【特集】フットサル日本代表FP星「目標の40ゴールは自分自身の能力を試す意味も」《フットサル日本代表総力特集》

2016.01.20 18:00 Wed
▽2月9日、サッカーのアジアカップに当たる大会である、AFCフットサル選手権がウズベキスタンで開幕する。フットサル日本代表は、3連覇の期待がかかるだけでなく、2016年にコロンビアで開催されるフットサル・ワールドカップの出場権獲得という重要な目標を持っている。

▽そこで今回、Fリーグのバルドラール浦安に所属し、フットサル日本代表のキャプテンを務めるFP星翔太選手にインタビューを実施。第1回は、2015-16シーズンのFリーグを振り返ってもらった。
――昨シーズンは3位でプレーオフに進出し、今シーズンはプレーオフファイナルで名古屋を倒すことが目標だったと思います。しかし、リーグ戦8位と大きく順位を落としましたが、今シーズンを振り返っていかがでしょうか
「今シーズンのバルドラール浦安は、監督が替わって2年目のシーズンでした。環境が変わった1年目は、選手も含めて思い切ったプレーができるもので、ポジティブな反応を示します。そのため、昨シーズンはそれなりに結果を残しました。ただ、最後の部分で届かずに、そこを踏まえて今シーズンはどうしようかと」

「しかし、昨シーズンの主力、中心選手が退団し、代わりに下のカテゴリーから選手が上がってきました。シーズンが始まる前からチームの色が変わるかなと感じていましたね。その中で、自分がキャプテンとしてやれることをやっていけば、世代交代もうまく進むと思っていました」
「シーズンを終えてみると、残念ながら世代交代が進まず、若い選手たちが出てこないような状況になってしまいました。この成績は妥当だと感じています。状況を打破できなかったベテラン、監督、スタッフなどチームの上の人たちが引き上げる力がなかったと率直に感じています」

――今シーズンはペスカドーラ町田やフウガドールすみだなど補強を行ったチームが上位に来ている印象ですが、浦安は補強を考えなかったのですか
「チームの方針もありますし、フットサルはそれほど多くの補強ができるリーグではないです。そうなると、目を向けるのは下のカテゴリー。浦安に関して言えば、テルセーロ、バセといった下部組織が整っています。そこから浦安出身の選手が出てくることを願っています」
「ただ、初めてのチャレンジなので、結果に繋がってはいませんし、クラブとして、選手たちとしての向き合い方がしっかりできていなかったことが、もしかしたら結果につながらなかったのかもしれません」

――シーズン最後に全日本選手権が残されていますが
「チームがどう考えているかはわかりませんが、個人的には、Fリーグでシーズンは終わったと思っています。この長いオフを次のリーグの開幕に向けた準備期間にしないといけないと思います。もちろん選手権ではタイトルを獲ることが目標ですが、今は新しいものを構築する段階で、それを積み重ねていって次のリーグ戦を迎える。それが、今すべきことだと思います。全日本選手権でタイトルを獲るためにもですが、今シーズンの成績を振り返って、各個人の問題や課題をクリアして臨むべきだと思っています」

――当然、タイトルも欲しいと思いますが、その中でもリーグタイトルが一番重要視しているのですね
「リーグが最も重要です。オーシャンカップにしても全日本選手権にしても大事です。でも、そこは他のクラブも獲れています。今まで名古屋しか獲れていないのがFリーグです。あとはアジアクラブ選手権ですが、その出場権を得るためにはFリーグを獲るしかないです。カップ戦に関して言えば、すみだに所属していた頃に名古屋を倒して全日本選手権を獲りましたが、チームの団結力や、やるべきことが明確であれば短期的に戦えます」

「しかし、本当の力が出るのは長期戦であるリーグ戦です。そういう意味でリーグ戦は最も大事だと個人的に感じています。毎週試合がやってきて、ケガを抱えながら、疲労を溜めながら試合に出なければいけません。それでも周りに気付かれずに結果を出し続ける。カップ戦も3日間戦い続けるタフさが必要ですが、それよりもリーグでコンスタントに戦い続けることが大事だと思っています」
(c) CWS Brains、 LTD.

