76分、右サイドでDF2枚を相手に見事な突破を見せたヤン・コウトが深い位置からグラウンダーのクロスを供給。DFアラウホのクリアがゴール右のギラシーの足元に入ると、背番号9が左足シュートを蹴り込んでハットトリックを達成。得点ランキングでも単独首位に立った。 この直後にはヤン・コウト、アデイェミを下げてバイノー=ギッテンスの投入でさらに前がかるホームチーム。78分にはそのブラントが裏抜けからゴールネットを揺らしたが、オフサイドでゴールとはならず。 その後、後半終盤にかけては猛攻を仕掛けるドルトムント、専守防衛のバルセロナという構図の下で試合が進んだが、割り切って守備に力を注いだバルセロナがこれ以上の失点は許さず。 この結果、ドルトムントがホームで意地の勝利も及ばず。25試合ぶり2025年初黒星となったものの、2戦合計3-5で逃げ切ったバルセロナが6シーズンぶりのベスト4進出を決めた。 ドルトムント 3-1(AGG:3-5) バルセロナ 【ドルトムント】 セール・ギラシー(前11[PK]、後4、後31) 【バルセロナ】 オウンゴール(後9) 2025.04.16 06:05 Wed3
【CL準々決勝プレビュー】バルサ逃げ切り濃厚もホームチームは黄色い壁を背に奇跡狙う《ドルトムントvsバルセロナ》
チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、ドルトムントvsバルセロナが日本時間15日28:00にBVBシュタディオンでキックオフされる。初戦大勝のバルサ逃げ切り濃厚も、ホームチームが黄色い壁を背に奇跡の逆転狙う強豪対決の第2ラウンドだ。 9日にエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで行われた1stレグはホームのバルセロナが4-0の快勝。試合序盤から主導権を握ると、25分にセットプレー流れからFWハフィーニャのゴールで先制に成功。後半も開始直後にトリデンテの連携から古巣対戦のFWレヴァンドフスキ、66分には再びレヴァンドフスキ、77分にはFWラミン・ヤマルのファインフィニッシュで強力トリデンテが揃い踏み、守備でも相手に一矢報いることも許さずの完勝となった。 敵地で惨敗となった昨季ファイナリストは崖っぷちを通り越して、ベスト敗退が決定的な状況だ。先週末に行われたブンデスリーガのデア・クラシカーでは敵地でバイエルンと2-2のドロー。ロングカウンターとセットプレーからFWバイアー、DFアントンのゴールで2度のビハインドを追いついた点は評価に値するが、試合全体を通しては劣勢の戦いとなった。これまで1度も勝利がない相手に4点差を撥ね返しての逆転突破には奇跡を必要とするが、ゲルベ・ヴァントの後押しを背に気概を示したい。 一方、地力の差を見せつける内容で初戦を制したバルセロナはベスト4進出がほぼ決定的な状況だ。また、熾烈なリーグタイトルレースが続くなかで先週末はレガネス相手に思わぬ苦戦を強いられたが、ターンオーバーも敢行し相手のオウンゴールで挙げたゴールを守り切ってウノセロ勝利。良い流れを継続して敵地へ乗り込む。 ◆ドルトムント◆ 【3-4-1-2】 ▽予想スタメン GK:コベル DF:アントン、ジャン、ベンセバイニ MF:リエルソン、チュクエメカ、グロス、ブラント、スベンソン FW:ギラシー、バイアー 負傷者:DFマネ、シュロッターベック、MFザビッツァー 出場停止者:なし 出場停止者はおらず、逆にサスペンション明けのグロスが復帰となる。負傷者に関しても初戦から変更はない。 初戦は[4-5-1]の形で惨敗しており、今回は直近のリーグ戦で採用している[3-5-2]への変更が見込まれる。攻撃的に戦うことを想定したメンバー予想となったが、ジューレやエンメチャ、前線を2シャドーにしてバイノー=ギッテンスやアデイェミの起用もありそうだ。 ◆バルセロナ◆ 【4-2-3-1】 ▽予想スタメン GK:シュチェスニー DF:クンデ、クバルシ、イニゴ・マルティネス、マルティン MF:フレンキー・デ・ヨング、ペドリ MF:ラミン・ヤマル、フェルミン、ハフィーニャ FW:レヴァンドフスキ 負傷者:GKテア・シュテーゲン、DFバルデ、MFカサド、ベルナル 出場停止者:なし 出場停止者はいない。負傷者に関してはバルデが数週間の離脱となったが、ダニ・オルモの復帰は朗報だ。 スタメンはバルデの代役にマルティンを起用する以外、1stレグを踏襲する可能性が高い。ターンオーバーを行う場合はアラウホ、ガビ、エリック・ガルシア辺りにチャンスがある。 ★注目選手 ◆FWセール・ギラシー(ドルトムント) ゴール託される主砲。今季最多失点は4失点も、最大2点差負けしか経験していないバルセロナに対して、逆転突破には最低4ゴールが必要なドルトムント。そうなると、大量得点を奪う上で活躍が求められるのはエースストライカーのギラシーだ。今大会ではここまで対戦相手のハフィーニャ(12点)、レヴァンドフスキ(11点)に続く3位タイの10ゴールを記録。ただ、直近の公式戦10試合では前線で存在感を示す一方で2ゴールにとどまっている。それでも、ゴールに迫るシーンには多く絡んでおり、最後の仕上げの部分で微調整を行いつつ、奇跡をもたらす複数ゴールを期待したいところだ。 ◆FWラミン・ヤマル(バルセロナ) カウンターの起点。敵地で逃げ切りを図る構図となり、守護神シュチェスニーやクバルシ、バルデの代役を担うマルティンら守備陣。ゲームメイクを担うペドリのパフォーマンスも重要となるが、フリック監督としては“攻撃は最大の防御”という姿勢でベスト4進出を目指すはずだ。その意味では前にリスクをかけたいドルトムントに対して、背後への脅威を見せられる左利きアタッカーの存在がカギを握る。ドリブル突破など個人での打開力に加え、持ち味のキープ力と高精度のラストパスを武器にフェルミンを含めた2列目、3列目からの飛び出しを促してカウンターの起点として存在感を示したい。 2025.04.15 18:30 Tue4