ネイマールが起訴、スペインサッカー界で相次ぐ“脱税”容疑の実態は…
2016.02.05 12:30 Fri
▽3日、バルセロナのブラジル代表FWネイマール(24)がブラジルの検察当局によって起訴された。容疑は脱税と文書偽造とのことだ。
▽ネイマールにかけられている容疑は、サントス在籍時の2006年からバルセロナに移籍する2013年までの間に所得を過少申告し、脱税を行っていたとのこと。さらに、バルセロナ移籍に際しても、本来の移籍金を偽っていたとされ、ネイマールの権利の40%を保有するブラジルの投資ファンド「DIS」が訴えていた。この件では、バルセロナのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長や前会長のサンドロ・ロセイ氏も、詐欺や汚職などの罪に問われている。
◆焦点はネイマールの“移籍金”
▽ネイマールの脱税に関しては、サントスからバルセロナへ移籍する際の移籍金が大きく関わっている。当初バルセロナは、ネイマール獲得に関して、古巣のサントスに1710万ユーロ(約22億円)、ネイマールの父であるネイマール・ダ・シウバ・サントス氏と親族が経営する「N&N」社に4000万ユーロ(約53億円)を支払ったとしていた。
▽つまり、バルセロナはネイマール獲得に合計5710万ユーロ(約75億円)を支払ったことになるが、後になり、その他の条件などを合わせ、実際は8330万ユーロ(約109億円)の移籍金を払ったと認めている。
▽しかし、前述の「DIS」はサントスに支払われていた1710万ユーロの40%しか受け取っておらず、実際の移籍金8330万ユーロに対する割合ではないと訴えを起こしたということ。これにより、移籍金の差額分の税金が支払われていないという。
▽バルセロナは、ネイマールの起訴だけでなく、アルゼンチン代表MFハビエル・マスチェラーノやアルゼンチン代表FWリオネル・メッシも脱税の容疑に問われている。マスチェラーノに至っては、1月21日に罰金81万5000ユーロ(約1億350万円)と1年間の禁錮が言い渡されていた。(禁錮に関しては追加の罰金で逃れる方向で申請中)
▽また、バルセロナ以外でも、バイエルンの元スペイン代表MFシャビ・アロンソや、ポルトのスペイン代表GKイケル・カシージャスなど、スペインが絡む多くの選手が“脱税”を疑われている。しかし、それはネイマールの“移籍金”とは異なり、“肖像権”が関わってくるのだ。
◆“肖像権”の実態は…
▽有罪が言い渡されたマスチェラーノは、スペイン税務当局の発表によると、アメリカとポルトガルに設立した自身の会社を利用し、肖像権に関する収入を偽っていたとのこと。判決を受けた後の声明では、「バルセロナ入団時から「Estudio Fiscal Español(スペイン財政研究所)」に税金対策を依頼していたと」明かし、「告訴によりサービスの利用を取りやめた」と語ったが、自身の会社を通じての出来事のため罪を認めることになった。
▽一方で、メッシは同じ肖像権に関わる脱税容疑で訴えられているが、現在はメッシの父親であるホルヘ・メッシ氏が2006年から2009年の間に脱税していたとして訴えられている。当初はメッシ本人も関わっているとされていたものの、管理は全て父親に任せていたと主張し、父親のホルヘ氏も全責任を認めたため、バルセロナの裁判所はメッシへの告発を取り下げるとした。ただし、証言を行うために裁判所に出廷することになっている。
▽また、シャビ・アロンソやカシージャスの場合は、少し異なる。スペインのプロサッカー選手は法律により、年俸の85%をクラブから、残りの15%は肖像権を管理する会社から受け取っている。高額所得者は、所得の52%(カタルーニャは56%)を所得税として納税する義務があるものの、年俸の15%に関しては会社経由で受け取っているため、法人税として30%を納めている。
▽しかし、スペイン財政省は調査によりその管理会社が、実体のない幽霊企業であると判断。会社を通じて受け取っていた15%の年俸に対し、法人税として納税した30%では、本来納税すべき52%(または56%)に足りないとし、不足分の22%(ないし26%)を脱税したとみなしているようだ。
◆巨大化しすぎた市場が原因か
▽スペイン国内のみならず、世界を見渡してもサッカー界が巨額の金銭を動かす市場になっていることは、中国の“爆買い”的な補強や、移籍金の高騰などからも見受けられる。特に、財政面で厳しい状況に置かれているスペインとしては、一般層の所得とは比べ物にならないぐらいの高額所得者であるサッカー選手(またはクラブ)に対して、厳しく、そして細かく調査し、不足分の税金を受け取ろうと考えているようだ。
▽逆に、選手側とすれば高い税金を逃れる策を講じ、税率の低い海外の会社などを通じて税金逃れをするケースが増えている。国家としてはこれを許さない姿勢を追求するためにも、近年増えている“脱税”問題。どのような決着がそれぞれの選手を待っているのかは分からないが、ファンを欺き裏切る様な行為だけは避けてもらいたいと切に願う。
