【六さんのアムールフットボール】ユーロ2016 ~vol.3~

2016.06.22 08:00 Wed
▽アルバニアやアイスランドと聞いて、そこからサッカーを思い浮かべる日本人は、あまりいないと思う。アルバニアは、今回のユーロの予選、対セルビア戦で暴動が発生、没収試合となった。政治がらみの暴動だったことから、日本でも社会的事件として報道され、筆者も海外ニュースでその事実を知った。UEFAは度重なる審査の結果、ホームゲームを主催したアルバニアに勝ち点3を与え、晴れてユーロの舞台に立つことになった。
[小顔効果がある帽子、手はシンボルの双頭の鷲]
▽アイスランドといえば、やはりリーマンショックによる国家破綻が記憶に新しい。それまでアイスランドが、名だたる金融国家だったとは、まったく知らなかった。オランダを撃破して、ともにユーロ初登場、果たしてグループリーグで番狂わせの主役に躍り出るのか。
[バシアのお嬢さん、喜ぶサポーター不思議そうに見上げる]
▽ルーマニア―アルバニア戦が行われたリヨンのスタジアムは、ほぼ8割がたアルバニアンレッドのユニフォームで埋められていた。ルーマニアンイエローはバックスタンドの一角、ほぼ2割強といったところだ。それだけアルバニア系住民が、フランスを筆頭にヨーロッパ域内に住んでいることを意味している。第三国同士の対戦なのに、ホームとアウェーのような観客構成である。
[これがデュエル]
▽スタジアムへ向かうトラムは、早くからアルバニアサポーターに占領され、全員がシープリア、シープリアと叫んでいた。聞けば、アルバニア語で自国のことをシープリアと呼ぶそうだ。まるで、ディズニーの世界に出てくるキャラクターのようなネーミングである。
[ストライカーに必要なのは決定力と存在感]
[ゴールを挙げたサディク ルーマニアベンチは無視]
▽アルバニアのサッカーはハイプレス、タフコンタクトをベースに速攻を仕掛けてくる。かつての湘南、松本スタイルである。前半審判がコンタクトプレーを流したことから、プレーが途切れず、お互い縦への意識が前面に出る展開となった。技術で劣るアルバニアに追い風が吹いた。後半ジャッジ基準が変わったが、逆に笛を吹かれたのはルーマニアのほうだった。
[アルバニア監督のビアージはイタリア人、やっぱし]
▽日本の立ち位置はどうすればいいのか。弱者のサッカーを見ていると、おのずから答えが見えてくる。長谷部や本田が、「自分たちのサッカーをやる」と語り、ブラジルで惨敗したが、確かにヨーロッパでの経験が長い彼らには、我々に見えない「何か」が見えていたはずである。日本サッカーのイメージと、いつも照らし合わせて撮影をしているが、日本の選手がこうした場で体感しない限り、日本サッカーにとって必要とされるものは、理解できないのではないかもしれない。
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【六川則夫】(ろくかわのりお)
1951年、東京生まれ。
40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。「蹴る、観る、撮る」の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。

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