“悲劇”と“奇跡”を味わった両雄による“デルビー・デッラ・カピターレ”は白熱ドロー!《セリエA》
2018.04.16 05:51 Mon
▽セリエA第32節、ラツィオvsローマによる“デルビー・デッラ・カピターレ”が15日にスタディオ・オリンピコで行われ、0-0のドローに終わった。
▽直近2連勝でリーグ4位に浮上したラツィオ(勝ち点60)だが、ミッドウィークに敵地で行われたヨーロッパリーグ(EL)準々決勝2ndレグのザルツブルク戦では1stレグでの4-2のアドバンテージに加え後半立ち上がりに先制点を奪うも、70分過ぎの4分間で3点を失い、最終的に3点差を引っくり返されて敗退する“ザルツブルクの悲劇”を味わった。その“悲劇”から中2日でのデルビーに向けては先発2人を変更。バスタとルイス・アルベルトに代わってマルシッチ、フェリペ・アンデルソンを起用した。
▽一方、3位ローマ(勝ち点60)は直近のリーグ戦で1敗1分けと取りこぼしたうえ、CL準々決勝1stレグで1-4の大敗を喫する厳しい戦いを強いられていた。しかし、ミッドウィークに行われたバルセロナとの2ndレグでは指揮官の3バック変更がハマるなど圧巻のパフォーマンスをみせ、3-0で完勝。2戦合計4-4もアウェイゴール差で上回り、3点差を引っくり返す“オリンピコの奇跡”でCLへの名称変更後初となるベスト4進出を果たした。そのバルセロナ戦からは体調不良のフロレンツィに代わってブルーノ・ペレスを起用した以外、同じメンバーを起用。引き続き[3-4-3]の布陣を採用した。
▽ダービー名物の壮麗なコレオグラフィーが両クルヴァを彩った今季2度目の“デルビー・デッラ・カピターレ”。立ち上がりは“悲劇”を乗り越えようとするホーム扱いのラツィオが非常にアグレッシブな入りを見せる。
▽インモービレとアンデルソンの2トップが積極的に相手最終ラインと駆け引きを試みる。続けてオフサイドにかかったものの、その2トップが相手守備を引き付けると、7分にはボックス内でのインモービレの粘りから2列目の飛び出しを見せたパローロが惜しい形でシュートを放つ。その後も3バックとウイングバックの間や押し下げた最終ラインと中盤の間のスペースを効果的に使い、果敢な攻めを続けていく。
▽30分過ぎまでは出足の鋭さで勝るラツィオのペースが続くもマノラスを中心に粘り強く守るローマが失点を許さない。すると、前半終盤にかけてはここまで沈黙していたローマの攻撃陣が怒涛の攻めを見せる。37分、左サイドで起点を作ったゼコからパスを受けたナインゴランが反転から絶妙なスルーパスをボックス右に走り込むブルーノ・ペレスに通す。ここでブルーノ・ペレスは丁寧に右足のシュートをファーポストに放つが、これは左ポストを叩く。
▽この直後には中盤でボールを奪ったマノラスがゴール前まで豪快に持ち込んで左サイドのコラロフからゼコを狙った鋭いクロス、さらに右サイドでラドゥの背後を取ったブルーノ・ペレスに決定機。だが、いずれも先制点とはならなかった。
▽試合の入りはラツィオ、半ば以降はローマが主導権を奪い返す白熱の前半を経て試合は後半に突入。後半も立ち上がりはラツィオが圧力をかけていく中、これを冷静にいなして反撃に出るローマは55分、シックを下げてジェンギズ・ユンデルを投入。58分にはそのジェンギズからボックス手前左でパスを受けたゼコがシュートを放つが、これは枠を捉え切れない。
▽一方、中2日での戦いを強いられたラツィオは59分、アンデルソンとルリッチを下げてL・アルベルトとジョルダン・ルカクを同時投入。すると、この交代をキッカケにルカクとミリンコビッチ=サビッチの左サイドを起点にラツィオの攻撃が活性化。66分にはミリンコビッチ=サビッチの浮き球パスに反応したインモービレがダイレクトシュートも枠の右に外れる。
▽後半もダービーらしい白熱の展開が続く中、互いにアクシデントが発生。74分、筋肉系のトラブルを起こしたマノラスがプレー続行不可能となり、フロレンツィと交代。この交代でローマは4バックにシステムを変える。一方、ラツィオは80分にジェンギズに裏を取られたラドゥがユニフォームを引っ張って倒してしまい、この試合2枚目のカードで退場となった。
▽ここで数的優位を得たローマに流れが傾くかに思われたが、ラツィオもミリンコビッチ=サビッチのキープ力を生かしてマルシッチにあわや先制点という決定機が訪れるなど、引き分け良しとしないアグレッシブな戦いを見せる。そして、試合最終盤にはジェンギズの右クロスにゼコ、ストロートマンの浮き球パスに再びゼコ、ナインゴランの短いラストパスに三度ゼコと続けて3度の決定機を訪れるが、ヘディングシュートが相手GKの好守とクロスバーに阻まれ、劇的な決勝点とはならず。互いの意地がぶつかり合った白熱の首都デルビーはゴールレスドローで決着。当該成績でローマが3位をキープしたものの、勝ち点1差のインテルを含めて熾烈なトップ4争いは最後まで続く様相だ。
