【特集】ハリルホジッチ監督は日本にとっての最適解?日本代表座談会!第2弾

2015.07.30 11:48 Thu
▽8月2日に開幕を迎えるEAFF東アジアカップ2015(男子)に向け、超WSでは座談会を実施。六川亨氏、倉井史也氏、吉崎エイジーニョ氏の三名を招き、熱く、厳しく、そしてときには愛情を持って日本代表やアジアのサッカーについて議論を交わしてもらった。本稿では、その第2弾として、「ACLの先の東アジアカップ」というテーマのもとに語られた内容を紹介する。

◆Who is ハリルホジッチ!?
超WS日本代表担当「ヴァイッド・ハリルホジッチ監督といえば、昨年のブラジルW杯でアルジェリア代表を率い、ベスト16に導いたことが記憶に新しいです」

吉崎エイジーニョ氏「奇人変人が最後に英雄になったわけですよ、端的に言うと。彼は(W杯前に)国内組に厳しいトレーニングを課して、度々問題を起こしてたんですよね。国内組に練習させすぎて、選手がメディアの前で堂々と監督批判をしちゃったり。30人の予備登録を満たす選手がいないとはっきり言っちゃったりとか。もう大問題ですよね」
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[アルジェリア代表監督時代のハリルホジッチ監督]

超WS「そんなことがあったんですか」
吉崎「W杯でも、アルジェリアは初戦のベルギー戦に負けた。でもハリルホジッチは、『ハーフタイムに出した指示が選手に伝わらなかった』って言っちゃう。『もっと攻撃的に行けと言ったのに、選手が勝手に守備的にした』と。それに対して、選手がまた悪口を言い、メディアはメディアで次の対戦相手の韓国のメディアに悪く書いてほしから、みずから悪口を言っちゃう。でも、最後の最後にベスト16に行って、評価を一変させちゃったっていう」

六川亨氏「日本代表監督に就任する前、ハリルホジッチはあまり日本では知られていなかったと思う。むしろ、韓国のサッカー関係者の方が、ブラジルW杯で痛い目に遭っていた分、イメージ的にはすごかったんじゃない。日本の監督になったことに対して、警戒感みたいのはあるの?」
吉崎「興味は持ってますけど、警戒ということはないですね。トラブルメーカーなんだけど、大丈夫?っていう。そういう報道が最初は目立ってましたね。最後にひっくり返したけども、そこまでのチーム作りで問題がありすぎたという印象で」

◆ハリルホジッチ=?
超WS「では、お二人のハリルホジッチ監督に対する印象は?」

六川「日本人に合っていると思う。というのは、教えられるのが好きだから、日本人は。ただ、この前のシンガポール戦は、教えられるのを待ちすぎた。以前、岡田(武史)元日本代表監督が今治の代表になったときに、キーワードとして武道の“守・破・離”という考え方を引き合いに出した。言い得て妙だなと」

超WS「岡田節炸裂ですね」

六川「日本人は教えられること、指導されることを好むけど、ハリルホジッチのそういう姿勢を、選手も歓迎している。でもそこから、殻を破んないとだめ。そこが日本人の美点であり欠点でもあると思う。たぶん、一番難しいのは(アルベルト・)ザッケローニのような監督。放任主義が良くない方向に向かうこともある。反面教師にすべき点もあるんじゃないかな。そういう意味で言えば、国籍が同じというだけでなく、ハリルホジッチは似てるよ、(フィリップ・)トルシエに」
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[トルシエ監督(左)、ザッケローニ監督(右)と比べると…]

吉崎「僕もそれは同じことを思いましたね。トルシエのときみたいに、文句を言い合って、大騒ぎをして楽しむのがいいと思う。批判が出るってことは、マイナスなことではなくて、議論をしているという捉え方。これが、(サッカーの)新しい楽しみ方として加わっていけばいいんじゃないかと。そういう素地がハリルホジッチには備わっていると思います」

超WS「確かに、トルシエ元代表監督に似ている部分はあると感じていました。批判ではなく、議論。確かに批判をするなかでも色々な考えを巡らせ、その中で学んでいくことも多い」

吉崎「メディアに対しても、たくさん話そうとするでしょ。記者会見の司会者が、わざわざ最後の質問にしますって言っているのに、監督みずから、もう1、2人追加で質問を受けることを平気でするような人なんで。ただ、日本代表というのは近年、“日本のサッカー”がどうだというテーマをもって楽しむものだったんですけど、次第に何をしようとしているのか分からなくなってきたようにも思います」

六川「方向性は見えてると思う。アルジェリアもそうだけども、弱いチームが勝つためにはカウンターしかないでしょ。ドルトムントもそう。バイエルンに勝つには、カウンターしかないし、マン・Uに勝つにはチェルシー(のやり方)しかない。これはもう世の中の流れ。じゃあ日本が、バイエルンやマン・Uになれるかって言ったら、なれないんだから。世界で勝つためにはカウンターしかない。それをわかりやすくやっている印象だった」

