【J1クラブ通信簿】念願のアジアタイトル獲得も…2年連続国内タイトル無冠《鹿島アントラーズ》
2018.12.19 20:05 Wed
▽優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2018シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第16弾は3位の鹿島アントラーズを総括!
◆シーズン振り返り
▽AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージは2勝3分け1敗、鬼門だったラウンド16を突破するなど好調を見せるも、リーグ戦では奮わず。ロシア・ワールドカップ(W杯)による中断前の15試合で6敗(5勝3分け)で11位に沈み、開幕前に掲げた4冠など程遠いところに位置していた。
▽弱点を補強して整えたはずだった守備陣も15試合で16失点(得失点-4)と満足する結果とは言えず、不安を覚える出来であった。
▽さらにW杯後、チームの要であったDF植田直通(→セルクル・ブルージュ)、FW金崎夢生(→サガン鳥栖)が立て続けに流出。一方で、鳥栖から韓国代表DFチョン・スンヒョンを獲得して植田の穴を埋めるも、エースの抜けた穴は埋めきれずにいた。
▽ACLの勝ち上がり、リーグ戦、YBCルヴァンカップ、天皇杯と四足の草鞋を履く鹿島が今シーズンの過密日程を乗り越えられたのは、若手の成長も特筆すべきポイントだ。
▽エースにまで成長した鈴木はもちろんのこと、中盤のバランサーとしてMFレオ・シルバ、MF永木亮太、MF小笠原満男に加えてDF西大伍まで、様々に変わった相棒とのバランスを上手く取りチームの軸となったMF三竿健斗、19歳の若さで常勝軍団・鹿島の主力として定着したFW安部裕葵など、彼らの活躍は目覚ましいものがあった。
◆MVP
FW鈴木優磨(22)
明治安田生命J1リーグ32試合出場(先発25試合)/11得点10アシスト
▽特にW杯中断明け、金崎が鳥栖へ移籍した事でエースの自覚が生まれたのか、後半戦だけで7得点。さらに自らの得点だけではなく、前線からの守備、ポストプレー、そしてサイドで起点となりアシストも量産。クラブ初となる日本人選手での得点・アシストともに二桁に乗せた。
▽ACLではゴールこそ2得点に終わったものの、チームの勝利に貢献したことで大会MVPを受賞。入れ替えの激しかった今シーズンの鹿島において、大きな支えになった。
◆補強成功度 《A》※最低E〜最高S
▽W杯後に植田が移籍、さらに昌子源も負傷で長期離脱となったものの、鳥栖から補強したチョンスンヒョン、シーズン前に加入した犬飼、そしてユースから昇格した3年目の町田が奮闘。最終ラインを支えたレギュラーの抜けた穴をしっかりと埋めることができた。
▽さらには、今シーズンは一歩奮わなかったFWペドロ・ジュニオール(→武漢卓爾職業足球倶楽部)、ケガで長期離脱を余儀なくされたMFレアンドロの代わりとして、ジーコTDの秘蔵っ子・セルジーニョを獲得。献身的な守備から攻撃の起点を作り、攻撃陣を活性化。リーグ戦では3得点に終わったが、ACLでは決勝トーナメントで5試合連続ゴールと火を吹いた。
▽そして、なんと言ってもジーコTDの復帰が最大の補強になったのではないだろうか。“ジーコイズム”を継承する選手が少なくなったこのタイミングでチームに復帰。彼のTD就任が、チームに程よい緊張感が生み、ACL制覇、リーグ3位という好成績を残す要因となったと言っても過言ではないだろう。
◆総合評価 《B》※最低E〜最高S
▽加えて、最終節は勝てば2位の可能性も残す中、残留争い中のサガン鳥栖とホームで0-0のゴールレスドロー。煮え切らない形でのシーズン終了は、サポーターにとってもフラストレーションの溜まるラストとなったに違いない。
▽とはいえ、シーズン終盤はリーグ戦、ACL、ルヴァンカップ、天皇杯と4つの大会を抱える事となったが、上手くターンオーバーし過密日程を切り抜けられたことはプラス材料と言えるだろう。その裏には、鈴木、三竿(健)、安部など若手の台頭はもちろん、曽ヶ端準、小笠原の2人のベテラン選手のひたむきな姿勢と経験値が生かされたとも言える。
▽シーズン中盤は迷走気味とも言われた大岩剛監督だったが、選手たちの疲労やプレイスタイルの相性などを見極め、全ての大会でトップレベルの結果を残すことができたことは評価できるのではないだろうか。
▽しかし、常にトップを目標に定める鹿島においては、ベスト4は喜ばしいものではなく、“優勝”以外は意味を持たない。国内タイトルを2年連続で逸している鹿島にとって、タイトルを奪還する為に必要なものは何なのか。ACL初制覇の経験をいかにチームに落とし込んでいくかが、来シーズンの成功のカギとなるだろう。
◆シーズン振り返り
(C)CWS Brains,LTD
▽あと一歩のところでリーグ制覇を逃した昨シーズンから4冠を目指した鹿島アントラーズ。センターバックにDF犬飼智也(清水エスパルス)、サイドバック、サイドハーフ、ウイングのどこでもできる器用なDF安西幸輝(東京ヴェルディ)に加え、長らくドイツでプレーしたDF内田篤人(ウニオン・ベルリン)が復帰。課題であったサイドバックの人員不足も解消し、新シーズンに臨んだ。▽弱点を補強して整えたはずだった守備陣も15試合で16失点(得失点-4)と満足する結果とは言えず、不安を覚える出来であった。
