【レビューコラム】ペップとモウリーニョ、2大名将の新たなプロローグ
2016.09.11 15:00 Sun
▽ダービーらしい激しさと戦術的に見応えがある一戦だった。マンチェスター・ユナイテッドとマンチェスター・シティ。両者共に新指揮官を招聘してチームを構築している初段階で迎えたマンチェスター・ダービーは、その指揮官の采配が目に見えて試合展開に影響した。
◆モウリーニョのアプローチ
▽ユナイテッドは、直近リーグ2戦のメンバーから先発2選手を変更。モウリーニョは、マルシャルとマタの両ワイドの選手をベンチスタートとし、負傷明けのムヒタリャンとリンガードを起用した。マルシャルとマタに比べて、ムヒタリャンとリンガードは守備力に優れた選手。ビッグマッチを慎重に戦うモウリーニョらしい人選だ。
▽しかし、この策はまったく効果を示さなかった。負傷明けの両者は精彩を欠く。リンガードは集中の欠いたプレーで平凡なミスが目立ち、ムヒタリャンも持ち前のキープ力と推進力を発揮できず、安易なボールロストを繰り返した。
▽さらに踏み込めば、モウリーニョが守備面ですべき対策は、シルバとデ・ブライネの自由をいかに封じるかだった。フェライーニは奮闘していたが、単純な守備能力が高いとはいえないポグバは両者の対応に追われ、高い位置で仕事をすることができなかった。仮に今回のアプローチならば、サイドの守備を強化するのではなく、3センターを採用するなど中央を固める手の方がより効果的なシティ対策になり得た。
◆ペップはブラーボのデビュー戦を誤る
◆修正に成功するモウリーニョ
▽一方のモウリーニョは、ハーフタイムに修正に動いた。ムヒタリャンとリンガードを下げて、エレーラとラッシュフォードを投入。アジリティとインテンシティの高いエレーラの起用でシルバとデ・ブライネへの対応を強化し、ポグバの守備への負担を軽減させた。さらに、右サイドに出したルーニーに早めにクロスを入れさせることで高さ勝負を明確に打ち出し、シティへの圧力を強めた。前半のように自陣にセットする守備ではなく、前線から積極的にプレスを仕掛け、後半開始から主導権を掌握した。
▽だが、グアルディオラもさすがに動きが早い。モウリーニョの意図をすぐさま把握し、53分にイヘアナチョを下げてフェルナンドを投入。中盤に厚みを出してポゼッションすることで、相手の勢いを封殺した。56分にはブラーボがルーニーに足裏でタックルしにかかるも、主審のクラッテンバーグはファウルの判定を下さず。危険なタックルで、PK&レッドカードでも不思議ではなかった。この場面ではシティが判定に救われた。
◆新たな章のプロローグ
《超ワールドサッカー編集部・音堂泰博》
◆モウリーニョのアプローチ
▽ユナイテッドは、直近リーグ2戦のメンバーから先発2選手を変更。モウリーニョは、マルシャルとマタの両ワイドの選手をベンチスタートとし、負傷明けのムヒタリャンとリンガードを起用した。マルシャルとマタに比べて、ムヒタリャンとリンガードは守備力に優れた選手。ビッグマッチを慎重に戦うモウリーニョらしい人選だ。
▽しかし、この策はまったく効果を示さなかった。負傷明けの両者は精彩を欠く。リンガードは集中の欠いたプレーで平凡なミスが目立ち、ムヒタリャンも持ち前のキープ力と推進力を発揮できず、安易なボールロストを繰り返した。

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▽現段階におけるペップ・シティのサイドバックは、縦への攻撃参加よりも、ビルドアップの面で攻撃をスムーズにする役割を重視されている。ムヒタリャンとリンガードのパフォーマンスが低調だったことは明らかだが、まず失敗したのはモウリーニョの守備へのアプローチだ。ウイングプレーヤーは受動的ではなく攻撃的に振る舞わせ、相手サイドバックの抑止力として考えるべきだった。その点を踏まえれば、人選に関してもマルシャルやラッシュフォードの先発起用がベターだった。◆ペップはブラーボのデビュー戦を誤る

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▽攻守の切り替えの速さでユナイテッドを圧倒したシティは、2点のリードを手にした後も相手にペースを握らせなかった。しかし、プレミアデビュー戦となったGKブラーボがストーンズとの連携不足もあってハイボールをファンブル。これでユナイテッドが息を吹き返した。▽合流して間もなく直近は2度しか練習を消化できていなかったブラーボを今回のダービーでデビューさせたのは、間違いなくグアルディオラのミスだ。元々、ブラーボは空中戦やクロス対応に強いタイプではない。GKデ・ヘアがユナイテッド1年目でプレミアリーグのフィジカルに苦しんだように、ブラーボもイングランドで適応に苦しむ可能性は十分にある。デビュー戦でプレミアの他クラブにそれを気づかせてしまった点はもったいない。今後、ブラーボにかかるプレッシャーは増すことになる。
◆修正に成功するモウリーニョ
▽一方のモウリーニョは、ハーフタイムに修正に動いた。ムヒタリャンとリンガードを下げて、エレーラとラッシュフォードを投入。アジリティとインテンシティの高いエレーラの起用でシルバとデ・ブライネへの対応を強化し、ポグバの守備への負担を軽減させた。さらに、右サイドに出したルーニーに早めにクロスを入れさせることで高さ勝負を明確に打ち出し、シティへの圧力を強めた。前半のように自陣にセットする守備ではなく、前線から積極的にプレスを仕掛け、後半開始から主導権を掌握した。

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◆ペップの判断力の速さ▽だが、グアルディオラもさすがに動きが早い。モウリーニョの意図をすぐさま把握し、53分にイヘアナチョを下げてフェルナンドを投入。中盤に厚みを出してポゼッションすることで、相手の勢いを封殺した。56分にはブラーボがルーニーに足裏でタックルしにかかるも、主審のクラッテンバーグはファウルの判定を下さず。危険なタックルで、PK&レッドカードでも不思議ではなかった。この場面ではシティが判定に救われた。

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▽グアルディオラの素早い対応もあって、その後はデ・ブライネがポスト直撃の決定機を演出するなど、再び好勝負に。終盤は3バックとしたユナイテッドがパワープレーに出たが、空中戦の強いオタメンディを筆頭にシティがよく踏ん張った。南米予選から戻ってきたばかりのオタメンディ起用はリスクだったはずだが、クリシよりも高さのあるコラロフの左サイドバック起用も含めて、この点はグアルディオラの判断が奏功した。◆新たな章のプロローグ

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▽モウリーニョとグアルディオラ。どちらもミスを犯したと同時に、光る采配も見せた。おそらく、今回のダービーは、両者の新たな章のプロローグとなる。リターンマッチは、2月最終週に行われるプレミアリーグ第26節。両チームがどのような順位でエティハドでのダービーを迎えるかは分からない。だが、プレミアリーグの優勝争いにおいて意味のある試合になるであろうことを予感させた今回のダービーマッチだった。《超ワールドサッカー編集部・音堂泰博》
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