【W杯準々決勝プレビュー】老獪な堅守vs若手攻撃陣! W杯2戦連続ドロー中の対決を制すのは?《スウェーデンvsイングランド》

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)準々決勝、スウェーデン代表vsイングランド代表が7日23:00にサマーラ・アリーナでキックオフされる。ラウンド16でスイスを破ったスウェーデンと、コロンビアを苦手PK戦の末に退けたイングランドによる、欧州勢対決だ。▽“死のグループ”と評されたグループFを2勝1敗で首位通過したスウェーデンはラウンド16でグループE2位通過のスイスと対戦。共に堅守速攻を志向する中、拮抗した勝負を繰り広げるも、後半半ばにエースのMFフォルスベリの放ったシュートが相手DFにディフレクトしてGKの逆を突く幸運なゴールによって先制。その後、リスクを冒して攻撃の枚数を増やしたスイスの猛攻を持ち味の堅守で凌ぎ切って1-0の勝利を収め、1994年アメリカ大会以来、6大会ぶりのベスト8進出を果たした。ここまでほぼメンバーを固定しており、そろそろ疲労のピークを迎えるころだが、90分間で試合を終わらせたアドバンテージを生かして再び接戦に持ち込んで勝ち切りたいところだ。▽一方、グループGを2勝1敗で2位通過したイングランドはラウンド16でグループH首位通過のコロンビアと対戦。今大会絶好調のエースFWケインのPKによる今大会6点目で先制に成功したものの、残り数分でベスト8進出という後半アディショナルタイムにセットプレーからDFミナに同点ゴールを献上。その後、劣勢の延長戦を何とか凌いだチームはW杯3戦全敗の苦手PK戦に臨んだ中、GKピックフォードの好守にも助けられ4-3で初のPK戦勝利を飾った。そして、鬼門のPK戦を制したチームは120分間を戦った疲労はあるものの、勢いに乗った状態で今回のスウェーデン戦に臨む。
▽なお、両チームの通算対戦成績はイングランドの8勝7敗9分けだ。直近の対戦は2012年11月のフレンドリーマッチでFWイブラヒモビッチのプスカシュ賞受賞弾を含む圧巻の4発によりスウェーデンが4-2で勝利している。なお、W杯では2002年の日韓大会(1-1)、2006年のドイツ大会(2-2)のグループリーグで対戦しているが、いずれも引き分けに終わっている。そのため、通算3度目の対戦でようやく決着が付くことになる。


▽スウェーデン予想スタメン
GK:ロビン・オルセン
DF:クラウス、リンデロフ、グランクビスト、アウグスティンション
MF:クラーソン、ラーション、エクダル、フォルスベリ
FW:トイヴォネン、ベリ
負傷者:MFドゥルマズ、エクダル
出場停止者:DFルスティグ▽スイス戦で今大会2枚目の警告を受けたルスティグが累積警告によって出場停止となる。負傷者に関しては主力MFエクダルが軽傷を抱えているものの起用に問題はないようだ。

▽システムとスタメンに大きな変更はないが、ルスティグ不在の右サイドバックにスイス戦途中出場のクラウスが起用される見込みだ。


▽イングランド予想スタメンGK:ピックフォード
DF:ウォーカー、ストーンズ、マグワイア
MF:トリッピアー、ロフタス=チーク、ヘンダーソン、リンガード、ローズ
FW:スターリング、ケイン
負傷者:DFウォーカー、MFヤング、デレ・アリ、FWヴァーディ
出場停止者:なし

▽出場停止者はいない。負傷者に関してはコロンビア戦で負傷したヴァーディとヤングの欠場が濃厚だ。

▽スタメンに関してはコロンビア戦をベースに負傷のヤングに代わってローズ、コンディションが上がり切っていないデレ・アリに代わってロフタス=チークが起用される見込みだ。また、PK戦までもつれ込む激闘の影響からその他のポジションでもメンバー変更を行うことも考えられる。

★注目選手
◆スウェーデン:DFルドヴィグ・アウグスティンション▽スウェーデンの注目プレーヤーは今大会で安定感が光る左サイドバックのアウグスティンションだ。デンマークのコペンハーゲンでブレイクを果たした24歳は、高精度の左足に加え、豊富な運動量と攻撃センスを武器に昨夏加入したブレーメンでも左サイドバックの定位置を獲得。また、今大会では逆転突破を懸けたグループ最終節で代表初ゴールを記録するなど圧巻のパフォーマンスを披露した。

▽難敵イングランド戦に向けては右サイドバックのルスティグが出場停止で不在となり、より守備的なクラウスの起用が濃厚だ。それだけにアウグスティンションには絶好調のトリッピアーへの対応と共に持ち味の推進力を生かした攻撃でトリッピアーとウォーカーのサイドを打ち破る攻撃面での活躍が求められるところだ。

◆イングランド:FWラヒーム・スターリング▽イングランドの注目プレーヤーは若きスリーライオンズの10番を担うスターリングだ。今大会では代表引退のFWルーニーに代わって10番を託されたスターリングだが、大勝したパナマ戦こそゴールに絡む仕事を見せたものの、全体的に物足りない出来に終始している。

▽今回の対戦相手であるスウェーデンはグランクビストを中心に高さと組織的な守備をストロングポイントとしており、ここまでセットプレーとケインの決定力頼みの攻撃が目立つイングランドにとっては非常に相性が悪い相手だ。そこで重要となってくるのが、密集地帯でも小回りの利く仕掛けで局面を打開できるスターリングの存在だ。今回の代表はMFウィルシャー、MFララナらの不在によってスペースを消されると苦労するタイプの選手が多いだけに、スターリングとしてはMFリンガードやMFデレ・アリらとのコンビネーションと得意の仕掛けを武器に堅牢な守備ブロック攻略の糸口となりたい。