――個人的な話に移りますと、昨シーズンは22ゴールを挙げた中で、今シーズンは開幕前に40ゴールを公言されました。実際はケガもあり13試合で8ゴールでしたが、シーズン40ゴールは可能だと考えていましたか
「自信はありました。結果としてですが、今シーズンはシュライカー大阪のヴィニシウス選手が48ゴールを挙げています。個人的に、観ている人たちにとって何が面白かと考えた時に、目標があったほうがわかりやすいかなと。そこに向けてカウントダウンする。ただ得点王争いをするだけではなく、『あいつ40ゴール目指すと言ったのに到達できそうにないぞ』、『もうすぐ40ゴールだ』『あれ、他の選手が達成しちゃったよ』など、そういう話題作りにもなります」

「もちろん、自分自身の能力を試す意味もありました。そういうのを複合して出した答えが40ゴールでした。昨シーズンは22ゴールしか取れていませんが(笑)40ゴールだったらいけるだろうと」

――目標を立てて臨んだシーズンでしたが、開幕してすぐにケガをしてしまいましたね
「(5月30日に行われた第6節の)浜松戦でしたね。足首の靭帯が2本切れてしまいました。治し辛いケガだったので時間がかかってしまいましたね。3カ月位かかりました」

――リーグ終盤では再び離脱されていましたが
「コンディション不良でした。2週間ほど休んで、その後また試合に出ました。休んでいる間は練習もできていなかったので、ぶっつけ本番でした。ただ力が入らず、疲労も抜けずに11月の大阪戦まで続けました。大阪戦は勝ちたくて出たのですが、結局(2-4で)負けてしまいました」

「大阪戦の前から力が入らなかったので、この大阪戦で最後にしようとトレーナーとも話していました。練習もできない状況でしたし、このまま続けることでチームに良い影響があるとは思えませんでした」

――現状ではどの程度回復していますか
「もう普通にボールを蹴っていますし、練習には合流しています」

――ただ、ファンやサポーターから見ると浦安の中心である星選手が、シーズンのほとんどを棒に振ってしまって寂しい思いをしているのでは
「散々言われましたね(笑)他のチームの選手にも言われました。クラブの人にも言われました。たくさんの方に言っていただいて、これだけの期待を背負っているんだなと改めて実感しました」

――負傷中は試合会場にも足を運んでいたが、客観的にFリーグを見た感想は
「面白いなと。改めて試合って良いなと思いました。このピッチでもっと色々なことを変えていきたいなとも思いました。お客さんの反応も見ていましたね。どこで反応してくれるのか。よく見てくれている人たちは、動きの質の部分で沸きます。ただ、ほとんどの人たちが沸いてくれるのはパワープレーやカウンターの攻防、GKの攻撃参加、ボディコンタクトなどわかりやすい部分で盛り上がるんだなと。そういう意味で、今のFリーグのチームは盛り上がりやすい戦いをしていると感じましたね」

キリンチャレンジカップの関連記事

キックオフ直後から、気合という燃料を積んでいることは明らかだった。このチャンスを、モノにしてやるんだ。攻守両面でのアグレッシブなプレーから、この試合に懸ける思いは全身から溢れ出ていた。タフに右サイドを守りながら、同学年のMF久保建英と一緒に決定機も演出した。サイドバックを本職とする選手が生み出すハーモニーが顔を覗かせて 2025.11.20 21:00 Thu
ガーナ代表戦、ボリビア代表戦と続いた11月シリーズを、日本代表は2試合連続の無失点で締めくくった。その中心にいたのが、フィールドプレーヤーで唯一2試合フル出場を果たした33歳――谷口彰悟だ。2024年11月にアキレス腱を断裂。大怪我から戻ってきた男は、再び日本代表の最終ラインで存在感を放っている。2026年北中米ワール 2025.11.19 01:35 Wed
ゴール前で輝く決定力と、中盤を支える戦術眼。その両方を併せ持つ“新しいボランチ像”を、日本代表のMF鎌田大地がボリビア代表戦で体現した。開始4分、MF久保建英のクロスを胸で収め、左足で冷静に流し込んだ先制点。ボランチでありながらペナルティエリアへ侵入し、フィニッシュまで持ち込む――。クリスタルパレスと日本代表では求めら 2025.11.19 00:45 Wed
ガーナ戦で先制点を挙げた南野拓実。練習からギラつく20歳前後の若手たちに囲まれながら、30歳になった自分の立ち位置を静かに受け止めている。日本代表に呼ばれて10年。かつて自分も“勢いだけの若者”だった時代がある。その記憶を抱えながら、今はキャプテンマークを巻き、彼らの背中を押す側へ――。森保ジャパンが世代交代を迎える渦 2025.11.18 16:45 Tue
ガーナ戦のピッチに立った鹿島アントラーズの守護神・早川友基。正GK鈴木彩艶の負傷、第2GK大迫敬介の不在の中で巡ってきたチャンスを、無失点という最高の形で終えた。だが、試合後のミックスゾーンに現れた早川の表情に、満足の色はなかった。代表2戦目にして、“守るだけ”のGKでは終わらない次のステージを見据えていた。 ■ 2025.11.18 15:30 Tue

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly