【戸田和幸のプレミア・アナリシス】「今のままならシティが優勝」 優勝争うプレミア上位陣を分析&岡崎と吉田を語る
2017.11.17 13:00 Fri
▽現役時代に日本代表として2002年の日韓ワールドカップに出場し、現在はサッカー解説者を務める戸田和幸氏。超ワールドサッカーでは11月より定期的に、戸田氏にプレミアリーグについて存分に語ってもらう。
「グアルディオラ監督からもコメントが出ていましたが監督が志向するサッカーに対しての選手の理解と監督の選手に対する理解、そして選手同士の理解が進みました。引き分けたエバートン戦(第2節:1-1)は3バックがボールを持たされる形になりカウンターを受ける形が多くあまりうまくはいきませんでしたがあとの試合は結果・内容共に圧倒している試合が多いです」
「ベースとなる戦術的なオーガナイズをきちんと持っている事から始まり各選手の技術的なレベルの高さに賢さ、身体的な速さと強さは際立っています。攻撃がメインになるチームですが攻守の切り替えも非常に速くボールを失った瞬間には既に守備がスタートしている、言い方を変えれば攻撃をしながら守備も行い守備をしながら攻撃の準備もしているのがシティです。ですから試合中のどんな局面においても後手を踏んでいる場面がほとんどありませんしエバートン戦の1分けが余計だったかなというぐらい素晴らしく凄まじい序盤の戦いぶりです」
「基本的にはありません、それぐらい素晴らしい状態にあると思います。もちろん時にはカウンターを受ける事もありますがどんなサッカーをしたとしても長所を裏返せば短所になりますから。ですから現在のシティについてそこを懸念点だと言ってしまうと重箱の隅を無理やり突っついている感じにもなるぐらい素晴らしいです」
「前線も質も量も揃っているので試合数が多くターンオーバーを敷く中でも質が落ちる事がありませんしどの選手が出場しても高いレベルの連携を見せているあたりに監督の指導力を感じます。最前線の選手起用についてはシーズン開幕当初はガブリエウ・ジェズスとアグエロの2トップで始まりましたが現在はどちらかが1トップを務める形に変わっています。中盤にはまさに世界最高レベルのパフォーマンスを毎試合見せているデ・ブライネ、シルバがいますしそこに新たにベルナルド・シルバも入ってきてケガから復帰してきたギュンドアンとそれぞれインターナショナルレベルを超えた選手が揃っています」
「唯一の懸念点とすると、フェルナンジーニョのポジションでしょうか。昨シーズンはフェルナンジーニョが退場したり安定しなかったりした時にヤヤ・トゥーレが活躍しチームを支えましたが今シーズンはあまり使われていません。それはヤヤのパフォーマンスレベルが低いのではなくフェルナンジーニョに対するグアルディオラ監督の信頼度が絶対的に高いからなのですがそうは言っても長いシーズンを一人で務める事は不可能です」
「ですから彼の控え選手を誰にするのか、今のレベルのサッカーを継続しようとすれば正直フェルナンジーニョに代わる選手は見当たりませんがもうじき厳しいスケジュールがやってくるので上手く休ませながら、いざ勝負となる年明け以降の重要な時期に疲弊してしまわないよう上手にマネジメントする事が求まられますね」
「あとは左サイドでバックのメンディが大きなケガをしてしまいどうするのかな?と思いましたがレアルマドリードから獲得したブラジル代表のダニーロではなくイングランド代表で元々は中盤の選手であるデルフを起用しました。中盤の選手であるデルフがSBに入ったことにより、相手のプレッシングを掻い潜る為のビルドアップの形としてサイドバックが内側に入って来て中盤センターとしてゲームメークを担当させる「偽りのSB(ファルソ・ラテラル)」という戦術を時に使用していますがこれもデルフがいてこそ、昨シーズンもサニャやコラロフといった選手で同様のビルドアップを試みましたが特別な能力を持つ選手でないと務まらない役割なので上手く機能させる事は出来ていませんでした」
「内容でも圧倒したチェルシー戦やナポリ戦でもこの戦術を駆使し相手に何もさせない素晴らしいビルディングアップを見せていましたが監督からすればデルフがいてくれたのはメンディという優秀なSBを怪我で失ってしまった中で見つけた新たなオプションになったと思います」
「純粋なSB、DFであるメンディがいる時にこの戦術を使わなかったという事はメンディはその戦術に適したタイプの選手ではないのでやらなかったということでしょう。元々中盤の選手ですが左利きで技術も高く、尚且つ守備意識も献身性も兼ね備えたデルフだからグアルディオラ監督も「出来る」と思って「ファルソ・ラテラル」を採用しているのでしょうね。強いて指摘するとすればコンパニの負傷など最終ラインの選手層のところですかね。怪我人をこれ以上出さない事、シティの懸念点を突っつくとしたらそのあたりしかありませんね」
──2位のユナイテッドも7勝2分け1敗と安定しています
「同じマンチェスターでも、シティとはやっているサッカーは全然違いますね。モウリーニョ監督は基本的には攻守において個の強さを重要視しています。時にマンツーマンを局所的に使う時もありますし3ラインがきれいに保たれた中で攻守を行うというよりは多少バランスを崩しても「人」を意識させた守備、対人の強さをベースにした守備からの速い攻撃を志向しています」
「ビルドアップについて最終ラインから丁寧にボールを運ぶというような事をするわけでもなく敵陣まで力強くボールを運んでくれるポグバがいる時といない時では大きな違いが出てしまっています。マンチェスター・ユナイテッドのサッカーは基本的には個で解決するというところがベースにありますしモウリーニョ監督は多くの人数を攻撃に割くのではなくあくまでもバランス重視、“守備から”という点を大事にしています」
「その中で広いエリアをカバーしつつ質の高いプレイをしていたのがポグバでしたが、替えの利かない選手である彼がいなくなって中盤のダイナミックさはなくなりました。リヴァプール戦(第8節:0-0)もその時点での相手との力関係を冷静に分析し“これしかない”という闘い方を採用したのだと思います」
「クロップ監督から批判されたりもしましたがモウリーニョ監督は現実的な闘い方で成功してきた監督ですから批判など気にもしないでしょうしプラン通り守備的に振る舞ってうまく無失点で試合を終えたのは流石だと思いました。スパーズ戦(第10節:1-0でユナイテッドが勝利)も同じように極力リスクを排除する闘い方を採用し終盤デヘアからのロングボールを上手く繋いでマルシャルが決め見事に勝ち点3を獲得しました。今はポグバを中心とした怪我人が戻ってくるのを待ちながら勝ち点を積み上げていく時期だと考えているのではないでしょうか」
「フィジカルが強くて大きい選手も重視しているというところではフェライニの不在も戦術的な選択肢を狭めていると思います。あとはラッシュフォードですかね。良いパフォーマンスを見せている試合が多いですが、2トップの一角で出場する時のパフォーマンスがもう一つです。素晴らしい才能を持った選手なのは間違いありませんからもうひとつ突き抜ける時が来るのを(モウリーニョ監督は)待っていると思います。マルシャルに関しては今シーズン良くなったと思います。ワイドに張ってウィングの役割を果たすだけではなく内側に入っても良いプレイができるようになってきました」
「先ほど話をしましたがバランス重視、その上で中盤から前線まで幅広くカバーしていたポグバがいなくなって以降ルカクやムヒタリアンがどうしても孤立してしまう、前線の選手は基本的に孤立傾向にあります。モウリーニョ監督の考えは“少ない人数で得点を奪ってこい”っていうことだと思いますがお互いの距離も遠くサポートも少ない中で違いを見せなくてはならないので試合を観ていて『大変だな』と」
──新加入のMFネマニャ・マティッチのプレイについてはいかがでしょうか?
「攻撃面でも自らボールを運ぶことが出来てミドルシュートも打てるマティッチですが、ポグバがいなくなって以降全体のプレイエリアが下がってしまって、“振り回されることが前提”の守備を強いられる試合が増えてきています。モウリーニョ監督がチェルシーを指揮していた後半時期に似た、ちょっとしんどい感じの仕事に変わってきていますね」
「あとは新戦力のリンデロフがまだフィット出来ていません。ひょっとするとまだと言うより、『フィットするかどうか分からないな』という感じに近いかもしれません。理由はまず(身体)能力的にはそんなに高くないという事ですが、走るスピード、ジャンプ力、カバーできるエリアの広さで考えた時に例えばバイリーのように1人で解決出来てしまうようなタイプではありません。頭が良くて、常に正しいポジションを取りながらカバーリング、攻撃面ではビルドアップができるのが特長だと思いますが、マンチェスター・ユナイテッドの持つプレイスタイルに於いてCBに求められる要素で考えるとリンデロフの持つ強みはあまり発揮できない可能性はあるかもしれません」
「そういう意味ではバイリーとフィル・ジョーンズは大きくて無理も利きますし、いざという時は体を投げ出してでもという守備が出来ますがリンデロフはよりスマートに理詰めで物事を処理する事に長けたタイプのCBだと思います。ハダースフィールド戦でも大きなミスが出てしまいましたが、まずはきちんと戦力としてフィットする事が出来るのかという事とどれくらい早くフィット出来るかが重要になりますし、イコールそれがチームの戦力が増すことに繋がります」
──ウェンブリーを仮住まいとしている3位のスパーズは、ここまで6勝2分け2敗です。昨シーズンからの戦い方の変化などはありますか?
