【原ゆみこのマドリッド】いよいよ真剣勝負が見られる…
2016.08.08 13:30 Mon
▽「暑いのに偉いよね」そんな風に私が感心していたのは日曜日、UEFAスーパーカップに備え、ライバルのレアル・マドリーより1日早く、ノルウェーのトロンハイムに旅立つセビージャのチームバスを2000人余りのファンが練習場前で見送っている風景をTVで見た時のことでした。いやあ、ここ3年、ヨーロッパリーグで優勝し続けているセビージャはこの大会に出るのも3年連続とはいえ、2年前はカーディフで今回と同じ相手に2-0、昨年はトビリシでバルサに延長戦の死闘の末、5-4で涙を飲んだため、サポーターにしてみれば、3度目の正直で今年こそ勝ってほしいという気持ちが強いのはわかりますけどね。
▽このところ、マドリッドでも耐えがたい暑い日々が続き、部屋に冷房のない私など、午後はコルテ・イングレス(スペインのデパートチェーン)か、涼しいカフェに避難しているんですが、それに輪をかけてスペイン南部、アンダルシア地方の内陸にあるセビージャの街は気温が40度まで上がる猛暑の日々。それにも関わらず、荒涼とした練習施設近辺には日影もないというのに、選手たちをお見送りに行ってしまう根性にはただただ感服するばかり。ファンたちのタイトル獲得に懸ける思いが伝わってくるってもんじゃないですか。
▽え、そうは言っても、スーパーのつく大会はビッグクラブから、かなり軽視されているんじゃないかって? まあ、バルサやマドリーだけでなく、2014年にはアトレティコもお隣さんを破ってスペイン・スーパーカップに優勝しましたけど、そのシーズンは他に何もなかったため、忘れられがちなのは確かですけどね。とはいえ、昨年、スペイン・スーパーカップ2試合合計5-1でバルサを倒し、31年ぶりのタイトル獲得となったアスレティックなど、ガバラ(ビルバオでの優勝パレードに使われる船)を引き出すかどうか、大議論になったり、まだ負傷のリハビリ中で出場できなかったムニアインなど、トロフィーのタトゥーをしてしまうといった具合で、ネプトゥルノの噴水(優勝を祝う広場)にさえ行かなかったアトレティコとはあまりに対照的。
▽セビージャの場合はその中間ぐらいだと思いますが、少なくとも火曜のUEFAスーパーカップは自ら勝ち取った権利で堂々と優勝を争える大会。ええ、8月に最も公式戦の多い彼らは続いて、14日と17日にスペイン・スーパーカップをバルサと戦いますが、こちらは昨年のアスレティック同様、コパ・デル・レイ決勝で負けたものの、リーガ優勝もバルサだったため、コパの準優勝チームとしての出場になりますからね。ここで2つのスーパーカップに勝てば、リベンジがまとめてできるという意味でもファンたちは盛り上がっているんでしょうけど、逆にどちらも負けてしまったら、それだけショックも大きいかも。
▽その一方で、彼らの直近の対戦相手、マドリーはどうしていたかというと。いやあ、水曜深夜にはインターナショナル・チャンピオンズカップの最後の試合、ニュージャージーでのバイエルン戦を私も眠いのを我慢して見ていたんですが、ジダン監督、アンチェロッティ監督という注目の師弟対決だった割に、どちらも攻撃が今イチ、パッとしなかったのは、片やBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)、向こうはレバンドフスキ、ミュラーら、前線の中心選手たちが欠けていたせいだったんでしょうかね。結局、ゴールが生まれたのは後半33分、しかもカルバハルと交代したダニーロのエリア外からの一発だけだったとは何とも淋しいじゃないですか。
▽どうやらユーロでウェールズ代表を準決勝まで導いたことでリーダーとして自信をつけ、折しも決勝でケガをしたロナウドが出場できないのもチャンスと見たんでしょうか。マドリーでもチームを牽引すべく、トロンハイムでの試合でプレーする気満々だったようですが、いやあ、やっぱりこの業界は負けず嫌いの人が多いんですかね。翌日曜には本来なら、UEFAスーパーカップ後の10日に合流予定、イビサ島から生まれ故郷のマデイラ島、その後はラス・ベガスやロサンジェルスなどで休暇を過ごしていたロナウドが突然、バルデベバスに姿を現したから、ビックリしたの何のって。
▽いえ、だからといって、こちらはどうやったって、セビージャ戦には間に合いませんけどね。もしやこれって、先日、以前マドリーを率いていたモウリーニョ監督(現マンチェスター・ユナイテッド)から、「彼はユーロ決勝の最後の時間、全然役に立ってなかった。あとちょっとでポルトガルが優勝ということで、感情が爆発していたようだが、チームを率いていたのはサントス監督だし」という、あまりに当然なコメントをされ、そのお返してとばかりに自身のツィッター(https://twitter.com/cristiano)にトロフィーを持って祝う姿を「Quick remind(ちょっと思い出して)」とアップ。
