【日本人移籍総括】ステップアップとベルギー移籍が目立ったW杯後の今夏

2018.09.03 23:00 Mon
Getty Images
▽ワールドカップ明けの今夏は多くの日本人選手がステップアップと身の丈にあった移籍を果たしたと言えそうだ。その筆頭はFW武藤嘉紀。ブンデスリーガで通算20ゴールを挙げ、3年を過ごしたマインツから世界最高リーグのプレミアリーグへ移籍を果たした。同じ道を辿ったFW岡崎慎司に続くような活躍を中堅クラブのニューカッスルで見せられるかに注目だ。

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)で悔しい選外となったFW久保裕也はベルギーリーグで通算12ゴールを挙げた実績を買われ、1年半を過ごしたヘントから4大リーグの一角を担うブンデスリーガへ移籍。昇格組のニュルンベルクへレンタル移籍した。開幕から早速スタメンで起用されており、期待の高さが窺える。

▽Jリーグからは日本代表組のDF遠藤航が浦和レッズからベルギーリーグのシント=トロイデンへ。同じく代表DFの植田直通は鹿島アントラーズからやはりベルギーリーグのセルクル・ブルージュへ完全移籍し、欧州でのキャリアを歩み始めた。ベルギーで実績を上げ、久保のように4大リーグへのステップアップを目指したい。
▽また、今季のJリーグで11ゴールを挙げてブレイクしたFW西村拓真が移籍期限最終日にCSKAモスクワへ電撃移籍を果たした。CSKAモスクワはチャンピオンスリーグに出場するため、レアル・マドリーやローマと対戦するチャンスがいきなり巡ってきた格好だ。

▽W杯で活躍したMF乾貴士、FW大迫勇也、MF原口元気の3選手はW杯前に移籍を決めており、すんなりと新シーズンを迎えた。3年を過ごしたエイバルでレギュラーとして活躍し続けた乾は、より攻撃的なサッカーを展開するベティスでゴールに絡む回数を増やす活躍が求められる。大迫は降格したケルンからブレーメンへ移籍。守備的だったケルンとは違い、攻撃色の強いクラブカラーのブレーメンでゴール量産を目指したい。原口は昇格に貢献したデュッセルドルフではなく、ハノーファーへの完全移籍を選択。カウンター色の強いチームでヘルタ・ベルリン時のようなハードワークを見せることでレギュラーの座を掴みたい。
▽その他、自身にフィットしそうなチームを選択したのがFW浅野拓磨、FW宇佐美貴史、MF井手口陽介といった次代の日本代表を担う面々だ。浅野は昨季、シュツットガルトで徐々に出場機会を失い、W杯メンバーから惜しくも落選。原口と共にハノーファーでブンデスでの挑戦を続けることになった中、カウンター型のチームで自身の走力を生かしたいところだ。

▽宇佐美はアウグスブルクに復帰する選択もあったようだが、デュッセルドルフへの再レンタルを決断した。昨季は原口と共に昇格に貢献した宇佐美は、W杯ではメンバー入りするも出場機会はさほど得られなかった。自身のプレースタイルを把握している監督の下、デュッセルドルフでの2年目を迎える。

▽鬼才ビエルサに見切られた井手口は昨季のレオネサに続き、レンタルに出される格好となった。移籍先はドイツ2部のグロイター・フュルトで、井手口の泥臭いハードなプレーがドイツで通用するかに注目だ。

▽最後に欧州に渡ったものの、実績を上げられていないMF関根貴大とMF鎌田大地は共に立石敬之氏がCEOを務めるシント=トロイデンで自身の能力を示しにかかる。

【今夏の日本人の移籍】※日付は移籍決定日
【(8/31)】
MF鎌田大地
(シント=トロイデン←フランクフルト)※レンタル移籍

FW西村拓真
(CSKAモスクワ←ベガルタ仙台)

【(8/28)】
GK川島永嗣
(ストラスブール←無所属)

【(8/21)】
MF井手口陽介
(グロイター・フュルト←リーズ) ※レンタル移籍

【(8/19)】
FW久保裕也
(ニュルンベルク←ヘント)※レンタル移籍

【(8/4)】
FW宇佐美貴史
(デュッセルドルフ←アウグスブルク)※レンタル移籍

【(8/2)】
FW武藤嘉紀
(ニューカッスル←マインツ)

【(7/21)】
DF遠藤航
(シント=トロイデン←浦和レッズ)

【(7/17)】
DF植田直通
(セルクル・ブルージュ←鹿島アントラーズ)

【(7/10)】
MF関根貴大
(シント=トロイデン←インゴルシュタット)※レンタル移籍

【(6/30)】
DF長友佑都
(ガラタサライ←インテル)

【(6/12)】
MF原口元気
(ハノーファー←ヘルタ・ベルリン)

【(6/1)】
MF乾貴士
(ベティス←エイバル)

【(5/23)】
FW浅野拓磨
(ハノーファー←アーセナル)※レンタル移籍

【(5/16)】
FW大迫勇也
(ブレーメン←ケルン)

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