▽直近2連勝でリーグ4位に浮上したラツィオ(勝ち点60)だが、ミッドウィークに敵地で行われたヨーロッパリーグ(EL)準々決勝2ndレグのザルツブルク戦では1stレグでの4-2のアドバンテージに加え後半立ち上がりに先制点を奪うも、70分過ぎの4分間で3点を失い、最終的に3点差を引っくり返されて敗退する“ザルツブルクの悲劇”を味わった。その“悲劇”から中2日でのデルビーに向けては先発2人を変更。バスタとルイス・アルベルトに代わってマルシッチ、フェリペ・アンデルソンを起用した。
▽一方、3位ローマ(勝ち点60)は直近のリーグ戦で1敗1分けと取りこぼしたうえ、CL準々決勝1stレグで1-4の大敗を喫する厳しい戦いを強いられていた。しかし、ミッドウィークに行われたバルセロナとの2ndレグでは指揮官の3バック変更がハマるなど圧巻のパフォーマンスをみせ、3-0で完勝。2戦合計4-4もアウェイゴール差で上回り、3点差を引っくり返す“オリンピコの奇跡”でCLへの名称変更後初となるベスト4進出を果たした。そのバルセロナ戦からは体調不良のフロレンツィに代わってブルーノ・ペレスを起用した以外、同じメンバーを起用。引き続き[3-4-3]の布陣を採用した。
▽インモービレとアンデルソンの2トップが積極的に相手最終ラインと駆け引きを試みる。続けてオフサイドにかかったものの、その2トップが相手守備を引き付けると、7分にはボックス内でのインモービレの粘りから2列目の飛び出しを見せたパローロが惜しい形でシュートを放つ。その後も3バックとウイングバックの間や押し下げた最終ラインと中盤の間のスペースを効果的に使い、果敢な攻めを続けていく。
▽一方、時間の経過とともに相手の圧力に慣れ始めたローマはマイボール時は的確にボールを動かして相手陣内までボールを運んでいく。しかし、ゼコが徹底マークに遭うなど前線でなかなかポイントができず、セットプレー以外でボックス内を陥れるようなシーンを作れない。
▽30分過ぎまでは出足の鋭さで勝るラツィオのペースが続くもマノラスを中心に粘り強く守るローマが失点を許さない。すると、前半終盤にかけてはここまで沈黙していたローマの攻撃陣が怒涛の攻めを見せる。37分、左サイドで起点を作ったゼコからパスを受けたナインゴランが反転から絶妙なスルーパスをボックス右に走り込むブルーノ・ペレスに通す。ここでブルーノ・ペレスは丁寧に右足のシュートをファーポストに放つが、これは左ポストを叩く。
▽この直後には中盤でボールを奪ったマノラスがゴール前まで豪快に持ち込んで左サイドのコラロフからゼコを狙った鋭いクロス、さらに右サイドでラドゥの背後を取ったブルーノ・ペレスに決定機。だが、いずれも先制点とはならなかった。
▽試合の入りはラツィオ、半ば以降はローマが主導権を奪い返す白熱の前半を経て試合は後半に突入。後半も立ち上がりはラツィオが圧力をかけていく中、これを冷静にいなして反撃に出るローマは55分、シックを下げてジェンギズ・ユンデルを投入。58分にはそのジェンギズからボックス手前左でパスを受けたゼコがシュートを放つが、これは枠を捉え切れない。
▽一方、中2日での戦いを強いられたラツィオは59分、アンデルソンとルリッチを下げてL・アルベルトとジョルダン・ルカクを同時投入。すると、この交代をキッカケにルカクとミリンコビッチ=サビッチの左サイドを起点にラツィオの攻撃が活性化。66分にはミリンコビッチ=サビッチの浮き球パスに反応したインモービレがダイレクトシュートも枠の右に外れる。
▽後半もダービーらしい白熱の展開が続く中、互いにアクシデントが発生。74分、筋肉系のトラブルを起こしたマノラスがプレー続行不可能となり、フロレンツィと交代。この交代でローマは4バックにシステムを変える。一方、ラツィオは80分にジェンギズに裏を取られたラドゥがユニフォームを引っ張って倒してしまい、この試合2枚目のカードで退場となった。
▽ここで数的優位を得たローマに流れが傾くかに思われたが、ラツィオもミリンコビッチ=サビッチのキープ力を生かしてマルシッチにあわや先制点という決定機が訪れるなど、引き分け良しとしないアグレッシブな戦いを見せる。そして、試合最終盤にはジェンギズの右クロスにゼコ、ストロートマンの浮き球パスに再びゼコ、ナインゴランの短いラストパスに三度ゼコと続けて3度の決定機を訪れるが、ヘディングシュートが相手GKの好守とクロスバーに阻まれ、劇的な決勝点とはならず。互いの意地がぶつかり合った白熱の首都デルビーはゴールレスドローで決着。当該成績でローマが3位をキープしたものの、勝ち点1差のインテルを含めて熾烈なトップ4争いは最後まで続く様相だ。
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