▽実際、その姿を見れば、彼がフランスとの決勝前半途中に涙の負傷交代したことなど、誰も思い出さないのをいいことに、UEFAスーパーカップ会場のレルケンダル・スタディオンでも応援に精を出せば、チームが優勝した際、同僚のベイル、そしてアトレティコのグリースマンとの3人で争うことになったUEFA欧州最優秀選手賞の最終投票でもイメージポイントが加算されるかもという思惑もあった? いえ、そんなのはもちろん、私の勝手な想像ですが、幸いマドリーではアメリカツアー中、腰痛でまったく試合に出られなかったベンゼマがようやく回復して、全体練習に参加。これはプレシーズンの3試合でモラタがまだゴールを1本も挙げていないことを考えると朗報でしょう。
▽そのFWたちを支える中盤ではルーカス・バスケス、カセミロ、モドリッチ、イスコ、ハメスらの先発が予想されていますが、バイエルン戦の後、ジダン監督が残留に前向きだったアセンシオにも要注目。その代わりにイスコかハメスが放出と言われていますが、後者はフロントが売却に反対しているため、やはり犠牲になるのはスペイン人選手の方? そうそう、ヘセ・ロドリゲスはPSG移籍がほぼ決まったようで、その他のツアーに参加したカンテラーノ(RMカスティージャの選手)たちもマリアーノ、ジョレテンテ、そして1年半前に将来を嘱望されて鳴り物入りで入団したノルウェーの逸材、17歳のエーデゴーアなどもレンタル先が決まり次第、チームを離れる模様です。
▽あとは昨季終了後にアキレス腱の手術をしたGKケイロル・ナバスがまだ完調ではないため、先発するカシージャが「He sonado desde los 14 anos con jugar un partido como la final de la Supercopa/エ・ソニャードー・デスデ・ロス・カトルセ・アーニョス・コン・フガール・ウン・パルティードー・コモ・ラ・フィナル・デ・ラ・スーペルコパ(自分は14歳の時から、スーパーカップ決勝みたいな試合でプレーすることを夢見ていた)」と抱負を語っていたのを聞いて、マドリーにもスーパーのつく大会に意欲を燃やす選手がいるんだと思ったことぐらいが、近況になりますが、そんな彼らも月曜にはトロンハイムに向けて出発します。
▽ちなみにセビージャのメンバーの方にもちょっと触れておくと、毎年、新陳代謝の激しいこのチームで2年前のマドリー戦のスタメンからの生き残りはカリーソ、パレハ、ビトロのみ。何せ、この夏もバネガ(ユベントス)、クリホビアク(PSG)、ガメイロ(アトレティコ)を始め、先日のジョレンテ(スウォンジー)を入れて、計11人も退団していますからね。指揮官ですら、エメリ監督(現PSG)からサンパオリ監督に交代していますが、相変わらず、スポーツディレクターのモンチ氏の打つ手も早くて、前線にはイェデル(トゥールーズ)、ビエット(アトレティコ)、ガンソ(サンパウロ)、サラビア(ヘタフェ)らが加入。ここまでのプレシーズンマッチも5戦全勝と、戦力低下の兆しは見えていません。
▽ただそれでも、モンチ氏はバイエルン戦でのマドリーのメンバーを見て、「Para igualarlos deberian tener muchas mas bajas/パラ・イグアラールロス・デベリアン・テネール・ムーチャス・マス・バハス(ウチが拮抗するには、もっと沢山欠場者が出てくれないと)」と弱気なことを言っていましたが、火曜の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのUEFAスーパーカップは一発勝負だけに、どちらに軍配が挙がるかはまったくわからず。この夏、ここまでの親善試合とは違って、ようやくファンもしっかり見たくなる一戦が来てくれましたね。
▽え、それでお隣さんが公式戦の準備をしている間、アトレティコは何をやっていたのかって? いやあ、今週一番、驚かされたのは日曜に入団プレゼンがあって、翌日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)でのトリプルセッションに初参加したガメイロがそれだけ太ももの筋肉痛になってしまい、オーストラリア遠征から戻って来た本隊が水曜に練習を始めても参加できなかったこと。うーん、彼はユーロのフランス代表には呼ばれず、セビージャのプレシーズン開始から、ずっとトレーニングしていたはずなんですけどね。それだけアトレティコはフィジカルに対する要求がきつい?