「昨シーズンは4バックでの闘いがベースで基本ハイプレスを軸にしたサッカー展開し素晴らしいシーズンフィニッシュを果たしました。今シーズンは最終ラインにダビンソン・サンチェスが入ったこともあると思いますが、3バックで臨む試合が多くなっています。3-5-2、もしくは3-1-4-2という布陣での闘いを選択する試合が多いですが守備時は両ウイングバックを3バックの脇まで落とし5バックを形成し前線はケインとアリ、ケインとソンといった組み合わせの2トップにして5-3-2で相手の攻撃に対峙する形が多いです」
「素晴らしい闘いを見せたリヴァプール戦やレアル・マドリー戦もそうでしたがある程度自陣まで下がり背後のスペースを消した状態で相手の攻撃を受け止め構えた状態から相手ゴール方向に向かってボールを奪いに行きます」
「そして奪いに出たスピードをそのまま生かした高速カウンターでゴールを狙いに行き上に挙げた2チームに対し素晴らしいゴールも決め勝利を手にしていますが、今季は相手の攻撃を吸収するところからの高速カウンターという新たな武器も手に入れています。今や世界トップレベルという評価を手にするところまでになったケインがいるかいないかで大きな違いは出ますが、相手の力を見極めた上でゲームプランを組める戦術的な柔軟性も出てきましたしそれが様々なタイプの相手に対しても攻守に於いて主導権を握る事が出来るという闘い方の幅が広がったというところに繋がっています」
「ウォーカーとダニー・ローズというアスリート能力にも秀でたSBがガンガン前に出ていたのが昨シーズンだったと思うんですけど、今シーズンはもう少しバランスを取った闘い方をしていますね。新加入のオーリエは身体的にも素晴らしく逞しい選手ですしトリッピアーとかベン・デイビスはそこまでアスリート的な資質はない選手ですが走るタイミングが上手でなおかつクロスが上手い選手たちです。あとはここにローズが戻って来てくれれば両サイド共に2人ずつ高いレベルのSBを揃える事が出来るのでより安定した闘いが出来る状況が整う事になります」
「また、昨シーズンまでの闘い方はあくまでもウォーカーとローズという選手が揃っていたからこそ採用した部分もあると思いますがとは言え両者ともに怪我が多かった事を振り返ってみても両SBにかかる負担は非常に大きかったとも言えます」
「ですから『昨シーズンみたいなサッカーだけでなくより戦術的に幅をもつ事』とをポチェッティーノ監督が考えた可能性もあると思います」
「ずっと強度の高いサッカーを続けた時にケガしてしまっていたのは誰だったかというとローズとウォーカー、そしてケインもそれに該当すると思います。より戦術的に幅を持った闘い方が出来るようになるとハイインテンシティーな部分に頼らなくて済むようになるのでそのようなケガが続かないという事にも繋がると思います」
「昨シーズンまでのスパーズには本当の意味での世界的な選手がいなかったと思います。そしてそのレベルにたどり着くことが出来るポテンシャルを持った選手がケインとデレ・アリだとして、ケインはいよいよそのステージに入ってきた感があります」
「リヴァプール戦(第9節:4-1でトッテナムが勝利)での終盤にハムストリングを傷め交代しましたがその結果次節のユナイテッド戦を欠場する事になってしまい敗れる事に繋がってしまったと個人的には見ています。今更ケインの重要性について説明するまでもありませんが、攻撃の全ての局面に於いて極めてレベルの高いストライカーと言えます。ストライカーとしての高い得点力もさることながら攻守にすごく献身性もあります。チームを押し上げていく為の前線での起点作り・スペースメイク・チャンスメイクも高いレベルで行いながらのあのゴール数ですから今や世界でも数本の指に入る9番になったと思います」
「今のスパーズはチームとしての枠組みというか、明確なプレイモデルと戦術的なコンセプトを持った中で着実に強化してきている感じがあります。明確なチームコンセプトがありながら今季は闘い方にも幅が出てきました。具体的に言うと昨季までは4バックベースでの強度の高いプレッシングが基本的な戦術でしたが今季は3バックを採用する試合が増えていますし守備時は5バックとなり相手の攻撃を受け止めてからの高速カウンターも見せ始めています。昨シーズン全く上手くいかなかったチャンピオンズリーグ(CL)でもそうした幅のある闘い方も効果を発揮しここまでは素晴らしい結果を残しています」
「昨季の中でうまくいかなかった経験を糧に選手自身が経験を積みチームとしても成長を見せていますし監督も含めて伸びている感じがあります。ケインが欠場したことがアタッキングサードでの物足りなさに繋がり敗れてしまったユナイテッド戦は正直もったいないなと思いましたが3位につけているので、悪くない位置にはいると考えているのではないでしょうか」
──CLで結果を出せているのは戦い方の幅が広がったことが影響しているのでしょうか?
「特に2点目のカウンターはビックリするぐらい速かったですしその速さの中での技術の高さも見逃す事の出来ない点です。守備面でも相手のストロングポイントを消すという部分でマドリーとの試合では右サイドに黒人選手を3人置いて(ダビンソン・サンチェス、ムサ・シッソコ、オーリエ)、マルセロとイスコのところを抑えましたが自分たちの強みを残しながらも相手の良さは消すという戦術的にも非常にレベルの高い闘いを見せています」
「頂点を目指すチームとしての課題として挙げられるのは昨シーズンもそうでしたがやはりケインの代わりがいないということでしょう。期待されたヤンセンは残念ながらフィットする事なく移籍してしまいましたし基本彼の変わりが務められる選手はいませんからとにかく怪我をさせないようコンディションには十分に気を付け重要な試合には必ずケインが出場出来るようなマネジメントが必要となります。今季新たに加わったジョレンテはケインとはまた別のタイプの9番ですがレアルマドリード戦のようなジョレンテとケインのコンビは良く機能していましたし今後重要なオプションになると思います」
──4位のチェルシーは、ここまで6勝1分け3敗です。MFエンゴロ・カンテやFWアルバロ・モラタが負傷離脱したことも響いていますね
「新加入のモラタについてはもう少し苦労するかなと予想していましたが自分が考えていたよりも随分早くフィットしたと思います。チーム内にスペイン人が多いという事も順応・適応が早かった事に影響したと思いますし実際アスピリクエタのクロスから得点したり、セスクからも彼のスピードを生かすパスが得点を取る取らないに関わらずたくさん出ています」
「昨シーズンのMVPであるカンテも今季は随分と攻撃に出ていくスタイルに変わってきていますね。また中盤の形も昨季までとは中盤の形も変わってきています。中盤センターが2枚ではなくて3枚になり前線を2トップにしてアザールとモラタがコンビを組んでいます」
「コンテ監督の狙いとしては、アザールをサイドの守備から解放しつつバカヨコが加わったので中盤の強度を増しながらより攻撃の部分を出していきたいのかなという感じは受けますね。バカヨコも能力だけでなく戦術理解度も非常に高いですし、アスピリクエタも昨季までに比べるとかなり攻撃に関与するようになりました。あと課題として上がるのは選手層。決して悪い選手ではありませんがモラタの次のストライカーとして控えるバチュアイは要所要所で得点はしていますが、ゴール近く以外のエリアにて出来る仕事が少ないというのは気になりますしサイドもザッパコスタを獲得しましたけど、モーゼスと比較するとスケールダウンしてしまうところがありますね」
「どのチームもケガのところはアクシデントのところもあるので計算がしづらいと思いますが選手層の薄さが年明け以降の闘いに於いて足を引っ張らなければと危惧しています」
「スケジュールがタイトになった事でトレーニングの時間が減って、チーム戦術の確認作業が出来ず緩さに繋がっているのかもしれませんが例えばスパーズは同じシステムでやっていても前線の選手のチェイシングやプレスバック、常に3ラインがとにかく変わらずに、強度も保てている感じがあります。同じようなスケジュールで闘っているチェルシーは試合によって大きく変わってしまったり2トップが全く守備に参加しないような試合もあり気になっています」
「あとはペドロの出場機会がここ最近減ってきていますね。昨シーズンはペドロがアザールとジエゴ・コスタが苦手な守備でも良く走りスイッチを入れ、攻撃ではオフ・ザ・ボールの動きでスペース作り背後も取ってと、目に見えない部分でもチームに大きな貢献をしつつ決定的な仕事も見せていました」
「そのあたりの人選も2トップにしたこともあり変わってきているなという印象ですが、やはりペドロが出るとゲームが動く感じがあります。もちろんボール持った時の破壊力はアザールには敵わないですし、モラタの高さもありませんがペドロのポジション取りの上手さ・飛び出し・ドリブルは間違いなく大きな武器になりますしネイマールがいなくなった今のバルセロナに最も必要な選手だと個人的には考えています」
「シティと対戦した時(第7節:チェルシーが0-1で敗戦)にデルフがフェルナンジーニョの脇に入っていって、最終ラインが左にずれて3バックになる「ファルソ・ラテラル」を使ってきた時、チェルシーは前の2枚(モラタとアザール)含め守備で何もできませんで。(プレスをハメられず)ボールを通され運ばれて、何もできずに完敗でしたが、戦術的に次の一手が出てこなかったのは気になりました」
「サッカーも日進月歩、常に変化していきますよね。昨シーズン結果を残したチームを見て他のチームは『このチームをやっつけよう』と新しい何か探すわけですけど、そういう意味ではシティは確実に陣容が豊かになり戦い方も多彩になってきています。シティを追いかける展開となっているスパーズも全ての面に於いて大きな成長を見せていますし、ユナイテッドもルカク・マティッチという強烈な個が入ってきている。ライバルチームが昨シーズンよりも戦力的・戦術的にアップする中、チェルシーはどうなのか。モラタの活躍は非常にポジティブですが、選手層の薄さや失点の多さも気になりますしなにより昨シーズンに比べ全体的な緩さが出ている試合が散見されているのが心配です」
「守備の局面にてファーストライン(前線)、セカンドライン(中盤)、サードライン(最終ライン)と3ラインそれぞれの役割に目を向けてみるとファーストラインの守備が緩くなっています」
「1トップ2シャドーでの守備に於いては2シャドーがセントラルMFの両脇まで下がる事で中盤を4枚にし5-4-1の陣形で守備を行っていましたが今季は2トップで臨む試合が多いので守備時は5-3-2と形を変えています」
「アザールの守備の負担を軽減する事が主な目的だとして、そこにフィジカル的・戦術的に優れたバカヨコの存在があり中盤を3枚にするという監督の判断に繋がったと考えていますが、とはいえ2トップからの意図的な守備が行われないと中盤には3枚しかいなくなるのでいくらカンテ・バカヨコという強い選手を抱えていたとしても負担は大きくなりますしカバーしきれない事が多くなってしまいます」
「そうなるとチーム全体が後ろに下がりなおかつ奪うためのポイント作りが難しくなりますがチームとして引いてカウンターを狙いとしてそうしているというよりは構造上・選手のパフォーマンスが原因でそうなってしまっている感じです」