超WS「ただ、ここ数年の日本はポゼッション志向が強かった部分があります」

六川「やっぱり点を取るために、勝つために、結果残すためにカウンターっていうのは、もう昔から変わんないよ。そういう意味で言うと、ハリルホジッチも、与えられた任期で結果を出すためには、これしかないということをやっていると思う」

吉崎「カウンターで戦うことを、後退とかマイナスとか、カッコ悪いことやるようになっちゃったと捉えるのか、変化と考えるのか。それは、見ている人が決めるところですよね」

六川「ハリルホジッチにもう一つ期待したいのは、若返りだよね。ザッケローニのときは、結局2011年のアジアカップのメンバーがベースになって、代わったのは前田遼一くらい。同じメンバーで3年間変わらなかったのは、日本サッカーにとって必ずしも良いわけではない」

超WS「では、お二人とも、ここまでの戦いぶりは好意的に受け止めている感じですか?」

吉崎「結果は今後も見ていかないと分からないけど、言動やメディアに対する立ち振る舞いの部分。オープンに、ちょっとジョークを入れながら、ちょっと挑発を交えて、エスプリを効かせながらというのは、面白い感じですよね」

六川「トルシエほど、エキセントリックじゃないしね」

吉崎「アルジェリアの監督のときは、家族のことに攻撃が及んだ瞬間にブチ切れて、大揉めに揉めたっていう」

◆ハリルは日本人に“個”を植えつけられるか?
超WS「ハリルホジッチ監督とメディアとの関係という話がありましたが、選手と監督の関係についてはどういった印象でしょうか」

六川「日本人の選手は従順だから、すごく歓迎しているよね。言うことをすべて聞いているし、吸収しようとしている感じ。あまりにもおとなしいっていうか、それは日本人の美徳でもあると思う。監督の言うことに反発することはないし」

吉崎「それが、どう転ぶかですよね。質問に対する答えになっているかわかんないんですけど、(ハビエル・)アギーレが監督ときの大阪でやった試合(2014年11月18日のオーストラリア戦)の前、酒井高徳に『今、チームの中で何やってんの?』って聞いたら、『決まりごとは作っているんだけども、決まりごと以上のことを自分で判断してやれということを、監督に一番言われています』って。六川さんの言っていることと一緒で、言うことばかり聞くなと」

超WS「アギーレはアギーレで、日本に合う監督でしたよね」

吉崎「韓国も実は、(代表監督のウリ・)シュティーリケが同じようなことをやっています。1年くらい前に大宮でプレーしていた、チョ・ヨンチョルに『監督は何やろうとしてんの?』って聞いたら、『ボールを失わないことに対しては、責任を絶対負えと言われているけど、それ以外は自分で考えてやれって』。結局、同じことを言われてるんです。言うことばっかり聞きすぎんなって。アジアの選手、共通にあるんでしょうね、そういうところ」

六川「やっぱね、エイジーニョが言ったように、アギーレがやっていたら、それはそれで面白いっていうのはあったと思う。一から十まで手取り足取りやるんじゃなくて、メキシコ人のように、そんなことは自分で考えろと。それがサッカーだろっていう。日本人がありがたがっているものを“拝聴”する傾向。自分で考える力もつけないと、限界があるんじゃないかな」
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[日本人とハリルホジッチ監督の理想的な関係は…]

吉崎「メキシコリーグでプレーしていた百瀬(俊介)くん(※日本人で初めてメキシコリーグでプレー)っていう友達いわく、(メキシコで)子供のころに少年サッカーのプレーヤーに教えることは、まずは自分、次に自分、そして最後に自分! 『メッシと滅私 「個」か「組織」か?』という本の中にも書いたことですけど、“個”という考え方がキリスト教社会と日本で明らかに違うところなんで、そこを焚きつけようとしてるんじゃないかと、見ていて感じますね。怒ったりとか、勝手にやらせたりして。ハリルホジッチ監督は」

六川「(ドイツでのプレー経験がある)エイジーニョだってそうでしょ。たとえば、俺たちで試合やってて、みんなでパス回したほうが、お互いボールにたくさん触れて楽しいと思うけど、それが日本人的な発想。エイジーニョは、チームメイトにパスよりも、ドリブルで相手抜いてシュート決めるほうが楽しい。それがエイジーニョのサッカーなの(笑)」