▽おかげでこの土曜、トルコ国内の治安状況の悪さから中止になったイスタンブールでのガラタサライ戦に代わり、急遽、相手をしてくれることになったセリエA昇格組、イタリア半島の先っぽにあるクロトーネとの試合で彼のデビューを見ることはできなかったんですけどね。内容も前半はかなり低調なプレーに終始したようですが、幸いながら、こちらも移籍後、初出場となったガイタン(ベンフィカから移籍)が後半14分、カラスコのラストパスを決めてアトレティコが先制。更にロスタイムには、一緒に入団プレゼンをしたサントス・ボレ(同デポルティボ・カリ)とどちらが今季、レンタル移籍に出るかを争っているディオゴ・ジョタ(同パソス・デ・フェレイラ)が個人技から2点目を挙げ、リーガのレガネスやエイバルに例えられる相手に対し、昨季CL準優勝チームとしての貫録を示すことができました(最終結果0-2)。
▽ちなみにプレシーズン後発組のコケ、ファンフラン、カラスコらも参加したこの試合はまた、有料チャンネルでの中継だったため、私は見るのを諦めていたんですが、丁度、その晩はエスタディオ・バジェカスで、昨季2部に降格してしまったマドリッドの弟分チーム、ラージョと、今季から晴れて1部で戦えるようになった新弟分のレガネスの親善試合が開催。まだ、マドリッド郊外にあるレガネスの練習場に行けていないこともあって、これは彼らを知るいい機会だと思い、そちらに足を運んでみたものの、いえ、スタジアムのすぐ前にメトロ(地下鉄)の出口がある、国鉄アトーチャ駅とセントロ(市内中心部)を結ぶ1番線が11月まで路線改修工事のため、運行しておらず。そのせいで回り道した上、代替バスを使わないとたどり着けないなんていうのは、大した問題じゃなかったんですけどね。
▽そんなことより、パコ・ヘメス監督がグラナダに行ってしまい、サンドバル監督が率いる2部のラージョの方が全然、元気って一体、どういうこと?そう、トラシュオラスやハビ・ゲラ、エンバルバ、ティト、ナチョ、マヌーチョといった昨季の主力選手がまだ残っているラージョは前半、エベルトとハビ・ゲラのゴールで2点を奪ってリード。まだ補強も半ばのレガネスがほとんどシュートも撃てず、そのまま負けてしまったのを見た日には、またしてもサンティアゴ・ベルナベウにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らいに来るチームが増えたのだろうかと心配になってしまいましたが、まあ、ヘタフェ(こちらも今季は2部)も1部に上がったばかりの頃はそんな感じでしたからね。
▽とりあえず、その日はバジェカス杯で、ホームのラージョが優勝トロフィーを掲げ、チームの降格にも関わらず、熱い応援を送っていたサポーターたちを喜ばすことができたので良しとしましょうか。いえ、レガネスがリーガ1部の戦いを始めるのは22日のセルタ戦で、もうあまり準備の時間はないんですけどね。2節にはブタルケ(レガネスのホームスタジアム)に早くも大先輩のアトレティコを迎えますし、最初は何かと大変かと思いますが、昨季は昇格組のベティス、スポルティング、ラス・パルマスの3チームとも残留を達成したなんて前例もありますし、なるたけ長い間、大舞台でのシーズンを楽しめるよう、頑張ってくれることを祈っています。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
▽このところ、マドリッドでも耐えがたい暑い日々が続き、部屋に冷房のない私など、午後はコルテ・イングレス(スペインのデパートチェーン)か、涼しいカフェに避難しているんですが、それに輪をかけてスペイン南部、アンダルシア地方の内陸にあるセビージャの街は気温が40度まで上がる猛暑の日々。それにも関わらず、荒涼とした練習施設近辺には日影もないというのに、選手たちをお見送りに行ってしまう根性にはただただ感服するばかり。ファンたちのタイトル獲得に懸ける思いが伝わってくるってもんじゃないですか。
