【特集】永遠の課題、得点力不足の解決法は!?日本代表座談会!第4弾

2015.08.01 11:41 Sat
▽8月2日に開幕を迎えるEAFF東アジアカップ2015(男子)に向け、超WSでは座談会を実施。六川亨氏、倉井史也氏、吉崎エイジーニョ氏の三名を招き、熱く、厳しく、そしてときには愛情を持って日本代表やアジアのサッカーについて議論を交わしてもらった。本稿はその最終回であり、「言いたい放題!気楽に!真剣に!東アジアカップ!!」というテーマのもとに語られた内容を紹介する。

◆新世代中心で望む韓国
六川亨氏「今回の東アジアカップってさ、日本は優勝を目標にはあげてないんだよな。メンバーもメンバーだし、微妙な時期の大会だから。あくまでもW杯予選の突破をメインにしてるでしょ? おそらく韓国も同じ」

吉崎エイジーニョ氏「韓国も今日(7月21日)、会見があったんですけど、(韓国代表監督のウリ・)シュティーリケは優勝宣言しませんでした。それに対して、メディアもあれこれ言ってないです。若い選手をベースに呼んでいて、平均年齢24歳のメンバーなので」
超WS日本代表「エイジーニョさんは韓国の今回のメンバーをどう見ていますか?」

吉崎「若いメンバーを呼びながらも、結局、キム・シヌク(シンウク)っていう一番大きい196cmのやつを入れているってことは、締めるところは締めるつもりでしょうね。最前線だけはね。キム・シヌクだって1988年生まれなので、若くないわけじゃないんですが。で、このキム・シヌクという選手は韓国からすると一長一短あって、この選手が入ると、どうしてもロングボールを入れちゃう」
Getty Images
[韓国のキム・シヌクに要注意!]

超WS「それはそれで嫌ですが(笑)それにしても、やっぱり全体的に若いですよね」
吉崎「若い。シュティーリケも会見で、最初から年齢の高い選手は入れなかったと言っていて、水原三星でチョン・テセとの名コンビでも知られたヨム・ギフン(32)という選手が、いま国内で一番活躍していると言われているんだけど、彼も入っていない」

超WS「この中で中心となる選手は誰でしょう?」

吉崎「実績を考えても、結局、キム・シヌクが引っ張っていくんじゃないかという感じ」

六川「でもスタメンではないんじゃない?」

吉崎「どうなんだろなあ。実績的には彼が一番上だし、C大阪のキム・ジンヒョン(22日の岡山戦で右鎖骨を骨折。代表辞退)なんかも、アジアカップで株を上げているんで、リーダーシップをとっていくんじゃないかと」

六川「あれだよね。わかんなくなってきたというか、韓国も代表選手が色々なところで活躍している。日本もそうだと思うんだけども、海外組だけに頼らなくても、色々な選手がいるじゃない。海外でプレーしているからレギュラーなのではなくて、色んな選択肢がある。キム・シンウクは絶対に嫌な選手なんだけど、それ以外に国内組でも海外組でも、良い選手がいる。レフティの好選手も多い」

吉崎「あとは、実績的には(かつてFC東京と大宮でプレーしていた)キム・ヨングォンも引っ張るべき選手。あとは(神戸の)チョン・ウヨンも代表に入りたくて入りたくてうずうずしていた」

超WS「すごく良い選手ですよね。(チョン・ウヨンは)京都でプレーしていたころから、気になっていました」

吉崎「この世代の選手は、韓国のユース育成システムの変革期にあたった世代。新しくモダンな選手を育てることを志向したシステムによる、最初の世代の選手たち。どういうやり方をしたかというと、トップクラスの高校のチームを、プロクラブのユースチーム化した。たとえば、かつての清水商業をエスパルスユースみたいにしちゃうみたいな。彼らは、プロの指導者に高校時代から学んでいるし、プロの練習施設を使っている。韓国は認めないけど、90年代後半からの日本の急成長を見て触発されたんじゃないかな」

超WS「そんな裏事情があるんですね」

吉崎「かつてのスパルタ式かつ過酷なエリートの育成には弊害もあった。モダンな選手を育てる必要に迫られたこともあり、まずはちゃんと選手たちに勉強をさせようと。以前は、小学校4年生とかでサッカーを選んだら、学校の授業もろくすっぽ出ずに、ずっと部活ばっかりやっているというシステムだったから、それを変えて、ちゃんと勉強もさせるというシステムにした。スパルタ式ではなく、合理的な理論に基づいた選手の教育をしましょうっていう育成システムの第一世代が、今回代表に選ばれた25歳前後の選手たち」