吉崎「六川さん、あのね、もうちょっと細かく説明させて。合ってます、ほぼ合ってます。細かく説明すると、自分のキックの能力が、一番チームの中で効果的だと思っているから、シュートを打つ方法を逆算して考えている。自分の個の力で、勝敗に責任を負うプレーをしよう、お前はお前の個性で勝敗に責任を負うし、俺は俺の個性で、個の力で勝敗に責任を負う、という考え方です。結局、個の力をどう発揮するかが、チームプレーだろうと。イチローが言っていたんですけど、『チームが苦しくなればなるほど、どう個人の力を発揮しようか考える。それがチームワークだ』って。それと同じですよ」

超WS「実際問題、日本代表にその考え方が浸透しているでしょうか?」

六川「海外組が増えたことによって、多少変わってきてはいると思う」

吉崎「そうですね。日本代表に海外組が増えることで、日本代表の欧州化っていうのが起きてくるだろうと。自己主張だとか、練習からめちゃくちゃ激しくぶつかるだとか。でも、しかるべきですよね。当然なことだと思います」


▽以下の内容についても順次公開予定。東アジアカップに備えて、ぜひご覧いただきたい。

第3弾:とにもかくにも日韓戦(7/31公開予定)

第4弾:言いたい放題!気楽に!真剣に!東アジアカップ!!(8/1公開予定)

参加ライター紹介
【六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

【吉崎エイジーニョ】
1974年6月12日生まれ。北九州市出身。大阪外国語大学朝鮮語科卒。本名は「英治」。日本・韓国・ヨーロッパ等を比較し、「日本とは何だ?」を描き出すことを主題としている。韓国・ドイツに在住経験アリ。ドイツでは、10部リーグで1年間にわたりプレーし、公式戦でゴールも決めている。サッカーのほか韓国政治・文化、北朝鮮関連の執筆も。著書に、『オレもサッカー「海外組」になるんだ!!!』(パルコ出版)、『メッシと滅私 「個」か「組織」か?』 (集英社新書)、翻訳書に、パク・チソン自伝『名もなき挑戦 世界最高峰にたどり着けた理由』(小学館集英社プロダクション)などがある。

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偉大なるキャプテン、眞城美春の2ゴールなどで日本が韓国に3発快勝! U-17女子W杯出場権を獲得【U-17女子アジアカップ】