「例えばCLのローマ戦(CLグループC第3節:3-3の引き分け)も常にプレッシングを行ったのはローマでチェルシーはビルドアップもままならず相手の攻撃に対しても特に前半は下がるだけとなってしまい非常に苦戦しました。チームコンセプトだけでなく採用するシステムに於けるメリットとデメリットで考えた時にここ最近のチェルシーはややデメリットの方が目立つ事が多いのでその辺りをもう少し整備が出来ると良いのではないでしょうか」
──現時点での今シーズンの1位~4位はどのように予想されますか
「リヴァプールというは基本的にはより前に人数を置く形からスタートします。システムとしては[4-3-3]という言い方で良いと思いますが、下がる事はせず常に相手に対してプレッシャーをかけ奪ったらそのままのスピードで一目散にゴールを目指しますがそれが機能した時は凄まじい爆発力を見せます」
「またシティと同じシステムではありますがその中での違いとして挙がるのはインサイドハーフの人選と役割。シルバとデ・ブライネのシティに対しワイナルドゥムとチャン(ララーナ)のリヴァプールとよりフィジカル的な特徴を持ち絶え間なく走る事が出来、パスよりは自らがボールを運びボックスに飛び込んでいく事を役割として求めているのがリヴァプールだと言えます」
「タテの速さに斜めの動きや最終ラインの裏を狙う動きが複数加わり、ドリブルからのワンツーなどのコンビネーション、コウチーニョのミドルシュートといった多種多彩の攻撃を高いレベルで尚且つ凄まじいスピードで繰り出す事が出来る、それがリヴァプールの最大の魅力です」
「基本的に非常に速くまた高い強度でプレイするという意味ではどの試合でも戦い方が同じだという事が言えますが、ここで一つ心配になる事は選手の疲労です。プレミアは試合数が多くウィンターブレイクもありませんし今季はそこにCLも入って来ていますから特にリヴァプールは運動量・スプリントといったものがベースに来るチームなので疲労が選手達の頭のフレッシュさと技術的な精度を欠いた時にどうしても上手く運ばない試合が出てきます」
「そうなった時、より安定したポゼッションや時には守備で試合をコントロールする必要がありますがそこがリヴァプールに足りない部分ではないかと。実はそんなにたくさん相手にチャンスをつくられているわけでもないのですが失点場面を見てみると「どうにかできたのではないか」という印象が残るものが多いので批判されてしまう事が多いのだと思います」
「チーム全体が敵陣まで入り込んでいる状態からの一発のカウンターや、GKとCBの連携が上手く取れずに失点してしまう事が昨シーズンからなかなか改善されていないように感じます。その攻撃的なサッカーは本当にエキサイティングだと思いますがその攻撃的なスタイルを採るが故、センターバックはサポート少ない環境の中で守る場面もあるので大変そうだなとは思います。とはいってもそこで仕事ができないと、クロップ監督の志向するサッカー完成しないと思うのでいよいよより質の高いCBを獲得する必要に迫られているのではないでしょうか」
「各クラブそれぞれに好材料・懸念点がると思いますがカギを握るのはCLでしょう。CLが迫ってくるとどうしても意識がそちらに傾いていくと思うのでまずCL前の試合がメンタル的に難しくなっていると思います」
「例えばマンチェスター・シティもグループ突破を目指す上で一番のライバルとなるナポリ戦の前のWBA戦(第10節:2-3でシティが勝利)では順調に見えた試合運びの中で強度と集中力が後半に入ると落ち2失点しました。次にCL後は全てに於いて大きなエネルギーを使った後なので疲労という部分がパフォーマンスを落とす原因になります。トップレベルの選手達のモチベーションやパフォーマンスレベルが明らかに変わるくらいCLというのは舞台としても大きい。ビッグクラブとなれば2チーム分の戦力を有しているものですがとは言え重要な試合が続く場合は同じメンバーで臨む事になりますし怪我人も出てくる事を考えると基本CL前後の試合は難しくなると思いますしなっていると思います」
「シティはコンパニやメンディといった重要な選手が怪我をしているにも関わらずデルフを左SBにコンバートするといった監督のアイデア、そして選手層の厚さも他のライバルチームと比較して数歩抜け出しているので今の形で進めていけば今季は大きな成果を挙げられると思います」
「アーセナルもヨーロッパリーグ(EL)時は全く別のチームを組み若い選手を積極的に使いながら経験を積めているのでチーム全体の経験値を上げながらリーグの方にはフレッシュなレギュラー選手達で臨めるのでコンディションという視点では有利な状況にあります。ただしアーセナルは高度なチーム戦術をベースに闘うというよりはシステムはあくまでも選手が伸び伸びとプレイする為のものであり良くも悪くも選手を縛らない監督だと思います。ですから選手自身のアイデアに委ねるというか個々人が持つ技術やアイデアを大事にする監督なので当然上手く進まない試合が必ず出てきます」
「特に上位陣との試合やフィジカルを前面に押し出しロングボールを使ってくるチームには苦戦を強いられる傾向にあります。対戦相手に対した効果的なゲームプランを用意したり、自分たちの良さを消すようなことをしてきた時に試合の中で微調整を施し改善していく事が出来るのは監督しかいませんが、そこの部分については明らかにスパーズやシティの方が優れている点として挙げられます。モウリーニョ監督も守備ベースではありますが対戦相手の特徴を徹底的に消すような戦術的な策は講じてきますしチェルシーも同様です。戦力とはまた別の視点で見てアーセナルが安定感に欠けるというのはそういったところに原因があると思います」
「前線に新たにラカゼットが加わり、いよいよエジル、サンチェスもスタメンに戻ったのでここからどんな化学反応が見られるのか楽しみにしていますが、対戦相手との力関係で守勢に回らざるを得ない時に果たしてどう機能させていくのか。チェルシー戦やシティ戦では積極的なプレッシングも見せ善戦しましたが、結果は引き分けと完敗に終わりましたしリヴァプールには完膚なきまでに粉砕されています。ベンゲル監督の作るチームは確かに美しさを兼ね備えた見る人が楽しめるサッカーを披露しますが現代のサッカーに於いてはより戦術・戦略の部分にも力を入れたチームが存在する以上アーセナルの順位は下がるかなと考えています」
──日本人選手のパフォーマンスに関してもおうかがいしたいと思います。レスター・シティのFW岡崎慎司のパフォーマンスについてどのように見ていますか。ここまで、7試合に出場して4得点です
「彼は自分に何ができるかきちんと理解出来ています。そしてチームの中で自分が果たすべき役割とは何かについても良く考えられていますし監督が求めているものに対してきちんと取り組み確実に違いを見せてきています。一人のストライカーとして考えれば、本当にやりたいプレイとは違うかもしれませんがレスターというチームに於いて自分の特徴を残しながらどんな役割を担えば評価に繋がるのかをしっかりと頭に入れ真摯に取り組んでいる、僕はこれが彼の素晴らしいところだと思っています」
「サッカーとはあくまでチームがベースにあるスポーツです。チームとしてのプレイモデル、戦術的なコンセプトが存在してはじめて各個人の役割が明確に定まってきますが、岡崎はその事を正しく理解したうえで自分に与えられた役割を全うしつつ前線の選手として得点を挙げる事も常に狙い続けてきましたし戦術的には重要でもきちんと見ないと実は分かりにくい中盤と前線を繋ぐ仕事がイングランドメディアにも評価されるようになったのはとても素晴らしい事だと思います」
──レスターの指揮官がクレイグ・シェイクスピア監督からクロード・ピュエル監督に代わりましたが、今後岡崎が受ける影響を予想できますか
「前チーム(サウサンプトン)のサッカーみていると、特別誰かに依存するような形にはならないとは思います」
「彼の持つメンタリティ含め、岡崎はあのチームの中で唯一無二の存在だと思います。既にその価値はメディア含め証明されていると思いますしあとは新しい監督の下どれだけの活躍が出来るかに期待しています」
──サウサンプトンのDF吉田麻也のパフォーマンスはいかがでしょうか? ここまで8試合に出場しています
「ブライトン戦(第10節:1-1の引き分け)に出場していなくてビックリしましたが、結局このクラブにも代表選手がひしめいているわけでCBのポジションにもオランダ人が2人いて(ヴィルヒル・ファン・ダイクとヴェスレイ・ホード)、吉田を含めれば代表クラスのセンターバックが3人いるわけですから非常にレベルの高いポジション争いを日々繰り広げながらレギュラーポジションをものにしているという事です」
「長い故障とちょっとした移籍騒動を経て戻ってきたファン・ダイクは身体的な大きさと速さに高いテクニックも兼ね備えた化物みたいな選手でチームで1番スプリントが速いらしいという事を以前吉田から聞きました。190cmを超える選手がチームで1番スプリント力があるという、それだけでもポテンシャルは特大ですよね。リヴァプールやマンチェスター・シティが狙っているという情報が夏の移籍市場を賑やかにしましたが実際それだけの能力を持ったCBだと思いますし吉田にとっては良きチームメイトでありライバルになっていると思います」
「ファン・ダイクが復帰した時に『(吉田のポジションが)どうなるのかな?』と少し心配しましたが以降もきちんと試合には出ていますし、監督からの信頼もしっかりと得られている。肉体的にもまだ成長しているということもあると思いますしプレミアリーグというものききちんと理解した上でCBとしてチーム戦術に沿った形で必要とされている事やっていると思います」
「例えば自陣でバウンドボールを処理するとして、コントロールをしてフリーな味方にパスを繋ぎ攻撃に移行するといった選択はあまりせず、危ないと思ったらシンプルに蹴り出すといったはっきりとしたリスクになる要素を含んだ選択は極力採らなくなっています。センターバックというものは『守ってこそ評価される』というヨーロッパに於けるスタンダードな評価基準頭に叩き込んでプレイするようになったと以前話をしてくれましたが、特にボックス周辺でボールを扱う時は最新の注意を払い難しいプレイにチャレンジする事はなくなりましたし非常に繊細にマメにポジションを取るといった高いレベルの基本動作も手伝って判断を間違わなくなりました」
「相手ストライカーと『よーいドン』で走った敵わないという前提で彼は常に準備が出来るCBですし常に少しでも先手が取れるようにというところでやっていますよね。言葉をきちんと使いこなせるというところも味方との連携には大きな効果を発揮していますし着実にクラブの中で信頼を積み重ねている事が本人をすごく安定させていると思います」
◆戸田和幸氏『スポナビライブ』出演情報
▽11月18日(土)
21:00〜
[LIVE](無料)ノースロンドンダービー KICK OFF直前特番
解説:戸田和幸 ゲスト:笹木香利 実況:下田恒幸
21:00〜
[LIVE]アーセナル vs. トッテナム
解説:戸田和幸 ゲスト:笹木香利 実況:下田恒幸
▽11月19日(日)
2:24〜
[LIVE]マンチェスター・U vs. ニューカッスル
解説:戸田和幸 実況:下田恒幸