▽さらにW杯後、チームの要であったDF植田直通(→セルクル・ブルージュ)、FW金崎夢生(→サガン鳥栖)が立て続けに流出。一方で、鳥栖から韓国代表DFチョン・スンヒョンを獲得して植田の穴を埋めるも、エースの抜けた穴は埋めきれずにいた。
▽そんな中、神様・ジーコ氏がテクニカルディレクターとして復帰。そして、ブラジルから連れて来たFWセルジーニョがすぐさまフィットし結果を出す。さらにエースとしての自覚を強めた鈴木優磨の躍進もあり、一時は15位まで下げた順位を最終的に3位にまで引き上げることができた。
▽ACLの勝ち上がり、リーグ戦、YBCルヴァンカップ、天皇杯と四足の草鞋を履く鹿島が今シーズンの過密日程を乗り越えられたのは、若手の成長も特筆すべきポイントだ。
▽エースにまで成長した鈴木はもちろんのこと、中盤のバランサーとしてMFレオ・シルバ、MF永木亮太、MF小笠原満男に加えてDF西大伍まで、様々に変わった相棒とのバランスを上手く取りチームの軸となったMF三竿健斗、19歳の若さで常勝軍団・鹿島の主力として定着したFW安部裕葵など、彼らの活躍は目覚ましいものがあった。
◆MVP
FW鈴木優磨(22)
明治安田生命J1リーグ32試合出場(先発25試合)/11得点10アシスト
(C)J.LEAGUE PHOTO
▽今年の鹿島を3位まで押し上げたのは、この人と言っていいだろう。トップ昇格から4年目の今シーズン。これまで途中出場が多かった鈴木だが、25試合で先発起用された。金崎、土居聖真、セルジーニョと相棒が変わる中、順応性と成長を見せた。▽特にW杯中断明け、金崎が鳥栖へ移籍した事でエースの自覚が生まれたのか、後半戦だけで7得点。さらに自らの得点だけではなく、前線からの守備、ポストプレー、そしてサイドで起点となりアシストも量産。クラブ初となる日本人選手での得点・アシストともに二桁に乗せた。
▽ACLではゴールこそ2得点に終わったものの、チームの勝利に貢献したことで大会MVPを受賞。入れ替えの激しかった今シーズンの鹿島において、大きな支えになった。
◆補強成功度 《A》※最低E〜最高S
Getty Images
▽J2で頭角を見せていた安西をはじめ、犬飼、8年ぶりに帰還した内田とディフェンスラインを補強。ACLとリーグ戦の兼ね合いでターンオーバーを繰り返すも、ベストな組み合わせが見つけられないままW杯の中断期間に入った。▽W杯後に植田が移籍、さらに昌子源も負傷で長期離脱となったものの、鳥栖から補強したチョンスンヒョン、シーズン前に加入した犬飼、そしてユースから昇格した3年目の町田が奮闘。最終ラインを支えたレギュラーの抜けた穴をしっかりと埋めることができた。
▽さらには、今シーズンは一歩奮わなかったFWペドロ・ジュニオール(→武漢卓爾職業足球倶楽部)、ケガで長期離脱を余儀なくされたMFレアンドロの代わりとして、ジーコTDの秘蔵っ子・セルジーニョを獲得。献身的な守備から攻撃の起点を作り、攻撃陣を活性化。リーグ戦では3得点に終わったが、ACLでは決勝トーナメントで5試合連続ゴールと火を吹いた。
▽そして、なんと言ってもジーコTDの復帰が最大の補強になったのではないだろうか。“ジーコイズム”を継承する選手が少なくなったこのタイミングでチームに復帰。彼のTD就任が、チームに程よい緊張感が生み、ACL制覇、リーグ3位という好成績を残す要因となったと言っても過言ではないだろう。
◆総合評価 《B》※最低E〜最高S
(C)J.LEAGUE PHOTO
▽2位のサンフレッチェ広島と勝ち点差3の勝ち点56の3位に終わったが、首位・川崎フロンターレには「13」も勝ち点差を付けられての終幕。昨シーズンの勝ち点72と比較しても、かなり物足りないシーズンとなった。▽加えて、最終節は勝てば2位の可能性も残す中、残留争い中のサガン鳥栖とホームで0-0のゴールレスドロー。煮え切らない形でのシーズン終了は、サポーターにとってもフラストレーションの溜まるラストとなったに違いない。
▽とはいえ、シーズン終盤はリーグ戦、ACL、ルヴァンカップ、天皇杯と4つの大会を抱える事となったが、上手くターンオーバーし過密日程を切り抜けられたことはプラス材料と言えるだろう。その裏には、鈴木、三竿(健)、安部など若手の台頭はもちろん、曽ヶ端準、小笠原の2人のベテラン選手のひたむきな姿勢と経験値が生かされたとも言える。
▽シーズン中盤は迷走気味とも言われた大岩剛監督だったが、選手たちの疲労やプレイスタイルの相性などを見極め、全ての大会でトップレベルの結果を残すことができたことは評価できるのではないだろうか。
▽しかし、常にトップを目標に定める鹿島においては、ベスト4は喜ばしいものではなく、“優勝”以外は意味を持たない。国内タイトルを2年連続で逸している鹿島にとって、タイトルを奪還する為に必要なものは何なのか。ACL初制覇の経験をいかにチームに落とし込んでいくかが、来シーズンの成功のカギとなるだろう。
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