形に固執した最悪の前半、対応力不足を2戦目の糧にできるか/日本代表コラム

2019.01.10 14:00 Thu
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「厳しい戦いになるということはチームで共有して、今日のトルクメニスタン戦に臨みました」試合後の記者会見で日本代表の森保一監督が最初に語った言葉。予想通りの苦しい展開であったことを認め、その中で逆転勝利を収めたことは、結果だけを見ればプラスと言える。しかし、チームとしての戦い方を紐解くと、やはり厳しい内容だったと言わざるを得ない。

2大会ぶりのアジア制覇を目指して臨んだ今大会。グループステージの初戦で当たった相手は、トルクメニスタン代表だ。中央アジアの国であり、2018年11月のキリンチャレンジカップでは近隣国のキルギス代表と対戦した。

その試合では、4-0と快勝を収め、2018年の代表活動を良い形で締めくくった。しかし、前半で2点をリードしてからは停滞。後半に入り、FW大迫勇也(ブレーメン)、MF堂安律(フローニンヘン)、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF中島翔哉(ポルティモネンセ)の4人からなる攻撃ユニットを投入。試合が活性化したものの、戦力差を痛感させられる場面でもあった。そして、それはこのトルクメニスタン戦でも出たように思う。
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大事なアジアカップ初戦のスターティングメンバーは、GK権田修一(サガン鳥栖)、DF冨安健洋(シント=トロイデン)、堂安、南野を除く11人中7名がロシア・ワールドカップ経験者。初戦の勝利に向けた意気込みを感じるラインナップだった。しかし、フタを開ければコンディションが整っていないことが明白で、運動量も少なく、ミスも散見される展開だった。

森保監督も「最終的にチームとしてコンディションを合わせる部分で難しいところはあった」と試合後に認め、「そこはある程度、覚悟していた」と語った。確かにシーズン終了後の国内組、シーズン真っ只中の海外組、そして試合の出場時間が短い選手と個々のコンディション調整が難しい時期ではある。それでも、厳しい戦いになると戦前に予想していたならば、試合中の対策を準備しておくべきだったと思う。

◆最悪の前半、形に固執し墓穴を掘る
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立ち上がりからペースが上がらず、パスミスやボールロストからカウンターを受けていた日本。その要因の1つは、中央からの崩しに固執しすぎたことだろう。左サイドに入った原口、右サイドの堂安ともに、サイドに張る機会は少なく、ボールを受ければ常に中を意識。ボールサイドとは逆にいても、中央に絞っていた。

また、中盤でボールを持ったMF柴崎岳(ヘタフェ)や冨安も縦パスで南野に当てるシーンが多く、DF長友佑都(ガラタサライ)やDF酒井宏樹(マルセイユ)の両サイドバックが攻撃に絡む機会は少なかった。

ブロックを敷くトルクメニスタンにとっては、中央を固めてボールを奪い、簡単にカウンターに移れたため、日本陣内に攻め込むことができた。さらに、コンディション面も影響したのか、トランジションが極端に遅く、ボールロスト時に足が止まるシーンが前半から見られた。

単調な攻撃、運動量の欠如を生み出した要因の1つは、中島の不在とも言える。ケガによる大会不参加は、2018年の戦いで日本の攻撃を牽引していた存在の大きさを初戦でも感じさせた。中島が出場していた際には、左サイドに張ってボールを受け、中央へのカットインやコンビネーションで崩す他、サイドを縦に仕掛ける崩しなど、攻撃のバリエーションが豊富だ。中央の崩しに固執することは、少なくともなかっただろう。

1失点目は、堂安のパスミスから生まれたカウンター。アマノフの強烈なミドルシュートは褒めるべきものではあったが、距離が離れていたこと、そしてブラインドになっていなかったことを考えると、権田の対応にも不満は残る。日本代表の守護神になるのであれば、あのシュートは防ぐ必要があった。打ってこない、打ったとしてもあのレベルのシュートは来ないという油断があったのかもしれない。しかし、親善試合ではなく公式の大会。アジアの頂点を決める大会なのだから、油断は禁物だ。