▽え、そうは言っても、スーパーのつく大会はビッグクラブから、かなり軽視されているんじゃないかって? まあ、バルサやマドリーだけでなく、2014年にはアトレティコもお隣さんを破ってスペイン・スーパーカップに優勝しましたけど、そのシーズンは他に何もなかったため、忘れられがちなのは確かですけどね。とはいえ、昨年、スペイン・スーパーカップ2試合合計5-1でバルサを倒し、31年ぶりのタイトル獲得となったアスレティックなど、ガバラ(ビルバオでの優勝パレードに使われる船)を引き出すかどうか、大議論になったり、まだ負傷のリハビリ中で出場できなかったムニアインなど、トロフィーのタトゥーをしてしまうといった具合で、ネプトゥルノの噴水(優勝を祝う広場)にさえ行かなかったアトレティコとはあまりに対照的。
▽その一方で、彼らの直近の対戦相手、マドリーはどうしていたかというと。いやあ、水曜深夜にはインターナショナル・チャンピオンズカップの最後の試合、ニュージャージーでのバイエルン戦を私も眠いのを我慢して見ていたんですが、ジダン監督、アンチェロッティ監督という注目の師弟対決だった割に、どちらも攻撃が今イチ、パッとしなかったのは、片やBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)、向こうはレバンドフスキ、ミュラーら、前線の中心選手たちが欠けていたせいだったんでしょうかね。結局、ゴールが生まれたのは後半33分、しかもカルバハルと交代したダニーロのエリア外からの一発だけだったとは何とも淋しいじゃないですか。
▽まあ、それでも1-0で勝てましたし、モドリッチ、セルヒオ・ラモス、ハメス・ロドリゲスら、遅れてチームに合流した選手たちの足慣らしもできましたしね。PSG、チェルシー、バイエルンと一流どころを相手にしたアメリカツアーも2勝1敗で終わり、金曜にはマドリッドに着いていた彼らですが、バルデベバス(バラハス空港の近く)での練習を再開したのは土曜の夕方になってから。この時にはユーロ参加が長かったクロース、ベイルも戻って来たんですが、ジダン監督は2人のUEFAスーパーカップ出場には悲観的だったにも関わらず、後者などはまだバケーション中だった数日前から、トレーニングに怠りないところを自身のSNSで猛アピール(https://www.instagram.com/p/BIppVYtDaFy/?taken-by=garethbale11)。
▽どうやらユーロでウェールズ代表を準決勝まで導いたことでリーダーとして自信をつけ、折しも決勝でケガをしたロナウドが出場できないのもチャンスと見たんでしょうか。マドリーでもチームを牽引すべく、トロンハイムでの試合でプレーする気満々だったようですが、いやあ、やっぱりこの業界は負けず嫌いの人が多いんですかね。翌日曜には本来なら、UEFAスーパーカップ後の10日に合流予定、イビサ島から生まれ故郷のマデイラ島、その後はラス・ベガスやロサンジェルスなどで休暇を過ごしていたロナウドが突然、バルデベバスに姿を現したから、ビックリしたの何のって。
▽いえ、だからといって、こちらはどうやったって、セビージャ戦には間に合いませんけどね。もしやこれって、先日、以前マドリーを率いていたモウリーニョ監督(現マンチェスター・ユナイテッド)から、「彼はユーロ決勝の最後の時間、全然役に立ってなかった。あとちょっとでポルトガルが優勝ということで、感情が爆発していたようだが、チームを率いていたのはサントス監督だし」という、あまりに当然なコメントをされ、そのお返してとばかりに自身のツィッター(https://twitter.com/cristiano)にトロフィーを持って祝う姿を「Quick remind(ちょっと思い出して)」とアップ。
▽実際、その姿を見れば、彼がフランスとの決勝前半途中に涙の負傷交代したことなど、誰も思い出さないのをいいことに、UEFAスーパーカップ会場のレルケンダル・スタディオンでも応援に精を出せば、チームが優勝した際、同僚のベイル、そしてアトレティコのグリースマンとの3人で争うことになったUEFA欧州最優秀選手賞の最終投票でもイメージポイントが加算されるかもという思惑もあった? いえ、そんなのはもちろん、私の勝手な想像ですが、幸いマドリーではアメリカツアー中、腰痛でまったく試合に出られなかったベンゼマがようやく回復して、全体練習に参加。これはプレシーズンの3試合でモラタがまだゴールを1本も挙げていないことを考えると朗報でしょう。
▽そのFWたちを支える中盤ではルーカス・バスケス、カセミロ、モドリッチ、イスコ、ハメスらの先発が予想されていますが、バイエルン戦の後、ジダン監督が残留に前向きだったアセンシオにも要注目。その代わりにイスコかハメスが放出と言われていますが、後者はフロントが売却に反対しているため、やはり犠牲になるのはスペイン人選手の方? そうそう、ヘセ・ロドリゲスはPSG移籍がほぼ決まったようで、その他のツアーに参加したカンテラーノ(RMカスティージャの選手)たちもマリアーノ、ジョレテンテ、そして1年半前に将来を嘱望されて鳴り物入りで入団したノルウェーの逸材、17歳のエーデゴーアなどもレンタル先が決まり次第、チームを離れる模様です。
▽あとは昨季終了後にアキレス腱の手術をしたGKケイロル・ナバスがまだ完調ではないため、先発するカシージャが「He sonado desde los 14 anos con jugar un partido como la final de la Supercopa/エ・ソニャードー・デスデ・ロス・カトルセ・アーニョス・コン・フガール・ウン・パルティードー・コモ・ラ・フィナル・デ・ラ・スーペルコパ(自分は14歳の時から、スーパーカップ決勝みたいな試合でプレーすることを夢見ていた)」と抱負を語っていたのを聞いて、マドリーにもスーパーのつく大会に意欲を燃やす選手がいるんだと思ったことぐらいが、近況になりますが、そんな彼らも月曜にはトロンハイムに向けて出発します。
▽ちなみにセビージャのメンバーの方にもちょっと触れておくと、毎年、新陳代謝の激しいこのチームで2年前のマドリー戦のスタメンからの生き残りはカリーソ、パレハ、ビトロのみ。何せ、この夏もバネガ(ユベントス)、クリホビアク(PSG)、ガメイロ(アトレティコ)を始め、先日のジョレンテ(スウォンジー)を入れて、計11人も退団していますからね。指揮官ですら、エメリ監督(現PSG)からサンパオリ監督に交代していますが、相変わらず、スポーツディレクターのモンチ氏の打つ手も早くて、前線にはイェデル(トゥールーズ)、ビエット(アトレティコ)、ガンソ(サンパウロ)、サラビア(ヘタフェ)らが加入。ここまでのプレシーズンマッチも5戦全勝と、戦力低下の兆しは見えていません。
▽ただそれでも、モンチ氏はバイエルン戦でのマドリーのメンバーを見て、「Para igualarlos deberian tener muchas mas bajas/パラ・イグアラールロス・デベリアン・テネール・ムーチャス・マス・バハス(ウチが拮抗するには、もっと沢山欠場者が出てくれないと)」と弱気なことを言っていましたが、火曜の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのUEFAスーパーカップは一発勝負だけに、どちらに軍配が挙がるかはまったくわからず。この夏、ここまでの親善試合とは違って、ようやくファンもしっかり見たくなる一戦が来てくれましたね。
▽え、それでお隣さんが公式戦の準備をしている間、アトレティコは何をやっていたのかって? いやあ、今週一番、驚かされたのは日曜に入団プレゼンがあって、翌日にはマハダオンダ(マドリッド近郊)でのトリプルセッションに初参加したガメイロがそれだけ太ももの筋肉痛になってしまい、オーストラリア遠征から戻って来た本隊が水曜に練習を始めても参加できなかったこと。うーん、彼はユーロのフランス代表には呼ばれず、セビージャのプレシーズン開始から、ずっとトレーニングしていたはずなんですけどね。それだけアトレティコはフィジカルに対する要求がきつい?