◆U-22世代と得点力に課題のある日本
超WS「一方で、日本代表のメンバー(※予備登録の段階)についてはいかがでしょう?」

六川「今回の日本のメンバーで考えると、五輪世代、手倉森ジャパンの選手たちがどれだけ鍛えられるかって部分が、一つの関心事なんですよ。この前の仙台の試合(7月1日のU-22コスタリカ代表戦)で少しは良くなったと思うけど、まだまだメンバーが固まってない」

超WS「具体的にはどういった点でしょう?」

六川「中盤の遠藤航がチームの中心。FWはJの活躍を見る限りは浅野かな。少しずつ骨格が出来ているけど、DFラインはまだ考慮の余地があると思う。フィジカルの部分も解決しなくてはいけない問題の一つ。東アジアカップの話ではないけど、来年の五輪は出場できない可能性も大いにあると思っている。予選方式が変わって厳しくなったんだから。だからこそ、五輪世代の選手たちが今回のメンバーに入ったことは良かった」
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[五輪代表の中心、遠藤(左)と浅野の出番は…!?]

超WS「話は変わりますが、日本代表は6月のシンガポール戦で点が取れませんでした。そこの部分の修正にも力を入れると思うのですが」

※ここで遅れての参加となった倉井史也氏が登場!

倉井「並べるで、でかいの(笑)ポンポン入れるよ。これまではつなぎすぎていたけど、練習でもすばやくサイドに展開してクロス、というのを繰り返してたから。試合でも、これまでよりもクロスが上がるようになるんじゃない。となると、真ん中はでかい選手を並べてきますよ。クロスから『ふんがあ!』的な(笑)」

六川「ただね、そこは根が深い問題でもあると思う。日本のチームって、代表も含めて、点を取らなくてはいけない終盤でも、簡単に放り込まないんだよ。監督が放り込めって指示しても、なかなか蹴らない。(ゴールが必要な状況で)ロスタイムに入ったら、ハイボールを入れるっていうサッカー文化が日本にはない。ゴール前にボールを入れれば何か起こるかもしれないのに、サイドに展開して、センターに戻して、またサイドに展開して…。技術の問題なのか自信の問題なのかはわからないけど」

倉井「六川さんが鳥栖の試合見たら、一発でファンになってくれると思う(笑)もう、残り10分とか関係ないから(笑)」

六川「たしかに鳥栖の選手は、ハリルホジッチが求めている感覚に近いものを持っているかも。ボールを持ったら豊田(陽平)を見る。同じように、山口蛍や青山敏弘なんかも、ボール持ったら柿谷(曜一朗)、もしくは佐藤寿人を見る習慣がある。視野が広いんだよね。ワントラップしたら、まずはバックパスではなくて、前のターゲットを見るっていう。その感覚はね、日本サッカーに欠けていたもの」

超WS「縦に早く展開するプレーが肝になると」

六川「ブラジルW杯でさ、ボールを奪ってから15秒以内でのゴールが多いって、統計的にも出ている。実際、ハリルホジッチはそれで成功した監督なわけじゃない。ドイツとか一部をのぞけば、上に行ったチームはだいたいそう。早い展開こそ現代サッカー。それを踏まえての、カウンタースタイルを目指した(日本代表の)監督の選考。おそらくこれから、Jリーグもそういう形になっていく気がする」

◆いざ、東アジアカップ!
超WS「それでは、最後に東アジアカップの見るべきポイントをお伺いします。ますはエイジーニョさん、いかがでしょう?」

吉崎「なんだかんだで中国が何か新しいものを見せるんじゃないかという感じ。1月のアジアカップを見てたら、Jリーグが始まった頃の日本代表のような、勢いはあるけど技術的にはおぼつかないみたいな、そんな印象だった。僕は見ていて面白いと思う。中国が結果を出すんじゃないかという予測ですね」

超WS「日本と韓国についてはどうでしょう?」

吉崎「日本は、ピッチ上の選手たちは本気で優勝を狙ってプレーするでしょう。もちろん、優勝は大切。同時にここから何人の選手たちが代表に生き残ったかが重要でしょう。登竜門としての大会ですね」

超WS「倉井さんの注目ポイントは?」

倉井「北朝鮮だね。FWがでかいんで。1月のアジアカップのとき見たけど、北朝鮮のFW、190cm近くある(ビール・ビエンヌのFWパク・クァンリョンが188cm)。いきなりすごい選手と当たって、『ええ』って感じになったら面白いと思ってる。というのは、今回、(予備登録の)日本の守備ラインはそんなに高くないでしょ(※)。だから」

※今大会の最終メンバーのDF登録の選手は全員185cm以下。

超WS「最後に六川さん、お願いします」

六川「さっき五輪の選手を鍛えるって話しもしたけど、一番大事なのは勝つこと。今大会だけじゃなくて、それこそU-15、17、19も含めて。で、勝つためにはポゼッションじゃないよね、っていうのが今回のテーマだと思っている。内容的にポゼッションは相手に譲ってもいいけども、5-0で勝てばいいわけじゃん。結果が大事でしょ。結果を求めるための大会に変えていかなきゃいけないと思うし、それが五輪の予選にもW杯予選にもつながる。そのきっかけにできるかどうかを俺は楽しみにしてる」
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[日本代表の連覇はなるか?]