◆ハーフタイムで修正し逆転勝利
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失点だけでなく、決定的なピンチを何度も迎えた日本は、ハーフタイムで修正する。まずは、サイドの関係だ。中央に固執するあまり、ピッチの幅を使えていなかった前半に比べ、後半は特に左サイドの長友が修正。本来であれば、原口が使うべき大外のレーンを長友が使い、サイドからの崩しを多用した。

また、「切り替えの部分あったりとか、球際のバトルのところ」と森保監督が明かした通り、中盤、前線での球際の強度を上げていった。その結果、徐々にセカンドボールを拾えるようになり、同点ゴールにつながる。

それまでは、単純なクロスを選択していたものの上手くいかず。しかし、相手の意識がクロスに向いたタイミングで、左サイドでボールを持った原口がグラウンダーのボールを中央へ。大迫の素晴らしいボールコントロールでゴールを奪った。そして逆転ゴールもサイドから。吉田のロングフィードを原口が落とし、駆け上がった長友がボックス内へ。相手DFの対応のまずさもありながら、長友が冷静にクロスを入れ、大迫が無人のゴールへと押し込んだ。

◆修正力を見せるも、対応力の欠如を露呈
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サイドからの仕掛けを増やしたことで逆転できたことはプラスだろう。ただし、この対策がハーフタイムでしかできなかったことは、大きな課題と言える。試合中に流れを変える、相手の出方を見てやり方を変える。難しい要因があったにせよ対応力の欠如が露呈した。

「前半はゴールを奪えなくてもボールを動かしたことが相手にとってボディブローのように効いてきたと思う」と森保監督は、前半をビハインドで終えてもプラスに捉えたが、それは相手がトルクメニスタンという実力差があったから。日本が目指すアジアの頂点に向かうには、決勝トーナメントでアジアの実力国との戦いが待っている。

ハーフタイムというチーム全体に指示を送れるタイミングで変化をもたらせることは、そこまで難しいことではない。ただ、それを試合中にできなければ、後半が始まってしまえば、もう修正が難しいと言わざるを得ない。もちろん、交代のカードを切ることでも対応はできるが、根本的な解決は、ピッチ内で選手ができる必要があるだろう。

思い起こせば、2018年7月、ロシア・ワールドカップのラウンド16で対戦したベルギー代表戦。2-0とリードした日本だったが、マルアン・フェライニが投入されて追いつかれ、ラストプレーで逆転を許して敗退した。様々な要因があるものの、この試合でも欠けていたのはピッチ内での対応力だ。自分たちの形に固執しているようでは、この先に厳しい戦いが待っているだろう。

◆大事な2戦目、バウンスバックに期待
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悪いところばかりを指摘してきたが、収穫もゼロではない。試合終了後の表情を見ていれば、勝ったという事実こそ喜ばしいものの、誰一人笑顔の選手はいなかった。自分たちに足りないもの、そしてアジアカップというものを4年ぶりに思い出した選手も多いはず。森保体制初の公式戦で、痛いほどに課題を突きつけられた。

それは指揮官も同様だ。「内容的には攻守ともにすべて上げていかないといけない。次の試合の課題として進んでいきたいと思う」と会見で語った。アジアでの戦いは東京五輪世代を率いても、森保監督は難しさを痛感していたはず。そして、A代表の初戦でも感じただろう。

日本が目指すものはアジア制覇。つまり、大会を通じて7試合を戦わなければいけない。当然、チームとしてのピークを初戦に合わせることもなく、大会を通じてコンディションを全体的に上げていき、キープすることが求められる。トルクメニスタン戦はFW北川航也(清水エスパルス)のみを投入したが、展開によってはグループステージの残り2戦で多くのことを試す必要もあるだろう。

W杯経験組は改めて気が引き締まり、初出場組はアジアの難しさを痛感したはず。しかし、その経験が次戦以降の糧となることで、頂点が見えてくるはず。順風満帆なスタートとならなかったことは、改めてアジアの戦いの難しさを体感するという意味では、収穫だっただろう。次戦のオマーン代表戦のバウンスバックに期待したい。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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奥川雅也の招集見送りに見る、日本代表の危機管理能力の高さ

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久保建英は右サイドの一番手にはなれないのか? エメリ監督に続き森保一監督も左で起用/日本代表コラム

