【東本貢司のFCUK!】ジョゼ君とサルフォード・シティー
2015.12.17 13:00 Thu
▽レスター2、チェルシー1。まさに主役交代を象徴するようなゲーム・・・・などと悠長なことを言っている場合ではなくなってきた。あれほどモウリーニョ支持にこだわり続けてきたロマン・アブラモヴィッチも、さすがにしびれが切れてきたらしい。急遽理事を招集、“善後策”についての意見交換を行ったとか。現地メディアの観測によると、今週末のサンダランド戦でジョゼ君が指揮を執るかどうかは「未定」の模様だという。しかし、いかにも時期が悪い。これから年末にかけては、イングランド名物の「フェスティヴ」期間、つまり、一年で最もスケジュールが立て込む“魔界のラビリンス”。まさか、仮に代役を立てたとしても、結果をどうこう判断できるはずもない。しかも、そうこうするうちに1月の補強月間がやってきて収拾がつかなくなる。いわばデッドロック状態の袋小路・・・・。
▽言うまでもないが、かねてより最有力候補のグアルディオラも“二番手”のシメオネも、少なくとも「今」は“out of reach”、交渉する余地すらない。では、ひとまず「いつでも来い」のアンチェロッティを? さもなくばこういう火急に時のピンチヒッター、ヒディンクにお願いを立てる? いいや、どう転んでも泥縄、解決策には程遠い。そこで筆者の見立ては・・・・「ポーズ」だ。モウリーニョにというよりも、ブルーズのプレーヤーたちに対する「お前ら、それでもプロか!」なる威嚇に近いメッセージ、というのが、この「アブちゃんミーティング」の真意。“凋落”の元凶はすべからく、彼らのアンダーパフォーミング、すなわち額面通りのプレーができていないがため。はっきり言えば、ファブレガス、オスカー、イヴァノヴィッチ、以下ざっと4名は、モウリーニョならずとも使う気にならないほど、覇気も誇りも感じられない。チームとしての形になりようがないのだ。
▽よって、外野があれこれ騒ぐほど「即モウリーニョ解任」などはあり得ない。それで何かが好転する見込みなどほとんどない。むしろ、まずモウリーニョ込みの“特別”理事会にて「誰と誰を獲り、そのために誰と誰を(放り)出すか」を協議する。同時に、準レギュラークラスの若手登用に踏み込む。すべては活を入れるため。監督交代論はその後でいい。ポイントが一つある。チャンピオンズのパリSG戦。これ、なんと、モウリーニョ復帰以降、3季連続の巡り合わせなのだ。これを突破すれば道が開ける目途が立つ、という寸法。この際、チャンピオンズ優勝にすべてを賭け、その勢いで最低限のリーグ・トップ4フィニッシュを目指す。この目標が果たせなくなってからでも遅くはない―――という結論になるはずだと思う。そもそもこのミーティング、メディアが“嗅ぎ付けた”つもりだけなのであって、どこまで本気なのかわかったものではない。それが「ポーズ」の本当の意味。
▽それにしても、チャンピオンズ・ラスト16のドローにはおよそ目がぱちくり。よくぞ、本命上位をこの時点でかち合せることにしたものだと思う。フェアな考え方からすれば、くじ引きに“仕込み”がなかったという証明なのだろうが・・・・。一部には“ドン”プラティニの謹慎がそこに“働いて”いるのでは、という陰口もあるというが、筆者にはむしろ「有力チームへのお灸」に通じる意図の方にあられもない可能性を感じてしまうのだが、いかがか。この十数年のプラティニの言動からして、彼には優勝チームの偏りを避けたい意向がぷんぷんするからだ。そこに、彼からすれば「不当な疑い」をかけられ、FIFA会長就任の夢も閉ざされかけている今、一種の意趣返し的な“裏指令”が飛んだ、などとまあ、余計な邪推も忍び寄ってくるのである。それともひょっとして・・・・杞憂にすぎないとは思いたいが、テロの脅威、その狙いを逸らし惑わすための“配慮”があったとか?