参加ライター紹介
【六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

【倉井史也】
試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。

【吉崎エイジーニョ】
1974年6月12日生まれ。北九州市出身。大阪外国語大学朝鮮語科卒。本名は「英治」。日本・韓国・ヨーロッパ等を比較し、「日本とは何だ?」を描き出すことを主題としている。韓国・ドイツに在住経験アリ。ドイツでは、10部リーグで1年間にわたりプレーし、公式戦でゴールも決めている。サッカーのほか韓国政治・文化、北朝鮮関連の執筆も。著書に、『オレもサッカー「海外組」になるんだ!!!』(パルコ出版)、『メッシと滅私 「個」か「組織」か?』 (集英社新書)、翻訳書に、パク・チソン自伝『名もなき挑戦 世界最高峰にたどり着けた理由』(小学館集英社プロダクション)などがある。

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偉大なるキャプテン、眞城美春の2ゴールなどで日本が韓国に3発快勝! U-17女子W杯出場権を獲得【U-17女子アジアカップ】

16日、AFC U17女子アジアカップ2024の準決勝がインドネシアで行われ、U-17日本女子代表はU-17韓国女子代表と対戦し、3-0で勝利。U-17女子ワールドカップ(W杯)出場を決めた。 上位3カ国はドミニカ共和国で今年10月から11月にかけて行われるU17女子W杯の出場権を獲得できる今大会。グループステージを3連勝で終えた日本は、グループAで2位の韓国と対戦した。 日本は[4-2-3-1]のシステムを採用。GKに福田真央、最終ラインは右から福島望愛、太田美月、牧口優花、鈴木温子と並び、中盤は榊愛花と眞城美春がダブルボランチ、2列目が右から木下日菜子、辻あみる、根津里莉日と並び、1トップに古田麻子が入った。 キックオフから日本はそのまま攻め込み、辻が10秒でファーストシュート。ミドルシュートはGK正面に飛んだが、キャッチされる。3分には榊のパスを受けた辻がボックス内からシュート。これもセーブされる。 立ち上がりから日本がプレスをかけて前からボールを奪って攻めていく展開に。ポゼッションをしつつ、一気にゴールに迫る形を続けていくが、決定機は作れずに得点は遠い。 対する韓国はなかなかマイボールにできない展開に。それでもスペースをついた攻撃で日本ゴールを目指すが、大きなチャンスは作れない。 日本が攻め込む展開は変わらず。左右のサイドを使って崩していくがゴールは遠い。すると40分、左サイドから古田がクロスを入れると、ボックス内中央で辻がダイレクトで落とし、最後は根津がボックス内からコースを狙ってダイレクトシュート。これが決まり、日本がようやくゴールを奪う。 攻めあぐねた日本だったがリードして後半を迎えることに。日本はハーフタイムで交代を行わず、後半もペースを握って試合を進めていく。 韓国は積極的に選手交代を行い、52分の時点で4枚のカードを切ることに。それだけ日本が押し込んでいる展開となるが、追加点が遠い。 日本は60分に太田と辻を下げ、朝生珠実と平川陽菜を投入。流れを変えにいく。 しかし65分、韓国の自陣からのロングボールを日本が拾うも、バックパスが短くなると、狙っていたケイシー・フェアが奪い飛び出していたGK福田を交わしていくことに。福田はすぐに戻ると、ボックス内からのシュートを水口がブロック。こぼれ球をケイシー・フェア再びシュートもGK福田がセーブ。日本は最大のピンチを凌ぐこととなる。 すると68分に日本がついにスコアを動かす。榊が右サイドに大きく展開すると、ボックス右から福島がクロス。これを相手がクリアミスすると、ボックス内で拾った眞城が落ち着いて左足でシュート。これがネットを揺らし、待望の追加点を奪うことに成功する。 リードを広げた日本は71分に2枚替え。古田、根津を下げて、佐藤ももサロワンウエキと菊地花奈を起用する。 日本は菊地や佐藤を中心に攻め込んでいくと、88分にも追加点。敵陣でボールを奪うと、菊地がクロスこぼれ球を拾った眞城がボックス内でシュートもブロックされると、こぼれ球を木下がボックス内でシュート。これはGKがセーブするが、眞城がすぐに詰めてネットを揺らし、リードを3点とする。 日本は90分に今大会唯一出番がなかったGK永井愛理を福田に変えてピッチへ送ることに。これで、GK、FP全選手がピッチに立つこととなった。 最後までゲームをコントロールし続けた日本。4試合連続4得点以上とはならなかったが、クリーンシートでしっかりと勝利を収めた。 3-0で勝利した日本は、U-17女子W杯の出場権を獲得。決勝では、この後行われるU-17北朝鮮女子代表とU-17中国女子代表の勝者と対戦し5度目の優勝を懸けて戦う。一方の敗れた韓国は、3位決定戦に回ることとなった。 U-17日本女子代表 3-0 U-17韓国女子代表 【得点者】 1-0:40分 根津里莉日(日本) 2-0:68分 眞城美春(日本) 3-0:88分 眞城美春(日本) 【出場メンバー】 GK 21.福田真央(JFAアカデミー福島) →90分 1.永井愛理(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) DF 16.福島望愛(JFAアカデミー福島) 4.太田美月(大商学園高校) →60分 17.朝生珠実(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) 3.牧口優花(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) 6.鈴木温子(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) MF 5.榊愛花(JFAアカデミー福島) 14.眞城美春(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) 8.木下日菜子(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) 19.辻あみる(三菱重工浦和レッズレディースユース) →60分 22.平川陽菜(三菱重工浦和レッズレディースユース) 11.根津里莉日(ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18) →71分 7.菊地花奈(マイナビ仙台レディースユース) FW 10.古田麻子(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) →71分 9.佐藤ももサロワンウエキ(大商学園高校) <span class="paragraph-title">【動画】キャプテン・眞城美春が勝利を近づける落ち着いたゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="en" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/U17WAC?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#U17WAC</a> | <a href="https://twitter.com/hashtag/JPNvKOR?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#JPNvKOR</a> <a href="https://t.co/lSHN7hfmQ5">pic.twitter.com/lSHN7hfmQ5</a></p>&mdash; #AsianCup2023 (@afcasiancup) <a href="https://twitter.com/afcasiancup/status/1791038962221683107?ref_src=twsrc%5Etfw">May 16, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.05.16 17:58 Thu
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「完璧なキャプテン」ザッケローニ元日本代表監督が引退発表の長谷部誠を労う「羽田空港に見送りに来てくれたことを忘れたことはない」