約1年ぶりの活動となった日本代表。オランダ遠征で行ったカメルーン代表戦、コートジボワール代表戦の2試合は、非常に有意義なものとなった。 日本代表の親善試合と言えば、国内で行われるキリンチャレンジカップが大半。かつてはヨーロッパや南米、北中米カリブ海、アフリカの国を招待して実施してきた。 しかし、どの対戦相手も長距離の移動を伴う上、時差ボケも起こり、各国に散らばる選手が集合するのは試合の直前。お世辞にもコンディションが良いとは言えない状態の相手との試合ばかりで、まさにフレンドリーマッチだった。 この件については、別の機会に触れようと思うが、今回の2試合に関してはフレンドリーマッチでありながらも、しっかりと強化に繋がる内容に。コンディションの良いヨーロッパでプレーする選手が揃うアフリカ勢との対戦自体が、何よりも大きな意味があった。 <span class="paragraph-title">◆しっかりと機能した守備陣</span> コートジボワール戦の結果については、しっかりと守備を構築して決定機をほとんど作らせなかった中、終盤に投入されたDF植田直通(セルクル・ブルージュ)がMF柴崎岳(レガネス)のFKからヘディングで代表初ゴールを記録し、1-0で日本が勝利。鹿島ラインが開通して、日本に勝利を呼び込んだ。 守備面では、カメルーン戦に続いて4バックでスタート。DF吉田麻也(サンプドリア)、DF冨安健洋(ボローニャ)のセリエAコンビがしっかりと中央を固め、右サイドバックに起用されたDF室屋成(ハノーファー)、左サイドバックで起用されたMF中山雄太(ズヴォレ)もしっかりとサイド攻撃に対応。中央の2人のカバーリングもしっかりと機能し、ピンチの数は数えるほどだった。 また、ボランチで起用されたMF遠藤航(シュツットガルト)の守備も大きく効いていた。ブンデスリーガでもデュエル勝利数2位を誇る遠藤は、ボール奪取。柴崎との関係性もバランスが取れ、カメルーン戦で躊躇していた前に出るタイミングもしっかりと改善され、コートジボワールのシステム変更にもしっかりと対応でき、収穫の多い試合となった。 <span class="paragraph-title">◆左サイドの久保建英</span> 一方の攻撃陣で気になるところは、やはりMF久保建英(ビジャレアル)だろう。カメルーン戦では終盤に途中投入された久保だが、コートジボワール戦では先発出場。しかし、本来の2列目右サイドではなく、左サイドで起用された。 不慣れな左サイドでの起用となった久保は、ボールを持てば周りとのコンビネーションで崩すシーンや、縦に抜けてクロスを上げるシーンも。開始2分には決定機でシュートをミスしてしまったが、鈴木のあわやゴールというシーンを作るなど、多少は見せ場を作った。 森保一監督も「久保は今持っている力をプレーする時間内に発揮してくれたと思う」と試合後に語るなど、及第点と言ったところ。期待値が高いだけに、厳しい目で見られる部分も大いにあるはずだ。 実際のところ、スペインではビジャレアルのウナイ・エメリ監督が久保に極端に出場機会を与えていないことが話題となり、レアル・マドリーがレンタル契約を破棄するのでは?という憶測さえ上がっている。それだけ注目度が高く、持っている能力が評価されているということだろう。 しかし、右サイドで起用されなかった久保は、試合中に中央や右サイドへポジションを移す場面があり、やはり右の方がプレーしやすい感覚を持っているようだ。局面を見てポジションを移動する事はよくあるが、左ではどうもやりにくさを感じているように見えた。 <span class="paragraph-title">◆右の一番手にはなれないのか</span> 一方で、視点を変えれば「なぜ久保が右サイドで起用されないのか」ということがある。それはエメリ監督の下、ビジャレアルでも同様のことが言えるが、森保監督もエメリ監督も似たような理由、そして似たような考えがあるのではないかと推測する。 まず1つ考えられる事は、右サイドに適任者がいるという事だ。