▽おかげでこの土曜、トルコ国内の治安状況の悪さから中止になったイスタンブールでのガラタサライ戦に代わり、急遽、相手をしてくれることになったセリエA昇格組、イタリア半島の先っぽにあるクロトーネとの試合で彼のデビューを見ることはできなかったんですけどね。内容も前半はかなり低調なプレーに終始したようですが、幸いながら、こちらも移籍後、初出場となったガイタン(ベンフィカから移籍)が後半14分、カラスコのラストパスを決めてアトレティコが先制。更にロスタイムには、一緒に入団プレゼンをしたサントス・ボレ(同デポルティボ・カリ)とどちらが今季、レンタル移籍に出るかを争っているディオゴ・ジョタ(同パソス・デ・フェレイラ)が個人技から2点目を挙げ、リーガのレガネスやエイバルに例えられる相手に対し、昨季CL準優勝チームとしての貫録を示すことができました(最終結果0-2)。
▽ちなみにプレシーズン後発組のコケ、ファンフラン、カラスコらも参加したこの試合はまた、有料チャンネルでの中継だったため、私は見るのを諦めていたんですが、丁度、その晩はエスタディオ・バジェカスで、昨季2部に降格してしまったマドリッドの弟分チーム、ラージョと、今季から晴れて1部で戦えるようになった新弟分のレガネスの親善試合が開催。まだ、マドリッド郊外にあるレガネスの練習場に行けていないこともあって、これは彼らを知るいい機会だと思い、そちらに足を運んでみたものの、いえ、スタジアムのすぐ前にメトロ(地下鉄)の出口がある、国鉄アトーチャ駅とセントロ(市内中心部)を結ぶ1番線が11月まで路線改修工事のため、運行しておらず。そのせいで回り道した上、代替バスを使わないとたどり着けないなんていうのは、大した問題じゃなかったんですけどね。
▽そんなことより、パコ・ヘメス監督がグラナダに行ってしまい、サンドバル監督が率いる2部のラージョの方が全然、元気って一体、どういうこと?そう、トラシュオラスやハビ・ゲラ、エンバルバ、ティト、ナチョ、マヌーチョといった昨季の主力選手がまだ残っているラージョは前半、エベルトとハビ・ゲラのゴールで2点を奪ってリード。まだ補強も半ばのレガネスがほとんどシュートも撃てず、そのまま負けてしまったのを見た日には、またしてもサンティアゴ・ベルナベウにgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らいに来るチームが増えたのだろうかと心配になってしまいましたが、まあ、ヘタフェ(こちらも今季は2部)も1部に上がったばかりの頃はそんな感じでしたからね。
▽とりあえず、その日はバジェカス杯で、ホームのラージョが優勝トロフィーを掲げ、チームの降格にも関わらず、熱い応援を送っていたサポーターたちを喜ばすことができたので良しとしましょうか。いえ、レガネスがリーガ1部の戦いを始めるのは22日のセルタ戦で、もうあまり準備の時間はないんですけどね。2節にはブタルケ(レガネスのホームスタジアム)に早くも大先輩のアトレティコを迎えますし、最初は何かと大変かと思いますが、昨季は昇格組のベティス、スポルティング、ラス・パルマスの3チームとも残留を達成したなんて前例もありますし、なるたけ長い間、大舞台でのシーズンを楽しめるよう、頑張ってくれることを祈っています。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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バルセロナのスペイン代表FWラミン・ヤマルがレアル・マドリーに対して豪語した。 ヤマルは26日に行われたコパ・デル・レイ決勝マドリー戦で先制点と2点目をアシスト。延長戦の末3-2で勝利したチームの優勝に大きく貢献していた。 コパ・デル・レイ決勝での勝利により今季のクラシコの戦績はバルセロナの3戦3勝となった中、ヤマルは試合後のインタビューで「例え1点決められても、2点決められても関係なかった。今季彼らは僕らに勝てない。それが証明された」と豪語。 優勝決定後には派手なサングラスを着用してお茶らけていたヤマル。17歳の言動が来月11日に行われるラ・リーガでの今季最後となるエル・クラシコにどのような影響を与えるだろうか。 2025.04.27 13:00 Sun4
40歳C・ロナウドが約400億円で3年連続最も稼いだアスリートに! メッシが5位、ドジャース・大谷翔平は9位