▽ネイマールにかけられている容疑は、サントス在籍時の2006年からバルセロナに移籍する2013年までの間に所得を過少申告し、脱税を行っていたとのこと。さらに、バルセロナ移籍に際しても、本来の移籍金を偽っていたとされ、ネイマールの権利の40%を保有するブラジルの投資ファンド「DIS」が訴えていた。この件では、バルセロナのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長や前会長のサンドロ・ロセイ氏も、詐欺や汚職などの罪に問われている。
◆焦点はネイマールの“移籍金”
▽ネイマールの脱税に関しては、サントスからバルセロナへ移籍する際の移籍金が大きく関わっている。当初バルセロナは、ネイマール獲得に関して、古巣のサントスに1710万ユーロ(約22億円)、ネイマールの父であるネイマール・ダ・シウバ・サントス氏と親族が経営する「N&N」社に4000万ユーロ(約53億円)を支払ったとしていた。
▽しかし、前述の「DIS」はサントスに支払われていた1710万ユーロの40%しか受け取っておらず、実際の移籍金8330万ユーロに対する割合ではないと訴えを起こしたということ。これにより、移籍金の差額分の税金が支払われていないという。
◆相次ぐバルセロナ選手の“脱税”容疑

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▽バルセロナは、ネイマールの起訴だけでなく、アルゼンチン代表MFハビエル・マスチェラーノやアルゼンチン代表FWリオネル・メッシも脱税の容疑に問われている。マスチェラーノに至っては、1月21日に罰金81万5000ユーロ(約1億350万円)と1年間の禁錮が言い渡されていた。(禁錮に関しては追加の罰金で逃れる方向で申請中)
▽また、バルセロナ以外でも、バイエルンの元スペイン代表MFシャビ・アロンソや、ポルトのスペイン代表GKイケル・カシージャスなど、スペインが絡む多くの選手が“脱税”を疑われている。しかし、それはネイマールの“移籍金”とは異なり、“肖像権”が関わってくるのだ。
◆“肖像権”の実態は…
▽有罪が言い渡されたマスチェラーノは、スペイン税務当局の発表によると、アメリカとポルトガルに設立した自身の会社を利用し、肖像権に関する収入を偽っていたとのこと。判決を受けた後の声明では、「バルセロナ入団時から「Estudio Fiscal Español(スペイン財政研究所)」に税金対策を依頼していたと」明かし、「告訴によりサービスの利用を取りやめた」と語ったが、自身の会社を通じての出来事のため罪を認めることになった。
▽一方で、メッシは同じ肖像権に関わる脱税容疑で訴えられているが、現在はメッシの父親であるホルヘ・メッシ氏が2006年から2009年の間に脱税していたとして訴えられている。当初はメッシ本人も関わっているとされていたものの、管理は全て父親に任せていたと主張し、父親のホルヘ氏も全責任を認めたため、バルセロナの裁判所はメッシへの告発を取り下げるとした。ただし、証言を行うために裁判所に出廷することになっている。
▽また、シャビ・アロンソやカシージャスの場合は、少し異なる。スペインのプロサッカー選手は法律により、年俸の85%をクラブから、残りの15%は肖像権を管理する会社から受け取っている。高額所得者は、所得の52%(カタルーニャは56%)を所得税として納税する義務があるものの、年俸の15%に関しては会社経由で受け取っているため、法人税として30%を納めている。
▽しかし、スペイン財政省は調査によりその管理会社が、実体のない幽霊企業であると判断。会社を通じて受け取っていた15%の年俸に対し、法人税として納税した30%では、本来納税すべき52%(または56%)に足りないとし、不足分の22%(ないし26%)を脱税したとみなしているようだ。
◆巨大化しすぎた市場が原因か
▽スペイン国内のみならず、世界を見渡してもサッカー界が巨額の金銭を動かす市場になっていることは、中国の“爆買い”的な補強や、移籍金の高騰などからも見受けられる。特に、財政面で厳しい状況に置かれているスペインとしては、一般層の所得とは比べ物にならないぐらいの高額所得者であるサッカー選手(またはクラブ)に対して、厳しく、そして細かく調査し、不足分の税金を受け取ろうと考えているようだ。
▽逆に、選手側とすれば高い税金を逃れる策を講じ、税率の低い海外の会社などを通じて税金逃れをするケースが増えている。国家としてはこれを許さない姿勢を追求するためにも、近年増えている“脱税”問題。どのような決着がそれぞれの選手を待っているのかは分からないが、ファンを欺き裏切る様な行為だけは避けてもらいたいと切に願う。
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