コートジボワール戦で久保が左サイドに起用された理由は定かではないが、伊東純也(ヘンク)を起用することを考えると右サイドに配置した方が良いということになる。カメルーン戦も後半から出場し、右ウイングバックとしてプレーしたが、日本が後半盛り返す要因の1つとなるほど、素晴らしい出来を見せた。 コートジボワール戦でも2列目の右サイドとしてプレー。右サイドを縦に仕掛けること、3バックの脇を突く動きを果敢に見せ、相手を苦しめた。決定機とまでは行かないが、何度も仕掛けることで攻撃を牽引していた。その伊東を起用したいと考えれば当然右サイドという結論が出て、久保が右サイドに入る余地はない。もちろんカメルーン戦の後半のように[3-4-2-1]のシステムにすれば右ウイングバックと右シャドーで同時起用も可能だが、現在の日本代表は[4-2-3-1]がベースであり、その可能性は今後も高いとは言えない。 一方、ビジャレアルでも同様のことが言える。エメリ監督率いるビジャレアルは、開幕から[4-4-2]を採用していたが、直近の2試合は[4-1-4-1]に変更。いずれも右サイドのポジションがあるシステムだが、ナイジェリア代表FWサムエル・チュクウェゼ、そしてスペイン代表FWジェラール・モレノが務めていた。 ウインガーとしての能力ではチュクウェゼが上であり、得点力という点ではモレノが優先される。久保は、このポジション争いに勝つ必要があり、現状で出場時間が短い理由もそこにある。 森保監督にしても、エメリ監督にしても、久保の能力の高さに関しては当然認めているはず。一方で、右サイドのポジションでしか輝けないことも当然ながら理解しているはずだ。だからこそ、心地よい右サイドでしか使えない選手にならないように、今のような久保にとっては厳しいプロセスを踏んでいると考えることもできるだろう。 <span class="paragraph-title">◆ポジションに拘らない選手に</span> エメリ監督は「日本人として初めて最高のレベルに達するという挑戦の中にいることを認識している」と久保についてコメントしていた。まさに、久保が挑戦していることであり、多くの人が望んでいることでもある。 久保の目標はビジャレアルで右サイドのポジションを確保することではない。あくまでもレンタル先であり、本来であればレアル・マドリーでポジションを確保すること。そのレベルでプレーできる可能性を秘めており、世界のトップ・トップでプレーすること、そしてそこで結果を出すことを求めている選手だ。 もちろん、日本代表としてもこの先の中心選手になってもらう必要があり、その能力も秘めている。ただ、右サイドでしかその能力を発揮できない選手なのであれば、そこに到達することは難しいだろう。 そういった意味では、右サイドだけでなく、中央でも、左サイドでもしっかりとパフォーマンスを出せる選手にならなくてはいけない。仮に右サイドで起用されるのであれば、文句の出ない結果を残さなくてはいけない。その次元の選手だということだ。 エメリ監督に言われせれば「彼は全てのオプションとポジションで競争できるよう、順応し成長しなければならない。中央では改善に努めているが、左ではもっと成長しなければならない」とのことだ。出場機会を与えないということがフォーカスされがちだが、個人的にはエメリ監督の考えは理解できなくもない。 右に拘るのではなく、左でも中央でも遜色なく使えるようになった方が、日本代表にとっても、ビジャレアルにとっても、そしてレアル・マドリーにとっても、久保という選手の価値がより高くなるだろう。それは久保自身も理解している。「誰も立場を約束された選手ではないですし、自分もその1人だと思うので全力を尽くしたいです」。この先の更なる成長に期待したい。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2020.10.15 19:30 Thu
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1年ぶりの試合で感じたアフリカ特有の“距離”、カギはアグレッシブさと連動性/日本代表コラム