アル・ナスルのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(40)が、再び世界で最も稼ぐアスリートとなった。アメリカ『フォーブス』が伝えた。 サッカー界のスーパースターの1人であるC・ロナウド。初めて世界で最も稼ぐアスリートになってから9年。40歳になった中で、3年連続5度目のナンバーワンとなった。 スポルティングCPで才能を見出され、マンチェスター・ユナイテッドで輝きを放ち、レアル・マドリーで全盛期を迎えると、ユベントス、ユナイテッドでプレーし、現在はサウジアラビアのアル・ナスルでプレー。AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)では準決勝で川崎フロンターレに敗れてアジア王者は逃したが、その存在感は健在だ。 サッカー界のNo.1プレーヤーという肩書きは譲りつつあるものの、この1年間で稼いだ金額は推定2億7500万ドル(約399億6000万円)とのこと。これは自己最高記録であり、歴代でも2015年に3億ドル、2018年に2億8500万ドルを稼いだプロボクサーのフロイド・メイウェザーだけとなっている。 内訳としては2億2500万ドル(約326億9000万円)がアル・ナスルとの契約で手にしており、残りの5000万ドル(約72億7000万円)はピッチ外での収入となり、スポンサー契約などの収入と見られている。 サッカー選手ではトップ10にはアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)が1億3500万ドル(約196億3000万円)で5位。8位に元フランス代表FWカリム・ベンゼマ(アル・イテハド)が1億400万ドル(約151億2000万円)でランクイン。トップ50に広げると、フランス代表FWキリアン・ムバッペ(レアル・マドリー)が9000万ドル(約130億9000万円)で16位、ブラジル代表FWネイマール(サントス)が7600万ドル(約110億5000万円)で25位、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)が6200万ドル(約90億1000万円)で34位、ブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリー)が5500万ドル(約80億円)で46位、セネガル代表FWサディオ・マネ(アル・ナスル)が5400万ドル(約78億5000万円)で48位となった。 全体では2位にNBAのゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリーで1億5600万ドル(約226億7000万円)、3位にイングランドのプロボクサーであるタイソン・フューリーで1億4600万ドル(約212億2000万円)、4位にNFLのダラス・カウボーイズに所属するダック・プレスコットで1億3700万ドル(約199億1000万円)、5位がメッシとなった。 なお、日本人では9位にはMLBのロサンゼルス・ドジャーズに所属する大谷翔平が唯一入り1億250万ドル(約148億9000万円)。フィールド上で250万ドル(約3億6000万円)、フィールド外で1億ドル(約145億3000万円)を稼いでいるとされている。 <h3>◆最も稼ぐアスリートランキング 2025</h3> 1位:クリスティアーノ・ロナウド(サッカー/ポルトガル/40歳) 総収益:2億7500万ドル(約399億6000万円) 2位:ステフィン・カリー(バスケットボール/アメリカ/37歳) 総収益:1億5600万ドル(約226億7000万円) 3位:タイソン・フューリー(ボクシング/イギリス/36歳) 総収益:1億4600万ドル(約212億2000万円) 4位:ダック・プレスコット(アメリカン・フットボール/アメリカ/31歳) 総収益:1億3700万ドル(約199億1000万円) 5位:リオネル・メッシ(サッカー/アルゼンチン/37歳) 総収益:1億3500万ドル(約196億3000万円) 6位:レブロン・ジェームズ(バスケットボール/アメリカ/39歳) 総収益:1億3380万ドル(約194億4000万円) 7位:フアン・ソト(野球/ドミニカ共和国/26歳) 総収益:1億1400万ドル(約165億8000万円) 8位:カリム・ベンゼマ(サッカー/フランス/36歳) 総収益:1億400万ドル(約151億2000万円) 9位:大谷翔平(野球/日本/歳) 総収益:1億250万ドル(約148億9000万円) 10位:ケビン・デュラント(バスケットボール/アメリカ/35歳) 総収益:1億140万ドル(約147億3000万円) 2025.05.16 17:40 Fri5