▽さて、FCUKならではのFAカップがそろそろ「佳境」に近づいてきた。ここで言う「佳境」とは、待ち受けるプレミア勢への挑戦を期すフレッシュなメンツが勝ち上がってくる過程のこと。今季、実は、オールド・トラッフォードのお膝元に本拠を持つノンリーグの「サルフォード・シティー」、その大躍進を、密に期待していたのだったが・・・・さすがに壁は高く、本戦2回戦でハートルプールに2-0で屈した。ハートルプールはリーグ2(4部)で現在20位だが、それでもサルフォードとの階級差は実に「53」。おっと、ご存じでない方の為にここで、些細にして重要な薀蓄のおさらいを。サルフォード・シティーの共同オーナーはライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ネヴィル兄弟、ニッキー・バット―――言わずと知れたユナイテッド「クラス・オヴ・92」の五人衆。そう、あと少し頑張れば、マン・Uとの夢の対決も可能だったかもしれないのに! もちろん、勝ち負けなどどうでもいいんです。FAカップにはそんな楽しみの種があったりするから面白い。
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】
1953年大阪府生まれ
青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
▽言うまでもないが、かねてより最有力候補のグアルディオラも“二番手”のシメオネも、少なくとも「今」は“out of reach”、交渉する余地すらない。では、ひとまず「いつでも来い」のアンチェロッティを? さもなくばこういう火急に時のピンチヒッター、ヒディンクにお願いを立てる? いいや、どう転んでも泥縄、解決策には程遠い。そこで筆者の見立ては・・・・「ポーズ」だ。モウリーニョにというよりも、ブルーズのプレーヤーたちに対する「お前ら、それでもプロか!」なる威嚇に近いメッセージ、というのが、この「アブちゃんミーティング」の真意。“凋落”の元凶はすべからく、彼らのアンダーパフォーミング、すなわち額面通りのプレーができていないがため。はっきり言えば、ファブレガス、オスカー、イヴァノヴィッチ、以下ざっと4名は、モウリーニョならずとも使う気にならないほど、覇気も誇りも感じられない。チームとしての形になりようがないのだ。
▽よって、外野があれこれ騒ぐほど「即モウリーニョ解任」などはあり得ない。それで何かが好転する見込みなどほとんどない。むしろ、まずモウリーニョ込みの“特別”理事会にて「誰と誰を獲り、そのために誰と誰を(放り)出すか」を協議する。同時に、準レギュラークラスの若手登用に踏み込む。すべては活を入れるため。監督交代論はその後でいい。ポイントが一つある。チャンピオンズのパリSG戦。これ、なんと、モウリーニョ復帰以降、3季連続の巡り合わせなのだ。これを突破すれば道が開ける目途が立つ、という寸法。この際、チャンピオンズ優勝にすべてを賭け、その勢いで最低限のリーグ・トップ4フィニッシュを目指す。この目標が果たせなくなってからでも遅くはない―――という結論になるはずだと思う。そもそもこのミーティング、メディアが“嗅ぎ付けた”つもりだけなのであって、どこまで本気なのかわかったものではない。それが「ポーズ」の本当の意味。
▽さて、FCUKならではのFAカップがそろそろ「佳境」に近づいてきた。ここで言う「佳境」とは、待ち受けるプレミア勢への挑戦を期すフレッシュなメンツが勝ち上がってくる過程のこと。今季、実は、オールド・トラッフォードのお膝元に本拠を持つノンリーグの「サルフォード・シティー」、その大躍進を、密に期待していたのだったが・・・・さすがに壁は高く、本戦2回戦でハートルプールに2-0で屈した。ハートルプールはリーグ2(4部)で現在20位だが、それでもサルフォードとの階級差は実に「53」。おっと、ご存じでない方の為にここで、些細にして重要な薀蓄のおさらいを。サルフォード・シティーの共同オーナーはライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ネヴィル兄弟、ニッキー・バット―――言わずと知れたユナイテッド「クラス・オヴ・92」の五人衆。そう、あと少し頑張れば、マン・Uとの夢の対決も可能だったかもしれないのに! もちろん、勝ち負けなどどうでもいいんです。FAカップにはそんな楽しみの種があったりするから面白い。
【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】
1953年大阪府生まれ
青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。
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