【六さんのユニバーシアード戦記】世界相手のアジア仕様《日本vsフランス》
2015.07.10 14:00 Fri
[MF八久保(阪南大学) 奥のキャラクターは大会マスコット]
▽前回の大会でPK戦の末に敗れたフランスに、日本は前半ロスタイム、セットプレーからセンターバックの田上が挙げた直接FKで雪辱した。当時のメンバーは日本にはいなかったが、フランスには6人も残っていたという。
[前半ロスタイム DF田上(流通経済大)のFKが炸裂、これが決勝点に]
▽日本の場合、大学サッカーの運営もしっかり整備されており、その上、トップクラスはプロ予備軍となる選手が多い現状を踏まえると、チームの完成度に明らかな違いが出てくる。その為、相手は必然的に引いてカウンターで対抗してくる。予選リーグのイラン、ブラジル、マレーシア然り、準々決勝のフランスも例外ではなかった。90分を終えてイーブンなら即PK戦である(延長があるのは決勝のみ)。なおさら引き気味の試合展開に持ち込もうとする。
[試合中、思わず彼女に視線が。赤い口紅は若い女性の定番]
▽アジア相手と戦う時、ほとんどの相手は引いてくる。その時どんな戦い方をすればいいのか、日本にとってユニバーシアードは、アジア以外のチームを相手に、アジア仕様の戦い方をシュミレートする貴重な経験の場でもあるのだ。
[呉屋(関西学院大)は、この日も無得点
▽日本は幾度かの決定機を外し、フランスはGK福島の好守にはばまれた。セットプレーからの得点がなければ、この試合はPK戦が必至だった。課題は日本サッカー全体にも言えるが、シュート・オン・ゴールである。決定機は作るものの、枠に飛ばない。サイドから崩すものの中で合わない。そして、こぼれ球を拾われてカウンターをくらう。今や定番となった日本サッカーの縮図が、光州でも再現された。
[GK福島(専修大)は終了間際のフランスの猛攻を防いだ。奥はDF高橋(明治大学)]
▽準決勝、次の相手はイタリア、一方の山は韓国対ブラジルである。蒸し暑い現地の気候を考えると、決勝は因縁の日韓戦になりそうだ。
[田上は終了間際ヒジ打ちを食らい退場]
日本 1-0 フランス
【得点者】
45+1分 田上大地(流通経済大)
【出場選手】
GK
福島春樹(専修大)
DF
12 室屋成(明治大)[→84分 澤上竜二(大阪体育大)]
5 新井一耀(順天堂大学)
4 田上大地(流通経済大)
6 髙橋諒(明治大学)
MF
15 木本恭生(福岡大)[→62分 奥山政幸(早稲田大)]
14 松下佳樹(阪南大学)
8 和泉竜司(明治大学)
18 八久保颯(阪南大学)[→55分 端山豪(慶應義塾大)]
7 小林成豪(関西学院大)[→78分 湯澤聖人(流通経済大学)]
FW
13 呉屋大翔(関西学院大)
プロフィール
【六川則夫】(ろくかわのりお)1951年、東京生まれ。40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。[蹴る、観る、撮る]の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。キリンチャレンジカップの関連記事
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