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▽第1回の今回は、戸田氏に今シーズンのここまでのプレミアリーグ強豪勢の戦いぶりを分析してもらった。明瞭な口調や繊細な戦術分析が魅力の解説者・戸田氏は、プレミアリーグ優勝を争う上位陣のここまでのパフォーマンスのどのように見ているのだろうか。(※データはインタビュー実施時の10月31日現在のもの)──現在の首位は9勝1分け無敗のマンチェスター・シティです。35得点6失点という素晴らしい成績ですねGetty Images
「偉そうに聞こえてしまいますが想定内の闘いが出来ていますね。昨シーズンの序盤も負けなしが続いていたんですが、その時とはサッカーの質が明らかに違います。昨シーズン戦った中で明確になった余剰戦力を整理しグアルディオラ監督が目指すサッカーに於いて欠かせないサイドバックを補強しました。ベルナルド・シルバといった優秀な選手も前線にも加わり単純にサッカーの質が昨シーズンと比較し大きく向上しています」「ベースとなる戦術的なオーガナイズをきちんと持っている事から始まり各選手の技術的なレベルの高さに賢さ、身体的な速さと強さは際立っています。攻撃がメインになるチームですが攻守の切り替えも非常に速くボールを失った瞬間には既に守備がスタートしている、言い方を変えれば攻撃をしながら守備も行い守備をしながら攻撃の準備もしているのがシティです。ですから試合中のどんな局面においても後手を踏んでいる場面がほとんどありませんしエバートン戦の1分けが余計だったかなというぐらい素晴らしく凄まじい序盤の戦いぶりです」
──非常に高く評価されていますが、懸念すべき点を挙げるとしたらいかがでしょうか
「基本的にはありません、それぐらい素晴らしい状態にあると思います。もちろん時にはカウンターを受ける事もありますがどんなサッカーをしたとしても長所を裏返せば短所になりますから。ですから現在のシティについてそこを懸念点だと言ってしまうと重箱の隅を無理やり突っついている感じにもなるぐらい素晴らしいです」
「前線も質も量も揃っているので試合数が多くターンオーバーを敷く中でも質が落ちる事がありませんしどの選手が出場しても高いレベルの連携を見せているあたりに監督の指導力を感じます。最前線の選手起用についてはシーズン開幕当初はガブリエウ・ジェズスとアグエロの2トップで始まりましたが現在はどちらかが1トップを務める形に変わっています。中盤にはまさに世界最高レベルのパフォーマンスを毎試合見せているデ・ブライネ、シルバがいますしそこに新たにベルナルド・シルバも入ってきてケガから復帰してきたギュンドアンとそれぞれインターナショナルレベルを超えた選手が揃っています」
「唯一の懸念点とすると、フェルナンジーニョのポジションでしょうか。昨シーズンはフェルナンジーニョが退場したり安定しなかったりした時にヤヤ・トゥーレが活躍しチームを支えましたが今シーズンはあまり使われていません。それはヤヤのパフォーマンスレベルが低いのではなくフェルナンジーニョに対するグアルディオラ監督の信頼度が絶対的に高いからなのですがそうは言っても長いシーズンを一人で務める事は不可能です」
「ですから彼の控え選手を誰にするのか、今のレベルのサッカーを継続しようとすれば正直フェルナンジーニョに代わる選手は見当たりませんがもうじき厳しいスケジュールがやってくるので上手く休ませながら、いざ勝負となる年明け以降の重要な時期に疲弊してしまわないよう上手にマネジメントする事が求まられますね」
「あとは左サイドでバックのメンディが大きなケガをしてしまいどうするのかな?と思いましたがレアルマドリードから獲得したブラジル代表のダニーロではなくイングランド代表で元々は中盤の選手であるデルフを起用しました。中盤の選手であるデルフがSBに入ったことにより、相手のプレッシングを掻い潜る為のビルドアップの形としてサイドバックが内側に入って来て中盤センターとしてゲームメークを担当させる「偽りのSB(ファルソ・ラテラル)」という戦術を時に使用していますがこれもデルフがいてこそ、昨シーズンもサニャやコラロフといった選手で同様のビルドアップを試みましたが特別な能力を持つ選手でないと務まらない役割なので上手く機能させる事は出来ていませんでした」
「内容でも圧倒したチェルシー戦やナポリ戦でもこの戦術を駆使し相手に何もさせない素晴らしいビルディングアップを見せていましたが監督からすればデルフがいてくれたのはメンディという優秀なSBを怪我で失ってしまった中で見つけた新たなオプションになったと思います」
「純粋なSB、DFであるメンディがいる時にこの戦術を使わなかったという事はメンディはその戦術に適したタイプの選手ではないのでやらなかったということでしょう。元々中盤の選手ですが左利きで技術も高く、尚且つ守備意識も献身性も兼ね備えたデルフだからグアルディオラ監督も「出来る」と思って「ファルソ・ラテラル」を採用しているのでしょうね。強いて指摘するとすればコンパニの負傷など最終ラインの選手層のところですかね。怪我人をこれ以上出さない事、シティの懸念点を突っつくとしたらそのあたりしかありませんね」
──2位のユナイテッドも7勝2分け1敗と安定しています
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「特にここ3試合(リヴァプール戦、ハダースフィールド戦、トッテナム戦)のチームパフォーマンスはあまり良くないんじゃないでしょうか。今シーズン待望のルカクが入って監督が求めているピースが埋まったというか、プレシーズンから可能性が見え大きな期待を抱かせてくれました。ただポグバが離脱して以降中盤の強度、彼がいたからこそ埋められていたスペースや中盤と前線を繋いでくれるダイナミックなプレイがなくなりまずマティッチの負担が増えました。ポグバがいたポジションにエレーラが入るとどうしても小さくまとまってしまうように見えますしそれによってムヒタリアンやルカクが孤立するようになり守備の時間が長くなってしまっています」「同じマンチェスターでも、シティとはやっているサッカーは全然違いますね。モウリーニョ監督は基本的には攻守において個の強さを重要視しています。時にマンツーマンを局所的に使う時もありますし3ラインがきれいに保たれた中で攻守を行うというよりは多少バランスを崩しても「人」を意識させた守備、対人の強さをベースにした守備からの速い攻撃を志向しています」
「ビルドアップについて最終ラインから丁寧にボールを運ぶというような事をするわけでもなく敵陣まで力強くボールを運んでくれるポグバがいる時といない時では大きな違いが出てしまっています。マンチェスター・ユナイテッドのサッカーは基本的には個で解決するというところがベースにありますしモウリーニョ監督は多くの人数を攻撃に割くのではなくあくまでもバランス重視、“守備から”という点を大事にしています」
「その中で広いエリアをカバーしつつ質の高いプレイをしていたのがポグバでしたが、替えの利かない選手である彼がいなくなって中盤のダイナミックさはなくなりました。リヴァプール戦(第8節:0-0)もその時点での相手との力関係を冷静に分析し“これしかない”という闘い方を採用したのだと思います」
「クロップ監督から批判されたりもしましたがモウリーニョ監督は現実的な闘い方で成功してきた監督ですから批判など気にもしないでしょうしプラン通り守備的に振る舞ってうまく無失点で試合を終えたのは流石だと思いました。スパーズ戦(第10節:1-0でユナイテッドが勝利)も同じように極力リスクを排除する闘い方を採用し終盤デヘアからのロングボールを上手く繋いでマルシャルが決め見事に勝ち点3を獲得しました。今はポグバを中心とした怪我人が戻ってくるのを待ちながら勝ち点を積み上げていく時期だと考えているのではないでしょうか」
「フィジカルが強くて大きい選手も重視しているというところではフェライニの不在も戦術的な選択肢を狭めていると思います。あとはラッシュフォードですかね。良いパフォーマンスを見せている試合が多いですが、2トップの一角で出場する時のパフォーマンスがもう一つです。素晴らしい才能を持った選手なのは間違いありませんからもうひとつ突き抜ける時が来るのを(モウリーニョ監督は)待っていると思います。マルシャルに関しては今シーズン良くなったと思います。ワイドに張ってウィングの役割を果たすだけではなく内側に入っても良いプレイができるようになってきました」
「先ほど話をしましたがバランス重視、その上で中盤から前線まで幅広くカバーしていたポグバがいなくなって以降ルカクやムヒタリアンがどうしても孤立してしまう、前線の選手は基本的に孤立傾向にあります。モウリーニョ監督の考えは“少ない人数で得点を奪ってこい”っていうことだと思いますがお互いの距離も遠くサポートも少ない中で違いを見せなくてはならないので試合を観ていて『大変だな』と」
──新加入のMFネマニャ・マティッチのプレイについてはいかがでしょうか?
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「彼もまたモウリーニョ監督の求めた選手で能力の高さと実績は既に証明済みですが、ポグバとの関係はスタート時から非常に良かったと思います。マティッチがいてくれるからこそポグバも後ろ髪ひかれることなくどんどん前に出ていけますしマティッチもどんどん出ていくポグバに対して前向きな形での良いフォローが出来ていました」「攻撃面でも自らボールを運ぶことが出来てミドルシュートも打てるマティッチですが、ポグバがいなくなって以降全体のプレイエリアが下がってしまって、“振り回されることが前提”の守備を強いられる試合が増えてきています。モウリーニョ監督がチェルシーを指揮していた後半時期に似た、ちょっとしんどい感じの仕事に変わってきていますね」
「あとは新戦力のリンデロフがまだフィット出来ていません。ひょっとするとまだと言うより、『フィットするかどうか分からないな』という感じに近いかもしれません。理由はまず(身体)能力的にはそんなに高くないという事ですが、走るスピード、ジャンプ力、カバーできるエリアの広さで考えた時に例えばバイリーのように1人で解決出来てしまうようなタイプではありません。頭が良くて、常に正しいポジションを取りながらカバーリング、攻撃面ではビルドアップができるのが特長だと思いますが、マンチェスター・ユナイテッドの持つプレイスタイルに於いてCBに求められる要素で考えるとリンデロフの持つ強みはあまり発揮できない可能性はあるかもしれません」
「そういう意味ではバイリーとフィル・ジョーンズは大きくて無理も利きますし、いざという時は体を投げ出してでもという守備が出来ますがリンデロフはよりスマートに理詰めで物事を処理する事に長けたタイプのCBだと思います。ハダースフィールド戦でも大きなミスが出てしまいましたが、まずはきちんと戦力としてフィットする事が出来るのかという事とどれくらい早くフィット出来るかが重要になりますし、イコールそれがチームの戦力が増すことに繋がります」
──ウェンブリーを仮住まいとしている3位のスパーズは、ここまで6勝2分け2敗です。昨シーズンからの戦い方の変化などはありますか?
