【東本貢司のFCUK!】スペイン“先行”の激変模様
2016.02.18 13:30 Thu
▽思いのほか早く、来季を睨んだ布石が進んでいるーーーもしくは、その“虚実”の一部が、ここにきて続々と明らかにされている。今日(2月18日)、スペインのメディアは、アトレティコのディエゴ・シメオネがチェルシーの来季監督就任に合意したと報じた。ちなみに、英メディアの方の口調は(現時点では)「その可能性濃厚か?」。ドタキャン劇(?)が演じられるのかどうかは神のみぞ知る。
▽一方、マンチェスター・ユナイテッドは、ベンフィカ所属の18歳ミッドフィールダー、レナト・サンチェス獲得に動いているらしいが、それを“指令”したのは誰あろう、かのジョゼ・モウリーニョだという。ということは、ファン・ハール解任とモウリーニョ招聘はもはや事実上の規定路線なのか。ちなみに、こちらの方もスペイン・メディア発の“スクープ”。その背景には、レアル・マドリードもサンチェスにご執心だからして「さて、どうなるか」という“綱引き議論”もあるようだ。
▽つまりは、グアルディオラのマン・シティー入り「内定報道」以来、どっと噴出した「シメオネ→チェルシー、モウリーニョ→ユナイテッド」の筋読み報道が、早々に具体化しつつあるということになる。スペイン(のメディア)が「先行」し、英側がシーズンの大詰め直前の時期を鑑みて「配慮と慎重」を期している、と解するのが無難といったところだろう。
▽物事は重層的に絡んでいるのが常であって、この「スペイン先行報道」にはリヴァプールの「大物若手ディフェンダー獲得内定」の事実が影響していそうだ。その「大物」とはシャルケ所属のCBで、ドイツ生まれのカメルーン人、24歳のジョエル・マティップ。当然、クロップつながりと推察できるが、シティーやアーセナル、パリSG辺りも狙っていたらしい。で、先のサンチェスもアーセナル、リヴァプール、ユヴェントス(ポグバがシティーに移籍した場合の穴埋め)など鵜の目鷹の目状態とくれば、ユナイテッド就任を確実に(!)視野に入れているジョゼ君も、ぐずぐずしてる場合じゃないぞという次第?!
▽そこで、サンチェスのユナイテッド入りが「濃厚」になったという話になる。おわかりか。「マティップ⇔ブンデス⇔クロップ」なら「サンチェス⇔ポルトガル⇔モウリーニョ」! こじつけ云々などと言うなかれ。若ければ若いほど“身内感覚”というものは重要な決め手、決断する動機づけになるものなのだ。
▽それはともかく、より信憑性の高そうなユナイテッド情報に頭を切り替えると、切り回しの実質的ボス、エド・ウッドワード(副チェアマン)は、この夏、大掛かりなオーバーホールを画策しているという。つまり、大量放出と粒より補強(と指導陣刷新:いち早く、ユースの責任者に“こわもて”ニッキー・バットを指名したのもその一環か)。どこかの国の年金資産・投資大失敗のごとく、ディ・マリアやファルカオらで被った大損を、もはや二度と犯すまいというわけだ。
▽ちなみに、ファーガソン勇退後ここまで費やした補強資金はざっと3億2千万ポンドにもなるというが、及第点に値するのはマタとマーシアルくらい(と、これは英メディアの某記者の弁)。そこで、サンチェス確保を起爆剤にして、バークリー(エヴァートン)辺りも分捕って、かなりの若返り作戦に走る推測も。少なくとも、トウの立つのもそう遠くない出来あいの大物とはあえて距離を置くのではないか・・・・とまあ、絵に描いた餅が過ぎるのも考えものだが、期待と不安半ばと言っておこう。
▽で、チャンピオンズ? 正直言うと、今年はますます血が騒がない。「ますます」というよりも「またか」。昨日今日の結果もそんな具合で、俄然目の色が変わるとすれば、来週火曜日(23日)に、アーセナル(対バルセロナ)とユヴェントス(対バイエルン)がホームのファーストレッグで、これはと思わせる快勝を収めれば、といったところ。
▽ところで、先週半ば頃、一連の「ビッグクラブ」が、チャピオンズ再編を希望しているというニューズが入っていた。勝ち上がってくるのは大体決まっているから「少しでも負担を軽くする」ための、つまりは試合数削減がそのココロらしい。考え方の半分はよろしかろう。が、これは何度でも口を酸っぱくするが、どうせなら「1リーグ・1チーム=各リーグ優勝チームのみ」に戻すのが、やはり一番理に適っているはず。詳しくはまたの機会に譲るが、特定の一握りのチームに富が集中する仕組みを改めるのが、下位リーグも含めて八方うまく収まる最善の道なのだ。くどいようでもフットボール界全体の「より良き」明日のために。