元日本代表監督であるアルベルト・ザッケローニ氏が、17日に現役引退を発表したフランクフルトの元日本代表MF長谷部誠を労った。 17日、長谷部は記者会見を開き、今シーズン限りで22年間の現役生活に幕を下ろすことを発表。引退後は、フランクフルトで指導者としての道を歩むこととなる。 その長谷部は、日本代表として2010年の南アフリカ・ワールドカップ(W杯)から2018年のロシアW杯まで3大会に出場し、その間キャプテンを務めるなど活躍。114試合に出場していた。 ザッケローニ監督が率いた、2010年から2014年はまさにキャプテンとして活躍し、2011年にはアジアカップを制覇。ブラジルW杯では悔しい結果に終わったが、ザッケローニ監督の日本代表キャリアでは常に長谷部と共にあった。 ザッケローニ氏は日本サッカー協会(JFA)を通じてコメントを寄せ、選手として、キャプテンとしての長谷部を称えた。 「長谷部は私にとって“完璧なキャプテン”です」 「彼の豊かな人間性、優雅な立ち居振る舞い、常に正しい判断力は、まさにリーダーたるもので、30年間にわたる私の監督のキャリアの中でも比類なきものでした」 「彼と一緒に仕事をすれば、私のメッセージは正確に適切な形で選手たちに伝えられ、チーム内でのコミュニケーションが建設的なものになりました」 「SAMURAI BLLUE(日本代表)の挑戦は彼がいなければ達成できなかったと断言することができます。誠、あなたの献身的な仕事、そして、私やサッカーに対して与えてくれた全てのことに感謝します」 「日本での素晴らしい日々が終わる日、内田篤人と共に羽田空港に見送りに来てくれたことを忘れたことはありません。誠、あなたは私の息子のようでもありました。イタリアの我が家はいつでもあなたを歓迎します。近いうちにお会いしましょう。セカンドキャリアでの成功も祈っています」 2024.04.18 22:25 Thu

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