「昨シーズンは4バックでの闘いがベースで基本ハイプレスを軸にしたサッカー展開し素晴らしいシーズンフィニッシュを果たしました。今シーズンは最終ラインにダビンソン・サンチェスが入ったこともあると思いますが、3バックで臨む試合が多くなっています。3-5-2、もしくは3-1-4-2という布陣での闘いを選択する試合が多いですが守備時は両ウイングバックを3バックの脇まで落とし5バックを形成し前線はケインとアリ、ケインとソンといった組み合わせの2トップにして5-3-2で相手の攻撃に対峙する形が多いです」
「素晴らしい闘いを見せたリヴァプール戦やレアル・マドリー戦もそうでしたがある程度自陣まで下がり背後のスペースを消した状態で相手の攻撃を受け止め構えた状態から相手ゴール方向に向かってボールを奪いに行きます」
「そして奪いに出たスピードをそのまま生かした高速カウンターでゴールを狙いに行き上に挙げた2チームに対し素晴らしいゴールも決め勝利を手にしていますが、今季は相手の攻撃を吸収するところからの高速カウンターという新たな武器も手に入れています。今や世界トップレベルという評価を手にするところまでになったケインがいるかいないかで大きな違いは出ますが、相手の力を見極めた上でゲームプランを組める戦術的な柔軟性も出てきましたしそれが様々なタイプの相手に対しても攻守に於いて主導権を握る事が出来るという闘い方の幅が広がったというところに繋がっています」
「ウォーカーとダニー・ローズというアスリート能力にも秀でたSBがガンガン前に出ていたのが昨シーズンだったと思うんですけど、今シーズンはもう少しバランスを取った闘い方をしていますね。新加入のオーリエは身体的にも素晴らしく逞しい選手ですしトリッピアーとかベン・デイビスはそこまでアスリート的な資質はない選手ですが走るタイミングが上手でなおかつクロスが上手い選手たちです。あとはここにローズが戻って来てくれれば両サイド共に2人ずつ高いレベルのSBを揃える事が出来るのでより安定した闘いが出来る状況が整う事になります」
「また、昨シーズンまでの闘い方はあくまでもウォーカーとローズという選手が揃っていたからこそ採用した部分もあると思いますがとは言え両者ともに怪我が多かった事を振り返ってみても両SBにかかる負担は非常に大きかったとも言えます」
「ですから『昨シーズンみたいなサッカーだけでなくより戦術的に幅をもつ事』とをポチェッティーノ監督が考えた可能性もあると思います」
「ずっと強度の高いサッカーを続けた時にケガしてしまっていたのは誰だったかというとローズとウォーカー、そしてケインもそれに該当すると思います。より戦術的に幅を持った闘い方が出来るようになるとハイインテンシティーな部分に頼らなくて済むようになるのでそのようなケガが続かないという事にも繋がると思います」
「昨シーズンまでのスパーズには本当の意味での世界的な選手がいなかったと思います。そしてそのレベルにたどり着くことが出来るポテンシャルを持った選手がケインとデレ・アリだとして、ケインはいよいよそのステージに入ってきた感があります」
「リヴァプール戦(第9節:4-1でトッテナムが勝利)での終盤にハムストリングを傷め交代しましたがその結果次節のユナイテッド戦を欠場する事になってしまい敗れる事に繋がってしまったと個人的には見ています。今更ケインの重要性について説明するまでもありませんが、攻撃の全ての局面に於いて極めてレベルの高いストライカーと言えます。ストライカーとしての高い得点力もさることながら攻守にすごく献身性もあります。チームを押し上げていく為の前線での起点作り・スペースメイク・チャンスメイクも高いレベルで行いながらのあのゴール数ですから今や世界でも数本の指に入る9番になったと思います」
「今のスパーズはチームとしての枠組みというか、明確なプレイモデルと戦術的なコンセプトを持った中で着実に強化してきている感じがあります。明確なチームコンセプトがありながら今季は闘い方にも幅が出てきました。具体的に言うと昨季までは4バックベースでの強度の高いプレッシングが基本的な戦術でしたが今季は3バックを採用する試合が増えていますし守備時は5バックとなり相手の攻撃を受け止めてからの高速カウンターも見せ始めています。昨シーズン全く上手くいかなかったチャンピオンズリーグ(CL)でもそうした幅のある闘い方も効果を発揮しここまでは素晴らしい結果を残しています」
「昨季の中でうまくいかなかった経験を糧に選手自身が経験を積みチームとしても成長を見せていますし監督も含めて伸びている感じがあります。ケインが欠場したことがアタッキングサードでの物足りなさに繋がり敗れてしまったユナイテッド戦は正直もったいないなと思いましたが3位につけているので、悪くない位置にはいると考えているのではないでしょうか」
──CLで結果を出せているのは戦い方の幅が広がったことが影響しているのでしょうか?
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「間違いなくそれはあると思います。マドリードにてあれだけの試合(CLグループH第3節、1-1の引き分け)を見せる事ができたというのは、とてつもなく大きな自信になったと思います。リヴァプール戦も相手の特徴をしっかりと把握したうえで勝つ為の明確なプランを用意し粉砕しましたね。リヴァプールは基本的にやり方が1つで前に人数を置いて積極的に(プレスに)出ていく。真っ向から勝負しても十分対抗できるものを持つスパーズですがポチェッティーノ監督は5バックを低めに設定しリヴァプールの攻撃を受け止めた上でカウンターで仕留めるというゲームプランを組み見事に形にしました」「特に2点目のカウンターはビックリするぐらい速かったですしその速さの中での技術の高さも見逃す事の出来ない点です。守備面でも相手のストロングポイントを消すという部分でマドリーとの試合では右サイドに黒人選手を3人置いて(ダビンソン・サンチェス、ムサ・シッソコ、オーリエ)、マルセロとイスコのところを抑えましたが自分たちの強みを残しながらも相手の良さは消すという戦術的にも非常にレベルの高い闘いを見せています」
「頂点を目指すチームとしての課題として挙げられるのは昨シーズンもそうでしたがやはりケインの代わりがいないということでしょう。期待されたヤンセンは残念ながらフィットする事なく移籍してしまいましたし基本彼の変わりが務められる選手はいませんからとにかく怪我をさせないようコンディションには十分に気を付け重要な試合には必ずケインが出場出来るようなマネジメントが必要となります。今季新たに加わったジョレンテはケインとはまた別のタイプの9番ですがレアルマドリード戦のようなジョレンテとケインのコンビは良く機能していましたし今後重要なオプションになると思います」
──4位のチェルシーは、ここまで6勝1分け3敗です。MFエンゴロ・カンテやFWアルバロ・モラタが負傷離脱したことも響いていますね
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「チェルシーはまず昨シーズンと大きく違うのはスケジュール。チャンピオンズリーグに出場する事になり最重要な試合がリーグからCLに変わった事とコンテ監督がコメントしていましたが昨季のようには練習ができていないという事の二つの点が若干チームとしての戦術的な規律にゆるみが出てしまっている原因かなと見ています。どうしても週に2試合が続く中では試合と試合の間は調整だけになるので試合で出た課題を次の試合までに修正していくという時間を今季は取れていない事が守備のゆるみに繋がっていると思います」「新加入のモラタについてはもう少し苦労するかなと予想していましたが自分が考えていたよりも随分早くフィットしたと思います。チーム内にスペイン人が多いという事も順応・適応が早かった事に影響したと思いますし実際アスピリクエタのクロスから得点したり、セスクからも彼のスピードを生かすパスが得点を取る取らないに関わらずたくさん出ています」
「昨シーズンのMVPであるカンテも今季は随分と攻撃に出ていくスタイルに変わってきていますね。また中盤の形も昨季までとは中盤の形も変わってきています。中盤センターが2枚ではなくて3枚になり前線を2トップにしてアザールとモラタがコンビを組んでいます」
「コンテ監督の狙いとしては、アザールをサイドの守備から解放しつつバカヨコが加わったので中盤の強度を増しながらより攻撃の部分を出していきたいのかなという感じは受けますね。バカヨコも能力だけでなく戦術理解度も非常に高いですし、アスピリクエタも昨季までに比べるとかなり攻撃に関与するようになりました。あと課題として上がるのは選手層。決して悪い選手ではありませんがモラタの次のストライカーとして控えるバチュアイは要所要所で得点はしていますが、ゴール近く以外のエリアにて出来る仕事が少ないというのは気になりますしサイドもザッパコスタを獲得しましたけど、モーゼスと比較するとスケールダウンしてしまうところがありますね」
「どのチームもケガのところはアクシデントのところもあるので計算がしづらいと思いますが選手層の薄さが年明け以降の闘いに於いて足を引っ張らなければと危惧しています」
「スケジュールがタイトになった事でトレーニングの時間が減って、チーム戦術の確認作業が出来ず緩さに繋がっているのかもしれませんが例えばスパーズは同じシステムでやっていても前線の選手のチェイシングやプレスバック、常に3ラインがとにかく変わらずに、強度も保てている感じがあります。同じようなスケジュールで闘っているチェルシーは試合によって大きく変わってしまったり2トップが全く守備に参加しないような試合もあり気になっています」
「あとはペドロの出場機会がここ最近減ってきていますね。昨シーズンはペドロがアザールとジエゴ・コスタが苦手な守備でも良く走りスイッチを入れ、攻撃ではオフ・ザ・ボールの動きでスペース作り背後も取ってと、目に見えない部分でもチームに大きな貢献をしつつ決定的な仕事も見せていました」
「そのあたりの人選も2トップにしたこともあり変わってきているなという印象ですが、やはりペドロが出るとゲームが動く感じがあります。もちろんボール持った時の破壊力はアザールには敵わないですし、モラタの高さもありませんがペドロのポジション取りの上手さ・飛び出し・ドリブルは間違いなく大きな武器になりますしネイマールがいなくなった今のバルセロナに最も必要な選手だと個人的には考えています」
「シティと対戦した時(第7節:チェルシーが0-1で敗戦)にデルフがフェルナンジーニョの脇に入っていって、最終ラインが左にずれて3バックになる「ファルソ・ラテラル」を使ってきた時、チェルシーは前の2枚(モラタとアザール)含め守備で何もできませんで。(プレスをハメられず)ボールを通され運ばれて、何もできずに完敗でしたが、戦術的に次の一手が出てこなかったのは気になりました」
「サッカーも日進月歩、常に変化していきますよね。昨シーズン結果を残したチームを見て他のチームは『このチームをやっつけよう』と新しい何か探すわけですけど、そういう意味ではシティは確実に陣容が豊かになり戦い方も多彩になってきています。シティを追いかける展開となっているスパーズも全ての面に於いて大きな成長を見せていますし、ユナイテッドもルカク・マティッチという強烈な個が入ってきている。ライバルチームが昨シーズンよりも戦力的・戦術的にアップする中、チェルシーはどうなのか。モラタの活躍は非常にポジティブですが、選手層の薄さや失点の多さも気になりますしなにより昨シーズンに比べ全体的な緩さが出ている試合が散見されているのが心配です」
「守備の局面にてファーストライン(前線)、セカンドライン(中盤)、サードライン(最終ライン)と3ラインそれぞれの役割に目を向けてみるとファーストラインの守備が緩くなっています」
「1トップ2シャドーでの守備に於いては2シャドーがセントラルMFの両脇まで下がる事で中盤を4枚にし5-4-1の陣形で守備を行っていましたが今季は2トップで臨む試合が多いので守備時は5-3-2と形を変えています」