A代表としては昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権以来となる活動となった9日のカメルーン代表戦。オールヨーロッパ組で編成されたチームにとっては、国内組で臨んだE-1選手権でプレーしていない選手が多く、およそ1年ぶりの試合となった。 それぞれが各クラブで1年間積み上げたものを出すべく臨んだ試合。キックオフ直後のプレーでMF南野拓実(リバプール)がファウルこそ取られたが、そこからもチームとしての入りを間違えないよう、高い意識を感じさせた。 <span class="paragraph-title">◆アグレッシブな姿勢を見せたが…</span> それは前半から守備面では多く見られた。先発起用となったMF中山雄太(ズヴォレ)も積極的にボールを奪いに行き、前線で起用された選手たちもそれぞれ前からプレスをかけて行った。 その圧力に負けたのか、カメルーン代表も立ち上がりは浮き足立ち、GKへのバックパスがあわやオウンゴールになりそうな場面もあったが、10分過ぎからカメルーンが徐々にペースをつかんで行った。 この辺りから日本のアグレッシブに行く姿勢が徐々に空回りし始める。1つは前線の4枚とボランチの距離が開いてしまったことが理由だろう。プレスというのはチーム全体が連動して行ってこそ効果があり、単独でのプレスは高いレベルでは殆どボール奪取には繋がらない。 カメルーンも徐々に日本のプレスを回避し、サイドバックからセンターバックへつなぎ逆サイドへと展開。そこから中に戻したり、前を使ったりと攻撃に転じていた。プレス回避をさせてしまったという点では、久々の実戦ということで、全体の連動性が少し落ちていたことも理由の1つだろう。この点は時間が経過するにつれて解消されて行っただけに、大きな問題ではなかった。 また、奪ってから早く攻めようという意識がありすぎたのか、ボール奪取からのパスが通らないシーンも多く見られた。アグレッシブなだけでは通用せず、いかに冷静さとバランスを取るかが重要になってくるだろう。 <span class="paragraph-title">◆アフリカ特有の“距離”</span> もう1つの問題は、アフリカ人選手特有の“間合い”だ。よく言われる“懐の深さ”というものがあるが、日本代表の選手が奪いに行っても、ボールが少し届かない位置に置かれてしまう場面が多かった。取れた気になっても取りきれず、入れかわられてパスを繋がれるという場面が多かった。 また、攻撃時でもパスやドリブルを仕掛けた際、絶妙に足が伸びてカットされる場面が散見された。パスを出した側も、ドリブルを仕掛けた側も、普段の感覚なら抜けているであろうシーンだったが、さらに足が伸びるアフリカ人選手の特徴に苦しめられたと言える。 ヨーロッパでプレーし、アフリカ人選手との対戦や、チームメイトとして知ることは多くとも、すべての局面でその感覚が求められることはそうそうない。加えてトニ・コンセイソン監督が規律をチームもにもたらしたことで、カメルーン代表はチームとしても機能。選手間の距離が非常に保たれており、ビルドアップがうまくハマっていたのも、その距離がカギだったように見えた。 個々能力の高さだけでなく、チームとして連動されたことは、日本にとっては大きな壁となったはず。コートジボワール代表戦では、カメルーン戦で感じた微妙な距離の違いを加味して、選手たちにはプレーしてもらいたい。 <span class="paragraph-title">◆システム変更への対応力</span> 一方で評価すべき点がないわけでもない。もちろんゴールを奪えなかったが、無失点で終わり、決定的なシーンすらあまり作らせていなかった。加えて、前半と後半でシステムを変更し、選手たちがそこにアジャストしたことは大きい。 「ハーフタイムでどう話そうかと思った」と柴崎岳(レガネス)が語っていたように、選手の中でもハマっていないことは感じていたとのこと。そこで森保一監督がシステム変更に打って出た。 後半は3バックにし、MF伊東純也(ヘンク)を入れてピッチの幅を使うことを選んだ。結果として、右サイドの伊東が相手の裏を取る動きを何度も見せ、日本の攻撃の形が作られていった。 ラストプレーのシーンでも伊東が特徴であるドリブルで縦に抜けた結果、ボックス手前でFKを獲得。惜しくもMF久保建英(ビジャレアル)のシュートはGKにセーブされてしまったが、こういったシーンをもう少し早く作れていればゴールも奪えていただろう。 また、守備に奔走していた中山も前にしっかりと出て奪い、攻撃にも参加。選手が入れ替わる中、カメルーンのパフォーマンスが落ちてきたこともあったが、終盤はしっかりと主導権を握っていた。 2つのシステムをしっかりとこなしたこと、勝ち切れないまでも、ピッチ上の状況に合わせて対応できたことは、1年ぶりの合宿となったことを考えても、プラス材料だと言えるだろう。コートジボワール戦では、勝利、ゴールといった結果を求めたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2020.10.11 21:45 Sun
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