16日、AFC U17女子アジアカップ2024の準決勝がインドネシアで行われ、U-17日本女子代表はU-17韓国女子代表と対戦し、3-0で勝利。U-17女子ワールドカップ(W杯)出場を決めた。 上位3カ国はドミニカ共和国で今年10月から11月にかけて行われるU17女子W杯の出場権を獲得できる今大会。グループステージを3連勝で終えた日本は、グループAで2位の韓国と対戦した。 日本は[4-2-3-1]のシステムを採用。GKに福田真央、最終ラインは右から福島望愛、太田美月、牧口優花、鈴木温子と並び、中盤は榊愛花と眞城美春がダブルボランチ、2列目が右から木下日菜子、辻あみる、根津里莉日と並び、1トップに古田麻子が入った。 キックオフから日本はそのまま攻め込み、辻が10秒でファーストシュート。ミドルシュートはGK正面に飛んだが、キャッチされる。3分には榊のパスを受けた辻がボックス内からシュート。これもセーブされる。 立ち上がりから日本がプレスをかけて前からボールを奪って攻めていく展開に。ポゼッションをしつつ、一気にゴールに迫る形を続けていくが、決定機は作れずに得点は遠い。 対する韓国はなかなかマイボールにできない展開に。それでもスペースをついた攻撃で日本ゴールを目指すが、大きなチャンスは作れない。 日本が攻め込む展開は変わらず。左右のサイドを使って崩していくがゴールは遠い。すると40分、左サイドから古田がクロスを入れると、ボックス内中央で辻がダイレクトで落とし、最後は根津がボックス内からコースを狙ってダイレクトシュート。これが決まり、日本がようやくゴールを奪う。 攻めあぐねた日本だったがリードして後半を迎えることに。日本はハーフタイムで交代を行わず、後半もペースを握って試合を進めていく。 韓国は積極的に選手交代を行い、52分の時点で4枚のカードを切ることに。それだけ日本が押し込んでいる展開となるが、追加点が遠い。 日本は60分に太田と辻を下げ、朝生珠実と平川陽菜を投入。流れを変えにいく。 しかし65分、韓国の自陣からのロングボールを日本が拾うも、バックパスが短くなると、狙っていたケイシー・フェアが奪い飛び出していたGK福田を交わしていくことに。福田はすぐに戻ると、ボックス内からのシュートを水口がブロック。こぼれ球をケイシー・フェア再びシュートもGK福田がセーブ。日本は最大のピンチを凌ぐこととなる。 すると68分に日本がついにスコアを動かす。榊が右サイドに大きく展開すると、ボックス右から福島がクロス。これを相手がクリアミスすると、ボックス内で拾った眞城が落ち着いて左足でシュート。これがネットを揺らし、待望の追加点を奪うことに成功する。 リードを広げた日本は71分に2枚替え。古田、根津を下げて、佐藤ももサロワンウエキと菊地花奈を起用する。 日本は菊地や佐藤を中心に攻め込んでいくと、88分にも追加点。敵陣でボールを奪うと、菊地がクロスこぼれ球を拾った眞城がボックス内でシュートもブロックされると、こぼれ球を木下がボックス内でシュート。これはGKがセーブするが、眞城がすぐに詰めてネットを揺らし、リードを3点とする。 日本は90分に今大会唯一出番がなかったGK永井愛理を福田に変えてピッチへ送ることに。これで、GK、FP全選手がピッチに立つこととなった。 最後までゲームをコントロールし続けた日本。4試合連続4得点以上とはならなかったが、クリーンシートでしっかりと勝利を収めた。 3-0で勝利した日本は、U-17女子W杯の出場権を獲得。決勝では、この後行われるU-17北朝鮮女子代表とU-17中国女子代表の勝者と対戦し5度目の優勝を懸けて戦う。一方の敗れた韓国は、3位決定戦に回ることとなった。 U-17日本女子代表 3-0 U-17韓国女子代表 【得点者】 1-0:40分 根津里莉日(日本) 2-0:68分 眞城美春(日本) 3-0:88分 眞城美春(日本) 【出場メンバー】 GK 21.福田真央(JFAアカデミー福島) →90分 1.永井愛理(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) DF 16.福島望愛(JFAアカデミー福島) 4.太田美月(大商学園高校) →60分 17.朝生珠実(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) 3.牧口優花(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) 6.鈴木温子(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) MF 5.榊愛花(JFAアカデミー福島) 14.眞城美春(日テレ・東京ヴェルディメニーナ) 8.木下日菜子(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) 19.辻あみる(三菱重工浦和レッズレディースユース) →60分 22.平川陽菜(三菱重工浦和レッズレディースユース) 11.根津里莉日(ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18) →71分 7.菊地花奈(マイナビ仙台レディースユース) FW 10.古田麻子(セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18) →71分 9.佐藤ももサロワンウエキ(大商学園高校) <span class="paragraph-title">【動画】キャプテン・眞城美春が勝利を近づける落ち着いたゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="en" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/U17WAC?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#U17WAC</a> | <a href="https://twitter.com/hashtag/JPNvKOR?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#JPNvKOR</a> <a href="https://t.co/lSHN7hfmQ5">pic.twitter.com/lSHN7hfmQ5</a></p>&mdash; #AsianCup2023 (@afcasiancup) <a href="https://twitter.com/afcasiancup/status/1791038962221683107?ref_src=twsrc%5Etfw">May 16, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.05.16 17:58 Thu
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「完璧なキャプテン」ザッケローニ元日本代表監督が引退発表の長谷部誠を労う「羽田空港に見送りに来てくれたことを忘れたことはない」

元日本代表監督であるアルベルト・ザッケローニ氏が、17日に現役引退を発表したフランクフルトの元日本代表MF長谷部誠を労った。 17日、長谷部は記者会見を開き、今シーズン限りで22年間の現役生活に幕を下ろすことを発表。引退後は、フランクフルトで指導者としての道を歩むこととなる。 その長谷部は、日本代表として2010年の南アフリカ・ワールドカップ(W杯)から2018年のロシアW杯まで3大会に出場し、その間キャプテンを務めるなど活躍。114試合に出場していた。 ザッケローニ監督が率いた、2010年から2014年はまさにキャプテンとして活躍し、2011年にはアジアカップを制覇。ブラジルW杯では悔しい結果に終わったが、ザッケローニ監督の日本代表キャリアでは常に長谷部と共にあった。 ザッケローニ氏は日本サッカー協会(JFA)を通じてコメントを寄せ、選手として、キャプテンとしての長谷部を称えた。 「長谷部は私にとって“完璧なキャプテン”です」 「彼の豊かな人間性、優雅な立ち居振る舞い、常に正しい判断力は、まさにリーダーたるもので、30年間にわたる私の監督のキャリアの中でも比類なきものでした」 「彼と一緒に仕事をすれば、私のメッセージは正確に適切な形で選手たちに伝えられ、チーム内でのコミュニケーションが建設的なものになりました」 「SAMURAI BLLUE(日本代表)の挑戦は彼がいなければ達成できなかったと断言することができます。誠、あなたの献身的な仕事、そして、私やサッカーに対して与えてくれた全てのことに感謝します」 「日本での素晴らしい日々が終わる日、内田篤人と共に羽田空港に見送りに来てくれたことを忘れたことはありません。誠、あなたは私の息子のようでもありました。イタリアの我が家はいつでもあなたを歓迎します。近いうちにお会いしましょう。セカンドキャリアでの成功も祈っています」 2024.04.18 22:25 Thu

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