「アザールの守備の負担を軽減する事が主な目的だとして、そこにフィジカル的・戦術的に優れたバカヨコの存在があり中盤を3枚にするという監督の判断に繋がったと考えていますが、とはいえ2トップからの意図的な守備が行われないと中盤には3枚しかいなくなるのでいくらカンテ・バカヨコという強い選手を抱えていたとしても負担は大きくなりますしカバーしきれない事が多くなってしまいます」
「そうなるとチーム全体が後ろに下がりなおかつ奪うためのポイント作りが難しくなりますがチームとして引いてカウンターを狙いとしてそうしているというよりは構造上・選手のパフォーマンスが原因でそうなってしまっている感じです」
「例えばCLのローマ戦(CLグループC第3節:3-3の引き分け)も常にプレッシングを行ったのはローマでチェルシーはビルドアップもままならず相手の攻撃に対しても特に前半は下がるだけとなってしまい非常に苦戦しました。チームコンセプトだけでなく採用するシステムに於けるメリットとデメリットで考えた時にここ最近のチェルシーはややデメリットの方が目立つ事が多いのでその辺りをもう少し整備が出来ると良いのではないでしょうか」
──現時点での今シーズンの1位~4位はどのように予想されますか
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「あくまで現時点での各チームの戦力と闘いを元にという前提での話になりますが優勝はシティ。2位は現時点だとスパーズかユナイテッドかなと。リヴァプールは闘い方が一つだという事とやはり後ろに不安を抱えているのは間違いないので難しいかと思います。スパーズ戦を中継した際に試合前の現地のコメンタリーの話を聞いていたら『似通ったスタイルのチーム同士の戦いですね』という質問をインタビュアーが両監督にしていたんですが、確かに挑戦的でインテンシティが高いという意味では似た部分はあるんですけどより相手チームを分析して試合に勝てる戦術的な方策を用意できるのはスパーズです」「リヴァプールというは基本的にはより前に人数を置く形からスタートします。システムとしては[4-3-3]という言い方で良いと思いますが、下がる事はせず常に相手に対してプレッシャーをかけ奪ったらそのままのスピードで一目散にゴールを目指しますがそれが機能した時は凄まじい爆発力を見せます」
「またシティと同じシステムではありますがその中での違いとして挙がるのはインサイドハーフの人選と役割。シルバとデ・ブライネのシティに対しワイナルドゥムとチャン(ララーナ)のリヴァプールとよりフィジカル的な特徴を持ち絶え間なく走る事が出来、パスよりは自らがボールを運びボックスに飛び込んでいく事を役割として求めているのがリヴァプールだと言えます」
「タテの速さに斜めの動きや最終ラインの裏を狙う動きが複数加わり、ドリブルからのワンツーなどのコンビネーション、コウチーニョのミドルシュートといった多種多彩の攻撃を高いレベルで尚且つ凄まじいスピードで繰り出す事が出来る、それがリヴァプールの最大の魅力です」
「基本的に非常に速くまた高い強度でプレイするという意味ではどの試合でも戦い方が同じだという事が言えますが、ここで一つ心配になる事は選手の疲労です。プレミアは試合数が多くウィンターブレイクもありませんし今季はそこにCLも入って来ていますから特にリヴァプールは運動量・スプリントといったものがベースに来るチームなので疲労が選手達の頭のフレッシュさと技術的な精度を欠いた時にどうしても上手く運ばない試合が出てきます」
「そうなった時、より安定したポゼッションや時には守備で試合をコントロールする必要がありますがそこがリヴァプールに足りない部分ではないかと。実はそんなにたくさん相手にチャンスをつくられているわけでもないのですが失点場面を見てみると「どうにかできたのではないか」という印象が残るものが多いので批判されてしまう事が多いのだと思います」
「チーム全体が敵陣まで入り込んでいる状態からの一発のカウンターや、GKとCBの連携が上手く取れずに失点してしまう事が昨シーズンからなかなか改善されていないように感じます。その攻撃的なサッカーは本当にエキサイティングだと思いますがその攻撃的なスタイルを採るが故、センターバックはサポート少ない環境の中で守る場面もあるので大変そうだなとは思います。とはいってもそこで仕事ができないと、クロップ監督の志向するサッカー完成しないと思うのでいよいよより質の高いCBを獲得する必要に迫られているのではないでしょうか」
「各クラブそれぞれに好材料・懸念点がると思いますがカギを握るのはCLでしょう。CLが迫ってくるとどうしても意識がそちらに傾いていくと思うのでまずCL前の試合がメンタル的に難しくなっていると思います」
「例えばマンチェスター・シティもグループ突破を目指す上で一番のライバルとなるナポリ戦の前のWBA戦(第10節:2-3でシティが勝利)では順調に見えた試合運びの中で強度と集中力が後半に入ると落ち2失点しました。次にCL後は全てに於いて大きなエネルギーを使った後なので疲労という部分がパフォーマンスを落とす原因になります。トップレベルの選手達のモチベーションやパフォーマンスレベルが明らかに変わるくらいCLというのは舞台としても大きい。ビッグクラブとなれば2チーム分の戦力を有しているものですがとは言え重要な試合が続く場合は同じメンバーで臨む事になりますし怪我人も出てくる事を考えると基本CL前後の試合は難しくなると思いますしなっていると思います」
「シティはコンパニやメンディといった重要な選手が怪我をしているにも関わらずデルフを左SBにコンバートするといった監督のアイデア、そして選手層の厚さも他のライバルチームと比較して数歩抜け出しているので今の形で進めていけば今季は大きな成果を挙げられると思います」
「アーセナルもヨーロッパリーグ(EL)時は全く別のチームを組み若い選手を積極的に使いながら経験を積めているのでチーム全体の経験値を上げながらリーグの方にはフレッシュなレギュラー選手達で臨めるのでコンディションという視点では有利な状況にあります。ただしアーセナルは高度なチーム戦術をベースに闘うというよりはシステムはあくまでも選手が伸び伸びとプレイする為のものであり良くも悪くも選手を縛らない監督だと思います。ですから選手自身のアイデアに委ねるというか個々人が持つ技術やアイデアを大事にする監督なので当然上手く進まない試合が必ず出てきます」
「特に上位陣との試合やフィジカルを前面に押し出しロングボールを使ってくるチームには苦戦を強いられる傾向にあります。対戦相手に対した効果的なゲームプランを用意したり、自分たちの良さを消すようなことをしてきた時に試合の中で微調整を施し改善していく事が出来るのは監督しかいませんが、そこの部分については明らかにスパーズやシティの方が優れている点として挙げられます。モウリーニョ監督も守備ベースではありますが対戦相手の特徴を徹底的に消すような戦術的な策は講じてきますしチェルシーも同様です。戦力とはまた別の視点で見てアーセナルが安定感に欠けるというのはそういったところに原因があると思います」
「前線に新たにラカゼットが加わり、いよいよエジル、サンチェスもスタメンに戻ったのでここからどんな化学反応が見られるのか楽しみにしていますが、対戦相手との力関係で守勢に回らざるを得ない時に果たしてどう機能させていくのか。チェルシー戦やシティ戦では積極的なプレッシングも見せ善戦しましたが、結果は引き分けと完敗に終わりましたしリヴァプールには完膚なきまでに粉砕されています。ベンゲル監督の作るチームは確かに美しさを兼ね備えた見る人が楽しめるサッカーを披露しますが現代のサッカーに於いてはより戦術・戦略の部分にも力を入れたチームが存在する以上アーセナルの順位は下がるかなと考えています」
──日本人選手のパフォーマンスに関してもおうかがいしたいと思います。レスター・シティのFW岡崎慎司のパフォーマンスについてどのように見ていますか。ここまで、7試合に出場して4得点です
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「立派だとしか言いようがありません。これまでも重要な試合でスタメンを外される事が多かったりと悔しい思いを彼はしてきてると思いますが出場した時には彼にしか出来ないものをきちんとピッチの上に残しますし常に虎視眈々と続けている姿勢と実際のパフォーマンスには学ぶべきものが多いです」「彼は自分に何ができるかきちんと理解出来ています。そしてチームの中で自分が果たすべき役割とは何かについても良く考えられていますし監督が求めているものに対してきちんと取り組み確実に違いを見せてきています。一人のストライカーとして考えれば、本当にやりたいプレイとは違うかもしれませんがレスターというチームに於いて自分の特徴を残しながらどんな役割を担えば評価に繋がるのかをしっかりと頭に入れ真摯に取り組んでいる、僕はこれが彼の素晴らしいところだと思っています」
「サッカーとはあくまでチームがベースにあるスポーツです。チームとしてのプレイモデル、戦術的なコンセプトが存在してはじめて各個人の役割が明確に定まってきますが、岡崎はその事を正しく理解したうえで自分に与えられた役割を全うしつつ前線の選手として得点を挙げる事も常に狙い続けてきましたし戦術的には重要でもきちんと見ないと実は分かりにくい中盤と前線を繋ぐ仕事がイングランドメディアにも評価されるようになったのはとても素晴らしい事だと思います」
──レスターの指揮官がクレイグ・シェイクスピア監督からクロード・ピュエル監督に代わりましたが、今後岡崎が受ける影響を予想できますか
「前チーム(サウサンプトン)のサッカーみていると、特別誰かに依存するような形にはならないとは思います」
「彼の持つメンタリティ含め、岡崎はあのチームの中で唯一無二の存在だと思います。既にその価値はメディア含め証明されていると思いますしあとは新しい監督の下どれだけの活躍が出来るかに期待しています」
──サウサンプトンのDF吉田麻也のパフォーマンスはいかがでしょうか? ここまで8試合に出場しています
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「安定感というかどっしりしてきましたよね。例えば何も考えずに試合を観ていても全く『気にならない』。これは失礼な意味ではなく、要はプレミアリーグの選手として何一つ見劣りすることなく当たり前にそこに存在しているという事です」「ブライトン戦(第10節:1-1の引き分け)に出場していなくてビックリしましたが、結局このクラブにも代表選手がひしめいているわけでCBのポジションにもオランダ人が2人いて(ヴィルヒル・ファン・ダイクとヴェスレイ・ホード)、吉田を含めれば代表クラスのセンターバックが3人いるわけですから非常にレベルの高いポジション争いを日々繰り広げながらレギュラーポジションをものにしているという事です」
「長い故障とちょっとした移籍騒動を経て戻ってきたファン・ダイクは身体的な大きさと速さに高いテクニックも兼ね備えた化物みたいな選手でチームで1番スプリントが速いらしいという事を以前吉田から聞きました。190cmを超える選手がチームで1番スプリント力があるという、それだけでもポテンシャルは特大ですよね。リヴァプールやマンチェスター・シティが狙っているという情報が夏の移籍市場を賑やかにしましたが実際それだけの能力を持ったCBだと思いますし吉田にとっては良きチームメイトでありライバルになっていると思います」
「ファン・ダイクが復帰した時に『(吉田のポジションが)どうなるのかな?』と少し心配しましたが以降もきちんと試合には出ていますし、監督からの信頼もしっかりと得られている。肉体的にもまだ成長しているということもあると思いますしプレミアリーグというものききちんと理解した上でCBとしてチーム戦術に沿った形で必要とされている事やっていると思います」