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】
1953年大阪府生まれ
青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
▽一方、マンチェスター・ユナイテッドは、ベンフィカ所属の18歳ミッドフィールダー、レナト・サンチェス獲得に動いているらしいが、それを“指令”したのは誰あろう、かのジョゼ・モウリーニョだという。ということは、ファン・ハール解任とモウリーニョ招聘はもはや事実上の規定路線なのか。ちなみに、こちらの方もスペイン・メディア発の“スクープ”。その背景には、レアル・マドリードもサンチェスにご執心だからして「さて、どうなるか」という“綱引き議論”もあるようだ。
▽つまりは、グアルディオラのマン・シティー入り「内定報道」以来、どっと噴出した「シメオネ→チェルシー、モウリーニョ→ユナイテッド」の筋読み報道が、早々に具体化しつつあるということになる。スペイン(のメディア)が「先行」し、英側がシーズンの大詰め直前の時期を鑑みて「配慮と慎重」を期している、と解するのが無難といったところだろう。
▽そこで、サンチェスのユナイテッド入りが「濃厚」になったという話になる。おわかりか。「マティップ⇔ブンデス⇔クロップ」なら「サンチェス⇔ポルトガル⇔モウリーニョ」! こじつけ云々などと言うなかれ。若ければ若いほど“身内感覚”というものは重要な決め手、決断する動機づけになるものなのだ。
▽おっと、そこに輪をかけるように、もしもモウリーニョ・ユナイテッド就任が実現するのなら、クリスティアーノ復帰だってぐっと有望になるのでは、という尾ひれまで飛び出した。そのロナウドは、チャンピオンズ・対ローマを控えた会見で、某記者の“無粋”な質問にカチンときたのか、捨て台詞のようなコメントを残して早々に退場するという小ネタを提供したばかり。「ペレス会長が貴方よりベイルやベンゼマを大切にしているという噂をどう思う」とヤジられては、面白かろうはずはない。うん? ひょっとしてこの記者、ユナイテッドの回し者じゃあるまいな(笑)。
▽それはともかく、より信憑性の高そうなユナイテッド情報に頭を切り替えると、切り回しの実質的ボス、エド・ウッドワード(副チェアマン)は、この夏、大掛かりなオーバーホールを画策しているという。つまり、大量放出と粒より補強(と指導陣刷新:いち早く、ユースの責任者に“こわもて”ニッキー・バットを指名したのもその一環か)。どこかの国の年金資産・投資大失敗のごとく、ディ・マリアやファルカオらで被った大損を、もはや二度と犯すまいというわけだ。
▽ちなみに、ファーガソン勇退後ここまで費やした補強資金はざっと3億2千万ポンドにもなるというが、及第点に値するのはマタとマーシアルくらい(と、これは英メディアの某記者の弁)。そこで、サンチェス確保を起爆剤にして、バークリー(エヴァートン)辺りも分捕って、かなりの若返り作戦に走る推測も。少なくとも、トウの立つのもそう遠くない出来あいの大物とはあえて距離を置くのではないか・・・・とまあ、絵に描いた餅が過ぎるのも考えものだが、期待と不安半ばと言っておこう。
▽で、チャンピオンズ? 正直言うと、今年はますます血が騒がない。「ますます」というよりも「またか」。昨日今日の結果もそんな具合で、俄然目の色が変わるとすれば、来週火曜日(23日)に、アーセナル(対バルセロナ)とユヴェントス(対バイエルン)がホームのファーストレッグで、これはと思わせる快勝を収めれば、といったところ。
▽ところで、先週半ば頃、一連の「ビッグクラブ」が、チャピオンズ再編を希望しているというニューズが入っていた。勝ち上がってくるのは大体決まっているから「少しでも負担を軽くする」ための、つまりは試合数削減がそのココロらしい。考え方の半分はよろしかろう。が、これは何度でも口を酸っぱくするが、どうせなら「1リーグ・1チーム=各リーグ優勝チームのみ」に戻すのが、やはり一番理に適っているはず。詳しくはまたの機会に譲るが、特定の一握りのチームに富が集中する仕組みを改めるのが、下位リーグも含めて八方うまく収まる最善の道なのだ。くどいようでもフットボール界全体の「より良き」明日のために。
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】
1953年大阪府生まれ
青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
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