「例えば自陣でバウンドボールを処理するとして、コントロールをしてフリーな味方にパスを繋ぎ攻撃に移行するといった選択はあまりせず、危ないと思ったらシンプルに蹴り出すといったはっきりとしたリスクになる要素を含んだ選択は極力採らなくなっています。センターバックというものは『守ってこそ評価される』というヨーロッパに於けるスタンダードな評価基準頭に叩き込んでプレイするようになったと以前話をしてくれましたが、特にボックス周辺でボールを扱う時は最新の注意を払い難しいプレイにチャレンジする事はなくなりましたし非常に繊細にマメにポジションを取るといった高いレベルの基本動作も手伝って判断を間違わなくなりました」
「相手ストライカーと『よーいドン』で走った敵わないという前提で彼は常に準備が出来るCBですし常に少しでも先手が取れるようにというところでやっていますよね。言葉をきちんと使いこなせるというところも味方との連携には大きな効果を発揮していますし着実にクラブの中で信頼を積み重ねている事が本人をすごく安定させていると思います」
◆戸田和幸氏『スポナビライブ』出演情報
▽11月18日(土)
21:00〜
[LIVE](無料)ノースロンドンダービー KICK OFF直前特番
解説:戸田和幸 ゲスト:笹木香利 実況:下田恒幸
21:00〜
[LIVE]アーセナル vs. トッテナム
解説:戸田和幸 ゲスト:笹木香利 実況:下田恒幸
▽11月19日(日)
2:24〜
[LIVE]マンチェスター・U vs. ニューカッスル
解説:戸田和幸 実況:下田恒幸
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2023シーズンは元日本代表MFの戸田和幸監督を迎えて臨んだシーズン。大きな改革があった中、チームはシーズン序盤から苦しみ続けてしまう。JFLへの降格の可能性もあったなか、チームは18位でなんとか残留を掴むことに成功していた。 2024シーズンに向けては多くの選手が入れ替わり巻き返しを図る年に。新戦力にはいわてグルージャ盛岡のベテランDF田代真一や徳島ヴォルティスのMF長谷川雄志、ザスパクサツ群馬のFW髙木彰人、ツエーゲン金沢から復帰となるGK三浦基瑛らを迎えることとなった。 田代は「55」、長谷川は「40」、髙木は「14」、三浦は「1」を着用。また、GK川島康暉が「16」から「23」、DF栗原イブラヒムジュニアが「26」から「66」、MF福井和樹が「41」から「22」に変更となっている。 ◆2024シーズン選手背番号 GK 1.三浦基瑛←ツエーゲン金沢/完全 21.竹重安希彦 23.川島康暉※背番号変更「16」 31.古賀貴大 DF 2.加藤大育 3.水口湧斗 4.山下諒時 5.綿引康 8.橋本陸 19.國廣周平 55.田代真一←いわてグルージャ盛岡/完全 66.栗原イブラヒムジュニア※背番号変更「26」 MF 7.金城ジャスティン俊樹 13.吉武莉央 17.伊藤恵亮←栃木シティ/期限付き満了 20.若林龍 22.福井和樹※背番号変更「41」 24.牧山晃政 25.田中陸 27.西山拓実 40.長谷川雄志←徳島ヴォルティス/期限付き 47.岩上祐三←ザスパクサツ群馬/期限付き→完全 FW 9.藤沼拓夢 14.髙木彰人←ザスパクサツ群馬/完全 15.前田泰良 39.瀬沼優司←栃木SC/期限付き延長 2024.01.11 19:10 Thu2
大宮が物議醸すPKで後半ATに追いつかれるも、杉本健勇が劇的決勝ゴール! 戸田和幸監督電撃解任の相模原は2点差跳ね返し後半ATに逆転勝利【明治安田J3第18節】
22日、明治安田J3リーグ第18節の6試合が全国各地で行われた。 首位に立つ大宮アルディージャ(勝ち点40)は、4位につけるFC琉球(勝ち点27)をホームに迎えた。 前節は引き分けた大宮。ホームに戻って再び連勝街道をスタートさせたいところ。試合は大宮ペースで進んだ中、22分に左CKを獲得すると中野克哉のクロスを滑り込んだ市原吏音が難しい体勢からダイレクトボレーを決めて、大宮が先制する。 先制した大宮は27分、中野のパスを受けた下口稚葉がボックス手前からクロスを入れると、アルトゥール・シルバがヘディングで合わせるが枠をとらえられない。 さらに45分には、大宮は自陣からカウンター。アルトゥール・シルバのロングボールに杉本健勇が抜け出すと、GKと一対一になるところを大宮和組織育ちの森侑里が抑えて得点を許さない。 すると琉球は後半から4バックに変更。ペースが琉球に傾くと、61分に富所悠がボックス手前からミドルシュートを突き刺して同点とする。 追いつかれた大宮だったが、63分にすぐに反撃。泉柊椰が左サイドを仕掛けると、ボックス内にカットインしてパス。これを走り込んだアルトゥール・シルバがつま先で蹴り込み5試合連続ゴールを記録した。 その後、大宮が攻め立てるもGK東ジョンが好セーブを連発。すると90分、ボックス内での横パスを富所悠が触るもトラップミス。しかし、その前に倒れた下口に突っ込んで倒れるとまさかのPKの判定。これを野田隆之介が決め、琉球が後半アディショナルタイムに同点に追いつく。 まさかの展開で終わるかと思われが、ドラマは最後に待っていた。96分、大宮はカウンターを仕掛けると、杉本のパスを受けた大澤朋也がマイナスのパス。ボックス中央で杉本がダイレクトシュートもGKがセーブ。しかし、跳ね返りを冷静に押し込み、大宮が勝ち越しに成功。3-2で琉球を下した。 上位陣では、戸田和幸監督を電撃解任した9位のSC相模原(勝ち点25)が6位の松本山雅FC(勝ち点26)と対戦。ショックも残る中での相模原は、37分に樋口大輝に先制を許すと、前半アディショナルタイムにも樋口が追加点。前半で2点ビハインドとなる。 ショック療法が裏目に出たかに思われたが、相模原は51分に伊藤恵亮が1点を返すと、56分に牧山晃政がゴールを決めて同点に。引き分けかと思われたが、後半アディショナルタイム3分に伊藤が2点目を決め、3-2で2点差を逆転して勝利を収め、4位に浮上した。 その他、8位のFC今治(勝ち点25)はアウェイで最下位のいわてグルージャ盛岡(勝ち点12)と対戦しゴールレスドロー。また、カターレ富山、FC岐阜が勝利を収めた。 ◆明治安田J3リーグ第18節 ▽6/22(土) いわてグルージャ盛岡 0-0 FC今治 SC相模原 3-2 松本山雅FC AC長野パルセイロ 2-3 カターレ富山 大宮アルディージャ 3-2 FC琉球 ガイナーレ鳥取 2-4 FC岐阜 テゲバジャーロ宮崎 3-3 カマタマーレ讃岐 ▽6/23(日) 《14:00》 ヴァンラーレ八戸 vs Y.S.C.C.横浜 ツエーゲン金沢 vs ギラヴァンツ北九州 福島ユナイテッドFC vs FC大阪 《18:00》 アスルクラロ沼津 vs 奈良クラブ <span class="paragraph-title">【動画】後半ATに追いつかれるも、杉本健勇が劇的決勝ゴールでお返し!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://t.co/gfOE3csFK8">https://t.co/gfOE3csFK8</a> <a href="https://t.co/Wq8yyARbsZ">pic.twitter.com/Wq8yyARbsZ</a></p>— 大宮アルディージャ (@Ardija_Official) <a href="https://twitter.com/Ardija_Official/status/1804484150210277510?ref_src=twsrc%5Etfw">June 22, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.06.22 22:02 Sat3
相模原がYS横浜や長野を指揮したシュタルフ悠紀氏を新監督に招へい…19日に戸田和幸監督を電撃解任
SC相模原は26日、シュタルフ悠紀氏(39)が新監督に就任することを発表した。 相模原は今シーズンの明治安田J3リーグで18試合を終えて5位。昇格プレーオフ圏内にいる中、19日に戸田和幸監督を電撃的に解任。大きな話題を呼んでいた。 そんな中、新監督にシュタルフ悠紀氏を招へい。これまでY.S.C.C.横浜、AC長野パルセイロとJリーグで指揮すると、U-20タイ代表、ブリーラム・ユナイテッドU-20の監督を務めていたが、こちらを退任していた。 シュタルフ悠紀氏はクラブを通じてコメントしている。 「SC相模原に関わる全ての方々、いつもお世話になっております。日本フットボール界の皆様、こんにちは。このたび、SC相模原の一員になることが決まりました。タイから突然帰国することになったばかりの私に、このタイミングで新しい《ご縁》を与えてくださったクラブ関係者の皆様に、心より感謝申し上げます」 「今年は、これまで5年間お世話になったJ3をはじめ、刷新されたルヴァンカップなど、日本のフットボールをタイから久しぶりに一ファンとして楽しませていただいておりました。次節で早くも折り返し地点を迎える今季のJ3には、大宮や金沢といった強豪クラブも加わり、これまで以上にタフで拮抗した戦いが繰り広げられていると感じています」 「中には、このタイミングでの監督交代や人選に不安を抱いている方がいらっしゃるかもしれません。これについては、尊敬するユルゲン・クロップ監督の言葉を借りたいと思います。「入ってきた時に人々がなんと思うかは重要ではない。去る時になんと思われるかの方がよほど重要だ」ご縁をいただいた以上、心機一転し、前任者たちがこれまで積み上げてきたものを活かしてクラブが掲げるエナジーフットボールにさらに磨きをかける。ライバルたちと火花を散らし、ホームタウンをより一層盛り上げていく着火剤となる。その覚悟の上に、アクセル全開で最大限の熱量を注ぎ込みながらのぞむ所存です」 「選手、スタッフ、サガミスタの皆様、パートナー企業の皆様、宿願を達成するためには皆様の力が何としても必要です。一丸となって共に闘いましょう!」 2024.06.26 12:01 Wed4
相模原が戸田和幸監督解任を発表…昇格圏と3ポイント差の9位につけるもクラブが決断「感謝を忘れる事はありません」
SC相模原は19日、戸田和幸監督(46)の解任を発表した。 後任を探すまでの間、チームのヘッドコーチを務める高橋健二氏(54)が暫定的に指揮を執ることもあわせて発表されている。 日韓ワールドカップの日本代表メンバーでもあった戸田監督は、2013年に現役引退を発表するとその後は解説者として活躍する傍ら、指導者業にも注力。2022年には東京都社会人サッカーリーグ1部のSHIBUYA CITY FCでテクニカルダイレクター兼コーチを務め、昨年から相模原の指揮官に就任した。 相模原では初年度こそシーズン序盤から苦戦するも、最終的には18位でなんとかJ3残留に成功。今シーズンはここまでJ3リーグ17試合6勝7分け4敗の9位となっており、昇格圏との勝ち点差は「3」の状況だった。 相模原での通算成績は59試合17勝21分け21敗。シーズン半ばでクラブを去ることが決まった戸田監督は、関係者やファンへの感謝を述べている。 「昨日付けでSC相模原の監督としての責務から離れる事となりました。1年半前『志を高く勇敢に大胆に』という言葉と共にスタートしたこのチームで自分と一緒に成長と成果の為に努力し挑戦し続けてくれた全ての人達に心から感謝しています」 「この世界で生き抜く為には常に結果が最重要となる中で成長にフォーカス出来る事は簡単ではありませんが、昨シーズンから共に目指し闘ってきてくれたスタッフと選手達に対しては長く勝てない期間があったにも関わらず、自分からの言葉を信じて勝ち抜いていけるチームになる為の土台作りに邁進してくれた事への感謝を忘れる事はありません」 「苦しかった昨シーズンを経て構築されてきたチームとしての土台と掴み始めた自信を持って2シーズン目に入りましたが、毎日の直向きな努力が成長に繋がっている事を実感出来る17試合でした」 「今シーズンここまで積み重ねてきた勝ち点はまさに昨シーズンからの積み上げと今シーズンのチームが続けてきてくれた努力の賜物だと言えます。そして今シーズンは基準を上げて更なる成長を個人レベルから様々働き掛けも行ってきましたが、選手達はとても前向きな姿勢を持ち続け努力を続けてくれた事には感謝と尊敬の念しかありません」 「また今シーズンから新たに加わった選手達の適応と順応も各々タイミングは違えど進んできていた事は間違いなく、自分からのメッセージをしっかりと受け止めてここまで努力してくれてきた事に心から感謝しています」 「クラブからはここから先のシーズンで勝ち点を積み上げられる可能性の部分で今回の決断が下されたと説明を受けましたが、自分にこのポジションで働く機会を与えてくれ1年半監督としての自分にチームを任せてくれたクラブには感謝しています」 「そして監督として迎えていただいた自分に期待された職責から考えてクラブが求めるレベルの貢献が果たせなかった事に対して申し訳なく思っています。シーズン半ばのタイミングでクラブを離れる事となりましたが、これからのSC相模原の発展とシーズン目標の達成を心から願っています」 「最後に。昨シーズンから毎試合、若く不安も多かった若い選手達を必死に励まし支え続けてくれたサポーターの皆さん、あなた達は僕にとってまさに文字通り同志だと言える存在でした」 「あなた達があなた達でなかったなら、僕はここまで頑張っては来られなかったと思います。 若くプロとしてこれからの選手とチームを自分と一緒に励まし支えて欲しいという自分からの働き掛けに真正面から向き合ってくれたあの日から、自分と皆さんは同志となりました。 どんな時も決して選手達を非難する事なく、出来るようになる事を期待し勝利出来るようになる事を期待し、とても忍耐強く笑顔を忘れず毎試合毎試合支えてくれた事を忘れる事はありません」 「選手とチームにはあなた達が必要です、是非これからも変わらぬ皆さんでいてください。 自分を信じて共に闘ってくれた全ての人達に心から感謝しています、1年半ありがとうございました」 また、今回の監督解任について、スポーツ・ディレクター(SD)である平野孝氏も声明を発表。昇格の可能性を高めるための決断と説明している。 「今シーズンの目標であるJ2昇格に向けクラブとして今後も継続的に挑戦し続けるため、第17節を終えたこれまでの道程と現時点でのチームの状況に鑑みて総合的に判断しこの結論に至りました」 「1年半にわたり指揮を執りチームの成長に尽力していただいた戸田和幸氏には、心からの感謝と敬意を表します。ありがとうございます。クラブは更なる高みを目指してまいります。ファンサポーターの皆様、スポンサーの皆さま、クラブに関わってくださる多くの皆様におかれましては、引き続きのご支援とご声援を頂戴できますようよろしくお願いいたします」 2024.06.19 11:35 Wed5
4連勝目指す相模原、戸田和幸監督が体調不良で不在…高橋健二HGが代行指揮へ
SC相模原は9日、同日の試合指揮について発表した。 本日9日の明治安田生命J3リーグ第26節で鹿児島ユナイテッドFCをホームに迎え撃つ相模原だが、戸田和幸監督が体調不良で不在に。高橋健二ヘッドコーチが暫定的に指揮を執る。 相模原は25試合を消化して6勝8分け11敗の19位だが、目下3連勝中。さらなる連勝を目指しての今節だが、指揮官を欠いての一戦となった。 2023.09.09 16:35 Satマンチェスター・シティの人気記事ランキング
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加入3年で105ゴールのハーランドが週給1億円の新契約にサインか…シティに深まる自信
マンチェスター・シティがノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(24)との新契約締結に確信めくようだ。 シティ入りしたのは2022年夏と2年前のことだが、通算114試合ですでに105得点14アシストと類まれなゴールセンスでチームを引っ張るハーランド。今季もここまでプレミアリーグ11試合で得点ランキングトップの12ゴールを決めるなど、公式戦16試合で15ゴールを積み上げる。 イギリス『ミラー』によると、水面下で条件の見直しも含め、新たな契約を巡って交渉が進められており、シティが手応えを感じるという。新契約は2028-29シーズンまでとなり、週給も現在の37万5000ポンド(約7300万円)から50万ポンド(約9700万円)にアップするようだ。 その週給はベルギー代表MFケビン・デ・ブライネが受けるとされる40万ポンド(約7700万円)を軽く上回り、プレミアリーグ最高額。シティ上層部は最新の交渉でハーランドの家族や、ラファエラ・ピメンタ代理人から前向きな反応を受けたといい、ますます自信を深める模様だ。 ただ、契約解除条項をどうするかが解決しなければ問題として残り、撤廃したいシティ側と維持を求めるハーランド側で隔たり。『ミラー』は現在の1億5000万ポンド(約292億円)から2億ポンド(約389億4000万円)に額を引き上げるのが解決策になりうると推察する。 実現すればビッグニュースだが、果たして。 <span class="paragraph-title">【動画】ハーランドがチームメイトもびっくりの一撃</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="DsKMQd5mNWI";var video_start = 44;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.11.17 16:35 Sun2
現時点で2024年最強のゴールハンターは? 1位はクラブ&代表戦で54得点、2位タイには中国代表FWがランクイン
クラブと代表チームを合わせ、2024年に最も多くのゴールを決めている選手とは。 2024年のサッカーシーンも佳境。 インターナショナルマッチウィークは現在進行中の今回が年内ラストであり、日本のように年を跨がないリーグスケジュールを採用する国は、これから順次オフへと突入する。 では、現時点で今年最もネットを揺らしているゴールハンターとは。 1位はスポルティングCPのスウェーデン代表FWヴィクトル・ギョケレシュで「54得点」。 ビッグクラブ移籍が取り沙汰されるストライカーで、2024年中の23-24シーズンに「25得点」、24-25シーズンここまで「23得点」、代表戦で「6得点」を叩き出している。 2位には「42得点」で3選手。 バイエルンのイングランド代表FWハリー・ケイン、マンチェスター・シティのノルウェー代表FWアーリング・ハーランド、そして上海海港の中国代表FWウー・レイがランクインした。 中国代表キャプテンについては、2024シーズンの海港で公式戦「38得点」。うち中国スーパーリーグは34得点で自身2度目となる得点王に。32歳にしてキャリアハイの数字である。 ただし、ご存知の方も多い通り、33歳の誕生日に迎えるはずだったW杯アジア最終予選・日本代表戦(19日)は、おそらくケガで欠場だ。 ◆トップ6 ▽1位「54得点」 ヴィクトル・ギョケレシュ(26) スポルティング/スウェーデン代表 ▽2位「42得点」 ハリー・ケイン(31) バイエルン/イングランド代表 ▽2位「42得点」 アーリング・ハーランド(24) マンチェスター・C/ノルウェー代表 ▽2位「42得点」 ウー・レイ(32) 上海海港/中国代表 ▽5位「39得点」 マルティン・カウテルッシオ(37) スポルティング・クリスタル(ペルー1部)/代表歴なし ▽6位「38得点」 ロベルト・レヴァンドフスキ(36) バルセロナ/ポーランド代表 <span class="paragraph-title">【動画】イングランド2部時代のギョケレシュ弾</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">Throwing it back to Viktor Gyökeres' first and last goal in the <a href="https://twitter.com/hashtag/EmiratesFACup?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#EmiratesFACup</a>! <a href="https://t.co/dPQjhhsSuk">pic.twitter.com/dPQjhhsSuk</a></p>— Emirates FA Cup (@EmiratesFACup) <a href="https://twitter.com/EmiratesFACup/status/1857361986603876757?ref_src=twsrc%5Etfw">November 15, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.11.17 22:10 Sun3
ペップはチキを追わず? シティと新たに1年契約延長で「99%完了」か
ジョゼップ・グアルディオラ監督(53)は来季もマンチェスター・シティでとなるのだろうか。 2016年夏のシティ入りから6度のプレミアリーグ制覇だけでなく、悲願のチャンピオンズリーグ(CL)優勝にも導き、強豪化を一気に加速させたグアルディオラ監督。ただ、今季が契約最終年とあって、長らく去就に大きな注目が集まる。 さらに、バルセロナ時代から共闘し、シティに誘った人物とされるフットボールディレクター(FD)のチキ・ベギリスタイン氏が今季終了後に退任するとあって、「友人」と語るグアルディオラ監督の去就にも影響するのではといわれる。 グアルディオラ監督本人は公の場で問われてもはっきりとした方向性を示さずにここまできているが、イギリス『Football Insider』によると、シティと2026年夏までの新たな1年契約で原則合意に至ったという。新たな協議を経て、契約の「99%完了」といい、近く発表される見通しともされる。 115件もの財務違反疑惑が浮かぶシティにとって、それがグアルディオラ監督の契約延長に障壁となるともされたが、いかに。 2024.11.17 11:05 Sun4
ペップ契約延長合意報道のシティ、次なるターゲットはハーランド…196億円の契約か
チームを栄光の日々へと導いたジョゼップ・グアルディオラ監督との契約延長で合意に達したマンチェスター・シティ。これにより、エースの引き留めにも本格的に動き出すようだ。 今シーズン限りで契約が満了を迎えることとなっていたグアルディオラ監督。まだ公式発表はなされていないが、シティと1年間の契約延長で合意に達したと報じられている。 さらに1年間の延長オプションもついているとされ、2027年夏までシティを指揮する可能性がある中、次なるターゲットはエースのノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(24)とのこと。2022年夏に加入し、2シーズン連続でプレミアリーグ得点王に輝くなど期待通りの活躍を披露。ここまで公式戦114試合で105ゴールを記録している。 ハーランドとの契約は2027年夏まで2年半残っている状況だが、イギリス『サン』によれば、さらなる契約延長を打診する考えがあるとのこと。契約延長となれば、2年か3年が追加されるとみられ、ハーランドは1億ポンド(約196億1500万円)を手にすることになるとみられている。 ノルウェー代表としてもゴールを量産中のハーランド。グアルディオラ監督の契約延長合意についても「ペップが新しい契約にサインしてくれることを願っている。彼は最初の2年半、僕にとって大切な存在だった」と語り、「彼がもっと長く留まってくれるといいなと思う。僕はペップが大好きだし、彼も僕を好きでいてくれると嬉しいね」と、今後もグアルディオラ監督の下でのプレーを望んでいることを口にしていた。 シティは、115件の財務規則違反の疑いで調査を受けている段階であり、シーズン中に結論が出る見込み。有罪となれば、大きな勝ち点剥奪やリーグの降格も辞さない状況だが、グアルディオラ監督の新契約に契約解除条項は入っていないとみられている。 2024.11.21 12:15 Thu5